切断装置
【課題】製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供する。
【解決手段】搬送方向に十分に長い帯状の原料M1から切り分けられる矩形状の製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッター9を備えた打ち抜き装置3を有し、カッターは、平面視が、円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ図心について対向する側に置換し組み合わせてなり且つ前記搬送方向およびその直交する方向に不連続点を有する形状の刃16を備える刃部11と、刃部を着脱可能に支持する支持部10と、からなる。
【解決手段】搬送方向に十分に長い帯状の原料M1から切り分けられる矩形状の製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッター9を備えた打ち抜き装置3を有し、カッターは、平面視が、円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ図心について対向する側に置換し組み合わせてなり且つ前記搬送方向およびその直交する方向に不連続点を有する形状の刃16を備える刃部11と、刃部を着脱可能に支持する支持部10と、からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反から矩形状の製品を切り分ける切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋肉痛、肩こりの軽減、または捻挫の治療等に、不織布や樹脂シート等の台シートに消炎・鎮痛成分を含む薬剤が塗布された湿布剤が使用される。
このような湿布剤は、塗布された薬剤を保護するための保護材が薬剤の表面に張り合わされており、使用時に保護材を剥がして使用するようになっている。
ところで、湿布剤は、患部に貼り付けられた上に着用される衣類に覆われるのが通常である。その場合、日常の歩行等の活動において衣類と台シートとが擦れ合って、湿布剤は4隅からめくれが生じ易いことが知られている。また、これに対して、4隅の角をなくしてアールにし、または鈍角の組み合わせとすることで、めくれの程度を軽減できることも知られている。
【0003】
特許文献1には、台シートに薬剤を塗布し保護材で保護されたカッティング前の湿布剤(以下、「原反」という)を製品に切り分ける際に、製品の4隅をアールに加工する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術は、スリッター装置により原反を3つの帯状物に分断した後、図9に示される回転カッター55により製品に切り分ける。回転カッター55には、分断された帯状物を送り方向に切り分ける軸方向に延びた凸刃56,…,56が周方向に所定の間隔を有して3列設けられ、それぞれの凸刃56,…,56の両端には、製品の4隅にアールを形成するための二股アール部57,…,57が備えられている。
【0004】
また、特許文献1におけるスリッター装置および回転カッター55の両方の機能を合わせ持つ、図10に示されるような回転カッター61の使用も試みられている。
【特許文献1】特開2004−17272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における回転カッター55および図10に示される回転カッター61には、いずれも帯状物を送り方向に寸断する凸刃56,…,56または原反を送り方向に寸断する刃62,…,62が軸方向に設けられており、凸刃56,…,56または刃62,…,62の全体に渡って切り残しが生じないようにするには、回転カッター55,61を、油圧などによって強力に帯状物に押しつける必要がある。そのため、帯状物の反対側で凸刃56,…,56または刃62,…,62を受け止めるアンビルロールとの摩擦により刃先の損傷が激しく、安定した生産を長時間続けることが困難で設備の稼働率が低下するという問題があった。また、凸刃56,…,56または刃62,…,62は、回転カッター55,61と一体に形成されているために、凸刃56,…,56または刃62,…,62が損傷したときには重量が大きな回転カッター55,61ごと装置から取り外して補修しなければならず、取り外しにはハンドリフトを使用する等の煩雑な作業を強いられることになる。さらに、凸刃56,…,56または刃62,…,62の補修の間にも稼働率を高めるために操業を継続しようとすれば、高価な予備の回転カッター55,61を備えておく必要もあった。
【0006】
4隅に例えばアールを形成した湿布剤は、このような生産性の悪さ、製造コストの上昇等の問題により、めくれにくいという長所があるにも関わらず、これまで広く普及するには至っていなかった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る切断装置は、特定の幅を有し前記幅に比べて搬送方向に十分に長い帯状の原料から前記搬送方向に複数列に渡り略矩形状の製品を切り分ける切断装置であって、前記製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッターを備えた打ち抜き装置を有し、前記カッターは、平面視の形状が円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり且つ前記搬送方向および前記搬送方向に直交する方向に前記形状の不連続点が配された刃を備える刃部と、前記刃部を着脱可能に支持する支持部と、からなる。
【0008】
ここで、「4n角形(n≧1)」とは、四角形、八角形等の辺の数が4の倍数の多角形をいう。「図心をそれぞれが含むように4等分し」とは、図心から放射状に延びた線により4等分することを意味し、「図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり」とは、例えば、当該図形を図心を含む直交する2つの線で分断した場合に、第1象限の部分を第3象限に、第3象限の部分を第1象限に、第2象限の部分を第4象限に、および第4象限の部分を第2象限に、それぞれ移動させ組み合わせた形状を意味する。
カッターをこのように構成することにより、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、前記刃の平面視における形状が、円を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換し組み合わせてなる形状である。
このような形状の刃で4隅を打ち抜くことにより、めくれにくい製品を生産することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明に係る打ち抜き装置3を有する切断装置1の構成図、図2は打ち抜き装置3の正面図、図3は打ち抜き装置3の平面図、図4は打ち抜き装置3の側面図、図5は切断装置1における打ち抜き装置3の平面概略図、図6は切断装置1における打ち抜き装置3の周辺の側面概略図である。
図1において、切断装置1は、供給装置2、打ち抜き装置3、スリッター装置4、寸断装置5などからなる。
以下、供給装置2から供給される切断対象物を「原反M1」、原反M1に打ち抜き装置3によって星形が打ち抜かれ打抜片Sが除去されたものを「打ち抜き物M2」、打ち抜き物M2をスリッター装置4により幅方向に切り分けたものを「帯状物M3」、帯状物M3が寸断装置5により寸断されたものを「製品」ということがある。なお、「打抜片S」とは、原反M1から切り離されたものを意味するものとする。
【0012】
供給装置2は、ロール状に巻き取られた原反M1をその長手方向に連続的に繰り出すためのものである。原反M1は、切断装置1による切断の対象物であり、ポリアミド系(ナイロン)、ポリエステル系、ポリアクリル系、綿等の不織布または合成樹脂製のシート等からなる台シートに消炎・鎮痛成分を含む薬剤が塗布され、薬剤を保護するためのポリプロピレンフイルム等の保護材が張り合わされたものである。供給装置2による原反M1の繰り出しは、原反M1を支持するシャフト6の回転を図示しないサーボモータにより制御しながら行われる。
【0013】
打ち抜き装置3は、回転カッター7および第1アンビルロール8などからなる。
図2〜4において、回転カッター7は複数のカッター9,…,9を連ねて形成され、カッター9は支持部10と刃部11とからなる。
支持部10は、断面形状が線対称に対向する2つの円弧および2つの円弧の端同士を結ぶ対向する2つの線からなる肉厚の板状体であり、断面における線の部分、つまり支持部10の周面における対向する2つの平面12,12には、それぞれ断面が略円形の収容孔13,13が設けられている。支持部10の両側面14,14には、カッター軸15,15が側面14,14と直角に外方に延びている。
【0014】
刃部11は、図2によく示されるように、4分の1の円弧をいずれも内側に凸となるようにして4つ連ねて配置した平面視の形状が星形の刃16と、刃16を支持する基部17とからなる。刃16は、図4によく示されるように、刃先が側面視においてカッター軸15,15の軸心を中心とする円弧となっており、刃先は原反M1を打ち抜くことが可能なように鋭利に形成されている。基部17は、断面形状が収容孔13に嵌合可能なように略円形に形成され、星形の刃16の中心に対して点対称に4つのネジ用孔18,…,18を有している。基部17は、原反M1の搬送方向および搬送方向に直交する方向に星形の頂点が位置するようにして一部が収容孔13に嵌入され、ネジ用孔18,…,18に貫通させた4本の6角孔付きボルトBT,…,BTによって支持部10に固定されている。刃16および基部17は、一体物の刃部11としてSKD11などのダイス鋼で製作される。刃部11をハイス鋼または超硬合金等で製作してもよい。
【0015】
回転カッター7は、図5に示されるように、複数のカッター9,…,9のカッター軸15,15同士が直列に連なって構成される。回転カッター7は、第1アンビルロール8側に押しつけられたときにカッター軸15,…,15に過度のたわみが生じにくい位置、例えば、図5におけるB−B,C−Cの位置において図示しないベアリングを介してカッター支持台19の軸受け20に回転可能に支持されている。軸受け20は、ボールネジ21と固定的に接続され且つカッター支持台19に対して移動可能に構成されている。各カッター9,…,9は、ボールネジ軸22の回転に応じて軸受け20が図6における左右方向に移動することにより、対向する第1アンビルロール8との距離が調整可能になっている。回転カッター7は、タイミングプーリーおよびタイミングベルトにより図示しないサーボモータに連結されており、後に説明する寸断装置5の移動刃33の動作にあわせて間欠的に回転するように制御される。
【0016】
回転カッター7は、刃部11を支持部10に着脱可能な構造となっているため、操業中に刃16が損傷した場合に短時間で容易に刃部11を交換することができ、生産の停止時間を短縮することができる。また、コンパクトな刃部11はその単価が低く保管場所の確保も容易であることから、十分な数の交換用の刃部11を在庫することができ、生産機材の在庫切れによる切断装置1の休止を回避できる。このように、刃部11を支持部10に着脱可能な構造とすることにより、切断装置1の稼働率を高く維持することができ、製造コストの増加を防止することができる。
【0017】
第1アンビルロール8は、周面が研磨された凹凸の無い円柱状のロールであり、切断装置1においてその回転軸が回転カッター7の回転軸と平行になるように配置され、両端が第1支持台23の軸受け24に図示しないベアリングを介して回転可能に支持されている。第1支持台23は、油圧シリンダ25により、回転カッター7側に押圧可能に構成されている。第1アンビルロール8は、焼き入れされた45C鋼で形成されている。
スリッター装置4は、スリッター26および第2アンビルロール27などからなる。
スリッター26は、図5に示されるように、円柱状のロールの周面に複数の環状の丸刃28,…,28を有している。丸刃28,…,28は、それぞれが軸方向に一定の間隔を有して配置されており、その間隔は、切断装置1で切断された後の製品の縦方向長さになるように調整されている。スリッター26は、切断装置1においてその回転軸が回転カッター7の回転軸と平行になるように配置されている。スリッター26の両端は、スリッター支持台29の軸受け30に図示しないベアリングを介して回転可能に支持されている。スリッター支持台29は、油圧シリンダ31により、第2アンビルロール27側に押圧可能に構成されている。
【0018】
第2アンビルロール27は、周面が研磨された凹凸の無い円柱状のロールであり、その回転軸がスリッター26の回転軸と平行になるように配置され、両端が図示しない支持台の軸受けに回転可能に支持されている。第2アンビルロール27は、その一端がタイミングベルトにより図示しないサーボモータに連結されており、寸断装置5の移動刃33の動作に関連させて回転するように制御される。
寸断装置5は、いわゆるギロチンカッターと同様の原理で帯状物M3を寸断するものであり、固定刃32と固定刃32に対して若干角度を有する移動刃33とを噛み合わせる構造となっとている。移動刃33は、固定刃32に対して近接離反可能に構成されており、近接離反のタイミングは、原反M1の間欠的な繰り出しに関連づけて制御される。移動刃33の近接離反の動作は、図示しない油圧シリンダにより行われる。
【0019】
打ち抜き装置3とスリッター装置4との間には、打ち抜き装置3により打ち抜かれた打抜片Sを回収するための回収装置34が設けられている。図7は回収装置34の正面断面図、図8は回収装置34の図7における右側面図である。
回収装置34は、ヘッドカバー35、チューブ36、ピストン37、ロッドカバー38、およびロッド39からなる単動型エアシリンダをベースにして、打抜片Sの回収に適するように構成されている。
回収装置34は、ピストン37とロッドカバー38との間に、ピストン37をヘッドカバー35側に付勢するコイルバネ40を備えている。また、ロッドカバー38には、外周面から内周面に貫通する貫通孔41が設けられ、貫通孔41は図示しないエア圧縮装置に連通している。ロッド39には、周面に環状の溝42、および溝42に開口しロッド39の軸心を通ってロッド39の先端に続く連通孔43が設けられており、溝42は、ピストン37が伸張端に位置するときに貫通孔41と連通するように構成される。ロッド39の端面には、図8に示されるように、側面視が正方形の針支持体44が一体化されている。
【0020】
針支持体44の中心には、軸方向外方に突出する針45が取り付けられ、針45の周囲には、針支持体44を貫通する4つのエア孔46,…,46が設けられている。チューブ36のロッドカバー38近傍にはチューブ36内と外部とを連通する漏れ孔47が設けられ、ピストン37の円滑な収縮動作を可能としている。ヘッドカバー35に設けられたポートPT1は三方弁48に接続され、三方弁48は、寸断装置5の移動刃33の動作に関連させて図示しないエア圧縮装置とシリンダ室49とを連通させ、またはシリンダ室49を外気に開放する。
【0021】
回収装置34は、打ち抜き装置3で形成されたそれぞれの星形の切れ込みに対面する位置に1基ずつ、ロッド39が原反M1の表面に略直交する方向に動作するように設置されている。
切断装置1における針支持体44に対面する部分には、打抜片Sおよび針支持体44のいずれも通過させることが可能な通過孔50が設けられたガイド51,52が、原反M1を挟むようして設けられている。
また、ガイド51,52を中にして回収装置34の反対側には、通過孔50に回収口53を対向させた回収容器54が設けられている。
【0022】
次に、切断装置1の動作について説明する。
原反M1を、供給装置2、打ち抜き装置3、ガイド51,52の間、スリッター装置4、および寸断装置5に通した後に、供給装置2から、原反M1が間欠的に繰り出されて切断動作が行われる。
原反M1が繰り出されると、原反M1の繰り出し速度にあわせて回転カッター7が回転し、第1アンビルロール8との間を通過する原反M1に星形の切れ込みを形成する。さらに原反M1が繰り出され、星形の切れ込みがガイド51,52の間に入りこんで通過孔50に達すると、供給装置2は原反M1の繰り出しを停止する。
【0023】
原反M1の繰り出しが停止すると、三方弁48が動作してエア圧縮装置とシリンダ室49とを連通させ、ピストン37が伸張動作を行ないロッド39をガイド52方向に移動させる。ロッド39と一体化された針支持体44は、針45の先端が星形の切れ込み部分に刺さって切れ込み部分を打抜片Sとして回収容器54側に押し出す。このとき、切れ込み部分は針支持体44の端面に面で接触しており全体が均一な力で押し出されるので、確実に打抜片Sを打ち抜き物M2から切り離すことができる。
図8に示されるように、針支持体44の断面は、針支持体44が打ち抜き物M2における打抜片Sが抜かれた隙間を通過することができる範囲内で大きくすることが好ましい。
【0024】
ピストン37が伸張端に達するとロッドカバー38の貫通孔41とロッド39の溝42とが連通し、エア圧縮装置からの圧縮エアが連通孔43およびエア孔46,…,46を経由して噴出し、打抜片Sを回収容器54内に吹き飛ばす。圧縮エアは、打抜片Sがエア孔46,…,46を塞いだ状態でエア孔46,…,46から噴出されるので、打抜片Sは容易に針45から抜き出され、確実に回収容器54に回収される。
原反M1に塗布された薬剤には、湿布剤を患部に貼り付けたときにその状態を維持させるために粘着作用を有するものが多い。そのため、これまでは、薬剤の粘着作用により打抜片を打ち抜き物から完全に除去することは容易ではなく、打抜片が打ち抜き物に同伴して次工程または製品に混入するおそれがあった。回収装置34は、上に説明したように、打抜片Sを打ち抜き物M2から確実に除去することができ、かつ確実に回収することができるので、切断作業におけるかかる問題を解消することが可能となった。
【0025】
ここで、供給装置2が原反M1の繰り出しを停止して回収装置34が打抜片Sの回収を行っている間、寸断装置5では移動刃33が固定刃32に噛み合わされて、帯状物M3を所定の横幅になるように寸断が行われる。
供給装置2の原反M1の繰り出し停止後所定時間が経過すると、三方弁48はシリンダ室49を外気に開放するように動作し、ピストン37はコイルバネ40の付勢力によって収縮端まで移動する。貫通孔41と溝42との連通は解除され、針支持体44は通過孔50から後退し、再び供給装置2による原反M1の繰り出しが開始される。また、寸断装置5では、供給装置2の繰り出しが開始されるまでに移動刃33が固定刃32から離反し、次の寸断動作に備える。
【0026】
さて、スリッター装置4に説明を戻すと、供給装置2が繰り出しを行っているとき、回収装置34を経た打ち抜き物M2は、スリッター装置4で所定の横幅の帯状物M3に切り分けられる。
寸断装置5による、帯状物M3を所定の横幅を有する製品に寸断する動作については、上に説明した通りである。
寸断装置5は、原反M1の繰り出しが停止されたときに、帯状物M3が製品になるために寸断されるべき部分が位置する場所に設置される。
【0027】
供給装置2による原反M1の繰り出しおよび停止、回転カッター7の回転、三方弁48の切替動作、第2アンビルロール27の回転、ならびに寸断装置5の移動刃33の動作は、図示しない制御機器により適切に行われる。
本発明に係る切断装置1における打ち抜き装置3では、打ち抜きに使用される刃16,…,16の刃先の有効長さが短いために、第1アンビルロール8に回転カッター7を押しつける力を図9および図10における回転カッター51,61に比べて小さくすることができ、そのため刃16,…,16の損傷を軽減でき、交換頻度が減少することにより稼働率を高く維持することができる。
【0028】
さらに刃16,…,16の損傷を軽減させるには、平面視(図2)における刃16の幅よりも広幅のセロファン、塩化ビニル樹脂等のフィルム、または紙テープ等を、打ち抜き装置3における原反M1と第1アンビルロール8との間のカッター9,…,9が位置する箇所に原反M1と等速度で供給するのが効果的である。このようにする場合には、打ち抜き装置3を通過したセロファン等は、回収装置34に至らないように回収装置34の上流側で別途回収するのが好ましい。
上述の実施形態において、刃16の平面視における形状を、上に説明した4分の1の円弧をいずれも内側に凸となるようにして4つ連ねて配置した星形、つまり、円をそれぞれが図心を含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換して組み合わせた形状以外のものとしてもよい。例えば、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換して組み合わせた形状とし、刃部11を支持部10に取り付けるときに、原反M1の搬送方向および搬送方向に直交する方向に不連続点が位置するような形状としてもよい。
【0029】
また、回収装置34において、コイルバネ40を用いる代わりに、伸張端側のシリンダ内にエアを密閉しておき、伸張時に圧縮された伸張端側のシリンダ内のエアの圧力によりピストン37に収縮動作をさせるようにしてもよい。回収装置34の針支持体44を、針45を取り付けたものではなく、打抜片Sに当接する面に粘着力の弱い粘着剤を塗布したもの、その他打抜片Sを短時間端面に保持可能な構成としてもよい。
その他、切断装置1、供給装置2、打ち抜き装置3、回収装置34、スリッター装置4、および寸断装置5の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、原反から矩形状の製品を切り分ける工程、例えば、湿布効果を有する薬剤が塗布された原反を所定の寸法の製品に切り分ける工程に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る打ち抜き装置を有する切断装置の構成図である。
【図2】打ち抜き装置の正面図である。
【図3】打ち抜き装置の平面図である。
【図4】打ち抜き装置の側面図である。
【図5】切断装置における打ち抜き装置の平面概略図である。
【図6】切断装置における打ち抜き装置の周辺の側面概略図である。
【図7】回収装置の正面断面図である。
【図8】回収装置の図7における右側面図である。
【図9】従来技術における回転カッターの平面図である。
【図10】他の従来技術における回転カッターの概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 切断装置
3 打ち抜き装置
9 カッター
10 支持部
11 刃部
16 刃
M1 原料(原反)
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反から矩形状の製品を切り分ける切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋肉痛、肩こりの軽減、または捻挫の治療等に、不織布や樹脂シート等の台シートに消炎・鎮痛成分を含む薬剤が塗布された湿布剤が使用される。
このような湿布剤は、塗布された薬剤を保護するための保護材が薬剤の表面に張り合わされており、使用時に保護材を剥がして使用するようになっている。
ところで、湿布剤は、患部に貼り付けられた上に着用される衣類に覆われるのが通常である。その場合、日常の歩行等の活動において衣類と台シートとが擦れ合って、湿布剤は4隅からめくれが生じ易いことが知られている。また、これに対して、4隅の角をなくしてアールにし、または鈍角の組み合わせとすることで、めくれの程度を軽減できることも知られている。
【0003】
特許文献1には、台シートに薬剤を塗布し保護材で保護されたカッティング前の湿布剤(以下、「原反」という)を製品に切り分ける際に、製品の4隅をアールに加工する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術は、スリッター装置により原反を3つの帯状物に分断した後、図9に示される回転カッター55により製品に切り分ける。回転カッター55には、分断された帯状物を送り方向に切り分ける軸方向に延びた凸刃56,…,56が周方向に所定の間隔を有して3列設けられ、それぞれの凸刃56,…,56の両端には、製品の4隅にアールを形成するための二股アール部57,…,57が備えられている。
【0004】
また、特許文献1におけるスリッター装置および回転カッター55の両方の機能を合わせ持つ、図10に示されるような回転カッター61の使用も試みられている。
【特許文献1】特開2004−17272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における回転カッター55および図10に示される回転カッター61には、いずれも帯状物を送り方向に寸断する凸刃56,…,56または原反を送り方向に寸断する刃62,…,62が軸方向に設けられており、凸刃56,…,56または刃62,…,62の全体に渡って切り残しが生じないようにするには、回転カッター55,61を、油圧などによって強力に帯状物に押しつける必要がある。そのため、帯状物の反対側で凸刃56,…,56または刃62,…,62を受け止めるアンビルロールとの摩擦により刃先の損傷が激しく、安定した生産を長時間続けることが困難で設備の稼働率が低下するという問題があった。また、凸刃56,…,56または刃62,…,62は、回転カッター55,61と一体に形成されているために、凸刃56,…,56または刃62,…,62が損傷したときには重量が大きな回転カッター55,61ごと装置から取り外して補修しなければならず、取り外しにはハンドリフトを使用する等の煩雑な作業を強いられることになる。さらに、凸刃56,…,56または刃62,…,62の補修の間にも稼働率を高めるために操業を継続しようとすれば、高価な予備の回転カッター55,61を備えておく必要もあった。
【0006】
4隅に例えばアールを形成した湿布剤は、このような生産性の悪さ、製造コストの上昇等の問題により、めくれにくいという長所があるにも関わらず、これまで広く普及するには至っていなかった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る切断装置は、特定の幅を有し前記幅に比べて搬送方向に十分に長い帯状の原料から前記搬送方向に複数列に渡り略矩形状の製品を切り分ける切断装置であって、前記製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッターを備えた打ち抜き装置を有し、前記カッターは、平面視の形状が円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり且つ前記搬送方向および前記搬送方向に直交する方向に前記形状の不連続点が配された刃を備える刃部と、前記刃部を着脱可能に支持する支持部と、からなる。
【0008】
ここで、「4n角形(n≧1)」とは、四角形、八角形等の辺の数が4の倍数の多角形をいう。「図心をそれぞれが含むように4等分し」とは、図心から放射状に延びた線により4等分することを意味し、「図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり」とは、例えば、当該図形を図心を含む直交する2つの線で分断した場合に、第1象限の部分を第3象限に、第3象限の部分を第1象限に、第2象限の部分を第4象限に、および第4象限の部分を第2象限に、それぞれ移動させ組み合わせた形状を意味する。
カッターをこのように構成することにより、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、前記刃の平面視における形状が、円を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換し組み合わせてなる形状である。
このような形状の刃で4隅を打ち抜くことにより、めくれにくい製品を生産することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、製品の4隅の角取りをする刃の損傷が少なくかつ刃の交換が容易な切断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明に係る打ち抜き装置3を有する切断装置1の構成図、図2は打ち抜き装置3の正面図、図3は打ち抜き装置3の平面図、図4は打ち抜き装置3の側面図、図5は切断装置1における打ち抜き装置3の平面概略図、図6は切断装置1における打ち抜き装置3の周辺の側面概略図である。
図1において、切断装置1は、供給装置2、打ち抜き装置3、スリッター装置4、寸断装置5などからなる。
以下、供給装置2から供給される切断対象物を「原反M1」、原反M1に打ち抜き装置3によって星形が打ち抜かれ打抜片Sが除去されたものを「打ち抜き物M2」、打ち抜き物M2をスリッター装置4により幅方向に切り分けたものを「帯状物M3」、帯状物M3が寸断装置5により寸断されたものを「製品」ということがある。なお、「打抜片S」とは、原反M1から切り離されたものを意味するものとする。
【0012】
供給装置2は、ロール状に巻き取られた原反M1をその長手方向に連続的に繰り出すためのものである。原反M1は、切断装置1による切断の対象物であり、ポリアミド系(ナイロン)、ポリエステル系、ポリアクリル系、綿等の不織布または合成樹脂製のシート等からなる台シートに消炎・鎮痛成分を含む薬剤が塗布され、薬剤を保護するためのポリプロピレンフイルム等の保護材が張り合わされたものである。供給装置2による原反M1の繰り出しは、原反M1を支持するシャフト6の回転を図示しないサーボモータにより制御しながら行われる。
【0013】
打ち抜き装置3は、回転カッター7および第1アンビルロール8などからなる。
図2〜4において、回転カッター7は複数のカッター9,…,9を連ねて形成され、カッター9は支持部10と刃部11とからなる。
支持部10は、断面形状が線対称に対向する2つの円弧および2つの円弧の端同士を結ぶ対向する2つの線からなる肉厚の板状体であり、断面における線の部分、つまり支持部10の周面における対向する2つの平面12,12には、それぞれ断面が略円形の収容孔13,13が設けられている。支持部10の両側面14,14には、カッター軸15,15が側面14,14と直角に外方に延びている。
【0014】
刃部11は、図2によく示されるように、4分の1の円弧をいずれも内側に凸となるようにして4つ連ねて配置した平面視の形状が星形の刃16と、刃16を支持する基部17とからなる。刃16は、図4によく示されるように、刃先が側面視においてカッター軸15,15の軸心を中心とする円弧となっており、刃先は原反M1を打ち抜くことが可能なように鋭利に形成されている。基部17は、断面形状が収容孔13に嵌合可能なように略円形に形成され、星形の刃16の中心に対して点対称に4つのネジ用孔18,…,18を有している。基部17は、原反M1の搬送方向および搬送方向に直交する方向に星形の頂点が位置するようにして一部が収容孔13に嵌入され、ネジ用孔18,…,18に貫通させた4本の6角孔付きボルトBT,…,BTによって支持部10に固定されている。刃16および基部17は、一体物の刃部11としてSKD11などのダイス鋼で製作される。刃部11をハイス鋼または超硬合金等で製作してもよい。
【0015】
回転カッター7は、図5に示されるように、複数のカッター9,…,9のカッター軸15,15同士が直列に連なって構成される。回転カッター7は、第1アンビルロール8側に押しつけられたときにカッター軸15,…,15に過度のたわみが生じにくい位置、例えば、図5におけるB−B,C−Cの位置において図示しないベアリングを介してカッター支持台19の軸受け20に回転可能に支持されている。軸受け20は、ボールネジ21と固定的に接続され且つカッター支持台19に対して移動可能に構成されている。各カッター9,…,9は、ボールネジ軸22の回転に応じて軸受け20が図6における左右方向に移動することにより、対向する第1アンビルロール8との距離が調整可能になっている。回転カッター7は、タイミングプーリーおよびタイミングベルトにより図示しないサーボモータに連結されており、後に説明する寸断装置5の移動刃33の動作にあわせて間欠的に回転するように制御される。
【0016】
回転カッター7は、刃部11を支持部10に着脱可能な構造となっているため、操業中に刃16が損傷した場合に短時間で容易に刃部11を交換することができ、生産の停止時間を短縮することができる。また、コンパクトな刃部11はその単価が低く保管場所の確保も容易であることから、十分な数の交換用の刃部11を在庫することができ、生産機材の在庫切れによる切断装置1の休止を回避できる。このように、刃部11を支持部10に着脱可能な構造とすることにより、切断装置1の稼働率を高く維持することができ、製造コストの増加を防止することができる。
【0017】
第1アンビルロール8は、周面が研磨された凹凸の無い円柱状のロールであり、切断装置1においてその回転軸が回転カッター7の回転軸と平行になるように配置され、両端が第1支持台23の軸受け24に図示しないベアリングを介して回転可能に支持されている。第1支持台23は、油圧シリンダ25により、回転カッター7側に押圧可能に構成されている。第1アンビルロール8は、焼き入れされた45C鋼で形成されている。
スリッター装置4は、スリッター26および第2アンビルロール27などからなる。
スリッター26は、図5に示されるように、円柱状のロールの周面に複数の環状の丸刃28,…,28を有している。丸刃28,…,28は、それぞれが軸方向に一定の間隔を有して配置されており、その間隔は、切断装置1で切断された後の製品の縦方向長さになるように調整されている。スリッター26は、切断装置1においてその回転軸が回転カッター7の回転軸と平行になるように配置されている。スリッター26の両端は、スリッター支持台29の軸受け30に図示しないベアリングを介して回転可能に支持されている。スリッター支持台29は、油圧シリンダ31により、第2アンビルロール27側に押圧可能に構成されている。
【0018】
第2アンビルロール27は、周面が研磨された凹凸の無い円柱状のロールであり、その回転軸がスリッター26の回転軸と平行になるように配置され、両端が図示しない支持台の軸受けに回転可能に支持されている。第2アンビルロール27は、その一端がタイミングベルトにより図示しないサーボモータに連結されており、寸断装置5の移動刃33の動作に関連させて回転するように制御される。
寸断装置5は、いわゆるギロチンカッターと同様の原理で帯状物M3を寸断するものであり、固定刃32と固定刃32に対して若干角度を有する移動刃33とを噛み合わせる構造となっとている。移動刃33は、固定刃32に対して近接離反可能に構成されており、近接離反のタイミングは、原反M1の間欠的な繰り出しに関連づけて制御される。移動刃33の近接離反の動作は、図示しない油圧シリンダにより行われる。
【0019】
打ち抜き装置3とスリッター装置4との間には、打ち抜き装置3により打ち抜かれた打抜片Sを回収するための回収装置34が設けられている。図7は回収装置34の正面断面図、図8は回収装置34の図7における右側面図である。
回収装置34は、ヘッドカバー35、チューブ36、ピストン37、ロッドカバー38、およびロッド39からなる単動型エアシリンダをベースにして、打抜片Sの回収に適するように構成されている。
回収装置34は、ピストン37とロッドカバー38との間に、ピストン37をヘッドカバー35側に付勢するコイルバネ40を備えている。また、ロッドカバー38には、外周面から内周面に貫通する貫通孔41が設けられ、貫通孔41は図示しないエア圧縮装置に連通している。ロッド39には、周面に環状の溝42、および溝42に開口しロッド39の軸心を通ってロッド39の先端に続く連通孔43が設けられており、溝42は、ピストン37が伸張端に位置するときに貫通孔41と連通するように構成される。ロッド39の端面には、図8に示されるように、側面視が正方形の針支持体44が一体化されている。
【0020】
針支持体44の中心には、軸方向外方に突出する針45が取り付けられ、針45の周囲には、針支持体44を貫通する4つのエア孔46,…,46が設けられている。チューブ36のロッドカバー38近傍にはチューブ36内と外部とを連通する漏れ孔47が設けられ、ピストン37の円滑な収縮動作を可能としている。ヘッドカバー35に設けられたポートPT1は三方弁48に接続され、三方弁48は、寸断装置5の移動刃33の動作に関連させて図示しないエア圧縮装置とシリンダ室49とを連通させ、またはシリンダ室49を外気に開放する。
【0021】
回収装置34は、打ち抜き装置3で形成されたそれぞれの星形の切れ込みに対面する位置に1基ずつ、ロッド39が原反M1の表面に略直交する方向に動作するように設置されている。
切断装置1における針支持体44に対面する部分には、打抜片Sおよび針支持体44のいずれも通過させることが可能な通過孔50が設けられたガイド51,52が、原反M1を挟むようして設けられている。
また、ガイド51,52を中にして回収装置34の反対側には、通過孔50に回収口53を対向させた回収容器54が設けられている。
【0022】
次に、切断装置1の動作について説明する。
原反M1を、供給装置2、打ち抜き装置3、ガイド51,52の間、スリッター装置4、および寸断装置5に通した後に、供給装置2から、原反M1が間欠的に繰り出されて切断動作が行われる。
原反M1が繰り出されると、原反M1の繰り出し速度にあわせて回転カッター7が回転し、第1アンビルロール8との間を通過する原反M1に星形の切れ込みを形成する。さらに原反M1が繰り出され、星形の切れ込みがガイド51,52の間に入りこんで通過孔50に達すると、供給装置2は原反M1の繰り出しを停止する。
【0023】
原反M1の繰り出しが停止すると、三方弁48が動作してエア圧縮装置とシリンダ室49とを連通させ、ピストン37が伸張動作を行ないロッド39をガイド52方向に移動させる。ロッド39と一体化された針支持体44は、針45の先端が星形の切れ込み部分に刺さって切れ込み部分を打抜片Sとして回収容器54側に押し出す。このとき、切れ込み部分は針支持体44の端面に面で接触しており全体が均一な力で押し出されるので、確実に打抜片Sを打ち抜き物M2から切り離すことができる。
図8に示されるように、針支持体44の断面は、針支持体44が打ち抜き物M2における打抜片Sが抜かれた隙間を通過することができる範囲内で大きくすることが好ましい。
【0024】
ピストン37が伸張端に達するとロッドカバー38の貫通孔41とロッド39の溝42とが連通し、エア圧縮装置からの圧縮エアが連通孔43およびエア孔46,…,46を経由して噴出し、打抜片Sを回収容器54内に吹き飛ばす。圧縮エアは、打抜片Sがエア孔46,…,46を塞いだ状態でエア孔46,…,46から噴出されるので、打抜片Sは容易に針45から抜き出され、確実に回収容器54に回収される。
原反M1に塗布された薬剤には、湿布剤を患部に貼り付けたときにその状態を維持させるために粘着作用を有するものが多い。そのため、これまでは、薬剤の粘着作用により打抜片を打ち抜き物から完全に除去することは容易ではなく、打抜片が打ち抜き物に同伴して次工程または製品に混入するおそれがあった。回収装置34は、上に説明したように、打抜片Sを打ち抜き物M2から確実に除去することができ、かつ確実に回収することができるので、切断作業におけるかかる問題を解消することが可能となった。
【0025】
ここで、供給装置2が原反M1の繰り出しを停止して回収装置34が打抜片Sの回収を行っている間、寸断装置5では移動刃33が固定刃32に噛み合わされて、帯状物M3を所定の横幅になるように寸断が行われる。
供給装置2の原反M1の繰り出し停止後所定時間が経過すると、三方弁48はシリンダ室49を外気に開放するように動作し、ピストン37はコイルバネ40の付勢力によって収縮端まで移動する。貫通孔41と溝42との連通は解除され、針支持体44は通過孔50から後退し、再び供給装置2による原反M1の繰り出しが開始される。また、寸断装置5では、供給装置2の繰り出しが開始されるまでに移動刃33が固定刃32から離反し、次の寸断動作に備える。
【0026】
さて、スリッター装置4に説明を戻すと、供給装置2が繰り出しを行っているとき、回収装置34を経た打ち抜き物M2は、スリッター装置4で所定の横幅の帯状物M3に切り分けられる。
寸断装置5による、帯状物M3を所定の横幅を有する製品に寸断する動作については、上に説明した通りである。
寸断装置5は、原反M1の繰り出しが停止されたときに、帯状物M3が製品になるために寸断されるべき部分が位置する場所に設置される。
【0027】
供給装置2による原反M1の繰り出しおよび停止、回転カッター7の回転、三方弁48の切替動作、第2アンビルロール27の回転、ならびに寸断装置5の移動刃33の動作は、図示しない制御機器により適切に行われる。
本発明に係る切断装置1における打ち抜き装置3では、打ち抜きに使用される刃16,…,16の刃先の有効長さが短いために、第1アンビルロール8に回転カッター7を押しつける力を図9および図10における回転カッター51,61に比べて小さくすることができ、そのため刃16,…,16の損傷を軽減でき、交換頻度が減少することにより稼働率を高く維持することができる。
【0028】
さらに刃16,…,16の損傷を軽減させるには、平面視(図2)における刃16の幅よりも広幅のセロファン、塩化ビニル樹脂等のフィルム、または紙テープ等を、打ち抜き装置3における原反M1と第1アンビルロール8との間のカッター9,…,9が位置する箇所に原反M1と等速度で供給するのが効果的である。このようにする場合には、打ち抜き装置3を通過したセロファン等は、回収装置34に至らないように回収装置34の上流側で別途回収するのが好ましい。
上述の実施形態において、刃16の平面視における形状を、上に説明した4分の1の円弧をいずれも内側に凸となるようにして4つ連ねて配置した星形、つまり、円をそれぞれが図心を含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換して組み合わせた形状以外のものとしてもよい。例えば、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換して組み合わせた形状とし、刃部11を支持部10に取り付けるときに、原反M1の搬送方向および搬送方向に直交する方向に不連続点が位置するような形状としてもよい。
【0029】
また、回収装置34において、コイルバネ40を用いる代わりに、伸張端側のシリンダ内にエアを密閉しておき、伸張時に圧縮された伸張端側のシリンダ内のエアの圧力によりピストン37に収縮動作をさせるようにしてもよい。回収装置34の針支持体44を、針45を取り付けたものではなく、打抜片Sに当接する面に粘着力の弱い粘着剤を塗布したもの、その他打抜片Sを短時間端面に保持可能な構成としてもよい。
その他、切断装置1、供給装置2、打ち抜き装置3、回収装置34、スリッター装置4、および寸断装置5の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、原反から矩形状の製品を切り分ける工程、例えば、湿布効果を有する薬剤が塗布された原反を所定の寸法の製品に切り分ける工程に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る打ち抜き装置を有する切断装置の構成図である。
【図2】打ち抜き装置の正面図である。
【図3】打ち抜き装置の平面図である。
【図4】打ち抜き装置の側面図である。
【図5】切断装置における打ち抜き装置の平面概略図である。
【図6】切断装置における打ち抜き装置の周辺の側面概略図である。
【図7】回収装置の正面断面図である。
【図8】回収装置の図7における右側面図である。
【図9】従来技術における回転カッターの平面図である。
【図10】他の従来技術における回転カッターの概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 切断装置
3 打ち抜き装置
9 カッター
10 支持部
11 刃部
16 刃
M1 原料(原反)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の幅を有し前記幅に比べて搬送方向に十分に長い帯状の原料から前記搬送方向に複数列に渡り略矩形状の製品を切り分ける切断装置であって、
前記製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッターを備えた打ち抜き装置を有し、
前記カッターは、
平面視の形状が円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり且つ前記搬送方向および前記搬送方向に直交する方向に前記形状の不連続点が配された刃を備える刃部と、
前記刃部を着脱可能に支持する支持部と、からなる
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記刃の平面視における形状が、
円を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換し組み合わせてなる形状である
請求項1に記載の切断装置。
【請求項1】
特定の幅を有し前記幅に比べて搬送方向に十分に長い帯状の原料から前記搬送方向に複数列に渡り略矩形状の製品を切り分ける切断装置であって、
前記製品における4隅を円弧または鈍角の組み合わせとするための複数のカッターを備えた打ち抜き装置を有し、
前記カッターは、
平面視の形状が円、長円、楕円または4n角形(n≧1)を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換したものを組み合わせてなり且つ前記搬送方向および前記搬送方向に直交する方向に前記形状の不連続点が配された刃を備える刃部と、
前記刃部を着脱可能に支持する支持部と、からなる
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記刃の平面視における形状が、
円を、図心をそれぞれが含むように4等分しそれぞれ前記図心について対向する側に置換し組み合わせてなる形状である
請求項1に記載の切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−144543(P2007−144543A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340992(P2005−340992)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(502223404)花栄機械工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(502223404)花栄機械工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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