説明

切断製品の吸着搬送格納方法及び装置

【課題】板状のワークに切断加工された複数のパーツを同時に吸着搬送して、個別の製品パレットに各パーツをそれぞれ格納することにより、板材加工機における切断加工の停止時間をより短時間にすることのできる方法及び装置を提供する。
【解決手段】複数の吸着具を備えた吸着搬送手段の吸着搬送装置によって、切断加工された複数の製品を吸着する工程と、前記吸着搬送装置によって吸着された各製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送する工程と、各製品に対応した製品格納部へ各製品を搬送する毎に、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除して当該製品を当該製品格納部に格納する工程、の各工程を備え、前記吸着搬送装置による複数の製品の吸着は、1枚のワークに対する複数の製品の切断加工が全て終了した後に、又は、1枚のワークにおける所定領域内の複数の製品の切断加工が終了し、前記所定領域外の製品の切断加工の継続時に、前記所定領域内の複数の同時吸着を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザ加工機等の板材加工機によって、板状のワークに切断加工された複数の製品(パーツ)を、吸着搬送手段において複数の吸着具を備えた吸着搬送装置によって同時に吸着して各製品に対応した各製品格納部へ搬送し、前記各製品格納部に対して対応した製品のみを格納する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばレーザ加工機等の板材加工機によって板状のワークに複数の製品を切断加工したとき、切断加工された製品を個々に搬送して製品パレット等の製品格納部へ集積する(格納する)ことが提案されている(特許文献1参照)。また、切断加工された複数の製品を同時に吸着搬送して製品格納部に同時に格納することが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−220628号公報
【特許文献2】特開2001−139146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の発明は、パンチプレスなどの板材加工機によって板状のワークから切断分離された製品を、前記板材加工機上から集積領域へ、仕分け集積機によって1個毎に搬送積載する構成である。したがって、板材加工機によって製品を切断分離した後は、切断分離された当該製品が仕分け集積機によって板材加工機から搬出されるまで、次の製品の切断加工を行うことができないものである。よって、最近のようにレーザ切断加工が高速化されると、レーザ切断加工機の稼働率が低くなるという問題がある。
【0005】
すなわち、板材加工機において板材から製品を切断分離する毎に製品の搬出を行う場合、製品の搬出を行う毎に、板材の切断加工を一時停止することとなり、複数の製品を連続して切断加工することができないものである。したがって、例えば、定尺の1枚の板材の切断加工において、切断加工時間<搬出時間となり、生産効率が低下するという問題がある。
【0006】
この場合、例えば製品形状が小さく数が多くなると、製品の搬出回数が増加し問題である。
【0007】
前記特許文献2に記載の発明は、レーザ加工機によって板状のワークに複数の製品を切断分離した後、複数のバキュームパットによって複数の製品を同時に吸着して製品用パレット上へ同時に搬送する構成である。したがって、例えば後工程に対応して各製品を各製品格納部に個別に仕分ける場合には、製品用パレット上の各製品を改めて仕分けする必要があり、製品毎の仕分け作業が厄介であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ吸着搬送格納する方法であって、
(a)複数の吸着具を備えた吸着搬送手段の吸着搬送装置によって、切断加工された複数の製品を吸着する工程、
(b)前記吸着搬送装置によって吸着された各製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送する工程、
(c)各製品に対応した製品格納部へ各製品を搬送する毎に、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除して当該製品を当該製品格納部に格納する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記切断製品の吸着搬送格納方法であって、前記吸着搬送装置による複数の製品の吸着は、1枚のワークに対する複数の製品の切断加工が全て終了した後に行われることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記切断製品の吸着搬送格納方法において、前記吸着搬送装置による複数の製品の吸着は、1枚のワークにおける所定領域内の複数の製品の切断加工が終了し、前記所定領域外の複数の製品の切断加工の継続中に、前記所定領域内の複数の製品の吸着を行うことを特徴とするものである。
【0011】
また、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した格納部へ吸着搬送格納する方法であって、
(a)複数の製品を吸着するために、X、Y平面内に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置における吸着領域の大きさに対応して前記ワークに予め複数の製品を加工した加工領域へ前記吸着搬送装置を位置決めする工程、
(b)前記加工領域内に加工された複数の製品を、前記複数の吸着具によって吸着する工程、
(c)前記吸着搬送装置によって吸着された各製品を各製品に対応して予め位置決めされている各製品格納部へ搬送する工程、
(d)各製品に対応した製品格納部へ各製品を搬送する毎に、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除して当該製品を当該製品格納部に格納する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記切断製品の吸着搬送格納方法において、同一形状寸法の同一製品を同一の製品格納部に格納する際に、前記吸着搬送手段において吸着搬送装置を水平に旋回し、製品の方向性をほぼ同一方向に揃えて積み重ねることを特徴とするものである。
【0013】
また、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記複数の吸着具によって吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと吸着した各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
前記吸着搬送装置のX、Y、Z方向への相対的な移動位置を制御するための移動制御手段と、
各製品に対応して予め位置設定された各製品格納部と、
前記各製品格納部の座標位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
前記製品格納部位置データメモリに格納された位置データと前記搬送製品データメモリに格納されたデータを参照して移動制御手段の制御の下に前記吸着搬送装置をX、Y、Z方向へ相対的に移動し、前記各製品格納部に対応する位置へ前記吸着搬送装置を位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを参照して作成された加工プログラムを用いて板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置の吸着領域を示すX、Y方向の吸着領域寸法データ及び当該吸着搬送装置のX、Y軸方向の基準位置に対する前記各吸着具の配置位置を示す配置位置データ並びに前記吸着具の大きさを示す吸着具寸法データを予め格納した吸着データメモリと、
前記ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを参照して切断加工されるワーク及び当該ワーク上の製品を表示すると共に、前記吸着データメモリに格納されている吸着搬送装置の吸着領域、吸着具の配置位置及び吸着具の大きさを、表示されたワーク画像に対して重ねて表示するシミュレーション表示手段と、
前記シミュレーション表示手段に表示されたワーク画像に対してシミュレーション表示手段に表示された吸着搬送装置画像を移動位置決めするための操作手段と、
前記ワーク画像に対する吸着搬送装置画像の位置決定を行う位置決定手段と、
上記位置決定手段によって位置決定することによって前記吸着搬送装置に吸着保持される複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
前記位置決定手段によって決定された位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動制御すると共に、前記搬送製品データメモリに格納されたデータ及び各製品に対応して予め位置決めしてある各製品格納部の位置データを参照して各製品の搬送位置を移動制御するための移動制御手段と、
前記吸着搬送装置による各製品の吸着、解除を行うために前記各吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置において複数の前記吸着具を配置した吸着領域に対応して、前記ワークに予め複数の製品を加工した加工領域へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めするための移動制御手段と、
前記加工領域において前記吸着搬送装置に吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
各製品に対応して予め位置設定された各製品格納部と、
前記各製品格納部の位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
前記搬送製品データメモリに格納されたデータと前記製品格納部位置データメモリに格納されたデータを参照して、前記吸着搬送装置に吸着された各製品を対応した各製品格納部へ搬送すべく前記吸着搬送装置の相対的な移動位置を制御するための前記移動制御手段と、
前記吸着搬送装置を移動制御して、当該吸着搬送装置に吸着した各製品を対応した製品格納部に対して位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面の吸着領域内に複数の吸着具を備えると共にワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置における前記吸着領域のX、Y軸方向の大きさを示す吸着領域寸法データと、当該吸着搬送装置におけるX、Y軸方向の基準位置に対する前記各吸着具の配置位置を示す配置位置データと、前記各吸着具の大きさを示す吸着具寸法データとを予め格納した吸着データメモリと、
各製品に対応して予め位置設定された複数の製品格納部と、
前記各製品格納部の配置位置を示す座標位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
板材加工機によって板状のワークに複数の製品の切断加工を行うために、ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを格納したネスティングデータメモリと、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を前記吸着搬送装置によって吸着するために、前記ワークに対して予め設定された初期吸着位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めするための移動制御手段と、
前記ネスティングデータメモリに格納されているネスティングデータ内の各製品の形状寸法データを参照して各製品の面積を演算する面積演算手段と、
前記初期吸着位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めして複数の製品を吸着するときに、前記面積演算手段によって演算した面積内に位置する前記吸着具の数を判別する吸着具数判別手段と、
前記吸着具数判別手段によって判別された複数の吸着具のみによって吸着を行い、その他の吸着具の吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除の制御を行う吸着具制御手段と、
前記吸着搬送装置に吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y軸方向の吸着位置データと吸着した各製品の形状寸法データとを格納した搬送製品データメモリと、
前記製品格納部位置データメモリに格納された各製品格納部の位置データと、前記搬送製品データメモリに格納された各製品の吸着位置データ及び形状寸法データを参照して、前記移動制御手段の制御の下に前記各製品格納部に対応した位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記吸着具の吸着、解除の制御を行う前記吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
また、前記切断製品の吸着搬送格納装置であって、
前記製品格納部位置データメモリには、前記各製品格納部に格納する各製品の方向性を示す製品方向性データを含み、前記搬送製品データメモリには、前記吸着搬送装置に吸着した各製品の方向性を示す製品方向性データを含み、前記各製品格納部に前記吸着搬送装置に吸着した各製品をそれぞれ格納するときに、前記製品格納部位置データに含まれた製品方向性データの方向性と前記搬送製品データメモリに含まれた製品方向性データの方向性とを一致させるべく前記吸着搬送装置の旋回動作を制御する旋回動作制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を、吸着搬送装置によって各製品に対応した各製品格納部へ同時に吸着搬送し、各製品格納部に対応した製品のみを当該製品格納部に格納するものである。したがって、板材加工機によって複数の製品を切断加工した板状のワークからの複数の製品の搬出を短時間で行うことができる。よって、板材加工機における切断加工の停止時間をより短時間にすることができ、稼働率の向上を図ることができる。また、各製品格納部への製品の格納を能率よく行うことができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る板材加工機、製品格納装置や吸着搬送装置等の配置関係を概念的、概略的に示した平面説明図である。
【図2】吸着搬送装置の概念的、概略的な斜視説明図である。
【図3】ワークに対する吸着搬送装置の配置位置関係及びパーツ(製品)の格納部の関係を概念的、概略的に示した平面説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る装置の機能を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、全体的構成の理解を容易にするために、板状のワークに切断加工を行う板材加工機としての例えばレーザ加工機1及び上記レーザ加工機1によって板状のワークから切断分離された製品(パーツ)を格納する製品格納装置3並びに前記レーザ加工機1から前記製品格納装置3へ切断された製品を吸着搬送する吸着搬送手段5等の配置位置関係等について概念的、概略的に説明する。
【0021】
前記レーザ加工機1の構成は既に公知であるが、本実施形態においては、シャトルテーブルタイプのレーザ加工機を採用している。シャトルテーブルタイプのレーザ加工機1は、X軸方向へ交互に移動位置決め自在な第1、第2の加工テーブル7A,7Bを備え、かつ前記加工テーブル7A又は7Bの上方においてY軸方向へ相対的に移動位置決め自在なレーザ加工ヘッド(図示省略)を移動自在に備えた加工ヘッドキャリッジ部材9をX軸方向へ相対的に移動位置決め自在に備えている。
【0022】
上記レーザ加工機1においては、集塵機11による集塵作用を受ける集塵作用領域13に、板状のワークWを載置した第1又は第2の加工テーブル7A(又は7B)を位置決めする。そして、この第1又は第2の加工テーブル7A(又は7B)に対して前記加工ヘッドキャリッジ部材9をX軸方向へ相対的に移動位置決めし、かつレーザ加工ヘッドをY軸方向へ相対的に移動位置決めすることによってワークWにレーザ加工を行うものである。
【0023】
そして、前記集塵作用領域13に一方の加工テーブル7Aを位置決めして、当該一方の加工テーブル7A上のワークWのレーザ切断加工を行っているときに、他方の加工テーブル7Bを、前記集塵作用領域13に隣接したワーク搬出入領域15に位置決めし、当該ワーク搬出入領域15において他方の加工テーブル7B上からレーザ切断加工された製品及びスケルトンの搬出を行う。そして、ワーク搬出入領域15において前記他方の加工テーブル7B上に新しいワークを載置位置決めするものである。
【0024】
すなわち、シャトルテーブルタイプのレーザ加工機1においては、第1、第2の加工テーブル7A,7Bを集塵作用領域13及びワーク搬出入領域15に対して交互に位置決めしてワークWのレーザ加工及びレーザ切断加工後の製品、スケルトンの搬出及び新しいワークの供給載置を交互に行い得るので、ワークWに対するレーザ切断加工を能率よく行うことができるものである。
【0025】
前記レーザ加工機1によって切断加工された各製品に対応して、各製品を格納(集積)するために、前記レーザ加工機1に近接したY軸方向の一側位置には、前記製品格納装置3が備えられている。この製品格納装置3は、X軸方向に長いガイドレール17を備えており、このガイドレール17上には、各製品に対応した各製品格納部としての複数の製品パレット19A〜19EがX軸方向へ移動可能に整列して配置されている。
【0026】
前記ガイドレール17のX軸方向の一端側には、前記ガイドレール17に対して空の製品パレットを載置するために、複数の製品パレットを上下動自在に備えた製品パレットストッカ21が備えられている。そして、前記ガイドレール17のX軸方向の他端側には、製品を積載(格納)した製品パレットを搬出する製品パレット搬出部23が備えられている。
【0027】
したがって、前記製品格納装置3においては、予め複数の製品パレットを上下動可能に重ねて備えた製品パレットストッカ21からガイドレール17上に下側の製品パレットから順次載置供給することができる。そして、ガイドレール17上の製品パレットはガイドレール17に沿ってX軸方向の他端側へ移動することができ、製品を積載した後の製品パレットは、ガイドレール17の他端側の製品パレット搬出部23から搬出することができるものである。
【0028】
前記レーザ加工機1によってワークWから切断分離された製品を前記各製品パレット19A〜19E上へ吸着搬送するために、前記レーザ加工機1と前記製品格納装置3との間には、X軸方向に長い走行レール25が配置してあり、この走行レール25上には、産業用ロボット等のごとき前記吸着搬送手段5がX軸方向へ走行自在に備えられている。より詳細には、前記走行レール25上には、X軸方向へ走行位置決め自在なスライドベース27が備えられており、このスライドベース27上には、吸着搬送手段5としての多関節ロボットの旋回台28がZ軸回りに水平に旋回位置決め自在に備えられている。
【0029】
そして、前記多関節ロボットにおいて、X、Y、Z軸方向へ移動位置決め自在な多関節のロボットアーム29の先端部には、一般的な産業用ロボットと同様に、前記ロボットアーム29の長手方向に対して直交する方向の回動軸の回りに回動位置決め自在(揺動位置決め自在)なロボットハンド31が備えられている。このロボットハンド31は、前記回動軸に対して直交する方向の軸心回りに回動位置決め自在であり、かつ前記製品を吸着する製品ハンド(吸着搬送装置)33(図2参照)と板状のワークを吸着保持可能なワークハンド35とを着脱交換可能なチャックハンドに構成してある。
【0030】
前記製品ハンド33は、前記走行レール25のX軸方向の一側方に配置した製品ハンド棚33Aに格納されており、前記ワークハンド35は前記走行レール25のX軸方向の他側方に配置したワークハンド棚35Aに格納されている。前記製品ハンド棚33Aには、例えば一側辺及び他側辺の長さが100mm〜1000mmの範囲の正方形状又は長方形状の適宜形状の複数の製品ハンド33が格納されている。上記各製品ハンド33は、ワークWから切断分離された製品を吸着するための、例えば吸着パッドなどの吸着具39(図2参照)の大きさや複数の吸着具39のピッチなどが異なるものである。
【0031】
なお、製品ハンド33の構成としては、例えば、製品ハンド33の形状、寸法が異なる構成、又は複数の大きさの等しい吸着具39を全面に均等に配置した構成や、例えば製品ハンド33の周縁に沿った所定の領域や中央部付近の所定の領域などの適宜領域における吸着具39の配置を密にするなど、対象とする製品の形状、寸法などに対応して種々の構成とすることができるものである。
【0032】
したがって、ワークWから切断分離された複数の製品の配置や形状、寸法等に対応して、前記ロボットハンド31に対して各種の適正な製品ハンド33を着脱交換して使用することができるものである。
【0033】
上記構成により、前記ロボットハンド31に適宜の製品ハンド33を装着した状態においては、前記ワーク搬出入領域15に位置する加工テーブル7A(又は7B)上から製品を吸着して、前記各製品パレット19A〜19Eに対して当該各製品パレット19A〜19Eに対応した各製品を格納することができるものである。そして、前記ロボットハンド31にワークハンド35を装着した状態においては、前記レーザ加工機1のX軸方向に隣接して配置した素材/スケルトン棚37に対して、前記ワーク搬出入領域15に位置する前記加工テーブル7A(7B)上からスケルトンを搬出することができると共に、前記素材/スケルトン棚37から前記加工テーブル7A(7B)に対して新しい板状のワークWを吸着搬入することができるものである。
【0034】
ところで、前記製品ハンド33は、前記レーザ加工機1によって板状のワークWに切断加工された複数の製品を一度に(同時に)吸着保持又は吸着把持して、前記各製品パレット(製品格納部)19A〜19Eにそれぞれ対応した製品を吸着搬送する吸着搬送装置を構成するものであって、次のように構成してある。すなわち、図2に概略的に示すように、吸着搬送装置(製品ハンド)33は複数の製品を同時(一度)に吸着するために、X、Y平面内に吸着パッドなどの複数の吸着具39を支持した吸着具保持部材41を備えている。この吸着具保持部材41は、ベース部材43の下側にX、Y軸方向へ等間隔に備えられている。
【0035】
前記ベース部材43の上面中央部には、前記吸着搬送手段(産業用ロボット)5における前記ロボットハンド31に対して着脱交換可能に接続されるハンド接続部45を備えている。また、前記ベース部材43の上面には、前記各吸着具39に対応して各吸着具39を個別に吸着作用状態又は吸着を解除した状態に切換えるための複数のソレノイドバルブ47Sを備えた複数のバルブユニット47が備えられている。したがって、吸着搬送装置33においては、各吸着具39の吸着、解除を個別に制御することができるものである。
【0036】
ところで、前記レーザ加工機1として、シャトルテーブルタイプの場合について例示するけれども、レーザ加工機には、レーザ切断加工を行うレーザ加工ヘッドに対して、板状のワークを支持した加工パレットがX軸方向又はY軸方向へ相対的に移動し、レーザ加工ヘッドがY軸方向又はX軸方向へ相対的に移動するタイプや、ワークに対してレーザ加工ヘッドが相対的にX、Y軸方向へ移動するタイプなど、種々のタイプのレーザ加工機があり、前記製品ハンド33は、各種のタイプのレーザ加工機に対して適用可能なものである。
【0037】
さて、例えば図3(A)に示すように、板状のワークWに、形状寸法の異なる複数の製品(パーツ)49A〜49Dを、レーザ加工機1によって切断加工を行い、次に、図3(B)に示すように、各パーツ(製品)49A〜49Dを、前記吸着搬送手段5によって製品格納部である各製品パレット19A〜19Dへ吸着搬送し格納する場合について説明する。
【0038】
先ず、ワークWに対して複数の各パーツ49A〜49Dをレーザ加工機によって切断加工するには、図4に示すように、入力手段51によって各パーツ49A〜49Dの形状寸法及び各パーツ49A〜49Dの個数に関するネスティングに必要データをネスティング手段53に入力する。公知のように、ネスティング手段53はコンピュータから構成してあるものであって、当該ネスティング手段53にネスティングに必要データを入力すると、ネスティング手段53においては、ワークWから前記各パーツ49A〜49Dを歩留りよく切断するためのネスティングデータ、すなわちワークWの原点位置に対する各パーツ49A〜49Dのパーツ配置データを作成する。
【0039】
前記ネスティングデータ(パーツ配置データ)は、コンピュータから構成されている自動プログラミング装置55に入力される。そして、自動プログラミング装置55において、前記ネスティングデータのとおりにワークの切断加工を行うためのレーザ加工機1の動作プログラム(レーザ切断加工データ)を作成すると共に、前記吸着搬送手段5を制御するための軸動作プログラムが作成されるものである。すなわち、前述のように、ネスティングデータが入力されると、当該自動プログラミング装置55において各種の演算機能を備えた演算手段57によって各パーツ49A〜49Dの中心位置及び/又は重心位置、面積を演算する。すなわち、演算手段57に備えた演算機能の1例としての面積演算手段57Aによって演算された中心位置及び/又は重心位置、面積と前記パーツ配置データとを関連付けたネスティングデータは、自動プログラミング装置55に備えたネスティングデータメモリ59に格納される。
【0040】
前記ネスティングデータメモリ59には、ワークWの原点位置OからワークWのX,Y軸方向の寸法データすなわちワークWの大きさを示す寸法データ、前記原点位置Oに対する前記各パーツ49A〜49Dの中心位置又は重心位置の配置位置を示すパーツ配置位置データ、各パーツ49A〜49Dの形状寸法データ、面積データ及び方向性を有するパーツの場合にはその方向性(例えばパーツの長手方向、切欠方向、開口方向、突出方向等、各パーツの特徴部分が示す方向、例えばX,Y軸に対する特徴部分の傾斜角度などの方向やZ軸回りの旋回角度などの方向)のデータが格納されるものである。
【0041】
なお、各パーツ49A〜49Dの面積等を演算する前記面積演算手段57A及びネスティングデータメモリ59を自動プログラミング装置55に備えた場合について例示した。しかし、前記面積演算手段57A及びネスティングデータメモリ59は、前記ネスティング手段53に備えてもよいものである。すなわち、面積演算手段57A、ネスティングデータメモリ59は、ネスティング手段53又は自動プログラミング装置55の一方又は両方に備えてもよいものである。
【0042】
前述のごとく、ネスティングデータがネスティングデータメモリ59に格納されると、前記自動プログラミング装置55においては、公知のように、前記ネスティングデータすなわちパーツ配置データ及び自動プログラミング装置55に備えられたレーザ切断条件メモリ(図示省略)を参照して、パーツ配置データに示された配置通りに、レーザ加工機1によってワークWのレーザ切断加工を行うためのレーザ切断加工データ(NCデータ)を作成する。そして、前記レーザ切断加工データは、レーザ加工機1の動作を制御するためのレーザ加工機制御手段(レーザ加工機用NC装置)61に格納される。
【0043】
したがって、レーザ加工機1においては、自動プログラミング装置55によって作成され、レーザ加工機制御手段61に格納されたレーザ切断加工データの制御の下にワークWのレーザ切断加工を行うものである。よって、レーザ加工機1によってレーザ切断加工されたワークWには、前記ネスティング手段53によって作成されたパーツ配置データに示すとおりの配置でもって各パーツ49A〜49Dの切断加工が行われるものである。
【0044】
前記レーザ加工機1によってワークWに切断加工された各パーツ49A〜49Dの複数を、前記吸着搬送手段(産業用ロボット)5における前記製品ハンド(吸着搬送装置)33によって一度に(同時に)吸着保持又は吸着把持し、前記各製品パレット19A〜19Dへ吸着搬送して格納するために、前記自動プログラミング装置55にはコンピュータから構成されているシミュレーション装置63が交互に通信可能に備えられている。このシミュレーション装置63には、一般的なシミュレーション装置と同様に、シミュレーション表示手段65が備えられている。このシミュレーション表示手段65は、前記自動プログラミング装置55のネスティングデータメモリ59から入力されたネスティングデータを参照して、ワークW及びワークWに対する各パーツ49A〜49Dの配置位置を表示すると共に、前記吸着搬送装置33に備えた複数の前記吸着具39等を、表示されているワーク画像に重ねて表示するものである。
【0045】
前記シミュレーション表示手段65に表示される前記吸着具39等のデータは、吸着データメモリ67に予め格納されているものである。上記吸着データメモリ67には、前記吸着搬送装置33における基準位置S(図3参照)からの、吸着領域69のX,Y軸方向の大きさを示す吸着領域寸法データと、前記基準位置Sに対する前記各吸着具39のX,Y軸方向の配置位置を示すX,Y軸方向の吸着具配置位置データと、前記各吸着具39の大きさを示す吸着具寸法データが予め格納されている。
【0046】
したがって、前記ネスティングデータメモリ59に格納されているネスティングデータと前記吸着データメモリ67に格納されている吸着データとをシミュレーション装置63に入力することにより、シミュレーション装置63におけるシミュレーション表示手段65に、前記ネスティングデータメモリ59に格納されているネスティングデータを参照して表示されるワーク画像と、前記吸着データメモリ67に格納されている吸着データを参照して表示される吸着搬送装置画像とを重ねて表示することができるものである。よって、ワークWにおいてレーザ切断加工される各パーツ49A〜49Dの吸着作用を行う各吸着具39の数と位置とを知ることができる。
【0047】
すなわち、前記シミュレーション表示手段65に表示された各パーツ49A〜49Dにおいて、前記吸着搬送装置33の範囲に含まれる、すなわち吸着搬送装置33と重なる部分の各パーツ49A〜49Dの重なり位置及び重なり部分の面積の領域データと表示された前記各吸着具39の位置データとを、シミュレーション装置63に備えた演算手段71によって比較演算することにより、各パーツ49A〜49Dの吸着作用を行う各吸着具39の位置と数を求めることができるものである。
【0048】
したがって、各パーツ49A〜49Dの形状寸法とワークWの板厚によって各パーツ49A〜49Dの重量を前記演算手段71によって演算すると共に、各パーツ49A〜49Dの吸着作用を有効に行う複数の吸着具39(各パーツ49A〜49Dにおける切断縁から吸着具39の一部が外れて吸着を充分に行うことのできない吸着具39は除外する)が各パーツ49A〜49Dを吸着して持ち上げ可能な重量(総吸着力)を演算し、両演算結果を前記演算手段71によって比較演算することにより、各パーツ49A〜49Dを吸着搬送可能か否かの判別を行うことができるものである。
【0049】
上記判別手段において、吸着搬送不可能なパーツが存在する場合には、前記製品ハンド棚35Aに格納されている別個の吸着搬送装置33を着脱交換し、当該吸着搬送装置33によって各パーツ49A〜49Dの吸着搬送が可能か否かを再度判別を行うことになる。そして、吸着搬送可能な吸着搬送装置33があった場合には、当該吸着搬送装置33を用いて各パーツ49A〜49Dの吸着搬送を行う。しかし、吸着搬送装置33の着脱交換を繰り返し行っても吸着搬送不可能なパーツが存在する場合には、例えばシミュレーション表示手段65に表示するなどの適宜の手段を講じて、吸着搬送不可能なことを報知し作業者に知らせる。そして、上記報知があったときには、吸着搬送不可能なパーツを残して吸着搬送を行い、残したパーツは適宜時機に作業者が手動的に搬出することになる。
【0050】
前記演算手段71による前記判別において、吸着搬送不能と判別した各パーツ49A〜49Dに対応した複数の吸着具39の吸着を解除するものである。すなわち、前記シミュレーション装置63によるシミュレーションの結果、吸着解除に対応した各吸着具39の吸着、解除を行うための吸着、解除データが前記吸着搬送手段(産業用ロボット)5の動作を制御するための吸着搬送装置移動制御手段(ロボットコントローラ)73に入力される。そして、ロボットコントローラ73に備えた吸着具制御手段75によってバルブユニット47における対応した各ソレノイドバルブ47SのON,OFFを制御して、各パーツ49A〜49Dの吸着可能位置に対応した各吸着具39の吸着、解除を制御するものである。
【0051】
なお、前記各吸着具39において、吸着の解除に該当する吸着具39は、前記各パーツ49A〜49Dの吸着可能領域外に位置する各吸着具39及び各パーツ49A〜49Dにおいて吸着搬送不能と判別された各パーツ49A〜49Dに対応している各吸着具39である。
【0052】
ところで、レーザ加工機1によってワークWにレーザ切断加工された複数のパーツ49A〜49Dを、前記吸着搬送手段5における吸着搬送装置33によって各製品パレット19A〜19Dへ吸着搬送して格納するには、各パーツ49A〜49Dをレーザ切断加工されたワークWに対して、複数の各パーツ49A〜49Dを一度に(同時に)吸着し搬送すべく、ワークWに対して吸着搬送装置33の位置決めを行う必要がある。そこで、前記シミュレーション装置63の前記シミュレーション表示手段65に表示されたワーク画像に対して前記吸着搬送装置33の前記吸着領域69の画像を重ねて表示する。そして、より多くのパーツ49A〜49Dを同時に吸着し搬送するために、前記シミュレーション表示手段65上において前記吸着領域69の画像をX,Y軸方向へ移動位置決めし、かつZ軸回りに旋回するための例えばジョイステックやマウスなどのごとき適宜の操作手段77が前記シミュレーション装置63に備えられている。
【0053】
したがって、前記操作手段77の操作によって、前記シミュレーション表示手段65に表示されたワーク画像に対して前記吸着領域69の画像をX,Y軸方向へ移動位置決めすることができると共に旋回位置決めすることができるものである。ワーク画像に対して吸着領域69の画像の位置決めを行った後、前記操作手段77に備えた例えば押しボタンなどのごとき決定手段79を操作することにより、ワーク画像に対する吸着領域69の位置決めが行なわれる。そして、前記ワーク画像に対する吸着領域69を位置決めした位置は、前記シミュレーション装置63に備えた吸着領域69の配置位置データメモリ80に格納される。
【0054】
すなわち、前記配置位置データメモリ80には、ワーク画像に対して前記吸着領域69の配置位置決めを行った順番毎に、前記ワーク画像の原点位置Oに対する前記吸着領域69における基準位置SのX,Y軸方向の位置と、旋回した場合のX,Y軸に対する旋回角度を関連付けて格納されるものである。そして、前記位置決め順毎に、前記吸着搬送装置33の前記吸着領域69に吸着したときの各パーツ49A〜49Dの吸着位置データを格納する搬送製品データメモリ81が前記シミュレーション装置63に備えられている。
【0055】
より詳細には、前述したように、ワーク画像に対して吸着領域69の画像の配置位置の位置決めを行うと、当該吸着領域69の画像内に位置して吸着可能と判別された各バーツ49A〜49Dが吸着搬送装置33における複数の吸着具39によって同時に吸着されるものである。この際、ワークWの画像における原点位置Oに対する吸着領域69の画像位置における基準位置Sの位置は明確であり、かつ吸着領域69の基準位置Sに対する各パーツ49A〜49Dの座標位置関係は明確である。したがって、吸着搬送装置33の基準位置Sに対する各パーツ49A〜49Dの吸着位置の位置データと、吸着する各パーツ49A〜49Dの形状寸法データと各パーツ49A〜49Dの方向性を示すデータと、吸着搬送装置33を旋回した場合の旋回角度データとを、前記配置位置メモリ80に格納されている配置位置データと関連付けて前記搬送製品データメモリ81に格納されるものである。
【0056】
吸着搬送装置33における吸着領域69の画像をワークWの画像に重ねて表示し、操作手段77を操作して吸着領域69の画像の配置位置決めを行うときには、より多くの各パーツ49A〜49Dが前記吸着領域69内に位置するように位置決めすることが望ましいものである。
【0057】
以上のごとき説明から理解されるように、各パーツ49A〜49Dをネスティング処理(各パーツ49A〜49Dの配置処理)を行ったワークWの画像をシミュレーション装置63におけるシミュレーション表示手段65に表示し、かつ吸着搬送装置33の吸着領域69の画像を前記ワークWの画像に重ねて表示して、操作手段77の操作によって、ワークWの画像に対して吸着領域69の画像を移動位置決めして各パーツ49A〜49Dに対する吸着位置を決定するものであるから、吸着搬送手段5における吸着搬送装置33によって各パーツ49A〜49Dの複数を同時に(一度に)吸着搬送するとき、安定した吸着搬送を行うことができるものである。
【0058】
なお、前記説明においては、シミュレーション装置63におけるシミュレーション表示手段65の表示画像を見ながら、ワークWの画像に対して吸着搬送装置33の画像(吸着領域69の画像と同義)の配置位置決めを行う場合について説明した。しかし、シミュレーション装置63によることなく、前記自動プログラミング装置55における演算処理によって、前記ワークWの画像に対する吸着搬送装置33の画像の位置決めと同様の位置決めを行うことができるものである。
【0059】
すなわち、例えば、図3に示すように、ワークWに対して各パーツ49A〜49Dのネスティング処理(配置処理)を行った場合、各パーツ49A〜49Dの形状寸法のデータやワークWの原点位置Oに対する各パーツ49A〜49Dの配置位置データなどは、前述したように、ネスティングデータメモリ59に格納されている。そして、ワークWに切断配置された状態にある前記各パーツ49A〜49Dを吸着搬送するための前記吸着搬送装置33に関するデータは、前記吸着データメモリ67に格納されている。
【0060】
したがって、ワークWのX,Y軸方向と吸着搬送装置33のX,Y軸方向とが一致し、かつワークWの原点位置Oと吸着搬送装置33の基準位置Sとが一致した状態に吸着搬送装置33の位置決めを行なったときの吸着搬送装置33の当該位置決めデータと、前記ネスティングデータメモリ59に格納されているネスティングデータと、前記吸着データメモリに格納されている吸着データとを参照して、自動プログラミング装置55における演算手段57の面積演算手段57Aによって前記吸着搬送装置33における吸着領域69内に位置する各パーツ49A〜49Dの面積を求める。
【0061】
次に、前述した演算手段71と同様に、各パーツ49A〜49Dが吸着搬送可能であるか否かの判別を、演算手段57において行う。この場合、各パーツ49A〜49Dの全体形状が前記吸着領域69内に位置する場合は対応する多くの吸着具39によって吸着できるので何等の問題はない。しかし、各パーツ49A〜49Dの一部が前記吸着領域69から突出している場合には問題である。
【0062】
そこで、一部分が吸着領域69から突出している各パーツ49A〜49Dの吸着領域63内の面積を、面積演算手段57Aによって演算する。この演算した面積と当該面積の位置に対応して吸着作用を有効に行う吸着具39の総数を吸着具数判別手段57Bによって演算する。そして、一部分が前記吸着領域69から突出している各パーツ49A〜49Dの重量と、前記吸着具数判別手段57Bによって演算した吸着具39の総数による吸着力とを、演算手段57に備えた比較演算手段57Dによって比較演算する。そして、当該比較演算手段57Dによって、一部分が吸着領域69から突出している各パーツ49A〜49Dが吸着搬送可能か否かの判別を行う。
【0063】
上記比較において、総数の吸着具39による総和の吸着力が各パーツ49A〜49Dの重量よりも大のときには、一部分が前記吸着領域69から突出していても、吸着搬送可能であるから、同時に吸着して搬送することになる。
【0064】
しかし、前記吸着具39の総和の前記吸着力が各パーツ49A〜49Dの重量よりも小さいときには、前記比較演算手段57Dにおいて吸着搬送不可能と判別する。したがって、吸着搬送不可能と判別したパーツ49A〜49Dに関しては、吸着を解除して、次回の吸着搬送装置33の配置位置決め時に、パーツ49A〜49Dの全面が吸着領域69内に入るように吸着搬送装置33を位置決めして、吸着することも可能である。
【0065】
また、前述したように、製品ハンド棚35Aに格納されている各種の吸着搬送装置33と着脱交換して、吸着搬送が可能か否かを再度判別し、吸着搬送が可能な場合には、当該吸着搬送装置33を用いて各パーツ49A〜49Dの吸着搬送を行う。しかし、吸着搬送装置33の着脱交換を行った場合でも吸着搬送不可能なパーツが存在する場合には、前述したように、作業者に報知することになる。
【0066】
前述したように、一度に複数の各パーツ49A〜49Dを吸着して同時に搬送する対象となる各パーツ49A〜49Dの全てが吸着搬送可能と判別された場合には、この判別された位置に対応した位置がワークWに対して吸着搬送装置33が各パーツ49A〜49Dの吸着を行うための配置位置となるものである。
【0067】
ところで、図3(A)に示すように、ワークWに対して吸着搬送装置33の吸着領域69を第1配置位置として位置69Aに配置した場合、各パーツ49A1、49B1、49C1、49D1の全体は、全てが位置69Aにおける吸着領域69内に含まれるので問題はない。なお、第1配置位置として位置69Aに吸着搬送装置33を配置する場合、ワークWの原点位置Oと吸着搬送装置33の基準位置Sが一致するように配置することも可能である。しかし、ワークWの端縁は必ずしも精度の良い直線とは限らないので、ワークWの原点位置OからX,Y軸方向に予めオフセットした位置を、第1配置位置の原点位置として設定してもよい。
【0068】
また、ネスティングデータメモリ59に格納されているネスティングデータと、吸着データメモリ67に格納されている吸着データとを参照して、自動プログラミング装置55における演算手段57によって、ワークWの原点位置Oから吸着搬送装置33の吸着領域69内に位置する各パーツ49A〜49Dを比較演算によって選出する。そして、選出した全てのパーツ49A〜49Dが前記吸着領域69内に位置するように、ワークWに対する吸着領域69の第1配置位置69Aの位置設定を行うことも可能である。
【0069】
次に、前記第1配置位置69Aに隣接したX軸方向又はY軸方向の所望方向に第2配置位置69Bを設定する。この場合、第2配置位置69B内のパーツ49A2、49A3及びパーツ49B2、49B3は第2配置位置69B内に位置するので、問題はないことになる。なお、図3(A)においては、第1配置位置69Aと第2配置位置69Bとの一部が重なり合った状態に示してあるが、前回の配置位置と今回の配置位置とが重なり合っても、互に離れた位置関係にあってもよいものである。
【0070】
各パーツ49A〜49Dのネスティング処理(パーツの配置処理)を行ったワークから複数の各パーツ49A〜49Dを吸着して同時に搬出するために、前述したように、吸着搬送装置33すなわち吸着領域の配置位置決めを行う場合には、各パーツ49A〜49Dが吸着搬送可能か否かの判別を前記演算手段57によって行うものである。そして、ワークWに対して順次配置位置の設定を行うと共に、吸着搬送可能なパーツの判別を行った場合には、前記自動プログラミング装置55に備えた位置決め位置データメモリ(配置位置データメモリ)83に、ワークWに対する吸着装置33の配置位置の位置設定順に配置位置69A〜69Gの位置データを格納する。
【0071】
前述のごとく、前記吸着搬送手段5における吸着搬送装置33のX,Y,Z軸方向への動作範囲の基準位置に対して予め設定された所定位置へワークWの原点位置Oが相対的に位置決めされた状態において、ワークWに対して吸着搬送装置33の配置位置69A〜69Gの位置設定を行うと、各配置位置69A〜69Gにおいて、吸着搬送装置33に一度に(同時に)吸着される各パーツ49A〜49Dの、吸着搬送装置33の基準位置Sに対するX,Y軸方向の吸着位置、形状寸法、方向性のデータが、一度に搬送する搬送製品のデータとして得られる。そして、この搬送製品データは、前記位置決め位置データメモリ83に備えた搬送製品データメモリ85に、前記位置設定順の配置位置69A〜69Gの位置データに関連付けて格納される。
【0072】
したがって、前記位置決め位置データメモリ83に格納された配置位置69A〜69Gの位置データと前記搬送製品のデータメモリ85に格納された搬送製品データによって、各配置位置69A〜69Gから吸着搬送装置33によって吸着搬送される各パーツ49A〜49Dの、吸着搬送装置33に吸着される位置や方向性を知ることができるものである。よって、前記各製品パレット19A〜19Dに各パーツ49A〜49Dをそれぞれ個別に格納(集積)するとき、各製品パレット19A〜19Dに対して、吸着搬送装置33に吸着保持されている各パーツ49A〜49Dの位置毎に正確に位置決めすることができるものである。
【0073】
前記吸着搬送装置33に吸着保持した各パーツ49A〜49Dを、前記各製品パレット19A〜19Dの位置へ吸着搬送手段5によってそれぞれ吸着搬送して格納するために、前記自動プログラミング装置55には、製品格納部位置データメモリ87が備えられている。すなわち、製品格納部位置データメモリ87には、前記吸着搬送手段5によってX,Y,Z軸方向へ移動される前記吸着搬送装置33の動作範囲の基準位置に対する各製品パレット19A〜19DのX,Y,Z軸方向の位置(例えば中心位置)のデータ及び各製品パレット19A〜19Dに各パーツ49A〜49Dを集積(格納)するときの方向性を示すZ軸回りの旋回角度等の方向性データが格納してある。
【0074】
前述のごとく、ワークWの原点位置Oに対して前記吸着搬送装置33を位置決めして各パーツ49A〜49Dの吸着を行う位置、すなわちワークWに対する各吸着領域69の配置位置69A〜69Fが設定され、かつ各配置位置69A〜69Fにおいて前記吸着搬送装置33に吸着される各パーツ49A〜49Dが決定されると、前記位置決め位置データメモリ(配置位置データメモリ)83に、配置位置設定順に配置位置69A〜69Fが格納される。そして、搬送製品データメモリ85には、各配置位置69A〜69Fに関連付けて各パーツ49A〜49Dの吸着位置等のデータが搬送製品データメモリ85に格納される。
【0075】
前述のごとく、配置位置データメモリ83及び搬送製品データメモリ85に必要なデータが格納され、かつ前記製品格納部位置データメモリ87に必要なデータが格納されると、自動プログラミング装置55においては前記吸着搬送手段5の動作を制御するための搬送動作プログラムとしての軸動作プログラムが作成される。
【0076】
すなわち、前記シミュレーション装置63によるシミュレーションによってワークWに対する吸着領域69の配置位置69A〜69Gが設定されて配置位置データメモリ80に格納された配置位置データは、前記自動プログラミング装置55の配置位置データメモリ83へ伝送されて格納される。また、前記シミュレーション装置63における搬送製品データメモリ81に、吸着領域69の配置位置69A〜69Gに関連付けて格納されている搬送製品データは、前記自動プログラミング装置55における搬送製品データメモリ85へ伝送されて格納される。
【0077】
したがって、シミュレーション装置63を使用してワークWに対する吸着領域69の配置位置69A〜69Gの位置決めを行った場合には、シミュレーション装置63の決定に従った軸動作プログラムが作成されるものである。
【0078】
そして、シミュレーション装置63を使用しない場合には、例えば、次のようにして軸動作プログラムが作成されるものである。
【0079】
すなわち、前記吸着搬送手段5における前記吸着搬送装置33のX,Y,Z軸方向の動作基準位置に対して、予め設定した設定位置にワークWの原点位置が一致した状態にあるときに、ワークWに対して配置位置69A〜69Gへ前記吸着搬送装置33を移動位置決めして各パーツ49A〜49Dを吸着するための動作プログラム、及び前記各製品パレット19A〜19Dに対応した位置へ前記吸着搬送装置33を移動位置決めして、各製品パレット19A〜19Dに対応したパーツ49A〜49Dのみの吸着を解除するための動作プログラムを、自動プログラミング装置55における前記演算手段57が、前記ネスティングデータメモリ59、配置位置データメモリ83、搬送製品データメモリ85及び製品格納部位置データメモリ87にそれぞれ格納されているデータを参照して、作成する。
【0080】
そして、前記自動プログラミング装置55において作成された軸動作プログラムは、前記吸着搬送手段5の吸着搬送動作を制御するための前記ロボットコントローラ73における軸動作制御メモリ89に格納される。この軸動作制御メモリ89に格納された軸動作プログラムに含まれる吸着、解除指令を参照して、前記吸着具制御手段75の制御の下に前記各吸着具39の吸着、解除が制御される。また、前記動作プログラムに含まれる各軸動作指令を参照して、軸制御手段91の制御の下に前記吸着搬送手段5の各軸が制御されて、前記吸着搬送装置33のX,Y,Z軸方向への移動及び軸制御手段の一例としての旋回動作制御手段93の制御の下にZ軸回りの旋回の制御が行われるものである。
【0081】
ところで、前記説明においては、前記吸着搬送手段5の軸動作プログラムを作成するに際して、当該吸着搬送手段5のX,Y,Z軸方向の動作基準位置(移動基準位置)に対して、予め設定した位置にワークWの原点位置Oが一致した状態にあるときに、ワークWの各配置位置69A〜69Gへ吸着搬送装置33の移動位置決めを行う動作プログラムを作成する旨の説明をした。しかし、ワークWにレーザ切断加工を行うとき、前記動作基準位置に対するワークWの原点位置Oの移動位置を適宜の検出手段によって検出し、前記移動基準位置に対するワークWの原点位置OのX,Y軸方向への位置ずれの補正値を採用することにより、前記移動基準位置とワークWの原点位置とが必ずしも一致していない状態であっても、ワークWの各配置位置69A〜69Gに対して吸着搬送装置33の位置決めを正確に行うことができるものである。
【0082】
すなわち、上述の方法を採用することにより、例えばワークW上の配置位置69A〜69Gにおけるパーツ49A〜49Dのレーザ切断加工が終了し、配置位置69E〜69Gにおけるパーツ49A〜49Dのレーザ切断加工の継続中に、配置位置69A、69B(レーザ加工機1と吸着搬送装置33とが干渉しない位置の配置位置)に対して吸着搬送装置33の位置決めを行って、配置位置69A、69Bにおいてレーザ切断加工された状態にある各パーツ49A〜49Dを吸着搬送することも可能である。
【0083】
既に理解されるように、ネスティング手段53によってワークWに対する各パーツ49A〜49Dのネスティング処理(配置処理)が行われ、レーザ加工機1によってワークWにネスティング処理のとおりのレーザ切断加工が行われる。そして、吸着搬送手段(産業用ロボット)5における吸着搬送装置33によってレーザ切断加工された複数のパーツ49A〜49Dを同時に(一度に)吸着して搬送するに際し、ワークWの原点位置Oに対する前記吸着搬送装置33の配置位置69A〜69Gの位置決めをシミュレーション装置63を使用して行う。又は、前記吸着搬送装置33をX,Y,Z軸方向へ移動位置決めするときの移動基準位置に対するワークWの原点位置の位置決めデータを参照にして、ワークWの原点位置Oに対する前記吸着搬送装置33の配置位置69A〜69Gの位置決めを行う。
【0084】
そして、上述のように、ワークWの原点位置Oに対する吸着搬送装置33の配置位置決めを行うと、この位置決めされた配置位置69A〜69Gのデータは自動プログラミング装置55における配置位置データメモリ83に配置順毎に格納される。この際の各配置位置69A〜69Gの基準位置Sは、前記吸着搬送装置33の移動基準位置に対して関連付けられているワークWの原点位置Oに対するX,Y軸方向の配置に関連付けられている。換言すれば、前記吸着搬送装置33のX,Y,Z軸方向への移動基準位置に対して、各配置位置69A〜69Gの基準位置Sは関連付けられているものである。
【0085】
前述のように、吸着搬送装置33のワークWに対する配置位置69A〜69Gが配置順毎に配置位置データメモリ83に格納されると、各配置位置69A〜69Gにおいて吸着搬送装置33に同時に吸着される各パーツ49A〜49Dに関する搬送製品データが搬送製品データメモリ85に格納される。この際、吸着搬送装置33に吸着されている各パーツ49A〜49Dにおける中心位置の、基準位置Sに対するX,Y軸方向の座標位置、各パーツ49A〜49Dの形状寸法、面積、方向性のデータが前記搬送製品データメモリ85に格納される。
【0086】
前記自動プログラミング装置55における前記配置位置データメモリ83に、ワークWに対する吸着搬送装置33の配置位置69A〜69Gのデータが配置位置順に格納され、かつ前記搬送製品データメモリ85に、各配置位置69A〜69Gにおいて吸着される各パーツ49A〜49Gに関する搬送製品データが各配置位置69A〜69Gに対応して格納される。さらに製品格納部位置データメモリ87に各製品パレット19A〜19Dの配置位置データが格納されると、ワークWの各配置位置69A〜69Gに対応する位置へ前記吸着搬送装置33を移動位置決めして各パーツ49A〜49Dを吸着し、各パーツ49A〜49Dを各製品パレット19A〜19Dに対応した位置へ吸着搬送して、各製品パレット19A〜19Dに対応したパーツのみを格納するための搬送プログラムとしての軸動作プログラムが自動プログラミング装置55によって作成される。
【0087】
前記吸着搬送手段5の動作を制御するために前記自動プログラミング装置55よって作成された軸動作プログラムは、吸着搬送装置の移動制御手段(ロボットコントローラ)73の軸動作制御メモリ89に格納される。そして、前記軸動作制御メモリ89に格納された動作プログラムに従って軸制御手段91の制御の下に前記吸着搬送装置33のX,Y,Z軸方向への移動制御を行い、ワークWの配置位置69A〜69Gへ前記吸着搬送装置33を位置決めして、吸着具制御手段75の制御の下に、各配置位置69A〜69Gに配置されたパーツ49A〜49Dを、対応した複数の吸着具39によって吸着する。
【0088】
その後、軸制御手段91の制御の下に、吸着搬送装置33を各製品パレット19A〜19Dの位置へ移動位置決めする。この際、前記吸着搬送装置33の基準位置Sに対する各パーツ49A〜49Dの吸着位置は、配置位置69A〜69Gにおいて各パーツ49A〜49Dを吸着したことによって既知であるから、各製品パレット19A〜19Dに対して対応した各パーツ49A〜49Dを位置決めすることができると共に、各製品パレット19A〜19Dに格納する各パーツ49A〜49Dの方向性を一致すべく、前記吸着搬送装置33をZ軸回りに旋回し、各製品パレット19A〜19Dに格納される各パーツ49A〜49Dの方向性をほぼ一致させることができるものである。
【0089】
既に理解されるように、レーザ加工機1によって板状のワークWにレーザ切断加工された複数のパーツ49A〜49Dを、吸着搬送手段5に備えた吸着搬送装置33に備えられた複数の吸着具39によって同時に(一度に)吸着して各製品パレット19A〜19Dの位置へ吸着搬送し、各製品パレット19A〜19Dに対応したパーツ49A〜49Dのみの吸着を解除して、製品パレットに対応したパーツのみを格納するものである。したがって、ワークWから各パーツ49A〜49Dを各製品パレット19A〜19Dへ1個毎に吸着搬送する場合に比較して、各パーツの搬出をより短時間で行うことができるものである。
【0090】
また、複数の各パーツ49A〜49Dを同時に吸着搬送して各製品パレット19A〜19Dに対して対応したパーツのみを格納するものであるから、各製品パレット19A〜19Dの配置の自由度が大きくなる。したがって、前記吸着搬送手段5における吸着搬送装置33の動作範囲の任意の位置へ各製品パレット19A〜19Dを配置することが可能であり、前記動作範囲内を有効利用することができ、省スペース化を図ることができるものである。
【0091】
ところで、本発明は前述したごとき実施形態に限ることなく適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施可能なものである。すなわち、前記説明においては、ネスティング処理によってワークWに各パーツ49A〜49Dを配置した後に、ワークWに対して吸着搬送装置33を配置する場合について説明した。しかし、ワークWに対する吸着搬送装置33の配置位置を予め設定し、この設定された配置位置に対応して複数のパーツ49A〜49Dのネスティング処理を行う場合も可能である。
【0092】
上述のように、ワークWに対する吸着搬送装置33の配置位置を予め設定して各パーツ49A〜49Dのネスティング処理を行う場合には、吸着搬送装置33によって複数のパーツ49A〜49Dを同時に吸着して搬送するとき、吸着搬送不可能なパーツを生じるようなことがなく、能率のよい吸着搬送を行い得るものである。
【0093】
以上のごとき説明より理解されるように、吸着搬送手段5における吸着搬送装置33によって複数のパーツ49A〜49Dを同時に(一度に)吸着して、各パーツ49A〜49Dを格納する各製品パレット19A〜19Dに対して各パーツ49A〜49Dを個別に格納するものであるから、各パーツ49A〜49Dの搬出及び仕分け作業を能率よく行うことができる。
【0094】
なお、吸着搬送装置33によって各パーツ49A〜49Dを、一度により多く吸着搬送するために、各パーツ49A〜49Dの配置位置を参照して、吸着搬送装置33を、X,Y軸方向の所望方向へ位置を変更することも可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 レーザ加工機
3 製品格納装置
5 吸着搬送手段(産業用ロボット)
19A〜19E 製品パレット(製品格納部)
33 製品ハンド(吸着搬送装置)
39 吸着具
49A〜49D 製品(パーツ)
53 ネスティング手段
55 自動プログラミング装置
57,71 演算手段
59 ネスティングデータメモリ
61 レーザ加工機制御手段(レーザ加工機用NC装置)
63 シミュレーション装置
65 シミュレーション表示手段
67 吸着データメモリ
69 吸着領域
69A〜69G 配置位置
73 吸着搬送装置の移動制御手段(ロボットコントローラ)
75 吸着具制御手段
77 操作手段
79 決定手段
80 配置位置データメモリ
81,85 搬送製品データメモリ
83 位置決め位置データメモリ(配置位置データメモリ)
87 製品格納部位置データメモリ
89 軸動作制御メモリ
91 軸制御手段
93 旋回動作制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ吸着搬送格納する方法であって、
(a)複数の吸着具を備えた吸着搬送手段の吸着搬送装置によって、切断加工された複数の製品を吸着する工程、
(b)前記吸着搬送装置によって吸着された各製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送する工程、
(c)各製品に対応した製品格納部へ各製品を搬送する毎に、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除して当該製品を当該製品格納部に格納する工程、
の各工程を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納方法。
【請求項2】
請求項1に記載の切断製品の吸着搬送格納方法であって、前記吸着搬送装置による複数の製品の吸着は、1枚のワークに対する複数の製品の切断加工が全て終了した後に行われることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納方法。
【請求項3】
請求項1に記載の切断製品の吸着搬送格納方法において、前記吸着搬送装置による複数の製品の吸着は、1枚のワークにおける所定領域内の複数の製品の切断加工が終了し、前記所定領域外の複数の製品の切断加工の継続中に、前記所定領域内の複数の製品の吸着を行うことを特徴とする切断製品の吸着搬送格納方法。
【請求項4】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した格納部へ吸着搬送格納する方法であって、
(a)複数の製品を吸着するために、X、Y平面内に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置における吸着領域の大きさに対応して前記ワークに予め複数の製品を加工した加工領域へ前記吸着搬送装置を位置決めする工程、
(b)前記加工領域内に加工された複数の製品を、前記複数の吸着具によって吸着する工程、
(c)前記吸着搬送装置によって吸着された各製品を各製品に対応して予め位置決めされている各製品格納部へ搬送する工程、
(d)各製品に対応した製品格納部へ各製品を搬送する毎に、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除して当該製品を当該製品格納部に格納する工程、
の各工程を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の切断製品の吸着搬送格納方法において、同一形状寸法の同一製品を同一の製品格納部に格納する際に、前記吸着搬送手段において吸着搬送装置を水平に旋回し、製品の方向性をほぼ同一方向に揃えて積み重ねることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納方法。
【請求項6】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記複数の吸着具によって吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと吸着した各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
前記吸着搬送装置のX、Y、Z方向への相対的な移動位置を制御するための移動制御手段と、
各製品に対応して予め位置設定された各製品格納部と、
前記各製品格納部の座標位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
前記製品格納部位置データメモリに格納された位置データと前記搬送製品データメモリに格納されたデータを参照して移動制御手段の制御の下に前記吸着搬送装置をX、Y、Z方向へ相対的に移動し、前記各製品格納部に対応する位置へ前記吸着搬送装置を位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納装置。
【請求項7】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを参照して作成された加工プログラムを用いて板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置の吸着領域を示すX、Y方向の吸着領域寸法データ及び当該吸着搬送装置のX、Y軸方向の基準位置に対する前記各吸着具の配置位置を示す配置位置データ並びに前記吸着具の大きさを示す吸着具寸法データを予め格納した吸着データメモリと、
前記ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを参照して切断加工されるワーク及び当該ワーク上の製品を表示すると共に、前記吸着データメモリに格納されている吸着搬送装置の吸着領域、吸着具の配置位置及び吸着具の大きさを、表示されたワーク画像に対して重ねて表示するシミュレーション表示手段と、
前記シミュレーション表示手段に表示されたワーク画像に対してシミュレーション表示手段に表示された吸着搬送装置画像を移動位置決めするための操作手段と、
前記ワーク画像に対する吸着搬送装置画像の位置決定を行う位置決定手段と、
上記位置決定手段によって位置決定することによって前記吸着搬送装置に吸着保持される複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
前記位置決定手段によって決定された位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動制御すると共に、前記搬送製品データメモリに格納されたデータ及び各製品に対応して予め位置決めしてある各製品格納部の位置データを参照して各製品の搬送位置を移動制御するための移動制御手段と、
前記吸着搬送装置による各製品の吸着、解除を行うために前記各吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納装置。
【請求項8】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面に複数の吸着具を備え、ワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置において複数の前記吸着具を配置した吸着領域に対応して、前記ワークに予め複数の製品を加工した加工領域へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めするための移動制御手段と、
前記加工領域において前記吸着搬送装置に吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y方向の吸着位置データと各製品の形状寸法データを格納した搬送製品データメモリと、
各製品に対応して予め位置設定された各製品格納部と、
前記各製品格納部の位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
前記搬送製品データメモリに格納されたデータと前記製品格納部位置データメモリに格納されたデータを参照して、前記吸着搬送装置に吸着された各製品を対応した各製品格納部へ搬送すべく前記吸着搬送装置の相対的な移動位置を制御するための前記移動制御手段と、
前記吸着搬送装置を移動制御して、当該吸着搬送装置に吸着した各製品を対応した製品格納部に対して位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除を制御するための吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納装置。
【請求項9】
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を各製品に対応した製品格納部へ搬送格納するための切断製品の吸着搬送格納装置であって、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を吸着するために、X、Y平面の吸着領域内に複数の吸着具を備えると共にワークに対してX、Y、Z軸方向へ相対的に移動自在かつZ軸回りに旋回可能な吸着搬送装置と、
前記吸着搬送装置における前記吸着領域のX、Y軸方向の大きさを示す吸着領域寸法データと、当該吸着搬送装置におけるX、Y軸方向の基準位置に対する前記各吸着具の配置位置を示す配置位置データと、前記各吸着具の大きさを示す吸着具寸法データとを予め格納した吸着データメモリと、
各製品に対応して予め位置設定された複数の製品格納部と、
前記各製品格納部の配置位置を示す座標位置データを格納した製品格納部位置データメモリと、
板材加工機によって板状のワークに複数の製品の切断加工を行うために、ネスティング手段によって作成されたネスティングデータを格納したネスティングデータメモリと、
板材加工機によって板状のワークに切断加工された複数の製品を前記吸着搬送装置によって吸着するために、前記ワークに対して予め設定された初期吸着位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めするための移動制御手段と、
前記ネスティングデータメモリに格納されているネスティングデータ内の各製品の形状寸法データを参照して各製品の面積を演算する面積演算手段と、
前記初期吸着位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めして複数の製品を吸着するときに、前記面積演算手段によって演算した面積内に位置する前記吸着具の数を判別する吸着具数判別手段と、
前記吸着具数判別手段によって判別された複数の吸着具のみによって吸着を行い、その他の吸着具の吸着を解除すべく前記複数の吸着具の吸着、解除の制御を行う吸着具制御手段と、
前記吸着搬送装置に吸着した複数の製品の、前記吸着搬送装置の基準位置に対するX、Y軸方向の吸着位置データと吸着した各製品の形状寸法データとを格納した搬送製品データメモリと、
前記製品格納部位置データメモリに格納された各製品格納部の位置データと、前記搬送製品データメモリに格納された各製品の吸着位置データ及び形状寸法データを参照して、前記移動制御手段の制御の下に前記各製品格納部に対応した位置へ前記吸着搬送装置を相対的に移動位置決めしたときに、当該製品格納部に対応した製品のみの吸着を解除すべく前記吸着具の吸着、解除の制御を行う前記吸着具制御手段と、
を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の切断製品の吸着搬送格納装置であって、
前記製品格納部位置データメモリには、前記各製品格納部に格納する各製品の方向性を示す製品方向性データを含み、前記搬送製品データメモリには、前記吸着搬送装置に吸着した各製品の方向性を示す製品方向性データを含み、前記各製品格納部に前記吸着搬送装置に吸着した各製品をそれぞれ格納するときに、前記製品格納部位置データに含まれた製品方向性データの方向性と前記搬送製品データメモリに含まれた製品方向性データの方向性とを一致させるべく前記吸着搬送装置の旋回動作を制御する旋回動作制御手段を備えていることを特徴とする切断製品の吸着搬送格納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97651(P2013−97651A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240957(P2011−240957)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】