説明

制御装置、プログラム

【課題】車両駐車時に、常時電源で(少なくとも周期的に)動作する機器を、効率的に節電する制御装置、プログラムを提供する。
【解決手段】車両2が緊急通話などのためのDCM5を備え、ユーザが携帯電話機3を所持する状況で、車両駐車時に、DCM5から携帯電話機3のナビの位置情報を取得し、車両自体の位置もナビにより検出する。これら2つの位置情報から携帯電話機3と車両2との間の距離を算出して、距離が長い場合にはユーザが車両の遠くにいるとみなして、車両2のスマートECU等、駐車時に常時電源を使用する機器を節電モードに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両におけるユーザからの苦情の多くはバッテリー上がりが占めてる。したがってユーザの利便性を低下させずに、車の消費電力を低減することが求められている。例えば下記特許文献1では、車両の状態に対応してバッテリー上がりを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−47342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば今日多くの車に搭載されているスマートエントリーシステムでは、車両駐車時に、車外のスマートキーに向けてIDの返信を要求するポーリング信号を周期的に送信するが、この動作も、特に長期間ともなればバッテリー電力消費の無視できない要因となる。現状では、駐車が長期間(例えば1週間)となったら節電するような対応がとられているが、さらに効率的な節電が望まれる。
【0005】
この問題はスマートエントリには限らず、車両が駐車状態(イグニッションオフ、アクセサリーオフ)にある場合に、常時電源を使用する(少なくとも周期的には通電する)車載機器全てに関係する。それらの機器の電力消費はバッテリー電力の無駄な消費となる可能性があるので、駐車中にこれらの機器を適切に節電することが望まれる。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、車両駐車時に、常時電源で(少なくとも周期的に)動作する機器を、効率的に節電する制御装置、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る制御装置は、車両に備えられ、所定の携帯通信端末の位置情報を無線通信により受信する受信手段と、前記車両の位置を検出する検出手段と、前記受信手段が受信した位置と、前記検出手段が検出した位置とから、前記携帯通信端末と前記車両との間の距離を算出する算出手段と、その算出手段が算出した距離が相対的に大きい場合に、前記車両に装備された電気機器のうちで、イグニッションスイッチがオフかつアクセサリースイッチがオフの状態で少なくとも間欠的に電力が供給される電気機器を、電力消費量を低減する節電状態に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより本発明に係る制御装置では、所定の携帯通信端末と車両との距離を算出して、その距離が相対的に大きい場合に、駐車中の車両の電気機器を節電制御するので、ユーザの位置とみなせる携帯通信端末の位置情報を効果的に用いて、ユーザが車両の遠くにいる場合には適切に車両の電気機器を節電できる。したがって例えば従来のように駐車が長期間になったら節電する方法と比較しても、本発明ならばユーザが遠くに移動したらただちに節電できるので、節電効果が高い。よって駐車中の車両のバッテリー電力の消費を適切に抑制できる。
【0009】
また前記電気機器は、前記車両におけるドア開錠時における電気的識別システムを制御する機器を含み、前記節電手段は、前記節電状態において前記電気的識別システムにおける電子キーへ認証信号の送信を要求するポーリング信号の送信間隔を、非節電状態の場合よりも相対的に長くするとしてもよい。
【0010】
この発明によれば、ユーザの位置とみなせる携帯通信端末の位置情報を効果的に用いて、ユーザが車両の遠くにいる場合は、スマートエントリーシステムにおけるポーリング信号の間隔を相対的に長くして節電する。したがって、ユーザが車両から遠く離れている場合に、スマートエントリーシステムによるバッテリー電力消費を効果的に抑制する。
【0011】
また前記節電手段は、前記算出手段によって算出された距離が大きいほど、前記電気機器における電力消費量を大きく低減するとしてもよい。
【0012】
この発明によれば、ユーザの位置とみなせる携帯通信端末の位置情報を効果的に用いて、ユーザの車両からの距離が遠いほど、電気機器の電力消費量を大きく低減する。したがってユーザと車両の距離が遠いほど、ユーザが次に乗車するまでの期間が長い性質を適切に利用して、効果的に節電できる。
【0013】
また前記車両からその車両の外部へ、携帯電話の通信網を介して緊急通話を実行する緊急通話手段を備えたとしてもよい。
【0014】
この発明によれば、携帯電話の通信網を介して緊急通話を実行する緊急通話手段をさらに備えるので、車両の緊急通話のための装備を効果的に兼用して、ユーザの位置とみなせる携帯通信端末の位置情報を効果的に取得して、ユーザが車両の遠くにいる場合には適切に車両の電気機器を節電できる。したがって既存の装備を効率的に兼用して、ユーザの車両からの位置に応じた、効果的な駐車時の節電が実行できる。
【0015】
また本発明に係るプログラムは、車両に備えられた通信装置を用いて、所定の携帯通信端末の位置情報を無線通信により受信する受信ステップと、前記車両の位置を検出する検出ステップと、前記受信ステップで受信した位置と、前記検出ステップで検出した位置とから、前記携帯通信端末と前記車両との間の距離を算出する算出ステップと、その算出ステップで算出した距離が相対的に大きい場合に、前記車両に装備された電気機器のうちで、イグニッションスイッチがオフかつアクセサリースイッチがオフの状態で少なくとも間欠的に電力が供給される電気機器を、電力消費量を低減する節電状態に制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
これにより本発明に係るプログラムでは、所定の携帯通信端末と車両との距離を算出して、その距離が相対的に大きい場合に、駐車中の車両の電気機器を節電制御するので、ユーザの位置とみなせる携帯通信端末の位置情報を効果的に用いて、ユーザが車両の遠くにいる場合には適切に車両の電気機器を節電できる。したがって例えば従来のように駐車が長期間になったら節電する方法と比較しても、本発明ならばユーザが遠くに移動したらただちに節電できるので、節電効果が高い。よって駐車中の車両のバッテリー電力の消費を適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の制御システムの1実施例における構成図。
【図2】本発明の制御システムのキーに関連する構成図。
【図3】節電判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図4】節電解除判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1、図2は、本発明に係る車両の制御システム1(以下、システム)の装置構成の概略図である。
【0019】
システム1は、車両2、携帯電話機3、キー4を備え、そして車両2は、本発明に関係する構成として、主に、データ通信モジュール5(DCM:Data Communication Module)、各種電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)6、6’、6”、・・、ナビ装置7、バッテリー8、ドア9を備える。車両内の上記装備は車内通信(例えばCAN通信)によって接続されて、データの送受信が可能となっている。さらにシステム1はセンタ10を備える。
【0020】
携帯電話機3は、CPU30、RAM31、ROM32、ナビ装置33、無線通信部34を備える。CPU30は、携帯電話機3における通話やデータ通信などを含むあらゆる情報処理を司り、RAM31はCPU30の作業領域として機能する揮発性の記憶部である。ROM32は携帯電話機3での情報処理に必要なデータやソフトウェア(プログラム)を記憶する不揮発性の記憶部である。ROM32は特に、本発明に関するプログラム32aを記憶する。プログラム32aは、ユーザが例えばインターネット(通信網)からダウンロードしてROM32に格納しておけばよい。
【0021】
ナビ装置33(ナビゲーション装置)は、GPS衛星からのGPS信号を受信する受信部や、地図(マップ)情報などを記憶して、公知のナビゲーション技術を用いて、携帯電話機3の位置(緯度、経度)を算出する。無線通信部34は、アンテナなどを備えて、携帯電話3が、既存の通信網(携帯電話網、公衆回線網、インターネットなど)を通じて無線通信を行うことを可能にする。
【0022】
次に、車両2において、DCM5は、携帯電話機と同様の構造を有して、車両2と車外との間で無線通信する機能を備える。具体的には、車両2の緊急時などにおいて、(ユーザのボタン押下により、あるいはエアバッグの展開に連動して自動的に)車外の例えば緊急通報時の通話先との間で通話可能となる。
【0023】
またDCM5は、携帯電話機3からの車両2の制御や車両情報の取得にも用いられる。具体的には、ユーザの側からDCM5にアクセスすることにより(あるいは、ユーザの側から携帯電話機3を用いてセンタ10にアクセスすることにより、自動的にDCM5と無線接続されて)、車両2のドアのロック、アンロックを指令できたり、車両情報(車内通信を流れている情報)がDCM5から携帯電話機3に送信されてユーザが確認できる。
【0024】
DCM5は、CPU50、RAM51、ROM52、無線通信部53、インターフェイス部54(I/F)を備える。CPU50はDCM5における情報処理全般を司り、揮発性の記憶部であるRAM51はCPU50の作業領域として機能する。ROM52はDCM5で必要となるデータやソフトウェアを記憶する不揮発性の記憶部であり、特に本発明に関するプログラム52aを記憶する。
【0025】
無線通信部53は、DCM5とその外部(車外)との間で無線通信を行う。I/F54は、DCM5を車内通信(例えばCAN)に接続して、車内各部との情報の送受信を可能とする。
【0026】
ECU6、6’、6”、等は、車両2の各部の電子制御を行う。このうちECU6は、図2に示されたとおり、車両2のスマートエントリーシステムやワイヤレスキーレスシステムを制御するECUであるとする。ECU6は、LF送信部60における長波(LF)の送信、RF受信部61における無線信号(RF)の受信を制御する。
【0027】
なおLF送信部60は送信領域ごと(車外向け、車内向け等)に車両2の各部に複数設けてよく、RF受信部61は、スマートエントリーシステム用の受信部と、ワイヤレスキーレスエントリーシステム用の受信部で別個設けてもよい。またECU6は、メモリー62を備え、ユーザが所有するキー4のマスターID63を記憶する。スマートエントリーシステムやワイヤレスキーレスシステムについては後述する。
【0028】
ナビ装置7は、上記ナビ装置33と同様の装備を備えて、公知のナビゲーション技術を用いて車両2の現在位置を算出し、装備されたディスプレイに地図とともに表示する等の処理を実行する。なおナビ装置7はDCM5内に装備される形態でもよい。バッテリー8は、車両2内の電気機器全般に電力を供給する。図1、2では電力供給線を破線で示している。
【0029】
センタ10は、車両2(および他の車両)に対して通信を通じた各種サービスを提供するために設置されている。本発明においては、このセンタ10に、車両2と携帯電話機3との間の通信を中継する役割を果たさせてもよい。センタ10は、本発明で用いられる情報を例えば各車両ごとに記憶するデータベース10aを装備する。センタ10はコンピュータと同様の構造を有し、さらに携帯電話網を介した通信機能を有して、センタ10が行う処理を自動的に行うとすればよい。
【0030】
車両2のドア9は、図2に示すように、ロック機構90、ロックボタン91、キーシリンダ92を備える。ロック機構90により、ドアが施錠(ロック)あるいは開錠(アンロック)される。ロックボタン91は、スマートキーシステムにおけるドアの施錠ボタンであり、ドアハンドル付近に備えられて、車室外照合が成功の場合にユーザが押下するとドアが施錠されるボタンである。キーシリンダ92は、ドアハンドル付近に備えられたメカニカルキー部47を挿入するための孔部である。
【0031】
なおドア5は車両2に装備された複数のドア(運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席右側、左側ドアなど)を指すとし、その個々のドアにロック機構90、ロックボタン91、キーシリンダ92が装備されているとすればよい。
【0032】
キー4はスマートキーシステムに関わる電子キーであり、ユーザが携帯可能で、LF受信部40、RF送信部41、制御部42、メモリ43、ロックスイッチ45(ロックボタン)、アンロックスイッチ46(アンロックボタン)、メカニカルキー部47を備える。メモリ43には、当該キー4に固有の識別信号44(IDコード、ID)が記憶されている。
【0033】
LF受信部40は、車両2のLF送信部60から送信されたポーリング信号を受信する。RF送信部41は、ポーリング信号の受信を受けて、当該キー4固有のIDコード44をRF信号として送信する。
【0034】
ロックスイッチ45、アンロックスイッチ46はワイヤレスキーレスエントリーシステムにおけるドアの開錠、施錠に関するスイッチである。ユーザが車両外の通信範囲内でロックスイッチ45を押下すると車両2のドア9が施錠され、アンロックスイッチ46を押下すると開錠(許可)状態となる。
【0035】
メカニカルキー部47は、機械的なキー部であり、ドア5のキーシリンダ92や車室内のキーシリンダに挿入されて、ドアの開錠、施錠やエンジン始動などが実行される。制御部42は、通常のコンピュータと同様の構造を有するとし、各種情報処理のためのCPUや、CPUの作業領域としての一時記憶部のRAMなどを備えるとする。制御部42によってキー4の上記装備が制御される。
【0036】
以上のとおり本システムは、車両のドアの開錠方法として、3つの方法を備える。第1の方法は、いわゆるスマートエントリーシステムである。
【0037】
この方法では、LF送信部40から車室外のキー4へ向けて識別信号(ID44)の返信を指令するLF波によるポーリング信号が周期的に送信される。キー4はポーリング信号を受信するとID44を含むRF波の信号をRF送信部41から返信する。ECU6は、RF受信部61で受信した信号とマスターID63とを照合して、照合成功ならば、車両のドア9を開錠(あるいは開錠許可状態に)する。
【0038】
第2の方法はいわゆるワイヤレスキーレスエントリーシステムである。この方法では、車外にいるユーザがキー4のアンロックスイッチ46を押下すると開錠指令信号がID44を含むかたちでRF送信部41から送信される。ECU6は、この信号をRF受信部61で受信し、さらにマスターID63との照合が成功したならば、車両のドア9を開錠(許可)状態とする。この状態でユーザがドアハンドルを握ればドアは開錠(開放)される。
【0039】
第3の方法はメカニカルキー部47によるドア開錠である。この方法では、メカニカルキー部47をキーシリンダ92に挿入して回動することによりドア9が開錠される。なお本発明は、スマートエントリーシステムとワイヤレスキーレスエントリーシステムとのうちのいずれか一方のみを装備するとしてもよく、メカニカルキー部47は装備しないとしてもよい。
【0040】
なおDCM5においてROM52は、書き換え可能なEEPROMなどとすればよく、ユーザがROM52に本発明のデータ通信で用いる携帯電話機3の番号を記憶させておく。その際、複数の携帯電話機3の番号を記憶させてもよい。
【0041】
本発明では携帯電話機3を複数用いてもよい。その場合、複数の携帯電話機3に優先順位をつける。そのための方法としては例えば、ユーザが優先順位の設定を入力してもよい。あるいは使用履歴、使用頻度に応じてCPU50が自動的に優先順位をつけてもよい。その場合、例えばユーザの方から携帯電話機3を用いてDCM5に通信してきた回数をカウントしておき、最近の所定期間において回数が多い順に優先順位をつけるとしてもよい。あるいは、直近のイグニッションオン時にDCM5の側から携帯電話機3に通信して、携帯電話機3の位置を取得して、車両2内(又は車両2の近く)にある場合、その携帯電話機3を優先順位の最上位としてもよい。ROM52には、複数の携帯電話機3それぞれの番号とともに、優先順位も記憶させればよい。
【0042】
車両2のスマートエントリーシステム、ワイヤレスキーレスシステムを制御するECU(スマートECU、ワイヤレスキーレスECU、あるいはそれらを統合したECU)は、車両2がイグニッションスイッチがオフ、アクセサリースイッチがオフ(、クランキングスイッチがオフ)の状態でも、完全には停止せず、周期的に通電される(電力が供給される)。
【0043】
周知のとおり、車両においてイグニッションスイッチがオフ、アクセサリースイッチがオフ(、クランキングスイッチがオフ)の状態で供給される電力(電源)は、いわゆる常時電源(プラスビー電源)と呼ばれる。スマートECUの場合、ECUへの通電には、ポーリング信号の送信による電力消費が含まれる。
【0044】
システム1は、車両2のユーザ(所有者)が車両から遠い場所にいる場合には、車両のスマートキーシステム、ワイヤレスキーレスシステムの使用の可能性が低いことから、これらのECUを節電モードにする。距離の判定では、ユーザの所有する携帯電話機3と車両のナビ装置33、7と、DCM5の無線通信機能を用いる。さらに距離を段階的に分類して、それに応じて節電の程度を段階的にしてもよい。
【0045】
その具体的な処理手順は図3に示されている。図3(及び後述の図4)の処理手順は予めプログラム52a、32aに記述しておき、例えばイグニッションスイッチ、アクセサリスイッチ、クランキングスイッチが全てオフとなって所定時間後に、CPU50、30が所定の周期で繰り返し、自動的に実行するとすればよい。(図3(及び後述の図4)には携帯電話機3のCPU30がプログラム32aにより実行する処理も含まれる。)以下で、携帯電話機3とDCM5との間の通信は、センタ10を介した通信でもよく、直接の通信でもよい。
【0046】
図3の処理手順ではまず、S10でCPU50は、探索する携帯電話機を選択する。上述のとおり、ROM52内に、本発明で用いる携帯電話機3の番号が記憶してあり、番号が複数の場合は優先順位が付けられている。S10では、ROM52に記憶された携帯電話機3の番号(複数の場合は優先順位最上位)を取得する。
【0047】
次にS20でCPU50は、S10で取得した番号の携帯電話機3に対して通信(通話でなくデータ通信とすればよい)を実行する。そして携帯電話機3が通信可能状態にある場合には、携帯電話機3のCPU30は、ナビ装置33から位置情報を取得して、DCM5に返信する。携帯電話機3が通信可能状態にない場合(携帯電話機3が電源オフ、残電力不足、通信圏外など)には、他の方法で携帯電話機3の最近の位置情報を取得する。
【0048】
具体的には、携帯電話会社に記録されている携帯電話機3の通話記録から、携帯電話機3の直近の通話で使用された基地局の情報と通話日時を取得して、その基地局の位置を携帯電話機3の(近似的な)位置とみなす。あるいは携帯電話機3にナビ装置33が装備されていない場合にも、通話で用いた基地局の位置を携帯電話機3の(近似的な)位置とみなせばよい。これらの情報は、S20の時点で携帯電話網に対して取得しに行ってもよく、センタ10のデータベース10aに予め蓄積しておいて、それをS30で取得してもよい。以上の方法のいずれでも携帯電話機3の位置(あるいは近似的位置)が取得できない場合は、携帯電話位置を取得できなかったとする。
【0049】
次にS30でCPU50は、携帯電話の(近似的)位置を取得できたか、そして取得日時は最近かを判定する。取得日時とは、携帯電話機3の位置を取得した場合はS20の実行時刻、基地局の位置を取得した場合は、その基地局を使用した通話日時とする。また最近とは、現在時刻から所定の期間とする。
【0050】
携帯電話の(近似的)位置を取得でき、そして取得日時が最近の場合(S30:Yes)はS40に進み、携帯電話の(近似的)位置を取得できなかった、又は取得日時が最近でない場合(S30:No)はS120に進む。S40に進んだらCPU50は、車両2(自車)と携帯電話機3の間の距離を算出する。これは、S20で取得した携帯電話機3の位置と、ナビ装置7で算出した車両2の現在位置から求めればよい。
【0051】
続いてCPU50は、S40で算出した距離に応じて、S50からS70で場合分けの処理を行う。すなわち、算出距離が所定値A未満の場合(S50:Yes)はS80に進んで、節電しない通常モードとする。算出距離が所定値A以上でB未満の場合(S50:No、S60:Yes)はS90に進んで近距離の節電モードとする。
【0052】
算出距離が所定値B以上でC未満の場合(S60:No、S70:Yes)はS100に進んで遠距離の節電モードとする。算出距離が所定値C以上の場合(S70:No)はS110に進んで完全停止モードとする。S120に進んだ場合は完全停止モードあるいは通常モードとする。なお所定値はA、B、Cの順で小さい数値とする。例えばAは10km、Bは100km、Cは500kmなどとすればよい。
【0053】
上記節電モードでは、通常モードよりも例えばスマートエントリーシステムにおけるポーリング信号の送信間隔を広げることによって節電すればよい。その際、節電モード(遠距離)の方が節電モード(近距離)よりもポーリング信号の送信間隔を広げればよい。完全停止モードでは完全に通電を停止すればよい。
【0054】
あるいは節電モードでは、通常モードよりも例えばワイヤレスキーレスエントリーシステムにおけるRF受信部61の通電間隔を広げることによって節電すればよい。その際、節電モード(遠距離)の方が節電モード(近距離)よりも通電間隔を広げればよい。完全停止モードでは完全に通電を停止すればよい。
【0055】
あるいはスマートエントリーシステムとワイヤレスエントリーシステムとでどちらが節電の必要性が高いかの優先順位を付けておき、(より遠距離の)節電モードにおいて、節電の必要性が高い方から節電モードにしてもよい。(例えばスマートエントリーシステムの方が、ポーリング信号の送信でより多く電力を消費するとの観点から、スマートエントリーシステムの方が節電の必要性が高いと設定する。)あるいは、以上述べた節電モードの設定の組み合わせとしてもよい。すなわちシステム1は、イグニッションスイッチがオフかつアクセサリースイッチがオフの状態で少なくとも間欠的に電力が供給される複数の電気機器に対して、節電を実行する際の優先順位を記憶し、その記憶された優先順位が高い機器から優先的に節電する優先的節電手段を備える。以上が図3の処理手順である。
【0056】
次に図4を説明する。図4は本発明における節電モードの解除判定の処理手順を示すフローチャートである。図4の処理は、図3の処理によって節電モード(近距離でも遠距離でもよい)にされた期間中に、CPU50が例えば周期的に実行すればよい。
【0057】
図4の手順ではまず、S200で車両情報を取得する。個々で車両情報とは次のS210の判定で用いる所定の信号である。続いてS210でCPU50は、所定の信号にユーザが車両2に乗り込んだことを示す変化があるか否かを判定する。
【0058】
ここで所定の信号とは、ユーザが車両2に乗り込んだ場合に変化する信号であり、例えばドアカーテシ信号、ドアロックポジション信号、ACC信号(アクセサリースイッチのオンオフ信号)、IG信号(イグニッションスイッチのオンオフ信号)などである。所定の信号にユーザが車両2に乗り込んだことを示す変化がある場合(S210:Yes)はS220に進み、変化がない場合(S210:No)は図4の処理を終了する。S220に進んだらCPU50は、通常モードに変更する。すなわちシステム1は、車内通信を流れる所定の信号に、乗員が乗り込んだことを示す変化が生じたか否かを判定する判定手段と、その判定手段が前記変化が生じたと判定した場合に、節電状態を解除する解除手段と、を備える。以上が図4の処理手順である。
【0059】
上記実施例ではスマートエントリーシステム、ワイヤレスキーレスエントリーシステムの節電の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。車両2におけるECU6、6’、6”、・・において、車両2がイグニッションスイッチがオフ、アクセサリースイッチがオフ(、クランキングスイッチがオフ)の状態でも、完全には停止せず、周期的に通電される(電力が供給される)ECUは、スマートECU、ワイヤレスキーレスECU(それらの統合ECU)以外にもある。
【0060】
それらのECUは、例えばシートECU(シートを動かすECU)、ドアロック・アンロックECU(ドアのロック、アンロックを制御するECU)、パワーバックドアECU(パワーバックドアを制御するECU)等である。上記実施例を、常時電源が周期的に供給されるこれらのECUの節電に変更してもよい。その場合も、図3によって設定される節電モードでは、通常モードよりも通電間隔を広くし、さらに遠距離であるほど通電間隔を広くして節電すればよい。これによりバッテリー8の電力の無駄な消費が抑制できる。
【0061】
また上記では節電モードを3段階(すなわち遠距離、近距離、完全停止)としたが、当然本発明は3段階に限定されず、2、4、5、・・段階など任意の段階設定ができる。また段階的ではなく連続的としてもよい。この場合、携帯電話機3と車両2との距離が長くなるにつれて、連続的にポーリング間隔や通電間隔を広げる。
【符号の説明】
【0062】
1 制御システム
2 車両
3 携帯電話機(携帯通信端末)
4 キー(スマートキー)
5 DCM(制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられ、所定の携帯通信端末の位置情報を無線通信により受信する受信手段と、
前記車両の位置を検出する検出手段と、
前記受信手段が受信した位置と、前記検出手段が検出した位置とから、前記携帯通信端末と前記車両との間の距離を算出する算出手段と、
その算出手段が算出した距離が相対的に大きい場合に、前記車両に装備された電気機器のうちで、イグニッションスイッチがオフかつアクセサリースイッチがオフの状態で少なくとも間欠的に電力が供給される電気機器を、電力消費量を低減する節電状態に制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記電気機器は、前記車両におけるドア開錠時における電気的識別システムを制御する機器を含み、
前記節電手段は、前記節電状態において前記電気的識別システムにおける電子キーへ認証信号の送信を要求するポーリング信号の送信間隔を、非節電状態の場合よりも相対的に長くする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記節電手段は、前記算出手段によって算出された距離が大きいほど、前記電気機器における電力消費量を大きく低減する請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車両からその車両の外部へ、携帯電話の通信網を介して緊急通話を実行する緊急通話手段を備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
車両に備えられた通信装置を用いて、所定の携帯通信端末の位置情報を無線通信により受信する受信ステップと、
前記車両の位置を検出する検出ステップと、
前記受信ステップで受信した位置と、前記検出ステップで検出した位置とから、前記携帯通信端末と前記車両との間の距離を算出する算出ステップと、
その算出ステップで算出した距離が相対的に大きい場合に、前記車両に装備された電気機器のうちで、イグニッションスイッチがオフかつアクセサリースイッチがオフの状態で少なくとも間欠的に電力が供給される電気機器を、電力消費量を低減する節電状態に制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−32105(P2013−32105A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169256(P2011−169256)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】