説明

制御放出配合物

本発明は、薬学的に活性な成分、好ましくはモルヒネ、及び水溶性ポリマーであるキトサン、及び好ましくは1種以上の酸化防止剤、1種以上の抗菌剤、及び水を含む吸収を媒介する制御放出経粘膜的配合物及びその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、そのすべてが参考として導入されている、2004年2月10日に出願された米国特許願第10/776,333号の優先権を主張する。
本発明は、吸収を媒介する制御放出経粘膜的配合物及びその使用方法に関する。特に本発明は、例えばモルヒネのような薬学的に活性な成分及びキトサンポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
徐放製剤は、患者の薬剤服用順守の向上及び薬物の副作用の発生率の低下の両方により治療の向上の探索において重要である。課題は、最初に過剰摂取する可能性を除去しつつ、長期間にわたって所望の濃度を保持するのに十分な薬物を単回投与で投薬することである。経粘膜的な投薬の場合には、経口製剤と比べて、投与後に体内において薬物の送達を遅延させるように薬物の表面を覆ったり配合したりすることが容易ではないため、制御放出するのは困難である。長期間にわたる応答は、対応する短時間作用型、即効型の製剤では得られない多くの治療的利点を提供する。例えば、治療は患者の睡眠を中断せずに継続されることもでき、このことは、例えば、中程度から過酷な痛みの患者(例えば、術後の患者、癌の患者等)、または目覚めたときに偏頭痛に悩む患者、ならびに睡眠が必要不可欠な衰弱している患者の治療時には特に重要である。長時間作用型の製剤の更なる一般的な利点は、患者の健忘症による薬の飲み忘れが回避されるために患者の薬剤服用順守が向上することである。
制御放出の手段を用いない、即効力のある薬物の治療は、迅速な吸収、及び代謝的な不活性化による化合物の全身排泄のために、薬物の有効な定常状態血中濃度を保持し、血中濃度の浮き沈みを回避するためには頻繁な注意深い投与を必要とする。この浮き沈みは、患者の維持療法において特別な問題を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この見地から、制御放出製剤が、山部/谷部の濃度比を低下させつつ長い投薬期間にわたって保持される薬物の治療的血中濃度を理想的に提供することが目的であると考えられる。活性成分のインビボ放出及びその後の吸収に影響を及ぼす多くの変数が開発の過程において重要である。
したがって、特に経鼻投与のための経粘膜的送達による制御放出投与に関する組成物に使用しうる追加のオピオイド塩の必要性が依然として業界には存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、高濃縮の薬学的に活性な成分、好ましくはモルヒネ、及び水溶性ポリマー、つまりキトサンを含む経粘膜的組成物が投薬後の活性剤の吸収を媒介することが発見された。特定濃度における2成分の割合により最適制御放出性能が達成される。
本発明のこれら及びその他の面を、詳細な記載及び実施例においてさらに論述する。
本発明の組成物は、治療効果のある量の1種以上の薬学的に許容しうる薬物(活性成分)を含む。可能な薬学的に活性な成分には、限定するわけではないが、鎮痛薬、麻酔薬、充血除去剤、睡眠薬、鎮静剤、抗てんかん薬、覚醒剤、向精神神経薬、神経筋遮断薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、利尿薬、降圧薬、昇圧薬、鎮咳薬、去痰薬、甲状腺ホルモン、性ホルモン、抗糖尿病薬、抗癌剤、抗生物質、化学療法薬、及びその他の中枢神経系作用薬が含まれる。
好ましい実施態様においては、薬学的に活性な成分はオピオイドである。本明細書において使用されている“オピオイド”という用語は、μ、κ、及びδオピオイド受容体及びその亜型のようなオピオイド受容体のすべての作用薬及び拮抗薬を意味する。オピオイド受容体及び亜型の論述に関しては、参考として本明細書に導入されているGoodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 9th ed. J. G. Harman and L. E. Limird Eds., McGraw-Hill New York: 1996 pp. 521-555を参照されたい。好ましいオピオイドは、μオピオイド受容体、κオピオイド受容体、またはその両方と相互作用する。好ましくは、オピオイドはオピオイド受容体作用薬である。オピオイドの実例となるカテゴリー及び特定例には、限定するわけではないが、フェンタニル、コデイン、またはモルヒネのような強力な鎮痛薬(特定の塩またはエステルが言及される場合には、薬物のその他の塩、エステル、または遊離酸の形を含むと理解されるべきである)が含まれる。
【0005】
好ましい実施態様においては、オピオイドはモルヒネである。モルヒネ化合物は、限定するわけではないが、以下の化合物、すなわち、モルヒネ塩基モノ水和物、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、モルヒネメタンスルホン酸塩、モルヒネクエン酸塩、モルヒネアスコルビン酸塩及びモルヒネのその他の塩の一から選択されうる。好ましくは、モルヒネは、以下の構造式を有する精製されたモルヒネ塩基モノ水和物(無水塩基、MW 303.36)、C17H19O3NH2Oである。
【0006】
【化1】

【0007】
モルヒネ塩基(精製されたモノ水和物)は、高い親和性でアヘン剤受容体と結合し、強い拮抗薬であるために好ましい。
オピオイド化合物に依存して組成物は変化するが、薬物は組成物中に約18.75乃至約300mg/ml、好ましくは約37.5乃至約150mg/ml存在しうる。最も好ましくは、薬物は約75mg/ml存在する。
活性化合物の種々の薬学的に許容しうる塩、エーテル誘導体、エステル誘導体、酸誘導体、及び水溶解度変性誘導体も本発明に含まれる。本発明は更に、化合物のすべての個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物、及びその他の割合の異性体も含む。本発明はまた、この化合物のすべての多形及び、水和物及び有機溶媒で形成される同様なもののような溶媒和物も含む。そのような異性体、多形、及び溶媒和物は、本明細書における開示に基づく、レジオ特異性及び/またはエナンシオ選択性合成及び分割によるような当業者に公知の方法により調製しうる。
化合物の適する塩には、限定するわけではないが、本発明の化合物の酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、d-樟脳スルホン酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、estolate、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシンエート、hydrabamine、臭化水素塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、napsylate、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(embonate)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、teoclate、p-トルエンスルホン酸塩、triethiodide及び吉草酸塩;限定するわけではないがサッカリンで製造された塩を含む酸添加塩;アルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩;及び有機または無機配位子で形成された塩が含まれる。好ましくは、モルヒネ塩はモルヒネメタンスルホン酸塩である。
【0008】
本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグを含む。プロドラッグには、限定するわけではないが、生体内で容易に目的物質に変換しうる薬学的活性剤の官能性誘導体が含まれる。適するプロドラッグ誘導体の従来の選択及び調製方法は、例えば、“Design of Prodrugs”(ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されている。
実際には、制御放出物質は、活性剤のキャリヤーとして作用する。本発明における好ましいポリマーは、市販の非毒性ポリマーまたはその塩または誘導体であるキトサン([(1,4)-2-アミノ-2-デゾキシ-b-D-グルカン]))である。キトサンは、甲殻類の貝殻から誘導される線状多糖類である。物質には、ペクチン(ポリガラクツロン酸)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、ムチン)または非毒性レクチンのような生体接着性または粘膜接着性ポリマーも含まれる。ポリマー自体は生体接着性でもよく、例えば、キトサンのようなポリ酸無水物または多糖類でもよい。
本明細書において使用されている“キトサン”という用語には、種々の分子量のポリグルコサミン及びグルコサミン物質のオリゴマーのすべてを含む、例えば、ポリ-N-アセチル-D-グルコサミンのようなキチンのすべての誘導体であって、比較的大きな割合のN-アセチル基が加水分解(脱アセチル化)により除去されている誘導体が含まれる。好ましくは、キトサンは、40%より高度、好ましくは約50乃至98%、更に好ましくは約70乃至90%脱アセチル化することによりキチンから製造される。キトサン誘導体またはキトサンの塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩または酢酸塩)もまたキトサンの代わりに使用されうる。本明細書において使用されている“キトサン誘導体”という用語には、アシル及び/またはアルキル基が、キトサンのNH2基ではなくてOH基と結合することにより形成されるエステル、エーテルまたはその他の誘導体が含まれる。例には、キトサンのO-アルキルエーテル及びキトサンのO-アシルエステルが含まれる。修飾したキトサン、特にポリエチレングリコールと結合したものは、この定義に含まれる。低及び中粘度キトサン(例えば、CL113、G210及びCL110)は、Pronova Biopolymer(ノルウェーのドランメン);Seigagaku America Inc.,(米国メリーランド州);Meron Pvt, Ltd.,(インド);Vanson Ltd.,(米国バージニア州)及びAMS Biotechnology Ltd.,(英国)を含む種々の会社から入手しうる。適する誘導体には、Roberts, Chitin Chemistry, (MacMillan Press Ltd., London(1992))に開示されているものが含まれる。
【0009】
本発明のキトサン、キトサン誘導体または塩は、好ましくは約4,000以上の原子質量単位、好ましくは約25,000乃至約2,000,000の原子質量単位、最も好ましくは約250,000乃至約600,000の原子質量単位を有する。
種々の低分子量のキトサンは、キトサナーゼを用いたキトサンの酵素分解により、あるいは亜硝酸の添加により調製しうる。両方の方法は当業者に公知である。好ましくは、キトサン化合物は水溶性である。言及しうる特に好ましいキトサン化合物には、FMC Corporation(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手しうるUPG210及びUPG213キトサンが含まれる。UPG210及びUPG213キトサンは、制御放出または一層規則化された生体利用効率に許容されうるほど高度に精製され、したがって製薬グレードの物質の送達の精度に一層適する高分子量範囲の物質である。
本発明においては、薬学的に活性な成分のキトサンポリマーに対する割合は、キトサンポリマーの制御放出特性を得るために特定範囲以内でなければならない。割合は、使用する化合物の分子量、例えば、使用する特定のキトサンに依存して変化するであろう。したがって、本発明においては、割合は、好ましくは分子の分子に対する比に基づいて計算される。活性成分のキトサンに対する分子の分子に対する比は、約1:1乃至約100,000:1、好ましくは約5,000:1ないし約80,000:1でもよい。
あるいは、便宜上、特定の化合物が公知である場合には、キトサン及び活性成分の比は質量の質量に対する比、または質量の体積に対する比に基づいて表しうる。例えば、本発明の好ましい実施態様においては、精製モルヒネ塩基モノ水和物(分子量303.4)を好ましいキトサン(約420,000の分子量を有する)と組み合わせる。好ましい実施態様においては、前述のモルヒネのキトサンに対する適する割合は約5:1乃至約60:1である。好ましくは、割合は約7.5:1乃至約30:1である。本発明においては、キトサンポリマーは約2乃至約7mg/ml、好ましくは約4乃至約6mg/mlの範囲で存在しうる。組成物中の最も好ましい量は約5mg/mlである。
【0010】
本発明の配合物は、経鼻投与後の吸収中に薬学的に活性な成分が治療的血漿中濃度に制御されて増大するように設計されている。この薬物の媒介吸収は薬物が制御分解する期間続き、治療的血漿中濃度を保持する。吸収中の制御放出がなければ、長期間薬物の治療的濃度を保持するのに必要な用量を投与するときに早すぎる吸収の危険が存在する。吸収が早すぎると、過剰摂取になりうる。本発明のキトサン配合物は、鼻粘膜に送達される場合、製品の吸収中に一次速度定数により規則化され、媒介された吸収を示した。例えば、キトサンなしで配合されたモルヒネの吸収は吸収中非線形である。しかしながら、キトサンを用いた同一配合物は線形吸収を示す。
本発明の組成物はまた1種以上の薬学的に許容しうる酸化防止剤を含みうる。非限定例には、メタンスルホン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸ナトリウムが含まれる。
組成物中に存在する酸化防止剤の総量は、クエン酸/クエン酸ナトリウム配合物に関しては約20乃至50mg/mlであり、特に適するように使用するには約20乃至約40mg/mlである。例えば、クエン酸が約10乃至約20mg/ml存在し、クエン酸ナトリウムが約5乃至約20mg/ml存在しうる。アスコルビン酸/アスコルビン酸ナトリウム配合物に関しては、組成物中に存在する酸化防止剤の量は約40乃至約70mg/mlであり、特に適する範囲は約50乃至約65mg/mlである。例えば、アスコルビン酸が約40乃至約50mg/ml存在し、アスコルビン酸ナトリウムが約10乃至約15mg/ml存在しうる。メタンスルホン酸を用いる組成物に関しては、酸化防止剤は組成物中に約10乃至約60mg/ml存在し、特に適する範囲は約13乃至約50mg/mlである。
【0011】
本発明の酸化防止剤は緩衝効果を示し、本発明の組成物のpHを約3.0乃至約7.0、好ましくは約4.0乃至約5.0に調整して保持するのに十分な量が使用される。典型的には、適する緩衝剤には、限定するわけではないが、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、リン酸塩及びグリシンが含まれる。クエン酸塩及びアスコルビン酸塩は優れた酸化防止剤であり、そのためにモルヒネ分子の酸化的分解反応を保護し、配合物の全安定度を向上させる。更に、クエン酸塩及びアスコルビン酸塩は両方とも良好な緩衝剤であり、そのためモルヒネを含む配合物に安定性(保存寿命)を加えるpH範囲内に製剤を維持しうる。
本発明の組成物はまた、抗菌薬と考えうる賦形剤の組み合わせを提供するために、組成物の体積に対して0.0005乃至約0.5質量%、好ましくは0.005乃至0.5質量%の1種以上の抗菌防腐剤を含む。典型的な適する抗菌剤には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、塩化ベンゼトニウム、EDTA二ナトリウム、及び安息香酸ナトリウムが含まれる。本発明において使用される抗菌薬の量の範囲は、使用する特定成分に依存する。例えば、BAKの好ましい量は約0.15mg/ml(0.015%)である。EDTA二ナトリウムの好ましい量は約1.0mg/ml(0.1%)である。安息香酸ナトリウムの好ましい量は約0.2mg/ml(0.02%)である。
アスコルビン酸またはクエン酸の初期量は、モルヒネの溶解性を確実にするために使用される。その上で、得られる溶液のpHを4.0乃至4.5に調整するために酸及び酸のナトリウム塩の組み合わせを使用する。両方の酸は優れた酸化防止剤であり、存在する配合物を有意に改良する。EDTAナトリウムは主としてキレート剤として使用され、BAKまたは安息香酸ナトリウムのいずれかとともにそれらの組み合わせの抗菌性能のために使用される。
【0012】
本明細書において使用されている“経粘膜的”という用語は、配合物の投与方法を言及する。経粘膜的投与方法には、限定するわけではないが、経鼻、口腔、直腸、膣内、及び眼内投与が含まれる。好ましくは、配合物は経鼻投与される。
本明細書において使用されている“量”という用語は、状況に応じて量または濃度を言及する。治療的に有効な量を構成する薬物の量は、特定の薬物の効能、配合物の投与方法、及び配合物の投与に使用する機械的システムのような因子にしたがって変化する。特定の薬物の治療的に有効な量は、そのような因子を十分に配慮して当業者により選択されうる。
“薬学的に許容しうる”という語句は、人に投与したときに、“一般的に安全であるとみなされる”、例えば、生理的に耐えられて、典型的にはめまい等のようなアレルギーまたは同様な有害反応を生じない分子的実体及び組成物を言及する。好ましくは、本明細書において使用されている“薬学的に許容しうる”という用語は、動物、特に人における使用に関して、連邦政府または州政府の規制機関により認可されている、または米国薬局方またはその他の一般的に認められている薬局方においてリストアップされていることを意味する。
“キャリヤー”という用語は、化合物とともに投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、または溶剤を言及する。そのような薬学的キャリヤーは、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ごま油等のような石油、動物、植物または合成源の油を含む油及び水のような滅菌液体でもよい。水または食塩水溶液及びデキストロース及びグリセロール水溶液が、特に注射剤のキャリヤーとして好ましく使用される。適する薬学的キャリヤーは、E. W. Martinにより“Remington's Pharmaceutical Sciences”(Mark Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)に記載されている。
【0013】
モルヒネ配合物
本発明の組成物は、窒素ガス雰囲気下で周囲温度または適する場合には成分の溶解性を得るために高温において成分を混合するような従来の方法で製造される。特に、溶液は以下のようにして調製されうる。
いずれかの適する反応容器で、活性剤及び酸溶液を一緒に混合する。ポリマー及び抗菌剤を一緒に混合する。2つの混合物を一緒にしてキレート剤を一緒に混合する。各成分は、溶液が均質だと思われるまで混合する。酸化防止剤及び緩衝剤を混合物に添加して、溶液のpHを調整する。最終バッチの体積は、いずれかの適する液体、例えば、水で調整する。溶液は均一になるまで更に混合し、従来のろ過装置を用い、予め滅菌したフィルターでろ過する。好ましくは、予め滅菌した0.22μmのフィルターを使用する。
一実施態様においては、溶液の浸透圧重量モル濃度は約200乃至約900mOsmである。好ましくは、溶液の浸透圧重量モル濃度は約400乃至約600mOsmである。最も好ましくは、溶液の浸透圧重量モル濃度は約500mOsmである。
別の実施態様においては、溶液の粘度は約1乃至約50cPである。製品の表面積の暴露及び一層規則化された(確実な)送達を最適化する低粘度製品の場合にはスプレー液滴寸法は小さいので、低粘度であることが好ましい。
本発明においては、組成物は、100μlの鼻腔用スプレーあたり約18.75乃至約300μgの薬学的に効果のある薬剤を含む。
使用する投薬形態は、単独でも他の活性剤との組み合わせでも投与されうる。活性剤が別の調剤配合物内にある1種以上の活性剤を用いた組み合わせ治療の場合には、活性剤は同時に投与されてもよいし、それらの各々が別々にずれた時間に投与されてもよい。調剤は、所望の効果を得るために前述のように他の活性剤と組み合わせる場合には調整されうる。他方、これらの種々の活性剤のユニット調剤形態は独立して最適化されうる。
本発明の限定ではなく、典型として提供される以下の実施例を参照することにより本発明は更によく理解されよう。
【実施例1】
【0014】
モルヒネ鼻腔用スプレー配合物
鼻腔用水性スプレー組成物は以下の成分から調製される。
成分 質量/ml
モルヒネ,無水塩基 75.0mg
メタンスルホン酸 25.3mg
塩化ベンザルコニウム(BAK) 0.15mg
エデト酸二ナトリウム,USP 1.0mg
キトサン 5mg
WFI水 加えて1mlにする
いずれかの適する反応容器で、活性剤及びメタンスルホン酸溶液を一緒に混合する。ポリマー及び抗菌剤を一緒に混合する。2つの混合物を一緒にしてキレート剤を一緒に混合する。各成分は、溶液が均質だと思われるまで混合する。酸化防止剤及び緩衝剤を混合物に添加して、溶液のpHを調整する。最終バッチの体積は、いずれかの適する液体、例えば、水で調整する。溶液は、pH値が3.0乃至5.0で、均一になるまで更に混合し、従来のろ過装置を用い、予め滅菌したフィルターでろ過する。好ましくは、予め滅菌した0.22μmのフィルターを使用する。
溶液の浸透圧重量モル濃度は約500mOsmである。溶液の粘度は50cP未満である。得られる配合物は、100μlのスプレーあたり7.5mgのモルヒネを含む。
【実施例2】
【0015】
モルヒネ鼻腔用スプレー配合物
鼻腔用水性スプレー組成物は以下の成分から調製される。
成分 質量/ml
モルヒネ塩基(MW=303.4) 75.0mg
クエン酸(MW=192.12) 15.9mg
クエン酸ナトリウム 9.0mg
安息香酸ナトリウム(MW=144.10) 0.2mg
EDTA二ナトリウム 1.0mg
キトサン 5.0mg
WFI水 加えて1mlにする
いずれかの適する反応容器で、活性剤及びクエン酸溶液を一緒に混合する。ポリマー及び抗菌剤を一緒に混合する。安息香酸ナトリウムの代わりに、塩化ベンザルコニウムを0.15mg使用してもよい。2つの混合物を一緒にしてキレート剤を一緒に混合する。各成分は、溶液が均質だと思われるまで混合する。酸化防止剤及び緩衝剤を混合物に添加して、溶液のpHを調整する。最終バッチの体積は、いずれかの適する液体、例えば、水で調整する。溶液は均一になるまで更に混合し、従来のろ過装置を用い、予め滅菌したフィルターでろ過する。好ましくは、予め滅菌した0.22μmのフィルターを使用する。溶液の浸透圧重量モル濃度は約500mOsmである。溶液の粘度は50cP未満である。得られる配合物は、100μlのスプレーあたり7.5mgのモルヒネを含む。
【実施例3】
【0016】
モルヒネ鼻腔用スプレー配合物
鼻腔用水性スプレー組成物は以下の成分から調製される。
成分 質量/ml
モルヒネ塩基(MW=303.4) 75.0mg
アスコルビン酸(MW=176.12) 43.5mg
アスコルビン酸ナトリウム 12.0mg
BAK 0.15mg
EDTA二ナトリウム 1.0mg
キトサン 5.0mg
WFI水 加えて1mlにする
溶液は以下のようにして調製する。いずれかの適する反応容器で、活性剤及びアスコルビン酸溶液を一緒に混合する。ポリマー及び抗菌剤を一緒に混合する。2つの混合物を一緒にしてキレート剤を一緒に混合する。各成分は、溶液が均質だと思われるまで混合する。酸化防止剤及び緩衝剤を混合物に添加して、溶液のpHを調整する。最終バッチの体積は、いずれかの適する液体、例えば、水で調整する。溶液は均一になるまで更に混合し、従来のろ過装置を用い、予め滅菌したフィルターでろ過する。好ましくは、予め滅菌した0.22μmのフィルターを使用する。
溶液の浸透圧重量モル濃度は約500mOsmである。溶液の粘度は50cP未満である。得られる配合物は、100μlのスプレーあたり7.5mgのモルヒネを含む。
【実施例4】
【0017】
モルヒネ配合物の工程記述
以下は、モルヒネ及びキトサン配合物の1リットルバッチの調製法を典型的に示す。
方法は、バッチの配合に必要な量よりわずかに過剰の、クエン酸(200mlのメスフラスコ中に20g)及びクエン酸ナトリウム(100mlのメスフラスコ中に10g)の精製水,USP原液を製造することから始める。アスコルビン酸配合物の場合には、予め同様な原液の製造方法を遂行する。BAKの原液も製造して、この成分の正確な量をバッチに添加しうるために配合前に分析する。
600mlの精製水を混合容器に添加し、窒素を用いて撹拌して溶解した酸素を除去する。2mlのクエン酸溶液を撹拌しながら600mlに添加する。5gのキトサンは、定速の窒素流で混合する混合容器にゆっくり添加する。
159mlのクエン酸原液を定速の窒素散布下で第二の混合容器に添加する。79.8gの精製モルヒネ塩基モノ水和物は、モルヒネを溶解させるために混合しながら混合容器に添加する。79.8gは、75gの無水塩基に対応する。
キトサン溶液をモルヒネクエン酸塩溶液に適量添加し、なお窒素散布を用いる。0.15gに対応するBAKを定速で混合しながら原液から添加する。1gのエデト酸二ナトリウムを添加し、溶液が透明になるまで混合する。75gのクエン酸ナトリウムを定速で混合しながら添加する。クエン酸またはクエン酸ナトリウム溶液を用いバッチのpHを4.1に調整する。
バッチをMilipore Durapore0.22μmフィルターでろ過し、窒素流下で回収容器中に回収する。
pH、浸透圧重量モル濃度、モルヒネ分析及びBAK分析を含む製造試験を遂行する。ろ過前後の生物負荷試験は参考のために遂行する。
バッチは、蠕動ポンプを用い、連続的に窒素が散布される包装容器に充填する。包装容器は必要に応じてシールし、点検し、ラベルをつけて包装する。最終製品は、外観、確認、pH、モルヒネ分析、関連物質、スプレー質量送達、スプレー試験送達、液滴寸法、スプレー形状及び寸法、BAK分析、正味容量、抗菌性試験及びその他の最終包装形状に基づく試験を含む試験を遂行する。
【実施例5】
【0018】
経鼻投与モルヒネ配合物の生体利用効率
キトサンを含む新規制御放出モルヒネ点鼻薬の忍容性及び薬物動態プロフィールを明らかにするため、溶液を健康な志願者に投与した。実施例は、鼻粘膜に送達される場合の、製品の鼻粘膜を経る規則的な吸収、及び製品の吸収中の一次反応速度により示されるように、本発明の“制御”放出能を示す。
方法
研究は、経鼻、経口及び静脈内投与によるモルヒネの単回投与の、無作為に選ばれた6種の方法の完全なクロスオーバー臨床試験であった。2つの連続した治療の各々は、3日以上のウォッシュアウト期間により分離した。経鼻投与配合物は、服用物に関して二重盲式で投与され、経口及び静脈内投与は非盲式で投与された。試験薬物に加えて、研究の各々はナルトレキソンブロック下で遂行された。オピオイド拮抗薬は、モルヒネの中枢媒介効果及び投薬を受けたことのない被検者におけるアヘン剤投与の不快な効果を防ぐために各研究治療の前に投与された。
鼻腔用水性スプレー組成物は以下の成分から調製された。
配合濃縮物: 濃縮物1 濃縮物2 濃縮物3
成分 質量/ml 質量/ml 質量/ml
モルヒネ,無水塩基 37.5mg 75.0mg 150mg
メタンスルホン酸 12.7mg 25.3mg 50.6mg
塩化ベンザルコニウム(BAK) 0.15mg 0.15mg 0.15mg
エデト酸二ナトリウム,USP 1.0mg 1.0mg 1.0mg
キトサン 5.0mg 5.0mg 5.0mg
WFI水 加えて1ml 加えて1ml 加えて1ml
モルヒネ:キトサンの分子比 〜11,500:1 〜23,000:1 〜46,000:1
【0019】
6種の治療は以下のとおりであった。
1.モルヒネ塩基配合物7.5mgの経鼻投与(各鼻孔に3.75mg)
2.モルヒネ塩基配合物15mgの経鼻投与(各鼻孔に7.5mg)
3.モルヒネ塩基配合物30mgの経鼻投与(各鼻孔に15mg)
4.モルヒネ塩基15mgの経鼻投与(各鼻孔に7.5mg、キトサンを含まない)
5.モルヒネ硫酸塩(15mgのOramorph(登録商標)溶液)の経口投与及び偽薬の経鼻投与
6.モルヒネ硫酸塩10mgの30分間にわたる静脈内投与及び偽薬の経鼻投与
被検者は、6種のモルヒネ治療の単回投与を受けた。経鼻偽薬は、静脈内または経口投与の調剤とともに志願者に投与された。静脈内及び経口投与の治療は非盲検であった。モルヒネの薬力学的効果は、ナルトレキソンの前治療で回避された。
13人の被検者(6人の男性及び7人の女性)を無作為に研究に選び、5人の男性及び7人の女性が研究を無事に完了した。1人の被検者は2つの研究講座の完了後に承諾を取り下げ、戻された。健康な男性または女性の志願者の年齢は18歳乃至50歳であった。病歴、健康診断、生命徴候、心電図及び検査解析(血液学、血液化学、ウイルス学、尿検査)を含む医学的評価により公然と健康であると判断された。
安全性、忍容性、薬物動力学的及び統計的評価は以下に詳述するように実施された。有効性は、この研究の一部としては測定されなかった。経鼻忍容性、臨床検査安全性データ、生命徴候、心電図記録及び健康診断を評価した。
【0020】
血液採取は、薬物動態解析及び代謝産物分析のために24時間にわたって実施した。経鼻忍容性は、アンケート及び観察により評価した。モルヒネ及びその代謝産物であるモルヒネ-3-グルクロニド(M-3-G)及びモルヒネ-6-グルクロニド(M-6-G)の血漿中濃度は、標準及び有効クロマトグラフィー法を用いて評価した。標準モデル独立薬物動態学的方法は、モルヒネ、M-3-G及びM-6-Gの血漿中濃度に基づいて最高血中濃度(Cmax)、最高血中時間(tmax)、濃度曲線下面積(AUC)、Fabs及びFrelを計算するのに使用した。配合物内及び用量比例性も評価した。
統計的評価の前に、パラメータ、AUC、AUCt及びCmaxを30mgの用量に正規化して対数変換した。モデルにおける因子、被検者、期間、治療及び一次キャリー・オーバーを含む変数の初期解析を遂行した。一次キャリー・オーバーは実質的には有意ではないことが見出されたので、実質的にモデルから切り離した。以下の比較、すなわち、配合物の静脈内投与モルヒネ硫酸塩、キトサンなしの配合物、及び経口投与モルヒネ硫酸塩治療との比較は、統計的分析システムにおける評価、すなわち、用量比例性を用い、モルヒネ、M-3-G及びM-6-Gについて実施した。
結果
安全性及び忍容性 死及び重篤な有害事象はなかった。研究薬物に関連する理由のために研究をとりやめる被検者はいなかった。生命徴候、心電図、臨床検査パラメータ及び健康診断により評価された臨床的に有意に異常な結果はなかった。経鼻投与の鼻の忍容性は一般的に良好であった。合計13人の被検者により合計87件の有害事象が報告されたが、そのうち80件は13人の被検者により報告された治療により発生した有害事象であった。研究中に報告された最も一般的な治療中に発生した有害事象は頭痛(16)、嘔吐(10)及び吐き気(10)であった。
薬物動態学 経鼻投与により送達されるモルヒネ単独及びモルヒネとキトサンの薬物動態プロフィールは、表1に示されるように、静脈内投与により送達されるモルヒネのそれと同様である。血漿中のモルヒネの薬物動態パラメータを以下にまとめる。
【0021】
【表1】

【0022】
図1及び2において、キトサンなしで配合されたモルヒネの吸収は吸収中非線形であったが、キトサンを含む配合物については一次反応速度が直線により表される。線形性はモルヒネの用量(7.5、15、30mg)に関係なく明らかである。このことは、制御された吸収を示す。図3は、経鼻、経口及び静脈内投与後のモルヒネの血漿中濃度の比較を示す。
経鼻投与配合物のCmax、AUCt及びAUCを用いた95%CI基準に基づくと、モルヒネについて用量比例性は断定できないであろう。統計的分析によれば、経鼻モルヒネ治療の絶対的生体利用効率はそれぞれ7.5mg、15mg及び30mgの用量に対して、(幾何平均)82.2%、95%CI[62.4、108.5]、74.9%、95%CI[57.4、97.6]及び60.4%、95%CI[46.3、78.7]であることが示された。モルヒネ単独(キトサンを含まない)と比較した場合の各用量の統計的評価に基づく配合物の生体利用効率は、それぞれ7.5mg、15mg及び30mgの用量の配合物に対して、139.8%、95%CI[105.1、185.9]、127.1%、95%CI[97.1、166.5]及び102.5%、95%CI[78.1、134.6]であることが見出された。生体利用効率は用量に反比例し、キトサン増強剤の最大の効果が低用量における場合であることを示した。すべての経鼻投与治療は、経口投与のモルヒネ硫酸塩の生体利用効率のほぼ2倍であることが見出された。経鼻投与のモルヒネ塩基(キトサンを含まない)と比較すると、7.5mg及び15mgの配合物から統計的に有意に高いCmax値が得られた。他の治療と比較すると、配合物のメジアンtmax時間はわずかに短いことが観察された。排出半減期の平均値は、約2時間ですべての治療間で同程度であった。
血漿中のモルヒネ-6-グルクロニドの薬物動態パラメータを以下にまとめる。
【0023】
【表2】

【0024】
モルヒネ配合物のCmax、AUCt及びAUCを用いた95%CI基準に基づくと、モルヒネ-6-グルクロニドについて用量比例性は断定できないであろう。経鼻投与治療と比較して経口投与及び静脈内投与治療のより短いtmax範囲及びメジアンの値、それぞれ1.0(0.5、1.5)時間及び1.0(0.7、2.0)時間は、これらの治療後のモルヒネのモルヒネ-6-グルクロニドへの変換がより迅速であることを示すかもしれない。平均半減期の評価は、2.01時間及び4.36時間の範囲内であり治療間でまったく同様であった。4.12時間のモルヒネ硫酸塩の静脈内投与後の平均半減期は、被検者10が16.93時間の値であるために歪められた。配合物からの平均用量で調整されたCmaxは、経口投与の配合物及び経鼻投与の偽薬からのCmaxと比較すると有意に低いことが見出され、このことは経鼻投与の治療の長いメジアンtmax時間とあわせて、代謝産物の形成がより長時間であることを示しうる。予想どおりに、モルヒネからのM-6-Gの形成は、初回通過代謝のためにモルヒネ硫酸塩の経口投与後に最も多く、モルヒネ硫酸塩の静脈内注射後に最も少なかった。一般的には、配合物の経鼻投与後の代謝比率は、経口投与及び静脈内注射の2つの値の間の値に匹敵した。
血漿中のモルヒネ-3-グルクロニドの薬物動態パラメータを以下にまとめる。
【0025】
【表3】

【0026】
モルヒネ配合物のCmax、AUCt及びAUCを用いた95%CI基準に基づくと、モルヒネ-3-グルクロニドについて用量比例性は断定できないであろう。モルヒネ-6-グルクロニドの場合と同様に、経鼻投与治療と比較して経口投与及び静脈内投与治療のより短いtmax範囲及びメジアンの値が観察された。平均半減期時間は、モルヒネ及びモルヒネ-6-グルクロニドの場合に観察されるそれより長かった。配合物からのAUC及びAUCtは、静脈内投与の配合物からの結果と比較して統計的に有意に高いことが見出された。モルヒネ-6-グルクロニドの場合と同様に、すべての用量のモルヒネ配合物から、経口投与の配合物の場合と比較して統計的に有意に低いCmax値が得られた。予想どおりに、モルヒネからのM-3-Gの形成は、初回通過代謝のためにモルヒネ硫酸塩の経口投与後に最も多く、モルヒネ硫酸塩の静脈内注射後に最も少なかった。一般的には、配合物の経鼻投与後の代謝比率は24.8乃至30.0の値に匹敵し、この場合も経口投与及び静脈内注射の2つの値の間の値に匹敵した。M-3-Gの代謝比率は、投与経路に関係なくM-6-Gのそれより大きかった。
経鼻投与のモルヒネの代謝プロフィールは、図4(M-6-G)及び5(M-3-G)に示されるように静脈注射により送達されるモルヒネのそれと同様である。また、モルヒネの鎮痛量は、経鼻投与後5分以内に達しうる。更に、曲線下の面積により測定される(AUC)生体利用効率と送達された用量間には線形関係がある。図6を参照されたい。この観察は、キトサンが用量に依存してモルヒネの経粘膜的吸収を容易にすること強く示す。
【0027】
結論
・モルヒネ配合物の単回経鼻的投与の忍容性は一般的には良好であった。配合物の投与後、8より高い点数の鼻の症状の報告が16件あった。7.5mg(3)、15mg(8)及び30mg(5)。症状の報告の大部分は、投与の5乃至15分後であり、投与の1時間後には症状の報告はほとんどなかった。全体的には、味覚異常及びただれた及び刺すような鼻の痛みが最も一般的な症状であった。
・モルヒネ単独(キトサンを含まない)の単回経鼻投与の忍容性は一般的には良好であった。15mgの投与後には、8より高い点数の鼻の症状の報告が2件あった。症状の報告の大部分は、投与の5乃至15分後であり、投与の1時間後には症状の報告はほとんどなかった。最も一般的な報告された症状は、味覚異常及び乾いた鼻詰まりであった。
・経鼻偽薬の投与はかなり許容され、1の点数の被検者の症状の報告が2件しかなかった。両方とも味覚異常に関し、くしゃみの発生は報告されなかった。
・静脈内投与に関するモルヒネ配合物からのモルヒネの絶対的生体利用効率は、7.5mg、15mg及び30mgの投与に関して、それぞれ82.3%、74.9%及び60.4%であることが見いだされた。
・モルヒネ、M-6-G及びM-3-Gに関するCmax、AUCt及びAUCの増大は、統計的に有意に用量に比例することは見出されなかった。
・モルヒネ単独(キトサンなし)治療と比較したモルヒネ配合物投与後のモルヒネの生体利用効率は、7.5mg、15mg及び30mgの投与に関して、それぞれ139.8%、127.1%及び102.5%であることが見いだされた。
・AUC値に基づく経口投与のモルヒネの硫酸塩と比較したモルヒネ配合物投与後のモルヒネの相対的生体利用効率は、3種の用量に関して、それぞれ218.2%、198.5%及び160.1%であることが見いだされた。
・モルヒネからのM-6-G及びM-3-Gの形成は、モルヒネ硫酸塩の経口投与後に最も多く、モルヒネ硫酸塩の静脈内投与後に最も少なく、経鼻投与後はその間であった。
【0028】
このデータは、総合すれば、キトサンが制御吸収を媒介することを示唆する規則的な方法で、キトサンが鼻の粘膜を経た血流へのモルヒネの放出を媒介することを示唆する。
この独特な観察は配合物に起因し、概して、一般的にはキトサンを含む配合物に起因するかもしれない。今日まで、キトサンの活性の根底にある作用の機構に関して出版された唯一の性質は、接着性に基づく粘膜への経口的または経鼻的に投与された薬物の滞留時間の増大に関連していた(Harding, SE.; Biochem Soc. Trans. 2003, Oct. 31 (Pt.5), 1036-41により概説された)。そのような“粘膜接着性”現象を支持する分子過程は解明されていない。キトサンが化学量論的にモルヒネのような薬物の吸収を媒介する作用しうることをデータが示すことを考えると、それに伴う特定の機構が存在することが示唆される。最も重要なことにはデータに基づき、予測どおりに、したがって安全に薬物を放出しうる医薬品が製造されうることが示された。
【実施例6】
【0029】
経鼻投与モルヒネ配合物の安全性、忍容性、及び薬物動態プロフィール
この実施例は、健康な被検者における鼻腔用制御放出モルヒネ及びキトサン溶液の3種の上行する投与量の安全性、忍容性及び薬物動態プロフィールを評価するための二重盲、単回及び複数回投与研究を提供する。
この研究の目的は、経鼻投与偽薬(生理食塩水溶液)に対するモルヒネ配合物の3種の投与量の単回及び複数回投与の安全性及び忍容性を調べて比較すること、及び配合物の3種の投与量の単回及び複数回投与の薬物動態プロフィールを測定して比較することである。
36人の健康な男性及び女性の被検者が研究に加わるように計画した。48人の被検者が安全性及び忍容性の分析に加わり、25人の被検者が薬物動態プロフィールの分析に加わった。
この研究は、はじめは36人の被検者を3つのコホートに分けるように計画された。しかしながら、第一のコホートにおいて12人すべての被検者への正しくない投与及びその後の時期尚早の薬物使用中止のために、最初の12人の被検者の代わりに追加の12人の被検者をこの研究に加えて、合計48人の被検者になった。間違って(7.5mgではなくて15mg)投与された12人すべての被検者は、研究薬物を3日間投与されて中止された。したがって、これらの被検者のすべての有効な安全性データ、鼻腔検査データ、及び鼻の症状の点数をまとめてこの研究報告に提供した。
健康な男性及び女性の被検者は、鼻及び上気道の構造的または機能的異常も、鼻孔閉塞も、鼻孔の粘膜病変もない18乃至60歳である。
【0030】
薬物の溶剤は、キトサンのグルタミン酸塩、メタンスルホン酸、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、及び水を含む。鼻腔用水性スプレー組成物は以下の成分から調製される。
配合濃縮物: 濃縮物1 濃縮物2 濃縮物3
成分 質量/ml 質量/ml 質量/ml
モルヒネ,無水塩基 37.5mg 75.0mg 150mg
メタンスルホン酸 12.7mg 25.3mg 50.6mg
塩化ベンザルコニウム(BAK) 0.15mg 0.15mg 0.15mg
エデト酸二ナトリウム,USP 1.0mg 1.0mg 1.0mg
キトサン 5.0mg 5.0mg 5.0mg
WFI水 加えて1ml 加えて1ml 加えて1ml
モルヒネ:キトサンの分子比 〜11,500:1 〜23,000:1 〜46,000:1
試験製品、用量及び投与方法、及び試験期間は以下のとおりである。
7.5mg用量: 100μLの溶剤中に3.75mgのモルヒネ、各鼻孔に1回噴霧。
15mg用量: 100μLの溶剤中に7.5mgのモルヒネ、各鼻孔に1回噴霧。
30mg用量: 100μLの溶剤中に15mgのモルヒネ、各鼻孔に1回噴霧。
被検者は1日目及び7日目に試験薬物の単回投与を受け、2日目から6日目は6時間毎に投与された。ナルトレキソンは、モルヒネの不快な効果及び耐性の発現及び研究の終了時の使用中止効果の可能性をブロックするために毎日投与された。
評価の基準には、以下のような薬物動態、忍容性、及び安全性が含まれる。
【0031】
薬物動態:血液試料は、投与前及び薬物動態解析のための1日目及び7日目の研究薬物の朝の服用の5、10、15、30、及び45分後及び1、1.25、1.5、2、3、4、6、8、12、16、及び24時間後に採取した。血液試料はまた、3、4、5、及び6日目の研究薬物の朝の服用の15分前にも採取した。
忍容性:忍容性は、1、2、3、5、及び7日目に遂行された鼻腔検査(鼻汁、粘膜の紅斑、出血、及び残留物)、及び1、2、3、5、及び7日目に100mmの視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて記録した鼻の症状の点数により決定した。
安全性:安全性の変数には、有害事象、生命徴候、及び臨床検査による評価が含まれた。
モルヒネおよその代謝産物の血漿中濃度は、個々の被検者について一覧表にしてまとめた。以下の薬物動態パラメータ:Cmax、tmax、t1/2、AUC、及び用量線形性は、有効な薬物動態解析プログラムを用いてモルヒネの単回及び複数回投与計画について計算した。モルヒネ及び/またはその代謝産物に関する追加の分析は、認められたデータとして機能した。
連続型変数は、非欠落観察数、平均、標準偏差、メジアン、最高、及び最低を含む要約統計量を用いて提供した。カテゴリー型変数は、頻度数及び%を用いてまとめた。すべての回収したデータは被検者の表に提供した。臨床検査及び安全性の評価には形式的な統計試験は遂行しなかった。鼻汁、粘膜の紅斑、出血、及び残留物に関する鼻腔検査の結果は数値座標に変換され、非欠落観察数、平均、標準偏差、メジアンを用いてまとめた。鼻の症状の点数(100mmの視覚的アナログ尺度を用いる)は、非欠落観察数、平均、標準偏差、メジアンを用いてまとめた。
生命徴候は、観察数、平均、標準偏差、メジアンを用いてまとめた。結果が連続している臨床検査による評価は、観察数、平均、標準偏差、メジアン、最低、及び最高を用いてまとめた。すべての有害事象は、COSTARTボディシステム、COSTART優先使用語、及び治療により一覧表にした。有害事象を経験する各治療における被検者の割合の頻度棒グラフは、有害事象の開始の研究日に提供された。すべての有害事象及び研究薬物投与に関する有害事象を提供するために別の棒グラフを作成した。
【0032】
結果
薬物動態:モルヒネ配合物を経鼻投与された被検者は、投与後5分以内に検出しうる血漿中濃度に達して迅速な吸収を示した。モルヒネ配合物を2乃至6日目に6時間ごとに投与した場合には、2日以内に定常状態に達した。最高血漿中濃度(Cmax)及び曲線下面積(AUC)は、道理にかなって用量に比例した。7日目のCmaxの平均値はすべての用量のグループにおいて1日目のそれに匹敵し、蓄積は示さなかった。1日目のACUの平均値は7日目のAUSSSのそれに匹敵し、所与の用量範囲のモルヒネの薬物動態において線形性を暗示した。平均半減期(t1/2)は、1日目の2乃至11時間及び7日目の9乃至10時間の範囲であった。モルヒネ-6-グルクロニド(M-6-G)及びモルヒネ-3-グルクロニド(M-3-G)の薬物動態はモルヒネのそれと一致した。平均血漿中濃度は1日目及び7日目の用量における増大に比例的に増大し、すべての3種の用量に関して1日目より7日目には〜2倍高くなった。1日目のACUの平均値は7日目のAUSSSのそれに匹敵し、両方のグルクロニド代謝産物の薬物動態において線形性を示唆した。M-6-Gの平均t1/2は1日目の2乃至9時間及び7日目の10乃至11時間の範囲であり、M-3-Gのそれは1日目の7.6乃至9.5時間及び7日目の8.7乃至11時間の範囲であった。
忍容性:鼻腔検査に関しては、観察される大部分の鼻汁、粘膜の紅斑、出血、及び残留物は軽度で、繰り返しの投与後に重症度は増大しなかった。配合物群(30mg、15mg、及び7.5mg)における鼻汁、粘膜の紅斑、出血、及び残留物の発生は偽薬群に匹敵した。鼻の症状の点数に関しては、被検者の大部分が鼻水の垂れている鼻、ただれた鼻、むずむずする鼻、鼻詰まり、乾いた鼻、喉の痛み、及び味覚異常の症状に関して視覚的アナログ尺度上で低い点数を記録した。鼻水の垂れている鼻、ただれた鼻、むずむずする鼻、鼻詰まり、乾いた鼻、喉の痛み、及び味覚異常を経験する被検者のうち、大部分の発生は視覚的アナログ尺度上で50mm未満であった。鼻の症状は、繰り返しの投与後に重症度は増大しなかった。
【0033】
安全性:治療により発生した有害事象は、30mg群8被検者(89%)、15mg群18被検者(100%)、7.5mg群8被検者(89%)、及び偽薬群9被検者(75%)であった。最も一般的な治療により発生した有害事象は、鼻炎(30mgの被検者56%、15mgの被検者78%、7.5mgの被検者56%、及び偽薬の被検者17%)、味覚異常(30mgの被検者44%、15mgの被検者67%、7.5mgの被検者11%、及び偽薬の被検者0%)、咽頭炎(30mgの被検者56%、15mgの被検者44%、7.5mgの被検者0%、及び偽薬の被検者0%)、頭痛(30mgの被検者11%、15mgの被検者44%、7.5mgの被検者22%、及び偽薬の被検者17%)、及び吐き気(30mgの被検者11%、15mgの被検者33%、7.5mgの被検者22%、及び偽薬の被検者25%)であった。最も一般的に起こる有害事象(鼻炎、味覚異常、咽頭炎、頭痛、及び吐き気)のうち、すべてが研究薬物に関連すると考えられた。報告された有害事象の大部分は重症度が軽度であり、繰り返された投薬(被検者あたり22回まで暴露)の7日目には頻度及び重症度は減少した。
重篤な有害事象は3人の患者より報告され、嘔吐(15mg群6%)及び鼻炎(15mg群6%及び7.5mg群11%)であった。8日目すなわち研究の終了時には留意される注目に値する実験室での値はなかった。研究中、血圧、脈拍、または呼吸数における注目に値する変化は記録されなかった。最も一般的な異常スクリーニング健康診断の所見は、皮膚系(40件;30mg及び15mg群の被検者89%、7.5mg群の被検者78%、及び偽薬群の被検者75%)及び口/喉/首系(23件;30mg群67%、15mg群44%、7.5mg群56%、及び偽薬群33%)であった。
【0034】
結論
この研究結果は、配合された溶剤中の経鼻自己投与モルヒネの繰り返し投与は安全で、男性及び女性の健康な志願者により十分容認されることを示す。薬物動態学的結果は、配合物が迅速に吸収されて5分以内に血漿中で検知しうる濃度に達することを示した。
本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様により範囲を限定されるべきではない。実際に、前述の記載及び添付図面から、本明細書に記載されたこと以外の本発明の種々の改良が当業者には明らかであろう。そのような改良は本発明の範囲内であることを意味する。
特許、特許出願、出版物、方法等が本出願及び参考文献一覧に引用されており、その開示はそのすべてが参考として本明細書に導入されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】キトサンを用いた15mgのモルヒネ組成物(△で示される)及びキトサンなしの15mgのモルヒネ組成物(○で示される)に関する時間(分)の経過に伴うモルヒネの血漿中濃度(ng/ml)を表す。
【図2】以下のキトサンを用いたモルヒネ配合物:10mgの静脈内投与モルヒネ配合物、経鼻投与モルヒネ配合物(7.5mg、15mg及び30mg)、及び15mgの経口投与モルヒネ配合物に関するモルヒネの平均血漿中濃度−時間分布(時間の経過に伴うng/ml)を表す。
【図3】経鼻投与モルヒネ配合物(7.5mg、15mg及び30mg)及び10mgの静脈内投与モルヒネ配合物+経鼻投与偽薬に関するモルヒネの平均(±SD)血漿中濃度−時間分布(時間の経過に伴うng/ml)を表す。
【図4】経鼻投与モルヒネ配合物(7.5mg、15mg及び30mg)及び10mgの静脈内投与モルヒネ配合物+経鼻投与偽薬に関するモルヒネ-6-グルクロニドの平均(±SD)血漿中濃度−時間分布(時間の経過に伴うng/ml)を表す。
【図5】経鼻投与モルヒネ配合物(7.5mg、15mg及び30mg)及び10mgの静脈内投与モルヒネ配合物+経鼻投与偽薬に関するモルヒネ-3-グルクロニドの平均(±SD)血漿中濃度−時間分布(時間の経過に伴うng/ml)を表す。
【図6】経鼻投与モルヒネの生体利用効率(曲線より下の面積としてng/ml/分単位で示される)及び用量(mg単位)間の直線関係を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬時に線形吸収速度を示す経粘膜的に送達される制御放出水性組成物であって、前記組成物が、
(a)治療効果のある量の薬学的に活性な成分、
(b)有効量の制御放出キトサンポリマー、
を含むとともに、任意に
(c)1種以上の抗菌剤、
(d)1種以上の酸化防止剤、及び
(e)水、
を含み、前記薬学的に活性な成分の前記制御放出キトサンポリマーに対する分子比が約1:1乃至約100,000:1である組成物。
【請求項2】
前記薬学的に活性な成分の前記制御放出キトサンポリマーに対する分子比が約5,000:1乃至約80,000:1である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記薬学的に活性な成分がモルヒネである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
モルヒネの濃度が、約18.75mg/ml乃至約300mg/mlである請求項3記載の組成物。
【請求項5】
モルヒネの濃度が、約37.5mg/ml乃至約150mg/mlである請求項3記載の組成物。
【請求項6】
モルヒネが、精製モルヒネ塩基モノ水和物である請求項3記載の組成物。
【請求項7】
キトサンポリマーの濃度が約2mg/ml乃至約7mg/mlである請求項1記載の組成物。
【請求項8】
キトサンポリマーの濃度が、約4mg/ml乃至約6mg/mlである請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記酸化防止剤が、メタンスルホン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸ナトリウムからなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記酸化防止剤が、クエン酸及びクエン酸ナトリウムであり、酸化防止剤の総量が、組成物の単位体積に対して約20乃至約50質量%存在する請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムであり、酸化防止剤の総量が、組成物の単位体積に対して約40乃至約70質量%存在する請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記酸化防止剤が、メタンスルホン酸であり、酸化防止剤の量が、組成物の単位体積に対して約10乃至約60質量%存在する請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、EDTA二ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記抗菌剤の濃度が、組成物の単位体積に対して約0.0005乃至約0.5質量%である請求項12記載の組成物。
【請求項15】
前記抗菌剤の濃度が、組成物の単位体積に対して約0.005乃至約0.5質量%である請求項12記載の組成物。
【請求項16】
前記経粘膜的送達が、経鼻、口腔、直腸、膣内、及び眼内投与からなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項17】
前記系粘膜的送達が、経鼻投与である請求項1記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、窒素ガス雰囲気下で、以下の工程、
(a)モルヒネ及び酸、ポリマー、及び抗菌剤を混合する工程であって、各成分が少なくとも5分間混合されて溶液となる工程、
(b)酸化防止剤を添加する工程であって、pHが約3.0乃至約5.0である工程、
(c)水を用いて最終バッチ体積を調整して最終溶液を形成する工程、及び
(d)予め滅菌したミクロサイズのフィルターで溶液をろ過する工程、
により調製される請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記予め滅菌したミクロサイズのフィルターが約0.2μmフィルターである請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、100μlの鼻腔用スプレーあたり約18.75μg乃至約300μgの薬学的に効果のある薬剤を含む請求項1記載の組成物。
【請求項21】
水性制御放出経粘膜的薬物を投与する方法であって、前記薬物がそれを必要とする被検者に経粘膜的に投与され、前記薬物が、
(a)治療効果のある量の薬学的に活性な成分、
(b)有効量の制御放出キトサンポリマー、
を含むとともに、任意に
(c)1種以上の抗菌剤、
(d)1種以上の酸化防止剤、及び
(e)水、
を含む方法。
【請求項22】
前記薬学的に活性な成分が、精製モルヒネ塩基モノ水和物である請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記被検者が、人である請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−522223(P2007−522223A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553213(P2006−553213)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004163
【国際公開番号】WO2005/077346
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506274420)イノヴェイティヴ ドラッグ デリヴァリー システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】