説明

制御システムを変更する方法、及び変換装置

【課題】既設CPUカードを、当該既設CPUカードと異なる通信プロトコルで通信する新設CPUカードに変更し、タービン制御システム全体の処理速度を向上させる。
【解決手段】新設CPUカード201と既設IOカード902−1〜902−4との間に、通信プロトコルを相互に変換するコンバータ100を設ける。コンバータ100は、既設IOカード902−1〜902−4と通信する第1の通信部101−1、101−2を備え、コンバータ100の変換部103は、第1の通信部101−1、101−2のそれぞれと接続されるとともに、第2の通信部104と接続され、通信プロトコルを相互に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象機器との間で情報の入出力を行う複数の入出力装置と当該入出力手段との通信を行う制御装置とを有する制御システムを変更する方法、及び入出力装置と制御装置とを接続する変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービン等の発電用タービンの運用には、当該ガスタービンの動作を監視、制御するタービン制御システムを用いている(例えば、特許文献1を参照)。タービン制御システムは、CPU(Central Processing Unit)カード、IO(Input Output)カード、端子ボード、センサ、アクチュエータを備える。
CPUカードは、制御システムを動作させるプログラムを実行する装置である。
IOカードは、センサやアクチュエータと通信する端子ボードと接続し、入出力処理を行う装置である。そして、CPUカードとIOカードとは、所定の通信プロトコルを用いて情報のやりとりを行う。
【0003】
このようなタービン制御システムで用いられるCPUカードやIOカード(以下、処理装置と呼ぶ)は、情報技術の発展とともに新たな製品が生産される。そして、タービン制御システムの既設の処理装置を新たな処理装置に変更することで、新たな制御アプリケーションを用いることができ、制御性の改善やシステム機能の拡張など、顧客にとってよりコスト効果のあるタービン運転を実施することができる。また、時代の変化による電子部品の入手困難化から、既設の処理装置が再生産できなくなることがある。そのため、タービン制御システムにおいて、既設の処理装置が古くなった場合には、既設の処理装置を新たな処理装置に変更する必要がある。
【0004】
このとき、既設の処理装置が用いる通信プロトコル(例えばARCNET(登録商標)、)がレガシープロトコルとなり、当該通信プロトコルが新たな処理装置においてサポートされなくなっていることがある。その場合、既設のCPUカードを新たなCPUカードに変更するとき、既設のIOカードを、新たなCPUカードが用いる通信プロトコル(例えばEthernet(登録商標))に対応する新たなIOカードに変更する必要がある。しかしながら、タービンの動作に対する影響を最小限にするため、変更を行うパーツを最小限に抑えることが望まれており、CPUカードとIOカードとを同時に変更することは好ましくない。
【0005】
これに対する一つの解決法として、既設のCPUカードを新たなCPUカードに変更し、新たなCPUカードと既設のIOカードとの間に、通信プロトコルの変換を行うコンバータを設置することで、CPUカードのみを変更する方法が考えられる。コンバータは、IOカードと通信する第1の通信部と、CPUカードと通信する第2の通信部と、通信プロトコルの変換を行う変換部とを備える。この方法を用いることで、タービン制御システムの変更箇所を最小限に抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−261854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、新たな処理装置で用いる通信プロトコルは、既設の処理装置で用いる通信プロトコルより高速なネットワークと接続できる通信プログラムに対応していることが多い。そのため、単にコンバータを用いてCPUカードの変更を行った場合、コンバータとCPUカードとの通信では高速なネットワークを用いることができるが、コンバータとIOカードとの通信では低速なネットワークを用いざるを得ない。そのため、コンバータとIOカードとの間の通信がボトルネックとなり、タービン制御システム全体の処理速度を向上することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、制御対象機器との間で情報の入出力を行う複数の入出力装置と当該入出力装置との通信を行う制御装置とを有する制御システムを変更する方法であって、前記入出力装置との間で第1の通信プロトコルで通信する既設の制御装置を、前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルで通信する新たな制御装置に交換する第1のステップと、前記新たな制御装置と前記入出力装置との間に、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換装置を設ける第2のステップとを備え、前記変換装置は、1つまたは複数の前記入出力装置と前記第1の通信プロトコルで通信する複数の第1の通信部と、前記新たな制御装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第2の通信部と、前記第1の通信部のそれぞれと接続されるとともに、前記第2の通信部と接続されて、前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記変換装置は、前記既設の入出力装置と同じ制御対象機器との間で情報の入出力を行う新たな入出力装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第3の通信部と、前記新たな制御装置との通信先を、前記既設の入出力装置及び前記新たな入出力装置の何れかに切り替える切替部とを備え、前記新たな入出力装置を前記変換装置に接続させる第3のステップと、前記変換装置の切替部によって、前記新たな制御装置との通信先を切り替える第4のステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記制御システムは既設の制御装置を複数備え、前記第1のステップでは、複数の既設の制御装置を前記新たな制御装置に交換し、前記第2のステップでは、前記変換装置を前記新たな制御装置それぞれと対応して設けるとともに、前記複数の新たな制御装置と前記複数の変換装置とをバスにより接続することを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記変換装置の変換部は、前記第1の通信プロトコルに変換した情報を蓄積するメモリを備え、前記第1の通信部は、前記入出力装置に送信する情報を記憶するバッファを備え、前記変換装置は、前記第1の通信部のメモリと変換部のバッファとの間で情報を転送するメモリアクセスユニットを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明において、前記第4のステップでは、前記第1の通信手段が出力する情報と前記第3の通信手段が出力する情報が一致する場合に、前記切替部によって前記新たな入出力装置に接続先を切り替え、前記第1の通信部が出力する情報と前記第3の通信部が出力する情報が一致しない場合に、前記切替部によって前記既設の入出力装置に接続先を切り替えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、制御対象機器との間で情報の入出力を行い、第1の通信プロトコルで通信する入出力装置と、前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルで通信する制御装置とを接続する変換装置であって、1つまたは複数の前記入出力装置と前記第1の通信プロトコルで通信する複数の第1の通信部と、前記新たな制御装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第2の通信部と、前記第1の通信部のそれぞれと接続されるとともに、前記第2の通信部と接続されて、前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入出力装置と通信する第1の通信部を複数備える変換装置を、入出力装置と新たな制御装置との間に設ける。これにより、ボトルネックとなる入出力装置との通信処理を複数の第1の通信部で並列処理することができるため、タービン制御システム全体の処理速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】第1の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】新設CPUカードがアクチュエータに制御情報を出力する際の各処理部における処理時間を示す第1のタイムチャートである。
【図4】第1の通信部を1つだけ備えるコンバータを設けた場合の各処理部における処理時間を示す第1のタイムチャートである。
【図5】新設CPUカードがアクチュエータに制御情報を出力する際の各処理部における処理時間を示す第2のタイムチャートである。
【図6】第1の通信部を1つだけ備えるコンバータを設けた場合の各処理部における処理時間を示す第2のタイムチャートである。
【図7】ガスタービンの概略構成図である。
【図8】第1の実施形態による方法によって変更したタービン制御システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【図9】第2の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図10】第2の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図11】第3の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図12】第3の実施形態におけるIOカード及び端子ボードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図13】新設端子ボードの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態によるタービン制御システムはアクチュエータとセンサとを2つずつ有するが、これに限られず、実際には更に多くのセンサ及びアクチュエータを備える。
CPUカード変更前のタービン制御システムは、ガスタービン500(制御対象機器)と通信状態にあり、既設CPUカード901(既設の制御装置)、既設IOカード902−1〜902−4(既設の入出力装置:以下、既設IOカード902−1〜902−4を総称する場合は既設IOカード902と表記する)、既設端子ボード903−1〜903−4(以下、既設端子ボード903−1〜903−4を総称する場合は既設端子ボード903と表記する)、アクチュエータ300−1、300−3、センサ300−2、300−4(以下、アクチュエータ300−1、300−3、センサ300−2、300−4を総称する場合はセンサ・アクチュエータ300と表記する)を備える。
【0017】
既設CPUカード901は、ガスタービン500の状態を示すセンシング情報を収集し、当該センシング情報に基づいてガスタービン500の動作を制御する。また、既設CPUカード901は、第1の通信プロトコル(例えば、ARCNET(登録商標))を用いて通信を行うことができる。
既設IOカード902は、ガスタービン500との間で情報の入出力を行う。また、既設IOカード902は、第1の通信プロトコルを用いて通信を行うことができる。
【0018】
既設端子ボード903は、IOカードとセンサ・アクチュエータ300との物理的入出力端子結合点を備える。例えば、既設IOカード902は、その既設端子ボード903と接続することにより、センサ・アクチュエータ300と通信することができる。
アクチュエータ300−1、300−3は、既設端子ボード903を介して入力する情報に基づいてガスタービン500を駆動させる。
センサ300−2、300−4は、ガスタービン500から所定の物理量を計測し、当該物理量を示す信号を既設端子ボード903に出力する。
既設CPUカード901は、既設IOカード902、既設端子ボード903、センサ・アクチュエータ300の組のそれぞれと、既設IOカード902と第1の通信プロトコルを用いて通信する。
【0019】
以下に、上述した構成を有するタービン制御システムの既設CPUカード901を、新設CPUカード201(新たな制御装置)に変更する方法を示す。
まず、既設CPUカード901を、新設CPUカード201に交換する(第1のステップ)。新設CPUカード201は、ガスタービン500の状態を示すセンシング情報を収集し、当該センシング情報に基づいてガスタービン500の動作を制御する機能を有する。また、新設CPUカード201は、第2の通信プロトコル(例えば、Ethernet(登録商標))を用いて通信を行う機能を有する。
次に、第1のステップで設けた新設CPUカード201と既設IOカード902との間に、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換するコンバータ100を設ける(第2のステップ)。
【0020】
図2は、第1の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
コンバータ100は、第1の通信部101−1、101−2(以下、第1の通信部101−1、101−2を総称する場合は第1の通信部101と表記する)、DMAC(メモリアクセスユニット:Direct Memory Access Controller)102−1、102−2(以下、DMAC102−1、102−2を総称する場合はDMCA102と表記する)、変換部103、第2の通信部104を備える。
【0021】
第1の通信部101は、1つまたは複数の既設IOカード902と第1の通信プロトコルで通信する。また、第1の通信部101は、既設IOカード902に送信する情報を記憶する送信バッファ(図示せず)、及び既設IOカード902から受信した情報を記憶する受信バッファ(図示せず)を備える。
第2の通信部104は、新設CPUカード201と第2の通信プロトコルで通信する。
【0022】
変換部103は、DMAC102を介して第1の通信部101のそれぞれと接続されるとともに、第2の通信部104と接続されて、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換する。つまり、変換部103は、新設CPUカード201から入力した第1の通信プロトコルによる信号を、第2の通信プロトコルに変換して既設IOカード902に出力する。他方、変換部103は、既設IOカード902から入力した第2の通信プロトコルによる信号を、第1の通信プロトコルに変換して新設CPUカード201に出力する。
また、変換部103は、第1の通信部101に出力する情報及び第2の通信部104に出力する情報を記憶するメモリ(図示せず)を備え、当該メモリは、第1の通信部101に送信する情報を蓄積する第1の記憶領域と、第2の通信部104に送信する情報を蓄積する第2の記憶領域とを有する。
【0023】
DMAC102は、変換部103のメモリの第1の記憶領域のうち、自身が接続する第1の通信部101に転送する情報を格納する記憶領域の情報を、第1の通信部101の送信バッファに転送する。また、DMAC102は、第1の通信部101の受信バッファが記憶する情報を、変換部103のメモリの第2の記憶領域に転送する。
なお、本実施形態では、コンバータ100が第1の通信部101を2つ有する場合を例に説明するが、これに限られず、第1の通信部101を3つ以上備えるようにしても良い。
【0024】
次に、CPUカード変更後のタービン制御システムの動作を説明する。
まず、新設CPUカード201がアクチュエータ300−1、300−3に制御情報を出力する場合の動作を説明する。
図3は、新設CPUカードがアクチュエータに制御情報を出力する際の各処理部における処理時間を示す第1のタイムチャートである。
【0025】
新設CPUカード201がアクチュエータ300−1への制御情報及びアクチュエータ300−3への制御情報を出力すると、第2の通信部104は、当該制御情報を順番に受信し、変換部103に転送する。第2の通信部104が、アクチュエータ300−1への制御情報及びアクチュエータ300−3への制御情報の何れか1つの転送を完了すると、変換部103は、転送が完了した制御情報の通信プロトコルを第1の通信プロトコルに変換する。次に、変換部103は、変換した制御情報をメモリの第1の記憶領域に記録する。また、変換部103は、1つの制御情報の変換を完了すると、当該制御情報の次に受信した制御情報に対して変換処理を行う。
【0026】
また、DMAC102は、変換部103のメモリの第1の記憶領域のうち、自身が接続する第1の通信部101に転送する情報を格納する記憶領域に制御情報が記録されると、当該制御情報を第1の通信部101の送信バッファに転送する。
そして、第1の通信部101は、自身の送信バッファに記録された制御情報を既設IOカード902に送信する。
【0027】
図4は、第1の通信部を1つだけ備えるコンバータを設けた場合の各処理部における処理時間を示す第1のタイムチャートである。
本実施形態によるタービン制御システムを変更する方法との比較として、本実施形態で用いるコンバータ100の代わりに、第1の通信部101を1つだけ備える通常のコンバータを用いてCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの動作を説明する。ここでは、新設CPUカード201がアクチュエータ300−1、300−3に制御情報を出力する場合の動作を説明する。
【0028】
新設CPUカード201がアクチュエータ300−1への制御情報及びアクチュエータ300−3への制御情報を出力すると、第2の通信部104は、当該制御情報を順番に受信し、変換部103に転送する。第2の通信部104が、アクチュエータ300−1への制御情報及びアクチュエータ300−3への制御情報の何れか1つの転送を完了すると、変換部103は、転送が完了した制御情報の通信プロトコルを第1の通信プロトコルに変換する。次に、変換部103は、変換した制御情報をメモリの第1の記憶領域に記録する。また、変換部103は、1つの制御情報の変換を完了すると、当該制御情報の次に受信した制御情報に対して変換処理を行う。
【0029】
変換部103が、アクチュエータ300−1への制御情報及びアクチュエータ300−3への制御情報の何れかに対する変換処理を完了すると、第1の通信部101は、変換処理が完了した制御情報を既設IOカード902に送信する。また、変換部103は、一の制御情報の送信が完了した後に、当該制御情報の次に受信した制御情報の送信を行う。
【0030】
次に、センサ300−2、300−4が新設CPUカード201にセンシング情報を出力する場合の動作を説明する。
図5は、新設CPUカードがアクチュエータに制御情報を出力する際の各処理部における処理時間を示す第2のタイムチャートである。
既設IOカード902−2、902−4は、それぞれ既設端子ボード903−2、903−4を介してセンサ300−2、300−4から物理量を示す信号を入力すると、第1の通信部101−1、101−2に当該信号を送信する。
【0031】
第1の通信部101は、受信した信号が示す情報を受信バッファに記録する。そして、DMAC102は、第1の通信部101の受信バッファに記録された情報を変換部103のメモリの第2の記憶領域に転送する。つまり、第1の通信部101−1、101−2の処理、及びDMAC102−1、102−2の処理は、それぞれ並行して実行される。
次に、変換部103は、メモリの第2の記憶領域に記憶する情報の通信プロトコルを、順次第2の通信プロトコルに変換する。そして、第2の通信部104は、変換部103が変換した情報を順に新設CPUカード201に転送する。
【0032】
図6は、第1の通信部を1つだけ備えるコンバータを設けた場合の各処理部における処理時間を示す第2のタイムチャートである。
本実施形態によるタービン制御システムを変更する方法との比較として、本実施形態で用いるコンバータ100の代わりに、第1の通信部101を1つだけ備える通常のコンバータを用いてCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの動作を説明する。ここでは、センサ300−2、300−4が新設CPUカード201にセンシング情報を出力する場合の動作を説明する。
【0033】
既設IOカード902−2、902−4は、それぞれ既設端子ボード903−2、903−4を介してセンサ300−2、300−4から物理量を示す信号を入力すると、第1の通信部101に当該信号を送信する。このとき、第1の通信部101は、既設IOカード902−2、902−4が出力する信号を順番に受信する。
第1の通信部101は、信号を受信した順に、変換部103に当該信号が示す情報を出力する。次に、変換部103は、第1の通信部101から入力した情報の通信プロトコルを、順次第2の通信プロトコルに変換する。そして、第2の通信部104は、変換部103が変換した情報を順に新設CPUカード201に転送する。
【0034】
上述したように、コンバータ100が備える第1の通信部101の数が1である場合、既設IOカード902との通信を並列化できず、タービン制御システム全体の処理速度を向上することができない。
他方、本実施形態によれば、タービン制御システムの変更において、第1の通信部101を複数個備えるコンバータ100を設けることで、ボトルネックとなる既設IOカードとの通信処理を並列処理することができる。これにより、図3、図5に示すように、タービン制御システム全体の処理速度を向上することができる。
【0035】
また、図2に示すように、第1の通信部101−1が接続するアクチュエータとセンサの比及び個数と、第1の通信部101−2が接続するアクチュエータとセンサの比及び個数との差が少ないことが望ましい。例えば、第1の通信部101−1にセンサ300−2、300−4が接続され、第1の通信部101−2にアクチュエータ300−1、300−3が接続される場合、新設CPUカード201によるセンシング情報の取得時には、第1の通信部101−1に処理が集中する一方、第1の通信部101−2がアイドル状態となり、効率が改善されない。同様に、新設CPUカード201による制御情報の出力時には、第1の通信部101−2に処理が集中する一方、第1の通信部101−1がアイドル状態となり、効率が改善されない。そのため、第1の通信部101−1、101−2でアクチュエータ及びセンサの個数を分散して接続することが望ましい。
【0036】
第1の実施形態の構成を用いた具体的な実施例を説明する。
図7は、ガスタービンの概略構成図である。
ガスタービン500は、大気(外部空気)から圧縮機501へと吸い込まれる吸込空気Aを圧縮機501によって圧縮して燃焼器502に供給し、燃焼器502で燃料Fと混合して燃焼させて燃焼ガスGを生成し、これをタービン503内に供給することで、図示しない翼構造によりロータ504を回転させて発電機505で発電を行うことが可能である。
【0037】
ガスタービン500の出力は、吸気温度や圧力により変化する。例えば、吸込空気Aの温度が上昇すると、吸込空気Aの密度が小さくなり、空気の従量流量が減少するため、ガスタービン500の出力が減少する。このように、ガスタービン500の出力は、様々な外的要因によって変化するため、タービン制御システムは、ガスタービン500から得られるセンシング情報を用いてガスタービン500の吸込空気Aの流量や燃料Fの流量を制御することで、ガスタービン500の出力を一定の値に保つ。
【0038】
また、タービン制御システムは、センサ・アクチュエータ300として、それぞれ燃料流量制御装置301、回転数センサ302、空気流量制御装置303、電力計304、排ガス温度センサ305、空気温度センサ306、燃料圧力・温度センサ307、圧縮空気圧力センサ308を備える。
【0039】
燃料流量制御装置301は、ガスタービン500の燃焼器502に設けられる燃料調整弁の開度を制御することで、燃焼器502に供給される燃料Fの流量の調整を行うアクチュエータである。
回転数センサ302は、ガスタービン500のロータ504の回転数を計測するセンサである。
空気流量制御装置303は、ガスタービン500の圧縮機501に設けられる入口ガイドベーンの開度を制御することで、圧縮機501へ吸い込まれる吸込空気Aの流量の調整を行うアクチュエータである。
電力計304は、ガスタービン500の発電機505による出力電力量を計測するセンサである。
排ガス温度センサ305は、ガスタービン500のタービン503から排出される排ガスの温度を計測するセンサである。
空気温度センサ306は、ガスタービン500の圧縮機501へ吸い込まれる吸込空気Aの温度を計測するセンサである。
燃料圧力・温度センサ307は、ガスタービン500の燃焼器502に供給される燃料Fの圧力、及び燃料Fの温度を計測するセンサである。
圧縮空気圧力センサ308は、ガスタービン500の圧縮機501が圧縮した吸込空気の圧力を計測するセンサである。
【0040】
図8は、第1の実施形態による方法によって変更したタービン制御システムの構成例を示す概略ブロック図である。
ガスタービン500が稼動開始すると、回転数センサ302、電力系304、排ガス温度センサ305、空気温度センサ306、燃料圧力・温度センサ307、圧縮空気圧力センサ308は、それぞれガスタービン500から物理量を計測し、既設端子ボード903、既設IOカード902を介してコンバータ100に当該物理量を示すセンシング情報を、第1の通信プロトコルを用いて送信する。
【0041】
既設IOカード902が出力するセンシング情報は、コンバータ100の第1の通信部101により並列に受信され、変換部103は、第1の通信部101が受信したセンシング情報の通信プロトコルを第2の通信プロトコルに変換する。そして、第2の通信部104は、第2の通信プロトコルを用いて新設CPUカード201にセンシング情報を送信する。
【0042】
新設CPUカード201は、受信したセンシング情報とガスタービン500の現在の空気流量及び燃料流量とを用いて、ガスタービン500の出力電力量が一定となるような空気流量及び燃料流量を算出する。例えば、新設CPUカード201は、まず排ガス温度センサ305から入力したセンシング情報に基づいて、ガスタービン500の効率を算出する。次に、新設CPUカード201は、当該算出した効率と空気温度センサ306、燃料圧力・温度センサ307、及び圧縮空気圧力センサ308から入力したセンシング情報に基づいて燃料流量と空気流量との比率を決定する。次に、新設CPUカード201は、回転数センサ302、電力計304から入力したセンシング情報に基づいて、ガスタービン500の出力電力量の増減を決定する。そして、新設CPUカード201は、決定した燃料流量と空気流量との比率と出力電力量の増減とに基づいて、燃料流量及び空気流量を決定する。
なお、ここで説明した燃料流量及び空気流量の決定方法は、一例であり、その他の方法によって決定を行っても良い。
【0043】
新設CPUカード201は、決定した燃料流量及び空気流量を示す制御情報を生成し、当該制御情報を第2の通信プロトコルを用いてコンバータ100に送信する。
コンバータ100の第2の通信部104が新設CPUカードから制御情報を受信すると、変換部103は、当該制御情報の通信プロトコルを第1の通信プロトコルに変換する。次に、第1の通信部101は、変換部103が変換した制御情報を、第1のプロトコルを用いて、既設IOカード902−1、902−3に送信する。
既設IOカード902−1は、受信した制御情報を燃料流量制御装置301に出力し、燃料流量制御装置301は、入力した制御情報に基づいてガスタービン500の燃料流量を制御する。また、既設IOカード902−3は、受信した制御情報を空気流量制御装置303に出力し、空気流量制御装置303は、入力した制御情報に基づいてガスタービン500の空気流量を制御する。
【0044】
このように、タービン制御システムでは、ガスタービン500の燃料流量及び空気流量を、フィードバック制御によって決定している。そして、本実施形態によれば、センサ・アクチュエータ300と新設CPUカード201との間の通信を高速に行うことができるため、入力されたセンシング情報に対するフィードバックを迅速に行うことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
第1の実施形態では、CPUカードを1つ備えるタービン制御システムの変更方法について説明した。ここで、第2の実施形態では、CPUカードを複数備えるタービン制御システムの変更方法について説明する。
【0046】
図9は、第2の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムは、複数の既設CPUカード901−1〜901−3を備える。また、既設CPUカード901−1〜901−3同士は、既設バス401を介して相互に接続され、第1の通信プロトコルで通信することができる。
また、既設CPUカード901−1〜901−3はそれぞれ、第1の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成と同様に、複数の既設IOカード902と接続される。
なお、本実施形態によるタービン制御システムはアクチュエータとセンサとをそれぞれ3つずつ有し、CPUカードを3つ有するが、これに限られず、実際には更に多くのセンサ・アクチュエータ及びCPUカードを備える。
【0047】
以下に、上述した構成を有するタービン制御システムの既設CPUカード901−1〜901−3を、それぞれ新設CPUカード201−1〜201−3に変更する方法を示す。
図10は、第2の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
まず、複数の既設CPUカード901−1〜901−3を、それぞれ新設CPUカード201−1〜201−3に交換する(第1のステップ)。
次に、第1のステップで設けた新設CPUカード201−1〜201−3と既設IOカード902との間に、新設CPUカード201−1〜201−3それぞれと対応してコンバータ100−1〜100−3を設ける。なお、コンバータ100−1〜100−3は、第1の実施形態のコンバータ100と同じものである。そして、新設CPUカード201−1〜201−3とコンバータ100−1〜100−3との間に新設バス402を設け、新設CPUカード201−1〜201−3とコンバータ100−1〜100−3とをそれぞれ新設バス402により接続する(第2のステップ)。つまり、コンバータ100−1〜100−3の第2の通信部104は、新設バス402を介して、新設CPUカード201−1〜201−3と第2の通信プロトコルを用いて通信することができる。
【0048】
このように、CPUカードを複数備えるタービン制御システムにおいて、新設CPUカード201−1〜201−3とコンバータ100−1〜100−3とを新設バス402を介して接続することで、新設CPUカード201−1〜201−3は、より柔軟にセンサ・アクチュエータ300と通信を行うことができる。
具体的には、例えば図9に示すCPUカード変更前のタービン制御システムにおいて、既設CPUカード901−1がセンサ300−6からセンシング情報を取得する場合、以下に示す処理を実行する必要がある。
まず、既設CPUカード901−1は、既設バス401を介して既設CPUカード901−3に、センサ300−6のセンシング情報の取得依頼を送信する。既設CPUカード901−3は、センシング情報の取得依頼を受信すると、既設IOカード902−6を介してセンサ300−6からセンシング情報を取得する。そして、既設CPUカード901−3は、既設バス401を介して既設CPUカード901−1に当該センシング情報を送信する。これにより、既設CPUカード901−1は、センサ300−6のセンシング情報を取得することができる。
【0049】
他方、図10に示すCPUカード変更後のタービン制御システムにおいて、新設CPUカード201−1がセンサ300−6からセンシング情報を取得する場合、以下に示す処理を実行する。
まず、新設CPUカード201−1は、新設バス402を介してコンバータ100−3に、センサ300−6のセンシング情報の取得依頼を出力する。次に、コンバータ100−3は、当該取得依頼の通信プロトコルを変換し、センサ300−6からセンシング情報を取得する。そして、コンバータ100−3は、新設バス402を介して新設CPUカード201−1に当該センシング情報を送信する。
このとき、新設バス402は、第2の通信プロトコルを用いて新設CPUカード201−1とコンバータ100−3とを接続するため、既設バス401を介した通信と比較して高速な通信を可能とする。したがって、新設CPUカード201−1〜201−3とコンバータ100−1〜100−3とを新設バス402を介して接続することで、処理のさらなる高速化を図ることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、タービンの動作に対する影響を最小限にするためCPUカードのみを変更する方法について説明した。しかし、CPUカードの変更の後、タービンの動作に問題が無いことを確認した後には、IOカード及び端子ボードも新しいものに変更することが好ましい。
第3の実施形態では、CPUカードの変更の後に、IOカード及び端子ボードの変更を行うタービン制御システムの変更方法について説明する。
第3の実施形態におけるCPUカード変更前のタービン制御システムの構成は、第1の実施形態におけるCPUカードのタービン制御システムの構成(図1を参照)と同じである。
【0051】
まず、タービン制御システムの既設CPUカード901を、新設CPUカード201に変更する方法を示す。
初めに、既設CPUカード901を、新設CPUカード201に交換する(第1のステップ)。次に、第1のステップで設けた新設CPUカード201と既設IOカード902との間に、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換するコンバータ110を設ける(第2のステップ)。
【0052】
図11は、第3の実施形態におけるCPUカードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
ここで、第3の実施形態におけるコンバータ110は、第1の実施形態におけるコンバータ100の構成に加えて、第3の通信部105と切替部106を更に備えるものである。
第3の通信部105は、第2の通信部104を介して新設CPUカード201と接続し、後述する新設IOカード202と第2の通信プロトコルで通信する。
切替部106は、既設IOカード902及び新設IOカード202と接続し、既設IOカード902及び新設IOカード202の何れか一方から入力した情報を、新設CPUカード201に出力する。
【0053】
次に、タービン制御システムの既設IOカード902(既設の入出力装置)及び既設端子ボード903を、新設IOカード(新たな入出力装置)202及び新設端子ボード203に変更する方法を示す。
図12は、第3の実施形態におけるIOカード及び端子ボードの変更を行った後のタービン制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
まず、図12に示すように、既設端子ボード903−1、903−2を新設端子ボード203−1、203−2(以下、新設端子ボード203−1、203−2を総称する場合は、新設端子ボード203と表記する)に変更する。新設端子ボード203は、新設IOカード202及び既設IOカード902と接続し、新設IOカード202及び既設IOカード902の何れか一方から入力した情報をセンサ・アクチュエータ300に出力する。
【0054】
図13は、新設端子ボードの構成を示す概略ブロック図である。
新設端子ボード203は、新設IOカード202の入力端子、既設IOカード902の入力端子、センサ・アクチュエータ300への出力端子、スイッチ、切替部を備える。
スイッチは、新設IOカード202の入力端子または既設IOカード902の入力端子の何れかから入力した信号をセンサ・アクチュエータ300への出力端子へ出力する。
切替部は、外部から通信先切換信号を入力し、当該通信先切換信号が示すIOカードの入力端子にスイッチを接続させる。
【0055】
次に、新設端子ボード203とコンバータ110の第3の通信部105の間に、新設IOカード202−1、202−2(以下、新設IOカード202−1、202−2を総称する場合は、新設IOカード202と表記する)を接続する(第3のステップ)。
新設IOカード202は、既設IOカード902と同じセンサ・アクチュエータ300に対する入出力処理を行う機能を有する。また、新設IOカード202は、第2の通信プロトコルを用いてコンバータ110と通信を行う機能を有する。
そして、コンバータ110の切替部106、及び新設端子ボード203−1によって、新設CPUカード201と通信を行うIOカードを、新設IOカード202及び既設IOカード902の何れかに切り替える(第4のステップ)。
【0056】
これにより、IOカード及び端子ボードの変更を短時間で実現可能となる。特に、既設IOカード902を残したまま新設IOカード202のテストを行うことができるため、新設IOカード202と既設IOカード902との入出力の比較を容易に行うことができ、テストに要する時間を短縮することができる。
また、新設IOカード202は、新設CPUカード201と第2の通信プロトコルで通信を行うことができる。これにより、コンバータ110の切換部106、及び新設端子ボード203がIOカードを新設IOカード202に切り替えることで、タービン制御システムの処理速度をさらに向上させることができる。
【0057】
なお、コンバータ110の切替部106及び新設端子ボード203は、スイッチ素子を備え、管理者等の操作によって通信先の切り替えを行っても良いし、外部装置から通信先切替信号を入力し、当該通信先切替信号に基づいて通信先の切り替えを行っても良い。また、コンバータ110の切替部106と新設端子ボード203とが電気的に接続され、コンバータ110が通信先の切り替えを行う際に新設端子ボード203に通信先切替信号を出力し、新設端子ボード203当該通信先切り替え信号に合わせて通信先の切り替えを行っても良い。
【0058】
また、コンバータ110及び新設端子ボード203は、外部からの入力によって接続先を切り替えるだけでなく、自動的に接続先の切り換えを行っても良い。
以下に、コンバータ110及び新設端子ボード203による接続先の切り換えを自動で行う方法を説明する。
まず、コンバータ110による接続先の切り換え方法を説明する。
センサ300−2がガスタービン500から所定の物理量を計測すると、センサ300−2は、新設端子ボード203−2に計測した物理量を示す信号を出力する。新設端子ボード203−2は、センサ300−2から入力した信号を、新設IOカード202−2及び既設IOカード902−2に出力する。
そして、新設IOカード202−2は、入力した信号が示すセンシング情報を、第2の通信プロトコルを用いて第3の通信部105に送信する。第3の通信部105は、受信したセンシング情報を第2の通信部104に出力する。
【0059】
他方、既設IOカード902−2は、入力した信号が示すセンシング情報を、第1の通信プロトコルを用いて第1の通信部101−1に送信する。次に、DMAC102−1は、第1の通信部101−1が受信して受信バッファに記録したセンシング情報を、変換部103のメモリの第2の記憶領域に転送する。そして、変換部103は、第2の記憶領域に記憶するセンシング情報を第2の通信プロトコルに変換し、当該センシング情報を、第2の通信部104に出力する。
【0060】
次に、切換部106は、第2の通信部104が変換部103から入力したセンシング情報と、第3の通信部105から入力したセンシング情報とを比較する。そして、切換部106は、第2の通信部104が変換部103から入力したセンシング情報と、第3の通信部105から入力したセンシング情報とが同一の値を示す場合、新規CPUカード201との接続先を、新設IOカード202に切り替える。
他方、切換部106は、第2の通信部104が変換部103から入力したセンシング情報と、第3の通信部105から入力したセンシング情報とが異なる値を示す場合、新規CPUカード201との接続先を、既設IOカード902に切り替える。
これにより、切換部106は、新設IOカード202の接続が正しく完了した際に自動的に接続先の変更を行うことができる。
【0061】
次に、新設端子ボード203による接続先の切り換え方法を説明する。
新設CPUカード201がアクチュエータ300−1への制御情報を出力すると、第2の通信部104は、当該制御情報を受信し、変換部103及び第3の通信部105に転送する。
第3の通信部105は、第2の通信部104から転送された制御情報を、新設IOカード202−1に送信し、新設IOカード202−1は、受信した制御情報を新設端子ボード203−1に出力する。このとき、新設端子ボード203−1は、受信した制御情報を内蔵する記憶回路に記憶しておく。
【0062】
他方、変換部103は、第2の通信部104から転送された制御情報の通信プロトコルを第1の通信プロトコルに変換する。次に、変換部103は、変換した制御情報をメモリの第1の記憶領域に記録する。次に、第1の通信部101は、変換部103のメモリの第1記憶領域に記憶されている制御情報を既設IOカード902−1に送信する。そして、既設IOカード902−1は、受信した制御情報を新設端子ボード203−1に出力する。
【0063】
次に、新設端子ボード203−1は、新設IOカード202−1から入力し、記憶回路に記憶している制御情報と、既設IOカード902−1から入力した制御情報とを比較する。そして、新設端子ボード203−1は、記憶回路に記憶している制御情報と既設IOカード902−1から入力した制御情報とが同一の値を示す場合、アクチュエータ300−1との接続先を、新設IOカード202に切り替える。
他方、新設端子ボード203−1は、記憶回路に記憶している制御情報と既設IOカード902−1から入力した制御情報とが異なる値を示す場合、アクチュエータ300−1との接続先を、既設IOカード902に切り替える。
これにより、新設端子ボード203は、新設IOカード202の接続が正しく完了した際に自動的に接続先の変更を行うことができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、コンバータ110がDMAC102を備え、DMAC102が変換部103と第1の通信部101とのメモリ情報の転送処理を行う場合を説明したが、これに限られず、コンバータ110は、DMAC102を必ずしも備えていなくても良い。
【0065】
また、上述のコンバータ100は内部に、コンピュータシステムを有しており、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるものとしても良い。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0066】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0067】
100、110…コンバータ 101、101−1、101−2…第1の通信部 102、102−1、102−2…DMAC 103…変換部 104…第2の通信部 105…第3の通信部 106…切換部 201、201−1〜201−3…新設CPUカード 202、202−1、202−2…新設IOカード 203、203−1、203−2…新設端子ボード 300…センサ・アクチュエータ 300−1、300−3、300−5…アクチュエータ 300−2、300−4、300−6…センサ 301…燃料流量制御装置 302…回転数センサ 303…空気流量制御装置 304…電力計 305…排ガス温度センサ 306…空気温度センサ 307…燃料圧力・温度センサ 308…圧縮空気圧力センサ 401…既設バス 402…新設バス 500…タービン 901、901−1〜901−3…既設CPUカード 902、902−1〜902−8…既設IOカード 903、903−1〜903−8…既設端子ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器との間で情報の入出力を行う複数の入出力装置と当該入出力装置との通信を行う制御装置とを有する制御システムを変更する方法であって、
前記入出力装置との間で第1の通信プロトコルで通信する既設の制御装置を、前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルで通信する新たな制御装置に交換する第1のステップと、
前記新たな制御装置と前記入出力装置との間に、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換装置を設ける第2のステップとを備え、
前記変換装置は、
1つまたは複数の前記入出力装置と前記第1の通信プロトコルで通信する複数の第1の通信部と、
前記新たな制御装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部のそれぞれと接続されるとともに、前記第2の通信部と接続されて、前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換部と
を有することを特徴とする制御システムを変更する方法。
【請求項2】
前記変換装置は、
前記既設の入出力装置と同じ制御対象機器との間で情報の入出力を行う新たな入出力装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第3の通信部と、
前記新たな制御装置との通信先を、前記既設の入出力装置及び前記新たな入出力装置の何れかに切り替える切替部と
を備え、
前記新たな入出力装置を前記変換装置に接続させる第3のステップと、
前記変換装置の切替部によって、前記新たな制御装置との通信先を切り替える第4のステップと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御システムを変更する方法。
【請求項3】
前記制御システムは既設の制御装置を複数備え、
前記第1のステップでは、複数の既設の制御装置を前記新たな制御装置に交換し、
前記第2のステップでは、前記変換装置を前記新たな制御装置それぞれと対応して設けるとともに、前記複数の新たな制御装置と前記複数の変換装置とをバスにより接続すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御システムを変更する方法。
【請求項4】
前記変換装置の変換部は、前記第1の通信プロトコルに変換した情報を蓄積するメモリを備え、
前記第1の通信部は、前記入出力装置に送信する情報を記憶するバッファを備え、
前記変換装置は、前記第1の通信部のメモリと変換部のバッファとの間で情報を転送するメモリアクセスユニットを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御システムを変更する方法。
【請求項5】
前記第4のステップでは、前記第1の通信手段が出力する情報と前記第3の通信手段が出力する情報が一致する場合に、前記切替部によって前記新たな入出力装置に接続先を切り替え、前記第1の通信部が出力する情報と前記第3の通信部が出力する情報が一致しない場合に、前記切替部によって前記既設の入出力装置に接続先を切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の制御システムを変更する方法。
【請求項6】
制御対象機器との間で情報の入出力を行い、第1の通信プロトコルで通信する入出力装置と、前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルで通信する制御装置とを接続する変換装置であって、
1つまたは複数の前記入出力装置と前記第1の通信プロトコルで通信する複数の第1の通信部と、
前記新たな制御装置と前記第2の通信プロトコルで通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部のそれぞれと接続されるとともに、前記第2の通信部と接続されて、前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換部と
を有することを特徴とする変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−259300(P2011−259300A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133119(P2010−133119)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】