切断研磨加工装置
【課題】矩形基板を棒状に効率よく切断するとともに研磨することができ、切断面を傾斜面に形成することができる切断研磨加工装置を提供する。
【解決手段】矩形基板を保持する保持テーブル機構と、矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレード542と切断面を研磨する研磨ホイール543とを有する工具54を備えた加工手段とを具備している。保持テーブル機構は支持基台と基板を支持する保持面を備えており、保持テーブルには矩形基板の一方の端面にワックスを介して接合した状態で保持面に載置する送り治具と、治具送り手段と、送り出された送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、送り治具を保持面に押圧して送り治具の動きを規制する押圧手段とが配設されており、加工手段は複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように作動せしめる工具角度調整機構7を備えている。
【解決手段】矩形基板を保持する保持テーブル機構と、矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレード542と切断面を研磨する研磨ホイール543とを有する工具54を備えた加工手段とを具備している。保持テーブル機構は支持基台と基板を支持する保持面を備えており、保持テーブルには矩形基板の一方の端面にワックスを介して接合した状態で保持面に載置する送り治具と、治具送り手段と、送り出された送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、送り治具を保持面に押圧して送り治具の動きを規制する押圧手段とが配設されており、加工手段は複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように作動せしめる工具角度調整機構7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形基板を所定の分割予定ラインに沿って棒状基板に切断するとともに切断面を研磨するための切断研磨加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体用の磁気ディスクに記録されている情報を読み取る磁気ヘッドは、アルチック(アルミナ・チタン・カーバイト複合セラミックス)基板の表面に複数の分割ラインによって区画された複数の領域にそれぞれ薄膜ヘッドを形成して矩形基板を構成し、この矩形基板を分割予定ラインに沿って切断することにより製造される。
【0003】
上述したようにして切断される磁気ヘッドは、端面を数十nm以下の厚み精度で研磨する必要がある。このような要求を満たすために、矩形基板を短冊状に切断するとともに、切断した端面を上記精度で研磨する加工方法および加工装置が下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−277110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された加工方法は、矩形基板の両側面に第1のワーク一体化治具と第2のワーク一体化治具をワックスで接合して矩形基板を支持した状態で短冊状に切断するため、切断された棒状基板を第2のワーク一体化治具から取り外す際には、ワックスを溶融して棒状基板を第2のワーク一体化治具から取り外し、矩形基板における棒状基板に切断される側を支持する際には矩形基板を支持する第1のワーク一体化治具に対面させてワックスにより第2のワーク一体化治具を貼り付けなければならず、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するために本出願人は、矩形基板を棒状基板に効率よく切断するとともに切断面を効率よく研磨することができる切断研磨加工装置を特願2009−18482号として提案した。
しかるに、上述したように切断された棒状基板の切断面を傾斜面に形成する要望がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、矩形基板を棒状基板に効率よく切断するとともに切断面を効率よく研磨することができるとともに、切断面を所定の傾斜角をもった傾斜面に形成することができる切断研磨加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、複数の分割予定ラインが平行に形成された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨する切断研磨加工装置であって、
矩形基板を保持する保持テーブル機構と、
該保持テーブル機構に保持された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレードと切断面を研磨する研磨ホイールとを有する複合工具と、該複合工具を前端に装着した回転スピンドルと、該回転スピンドルを回転自在に支持するスピンドルハウジングとを備えた加工手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向と直交する割り出し送り方向に相対的に割り出し送りする割り出し送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向および割り出し送り方向と直交する切り込み送り方向に相対的に切り込み送りする切り込み送り手段と、を具備し、
該保持テーブル機構は、該加工送り手段によって移動せしめられる支持基台と、該支持基台上に配設され外周に垂直平面を備えるとともに上面に該垂直平面に対して垂直に延び矩形基板を摺動可能に支持する保持面を備え且つ該保持面と直交する回転軸を中心として回動可能に支持された保持テーブルとを具備しており、
該保持テーブルには、矩形基板における分割予定ラインと平行な一方の端面にワックスを介して接合した状態で該保持面に載置する送り治具と、矩形基板に接合した該送り治具を該保持面に沿って割り出し送り方向に分割予定ラインの間隔分送り出す治具送り手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、該送り治具を該保持面に押圧して該送り治具の動きを規制する押圧手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板の自由端部を吸引支持する支持部材と該支持部材を該保持面と直交する支持軸を中心として旋回せしめる旋回機構を備えた基板端部支持手段とが配設されており、
該加工手段は、該複合工具を構成する研磨ホイールの研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように該スピンドルハウジングを作動せしめる工具角度調整機構を備えている、
ことを特徴とする切断研磨加工装置が提供される。
【0009】
上記工具角度調整機構は、スピンドルハウジングを加工送り方向に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段と、スピンドルハウジングを該支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段とを具備している。
また、上記保持テーブルは垂直平面が複合工具と対向する第1の加工位置と、該第1の加工位置から90度回動した第2の加工位置に位置付けられるように構成されており、上記基板端部支持手段は支持部材が保持テーブルの垂直平面と対向する第1の支持位置と第1の支持位置から270度回動した第2の支持位置に位置付けられるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による切断研磨加工装置は上述したように構成されているので、矩形基板の一方の端面に送り治具をワックスを介して接合し保持テーブルに保持した状態で、複合工具を構成する切削ブレードによる切断加工と複合工具を構成する研磨ホイールによる研磨加工を実施することができる。従って、本発明による切断研磨加工装置においては、上記従来のように矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する都度切断されて残った矩形基板の端面に一体化治具をワックスを介して接合する必要がなく、矩形基板を棒状基板に効率良く切断するとともに切断面を所定の傾斜角を持って効率良く研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って構成された切断研磨加工装置の斜視図。
【図2】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構の要部斜視図。
【図3】矩形基板の一方の端面に送り治具にワックスを介して接合する治具接合工程の説明図。
【図4】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構の基板支持手段を構成する支持部材を拡大して示す斜視図。
【図5】図1に示す切断研磨加工装置に装備される取り出し手段の斜視図。
【図6】図1に示す切断研磨加工装置に装備される複合工具を備えた加工手段の要部斜視図。
【図7】図6に示す加工手段の工具角度調整機構を示す平面図。
【図8】図6に示す加工手段の工具角度調整機構を示す側面図。
【図9】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する矩形基板保持工程の説明図。
【図10】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する端面研磨工程の説明図。
【図11】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する矩形基板端部支持工程の説明図。
【図12】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する切断工程の説明図。
【図13】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構を第1の切断面研磨工程を実施する位置に位置付けた状態を示す斜視図。
【図14】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構を第2の切断面研磨工程を実施する位置に位置付けた状態を示す斜視図。
【図15】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する第2の切断面研磨工程の説明図。
【図16】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する棒状基板取り出し工程の説明図。
【図17】図1に示す切断研磨加工装置によって加工された棒状基板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された切断研磨加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成された切断研磨加工装置の斜視図が示されている。
図1に示された切断研磨加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持する保持テーブル機構3と、静止基台2に加工送り方向Xと直交する割り出し方向Y(Y軸方向)に移動可能に配設されたスピンドル支持機構4と、該スピンドル支持機構4にX軸方向およびY軸方向に対して垂直な矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動可能に配設された加工手段としてのスピンドルユニット5を具備している。
【0014】
上記保持テーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該一対の案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された支持基台32と、該支持基台32上に配設され被加工物を保持する保持テーブル33を具備している。支持基台32には上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられている、この一対の被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、支持基台32は一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。
【0015】
次に、上記支持基台32上に配設される保持テーブル33について、図2を参照して説明する。
図示の実施形態における保持テーブル33は、円盤状に形成され外周の一部が垂直平面331に形成されている。この垂直平面331は、保持テーブル33が図1に示す状態においてX軸方向と平行に位置付けられる。このように形成された保持テーブル33の上面には、上記垂直平面331に対して垂直に延び被加工物を摺動可能に支持する保持面332が形成されている。この保持面332に被加工物である矩形基板が載置される。図3の(a)および(b)で示すように矩形基板11は、一方の端面が送り治具11にワックス12を介して接合される(治具接合工程)。このように矩形基板10の一方の端面が送り治具11にワックス12を介して接合した状態で、上記保持面332に載置される。矩形基板10は、例えば厚みが1mmのアルチック板によって矩形に形成され表面に複数の分割予定ライン101が平行に形成されている。このように形成された矩形基板10には分割予定ライン101と平行な一方の端面にワックス12を介して送り治具11が接合され、矩形基板10を前方(上記垂直平面331側)に向けて保持面332に載置される。このように構成された保持テーブル33は、下面に設けられた回動軸330を中心として回動可能に上記支持基台32に支持されている。そして、回動軸330を駆動する図示しない駆動手段によって、図1に示す第1の加工位置と、第1の加工位置から矢印33aで示す方向に90度回動した第2の加工位置に位置付けられるようになっている。
【0016】
保持面332の両側には、保持面332に載置された被加工物の位置を規制する位置きめ手段34が配設されている。この位置きめ手段34は、上記垂直平面331に対して垂直に延びる位置規制板341と、該位置規制板341と平行には配設され位置規制板341に対して進退可能に構成された摺動板342と、該摺動板342を位置規制板341に向けて移動すべく附勢するばねを備えた附勢手段343とからなっている。従って、保持面332に送り治具11が接合された矩形基板10を載置し、附勢手段343によって摺動板342を位置規制板341に向けて移動することにより、送り治具11が接合された矩形基板10は位置規制板341と摺動板342との間に位置決めされる。
【0017】
上記保持面332の後方(上記垂直平面331と反対側)には、保持面332に載置された送り治具11が接合された矩形基板10を前方(上記垂直平面331側)即ち保持テーブル33が図1に示す状態においてY軸方向に送り出す治具送り手段35が配設されている。この治具送り手段35は、保持面332に形成された案内溝333に沿って移動可能に配設された送り板351と、該送り板351を案内溝333に沿って移動せしめるための送り機構352とからなっている。なお、送り機構352はパルスモータによって駆動される周知のボールスクリュ−機構によって構成されている。このように構成された治具送り手段35は、保持面332に載置された矩形基板10が接合された送り治具11を矩形基板10に形成された分割予定ラインの間隔分ずつ送り出す。
【0018】
上記保持面332の前部(上記垂直平面331側)には、上記治具送り手段35によって送り出された送り治具11に接合された矩形基板10を吸引保持する吸引保持手段36が設けられている。吸引保持手段36は、保持面332と同一平面になるように配設されたポーラスセラミックスからなる吸着チャック361と、該吸着チャック361に連通する図示しない吸引手段とからなっている。従って、図示しない吸引手段を作動することにより、吸着チャック361に位置している矩形基板10および送り治具11を吸引保持する。
【0019】
また、保持テーブル33には、保持面332に載置された矩形基板10に接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する押圧手段37が配設されている。この押圧手段37は、保持テーブル33の上面に配設された一対のブラケット371、371と、該一対のブラケット371、371に取り付けられた支持軸372に中間部が回動可能に支持された押圧レバー373と、該押圧レバー373の一端に取り付けられた押圧部材374と、押圧レバー373の他端を上下方向に作動する油圧ピストン機構375とからなっている。このように構成された押圧手段37は、油圧ピストン機構375を作動して押圧レバー373の他端を上方に押し上げることにより、押圧レバー373の一端が下方に押し下げられ、該押圧レバー373の一端に取り付けられた押圧部材374が保持面332に載置された矩形基板10が接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する。
【0020】
上記保持テーブル33には、上記治具送り手段35によって送り出された送り治具11に接合された矩形基板10の自由端部を吸引支持する基板端部支持手段38が配設されている。この基板端部支持手段38は、治具送り手段35によって送り出され保持テーブル33の垂直平面331から突出して位置付けられた矩形基板10の自由端部を吸引支持する支持部材381と、該支持部材381を図2に示す第1に支持位置と該第1に支持位置から矢印38aで示す方向に270度回動した第2の加工位置に位置付ける旋回機構382を具備している。支持部材381は、図4に示すように矩形基板10の自由端部が係合する係合凹部381aを備えている。この係合凹部381aは、幅が例えば0.2mmで深さが例えば0.9mmに形成され、その長さは矩形基板10の長さに対応する寸法に設定されている。このように形成された係合凹部381aの底面381b上に矩形基板10の自由端部が載置される。また、係合凹部381aを形成する側面381cには長手方向に沿って複数の吸引口381dが設けられており、この複数の吸引口381dが図示しない吸引手段に連通されている。このように構成された支持部材381を旋回せしめる旋回機構382は、支持部材381に一端が連結されたL字状の旋回アーム382aと、図2に示すように該L字状の旋回アーム382aの他端に設けられた支持軸382bを回動する正転・逆転可能なパルスモータ382cとからなっている。このように構成された基板端部支持手段38は、旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動することによってL字状の旋回アーム382aの他端に設けられた支持軸382bを回動し、L字状の旋回アーム382aの一端に取り付けられた支持部材381を図2に示すように保持テーブル33の保持テーブル33と対向する第1の支持位置と該第1の支持位置から矢印38aで示す方向に270度回動した第2の支持位置に位置付ける。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態のおける切断研磨加工装置は、上記保持テーブル機構3を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動するための加工送り手段39を具備している。加工送り手段39は、上記一対の案内レール31、31の間に平行に配設された雄ネジロッド391と、該雄ネジロッド391を回転駆動するためのパルスモータ392等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド391は、その一端が静止基台2に固定された軸受ブロック393に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ392の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド391は、保持テーブル機構3を構成する支持基台32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ392によって雄ネジロッド391を正転および逆転駆動することにより、支持基台32は一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0022】
また、図示の実施形態における切断研磨加工装置は、上記保持テーブル機構3を構成する基板端部支持手段38によって支持され後述するように切断された棒状基板を取り出す取り出し手段6を具備している。取り出し手段6は、図5に示すように上記一対の案内レール31、31の端部上に配設された支持板61と、該支持板61の上面に配設された一対のブラケット62、62と、該一対のブラケット62、62に取り付けられた支持軸63に一端部が回動可能に支持された作動レバー64と、該作動レバー64の他端に取り付けられた保持部材65と、支持軸63を回動せしめるモータ66とからなっている。なお、保持部材65の端面には複数の吸引口651aが設けられたゴム等の弾性部材651が装着されており、この複数の吸引口651aが保持部材65の端面に形成された複数の吸引口(図示せず)を介して図示しない吸引手段に連通されている。
【0023】
図1を参照して説明を続けると、上記スピンドル支持機構4は、静止基台2上にY軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該一対の案内レール41、41上にY軸方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、一対の案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられたスピンドル装着部422とからなっている。移動支持部421の下面には一対の案内レール41、41と嵌合する一対の被案内溝421a、421aが形成されており、この一対の被案内溝421a、421aを一対の案内レール41、41に嵌合することにより、可動支持基台42は一対の案内レール41、41に沿って移動可能に構成される。また、スピンドル装着部422は、一側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール422a(図1には一方の422aだけが示されている)が平行に設けられている。
【0024】
図示の実施形態におけるスピンドル支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための割り出し送り手段43を具備している。割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部431の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0025】
上記加工手段としてのスピンドルユニット5は、スピンドルホルダ51と、該スピンドルホルダ51に取り付けられY軸方向に延在して配設されたスピンドルハウジング52を具備している。スピンドルハウジング52内には回転スピンドル53が回転自在に配設されており、この回転スピンドル53は図示しない回転駆動機構によって回転駆動されるようになっている。回転スピンドル53の前端部はスピンドルハウジング52の前端面より突出して配設されており、回転スピンドル53の前端に複合工具54が装着される。なお、スピンドルユニット5は、スピンドルホルダ51を一対の案内レール422aに沿ってX軸方向およびY軸方向に対して垂直なZ軸方向に移動させるための切り込み送り手段55を具備している。切り込み送り手段55は、上記加工送り手段34および割り出し送り手段43と同様に案内レール422aの間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ552等の駆動源を含んでおり、パルスモータ552によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、スピンドルユニット5を案内レール422aに沿ってZ軸方向に移動せしめる。
【0026】
次に、上記複合工具54について、図6を参照して説明する。
複合工具54は、円筒状の基台(ハブ)541と、該基台541の片側面外周部に設けられた環状の切断ブレード542と、基台541の他側面に設けられた環状の研磨ホイール543とからなっている。このように構成された複合工具54は、上記回転スピンドル56に取り付けられたマウンター57に基台541を嵌合し、マウンター57の端部外周面に形成されたネジに締付ナット58を螺合することにより、回転スピンドル53に装着される。
【0027】
加工手段としてのスピンドルユニット5は、回転スピンドル53に装着された複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して傾斜するようにスピンドルハウジング52を作動せしめる工具角度調整機構7を備えている。この工具角度調整機構7について、図7および図8を参照して説明する。図7にはスピンドルユニット5の要部を破断して示す平面図が示されており、図8にはスピンドルユニット5の側面図が示されている。工具角度調整機構7は、スピンドルハウジング52を加工送り方向(X軸方向)に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段71と、該スピンドルハウジング52を加工送り方向(X軸方向)に延在する支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段72を具備している。スピンドルハウジング支持手段71は、スピンドルハウジング支持部材711と、該スピンドルハウジング支持部材711に取り付けられた支持軸712とからなっている。スピンドルハウジング支持部材711には上記スピンドル支持機構4のスピンドル装着部422に設けられた一対の案内レール422aに摺動可能に嵌合する一対の被案内溝711a(図1には一方の被案内溝711aだけが示されている)が設けられており、この一対の被案内溝711aを上記案内レール422aに嵌合することにより、スピンドルハウジング支持部材711は案内レール422aに沿ってZ軸方向に移動可能に支持される。このスピンドルハウジング支持部材711に取り付けられた支持軸712は、図7に示すようにスピンドルホルダ51と対向する面にX軸方向に突出して配設されている。一方、スピンドルホルダ51には支持軸712と嵌合する軸穴511が設けられており、この軸穴511を支持軸712に嵌合することにより、スピンドルホルダ51および該スピンドルホルダ51に取り付けられたスピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として揺動可能に支持される。
【0028】
図7および図8に示す工具角度調整機構7を構成する作動手段72は、スピンドルハウジング52の後端に一端が取り付けられた連結部材721と、該連結部材721の他端部と連結される作動ブロック722と、スピンドルハウジング支持手段71を構成するスピンドルハウジング支持部材711に配設され作動ブロック722をZ軸方向(図8において上下方向)に移動せしめる移動手段724と具備している。連結部材721の他端部にはスピンドルハウジング52の軸方向に長い長穴721aが形成されており、この長穴721aを挿通して配設された連結ピン723によって連結部材721と作動ブロック722が互いに屈曲可能に連結される。移動手段724は、Z軸方向(図8において上下方向)に沿って配設された雄ネジロッド725と、該雄ネジロッド725を回転駆動するパルスモータ726を具備している。雄ネジロッド725は、一端がスピンドルハウジング支持部材711に配設された軸受け727に回転自在に支持されており、その他端がパルスモータ726の駆動軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド725は、上記作動ブロック722に形成された貫通雌ネジ穴722aに螺合されている。従って、パルスモータ726によって雄ネジロッド725を一方向または他方向に回転駆動することにより、作動ブロック722が雄ネジロッド725に沿ってZ軸方向(図8において上下方向)に移動せしめられる。例えば、スピンドルハウジング52が図8に示す水平状態の基準位置に位置付けられている状態から、雄ネジロッド725を一方向に回転駆動して作動ブロック722を上方に移動すると、作動ブロック722と連結ピン723によって連結された連結部材721が取り付けられているスピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として矢印52aで示す方向に揺動せしめられる。また、スピンドルハウジング52が図8に示す水平状態の基準位置に位置付けられている状態から、雄ネジロッド725を他方向に回転駆動して作動ブロック722を下方に移動すると、スピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として矢印52bで示す方向に揺動せしめられる。この結果、スピンドルハウジング52に配設された回転スピンドル53に装着された複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して傾斜せしめる。なお、この傾斜角は、0〜5度の範囲で調整される。
【0029】
図1に戻って説明を続けると、上記スピンドルハウジング52の先端部には、上記保持テーブル33上に保持された矩形基板10を撮像し、上記切削ブレード542によって切削すべき領域を検出するための撮像手段59を具備している。この撮像手段59は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0030】
図示の実施形態における切断研磨加工装置は以上のように構成されており、以下、上記矩形基板10から棒状基板を形成する方法について、図9乃至図16を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、棒状基板の端面を上面から下面に向けて拡がる傾斜面に形成する例について説明する。
先ず、図9に示すように上記保持テーブル機構3を構成する保持テーブル33の保持面332上に図3に示すように送り治具11に接合された矩形基板10を載置する。このとき、矩形基板10が保持テーブル33の垂直平面331側となるように載置する。このようにして、送り治具11に接合された矩形基板10を保持テーブル33の保持面332上に載置したならば、位置きめ手段34を作動して送り治具11に接合された矩形基板10を位置規制板341と摺動板342との間に位置決めする。なお、このとき基板端部支持手段38の支持部材381は、第2の支持位置に位置付けられている。
【0031】
次に、治具送り手段35を作動して、図9に示すように矩形基板10に接合された送り治具11を保持テーブル33の垂直平面331側に向けて所定量送り、送り治具11に接合された矩形基板10の自由端を保持テーブル33の垂直平面331から所定量突出させて位置付ける(治具送り工程)。そして、図示しない吸引手段を作動して吸着チャック361の上面に負圧を作用せしめ、吸着チャック361上に位置付けられている矩形基板10を吸引保持するとともに、押圧手段37の油圧ピストン機構375を作動して押圧部材374によって矩形基板10に接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する(矩形基板保持工程)。
【0032】
次に、図8の(a)および(b)に示すように複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の端面(研削面)を矩形基板10の端面に作用させて、該端面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(端面研磨工程)。このとき、スピンドルハウジング52は図8に示す基準位置に位置付けられている。第1の端面研磨工程は、割り出し送り手段43および切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5をY軸方向およびZ軸方向に移動調整して、回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の端面(研削面)が矩形基板10の端面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図8の(a)において矢X1で示す方向に移動することにより、保持テーブル33に保持された矩形基板10の端面を研磨することができる。
【0033】
上述したように端面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、基板端部支持手段38の旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動して旋回アーム382aを支持軸382bを中心として270度回動し、旋回アーム382の一端に取り付けられた支持部材381を図11に示す第1の支持位置に位置付ける。この結果、保持テーブル33に保持され上記端面研磨工程が実施された矩形基板10の自由端部が、基板端部支持手段38を構成する支持部材381に設けられている係合凹部381a(図4参照)に係合する。そして、図示しない吸引手段を作動し係合凹部381aを形成する側面381cに設けられた複数の吸引口381dに負圧を作用し、矩形基板10の自由端面を吸引保持する(矩形基板端部支持工程)。このとき、係合凹部381aを形成する側面381cに設けられた複数の吸引口381dは長手方向に沿って設けられているので、負圧の洩れも少なく矩形基板10の自由端面を確実に吸引保持することができる。
【0034】
上述したように矩形基板端部支持工程を実施したならば、加工送り手段39を作動して矩形基板10を保持している保持テーブル33を撮像手段59の直下まで移動せしめる。そして、保持テーブル33が撮像手段59の直下に位置付けられると、撮像手段59によって矩形基板10に形成されている分割予定ライン101が検出され、分割予定ライン101と複合工具54の切断ブレード542との精密位置合わせ作業が行われる(アライメント工程)。
【0035】
上述したように、アライメント工程を実施したならば、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を複合工具54による加工領域に移動する。保持テーブル33を複合工具54による加工領域に移動したならば、図12の(a)に示すように複合工具54の切断ブレード542を保持テーブル33に保持された矩形基板10に形成されている分割予定ライン101のX軸方向の延長線上に位置付ける。そして、切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5を下降し、図12の(b)に示すように切断ブレード542の外周縁が矩形基板10の下面に達する切り込み位置に位置付ける。次に、複合工具54を矢印54aで示す方向に回転するとともに、保持テーブル33を図12の(a)において矢印X1で示す方向に加工送りする(切断工程)。この結果、矩形基板10は分割予定ライン101に沿って切断され、図12の(c)に示すように自由端側の分離された棒状基板110が基板端部支持手段38の支持部材381に保持された状態となる。
【0036】
上述した切断工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、基板端部支持手段38の旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動して旋回アーム382aを支持軸382bを中心として270度回動し、旋回アーム382の一端に取り付けられた支持部材381を図13に示す第2の支持位置に位置付ける。
【0037】
次に、複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の端面(研削面)を矩形基板10の切断面に作用させて、該切断面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(第1の切断面研磨工程)。即ち、割り出し送り手段43および切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5をY軸方向およびZ軸方向に移動調整して、上記端面研磨工程と同様に図10の(a)および(b)に示すように回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の端面(研削面)が矩形基板10の切断面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図10の(a)において矢印X1で示す方向に移動することにより、保持テーブル33に保持された矩形基板10の切断面を研磨することができる。
【0038】
上述したように第1の切断面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、保持テーブル33を図13の状態から90度回動して図14に示すように第2の加工位置に位置付ける。この結果、保持テーブル33に配設された基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面が、研磨ホイール543の研磨面543aと対向する位置に位置付けられる。次に、上記工具角度調整機構7を作動してスピンドルハウジング52を支持軸501周りに図8において矢印52aで示す方向に所定量回動する。この結果、複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して角度α(例えば3度)傾斜せしめられる。次に、図15の(a)および(b)に示すように複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の研磨面543aを基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110の切断面に作用させて、該切断面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(第2の切断面研磨工程)。即ち、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5をY軸方向に移動調整して、回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の研磨面543aが基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図15の(a)において矢印X1で示す方向に移動することにより、基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面は上面とのなす角度が例えば93度の傾斜面に研磨される。
【0039】
上述した第2の切断面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させるとともに、上記工具角度調整手段7を作動してスピンドルハウジング52を図8に示す基準位置に戻す。そして、保持テーブル33を図14の状態から90度回動して図16に示すように第1の加工位置に位置付ける。この結果、図16に示すように第2の切断面研磨工程を実施され基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110が、取り出し手段6の保持部材65と対向する位置に位置付けられる。次に、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を取り出し手段6に向けて移動し、基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110を取り出し手段6の保持部材65の端面に装着された複数の吸引口651aが設けられ弾性部材651に接触させる。そして、基板端部支持手段38による棒状基板110の吸引保持を解除するとともに、取り出し手段6の吸引手段を作動し保持部材65によって棒状基板110を吸引保持する(棒状基板取り出し工程)。次に、取り出し手段6は、モータ66を作動して作動レバー64を図16において2点鎖線で示す位置に位置付け、図示しないカセットに搬送する。
【0040】
以上のようにして、矩形基板10を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨した棒状基板110を図示しないカセットに搬送したならば、上述した治具送り工程、矩形基板保持工程、矩形基板端部支持工程、切断工程、第1の切断面研磨工程、第2の切断面研磨工程、棒状基板取り出し工程を矩形基板10に形成された全ての分割予定ラインに沿って実施する。この結果、図17に示すように切断面の一方が上面から下面に向けて拡がる傾斜面110aに形成された棒状基板110を得ることができる。
なお、棒状基板110の切断面が上面から鋭角の傾斜面に形成する場合には、上記第1の切断面研磨工程および第2の切断面研磨工程を実施する際に、上記工具角度調整機構7を作動してスピンドルハウジング52を支持軸501周りに図8において矢印52bで示す方向に所定量回動する。
【0041】
以上のように、図示の実施形態における切断研磨加工装置においては、矩形基板10の一方の端面に送り治具11をワックス12を介して接合し保持テーブル33に保持した状態で、上述した切断工程と第1の切断面研磨工程および第2の切断面研磨工程を実施することができるので、上記従来のように矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する都度切断されて残った矩形基板の端面に一体化治具をワックスによって接合する必要がなく、矩形基板11を棒状基板110に効率良く切断するとともに切断面を所定の傾斜角を持って効率良く研磨することができる。
【符号の説明】
【0042】
2:静止基台
3:保持テーブル機構
32:支持基台
33:保持テーブル
34:位置きめ手段
35:治具送り手段
36:吸引保持手段
37:押圧手段
38:基板端部支持手
381:支持部材
382:旋回機構
39:加工送り手段
4:スピンドル支持機構
42:可動支持基台
43:割り出し送り手段
5:スピンドルユニット
52:スピンドルハウジング
53:回転スピンドル
54:複合工具
541:円筒状の基台(ハブ)
542:環状の切断ブレード
543:環状の研磨ホイール
55:切り込み送り手段
59:撮像手段
6:取り出し手段
7:工具角度調整機構
10:矩形基板
11:送り治具
12:ワックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形基板を所定の分割予定ラインに沿って棒状基板に切断するとともに切断面を研磨するための切断研磨加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体用の磁気ディスクに記録されている情報を読み取る磁気ヘッドは、アルチック(アルミナ・チタン・カーバイト複合セラミックス)基板の表面に複数の分割ラインによって区画された複数の領域にそれぞれ薄膜ヘッドを形成して矩形基板を構成し、この矩形基板を分割予定ラインに沿って切断することにより製造される。
【0003】
上述したようにして切断される磁気ヘッドは、端面を数十nm以下の厚み精度で研磨する必要がある。このような要求を満たすために、矩形基板を短冊状に切断するとともに、切断した端面を上記精度で研磨する加工方法および加工装置が下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−277110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された加工方法は、矩形基板の両側面に第1のワーク一体化治具と第2のワーク一体化治具をワックスで接合して矩形基板を支持した状態で短冊状に切断するため、切断された棒状基板を第2のワーク一体化治具から取り外す際には、ワックスを溶融して棒状基板を第2のワーク一体化治具から取り外し、矩形基板における棒状基板に切断される側を支持する際には矩形基板を支持する第1のワーク一体化治具に対面させてワックスにより第2のワーク一体化治具を貼り付けなければならず、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するために本出願人は、矩形基板を棒状基板に効率よく切断するとともに切断面を効率よく研磨することができる切断研磨加工装置を特願2009−18482号として提案した。
しかるに、上述したように切断された棒状基板の切断面を傾斜面に形成する要望がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、矩形基板を棒状基板に効率よく切断するとともに切断面を効率よく研磨することができるとともに、切断面を所定の傾斜角をもった傾斜面に形成することができる切断研磨加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、複数の分割予定ラインが平行に形成された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨する切断研磨加工装置であって、
矩形基板を保持する保持テーブル機構と、
該保持テーブル機構に保持された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレードと切断面を研磨する研磨ホイールとを有する複合工具と、該複合工具を前端に装着した回転スピンドルと、該回転スピンドルを回転自在に支持するスピンドルハウジングとを備えた加工手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向と直交する割り出し送り方向に相対的に割り出し送りする割り出し送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向および割り出し送り方向と直交する切り込み送り方向に相対的に切り込み送りする切り込み送り手段と、を具備し、
該保持テーブル機構は、該加工送り手段によって移動せしめられる支持基台と、該支持基台上に配設され外周に垂直平面を備えるとともに上面に該垂直平面に対して垂直に延び矩形基板を摺動可能に支持する保持面を備え且つ該保持面と直交する回転軸を中心として回動可能に支持された保持テーブルとを具備しており、
該保持テーブルには、矩形基板における分割予定ラインと平行な一方の端面にワックスを介して接合した状態で該保持面に載置する送り治具と、矩形基板に接合した該送り治具を該保持面に沿って割り出し送り方向に分割予定ラインの間隔分送り出す治具送り手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、該送り治具を該保持面に押圧して該送り治具の動きを規制する押圧手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板の自由端部を吸引支持する支持部材と該支持部材を該保持面と直交する支持軸を中心として旋回せしめる旋回機構を備えた基板端部支持手段とが配設されており、
該加工手段は、該複合工具を構成する研磨ホイールの研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように該スピンドルハウジングを作動せしめる工具角度調整機構を備えている、
ことを特徴とする切断研磨加工装置が提供される。
【0009】
上記工具角度調整機構は、スピンドルハウジングを加工送り方向に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段と、スピンドルハウジングを該支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段とを具備している。
また、上記保持テーブルは垂直平面が複合工具と対向する第1の加工位置と、該第1の加工位置から90度回動した第2の加工位置に位置付けられるように構成されており、上記基板端部支持手段は支持部材が保持テーブルの垂直平面と対向する第1の支持位置と第1の支持位置から270度回動した第2の支持位置に位置付けられるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による切断研磨加工装置は上述したように構成されているので、矩形基板の一方の端面に送り治具をワックスを介して接合し保持テーブルに保持した状態で、複合工具を構成する切削ブレードによる切断加工と複合工具を構成する研磨ホイールによる研磨加工を実施することができる。従って、本発明による切断研磨加工装置においては、上記従来のように矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する都度切断されて残った矩形基板の端面に一体化治具をワックスを介して接合する必要がなく、矩形基板を棒状基板に効率良く切断するとともに切断面を所定の傾斜角を持って効率良く研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って構成された切断研磨加工装置の斜視図。
【図2】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構の要部斜視図。
【図3】矩形基板の一方の端面に送り治具にワックスを介して接合する治具接合工程の説明図。
【図4】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構の基板支持手段を構成する支持部材を拡大して示す斜視図。
【図5】図1に示す切断研磨加工装置に装備される取り出し手段の斜視図。
【図6】図1に示す切断研磨加工装置に装備される複合工具を備えた加工手段の要部斜視図。
【図7】図6に示す加工手段の工具角度調整機構を示す平面図。
【図8】図6に示す加工手段の工具角度調整機構を示す側面図。
【図9】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する矩形基板保持工程の説明図。
【図10】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する端面研磨工程の説明図。
【図11】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する矩形基板端部支持工程の説明図。
【図12】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する切断工程の説明図。
【図13】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構を第1の切断面研磨工程を実施する位置に位置付けた状態を示す斜視図。
【図14】図1に示す切断研磨加工装置に装備される保持テーブル機構を第2の切断面研磨工程を実施する位置に位置付けた状態を示す斜視図。
【図15】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する第2の切断面研磨工程の説明図。
【図16】図1に示す切断研磨加工装置によって実施する棒状基板取り出し工程の説明図。
【図17】図1に示す切断研磨加工装置によって加工された棒状基板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された切断研磨加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成された切断研磨加工装置の斜視図が示されている。
図1に示された切断研磨加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持する保持テーブル機構3と、静止基台2に加工送り方向Xと直交する割り出し方向Y(Y軸方向)に移動可能に配設されたスピンドル支持機構4と、該スピンドル支持機構4にX軸方向およびY軸方向に対して垂直な矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動可能に配設された加工手段としてのスピンドルユニット5を具備している。
【0014】
上記保持テーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該一対の案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された支持基台32と、該支持基台32上に配設され被加工物を保持する保持テーブル33を具備している。支持基台32には上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられている、この一対の被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、支持基台32は一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。
【0015】
次に、上記支持基台32上に配設される保持テーブル33について、図2を参照して説明する。
図示の実施形態における保持テーブル33は、円盤状に形成され外周の一部が垂直平面331に形成されている。この垂直平面331は、保持テーブル33が図1に示す状態においてX軸方向と平行に位置付けられる。このように形成された保持テーブル33の上面には、上記垂直平面331に対して垂直に延び被加工物を摺動可能に支持する保持面332が形成されている。この保持面332に被加工物である矩形基板が載置される。図3の(a)および(b)で示すように矩形基板11は、一方の端面が送り治具11にワックス12を介して接合される(治具接合工程)。このように矩形基板10の一方の端面が送り治具11にワックス12を介して接合した状態で、上記保持面332に載置される。矩形基板10は、例えば厚みが1mmのアルチック板によって矩形に形成され表面に複数の分割予定ライン101が平行に形成されている。このように形成された矩形基板10には分割予定ライン101と平行な一方の端面にワックス12を介して送り治具11が接合され、矩形基板10を前方(上記垂直平面331側)に向けて保持面332に載置される。このように構成された保持テーブル33は、下面に設けられた回動軸330を中心として回動可能に上記支持基台32に支持されている。そして、回動軸330を駆動する図示しない駆動手段によって、図1に示す第1の加工位置と、第1の加工位置から矢印33aで示す方向に90度回動した第2の加工位置に位置付けられるようになっている。
【0016】
保持面332の両側には、保持面332に載置された被加工物の位置を規制する位置きめ手段34が配設されている。この位置きめ手段34は、上記垂直平面331に対して垂直に延びる位置規制板341と、該位置規制板341と平行には配設され位置規制板341に対して進退可能に構成された摺動板342と、該摺動板342を位置規制板341に向けて移動すべく附勢するばねを備えた附勢手段343とからなっている。従って、保持面332に送り治具11が接合された矩形基板10を載置し、附勢手段343によって摺動板342を位置規制板341に向けて移動することにより、送り治具11が接合された矩形基板10は位置規制板341と摺動板342との間に位置決めされる。
【0017】
上記保持面332の後方(上記垂直平面331と反対側)には、保持面332に載置された送り治具11が接合された矩形基板10を前方(上記垂直平面331側)即ち保持テーブル33が図1に示す状態においてY軸方向に送り出す治具送り手段35が配設されている。この治具送り手段35は、保持面332に形成された案内溝333に沿って移動可能に配設された送り板351と、該送り板351を案内溝333に沿って移動せしめるための送り機構352とからなっている。なお、送り機構352はパルスモータによって駆動される周知のボールスクリュ−機構によって構成されている。このように構成された治具送り手段35は、保持面332に載置された矩形基板10が接合された送り治具11を矩形基板10に形成された分割予定ラインの間隔分ずつ送り出す。
【0018】
上記保持面332の前部(上記垂直平面331側)には、上記治具送り手段35によって送り出された送り治具11に接合された矩形基板10を吸引保持する吸引保持手段36が設けられている。吸引保持手段36は、保持面332と同一平面になるように配設されたポーラスセラミックスからなる吸着チャック361と、該吸着チャック361に連通する図示しない吸引手段とからなっている。従って、図示しない吸引手段を作動することにより、吸着チャック361に位置している矩形基板10および送り治具11を吸引保持する。
【0019】
また、保持テーブル33には、保持面332に載置された矩形基板10に接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する押圧手段37が配設されている。この押圧手段37は、保持テーブル33の上面に配設された一対のブラケット371、371と、該一対のブラケット371、371に取り付けられた支持軸372に中間部が回動可能に支持された押圧レバー373と、該押圧レバー373の一端に取り付けられた押圧部材374と、押圧レバー373の他端を上下方向に作動する油圧ピストン機構375とからなっている。このように構成された押圧手段37は、油圧ピストン機構375を作動して押圧レバー373の他端を上方に押し上げることにより、押圧レバー373の一端が下方に押し下げられ、該押圧レバー373の一端に取り付けられた押圧部材374が保持面332に載置された矩形基板10が接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する。
【0020】
上記保持テーブル33には、上記治具送り手段35によって送り出された送り治具11に接合された矩形基板10の自由端部を吸引支持する基板端部支持手段38が配設されている。この基板端部支持手段38は、治具送り手段35によって送り出され保持テーブル33の垂直平面331から突出して位置付けられた矩形基板10の自由端部を吸引支持する支持部材381と、該支持部材381を図2に示す第1に支持位置と該第1に支持位置から矢印38aで示す方向に270度回動した第2の加工位置に位置付ける旋回機構382を具備している。支持部材381は、図4に示すように矩形基板10の自由端部が係合する係合凹部381aを備えている。この係合凹部381aは、幅が例えば0.2mmで深さが例えば0.9mmに形成され、その長さは矩形基板10の長さに対応する寸法に設定されている。このように形成された係合凹部381aの底面381b上に矩形基板10の自由端部が載置される。また、係合凹部381aを形成する側面381cには長手方向に沿って複数の吸引口381dが設けられており、この複数の吸引口381dが図示しない吸引手段に連通されている。このように構成された支持部材381を旋回せしめる旋回機構382は、支持部材381に一端が連結されたL字状の旋回アーム382aと、図2に示すように該L字状の旋回アーム382aの他端に設けられた支持軸382bを回動する正転・逆転可能なパルスモータ382cとからなっている。このように構成された基板端部支持手段38は、旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動することによってL字状の旋回アーム382aの他端に設けられた支持軸382bを回動し、L字状の旋回アーム382aの一端に取り付けられた支持部材381を図2に示すように保持テーブル33の保持テーブル33と対向する第1の支持位置と該第1の支持位置から矢印38aで示す方向に270度回動した第2の支持位置に位置付ける。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態のおける切断研磨加工装置は、上記保持テーブル機構3を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動するための加工送り手段39を具備している。加工送り手段39は、上記一対の案内レール31、31の間に平行に配設された雄ネジロッド391と、該雄ネジロッド391を回転駆動するためのパルスモータ392等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド391は、その一端が静止基台2に固定された軸受ブロック393に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ392の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド391は、保持テーブル機構3を構成する支持基台32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ392によって雄ネジロッド391を正転および逆転駆動することにより、支持基台32は一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0022】
また、図示の実施形態における切断研磨加工装置は、上記保持テーブル機構3を構成する基板端部支持手段38によって支持され後述するように切断された棒状基板を取り出す取り出し手段6を具備している。取り出し手段6は、図5に示すように上記一対の案内レール31、31の端部上に配設された支持板61と、該支持板61の上面に配設された一対のブラケット62、62と、該一対のブラケット62、62に取り付けられた支持軸63に一端部が回動可能に支持された作動レバー64と、該作動レバー64の他端に取り付けられた保持部材65と、支持軸63を回動せしめるモータ66とからなっている。なお、保持部材65の端面には複数の吸引口651aが設けられたゴム等の弾性部材651が装着されており、この複数の吸引口651aが保持部材65の端面に形成された複数の吸引口(図示せず)を介して図示しない吸引手段に連通されている。
【0023】
図1を参照して説明を続けると、上記スピンドル支持機構4は、静止基台2上にY軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該一対の案内レール41、41上にY軸方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、一対の案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられたスピンドル装着部422とからなっている。移動支持部421の下面には一対の案内レール41、41と嵌合する一対の被案内溝421a、421aが形成されており、この一対の被案内溝421a、421aを一対の案内レール41、41に嵌合することにより、可動支持基台42は一対の案内レール41、41に沿って移動可能に構成される。また、スピンドル装着部422は、一側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール422a(図1には一方の422aだけが示されている)が平行に設けられている。
【0024】
図示の実施形態におけるスピンドル支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための割り出し送り手段43を具備している。割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部431の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0025】
上記加工手段としてのスピンドルユニット5は、スピンドルホルダ51と、該スピンドルホルダ51に取り付けられY軸方向に延在して配設されたスピンドルハウジング52を具備している。スピンドルハウジング52内には回転スピンドル53が回転自在に配設されており、この回転スピンドル53は図示しない回転駆動機構によって回転駆動されるようになっている。回転スピンドル53の前端部はスピンドルハウジング52の前端面より突出して配設されており、回転スピンドル53の前端に複合工具54が装着される。なお、スピンドルユニット5は、スピンドルホルダ51を一対の案内レール422aに沿ってX軸方向およびY軸方向に対して垂直なZ軸方向に移動させるための切り込み送り手段55を具備している。切り込み送り手段55は、上記加工送り手段34および割り出し送り手段43と同様に案内レール422aの間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ552等の駆動源を含んでおり、パルスモータ552によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、スピンドルユニット5を案内レール422aに沿ってZ軸方向に移動せしめる。
【0026】
次に、上記複合工具54について、図6を参照して説明する。
複合工具54は、円筒状の基台(ハブ)541と、該基台541の片側面外周部に設けられた環状の切断ブレード542と、基台541の他側面に設けられた環状の研磨ホイール543とからなっている。このように構成された複合工具54は、上記回転スピンドル56に取り付けられたマウンター57に基台541を嵌合し、マウンター57の端部外周面に形成されたネジに締付ナット58を螺合することにより、回転スピンドル53に装着される。
【0027】
加工手段としてのスピンドルユニット5は、回転スピンドル53に装着された複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して傾斜するようにスピンドルハウジング52を作動せしめる工具角度調整機構7を備えている。この工具角度調整機構7について、図7および図8を参照して説明する。図7にはスピンドルユニット5の要部を破断して示す平面図が示されており、図8にはスピンドルユニット5の側面図が示されている。工具角度調整機構7は、スピンドルハウジング52を加工送り方向(X軸方向)に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段71と、該スピンドルハウジング52を加工送り方向(X軸方向)に延在する支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段72を具備している。スピンドルハウジング支持手段71は、スピンドルハウジング支持部材711と、該スピンドルハウジング支持部材711に取り付けられた支持軸712とからなっている。スピンドルハウジング支持部材711には上記スピンドル支持機構4のスピンドル装着部422に設けられた一対の案内レール422aに摺動可能に嵌合する一対の被案内溝711a(図1には一方の被案内溝711aだけが示されている)が設けられており、この一対の被案内溝711aを上記案内レール422aに嵌合することにより、スピンドルハウジング支持部材711は案内レール422aに沿ってZ軸方向に移動可能に支持される。このスピンドルハウジング支持部材711に取り付けられた支持軸712は、図7に示すようにスピンドルホルダ51と対向する面にX軸方向に突出して配設されている。一方、スピンドルホルダ51には支持軸712と嵌合する軸穴511が設けられており、この軸穴511を支持軸712に嵌合することにより、スピンドルホルダ51および該スピンドルホルダ51に取り付けられたスピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として揺動可能に支持される。
【0028】
図7および図8に示す工具角度調整機構7を構成する作動手段72は、スピンドルハウジング52の後端に一端が取り付けられた連結部材721と、該連結部材721の他端部と連結される作動ブロック722と、スピンドルハウジング支持手段71を構成するスピンドルハウジング支持部材711に配設され作動ブロック722をZ軸方向(図8において上下方向)に移動せしめる移動手段724と具備している。連結部材721の他端部にはスピンドルハウジング52の軸方向に長い長穴721aが形成されており、この長穴721aを挿通して配設された連結ピン723によって連結部材721と作動ブロック722が互いに屈曲可能に連結される。移動手段724は、Z軸方向(図8において上下方向)に沿って配設された雄ネジロッド725と、該雄ネジロッド725を回転駆動するパルスモータ726を具備している。雄ネジロッド725は、一端がスピンドルハウジング支持部材711に配設された軸受け727に回転自在に支持されており、その他端がパルスモータ726の駆動軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド725は、上記作動ブロック722に形成された貫通雌ネジ穴722aに螺合されている。従って、パルスモータ726によって雄ネジロッド725を一方向または他方向に回転駆動することにより、作動ブロック722が雄ネジロッド725に沿ってZ軸方向(図8において上下方向)に移動せしめられる。例えば、スピンドルハウジング52が図8に示す水平状態の基準位置に位置付けられている状態から、雄ネジロッド725を一方向に回転駆動して作動ブロック722を上方に移動すると、作動ブロック722と連結ピン723によって連結された連結部材721が取り付けられているスピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として矢印52aで示す方向に揺動せしめられる。また、スピンドルハウジング52が図8に示す水平状態の基準位置に位置付けられている状態から、雄ネジロッド725を他方向に回転駆動して作動ブロック722を下方に移動すると、スピンドルハウジング52は支持軸712を回動支点として矢印52bで示す方向に揺動せしめられる。この結果、スピンドルハウジング52に配設された回転スピンドル53に装着された複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して傾斜せしめる。なお、この傾斜角は、0〜5度の範囲で調整される。
【0029】
図1に戻って説明を続けると、上記スピンドルハウジング52の先端部には、上記保持テーブル33上に保持された矩形基板10を撮像し、上記切削ブレード542によって切削すべき領域を検出するための撮像手段59を具備している。この撮像手段59は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0030】
図示の実施形態における切断研磨加工装置は以上のように構成されており、以下、上記矩形基板10から棒状基板を形成する方法について、図9乃至図16を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、棒状基板の端面を上面から下面に向けて拡がる傾斜面に形成する例について説明する。
先ず、図9に示すように上記保持テーブル機構3を構成する保持テーブル33の保持面332上に図3に示すように送り治具11に接合された矩形基板10を載置する。このとき、矩形基板10が保持テーブル33の垂直平面331側となるように載置する。このようにして、送り治具11に接合された矩形基板10を保持テーブル33の保持面332上に載置したならば、位置きめ手段34を作動して送り治具11に接合された矩形基板10を位置規制板341と摺動板342との間に位置決めする。なお、このとき基板端部支持手段38の支持部材381は、第2の支持位置に位置付けられている。
【0031】
次に、治具送り手段35を作動して、図9に示すように矩形基板10に接合された送り治具11を保持テーブル33の垂直平面331側に向けて所定量送り、送り治具11に接合された矩形基板10の自由端を保持テーブル33の垂直平面331から所定量突出させて位置付ける(治具送り工程)。そして、図示しない吸引手段を作動して吸着チャック361の上面に負圧を作用せしめ、吸着チャック361上に位置付けられている矩形基板10を吸引保持するとともに、押圧手段37の油圧ピストン機構375を作動して押圧部材374によって矩形基板10に接合された送り治具11を保持面332に押圧して送り治具11の動きを規制する(矩形基板保持工程)。
【0032】
次に、図8の(a)および(b)に示すように複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の端面(研削面)を矩形基板10の端面に作用させて、該端面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(端面研磨工程)。このとき、スピンドルハウジング52は図8に示す基準位置に位置付けられている。第1の端面研磨工程は、割り出し送り手段43および切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5をY軸方向およびZ軸方向に移動調整して、回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の端面(研削面)が矩形基板10の端面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図8の(a)において矢X1で示す方向に移動することにより、保持テーブル33に保持された矩形基板10の端面を研磨することができる。
【0033】
上述したように端面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、基板端部支持手段38の旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動して旋回アーム382aを支持軸382bを中心として270度回動し、旋回アーム382の一端に取り付けられた支持部材381を図11に示す第1の支持位置に位置付ける。この結果、保持テーブル33に保持され上記端面研磨工程が実施された矩形基板10の自由端部が、基板端部支持手段38を構成する支持部材381に設けられている係合凹部381a(図4参照)に係合する。そして、図示しない吸引手段を作動し係合凹部381aを形成する側面381cに設けられた複数の吸引口381dに負圧を作用し、矩形基板10の自由端面を吸引保持する(矩形基板端部支持工程)。このとき、係合凹部381aを形成する側面381cに設けられた複数の吸引口381dは長手方向に沿って設けられているので、負圧の洩れも少なく矩形基板10の自由端面を確実に吸引保持することができる。
【0034】
上述したように矩形基板端部支持工程を実施したならば、加工送り手段39を作動して矩形基板10を保持している保持テーブル33を撮像手段59の直下まで移動せしめる。そして、保持テーブル33が撮像手段59の直下に位置付けられると、撮像手段59によって矩形基板10に形成されている分割予定ライン101が検出され、分割予定ライン101と複合工具54の切断ブレード542との精密位置合わせ作業が行われる(アライメント工程)。
【0035】
上述したように、アライメント工程を実施したならば、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を複合工具54による加工領域に移動する。保持テーブル33を複合工具54による加工領域に移動したならば、図12の(a)に示すように複合工具54の切断ブレード542を保持テーブル33に保持された矩形基板10に形成されている分割予定ライン101のX軸方向の延長線上に位置付ける。そして、切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5を下降し、図12の(b)に示すように切断ブレード542の外周縁が矩形基板10の下面に達する切り込み位置に位置付ける。次に、複合工具54を矢印54aで示す方向に回転するとともに、保持テーブル33を図12の(a)において矢印X1で示す方向に加工送りする(切断工程)。この結果、矩形基板10は分割予定ライン101に沿って切断され、図12の(c)に示すように自由端側の分離された棒状基板110が基板端部支持手段38の支持部材381に保持された状態となる。
【0036】
上述した切断工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、基板端部支持手段38の旋回機構382を構成するパルスモータ382cを作動して旋回アーム382aを支持軸382bを中心として270度回動し、旋回アーム382の一端に取り付けられた支持部材381を図13に示す第2の支持位置に位置付ける。
【0037】
次に、複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の端面(研削面)を矩形基板10の切断面に作用させて、該切断面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(第1の切断面研磨工程)。即ち、割り出し送り手段43および切り込み送り手段55を作動してスピンドルユニット5をY軸方向およびZ軸方向に移動調整して、上記端面研磨工程と同様に図10の(a)および(b)に示すように回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の端面(研削面)が矩形基板10の切断面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図10の(a)において矢印X1で示す方向に移動することにより、保持テーブル33に保持された矩形基板10の切断面を研磨することができる。
【0038】
上述したように第1の切断面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させる。そして、保持テーブル33を図13の状態から90度回動して図14に示すように第2の加工位置に位置付ける。この結果、保持テーブル33に配設された基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面が、研磨ホイール543の研磨面543aと対向する位置に位置付けられる。次に、上記工具角度調整機構7を作動してスピンドルハウジング52を支持軸501周りに図8において矢印52aで示す方向に所定量回動する。この結果、複合工具54を構成する研磨ホイール543の研磨面543aが切り込み送り方向(Z軸方向)に対して角度α(例えば3度)傾斜せしめられる。次に、図15の(a)および(b)に示すように複合工具54を矢印54aで示す方向に回転しつつ研磨ホイール543の研磨面543aを基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110の切断面に作用させて、該切断面を面粗さが20nm(ナノメートル)以下の精度になるまで研磨する(第2の切断面研磨工程)。即ち、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5をY軸方向に移動調整して、回転スピンドル53に取り付けられた複合工具54の研磨ホイール543の研磨面543aが基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面に作用する位置に位置付け、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を図15の(a)において矢印X1で示す方向に移動することにより、基板端部支持手段38の支持部材381に保持された棒状基板110の切断面は上面とのなす角度が例えば93度の傾斜面に研磨される。
【0039】
上述した第2の切断面研磨工程を実施したならば、割り出し送り手段43を作動してスピンドルユニット5を後退させるとともに、上記工具角度調整手段7を作動してスピンドルハウジング52を図8に示す基準位置に戻す。そして、保持テーブル33を図14の状態から90度回動して図16に示すように第1の加工位置に位置付ける。この結果、図16に示すように第2の切断面研磨工程を実施され基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110が、取り出し手段6の保持部材65と対向する位置に位置付けられる。次に、加工送り手段39を作動して保持テーブル33を取り出し手段6に向けて移動し、基板端部支持手段38の支持部材381に保持されている棒状基板110を取り出し手段6の保持部材65の端面に装着された複数の吸引口651aが設けられ弾性部材651に接触させる。そして、基板端部支持手段38による棒状基板110の吸引保持を解除するとともに、取り出し手段6の吸引手段を作動し保持部材65によって棒状基板110を吸引保持する(棒状基板取り出し工程)。次に、取り出し手段6は、モータ66を作動して作動レバー64を図16において2点鎖線で示す位置に位置付け、図示しないカセットに搬送する。
【0040】
以上のようにして、矩形基板10を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨した棒状基板110を図示しないカセットに搬送したならば、上述した治具送り工程、矩形基板保持工程、矩形基板端部支持工程、切断工程、第1の切断面研磨工程、第2の切断面研磨工程、棒状基板取り出し工程を矩形基板10に形成された全ての分割予定ラインに沿って実施する。この結果、図17に示すように切断面の一方が上面から下面に向けて拡がる傾斜面110aに形成された棒状基板110を得ることができる。
なお、棒状基板110の切断面が上面から鋭角の傾斜面に形成する場合には、上記第1の切断面研磨工程および第2の切断面研磨工程を実施する際に、上記工具角度調整機構7を作動してスピンドルハウジング52を支持軸501周りに図8において矢印52bで示す方向に所定量回動する。
【0041】
以上のように、図示の実施形態における切断研磨加工装置においては、矩形基板10の一方の端面に送り治具11をワックス12を介して接合し保持テーブル33に保持した状態で、上述した切断工程と第1の切断面研磨工程および第2の切断面研磨工程を実施することができるので、上記従来のように矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する都度切断されて残った矩形基板の端面に一体化治具をワックスによって接合する必要がなく、矩形基板11を棒状基板110に効率良く切断するとともに切断面を所定の傾斜角を持って効率良く研磨することができる。
【符号の説明】
【0042】
2:静止基台
3:保持テーブル機構
32:支持基台
33:保持テーブル
34:位置きめ手段
35:治具送り手段
36:吸引保持手段
37:押圧手段
38:基板端部支持手
381:支持部材
382:旋回機構
39:加工送り手段
4:スピンドル支持機構
42:可動支持基台
43:割り出し送り手段
5:スピンドルユニット
52:スピンドルハウジング
53:回転スピンドル
54:複合工具
541:円筒状の基台(ハブ)
542:環状の切断ブレード
543:環状の研磨ホイール
55:切り込み送り手段
59:撮像手段
6:取り出し手段
7:工具角度調整機構
10:矩形基板
11:送り治具
12:ワックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割予定ラインが平行に形成された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨する切断研磨加工装置であって、
矩形基板を保持する保持テーブル機構と、
該保持テーブル機構に保持された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレードと切断面を研磨する研磨ホイールとを有する複合工具と、該複合工具を前端に装着した回転スピンドルと、該回転スピンドルを回転自在に支持するスピンドルハウジングとを備えた加工手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向と直交する割り出し送り方向に相対的に割り出し送りする割り出し送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向および割り出し送り方向と直交する切り込み送り方向に相対的に切り込み送りする切り込み送り手段と、を具備し、
該保持テーブル機構は、該加工送り手段によって移動せしめられる支持基台と、該支持基台上に配設され外周に垂直平面を備えるとともに上面に該垂直平面に対して垂直に延び矩形基板を摺動可能に支持する保持面を備え且つ該保持面と直交する回転軸を中心として回動可能に支持された保持テーブルとを具備しており、
該保持テーブルには、矩形基板における分割予定ラインと平行な一方の端面にワックスを介して接合した状態で該保持面に載置する送り治具と、矩形基板に接合した該送り治具を該保持面に沿って割り出し送り方向に分割予定ラインの間隔分送り出す治具送り手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、該送り治具を該保持面に押圧して該送り治具の動きを規制する押圧手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板の自由端部を吸引支持する支持部材と該支持部材を該保持面と直交する支持軸を中心として旋回せしめる旋回機構を備えた基板端部支持手段とが配設されており、
該加工手段は、該複合工具を構成する研磨ホイールの研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように該スピンドルハウジングを作動せしめる工具角度調整機構を備えている、
ことを特徴とする切断研磨加工装置。
【請求項2】
該工具角度調整機構は、該スピンドルハウジングを加工送り方向に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段と、該スピンドルハウジングを該支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段とを具備している、請求項1記載の切断研磨加工装置。
【請求項3】
該保持テーブルは該垂直平面が該複合工具と対向する第1の加工位置と、該第1の加工位置から90度回動した第2の加工位置に位置付けられるように構成されており、該基板端部支持手段は該支持部材が該保持テーブルの該垂直平面と対向する第1の支持位置と該第1の支持位置から270度回動した第2の支持位置に位置付けられるように構成されている、請求項1又は2記載の切断研磨加工装置。
【請求項1】
複数の分割予定ラインが平行に形成された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断するとともに切断面を研磨する切断研磨加工装置であって、
矩形基板を保持する保持テーブル機構と、
該保持テーブル機構に保持された矩形基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレードと切断面を研磨する研磨ホイールとを有する複合工具と、該複合工具を前端に装着した回転スピンドルと、該回転スピンドルを回転自在に支持するスピンドルハウジングとを備えた加工手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向と直交する割り出し送り方向に相対的に割り出し送りする割り出し送り手段と、
該保持テーブル機構と加工手段とを加工送り方向および割り出し送り方向と直交する切り込み送り方向に相対的に切り込み送りする切り込み送り手段と、を具備し、
該保持テーブル機構は、該加工送り手段によって移動せしめられる支持基台と、該支持基台上に配設され外周に垂直平面を備えるとともに上面に該垂直平面に対して垂直に延び矩形基板を摺動可能に支持する保持面を備え且つ該保持面と直交する回転軸を中心として回動可能に支持された保持テーブルとを具備しており、
該保持テーブルには、矩形基板における分割予定ラインと平行な一方の端面にワックスを介して接合した状態で該保持面に載置する送り治具と、矩形基板に接合した該送り治具を該保持面に沿って割り出し送り方向に分割予定ラインの間隔分送り出す治具送り手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板を吸引保持する吸引保持手段と、該送り治具を該保持面に押圧して該送り治具の動きを規制する押圧手段と、該治具送り手段によって送り出された該送り治具に接合された矩形基板の自由端部を吸引支持する支持部材と該支持部材を該保持面と直交する支持軸を中心として旋回せしめる旋回機構を備えた基板端部支持手段とが配設されており、
該加工手段は、該複合工具を構成する研磨ホイールの研磨面が切り込み送り方向に対して傾斜するように該スピンドルハウジングを作動せしめる工具角度調整機構を備えている、
ことを特徴とする切断研磨加工装置。
【請求項2】
該工具角度調整機構は、該スピンドルハウジングを加工送り方向に延在する支持軸によって揺動可能に支持するスピンドルハウジング支持手段と、該スピンドルハウジングを該支持軸を回動支点として揺動せしめる作動手段とを具備している、請求項1記載の切断研磨加工装置。
【請求項3】
該保持テーブルは該垂直平面が該複合工具と対向する第1の加工位置と、該第1の加工位置から90度回動した第2の加工位置に位置付けられるように構成されており、該基板端部支持手段は該支持部材が該保持テーブルの該垂直平面と対向する第1の支持位置と該第1の支持位置から270度回動した第2の支持位置に位置付けられるように構成されている、請求項1又は2記載の切断研磨加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−98400(P2011−98400A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253301(P2009−253301)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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