説明

制御装置、カメラシステム及びプログラム

【課題】デジタル的にパン、チルト、ズーム等の操作を行うシステムにおいて、クライアント装置に適正に制御権を付与する。
【解決手段】カメラ部102で撮像された全体画像の中に指定された領域を制御するための制御権の要求情報を受信する受信部106と、前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する制御部108と、前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する画像処理部104と、を備え、複数の前記領域が設定され、制御部108は、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する、カメラ端末装置100が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、カメラシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されているように、カメラを複数のユーザが操作できる場合に、複数のユーザからの操作が衝突することを防ぐため、操作したいユーザに一定期間、カメラの制御権を与えるカメラ制御システムが知られている。特許文献1には、カメラ制御権を有する場合に、操作部を表示し、カメラ制御権を有さない場合に、操作部を表示しないように制御していることが記載されている。また、下記の特許文献1に記載されているように、複数のカメラからの映像を一覧表示し、操作可能な場合と操作不可の場合に表示状態を変えるカメラ制御システムが知られている。特許文献2には、操作不可の場合、操作部をグレー表示するように制御していることが記載されている。また、特許文献3には、遠隔カメラ制御システムにおいて、制御権を付与するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−194217号公報
【特許文献2】特開平9−214811号公報
【特許文献3】特許第3548352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載された技術では、いずれもカメラの撮影方向が固定されており、全体画像の中からデジタル的に所望の領域を切り出してパン、チルト、ズーム等の操作を行うことを想定したものではなかった。このため、カメラ端末装置側では、機械的にパン、チルト、ズーム等の制御を行う必要があり、システムが複雑になるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、デジタル的にパン、チルト、ズーム等の操作を行うシステムにおいて、クライアント装置に適正に制御権を付与することが可能な、新規かつ改良された制御装置、カメラシステム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、カメラで撮像された全体画像の中に指定された領域を制御するための制御権の要求情報を受信する受信部と、前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する制御部と、前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する画像処理部と、を備え、複数の前記領域が設定され、前記制御部は、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する、制御装置が提供される。
【0007】
また、前記制御権を付与してからの経過時間をカウントするタイマーを備え、前記制御部は、前記制御権を付与した後、所定時間が経過すると前記制御権を解除するものであってもよい。
【0008】
また、前記領域に既に制御権が付与されている場合に、前記要求情報の送信元に対して前記制御権を付与した時刻又は前記制御権を付与してからの経過時間を送信する送信部を備えるものであってもよい。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像を撮像するカメラ端末装置と、前記カメラ端末装置を制御するクライアント端末装置とがネットワークを介して接続されたカメラシステムであって、前記カメラ端末装置は、カメラで撮像された全体画像の中に指定された領域を制御するための制御権の要求情報を受信する受信部と、前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する制御部と、前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する画像処理部と、を備え、複数の前記領域が設定され、前記制御部は、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する、カメラシステムが提供される。
【0010】
また、前記制御権を付与してからの経過時間をカウントするタイマーを備え、前記制御部は、前記制御権を付与した後、所定時間が経過すると前記制御権を解除するものであってもよい。
【0011】
また、前記領域に既に制御権が付与されている場合に、前記要求情報の送信元に対して前記制御権を付与した時刻又は前記制御権を付与してからの経過時間を送信する送信部を備えるものであってもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、カメラで撮像された全体画像の中に指定された複数の領域を制御するための制御権の要求情報を受信する手段、前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する手段であって、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する手段、前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する手段と、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デジタル的にパン、チルト、ズーム等の操作を行うシステムにおいて、クライアント装置に適正に制御権を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】撮像システムで行われる処理を説明するための模式図である。
【図3】複数のクライアント端末がネットワークに接続されている様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
(1)撮像システムの構成例
(2)第1の制御モードによる処理
(3)第2の制御モードによる処理
(4)制御権の付与に関する処理について
【0017】
(1)撮像システムの構成例
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像システム500の全体構成を示す模式図である。撮像システム500は、カメラ端末装置(IPカメラ)100、及びクライアント端末200を有しており、カメラ端末装置100とクライアント端末200は、インターネットなどのネットワーク300を介して接続されている。
【0018】
カメラ端末装置100は、例えば屋内外に設置される監視カメラであって、被写体像を結像するレンズ光学系と、結像された被写体像を光電変換する撮像素子とを有するカメラ部102を備えている。また、カメラ端末装置100は、画像処理部104、送受信部106、制御部108、設定部110、タイマー112を備えている。
【0019】
クライアント端末200は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などの機器である。クライアント端末200は、送受信部202、表示制御部204、入力部206、表示部208を備えている。なお、図1に示すカメラ端末装置100とクライアント端末200の各機能ブロックは、ハードウェア(回路)またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)によって構成される。この場合において、そのプログラムは、カメラ端末装置100またはクライアント端末200が備えるメモリ、または外部から挿入された外付けメモリ等の記録媒体に記録されることができる。
【0020】
図2は、撮像システム500で行われる処理を説明するための模式図である。ここでは、カメラ端末装置100が屋内の会議室に設置されているものとする。図2に示すように、カメラ端末装置100のカメラ部102は、会議室内の比較的広い範囲を全体画像として撮像する。
【0021】
全体画像は、静止画のデータとしてクライアント端末200に送信される。ユーザは、クライアント端末200を用いて、全体画像の中から所望の範囲を指定することができる。例えば、図2に示す領域Aがクライアント端末200によって指定されると、カメラ端末装置100は、領域Aのライブ映像のデータをエンコードしてクライアント端末200に送信する。
【0022】
具体的に説明すると、クライアント端末200の表示部208には、予めカメラ端末装置100から送られた静止画の全体画像(ライブ映像ではない)が、表示処理部204の処理によって表示部208に表示されている。ユーザがクライアント端末200の入力部206を操作して全体画像中の所望の領域Aを指定すると、クライアント端末200の送受信部202が領域Aの情報をカメラ端末装置100へ送る。
【0023】
カメラ端末装置100の送受信部106は、ネットワーク300を介して領域Aに関する情報(制御情報)を受信すると、その情報を制御部108へ送る。制御部108は、画像処理部104に対して、カメラ部102から送られてくる全体画像(ライブ映像)のうち、領域Aの部分だけ切り出してエンコード処理するよう指示する。送受信部106は、エンコード処理された領域Aのライブ映像を画像処理部104から受け取り、ネットワーク300を介してクライアント端末200へ送信する。
【0024】
クライアント端末200の送受信部202は、カメラ端末装置100から領域Aのライブ映像を受信すると、そのデータを表示処理部204へ送る。表示処理部204では、領域Aの情報をデコードし、表示部208に表示する処理を行う。
【0025】
このように、ユーザは、クライアント端末200を操作して全体画像の中から所望の領域を指定することで、あたかも機械的なパン、チルト、ズーム等の操作と同等の操作をデジタル的に行うことができ、この結果、所望の領域の映像を取得することができる。
【0026】
特に、近時においては、ネットワーク300の容量の増大により、より画素数の多い高画質の映像を送ることができるが、全体画像をライブ映像として全データを送ることとすると、そのデータ量は膨大となる。本実施形態のようにユーザ側で領域を指定して必要なデータのみを転送することで、所望の領域の高画質映像を視聴することができる。
【0027】
ところで、以上のようなシステムにおいて、複数のクライアント端末装置200が1台のカメラ端末装置100に接続されている場合、それぞれのクライアント装置200が同時に全体画像中の領域を指定することが考えられる。
【0028】
図3は、複数のクライアント端末200がネットワーク300に接続されている様子を示す模式図である。図3では、複数のクライアント端末200が操作可能な映像として、最大2つの映像が指定されているものとする。図3において、ユーザは、映像1(領域B)と映像2(領域C)を個別に指定して、所望の領域のライブ映像を取得することができる。このような場合に、複数のクライアント端末200が同時に映像1または映像2の1つを制御しようとすると、その制御が競合してしまう事態が発生する。
【0029】
例えば、2つのクライアント端末200が同時に映像1を指定してその領域を制御しようとすると、映像1に対する制御が競合してしまうので、いずれかのクライアント端末200に制御権を与える必要が生じる。
【0030】
このような場合、本実施形態では、1のクライアント端末200に映像1を操作する制御権を与えて、制御権が与えられたクライアント端末200のみが映像1の領域を制御して所望の映像を取得できるようにしている。
【0031】
そして、本実施形態では、2つの制御モードの一方を用いて各クライアント端末200に制御権を付与するようにしている。以下、それぞれのモードについて説明する。
【0032】
(2)第1の制御モードについて
第1の制御モードによる処理は、例えば映像1と映像2のコーデック、解像度、またはフレームレートなどの設定が同じであり、各クライアント端末200が映像1と映像2の双方を受信できる場合に適用される。
【0033】
第1の制御モードによる処理では、図3に示すように、映像1と映像2の2つの映像を操作できる場合に、いずれかの映像の制御権が空いている場合は、次に映像の操作に参入してきたクライアント端末200に対して空いている映像の制御権を与える。
【0034】
例えば、映像1と映像2の双方の制御権が空いている場合、最初に参入してきたクライアント端末200(操作者1とする)は、映像1と映像2のいずれか一方の制御権を得ることができる。ここでは、操作者1が映像1の制御権を得て、映像1を操作するものとする。操作者1は、映像1の制御権を保有している間は、上述した処理により、自由に映像1の範囲を操作して、所望の領域のライブ映像を取得することができる。
【0035】
次に、操作者1が映像1の制御権を保有している状態で参入してきたクライアント端末200(操作者2とする)は、映像2の制御権が空いているため、映像2の制御権を得る。これにより、操作者2は、映像2の制御権を保有している間は、自由に映像2の範囲を操作して、所望の領域のライブ映像を取得することができる。
【0036】
次に、操作者1が映像1の制御権を保有し、且つ操作者2が映像2の制御権を保有している状態で参入してきたクライアント端末200(操作者3とする)は、映像1と映像2の双方の制御権が操作者1,2によって保有されているため、制御権を得ることができない。このため、操作者3は、映像1または映像2の制御権が空くまで待機することになる。更に、その後に操作者4が参入してくると、参入してきた時刻が早いクライアント端末200から順に、制御権が空いた際に制御権を獲得するものとする。
【0037】
制御権を保有する時間は、例えば予め定めておくことができる。カメラ端末装置100のタイマー112では、それぞれの操作者が制御権を保有している時間をカウントし、予め定められた所定時間が経過すると、その操作者の制御権を解除する。一例として、制御権を保有する時間が15分間の場合、上述の例で操作者1が映像1の制御権を得てから15分間が経過すると、操作者1の映像1に対する制御権が解除される。これにより、待機していた操作者3は、映像1の制御権を獲得して映像1を操作することが可能となる。更に、操作者2が映像2の制御権を得てから15分間が経過すると、操作者2の映像2に対する制御権が解除される。これにより、待機していた操作者4は、映像2の制御権を獲得して映像2を操作することが可能となる。
【0038】
以上のような第1の制御モードは、特に、映像1と映像2のコーデック、解像度、またはフレームレートなどの設定が同じ場合に用いることが好適であるが、これに限定されるものではない。
【0039】
(3)第2の制御モードについて
次に、第2の制御モードによる処理について説明する。例えば映像1と映像2のコーデック、解像度、またはフレームレートなどの設定が異なっており、各クライアント端末200が映像1と映像2の一方のみを受信できる場合に適用される。
【0040】
先ず、映像1を受信可能なクライアント端末200(操作者1とする)は、映像1の制御権が空いていれば、映像1の制御権を得て、自由に映像1の範囲を操作することができる。
【0041】
次に、映像1を受信可能な他のクライアント端末200(操作者2とする)は、操作者1が映像1の制御権を保有している状態では、映像1を操作することができない。また、このクライアント端末200は、映像2を受信することはできない。このため、操作者2は、操作者1の制御権が解除されるまで待機する。
【0042】
一方、映像2を受信可能な他のクライアント端末200(操作者3とする)は、映像1を受信することはできない。このため、操作者1が映像1の制御権を保有している状態においても、このクライアント端末200は、映像2の制御権が空いていれば、映像2の制御権を得て、自由に映像2の範囲を操作することができる。
【0043】
映像2を受信可能な他のクライアント端末200(操作者4とする)は、操作者3が映像2の制御権を保有している状態では、映像2を操作することができない。また、このクライアント端末200は映像1を受信することはできないため、操作者4は、操作者3の制御権が解除されるまで待機する。
【0044】
第1の制御モードと同様に、制御権を保有する時間は、予め定めておくことができる。カメラ端末装置100のタイマー112では、それぞれの操作者が制御権を保有している時間をカウントし、予め定められた所定時間が経過すると、その操作者の制御権を解除する。上述の例で操作者1が映像1の制御権を得てから15分間が経過すると、操作者1の映像1に対する制御権が解除される。これにより、待機していた操作者2は、映像1の制御権を獲得して映像1を操作することが可能となる。また、操作者4が映像2の制御権を得てから15分間が経過すると、操作者4の映像2に対する制御権が解除される。これにより、待機していた操作者5は、映像2の制御権を獲得して映像2を操作することが可能となる。
【0045】
以上のような第2の制御モードは、映像1と映像2のコーデック、解像度、フレームレートなどの設定が異なる場合に用いることが好適であるが、これに限定されるものではない。
【0046】
(4)制御権の付与に関する処理について
制御権を得ようとする場合、ユーザは、クライアント端末200から映像1または映像2を選択する操作を行う。ここでは、任意のクライアント端末200が映像1の制御権を得る場合について説明する。この操作は、例えばマウス、キーボード等の入力部206から表示部208に表示されている映像1の外枠を指定することによって行うが、これに限定されるものではない。この操作を受けて、送信部202は、クライアント端末200が映像1についての制御権を得ようとしていることを示す情報(制御権要求情報)をカメラ端末装置100へ送る。なお、クライアント端末200が映像1についての制御権を得ようとしている場合は、映像2についての制御権を得ようとしていることを示す情報(制御権要求情報)がカメラ端末装置200に送られる。
【0047】
制御権要求情報は、ネットワーク300を介してカメラ端末装置100に送られ、送受信部106にて受信されると、制御部108に送られる。制御部108は、制御権の要求が出された映像1または映像2に制御権が付与されていない場合は、制御権要求情報を送信したクライアント端末200に対して制御権を付与し、そのIPアドレスを記憶する。これにより、制御権を付与したクライアント端末200から映像1の領域を指定する情報を受信した場合、制御部108は、カメラ部102から送られてくる全体画像(ライブ映像)のうち、指定された領域の部分だけ切り出してエンコード処理するよう指示する。送受信部106は、エンコード処理された領域Aのライブ映像を画像処理部104から受け取り、ネットワーク300を介して制御権を有するクライアント端末200へ送信する。
【0048】
また、制御部108は、制御権要求情報を送信したクライアント端末200に対して制御権を付与する旨の情報(制御権許可情報)を送信する処理を行う。これにより、制御権許可情報は、送受信部106から送信される。また、制御部108は、制御権を付与すると、タイマー112からの時刻情報に基づいて、制御権を付与してからの経過時間をカウントする。制御権許可情報には、制御権を付与した時刻(制御権付与時刻)と、制御権を付与した映像(映像1)に関する情報が含まれる。
【0049】
制御権許可情報は、ネットワーク300を介してクライアント端末200へ送られる。クライアント端末200の送受信部202は、制御権許可情報を受信すると、表示制御部204へ送る。表示制御部204は、制御権許可情報に含まれる制御権付与時刻に基づいて、制御権を保有可能な残り時間を表示部208に表示させることができる。
【0050】
また、制御部108は、制御権の要求が出された映像1に既に制御権が付与されている場合は、その旨と制御権が解除されるまでの残り時間を、制御権要求情報の送信元のクライアント端末200へ送信する。制御権要求情報を送信したクライアント端末200は、これらの情報を送受信部202にて受信すると、表示処理部204の処理によりこれらの情報を表示部208に表示する。従って、ユーザは、自身のクライアント端末200に制御権が付与されるまでの待機時間を認識することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、カメラ端末装置100側で制御権を付与する構成としたが、これに限定されるものではない。クライアント端末200側においても、カメラ端末装置100と同様の構成を備えることにより、制御権を付与することが可能である。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、パン、チルト、ズーム等の操作をデジタル的に行うことが可能なシステムにおいて、各クライアント端末200に制御権を付与することができる。従って、各クライアント端末200からの操作要求が競合した場合においても、付与した制御権に従って各クライアント端末200に制御を許可することが可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
100 カメラ端末装置
102 カメラ部
104 画像処理部
106 送受信部
108 制御部
200 クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像された全体画像の中に指定された領域を制御するための制御権の要求情報を受信する受信部と、
前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する制御部と、
前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する画像処理部と、を備え、
複数の前記領域が設定され、
前記制御部は、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する、制御装置
【請求項2】
前記制御権を付与してからの経過時間をカウントするタイマーを備え、
前記制御部は、前記制御権を付与した後、所定時間が経過すると前記制御権を解除する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記領域に既に制御権が付与されている場合に、前記要求情報の送信元に対して前記制御権を付与した時刻又は前記制御権を付与してからの経過時間を送信する送信部を備える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
画像を撮像するカメラ端末装置と、前記カメラ端末装置を制御するクライアント端末装置とがネットワークを介して接続されたカメラシステムであって、
前記カメラ端末装置は、
カメラで撮像された全体画像の中に指定された領域を制御するための制御権の要求情報を受信する受信部と、
前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する制御部と、
前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する画像処理部と、を備え、
複数の前記領域が設定され、
前記制御部は、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する、カメラシステム。
【請求項5】
前記制御権を付与してからの経過時間をカウントするタイマーを備え、
前記制御部は、前記制御権を付与した後、所定時間が経過すると前記制御権を解除する、請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記領域に既に制御権が付与されている場合に、前記要求情報の送信元に対して前記制御権を付与した時刻又は前記制御権を付与してからの経過時間を送信する送信部を備える、請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項7】
カメラで撮像された全体画像の中に指定された複数の領域を制御するための制御権の要求情報を受信する手段、
前記要求情報に基づいて、前記領域に制御権が付与されていない場合は前記要求情報に基づいて制御権を付与する手段であって、1の領域に付与する制御権について、他の領域に制御権が付与されているかに関わらず、前記1の領域に制御権が付与されていない場合は前記1の領域に前記制御権を付与する手段、
前記要求情報に基づいて制御権を付与した場合に、前記領域を制御するための制御情報に基づいて、前記全体画像の中から指定された領域を取得する手段と、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−239150(P2011−239150A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108564(P2010−108564)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】