説明

制御プログラム作成プログラム、及び制御プログラムの作成方法、繊維機械システム

【課題】一括制御プログラムを作成するのに要する労力を低減できるよう、基準となる個別制御プログラムを用意するだけで自動的に他の個別制御プログラムも作成されるプログラムを提供する。
【解決手段】ユニットコントローラ19が複数の紡績ユニット2を制御するのに供される一括制御プログラムを作成するための、制御プログラム作成プログラムにおいて、一括制御プログラムは、各紡績ユニット2に対応する固有の個別制御プログラム1−a〜1−d、2−a〜2−dを含むものであり、コンピュータに、基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラム1−a、2−aを取得する第1の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラム1−a、2−aに基づいて、他の個別制御プログラム1−b〜1−d、2−b〜2−dを作成する第2の機能と、を実現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置が複数の繊維処理ユニットを制御するのに供される制御プログラムを作成するためのプログラムと、この制御プログラムを作成する方法に関する。本発明は、更に、繊維機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2006−132035号公報)は、複数の紡績ユニットを備える紡績装置を開示する。この特許文献1において、各紡績ユニットは、ドラフト装置や紡績部、糸送り装置、巻取装置を主要な構成要素として有し、これらの構成要素を制御したり監視するユニットコントローラを更に備える。
【0003】
また、特許文献2(特開平11−36144号公報)は、複数の紡糸巻取ユニットを備える紡糸巻取システムを開示する。各紡糸巻取ユニットには、制御プログラムが保存されるRAMを有するロジックコントローラが用意されている。各紡糸巻取ユニットのスピンドル用コントローラやゴデットローラ用インバータ、ヒータ用コントローラは、このロジックコントローラが上記制御プログラムに沿って制御するようになっている。各ロジックコントローラは何れもシリアル通信ラインを介してパソコンに接続されており、ロジックコントローラのRAMに保存される制御プログラムは、パソコンから自由に書き換えられるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願出願人は、以下のように構成される紡績機を開発した。即ち、紡績機は、多数で列設され、スライバを延伸して紡績するための紡績ユニットと、複数のユニットコントローラを備える。前記複数の紡績ユニットは所定数(例えば4ユニット)ごとに区分され、各区分に属する所定数の紡績ユニット(以下、単に一組の紡績ユニットと称する。)の制御を一つのユニットコントローラが担当するように構成される。一組の紡績ユニットの制御に供される制御プログラム(以下、この制御プログラムを単に一括制御プログラムと称する。)は当該区分を担当するユニットコントローラの有するRAMに保存される。各ユニットコントローラの有するRAMに保存される一括制御プログラムを汎用コンピュータで自由に読み書きできるように、汎用コンピュータと各ユニットコントローラは適宜の通信ラインで接続されている。
【0005】
上記の一括制御プログラムは、例えば図5(R)に示されるように、紡績ユニットごとに異なる記述とする必要のある部分を含む個別制御プログラムと、紡績ユニットごとに異なる記述とする必要のない部分のみから成る共通制御プログラムと、から構成される。「紡績ユニットごとに異なる記述とする必要のある部分」とは、具体的には、ユニットコントローラが提供するデバイスを特定するための番号であるデバイス番号が相当する。この「デバイス」は、例えば、ユニットコントローラの外部入出力ポートや、ユニットコントローラが提供するタイマー及びカウンター、ユニットコントローラ内のレジスタなどが相当する。一方、「紡績ユニットごとに異なる記述とする必要のない部分」とは、紡績機の電源の投入や停電などユニットコントローラに共通の処理が相当する。
【0006】
上記の一括制御プログラムを用意するには、一組の紡績ユニットのうち何れかの紡績ユニットの制御に供される少なくとも一つの個別制御プログラムをとりあえず作成し、この個別制御プログラムを(所定数−1)回、複製し、複製された複数の個別制御プログラムを、一組の紡績ユニットのうち他の紡績ユニットの制御に供されるように上記のデバイス番号を適宜に書き換える必要がある。
【0007】
もし、この書き換えの作業が簡単で、正確且つ短時間で完了できるものであれば問題ないが、実際には、上記の作業は、書き換えのミスがないように極めて高度な注意力が求められ、書き換えの正確性を期するために多くの労力が費やされ、とても短時間で終えられるようなものでなかった。また、書き換えのミスによっては、紡績ユニットごとに生成されるパッケージの品質にバラツキが生じていた。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記の一括制御プログラムを作成するのに要する労力を低減できるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
第一の発明は、制御装置が複数の繊維処理ユニットを制御するのに供される制御プログラムを作成するための、制御プログラム作成プログラムにおいて、前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに対応する個別制御プログラムを含むものであり、コンピュータに、基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラムを取得する第1の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する第2の機能と、を実現させる、ことを特徴とするものである。以上の機能によれば、前記基準個別制御プログラムを用意するだけで他の個別制御プログラムが自動的に作成されるので、前記制御プログラムを作成するのに要する労力が軽減される。更に、他の個別制御プログラムが基準個別制御プログラムに基づいて自動的に作成されるので、書き換えによる人為的ミスが回避され、もって、各繊維処理ユニットによって生成される繊維製品の品質が安定する。
【0011】
第二の発明は、前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、前記第2の機能は、前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得する第3の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を前記第3の機能で取得した前記ユニット数と同数とせしめる第4の機能と、前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得する第5の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、前記第5の機能で取得した前記オフセット量と、に基づいて、前記第4の機能によって複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する第6の機能と、を含んで構成される、ことを特徴とするものである。以上の機能によれば、前記制御装置のデバイスが、該制御装置が制御を担当する各繊維処理ユニットに対して重複なく割り当てられる。
【0012】
第三の発明は、前記デバイスは、前記制御装置の有する外部入出力ポート、前記制御装置の有するタイマー、前記制御装置の有するカウンター、前記制御装置の有するレジスタ、のうち少なくとも何れか一である、ことを特徴とするものである。本発明は、上記に例示のデバイスを有する制御装置に特に好適である。
【0013】
第四の発明は、前記第1の機能は、既に作成され存在する前記制御プログラムに含まれる前記個別制御プログラムのうち改変が加えられた前記個別制御プログラムを識別するための識別記号を取得する第7の機能と、前記第7の機能により取得した前記識別記号に基づいて識別された前記個別制御プログラムを前記基準個別制御プログラムとして取得する第8の機能と、を含んで構成される、ことを特徴とするものである。以上の機能によれば、前記複数の個別制御プログラムのうち何れか一つの前記個別制御プログラムに対して加えられた改変が、他の前記個別制御プログラムに対しても同様に適用されることとなる。
【0014】
第五の発明は、前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに共通する共通制御プログラムを含むものであり、前記の第1の機能と第2の機能は、前記個別制御プログラムと前記共通制御プログラムとを区別して識別し、前記個別制御プログラムのみを取り扱う、ことを特徴とするものである。これによれば、前記複数の繊維処理ユニットの制御に共通する部分がコンパクトである制御プログラムが問題なく実現される。
【0015】
第六の発明は、制御装置が複数の繊維処理ユニットを制御するのに供される制御プログラムの作成方法において、前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに対応する個別制御プログラムを含むものであり、前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラムを取得し、前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得し、取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を取得した前記ユニット数と同数とせしめ、前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得し、取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、取得した前記オフセット量と、に基づいて、複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する、ことを特徴とすることである。以上の機能によれば、前記制御装置のデバイスが、該制御装置が制御を担当する各繊維処理ユニットに対して重複なく割り当てられる。
【0016】
第七の発明は、複数の繊維処理ユニットと、前記複数の繊維処理ユニットを制御するための制御装置と、前記各繊維処理ユニットの夫々に対応する個別制御プログラムと前記各繊維処理ユニットに共通する共通制御プログラムとを含む制御プログラムと、を備え、前記制御プログラムによって前記制御装置が前記複数の繊維処理ユニットを制御することによって、各繊維処理ユニットでパッケージが生成されるように構成された繊維機械システムにおいて、前記繊維機械システムは、前記制御装置と交信可能なコンピュータと、前記コンピュータによって実行される制御プログラム作成プログラムと、を更に含み、前記制御プログラム作成プログラムは、前記コンピュータに、個別制御プログラムを取得する第1の機能と、前記第1の機能によって取得した前記個別制御プログラムを基準個別制御プログラムとし、前記基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する第2の機能と、を実現させる、ことを特徴とする。以上のシステムによれば、前記基準個別制御プログラムを用意するだけで他の個別制御プログラムが自動的に作成されるので、前記制御プログラムを作成するのに要する労力が軽減される。更に、他の個別制御プログラムが基準個別制御プログラムに基づいて自動的に作成されるので、書き換えによる人為的ミスが回避され、もって、各繊維処理ユニットによって生成される繊維製品の品質が安定する。
【0017】
第八の発明は、前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、前記第2の機能は、前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得する第3の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を前記第3の機能で取得した前記ユニット数と同数とせしめる第4の機能と、前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得する第5の機能と、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、前記第5の機能で取得した前記オフセット量と、に基づいて、前記第4の機能によって複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する第6の機能と、を含んで構成される、ことを特徴とする。以上の機能によれば、前記制御装置のデバイスが、該制御装置が制御を担当する各繊維処理ユニットに対して重複なく割り当てられる。
【0018】
第九の発明は、前記第1の機能は、既に作成され存在する前記制御プログラムに含まれる前記個別制御プログラムのうち改変が加えられた前記個別制御プログラムを識別するための識別記号を取得する第7の機能と、前記第7の機能により取得した前記識別記号に基づいて識別された前記個別制御プログラムを前記基準個別制御プログラムとして取得する第8の機能と、を含んで構成される、ことを特徴とする。以上のシステムによれば、前記複数の個別制御プログラムのうち何れか一つの前記個別制御プログラムに対して加えられた改変が、他の前記個別制御プログラムに対しても同様に適用されることとなる。
【0019】
第十の発明は、前記の第1の機能と第2の機能は、前記個別制御プログラムと前記共通制御プログラムとを区別して識別し、前記個別制御プログラムのみを取り扱う、ことを特徴とする。以上のシステムによれば、前記複数の繊維処理ユニットの制御に共通する部分がコンパクトである制御プログラムが問題なく実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、並設された多数の紡績ユニット2(繊維処理ユニット、2a〜2d)を備えた紡績機1を示している。この紡績機1には、紡績ユニット2が並べられる方向に走行自在に設けられた糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5とが装備される。
【0021】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸送り装置11と、巻取装置12と、を主要な構成として有している。ドラフト装置7は紡績機1本体のケーシング6の上端近傍に設けられており、このドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績装置9で紡績するように構成している。紡績装置9から排出された紡績糸10は糸送り装置11で送られて、巻取装置12によって巻き取られ、パッケージ45を形成する。
【0022】
ドラフト装置7は図2に示すように、スライバ13を延伸して繊維束8にするためのものであり、バックローラ14、サードローラ15、エプロンベルト16を装架したミドルローラ17及びフロントローラ18の4つのローラから構成されている。
【0023】
また糸送り装置11は、紡績機1本体のケーシング6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接離自在に設けられたニップローラ40とからなる。紡績装置9から排出された紡績糸10をデリベリローラ39とニップローラ40との間に挟んでデリベリローラ39を回転駆動させることにより、紡績糸10を巻取装置12側へ送るようになっている。
【0024】
糸継台車3は図1に示すように、紡績機1本体のケーシング6に設けられたレール41上を走行する台車42と、台車42に設けられたノッター(又はスプライサ等)43と、台車42に回動自在に設けられ、紡績装置9から排出される糸端を吸い込みながら捕捉してノッター43へ案内するサクションパイプ44と、台車42に回動自在に設けられ、巻取装置12に回転自在に支持されたパッケージ45から糸端を吸引捕捉してノッター43へ案内するサクションマウス46と、からなる。
【0025】
前記多数の紡績ユニット2は、二点鎖線で示されるように所定数(本実施形態では4ユニット)ごとに区分され、各区分に属する所定数の紡績ユニット2a〜2d(以下、単に一組の紡績ユニット2a〜2dと称する。)の制御を一つのユニットコントローラ19(制御装置、例えばシーケンサ)が担当するように、ユニットコントローラ19が設けられる。換言すれば、一つのユニットコントローラ19が複数の紡績ユニット2a〜2dを制御するようになっている。ユニットコントローラ19は略示のCPU19a(Central Processing Unit)とRAM19b(Random Access Memory)などの主記憶装置を備えており、一組の紡績ユニット2a〜2dの制御に供される制御プログラム(以下、この制御プログラムを単に一括制御プログラムと称する。)は、当該区分を担当するユニットコントローラ19の有するRAM19bに記憶され、かつ、CPU19a上で実行される。
【0026】
また、各ユニットコントローラ19は汎用コンピュータ20に対して適宜の通信ラインを介して接続され、ユニットコントローラ19のRAM19bに保存されている上記の一括制御プログラムは汎用コンピュータ20を介して自由に読み書きできるようになってる。
【0027】
本実施形態において、繊維機械システム200は、複数の紡績ユニット2(繊維処理ユニット)と、複数の紡績ユニット2を制御するためのユニットコントローラ19(制御装置)と、上記の一括制御プログラムと、を備える。そして、一括制御プログラムによってユニットコントローラ19が複数の紡績ユニット2を制御することによって、各紡績ユニット2でパッケージが生成されるように構成される。汎用コンピュータ20はユニットコントローラ19と交信可能に接続される。
【0028】
次に、上述した一括制御プログラムについて詳しく説明する。図3を参照されたい。図3は、一組の紡績ユニットの制御に供される一括制御プログラムの構成概略図である。本図において、「共通制御プログラム」は、紡績ユニット2a〜2dごとに変更する必要のないプログラムであり、一方、「個別制御プログラム」は、紡績ユニット2a〜2dごとに異なる記述とする必要のある部分を含むプログラムである。「個別制御プログラム1−a」及び「個別制御プログラム2−a」は何れも紡績ユニット2aの制御に供されるプログラムである。即ち、「個別制御プログラム1−x」及び「個別制御プログラム2−x」は何れも紡績ユニット2xの制御に供されるプログラムということである。本図に示されるように、一括制御プログラムは、各紡績ユニット2a〜2dに対応する固有の固有制御プログラム1−a〜1−d、2−a〜2−dを含むものである。
【0029】
上記の「紡績ユニット2a〜2dごとに異なる記述とする必要のある部分」とは、具体的には、ユニットコントローラが提供するデバイスを特定するための番号であるデバイス番号が相当する。換言すれば、「紡績ユニット2a〜2dごとに異なる記述とする必要のある部分」とは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号が相当する。この「デバイス」は、例えば、ユニットコントローラの外部入出力ポートや、ユニットコントローラが提供するタイマー及びカウンター、ユニットコントローラ内のレジスタ(メモリで構成された補助リレーである内部リレー)などが相当する。例えば、タイマーは精紡のために紡績装置9に供給されるエアーの圧力を調整するためのソレノイドバルブ(不図示)を設定された時間ONさせる際の設定時間に使用する。カウンターは、糸長を測定するときに一定時間毎にカウントし、カウントされた値を加算していく。任意に設定された設定値にカウント値が達したときに形成されたパッケージ45が満巻きになったとして、パッケージ45の完成は認識される。更に、レジスタはパラメータなどの設定、もしくはモニタ値を格納するために使用される。レジスタとしては、汎用レジスタ、特殊レジスタ等が挙げられる。一方、「紡績ユニット2a〜2dごとに異なる記述とする必要のない部分」とは、紡績機の電源の投入や停電などの装置全体の制御に関するものが相当する。そして、各個別制御プログラムには、上記のデバイス番号が相互に重複なく記述されている。
【0030】
各ユニットコントローラ19と交信可能な汎用コンピュータ20は、CPU100(Central Processing Unit)とROM101(Read Only Memory)、RAM102(Random Access Memory)などの主記憶装置、更にHDD103(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置、キーボードなどの操作部104、モニターなどの表示部105、LANインターフェース106を備え、RAM又はHDDには、上記の一括制御プログラムを作成するためのエディタアプリケーション(制御プログラム作成プログラム)がプログラムのかたちで記憶されている。このエディタアプリケーションは、CPUによって読み込まれ、CPU上で実行されるようになっている。以下、このエディタアプリケーションを読み込んだCPUの処理について詳細に説明する。
【0031】
図4及び図5を参照されたい。図4は、エディタアプリケーションの展開処理のフローを示す。図5は、図4に示されるフローに従って、基準個別制御プログラムから一括制御プログラムへと展開される様子を示す。
【0032】
図4に示されるように、上記のエディタアプリケーションの展開処理を開始すると(S300)、CPU100は、基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラム(図5(P)参照)を取得する(S301、第1の機能)。具体的には、(1)エディタアプリケーションの展開処理の開始前に予めHDDに記憶されている基準個別制御プログラムを読み込んだり、又は、(2)紡績機1のオペレータが汎用コンピュータ20に接続されている操作部104を用いて基準個別制御プログラムをコンピュータ20に入力することによって、CPU100は、上記基準個別制御プログラムを取得する。一例として、基準個別制御プログラムには、図5(P)に示されるように、個別制御プログラムとしては紡績ユニット2aの制御に供される個別制御プログラム1−a、2−a及び、該個別制御プログラムとの間で識別可能な態様で共通制御プログラム1〜3が記述されている。詳しくは、個別制御プログラムと共通制御プログラムの間にはこれらを区別して識別可能とする所定の識別文字が記述されており、CPUは、この識別文字を介して、個別制御プログラムと共通制御プログラムとを問題なく識別できるようになっている。
【0033】
次に、CPU100は、S301の処理によって取得した基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する(S302〜S305、図5(P)〜(R)、第2の機能)。具体的には以下の通りである。
【0034】
先ず、CPU100は、ユニットコントローラ19が制御を担当する複数の紡績ユニット2のユニット数を取得する(S302、第3の機能)。図1に示されるように、本実施形態においてユニットコントローラ19は4ユニット分の紡績ユニット2の制御を担当することになっている。従って、上記のオペレータは、このユニット数を操作部104よりCPU100に入力することとなる。或いは、上記同様に予めこのユニット数がHDD103に記憶されている場合は、このHDD103に記憶されているユニット数がCPU100に読み込まれることとなる。
【0035】
次に、CPU100は、S301で取得した上記の基準個別制御プログラムを複製することで、個別制御プログラムの数をS302で取得したユニット数と同数とせしめる(S303、第4の機能、図5(Q)参照)。このとき、図5(Q)に示されるように、CPU100は、個別制御プログラムと共通制御プログラムとを区別して識別し、個別制御プログラムのみを複製する。また、CPU100は、シーケンサ制御の便宜上、複製により生成した個別制御プログラムを複製元である個別制御プログラムに挿入する。
【0036】
次に、CPU100は、紡績ユニット2のために確保されるべきデバイスの数量としてのオフセット量を取得する(S304、第5の機能)。即ち、例えば、紡績ユニット2のために確保されるべきユニットコントローラ19の外部入力ポートの数が16個であるとき、外部入力ポートに関するオフセット量は16となる。同様に、例えば、紡績ユニット2のために確保されるべきユニットコントローラ19のカウンターの数が4個であるとき、カウンターに関するオフセット量は4となる。外部出力ポートやタイマー、レジスタに関しても同様である。CPU100は、前述同様に、このオフセット量をオペレータの入力により取得してもよいし、適宜にHDD103から読み込んで取得してもよい。
【0037】
次いで、CPU100は、S301で取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、S304で取得したオフセット量と、に基づいて、S303で複製された個別制御プログラムのデバイス番号を設定する(S305、第6の機能、図5(R)参照)。下記表1を参照されたい。表1は、各紡績ユニットに対する各デバイスの割り当ての一例を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
ここで、先ず、デバイス番号がX10〜X1F(X以下の数字は、16進法表示)で表されるユニットコントローラ19の外部入力ポートが紡績ユニット2aに対して割り当てられており、S301で取得した基準個別制御プログラムの外部入力ポートに係る部分にデバイス番号としてX10〜X1Fが記述されていたとする。この場合、CPU100は、このデバイス番号であるX10〜X1Fに上記の外部入力ポートに係るオフセット量(本実施形態において16(10進法表示))を加えたデバイス番号で特定されるユニットコントローラ19の外部入力ポートを紡績ユニット2bに対して割り当てるよう、複製された一つ目の個別制御プログラムの外部入力ポートに係る部分(デバイス番号としてX10〜X1Fが記述されている。)を新たなデバイス番号としてのX20〜X2Fへと書き換える。より詳細には、「X10(16進法表示)」に10進法表示のオフセット量「16」を16進法表示に変換した「10」を加えることにより「X20」が得られる。同様に「X11(16進法表示)」に10進法表示のオフセット量「16」を16進法表示に変換した「10」を加えることにより「X21」が得られる。これを繰り返すことにより「X20〜X2F」を得ることができる。同様に、CPU100は、このデバイス番号であるX20〜X2Fに上記の外部入力ポートに係るオフセット量(本実施形態において16)を再び加えたデバイス番号で特定されるユニットコントローラ19の外部入力ポートを紡績ユニット2cに対して割り当てるよう、複製された二つ目の個別制御プログラムの外部入力ポートに係る部分(デバイス番号としてX20〜X2Fが記述されている。)を新たなデバイス番号としてのX30〜X3Fへと書き換える。紡績ユニット2dについて、また、外部出力ポート、タイマー、カウンターなどの他のデバイスについても同様である。
【0040】
こうして、基準個別制御プログラムから複製された各個別制御プログラムが紡績ユニット2b、2c、2dの制御に供されるのに適したものへと書き換えられることで、S301で取得した基準個別制御プログラムに基づいて他の個別制御プログラムが作成され(S302〜S305)、図3及び図5(R)に示される一括制御プログラムが完成する(S306)。
【0041】
次に、図6及び図7を参照されたい。図6は、エディタアプリケーションの戻し処理のフローを示す。図7は、図6に示されるフローに従って、一括制御プログラムから基準個別制御プログラムへと戻された様子を示す。図6に示されるフローは、図7からも判る通り、端的に言えば、既に作成され存在する一括制御プログラムに含まれる個別制御プログラムを基準個別制御プログラムとして取得するものである。
【0042】
以下、仮に、紡績ユニット2cの動作を修正すべく、個別制御プログラム1−cに対して若干の改変が加えられ、この改変を他の個別制御プログラム1−a、1−b、1−dにも適用したいとする(図7(S)参照)。
【0043】
先ず、上記のエディタアプリケーションの戻し処理を開始すると(S400)、CPU100は、既に作成され存在する一括制御プログラムに含まれる個別制御プログラムのうち改変が加えられた個別制御プログラムである個別制御プログラム1−cを識別するための識別記号である“c”を取得する(S401、第7の機能)。この取得は、例えば、オペレータの入力による。
【0044】
次に、CPU100は、S401で取得した識別番号“c”に基づいて識別された個別制御プログラム1−c及び個別制御プログラム2−cを、基準個別制御プログラムとして一括制御プログラムから取得する(S402、第8の機能)。換言すれば、CPU100は、S401で取得した識別番号“c”に基づいて識別された個別制御プログラム1−c及び個別制御プログラム2−c以外のすべての個別制御プログラム1−a、1−b、1−d、2−a、2−b、2−dを消去する。この消去処理により、一括制御プログラムは、図7(T)に示されるように、図5(P)に示されるかたちとよく似たかたちの、共通制御プログラムを伴った基準個別制御プログラムとなる。
【0045】
従って、再度、この基準個別制御プログラムを展開処理すれば、個別制御プログラム1−cに対して加えられた若干の改変が、他の個別制御プログラム1−a、1−b、1−dに同様に適用されることとなる。
【0046】
なお、図5に示されるように、先の説明における展開処理では、個別制御プログラム1−a及び個別制御プログラム2−aを基準として展開するものであるから、他の個別制御プログラム1−b〜1−dなどのデバイス番号を設定するに際し、単に基準個別制御プログラムのデバイス番号にオフセット量を加算すれば十分であった。一方、今回のように、個別制御プログラム1−c及び個別制御プログラム2−cを基準として展開する場合は、他の個別制御プログラム1−a、1−b、1−dなどのデバイス番号を設定するに際し、基準個別制御プログラムのデバイス番号にオフセット量を単に加算するだけでは足りない。しかし、かかる場合も、CPUは、S401で取得した識別番号を適宜に参照することで、上記デバイス番号の設定に際し、基準個別制御プログラムのデバイス番号に所定のオフセット量を加算すべきか減算すべきを適切に判断できるようになっている。
【0047】
次に、上記のエディタアプリケーションを活用して実現される紡績機の開発フローについて説明する。図8は、紡績機の開発フローを示す。
【0048】
即ち、開発の出発(S500)において先ず、オペレータが、一組の紡績ユニット2a〜2dのうち何れかの紡績ユニット2(以下の例では紡績ユニット2a)の個別制御プログラムを、エディタアプリケーション上で、基準個別制御プログラムとして作成する(S501)。この基準個別制御プログラムは、図5(P)に示されるように、共通制御プログラム1〜3と、紡績ユニット2a分の個別制御プログラム1−a、2−aから成るものである。この基準個別制御プログラムは汎用コンピュータ20のRAM102に記憶される。
【0049】
次に、汎用コンピュータ20に前述のオフセット量やユニットコントローラ19が制御を担当する紡績ユニット2のユニット数を入力する(S502)。これらの入力値は、汎用コンピュータ20のRAM102に記憶される(S502、図5(P)参照)。
【0050】
次に、上記のエディタアプリケーションの展開処理を汎用コンピュータ20上で実行することにより(S504)、基準個別制御プログラムに基づいて一括制御プログラムを作成する(S505)。
【0051】
そして、汎用コンピュータ20上で作成した上記の一括制御プログラムを、適宜の通信ラインを介して紡績機1の各ユニットコントローラ19へ送信(ダウンロード)する(S506)。汎用コンピュータ20から受信した一括制御プログラムは、ユニットコントローラ19のRAM19bに記憶される。
【0052】
オペレータが紡績機1の運転を開始すると、各ユニットコントローラ19のCPU19aは、RAM19bに記憶されている一括制御プログラムを読み込み、この一括制御プログラムに基づいて、ユニットコントローラ19が担当する複数の紡績ユニット2a〜2dを制御する(S507)。
【0053】
そして、何れの紡績ユニット2の動作にも特に問題がなければ、ユニットコントローラ19による各紡績ユニット2の制御を継続する(S508、NO)。
【0054】
一方、何れかの紡績ユニット2の動作に何らかの問題があり、一括制御プログラムを修正する必要があり(S508、YES)、錘展開エリア(共通制御プログラム以外の部分)でのデバッグは必要でない場合(S509、NO)は、共通エリアのデバッグを行い(S510)、図7に示されるような戻し処理を行って基準個別制御プログラムとする(S503)。一方、錘展開エリアでのデバッグが必要な場合(S509、YES)、確認錘でデバッグする(S511)。即ち、例えば、オペレータが紡績ユニット2b(確認錘)の動作に問題があると判断した場合は、上記のエディタアプリケーション上で、一括制御プログラムのうち紡績ユニット2bに関する個別制御プログラム1−b又は2−b、等の問題のある個別制御プログラムを、戻し処理や展開処理を一切介することなく直接的に修正し、修正後の一括制御プログラムを再度、ユニットコントローラ19に送信し、この修正後の一括制御プログラムに沿ってユニットコントローラ19に各紡績ユニット2を再び制御させ、紡績ユニット2b(確認錘)の動作の問題が改善されたかを観察する。なお、このとき、紡績ユニット2a、2c、2dの動作は、修正の前後において何ら変わらない。
【0055】
この修正作業を必要に応じて数回繰り返した結果、オペレータが紡績ユニット2b(確認錘)の動作の問題が解消されたことを確認したら、図6に示されるフローの通りに、オペレータは、汎用コンピュータ20に識別記号“b”を入力すると共に、この識別記号“b”に基づいて、一括制御プログラムを基準個別制御プログラムへ戻す戻し処理を汎用コンピュータ20に実行させる(S512、図7参照)。そして、再度、S512で戻し処理されて生成された基準個別制御プログラム(S503)を展開処理し(S504)、一括制御プログラムとせしめて(S505)、この一括制御プログラムを各ユニットコントローラ19へ送信し(S506)、ユニットコントローラ19に、修正後の一括制御プログラムに基づいての紡績ユニット2の制御を再開させる(507)。以上に述べた一連の開発フローによれば、S511において発案されたプログラムの改変が個別制御プログラム1−bのみならず個別制御プログラム1−a、1−c、1−dにも適用されることとなる。
【0056】
なお、何れかの紡績ユニット2において、プログラム上の何らかの問題があり、その問題を解決するのに必要なプログラムの改変が簡単且つ明瞭であるときは、紡績機1上でプログラムの改変が妥当かどうかのデバッグ作業を省略できる。従って、このような場合は、汎用コンピュータ20のRAM102に記憶されている基準個別制御プログラムをエディタアプリケーション上で改変し、その改変が妥当か否かを判断することなく、展開処理し(S504)、一括制御プログラムとせしめて(S505)、各ユニットコントローラ19へ送信するようにしてもよい(S506)。
【0057】
(第1の発明)
以上説明したように、上記実施形態において、ユニットコントローラ19が複数の紡績ユニット2を制御するのに供される一括制御プログラムを作成するためのエディタアプリケーションは、汎用コンピュータ20に以下の機能を実現させる。前記一括制御プログラムは、各紡績ユニット2に対応する個別制御プログラムを含むものである。第1の機能は、基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラムを取得する。第2の機能は、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する。以上の機能によれば、前記基準個別制御プログラムを用意するだけで他の個別制御プログラムが自動的に作成されるので、前記一括制御プログラムを作成するのに要する労力が軽減される。更に、他の個別制御プログラムが基準個別制御プログラムに基づいて自動的に作成されるので、書き換えによる人為的ミスが回避され、もって、各紡績ユニット2によって生成される紡糸パッケージ(繊維製品)の品質が安定する。
【0058】
(第2の発明)
また、前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記紡績ユニット2の制御に、前記ユニットコントローラ19の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものである。前記第2の機能は、下記の第3〜第6の機能を含んで構成される。○第3の機能は、前記ユニットコントローラ19が担当する前記複数の紡績ユニット2のユニット数を取得する。○第4の機能は、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を前記第3の機能で取得した前記ユニット数と同数とせしめる。○第5の機能は、前記紡績ユニット2のために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得する。○第6の機能は、前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、前記第5の機能で取得した前記オフセット量と、に基づいて、前記第4の機能によって複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する。以上の機能によれば、前記ユニットコントローラ19のデバイスが、該ユニットコントローラ19が制御を担当する各紡績ユニット2に対して重複なく割り当てられる。
【0059】
(第3の発明)
また、前記デバイスは、前記ユニットコントローラ19の有する外部入出力ポート、前記ユニットコントローラ19の有するタイマー、前記ユニットコントローラ19の有するカウンター、前記ユニットコントローラ19の有するレジスタ、のうち少なくとも何れかである。本発明は、上記に例示のデバイスを有するユニットコントローラ19に特に好適である。
【0060】
(第4の発明)
また、前記第1の機能は、○既に作成され存在する前記一括制御プログラムに含まれる前記個別制御プログラムのうち改変が加えられた前記個別制御プログラムを識別するための識別記号を取得する第7の機能と、○前記第7の機能により取得した前記識別記号に基づいて識別された前記個別制御プログラムを前記基準個別制御プログラムとして取得する第8の機能と、を含んで構成される。以上の機能によれば、前記複数の個別制御プログラムのうち何れかの前記個別制御プログラムに対して加えられた改変が、他の前記個別制御プログラムに対しても同様に適用されることとなる。なお、上記の「識別記号」は、文字、文字列、数字、記号を含む。
【0061】
(第5の発明)
また、前記一括制御プログラムは、各紡績ユニット2に共通する共通制御プログラムを含むものであり、前記の第1の機能と第2の機能は、前記個別制御プログラムと前記共通制御プログラムとを区別して識別し、前記個別制御プログラムのみを取り扱う。これによれば、前記複数の紡績ユニット2の制御に共通する部分がコンパクトである一括制御プログラムが問題なく実現される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】紡績機の正面図
【図2】紡績機の側面断面図
【図3】一組の紡績ユニットの制御に供される一括制御プログラムの構成概略図
【図4】エディタアプリケーションの展開処理のフロー
【図5】図4に示されるフローに従って、基準個別制御プログラムから一括制御プログラムへと展開される様子を示す図
【図6】エディタアプリケーションの戻し処理のフロー
【図7】図6に示されるフローに従って、一括制御プログラムから基準個別制御プログラムへと圧縮される様子を示す図
【図8】紡績機の開発フローを示す図
【符号の説明】
【0063】
1 紡績機
2 紡績ユニット
2a〜2d 紡績ユニット
19 ユニットコントローラ
1−a〜1−d 個別制御プログラム
2−a〜2−d 個別制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置が複数の繊維処理ユニットを制御するのに供される制御プログラムを作成するための、制御プログラム作成プログラムにおいて、
前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに対応する個別制御プログラムを含むものであり、
コンピュータに、
基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラムを取得する第1の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する第2の機能と、
を実現させる、ことを特徴とする制御プログラム作成プログラム
【請求項2】
請求項1に記載の制御プログラム作成プログラムにおいて、
前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、
前記第2の機能は、
前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得する第3の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を前記第3の機能で取得した前記ユニット数と同数とせしめる第4の機能と、
前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得する第5の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、前記第5の機能で取得した前記オフセット量と、に基づいて、前記第4の機能によって複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する第6の機能と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする制御プログラム作成プログラム
【請求項3】
請求項2に記載の制御プログラム作成プログラムにおいて、
前記デバイスは、前記制御装置の有する外部入出力ポート、前記制御装置の有するタイマー、前記制御装置の有するカウンター、前記制御装置の有するレジスタ、のうち少なくとも何れかである、
ことを特徴とする制御プログラム作成プログラム
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の制御プログラム作成プログラムにおいて、
前記第1の機能は、
既に作成され存在する前記制御プログラムに含まれる前記個別制御プログラムのうち改変が加えられた前記個別制御プログラムを識別するための識別記号を取得する第7の機能と、
前記第7の機能により取得した前記識別記号に基づいて識別された前記個別制御プログラムを前記基準個別制御プログラムとして取得する第8の機能と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする制御プログラム作成プログラム
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の制御プログラム作成プログラムにおいて、
前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに共通する共通制御プログラムを含むものであり、
前記の第1の機能と第2の機能は、前記個別制御プログラムと前記共通制御プログラムとを区別して識別し、前記個別制御プログラムのみを取り扱う、
ことを特徴とする制御プログラム作成プログラム
【請求項6】
制御装置が複数の繊維処理ユニットを制御するのに供される制御プログラムの作成方法において、
前記制御プログラムは、各繊維処理ユニットに対応する個別制御プログラムを含むものであり、前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、
基準となる個別制御プログラムとしての基準個別制御プログラムを取得し、
前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得し、
取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を取得した前記ユニット数と同数とせしめ、
前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得し、
取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、取得した前記オフセット量と、に基づいて、複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する、
ことを特徴とする制御プログラムの作成方法
【請求項7】
複数の繊維処理ユニットと、
前記複数の繊維処理ユニットを制御するための制御装置と、
前記各繊維処理ユニットの夫々に対応する個別制御プログラムと前記各繊維処理ユニットに共通する共通制御プログラムとを含む制御プログラムと、
を備え、前記制御プログラムによって前記制御装置が前記複数の繊維処理ユニットを制御することによって、各繊維処理ユニットでパッケージが生成されるように構成された繊維機械システムにおいて、
前記繊維機械システムは、
前記制御装置と交信可能なコンピュータと、
前記コンピュータによって実行される制御プログラム作成プログラムと、
を更に含み、
前記制御プログラム作成プログラムは、
前記コンピュータに、
個別制御プログラムを取得する第1の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記個別制御プログラムを基準個別制御プログラムとし、前記基準個別制御プログラムに基づいて、他の個別制御プログラムを作成する第2の機能と、
を実現させる、ことを特徴とする繊維機械システム
【請求項8】
請求項7に記載の繊維機械システムにおいて、
前記個別制御プログラムは、該個別制御プログラムに対応する前記繊維処理ユニットの制御に、前記制御装置の有する複数のデバイスのうちどのデバイスが供されるかを特定するための番号であるデバイス番号を含むものであり、
前記第2の機能は、
前記制御装置が担当する前記複数の繊維処理ユニットのユニット数を取得する第3の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムを複製することで、前記個別制御プログラムの数を前記第3の機能で取得した前記ユニット数と同数とせしめる第4の機能と、
前記繊維処理ユニットのために確保されるべき前記デバイスの数量としてのオフセット量を取得する第5の機能と、
前記第1の機能によって取得した前記基準個別制御プログラムのデバイス番号と、前記第5の機能で取得した前記オフセット量と、に基づいて、前記第4の機能によって複製された前記個別制御プログラムのデバイス番号を設定する第6の機能と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする繊維機械システム
【請求項9】
請求項7又は8に記載の繊維機械システムにおいて、
前記第1の機能は、
既に作成され存在する前記制御プログラムに含まれる前記個別制御プログラムのうち改変が加えられた前記個別制御プログラムを識別するための識別記号を取得する第7の機能と、
前記第7の機能により取得した前記識別記号に基づいて識別された前記個別制御プログラムを前記基準個別制御プログラムとして取得する第8の機能と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする繊維機械システム
【請求項10】
請求項7〜9の何れか一項に記載の繊維機械システムにおいて、
前記の第1の機能と第2の機能は、前記個別制御プログラムと前記共通制御プログラムとを区別して識別し、前記個別制御プログラムのみを取り扱う、
ことを特徴とする繊維機械システム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−199388(P2009−199388A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40902(P2008−40902)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】