切削インサートキット、切削インサートの製造方法及び切削インサートキットから分離された切削インサート
本発明は, 脆い耐摩耗性の材料から一体的に製造された本体(1)の形の切削インサートキットに関し、切削インサートキットは複数の切削インサートブランク(3)を含み、切削インサートブランク(3)は切れ刃(8,9)をそれぞれ含み、強度が弱い破断指示部(4)によってキットから一つずつ切り離すことができる。本発明によれば、本体はすべての切削インサートブランク(3)に共通する基部(2)を含み、基部(2)に種々の切削インサートブランクの強度が弱い接続部分(4)という形の破断指示部を介して接続されており、接続部分(4)が基部と各切削インサートブランクの後端の間に延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第一の様態において、本発明は、脆い耐摩耗性を有する素材から一体的に製造されるボディという形態であり、複数の切削インサートブランクを含む切削インサートキットであって、個々の切削インサートブランクは、一つずつ破断指示部によってキットから切り離され、前端部と後端部、及び上面と下面とを備え、少なくとも一つの切れ刃が前端部にあって逃げ面と上面及び下面のいずれかとの間に形成されている切削インサートキットに関する。
【0002】
別の様態で、本発明は、切削インサート製造方法及びキットから分離された形の切削インサートに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の切削インサート又は切削インサートブランクから成る連結キットは特許文献1によって公知であり、それらは破断指示部によってキットから一つずつ切り離すことができる。もっと詳しく言うと、キットは複数の切削インサートから成るマガジンの形であって、切削インサートは前後に一列に並べられて、中ぐりバイトの形の工具本体の作用位置へ次々に前方へ送り出すことができ、切削加工で消耗した後に、弱い接続部分を折ることによってそれを切り離し、次の未使用切削インサートに取り替えられるようになっている。しかし、この切削インサートキットは、異なる切削インサートが連結されていることによって、正確にはそれぞれ前方の切削インサートの後端が背後の切削インサートの前端と接続部分によって連結されていることによって、いろいろな欠点や制約を有する。このとき、接続部分は切削インサートの下面に沿って配置され、必要な切れ刃は上面と前方逃げ面の間の移行部に形成される。切削インサートがその前方の切削インサートと接続部分によって連結している前端部に切れ刃を形成しなければならないために、工具本体から突出する切削インサートの作用部分を異なるデザイン及び異なる切削形状に構成しようとする設計者の自由度はきわめて限られたものになる。例えば両面切削インサートの製造は不可能になる、すなわち、使用できる切れ刃が下面にも上面にもある切削インサートの製造は不可能である。また、製造は、ポジティブタイプの切削インサート、すなわちすくい面と逃げ面の間の切れ刃角度が鋭角である切削インサート、に限られる。そうでない場合、切り離された接続部分の残部が被削材に生成される表面からの切削インサートの逃げを妨げるからである。
【0004】
(その他の従来技術の説明)
最初に一般的に述べた種類の切削インサートキットは、さらに特許文献2によっても知られる。しかし、この場合も、キットに含まれる切削インサートブランクは互いに結合されており、本発明が定めるように共通の基部とは結合されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0065240号明細書
【特許文献2】独国特許第750725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の切削インサートキットの上述のような欠点や制約を軽減して、改良された切削インサートキットを提供しようとするものである。したがって、本発明の第一の目的は、含まれる切削インサートブランクにきわめて多様な形状を与えられるように設計者に大きな自由度を許す切削インサートキットを提供することである。特に、個々のインサートブランクに少なくとも二つの使用できる切れ刃を形成することが可能でなければならない。
【0007】
さらに、切削インサートキットは従来のプレス工程と焼結法によって製造でき、少なくとも上面、好ましくは下面にも、形態的に精緻なすくい面に含まれるチップブレーカーやその他の形成物を形成できるようにしなければならない。
【0008】
さらに本発明は、同一の切削インサートブランクでなくても、例えば切削幾何形状やコーナー半径などに関して多様な切削インサートブランクによっても実現できる切削インサートキットを提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、簡単で便利な仕方で輸送、貯蔵、及び取り扱いが可能なコンパクトな切削インサートキットを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、分離される切削インサートに無害な最小限の残部しか生じないような破断指示部を有する切削インサートキットを提供することである。また、製造に関連して、付属の工具ホルダー、例えば中ぐりバイト、において分離された切削インサートを確実且つ正確に固定する手段か形成された切削インサートキットを提供することである。
【0011】
ある特別な様態では、本発明は両刃、すなわちマルチエッジの切削インサートを分離することができ、切削インサートを反転させることで切れ刃を換える作業を単純化できる、詳しく言うとどちらの切れ刃が未使用であるかをユーザーが追跡できる構造になっている切削インサートキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、少なくとも第一の目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴部分に規定された技術的事項によって達成される。本発明に係わる切削インサートキットの好ましい実施形態がさらに従属請求項2〜12に規定されている。
【0013】
第二の様態で、本発明は、本発明に係わる切削インサートの製造方法に関する。この方法の特徴は請求項13に見られる。
【0014】
第三の様態で、本発明はまた、切削インサートキットから取り出される切削インサートそのものに関する。この切削インサートの主な特徴は請求項14に定められており、その好ましい実施形態は請求項15〜17に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わる切削インサートキットを上からみた図である。
【図2】キットから切り離された切削インサートを示す同様の斜視図である。
【図3】同じキットを上から見た平面図である。
【図4】図3における線IV-IVでの拡大縦断面図である。
【図5】切削インサートを斜め上から見た拡大斜視図である。
【図6】切削インサートを下側から見た斜視図である。
【図7】図5と6による切削インサートを示す側面図である。
【図8】切り離された切削インサートの後端を示す拡大斜視図である。
【図9】工具ホルダーに固定された切削インサートを示す部分斜視図である。
【図10】本発明に係わるキットの別の実施形態を示す平面図である。
【図11】キットの基部と個々の切削インサートブランクの間の接続部分の好ましい実施形態を示す拡大細部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
種々の実施形態についてさらに詳しく説明する前に、図は概略図であって最終製品の細部をすべて示すものではないことを強調しておかなければならない。例えば、切削インサートブランクの上面と下面になっているすくい面は、チップブレーカーも含まず、最終の切削インサート製品に通常含まれているようなタイプの形成物も含まない平面の形で示されている。
【0017】
図1〜4において、参照数字1はキット全体を表し、本発明によればそれは基部2,及び複数の切削インサートブランク3を含み、その各々は破断指示部4によって基部2に接続している。各切削インサートブランク3は、上面5及び下面6を有し、この例ではそれらは平面で互いに平行な表面という形で示されている。これらの表面5,6の間に仮想的な中立平面NPが示されており、これは表面5,6と平行で、中心軸Cに対して直角方向に延びている。切削加工のための硬い製品を製造する従来の方法に従って、キット1は、硬く脆い耐摩耗性の材料、例えば超硬合金、を形成できるタイプの粉末材料をプレスして焼結することによって製造できる。プレス成形は、二つの対向するモールド型を中心軸Cと平行に軸方向で互いに近づけて行われ、それによっていわゆる未焼結体が形成されるが、それがその後の焼結で約18%収縮してなめらかな表面を有するきわめて硬いボディになる。各切削インサートブランクには(及び図5〜8による切り離された切削インサートには)、一方において上面5と逃げ面7の間の移行部に第一の切れ刃8が含まれ、他方において逃げ面7と下面6の間の移行部に第二の切れ刃9が含まれる。もっと詳しくいうと、切れ刃8,9と逃げ面7は前端部11に含まれ、この場合、それは多角形の輪郭を有し後端部13に移行し、後端部13は表面5,6の他に二つの対向する側面10と後端面12によって限られている。異なる切削インサートブランクは共通の基部2に、強度が弱い接続部分4という形の破断指示部によって接続され(図4参照)、接続部分4は個々のブランクの切れ刃からは、詳しくは後端部13に含まれることによって、間隔があいている。
【0018】
以下の説明で、参照数字3は、キットに組み込まれた形の切削インサートブランクだけでなく、図5〜8に示されている切り離された切削インサートに対しても用いられる。
【0019】
図示された好ましい実施形態では、基部2はハブ状の中心部分であり、その周縁部から切削インサートブランクが突出している。この場合、基部2は中心軸Cに対して回転対称な形の包絡面14を含み、そこから切削インサートブランク3が接続部分4を介して径方向に突出している。この例では、包絡面14は円筒形であり、基部の上面15と下面16は平面であり、切削インサートブランクの上面5と下面6と同一面に位置している。さらに、中心孔17が基部2に凹みを形成し、それが基部にリングの形を与え、有利な仕方で基部の重量と材料消費を最小に減らしている。
【0020】
図示の実施形態では、粉末をプレスして形成されたグリーンボディの上面と下面にリング形状の溝18,19を圧し込むことによって接続部分4が設けられる(図4と11参照)。上の溝18は下の溝19より浅い。図11に見られるように、二つの溝18,19は溝の間に残されて切削インサートブランク3と基部2の間の接続部分4を形成する素材部分が断面でテーパー状に傾斜する形となるように形成される。正確にいうと、接続部分4は切削インサートブランク3の後端面12の方へ傾斜している。このことは接続部分が後端面に隣接したところで最も弱くなるということを意味し、切削インサートブランクを基部から切り離すときに、接続部分が後端面のすぐ近くで折られることになる。その結果、切り離された切削インサートの接続部分の残部は最小で無害になり、最善の場合、折り取られた切削インサートの後端面が破断面20を有するという形でしか現れない(図5と8参照)。また、最も深い溝19は、個々の切削インサートブランク3の基部2からの分離を行うための工具(例えば、ねじ回し)を受けるように有利に利用できるということを注意しておきたい。
【0021】
特に、図8を参照すると、切り離された切削インサートの後端面12はこの場合は凹であり、4つの境界線、すなわち、一方では切削インサートの上面と下面5,6への移行部における上方と下方の境界線21,22,他方では切削インサートの後端部13に沿った二つの側面10への移行部における二つの側方境界線23,によって限定されていることが指摘される。この例では、これらの側面10は平面で互いに平行で後端部13を限定し、後端部13は前端部11よりも概して細い、すなわち後端部は前端部の最大幅よりも小さい(一様な)幅を有する。前述した上方の溝18は下方の溝19よりかなり浅いので、切削インサートを折り取った後に残される破断面20は端面12の下方境界線22より上方境界線21にかなり近く位置する。
【0022】
図3で最も良く見られるように、この場合、切れ刃8,9が含まれる切削インサートブランクのこれらの前端部11は同一の形状を有する。この例では、前方部分11の輪郭の形は多角形、正確には四角形であり、二つの真直な切れ刃は丸められたノーズ切れ刃28で互いに出会う。この例では、切り離された切削インサートは旋削用である。
【0023】
図3と4から、さらに、溝18,19の径方向外側に別の一対の溝24,25が凹設されているが、それらは少なくとも最も深い溝19よりもかなり浅いことが見られる。溝24,25は溝18,19と同様にアーチ状になっていると有利である。図4から見られるように、これらの溝24,25の各々は、使用できる切削インサート3を切り離した後にその切削インサートをホルダー26(この場合は旋削用ホルダーの形である)に固定するために利用できる。もっと詳しくいうと、締結ねじ又はクランプ27の周縁部分を、切削インサート3の今は上を向いている溝24と係合させることができる。これに関連して切削インサートの上面並びに下面における溝24,25の存在は切削インサートを反転させて固定することを可能にし、両方の切れ刃8,9が利用できるようになるということを強調しておきたい。
【0024】
(発明の効果)
本発明に従って個々の切削インサートブランクを共通の基部と接続させることによって、必要な破断指示部を切削インサートブランクの後端に隣接して形成することができ、他方で損傷しやすい切れ刃(単数又は複数)を破断指示部の残部によって妨げられない前端に形成することができる。さらに、本発明は特許文献1による切削インサートキットと異なり、使用前に個々の切削インサートを切り離すという考え方に基づいているが、従来のキットは使用して消耗した後で切削インサートを切り離すという考え方に基づいている。言い換えると、本発明は、切り離された切削インサートをきわめて多様なタイプのホルダーで用いることを許容する。さらに、同一のキットに幾何形状が異なる切削インサートを形成することができる。この切削インサートキットはまた、一様な切削インサートを用いて切削加工によって細部が異なるものを従来の用に製造するのに有利であり、このキットは――ばらばらの切削インサートと異なり――複数の切削インサートを有し、接続されてスムーズに扱うことができるキットである。本発明は、図に例示されているタイプの反転できるマルチ切れ刃の切削インサートであることで特別な利点がある、正確にいうと切削インサートの後端面に沿った破断面を利用してどの切れ刃が摩耗しておりどの切れ刃が未使用であるかを追跡できるという利点がある。すなわち、オペレータは、切削インサートを最初に工具に取り付けるときに、切削インサートの破断面に最も近く位置している上面を常に上向きに取り付けることをルーチンとすることができる。その後、他方の切れ刃を利用するために切削インサートを反転させるとき、正しく取り付けられているかどうかを簡単に観察できる、すなわち上面と破断表面が下向きになっていることを確かめればよい。
【0025】
図10は、キットに含まれる切削インサートブランクの形をどのように変えることができるか、例えばいくつかの切れ刃は多角形の輪郭を有し、別のいくつかの切れ刃は円形の輪郭を有するように変えられることを概略図で示している。
【0026】
(本発明の実施可能な変形)
本発明は上で説明し図面で示した実施形態だけに限定されない。基部及び異なる切削インサートの基本的な形をかなり大きく変えることができるが、破断指示部としての接続部分が切削インサートブランクの後端に配置されるか、又はその他の仕方で切れ刃(単数又は複数)から間隔をあけるようにしなければならない。さらに、切れ刃が生成される自由な前端部も雑多な仕方で形成できる。例えば、上下両面切削インサートブランク、すなわち二つの切れ刃を有するブランク、の代わりに、一つの切れ刃だけを有し、切れ刃の下側でポジティブの逃げ角を有する片面の切削インサートブランクを形成することもできる。本発明の範囲内で、基部をリングの形に形成し、その内側から切削インサートブランクが内側へリング中心に向かって突出するようにすることも可能である。また、キットに、リング又は基部の上面及び/又は下面から軸方向に突出する切削インサートブランクを形成することもできる。いずれにしても、基部が回転対称なプーリ状の基本形を有する必要はない。すなわち、基部は、いくつかの周縁の平面があり、それらが切削インサートブランクの後端面と平行である多角形の基本形であってもよい。さらに、切削インサートは図面で例示されたタイプの旋削用インサートの形だけでなく、別のタイプの切削加工用の、特にフライス削り及び穴開け用に形成することもできる。図面で示した例では、切削インサートブランクと基部の間の接続部分は、切削インサートブランクの厚さよりもかなり小さな厚さにすることによって弱くされ、切り離された切削インサートの破断表面は切削インサートの端面全体に比べて薄くなる(図8参照)。この例では、それによって、破断表面の面積は端面全体の面積のほぼ1/5になる。破断面は端面の二つの側方境界線の間で全体にわたって延びている。本発明の範囲内で、切削インサートブランクの後端面とすべての切削インサートブランクに共通する基部の間で弱い結合が形成される限り、個々の接続部分のデザインを変えることができる。例えば、薄い接続部分を水平でなく垂直に向けてもよい。さらに、単一の接続部分の代わりに、二つ以上の小さな部材を用いても良い。しかし、それらの部材に、基部から個々の切削インサートブランクに向かう方向にテーパーする形を与えて、図示されているように破断面が切り離された切削インサートの後端面のすぐ近くになるようにすることが好ましい。
【0027】
さらに、切削インサートキットを製造する材料として、本発明の範囲内でいろいろな材料が利用できることも述べておきたい。上述した実施形態に関連してあげた超硬合金の他に、例えばセラミック、サーメット、などを用いることもできる。さらに、本発明よる切削インサートキットで、より硬い――超硬合金に比べて――より硬い材料、例えばPCD(多結晶ダイアモンド)又はCBN(立方晶窒化硼素)など、で切れ刃部分を形成することもできる。それらの切れ刃部分は、例えばより硬い材料の薄い層であって、それが切削インサートキットに含まれる一つ以上の切削インサートブランクの超硬合金に、例えば、ろう付けによって脱離不可能に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 キット
2 基部
3 切削インサートブランク
4 破断指示部(接続部分)
5,15 上面
6,16 下面
7 逃げ面
8 切れ刃(第1の切れ刃)
9 切れ刃(第2の切れ刃)
10 側面
11 前端部
12 後端面
13 後端部
14 包絡面
19 リング状の溝
20 破断面
21 上方境界線
22 下方境界線
23 側方境界線
24,25 溝
【技術分野】
【0001】
第一の様態において、本発明は、脆い耐摩耗性を有する素材から一体的に製造されるボディという形態であり、複数の切削インサートブランクを含む切削インサートキットであって、個々の切削インサートブランクは、一つずつ破断指示部によってキットから切り離され、前端部と後端部、及び上面と下面とを備え、少なくとも一つの切れ刃が前端部にあって逃げ面と上面及び下面のいずれかとの間に形成されている切削インサートキットに関する。
【0002】
別の様態で、本発明は、切削インサート製造方法及びキットから分離された形の切削インサートに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の切削インサート又は切削インサートブランクから成る連結キットは特許文献1によって公知であり、それらは破断指示部によってキットから一つずつ切り離すことができる。もっと詳しく言うと、キットは複数の切削インサートから成るマガジンの形であって、切削インサートは前後に一列に並べられて、中ぐりバイトの形の工具本体の作用位置へ次々に前方へ送り出すことができ、切削加工で消耗した後に、弱い接続部分を折ることによってそれを切り離し、次の未使用切削インサートに取り替えられるようになっている。しかし、この切削インサートキットは、異なる切削インサートが連結されていることによって、正確にはそれぞれ前方の切削インサートの後端が背後の切削インサートの前端と接続部分によって連結されていることによって、いろいろな欠点や制約を有する。このとき、接続部分は切削インサートの下面に沿って配置され、必要な切れ刃は上面と前方逃げ面の間の移行部に形成される。切削インサートがその前方の切削インサートと接続部分によって連結している前端部に切れ刃を形成しなければならないために、工具本体から突出する切削インサートの作用部分を異なるデザイン及び異なる切削形状に構成しようとする設計者の自由度はきわめて限られたものになる。例えば両面切削インサートの製造は不可能になる、すなわち、使用できる切れ刃が下面にも上面にもある切削インサートの製造は不可能である。また、製造は、ポジティブタイプの切削インサート、すなわちすくい面と逃げ面の間の切れ刃角度が鋭角である切削インサート、に限られる。そうでない場合、切り離された接続部分の残部が被削材に生成される表面からの切削インサートの逃げを妨げるからである。
【0004】
(その他の従来技術の説明)
最初に一般的に述べた種類の切削インサートキットは、さらに特許文献2によっても知られる。しかし、この場合も、キットに含まれる切削インサートブランクは互いに結合されており、本発明が定めるように共通の基部とは結合されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0065240号明細書
【特許文献2】独国特許第750725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の切削インサートキットの上述のような欠点や制約を軽減して、改良された切削インサートキットを提供しようとするものである。したがって、本発明の第一の目的は、含まれる切削インサートブランクにきわめて多様な形状を与えられるように設計者に大きな自由度を許す切削インサートキットを提供することである。特に、個々のインサートブランクに少なくとも二つの使用できる切れ刃を形成することが可能でなければならない。
【0007】
さらに、切削インサートキットは従来のプレス工程と焼結法によって製造でき、少なくとも上面、好ましくは下面にも、形態的に精緻なすくい面に含まれるチップブレーカーやその他の形成物を形成できるようにしなければならない。
【0008】
さらに本発明は、同一の切削インサートブランクでなくても、例えば切削幾何形状やコーナー半径などに関して多様な切削インサートブランクによっても実現できる切削インサートキットを提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、簡単で便利な仕方で輸送、貯蔵、及び取り扱いが可能なコンパクトな切削インサートキットを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、分離される切削インサートに無害な最小限の残部しか生じないような破断指示部を有する切削インサートキットを提供することである。また、製造に関連して、付属の工具ホルダー、例えば中ぐりバイト、において分離された切削インサートを確実且つ正確に固定する手段か形成された切削インサートキットを提供することである。
【0011】
ある特別な様態では、本発明は両刃、すなわちマルチエッジの切削インサートを分離することができ、切削インサートを反転させることで切れ刃を換える作業を単純化できる、詳しく言うとどちらの切れ刃が未使用であるかをユーザーが追跡できる構造になっている切削インサートキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、少なくとも第一の目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴部分に規定された技術的事項によって達成される。本発明に係わる切削インサートキットの好ましい実施形態がさらに従属請求項2〜12に規定されている。
【0013】
第二の様態で、本発明は、本発明に係わる切削インサートの製造方法に関する。この方法の特徴は請求項13に見られる。
【0014】
第三の様態で、本発明はまた、切削インサートキットから取り出される切削インサートそのものに関する。この切削インサートの主な特徴は請求項14に定められており、その好ましい実施形態は請求項15〜17に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わる切削インサートキットを上からみた図である。
【図2】キットから切り離された切削インサートを示す同様の斜視図である。
【図3】同じキットを上から見た平面図である。
【図4】図3における線IV-IVでの拡大縦断面図である。
【図5】切削インサートを斜め上から見た拡大斜視図である。
【図6】切削インサートを下側から見た斜視図である。
【図7】図5と6による切削インサートを示す側面図である。
【図8】切り離された切削インサートの後端を示す拡大斜視図である。
【図9】工具ホルダーに固定された切削インサートを示す部分斜視図である。
【図10】本発明に係わるキットの別の実施形態を示す平面図である。
【図11】キットの基部と個々の切削インサートブランクの間の接続部分の好ましい実施形態を示す拡大細部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
種々の実施形態についてさらに詳しく説明する前に、図は概略図であって最終製品の細部をすべて示すものではないことを強調しておかなければならない。例えば、切削インサートブランクの上面と下面になっているすくい面は、チップブレーカーも含まず、最終の切削インサート製品に通常含まれているようなタイプの形成物も含まない平面の形で示されている。
【0017】
図1〜4において、参照数字1はキット全体を表し、本発明によればそれは基部2,及び複数の切削インサートブランク3を含み、その各々は破断指示部4によって基部2に接続している。各切削インサートブランク3は、上面5及び下面6を有し、この例ではそれらは平面で互いに平行な表面という形で示されている。これらの表面5,6の間に仮想的な中立平面NPが示されており、これは表面5,6と平行で、中心軸Cに対して直角方向に延びている。切削加工のための硬い製品を製造する従来の方法に従って、キット1は、硬く脆い耐摩耗性の材料、例えば超硬合金、を形成できるタイプの粉末材料をプレスして焼結することによって製造できる。プレス成形は、二つの対向するモールド型を中心軸Cと平行に軸方向で互いに近づけて行われ、それによっていわゆる未焼結体が形成されるが、それがその後の焼結で約18%収縮してなめらかな表面を有するきわめて硬いボディになる。各切削インサートブランクには(及び図5〜8による切り離された切削インサートには)、一方において上面5と逃げ面7の間の移行部に第一の切れ刃8が含まれ、他方において逃げ面7と下面6の間の移行部に第二の切れ刃9が含まれる。もっと詳しくいうと、切れ刃8,9と逃げ面7は前端部11に含まれ、この場合、それは多角形の輪郭を有し後端部13に移行し、後端部13は表面5,6の他に二つの対向する側面10と後端面12によって限られている。異なる切削インサートブランクは共通の基部2に、強度が弱い接続部分4という形の破断指示部によって接続され(図4参照)、接続部分4は個々のブランクの切れ刃からは、詳しくは後端部13に含まれることによって、間隔があいている。
【0018】
以下の説明で、参照数字3は、キットに組み込まれた形の切削インサートブランクだけでなく、図5〜8に示されている切り離された切削インサートに対しても用いられる。
【0019】
図示された好ましい実施形態では、基部2はハブ状の中心部分であり、その周縁部から切削インサートブランクが突出している。この場合、基部2は中心軸Cに対して回転対称な形の包絡面14を含み、そこから切削インサートブランク3が接続部分4を介して径方向に突出している。この例では、包絡面14は円筒形であり、基部の上面15と下面16は平面であり、切削インサートブランクの上面5と下面6と同一面に位置している。さらに、中心孔17が基部2に凹みを形成し、それが基部にリングの形を与え、有利な仕方で基部の重量と材料消費を最小に減らしている。
【0020】
図示の実施形態では、粉末をプレスして形成されたグリーンボディの上面と下面にリング形状の溝18,19を圧し込むことによって接続部分4が設けられる(図4と11参照)。上の溝18は下の溝19より浅い。図11に見られるように、二つの溝18,19は溝の間に残されて切削インサートブランク3と基部2の間の接続部分4を形成する素材部分が断面でテーパー状に傾斜する形となるように形成される。正確にいうと、接続部分4は切削インサートブランク3の後端面12の方へ傾斜している。このことは接続部分が後端面に隣接したところで最も弱くなるということを意味し、切削インサートブランクを基部から切り離すときに、接続部分が後端面のすぐ近くで折られることになる。その結果、切り離された切削インサートの接続部分の残部は最小で無害になり、最善の場合、折り取られた切削インサートの後端面が破断面20を有するという形でしか現れない(図5と8参照)。また、最も深い溝19は、個々の切削インサートブランク3の基部2からの分離を行うための工具(例えば、ねじ回し)を受けるように有利に利用できるということを注意しておきたい。
【0021】
特に、図8を参照すると、切り離された切削インサートの後端面12はこの場合は凹であり、4つの境界線、すなわち、一方では切削インサートの上面と下面5,6への移行部における上方と下方の境界線21,22,他方では切削インサートの後端部13に沿った二つの側面10への移行部における二つの側方境界線23,によって限定されていることが指摘される。この例では、これらの側面10は平面で互いに平行で後端部13を限定し、後端部13は前端部11よりも概して細い、すなわち後端部は前端部の最大幅よりも小さい(一様な)幅を有する。前述した上方の溝18は下方の溝19よりかなり浅いので、切削インサートを折り取った後に残される破断面20は端面12の下方境界線22より上方境界線21にかなり近く位置する。
【0022】
図3で最も良く見られるように、この場合、切れ刃8,9が含まれる切削インサートブランクのこれらの前端部11は同一の形状を有する。この例では、前方部分11の輪郭の形は多角形、正確には四角形であり、二つの真直な切れ刃は丸められたノーズ切れ刃28で互いに出会う。この例では、切り離された切削インサートは旋削用である。
【0023】
図3と4から、さらに、溝18,19の径方向外側に別の一対の溝24,25が凹設されているが、それらは少なくとも最も深い溝19よりもかなり浅いことが見られる。溝24,25は溝18,19と同様にアーチ状になっていると有利である。図4から見られるように、これらの溝24,25の各々は、使用できる切削インサート3を切り離した後にその切削インサートをホルダー26(この場合は旋削用ホルダーの形である)に固定するために利用できる。もっと詳しくいうと、締結ねじ又はクランプ27の周縁部分を、切削インサート3の今は上を向いている溝24と係合させることができる。これに関連して切削インサートの上面並びに下面における溝24,25の存在は切削インサートを反転させて固定することを可能にし、両方の切れ刃8,9が利用できるようになるということを強調しておきたい。
【0024】
(発明の効果)
本発明に従って個々の切削インサートブランクを共通の基部と接続させることによって、必要な破断指示部を切削インサートブランクの後端に隣接して形成することができ、他方で損傷しやすい切れ刃(単数又は複数)を破断指示部の残部によって妨げられない前端に形成することができる。さらに、本発明は特許文献1による切削インサートキットと異なり、使用前に個々の切削インサートを切り離すという考え方に基づいているが、従来のキットは使用して消耗した後で切削インサートを切り離すという考え方に基づいている。言い換えると、本発明は、切り離された切削インサートをきわめて多様なタイプのホルダーで用いることを許容する。さらに、同一のキットに幾何形状が異なる切削インサートを形成することができる。この切削インサートキットはまた、一様な切削インサートを用いて切削加工によって細部が異なるものを従来の用に製造するのに有利であり、このキットは――ばらばらの切削インサートと異なり――複数の切削インサートを有し、接続されてスムーズに扱うことができるキットである。本発明は、図に例示されているタイプの反転できるマルチ切れ刃の切削インサートであることで特別な利点がある、正確にいうと切削インサートの後端面に沿った破断面を利用してどの切れ刃が摩耗しておりどの切れ刃が未使用であるかを追跡できるという利点がある。すなわち、オペレータは、切削インサートを最初に工具に取り付けるときに、切削インサートの破断面に最も近く位置している上面を常に上向きに取り付けることをルーチンとすることができる。その後、他方の切れ刃を利用するために切削インサートを反転させるとき、正しく取り付けられているかどうかを簡単に観察できる、すなわち上面と破断表面が下向きになっていることを確かめればよい。
【0025】
図10は、キットに含まれる切削インサートブランクの形をどのように変えることができるか、例えばいくつかの切れ刃は多角形の輪郭を有し、別のいくつかの切れ刃は円形の輪郭を有するように変えられることを概略図で示している。
【0026】
(本発明の実施可能な変形)
本発明は上で説明し図面で示した実施形態だけに限定されない。基部及び異なる切削インサートの基本的な形をかなり大きく変えることができるが、破断指示部としての接続部分が切削インサートブランクの後端に配置されるか、又はその他の仕方で切れ刃(単数又は複数)から間隔をあけるようにしなければならない。さらに、切れ刃が生成される自由な前端部も雑多な仕方で形成できる。例えば、上下両面切削インサートブランク、すなわち二つの切れ刃を有するブランク、の代わりに、一つの切れ刃だけを有し、切れ刃の下側でポジティブの逃げ角を有する片面の切削インサートブランクを形成することもできる。本発明の範囲内で、基部をリングの形に形成し、その内側から切削インサートブランクが内側へリング中心に向かって突出するようにすることも可能である。また、キットに、リング又は基部の上面及び/又は下面から軸方向に突出する切削インサートブランクを形成することもできる。いずれにしても、基部が回転対称なプーリ状の基本形を有する必要はない。すなわち、基部は、いくつかの周縁の平面があり、それらが切削インサートブランクの後端面と平行である多角形の基本形であってもよい。さらに、切削インサートは図面で例示されたタイプの旋削用インサートの形だけでなく、別のタイプの切削加工用の、特にフライス削り及び穴開け用に形成することもできる。図面で示した例では、切削インサートブランクと基部の間の接続部分は、切削インサートブランクの厚さよりもかなり小さな厚さにすることによって弱くされ、切り離された切削インサートの破断表面は切削インサートの端面全体に比べて薄くなる(図8参照)。この例では、それによって、破断表面の面積は端面全体の面積のほぼ1/5になる。破断面は端面の二つの側方境界線の間で全体にわたって延びている。本発明の範囲内で、切削インサートブランクの後端面とすべての切削インサートブランクに共通する基部の間で弱い結合が形成される限り、個々の接続部分のデザインを変えることができる。例えば、薄い接続部分を水平でなく垂直に向けてもよい。さらに、単一の接続部分の代わりに、二つ以上の小さな部材を用いても良い。しかし、それらの部材に、基部から個々の切削インサートブランクに向かう方向にテーパーする形を与えて、図示されているように破断面が切り離された切削インサートの後端面のすぐ近くになるようにすることが好ましい。
【0027】
さらに、切削インサートキットを製造する材料として、本発明の範囲内でいろいろな材料が利用できることも述べておきたい。上述した実施形態に関連してあげた超硬合金の他に、例えばセラミック、サーメット、などを用いることもできる。さらに、本発明よる切削インサートキットで、より硬い――超硬合金に比べて――より硬い材料、例えばPCD(多結晶ダイアモンド)又はCBN(立方晶窒化硼素)など、で切れ刃部分を形成することもできる。それらの切れ刃部分は、例えばより硬い材料の薄い層であって、それが切削インサートキットに含まれる一つ以上の切削インサートブランクの超硬合金に、例えば、ろう付けによって脱離不可能に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 キット
2 基部
3 切削インサートブランク
4 破断指示部(接続部分)
5,15 上面
6,16 下面
7 逃げ面
8 切れ刃(第1の切れ刃)
9 切れ刃(第2の切れ刃)
10 側面
11 前端部
12 後端面
13 後端部
14 包絡面
19 リング状の溝
20 破断面
21 上方境界線
22 下方境界線
23 側方境界線
24,25 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐摩耗性を有する脆い材料から一体的に製造された本体の形態の切削インサートキットであって、
複数の切削インサートブランク(3)を含み、個々の切削インサートブランクはキットから破断指示部(4)によって一つずつ切り離すことができ、切削インサートブランクは前端部(11)と後端部(13)、及び上面(5)と下面(6)とを含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が前端部(11)にあって逃げ面(7)と上面及び下面(5,6)のいずれかとの間に形成されており、本体がすべての切削インサートブランク(3)に共通する基部(2)を含み、個々の切削インサートブランクが、基部(2)と切削インサートブランクの後端部(13)の間の強度が弱い接続部分(4)という形の破断指示部を介して基部(2)に接続されている、ことを特徴とする切削インサートキット。
【請求項2】
個々の切削インサートブランク(3)が二つの切れ刃を含み、二つの切れ刃が、逃げ面(7)と上面(5)の間の移行部に位置する第一の切れ刃(8)と、逃げ面(7)と下面(6)との間の移行部に位置する第二の切れ刃(9)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の切削インサートキット。
【請求項3】
基部(2)は中心部であり、中心部の周縁から切削インサートブランク(3)が突出し、切削インサートブランク(3)の接続部分(4)が基部(2)接続している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の切削インサートキット。
【請求項4】
基部(2)が中心軸(C)に関して回転対称な形になっている円周面を有し、円周面から切削インサートブランク(3)が接続部分(4)を介して径方向に突出している、ことを特徴とする請求項3に記載の切削インサートキット。
【請求項5】
基部(2)が平面である上面(15)と下面(16)とを含み、上面(15)と下面(16)とが切削インサートブランク(3)の上面(5)と下面(6)と同一平面に位置している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項6】
中心孔(17)が基部(2)に凹設され、基部にリングの形を付与する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の切削インサートキット。
【請求項7】
接続部分(4)は破断指示部の少なくとも一つの溝(18,19)によって設けられ、溝(18,19)が基部(2)の周縁のまわりに延びて基部を切削インサートブランク(3)の各々の後端面(12)から分離している、ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項8】
破断指示部の溝(18,19)は本体の上面並びに下面に凹設されている、ことを特徴とする請求項7に記載の切削インサートキット。
【請求項9】
上面における破断指示部の溝(19)は下面における破断指示部の溝(18)よりも深い、ことを特徴とする請求項8に記載の切削インサートキット。
【請求項10】
接続部分(4)は基部(2)から個々の切削インサートブランク(3)の後端面(12)への方向に傾斜して切削インサートブランク(3)の後端面のすぐ近くにおける破断面(20)で折られるようになっている、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項11】
切削インサートブランク(3)の前端部(11)が基部(2)に接続している後端部(13)の幅より大きい最大幅を有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項12】
異なる切削インサートブランクがふぞろいな幾何形状で形成されている、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項13】
切削加工用の切削インサートの製造方法であって、
脆い耐摩耗性の材料から一体的に製造された本体(1)の形の切削インサートキットを準備するステップを有し、切削インサートキットは複数の切削インサートブランク(3)を含み、切削インサートブランク(3)は、破断指示部(4)によってキットから一つずつ切り離すことができるように形成されると共に、前端部及び後端部(11,13)と、上面(5)及び下面(6)とを含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が逃げ面(7)と上面(5)及び下面(6)とのいずれかとの間に形成されている、切削インサートの製造方法において、
本体(1)にはすべての切削インサートブランク(3)に共通する基部(2)が形成され、個々の切削インサートブランクが、基部(2)と切削インサートブランクの後端部(13)との間の強度が弱い接続部分(4)という形の破断指示部を介して基部(2)に接続され、少なくとも一つの切削インサートブランクを切削インサートキットから切り離す、ことを特徴とする切削インサートの製造方法。
【請求項14】
切削加工用の切削インサートであって、前端部(11)と後端部(13)、及び上面(5)と下面(6)を含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が前端部(11)にあって逃げ面(7)と上面(5)及び下面(6)のいずれかとの間に形成されており、切削インサートキットから切削インサートを切り離すことによって生ずる破断面(20)だけが切削インサートの該後端部(13)に存在する、ことを特徴とする切削インサート。
【請求項15】
切削インサートの後端部(13)が後端面(12)を含み、後端面(12)が、一方では上方境界線(21)と下方境界線(22)との間で、上面(5)及び下面(6)の方へ延び、他方では一対の側方境界線(23)の間で一対の対向する側面(10)の方へ延び、破断面(20)が後端面に含まれ、その面積は後端面の全面積より小さい、ことを特徴とする請求項14に記載の切削インサート。
【請求項16】
二つの切れ刃、すなわち、逃げ面(7)と上面(5)の間の移行部に位置する第一の切れ刃(8)及び逃げ面と下面(6)の間の移行部に位置する第二の切れ刃(9)、を含み、破断面が二つの上方境界線(21)及び下方境界線(22)の他方より一方に近く位置している、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の切削インサート。
【請求項17】
破断面(20)は細長く、側方境界線(23)の一方から他方に向かう方向に延びている、ことを特徴とする請求項16に記載の切削インサート。
【請求項1】
耐摩耗性を有する脆い材料から一体的に製造された本体の形態の切削インサートキットであって、
複数の切削インサートブランク(3)を含み、個々の切削インサートブランクはキットから破断指示部(4)によって一つずつ切り離すことができ、切削インサートブランクは前端部(11)と後端部(13)、及び上面(5)と下面(6)とを含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が前端部(11)にあって逃げ面(7)と上面及び下面(5,6)のいずれかとの間に形成されており、本体がすべての切削インサートブランク(3)に共通する基部(2)を含み、個々の切削インサートブランクが、基部(2)と切削インサートブランクの後端部(13)の間の強度が弱い接続部分(4)という形の破断指示部を介して基部(2)に接続されている、ことを特徴とする切削インサートキット。
【請求項2】
個々の切削インサートブランク(3)が二つの切れ刃を含み、二つの切れ刃が、逃げ面(7)と上面(5)の間の移行部に位置する第一の切れ刃(8)と、逃げ面(7)と下面(6)との間の移行部に位置する第二の切れ刃(9)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の切削インサートキット。
【請求項3】
基部(2)は中心部であり、中心部の周縁から切削インサートブランク(3)が突出し、切削インサートブランク(3)の接続部分(4)が基部(2)接続している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の切削インサートキット。
【請求項4】
基部(2)が中心軸(C)に関して回転対称な形になっている円周面を有し、円周面から切削インサートブランク(3)が接続部分(4)を介して径方向に突出している、ことを特徴とする請求項3に記載の切削インサートキット。
【請求項5】
基部(2)が平面である上面(15)と下面(16)とを含み、上面(15)と下面(16)とが切削インサートブランク(3)の上面(5)と下面(6)と同一平面に位置している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項6】
中心孔(17)が基部(2)に凹設され、基部にリングの形を付与する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の切削インサートキット。
【請求項7】
接続部分(4)は破断指示部の少なくとも一つの溝(18,19)によって設けられ、溝(18,19)が基部(2)の周縁のまわりに延びて基部を切削インサートブランク(3)の各々の後端面(12)から分離している、ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項8】
破断指示部の溝(18,19)は本体の上面並びに下面に凹設されている、ことを特徴とする請求項7に記載の切削インサートキット。
【請求項9】
上面における破断指示部の溝(19)は下面における破断指示部の溝(18)よりも深い、ことを特徴とする請求項8に記載の切削インサートキット。
【請求項10】
接続部分(4)は基部(2)から個々の切削インサートブランク(3)の後端面(12)への方向に傾斜して切削インサートブランク(3)の後端面のすぐ近くにおける破断面(20)で折られるようになっている、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項11】
切削インサートブランク(3)の前端部(11)が基部(2)に接続している後端部(13)の幅より大きい最大幅を有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項12】
異なる切削インサートブランクがふぞろいな幾何形状で形成されている、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の切削インサートキット。
【請求項13】
切削加工用の切削インサートの製造方法であって、
脆い耐摩耗性の材料から一体的に製造された本体(1)の形の切削インサートキットを準備するステップを有し、切削インサートキットは複数の切削インサートブランク(3)を含み、切削インサートブランク(3)は、破断指示部(4)によってキットから一つずつ切り離すことができるように形成されると共に、前端部及び後端部(11,13)と、上面(5)及び下面(6)とを含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が逃げ面(7)と上面(5)及び下面(6)とのいずれかとの間に形成されている、切削インサートの製造方法において、
本体(1)にはすべての切削インサートブランク(3)に共通する基部(2)が形成され、個々の切削インサートブランクが、基部(2)と切削インサートブランクの後端部(13)との間の強度が弱い接続部分(4)という形の破断指示部を介して基部(2)に接続され、少なくとも一つの切削インサートブランクを切削インサートキットから切り離す、ことを特徴とする切削インサートの製造方法。
【請求項14】
切削加工用の切削インサートであって、前端部(11)と後端部(13)、及び上面(5)と下面(6)を含み、少なくとも一つの切れ刃(8,9)が前端部(11)にあって逃げ面(7)と上面(5)及び下面(6)のいずれかとの間に形成されており、切削インサートキットから切削インサートを切り離すことによって生ずる破断面(20)だけが切削インサートの該後端部(13)に存在する、ことを特徴とする切削インサート。
【請求項15】
切削インサートの後端部(13)が後端面(12)を含み、後端面(12)が、一方では上方境界線(21)と下方境界線(22)との間で、上面(5)及び下面(6)の方へ延び、他方では一対の側方境界線(23)の間で一対の対向する側面(10)の方へ延び、破断面(20)が後端面に含まれ、その面積は後端面の全面積より小さい、ことを特徴とする請求項14に記載の切削インサート。
【請求項16】
二つの切れ刃、すなわち、逃げ面(7)と上面(5)の間の移行部に位置する第一の切れ刃(8)及び逃げ面と下面(6)の間の移行部に位置する第二の切れ刃(9)、を含み、破断面が二つの上方境界線(21)及び下方境界線(22)の他方より一方に近く位置している、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の切削インサート。
【請求項17】
破断面(20)は細長く、側方境界線(23)の一方から他方に向かう方向に延びている、ことを特徴とする請求項16に記載の切削インサート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−512043(P2012−512043A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542059(P2011−542059)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051308
【国際公開番号】WO2010/071549
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051308
【国際公開番号】WO2010/071549
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
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