制御装置、制御方法及び制御プログラム
【課題】単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替え可能な撮像装置において高品質な画像データを生成し得る。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子で被写体を撮像することにより得られたアナログ画像信号を増幅部において所定の増幅率最大値以下の増幅率で増幅し、輪郭補正量に応じて輪郭補正を行う撮像ユニットを用いる単眼撮像状態か、被写体を複数の撮像ユニットで撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置は、複眼撮像状態と単眼撮像状態とで増幅率最大値を変化させるようにした。さらに撮像装置は、複眼撮像状態と単眼撮像状態とで輪郭補正量を変化させるようにした。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子で被写体を撮像することにより得られたアナログ画像信号を増幅部において所定の増幅率最大値以下の増幅率で増幅し、輪郭補正量に応じて輪郭補正を行う撮像ユニットを用いる単眼撮像状態か、被写体を複数の撮像ユニットで撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置は、複眼撮像状態と単眼撮像状態とで増幅率最大値を変化させるようにした。さらに撮像装置は、複眼撮像状態と単眼撮像状態とで輪郭補正量を変化させるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置、制御方法及び制御プログラムに関し、例えば単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えることが可能な撮像装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、左目用画像及び右目用画像を表示し視聴者に視認させることにより、表示した画像を立体視させる表示装置が普及してきている。
【0003】
また、そのような左目用画像及び右目用画像を表示する画像データを生成するために、撮像素子により被写体を撮像する撮像ユニットが複数設けられた撮像装置が用いられている。
【0004】
この撮像装置においては、被写体を撮像して生成した画像信号に補正処理を施すことにより、画像信号に基づき表示される画像の明るさや解像感を調整するものがある。
【0005】
このような撮像装置として、1つの撮像ユニットにより得られた画像信号の輝度レベルを基準とし、他の撮像ユニットにより得られた画像信号の増幅率を制御して基準と同一の輝度レベルになるように増幅することにより、それぞれの撮像ユニットの個体差を補正するものが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−154478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような撮像装置においては、撮像ユニットが出力した画像信号に含まれるノイズが多い場合、当該画像信号を補正する際にノイズが増幅されてしまい、その後ノイズ除去処理を行ってもノイズが残留してしまうことがある。
【0008】
単眼撮像した画像を表示装置において視聴する場合、視聴者は左右の目で同じノイズを視認するため、左目用画像と右目用画像との画像の差によるちらつきを感じることはない。
【0009】
ここで、画像信号に対し補正処理を施す際の補正値は、単眼撮像状態においては、画像の明るさ及び解像感と、ノイズとのバランスを取った値となっている。
【0010】
これに対し複眼撮像した画像を立体視で視聴する場合、視聴者は左右の目で、左右の画像にそれぞれ残留し時間経過とともにそれぞれランダムに変化するノイズを別々に視認する。
【0011】
特にこの場合、単眼撮像状態に対し最適化された補正値を用いているにも関わらず、視聴者が視認する左右の画像に差が生じることとなり、視聴者はちらつきを感じたり、ノイズが奥行き方向に分布を持つように見えたりすることがあり、画像の立体感を感じにくくなってしまう。
【0012】
このように撮像装置は、単眼撮像状態と複眼撮像状態とのいずれにも関わらず高品質な画像データを生成するということができない恐れがあった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替え可能な撮像装置において、高品質な画像データを生成し得る制御装置、制御方法及び制御プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明の制御装置においては、撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、判別部の判別結果に基づいて、画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御部とを設けるようにした。
【0015】
この制御装置では、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように画像信号の増幅を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0016】
さらに本発明の制御装置においては、撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、判別部の判別結果に基づいて、画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御部とを設けるようにした。
【0017】
この制御装置では、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように輪郭補正の度合を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように画像信号の増幅を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0019】
また本発明によれば、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように輪郭補正の度合を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0020】
かくして本発明は、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替え可能な撮像装置により高品質な画像データを生成し得る制御装置、制御方法及び制御プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1及び第2の実施の形態による撮像装置の全体構成を示す略線図である。
【図2】第1の実施の形態によるデジタル信号処理部及びシステムコントローラの機能的構成を示す略線図である。
【図3】光軸間隔の変化を示す略線図である。
【図4】輻輳角の変化を示す略線図である。
【図5】露出制御量と電子シャッター制御量、絞り制御量及びゲイン制御量との関係を示すプログラム線図である。
【図6】立体感が小さいシーン及び立体感が大きいシーンを示す略線図である。
【図7】視差ベクトルに基づく立体感を示す略線図である。
【図8】立体感検出値と増幅率との関係を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態による同時表示モードにおけるモニタ表示を示す略線図である。
【図10】第2の実施の形態によるデジタル信号処理部及びシステムコントローラの構成を示す略線図である。
【図11】単眼撮像状態の輪郭補正処理を示す略線図である。
【図12】複眼撮像状態の輪郭補正処理を示す略線図である。
【図13】立体感検出値と輪郭補正量との関係を示す略線図である。
【図14】第2の実施の形態による同時表示モードにおけるモニタ表示を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(単眼撮像と複眼撮像とで増幅率最大値を変化させる例)
2.第2の実施の形態(単眼撮像と複眼撮像とで輪郭補正量を変化させる例)
3.他の実施の形態
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.撮像装置の構成]
図1に示す第1の実施の形態による撮像装置1は、被写体を撮像することにより得られた画像データに基づく画像をユーザに提示すると共に当該画像データを記憶するようになされている。
【0024】
撮像装置1は、被写体を撮像する撮像素子が搭載された右目撮像ユニットRIF1と左目撮像ユニットLIF1との2つの撮像ユニットを有している。
【0025】
また撮像装置1は、単眼撮像と複眼撮像とを行うことが可能となっている。撮像装置1は、単眼撮像を行う際の単眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF1を含む単眼撮像系1Aの構成を動作させる。一方撮像装置1は、複眼撮像を行う複眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1を含む複眼撮像系1Bの構成を動作させる。
【0026】
システムコントローラ2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成され、操作部3を介したユーザの操作に応じて、記憶部4に記憶された各種プログラム等をメモリ5に読み出して実行することにより、撮像装置1を統括制御する。
【0027】
撮像切替部6は、物理的なスイッチ又はタッチパネル等により構成され、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えるユーザからの操作に基づき、撮像切替信号SSMをシステムコントローラ2に送出するようになされている。
【0028】
またシステムコントローラ2は、現在撮像している画像データをモニタ7に表示することにより、撮像しているシーンの画像をユーザに確認させるようになされている。
【0029】
[1−2.単眼撮像系の構成]
撮像切替部6を介したユーザの操作により単眼撮像が指定された場合、撮像装置1は、システムコントローラ2の制御に基づきレンズドライバ8Aによりズームレンズ9Aを光軸方向に移動させる。これにより撮像装置1は、撮像対象である被写体に対するズーム倍率を調整し、被写体からの光である被写体光を絞り10Aに入射させる。
【0030】
絞り10Aは、レンズドライバ8Aにより駆動されて絞りを制御することにより被写体光の光量を調整して、フォーカスレンズ11Aに入射させる。
【0031】
フォーカスレンズ11Aは、レンズドライバ8Aにより駆動されて光軸方向に移動することにより、集光する被写体光の焦点位置を調整し、当該被写体光を撮像素子12Aに照射して当該撮像素子12Aの撮像面に光学像を形成する。
【0032】
ところで、ズームレンズ9A、絞り10A及びフォーカスレンズ11Aは、右目用鏡筒13A内部に設置されている。右目用鏡筒13Aにはアクチュエータ40Aが取り付けられており、当該アクチュエータ40Aにより駆動されるようになされている。
【0033】
撮像素子12Aは、システムコントローラ2の制御に基づきタイミングジェネレータ14Aから送出されるタイミング信号により、電子シャッターのシャッタースピードを変化させて受光する被写体光の光量を調整し、撮像面に形成された光学像の撮像結果をアナログ画像信号ASA1として送出する。
【0034】
このように右目撮像ユニットRIF1においては、システムコントローラ2がレンズドライバ8Aを制御して絞り10Aを、タイミングジェネレータ14Aを制御して撮像素子12Aを駆動することにより、被写体を撮像する際の露出を調整するようになされている。
【0035】
アナログ信号処理部15Aは、システムコントローラ2の制御に基づき、アナログ画像信号ASA1を相関二重サンプリングし、アナログデジタル変換部16Aに送出する。
【0036】
アナログデジタル変換部16Aは、アナログ画像信号ASA1をアナログデジタル変換してデジタル画像信号DSA1とし、デジタル信号処理部17Aに送出する。
【0037】
デジタル信号処理部17Aは、DSP(Digital Signal Processor)により構成される。当該デジタル信号処理部17Aは、図2に示すように増幅部20Aにおいてシステムコントローラ2におけるデバイス制御量分配部30(詳しくは後述する)の制御に基づき、デジタル画像信号DSA1を所定の増幅率で増幅し、ホワイトバランス調整部21A及び輝度検出部31Aに送出する。
【0038】
続いてホワイトバランス調整部21Aがデジタル画像信号DSA1のホワイトバランスを調整した後、ガンマ補正部22Aがガンマ補正を行い、デジタル画像信号DSA1をノイズ除去部23Aに送出する。
【0039】
ノイズ除去部23Aは、デジタル画像信号DSA1に対し例えば時間方向のフレーム加算を行うことにより、デジタル画像信号DSA1に含まれるノイズを低減し、右目用画像データDSA2としてメモリ5に送出する。
【0040】
またシステムコントローラ2は、右目用画像データDSA2をメモリ5から読み出してモニタ7に送出することにより、右目用画像をモニタ7に表示する。
【0041】
さらにシステムコントローラ2は、メモリ5に送出された右目用画像データDSA2を、光ディスク、磁気ディスク、メモリカード又はハードディスク等により形成された記憶部4(図1)に記憶させる。
【0042】
露出の制御を行う際、デジタル信号処理部17A(図2)は、輝度検出部31Aにおいて右目用画像データDSA2の輝度レベルである輝度検出値を検出し、輝度検出信号SDBAとしてシステムコントローラ2に送出する。
【0043】
システムコントローラ2における輝度基準値発生部32は、予め所定の輝度基準値が設定されており、当該輝度基準値を示す輝度基準信号SSBを送出するようになされている。
【0044】
輝度差分値算出部33Aは、輝度基準値発生部32から送出された輝度基準信号SSBと、輝度検出部31Aから取得した輝度検出信号SDBAとの輝度差分値を算出し、当該輝度差分値を示す輝度差分信号DSBAを露出制御量決定部34Aに送出する。
【0045】
露出制御量決定部34Aは、輝度差分信号DSBAにより示される輝度差分値に基づき露出制御量(EV値)を決定し、当該露出制御量を示す露出制御信号SCEAをデバイス制御量分配部30に送出する。
【0046】
実際上露出制御量決定部34Aは、輝度検出値が輝度基準値を下回った、すなわち右目用画像データDSA2が基準よりも暗かった場合、露出制御量を小さくすることにより右目用画像データDSA2の輝度レベルが上がる方向へ制御するようになされている。
【0047】
これに対し輝度検出値が輝度基準値を上回った、すなわち右目用画像データDSA2が基準よりも明るかった場合、露出制御量決定部34Aは、露出制御量を大きくすることにより右目用画像データDSA2の輝度レベルが下がる方向へ制御するようになされている。
【0048】
デバイス制御量分配部30は、露出制御信号SCEAにより示される露出制御量に基づき、レンズドライバ8Aを制御する絞り制御量、タイミングジェネレータ14Aを制御するシャッタースピード制御量及び増幅部20Aを制御する増幅率制御量を算出する。
【0049】
実際上デバイス制御量分配部30は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくする(すなわち右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げる)ことを示している場合、絞り制御量(F値)を大きくし、当該絞り制御量を示す絞り制御信号SCDAをレンズドライバ8Aに送出する。
【0050】
レンズドライバ8A(図1)は、絞り制御信号SCDAを取得し、当該絞り制御信号SCDAにより示される絞り制御量が絞りを大きくすることを示している場合、絞り10Aを絞るように駆動することにより、被写体光の光量を減少させる。
【0051】
またデバイス制御量分配部30(図2)は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくすることを示している場合、シャッタースピード制御量を大きくし、当該シャッタースピード制御量を示すシャッタースピード制御信号SCSAをタイミングジェネレータ14Aに送出する。
【0052】
タイミングジェネレータ14A(図1)は、シャッタースピード制御信号SCSAを取得し、当該シャッタースピード制御信号SCSAにより示されるシャッタースピード制御量がシャッタースピードを速くすることを示している場合、シャッタースピードを速くするよう撮像素子12Aを駆動することにより、被写体光の光量を減少させる。
【0053】
さらにデバイス制御量分配部30(図2)は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくすることを示している場合、増幅率制御量を小さくし、当該増幅率制御量を示す増幅率制御信号SCGAを増幅部20Aに送出する。
【0054】
増幅部20Aは、増幅率制御信号SCGAを取得し、当該増幅率制御信号SCGAにより示される増幅率制御量が増幅率を小さくすることを示している場合、デジタル画像信号DSA1を増幅する増幅率を小さくする。これにより増幅部20Aは、結果として右目用画像データDSA2の輝度レベルを低下させる。
【0055】
因みにシステムコントローラ2は、操作部3を介したユーザの操作に応じて、デバイス制御量分配部30により絞り制御量、シャッタースピード制御量及び増幅率制御量を制御するようにもなされている。
【0056】
ここで、デバイス制御量分配部30は、撮像切替部6から撮像切替信号SSMを取得すると、当該撮像切替信号SSMが示す複眼撮像状態又は単眼撮像状態いずれかに応じて、増幅率制御量を変更するようになされている(詳しくは後述する)。
【0057】
またデバイス制御量分配部30は、現在撮像しているシーンの立体感を示す立体感検出信号SDMを立体感検出部18から取得した場合、当該立体感検出信号SDMに基づき増幅率制御量を変更するようにもなされている(詳しくは後述する)。
【0058】
このように単眼撮像状態において撮像装置1は、右目撮像ユニットRIF1を用いて被写体を撮像することにより取得した右目用画像データDSA2を記憶部4に記憶すると共に、当該右目用画像データDSA2に基づく右目用画像をモニタ7に表示するようになされている。
【0059】
[1−3.複眼撮像系の構成]
一方、撮像切替部6を介したユーザの操作により複眼撮像が指定された際、撮像装置1は複眼撮像系1Bを機能させる。
【0060】
複眼撮像状態において撮像装置1は、上述した右目用画像ユニットRIF1に加えて左目用画像ユニットLIF1を動作させることにより、右目用画像データDSA2に加えて左目用画像データDSB2を生成する。左目用画像ユニットLIF1は、右目用画像ユニットRIF1とほぼ同様に構成されている。
【0061】
被写体光は、左目用鏡筒13Bに設置されレンズドライバ8Aにより駆動されるズームレンズ9B、絞り10B及びフォーカスレンズ11Bを介して撮像素子12Bに照射される。
【0062】
左目用鏡筒13Bにはアクチュエータ40Bが取り付けられており、当該アクチュエータ40Bにより駆動される。
【0063】
システムコントローラ2は、アクチュエータ40Bと上述したアクチュエータ40Aとを制御し、図3に示す被写体側から撮像装置1を見た状態のように、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとを離接する方向へ移動させる。
【0064】
これによりシステムコントローラ2は、右目用鏡筒13Aにおける被写体光の光軸AXと左目用鏡筒13Bにおける被写体光の光軸AXとの間隔である光軸間隔ADを変更する。
【0065】
図3(A)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとが近接しているため、光軸間隔ADは狭くなっている一方、図3(B)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとが離隔しているため、光軸間隔ADは広くなっている。
【0066】
これによりシステムコントローラ2は、複眼撮像状態において被写体が写るシーンを撮像して得られた画像における立体感(詳細は後述する)を調整し得るようになされている。
【0067】
またシステムコントローラ2は、アクチュエータ40Aとアクチュエータ40Bとを制御し、図4に示す被写体側から撮像装置1を見た状態のように、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの先端部分が互いに離接するよう、当該右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bを回転させる。
【0068】
これによりシステムコントローラ2は、右目用鏡筒13Aにおける被写体光の光軸AXと左目用鏡筒13Bにおける被写体光の光軸AXとが成す角度である輻輳角CAを変更する。
【0069】
図4(A)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの被写体側の先端部分がそれほど内側に向かって回転していないため、輻輳角CAは狭くなっている。一方、図4(B)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの先端部分が内側に向かって大きく回転しているため、輻輳角CAは広くなっている。
【0070】
これにより撮像装置1は、複眼撮像状態の画像における立体感(詳細は後述する)を調整し得るようになされている。
【0071】
撮像素子12B(図1)は、タイミングジェネレータ14Bから送出されるタイミング信号により、電子シャッターのシャッタースピードを変化させて被写体光の光量を調整し、撮像面に形成された光学像の撮像結果をアナログ画像信号ASB1として送出する。
【0072】
このように左目撮像ユニットLIF1においては、システムコントローラ2がレンズドライバ8Bを制御して絞り10Bを、タイミングジェネレータ14Bを制御して撮像素子12Bを駆動することにより、被写体を撮像する際の露出を調整するようになされている。
【0073】
続いてシステムコントローラ2は、右目撮像ユニットRIF1と同様にアナログ信号処理部15B、アナログデジタル変換部16B及びデジタル信号処理部17Bを介して左目用画像データDSB2をメモリ5に送出する。
【0074】
複眼撮像状態においてメモリ5には、左目用画像データDSB2に加えて、右目撮像ユニットRIF1により取得した右目用画像データDSA2が格納されている。
【0075】
このように、複眼撮像状態において右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2がメモリ5に格納されると、システムコントローラ2は、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2をメモリ5から読み出して画像合成部19において合成して合成画像データDMを生成し、記憶部4に送出する。
【0076】
またシステムコントローラ2は、複眼撮像状態においては画像合成部19で生成された合成画像データDMをモニタ7に表示させることにより、現在撮像しているシーンが記憶部4に記憶される状態の映像をユーザに確認させるようになされている。
【0077】
ここで、露出制御を行う際、単眼撮像状態と同様に、システムコントローラ2(図2)における輝度差分値算出部33Bは、輝度基準値発生部32から送出された輝度基準信号SSBと、輝度検出部31Bから取得した輝度検出信号SDBBとの輝度差分値を算出する。続いて輝度差分値算出部33Bは、当該輝度差分値を示す輝度差分信号DSBBを露出制御量決定部34Bに送出する。
【0078】
露出制御量決定部34Bは、輝度差分信号DSBBにより示される輝度差分値に基づき露出制御量(EV値)を決定し、当該露出制御量を示す露出制御信号SCEBをデバイス制御量分配部30に送出する。
【0079】
デバイス制御量分配部30は、上述したレンズドライバ8A、タイミングジェネレータ14A及び増幅部20Aと同様に、露出制御信号SCEBにより示される露出制御量に基づき、レンズドライバ8Bを制御する絞り制御量、タイミングジェネレータ14Bを制御するシャッタースピード制御量及び増幅部20Bを制御する増幅率制御量を算出する。
【0080】
デバイス制御量分配部30は、上述した単眼撮像状態と同様の処理を行うことにより、絞り10B、撮像素子12B及び増幅部20Bを制御し、被写体光の光量を変化させると共に左目用画像データDSB2の明るさを変化させる。
【0081】
[1−4.単眼撮像状態の動作]
上述したように、システムコントローラ2は、撮像切替部6により指定される単眼撮像又は複眼撮像に応じて、増幅部20A及び20Bを制御する増幅率制御量を変更するようになされている。
【0082】
システムコントローラ2は、撮像切替部6により単眼撮像が指定された場合、図5に示すプログラム線図のように、露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。因みに図5においては、単眼撮像状態の増幅率の変化だけでなく、複眼撮像状態の増幅率の変化も合わせて図示している。
【0083】
以下では、露出制御量を第1制御量EV1から第2制御量EV2まで変化させる、すなわち暗いシーンの撮像(暗所撮像)から明るいシーンの撮像(明所撮像)へ移るに従い右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げていくよう制御する場合について説明する。第1制御量EV1においては、増幅率は18[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0084】
第1制御量EV1から露出制御量が大きくなっていくと、まず変化点CP1から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が18[dB]から0[dB]へ低下していく。因みに図5においては、縦軸の上方に向かうほど増幅率が低下するように記載している。
【0085】
続いて変化点CP2からさらに露出制御量が大きくなると、既に増幅率は0[dB]となっているため、変化点CP3に向かって徐々にシャッタースピードが1/60[秒]から1/100[秒]へ変化していくことにより、シャッタースピードが速くなっていく。
【0086】
その後変化点CP3から変化点CP4に向かって、徐々に絞りがF1.8からF4.0へ変化してくことにより、絞りが絞られていく。
【0087】
変化点CP4から変化点CP5にかけては、徐々にシャッタースピードが1/100[秒]から1/500[秒]へ変化していくことにより、シャッタースピードがさらに速くなっていく。
【0088】
変化点CP5から第2制御量EV2にかけては、徐々に絞りがF4.0からF8.0へ変化していくことにより、さらに絞りが絞られていく。
【0089】
このように、単眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、暗所撮像を行っており露出制御量が最も小さいとき(すなわち第1制御量EV1)、増幅率を18[dB]とする。さらにシステムコントロータ2は、その増幅率18[dB]を最大値(増幅率最大値とも呼ぶ)として、その後露出制御量が大きくなるに従い増幅率を小さくしていくことにより、右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げて暗くしていくようになされている。
【0090】
[1−5.複眼撮像状態の動作]
一方システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定された場合、単眼撮像の場合とは異なるプログラム線図に従って増幅率制御量を変更するようになされている。
【0091】
さらにシステムコントローラ2は、現在撮像しているシーンにおける立体感にも応じて、異なるプログラム線図に従って増幅率制御量を変更するようにもなされている。このため、以下ではまず立体感の検出方法について説明する。
【0092】
[1−5−1.立体感の検出]
図6(A)に示すように、立体感が小さいシーンの場合、撮像装置1に対して奥側に位置する奥側被写体BOと、手前側に位置する手前側被写体FOとが近接している。このように、立体感が小さいシーンとは、奥側被写体BOと手前側被写体FOとの奥行き差が小さいシーンのことを指している。
【0093】
この場合、右目用画像データDSA2により示される右目用画像RYPと左目用画像データDSB2により示される左目用画像LYPとにおいては、それぞれ奥側被写体BOと手前側被写体FOとの位置ずれが小さくなっている。
【0094】
一方図6(B)に示すように、立体感が大きいシーンの場合、立体感が小さいシーンと比較して、奥側被写体BOと手前側被写体FOとが離隔している。このように、立体感が大きいシーンとは、奥側被写体BOと手前側被写体FOとの奥行き差が大きいシーンのことを指している。
【0095】
この場合、立体感が小さいシーンと比較して、右目用画像RYPと左目用画像LYPとにおいては、それぞれ奥側被写体BOと手前側被写体FOとの位置ずれが大きくなっている。
【0096】
立体感検出部18(図1)は、メモリ5から右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2を読み出して、現在のシーンの立体感の検出を行う。
【0097】
具体的に立体感検出部18は、右目用画像RYPと左目用画像LYPとに対し、例えば縦方向8画素×横方向8画素等の一定の領域ごとにマッチングを取る。これにより立体感検出部18は、図7(A)に示すように、右目用画像RYPの奥側被写体BOと左目用画像LYPの奥側被写体BOとの視差を示す複数の奥側視差ベクトルBDISを検出する。
【0098】
続いて立体感検出部18は、検出した複数の奥側視差ベクトルBDISのうちからベクトル量が最も小さい視差ベクトルを、奥側最小視差ベクトルSBDISとして選択する。
【0099】
さらに立体感検出部18は、右目用画像RYPの手前側被写体FOと左目用画像LYPの手前側被写体FOとの視差を示す複数の手前側視差ベクトルFDISを検出する。
【0100】
続いて立体感検出部18は、検出した複数の手前側視差ベクトルFDISうちからベクトル量が最も大きい視差ベクトルを、手前側最大視差ベクトルBFDISとして選択する。
【0101】
その後立体感検出部18は、奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分を取ることにより、差分ベクトルDDIS1を算出する。
【0102】
図7(B)に示したように立体感が大きいシーンの場合、上述と同様にして算出された差分ベクトルDDIS2は、図7(A)の立体感が小さいシーンにおける差分ベクトルDDIS1と比較して大きくなっている。
【0103】
このように立体感検出部18は、立体感が小さいシーンの場合は奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分が小さいため、小さい差分ベクトルDDIS1を検出する。
【0104】
これに対し立体感が大きいシーンの場合、奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分が大きいため、立体感検出部18は、立体感が小さいシーンと比較して大きい差分ベクトルDDIS2を検出する。
【0105】
このように立体感検出部18は、差分ベクトルの大きさを立体感の大きさとして検出する。立体感検出部18は、このように算出した差分ベクトルの絶対値を、シーンの立体感を表す立体感検出値とし、当該立体感検出値を立体感検出値SDMとしてシステムコントローラ2(図2)におけるデバイス制御量分配部30に送出するようになされている。
【0106】
[1−5−2.立体感が大きい場合のプログラム線図]
システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が大きいと検出された場合、図5に示したプログラム線図のように露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。
【0107】
以下では、上述した単眼撮像状態と同様に、露出制御量を第1制御量EV1から第2制御量EV2まで変化させる、すなわち暗所撮像から明所撮像へ移るに従い右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2の輝度レベルを下げていくよう制御する場合について説明する。
【0108】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最大値に達しており、立体感が最大である状態とする。第1制御量EV1においては、増幅率は12[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0109】
第1制御量EV1から露出制御量を大きくしていくと、まず変化点CP10から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が12[dB]から0[dB]へ低下していく。その後変化点CP2から第2制御量EV2にかけては、上述した単眼撮像状態と同様のプログラム線図となっているため説明を省略する。
【0110】
このように複眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、立体感が最大である場合、露出制御量が小さい状態における増幅率(12[dB])を増幅率最大値として、その後露出制御量が大きくなるにつれて増幅率を低下させていく。
【0111】
このため、複眼撮像状態に立体感が最大である場合における増幅率最大値(12[dB])は、単眼撮像状態における増幅率最大値(18[dB])よりも小さくなっている。
【0112】
[1−5−3.立体感が小さい場合のプログラム線図]
システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が小さいと検出された場合、図5に示したプログラム線図のように露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。
【0113】
以下の説明においては、立体感検出値が所定の最小値に達しており、立体感が最小である状態とする。第1制御量EV1においては、増幅率は9[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0114】
第1制御量EV1から露出制御量を大きくしていくと、まず変化点CP20から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が9[dB]から0[dB]へ低下していく。その後変化点CP20から第2制御量EV2にかけては、上述した単眼撮像状態と同様のプログラム線図となっているため説明を省略する。
【0115】
このように複眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、立体感が最小である場合、露出制御量が小さい状態における増幅率(9[dB])を増幅率最大値として、その後露出制御量が大きくなるにつれて増幅率を低下させていく。
【0116】
このため、複眼撮像状態において立体感が最小である場合における増幅率最大値(9[dB])は、単眼撮像状態における増幅率最大値(18[dB])よりも小さくなっている。
【0117】
以上においては複眼撮像状態における立体感が最小である場合と最大である場合とについて説明した。これに対し立体感が最小と最大との間であった場合、システムコントローラ2は、9[dB]と12[dB]との間である複眼撮像状態増幅率範囲PGR(図5)の範囲内である、例えば10[dB]等に増幅率最大値を設定する。
【0118】
また複眼撮像状態においては、立体感が最小である場合又は最大である場合のいずれにおいても、増幅率最大値はそれぞれ9[dB]と12[dB]となっているため、単眼撮像状態の増幅率最大値である18[dB]よりも小さくなっている。
【0119】
ところで、上述したようにデジタル信号処理部17A及び17B(図2)のノイズ除去部23A及び23Bにおいては、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対しノイズ除去処理を行う。これによりノイズ除去部23A及び23Bは、記憶部4に記憶される右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2に含まれるノイズを低減する。
【0120】
しかしながらそのようなノイズ除去を行っても、ノイズ除去部23A及び23Bはノイズを完全には除去できない可能性がある。このため、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2にはノイズが残留する場合がある。
【0121】
特に暗所撮像時においては、デジタル画像信号DSA1及びDSB1を大きく増幅することにより画像表示の明るさを保つため、当該デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれるノイズも増幅されてしまう。
【0122】
このためノイズ除去部23A及び23Bは、そのような増幅されたノイズを除去しきれないことがある。従って、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2には残留ノイズが発生してしまうことがある。
【0123】
ここで、単眼撮像を行うことにより記憶された右目用画像データDSA2を所定の表示装置において視聴者が視聴する場合は、仮に当該右目用画像データDSA2にノイズが含まれていたとしても、表示装置に表示される画像は右目用画像データDSA2に基づく画像のみであるため、視聴者は左右の目で同じノイズを認識する。
【0124】
このため単眼撮像を行うことにより記憶された右目用画像データDSA2を視聴する場合、視聴者は左目用画像データDSB2を視聴しないため、左目用画像データDSB2と右目用画像データDSA2との画像の差によるちらつきを感じることはない。
【0125】
これに対し、複眼撮像を行うことにより記憶された合成画像データDMを所定の表示装置において視聴者が立体視で視聴する場合は、仮に当該合成画像データDMにノイズが含まれていると、視聴者は左右の目で、左右の画像にそれぞれ残留し時間経過とともにそれぞれランダムに変化するノイズを別々に視認する。
【0126】
このため合成画像データDMに含まれる左目用画像データDSB2と右目用画像データDSA2とに差が生じることとなり、視聴者は、視聴している画面がちらついたり、ノイズが奥行き方向に分布をもって見えたりすることになる。
【0127】
よって、仮に単眼撮像状態の増幅率最大値(18[dB])を、そのまま複眼撮像状態に適用してしまうと、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれる残留ノイズの影響で、視聴者が合成画像データDMを視聴する際に大きなちらつきが発生してしまうこととなる。すなわち、複眼撮像状態においては、単眼撮像状態よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0128】
このため撮像装置1は、複眼撮像状態の増幅率最大値を、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも小さくするようになされている。
【0129】
これにより撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における増幅率最大値までデジタル画像信号DSA1及びDSB1を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0130】
また図5に示したように、複眼撮像状態においては、立体感が最大である場合の増幅率最大値(12[dB])の方が、立体感が最小である場合の増幅率最大値(9[dB])よりも大きくなっている。
【0131】
ここで、撮像しているシーンの立体感が大きい場合、合成画像データDMに多少の残留ノイズが含まれていても、視聴者は、奥行方向に分布を持って見えるノイズの影響をあまり受けることなく、立体感を損なわずに視聴することができる。
【0132】
これに対し、撮像しているシーンの立体感が小さい場合、合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者は、奥行方向に分布を持つノイズに画像の立体感が埋もれてしまうように視認してしまうため、立体感を感じにくくなってしまう。
【0133】
すなわち、立体感が小さい場合は大きい場合よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0134】
このため撮像装置1は、複眼撮像状態において、立体感が最小である場合の増幅率最大値(9[dB])を、立体感が最大である場合の増幅率最大値(12[dB])よりも小さくするようになされている。
【0135】
これにより撮像装置1は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、立体感が小さい場合の増幅率最大値までデジタル画像信号DSA1及びDSB1を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0136】
[1−5−4.立体感の変化に対する増幅率の変化]
ところで上述したように、システムコントローラ2は、複眼撮像状態においては増幅率最大値を立体感に応じて9[dB]から12[dB]まで複眼撮像状態増幅率範囲PGR(図5)の範囲内で変化させる。
【0137】
以下では、複眼撮像状態における立体感検出値の変化に対する増幅率の変化について説明する。図8に示す立体感検出値と増幅率との関係のように、増幅率は、立体感が最小である場合の9[dB]から立体感が最大である場合の12[dB]へ向けて、増幅率線GLに沿って徐々に大きくなっていく。
【0138】
ここで、例えば現在の増幅率が点P0にある状態で、立体感検出値が大きくなっていく場合、デバイス制御量分配部30は、立体感検出値が点P1に達するまでは増幅率を増加させず、点P1に達すると閾値線SHL1に沿うように増加させていく。
【0139】
同様に、増幅率が点P0にある状態で、立体感検出値が小さくなっていく場合、デバイス制御量分配部30は、立体感検出値が点P2に達するまでは増幅率を減少させず、点P2に達すると閾値線SHL2に沿うように減少させていく。
【0140】
このように立体感検出値が所定の値から変化した場合、デバイス制御量分配部30は、増幅率線GLにおける現在の地点から立体感検出値が閾値線SHL1及びSHL2までの距離である立体感閾値SHMだけ変化して閾値線SHL1又はSHL2に達するまでは、増幅率を変化させないようになされている。
【0141】
このように撮像装置1は、立体感検出値が多少変化しただけでは増幅率を変化させないようにすることにより、視聴者が画像を視聴する際にシーンの立体感が少しでも変化する度に画面の明るさが変化することを防ぎ、自然な画面表示をさせることができる。
【0142】
また図8に示したように、閾値線SHL1及びSHL2は、立体感検出値が大きくなるにつれて徐々に増幅率線GLに対してそれぞれ右方向及び左方向に広がるように設定されている。このため、立体感検出値が大きくなるにつれて立体感閾値SHMは大きくなっていく。
【0143】
このように撮像装置1は、立体感が小さい場合は、立体感が大きい場合よりも立体感検出値の小さな変化に応じて増幅率を変化させることにより、立体感の小さな変化に応じて画面の明るさを細かく変化させることができる。
【0144】
また撮像装置1は、立体感が大きい場合、ある程度立体感検出値が変化しなければ増幅率を変化させないようになされている。
【0145】
立体感が大きい場合は、立体感が小さい場合と比べて増幅率が大きいため、残留ノイズも大きくなっている。
【0146】
このように立体感が大きい状態において、立体感の小さな変化に応じて増幅率を細かく変化させると、表示される画像に含まれるノイズが細かく変化してしまうため、視聴者が画像を視聴する際にちらつきを感じやすくなってしまう。
【0147】
これに対し撮像装置1は、立体感が大きい場合、ある程度立体感検出値が変化しなければ増幅率を変化させないため、視聴者が画像を視聴する際にちらつきを感じにくくすることができる。
【0148】
[1−6.単眼撮像状態と複眼撮像状態との切り替え]
上述したように、撮像装置1は、撮像切替部6を操作されることにより単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えるようになされている。
【0149】
本実施の形態においてシステムコントローラ2は、現在単眼撮像を行っている状態において、操作部3を介したユーザの操作により同時表示モードが選択されると、左目撮像ユニットLIF1を動作させることにより、右目用画像データDSA2に加えて左目用画像データDSB2をメモリ5に格納する。
【0150】
またシステムコントローラ2は、メモリ5から右目用画像データDSA2を読み出してモニタ7に送出することにより、図9に示すように右目用画像RYPをモニタ7の右部分に表示させる。
【0151】
さらにシステムコントローラ2は、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2をメモリ5から読み出して画像合成部19において合成することにより、合成画像データDMを生成する。
【0152】
システムコントローラ2は、画像合成部19を制御して合成画像データDMをモニタ7に送出させることにより、合成画像DP(図9)をモニタ7の左部分に表示させる。
【0153】
このようにシステムコントローラ2は、単眼撮像状態において同時表示モードが選択されると、右目用画像RYP及び合成画像DPを同一画面に並べて表示するようになされている。
【0154】
一方システムコントローラ2は、複眼撮像状態において同時表示モードが選択されると、メモリ5から右目用画像データDSA2及び合成画像データDMを読み出してモニタ7に送出することにより、右目用画像RYP(図9)をモニタ7の右部分に、合成画像DPを左部分にそれぞれ表示させる。
【0155】
このようにシステムコントローラ2は、複眼撮像状態においても、同時表示モードが選択されると、右目用画像RYP及び合成画像DPをモニタ7の同一画面に並べて表示するようになされている。
【0156】
上述したように、複眼撮像状態においては単眼撮像状態に比べて増幅率が小さく設定されるため、ユーザが単眼撮像を行っている状態から複眼撮像状態に切り替えると、生成された合成画像データDMに基づき視聴者が視聴する画面表示が暗くなりすぎてしまう可能性がある。
【0157】
また逆に、単眼撮像状態においては、複眼撮像状態に比べて増幅率が高く設定されるため、ユーザが複眼撮像を行っている状態から単眼撮像状態に切り替えると、生成された右目用画像RYPに基づき視聴者が視聴する画面表示が明るくなりすぎてしまう可能性がある。
【0158】
これに対し本実施の形態によれば、ユーザが同時表示モードを選択した場合、システムコントローラ2は、単眼撮像状態における右目用画像RYPと複眼撮像状態における合成画像DPとの両方の画像を同時にモニタ7に表示する。
【0159】
これにより撮像装置1は、ユーザが単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えた場合に生成した画像データにより示される画面表示を、予めユーザに提示することができる。
【0160】
このためユーザは、現在の撮像状態を切り替えるとどのような画面表示になるかを、撮像状態を切り替える以前に認識することができるため、画面表示が適切な明るさとなるように撮像装置1における増幅率を調整することができる。
【0161】
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において、撮像装置1は、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも複眼撮像状態の増幅率最大値を小さくするようにした。
【0162】
単眼撮像により生成された右目用画像データDSA2に残留ノイズが含まれていたとしても、視聴者は左右の目で同じ残留ノイズを視認するため、視聴者はちらつきを感じることはない。
【0163】
一方複眼撮像により生成された合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者の左右の目には異なる残留ノイズが視認されるため、視聴者はちらつきを感じてしまう。
【0164】
これに対し本実施の形態においては、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも複眼撮像状態の増幅率最大値を小さくするようにした。このため、撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における増幅率最大値まで画像信号を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0165】
また撮像装置1は、複眼撮像状態において、立体感が大きい場合の増幅率最大値よりも立体感が小さい場合の増幅率最大値を小さくするようにした。
【0166】
撮像しているシーンの立体感が大きい場合、合成画像データDMに多少の残留ノイズが含まれていても、視聴者は、奥行方向に分布を持って見えるノイズの影響をあまり受けることなく、立体感を損わずに視聴することができる。
【0167】
一方撮像しているシーンの立体感が小さい場合、合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者は、奥行方向に分布を持つノイズに画像の立体感が埋もれてしまうように視認してしまうため、立体感を感じにくくなってしまう。
【0168】
これに対し本実施の形態においては、複眼撮像状態において、立体感が大きい場合の増幅率最大値よりも立体感が小さい場合の増幅率最大値を小さくするようにした。このため撮像装置1は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、立体感が小さい場合の増幅率最大値まで画像信号を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0169】
以上の構成によれば、撮像装置1は、撮像素子12Aで被写体を撮像することにより得られたアナログ画像信号ASA1を増幅部20Aにおいて所定の増幅率最大値以下の増幅率で増幅する右目撮像ユニットRIF1を用いる単眼撮像状態か、被写体を右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1で撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置1は、複眼撮像により被写体を撮像する際は、単眼撮像により被写体を撮像する際よりも、システムコントローラ2の制御により増幅率最大値を小さくするようにした。
【0170】
このため撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えないように、複眼撮像状態における画像信号の増幅を抑えることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、暗所撮像時の画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成することができる。
【0171】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.撮像装置の構成]
図1に示す第2の実施の形態による撮像装置101は、システムコントローラ102、デジタル信号処理部117A及び117Bが第1の実施の形態による撮像装置1におけるシステムコントローラ2、デジタル信号処理部17A及び17Bと異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0172】
図10に示す第2の実施の形態によるシステムコントローラ102は、輪郭補正量制御部50が追加されている点が第1の実施の形態によるシステムコントローラ2と異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0173】
また第2の実施の形態によるデジタル信号処理部117A及び117Bは、輪郭補正部51A及び51Bが追加されている点が第1の実施の形態によるデジタル信号処理部17A及び17Bと異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0174】
撮像装置101(図1)は、撮像装置1と同様に、単眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF2を含む単眼撮像系101Aの構成を動作させる一方、複眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF2及び左目撮像ユニットLIF2を含む複眼撮像系1Bの構成を動作させる。
【0175】
輪郭補正部51A及び51B(図10)は、輪郭補正信号SCCA及びSCCBを輪郭補正量制御部50から受信することにより、輪郭の強調をどの程度行うかを表す輪郭補正量を取得し、当該輪郭補正量に応じて輪郭補正処理を行うようになされている。
【0176】
輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6から撮像切替信号SSMを取得すると、当該撮像切替信号SSMが示す複眼撮像状態又は単眼撮像状態いずれかに応じて、輪郭補正量を変更する。
【0177】
また輪郭補正量制御部50は、立体感検出信号SDMを立体感検出部18から取得すると、当該立体感検出信号SDMに基づき輪郭補正量を変更する。
【0178】
因みに輪郭補正量制御部50は、操作部3を介したユーザの操作に応じて、輪郭補正量を制御するようにもなされている。
【0179】
右目撮像ユニットRIF2(図1)により被写体の撮像が行われると、デジタル信号処理部117Aは、増幅部20A、ホワイトバランス調整部21A及びガンマ補正部22Aを介して、デジタル画像信号DSA1を輪郭補正部51Aに入力する。
【0180】
輪郭補正部51Aは、輪郭補正量制御部50の制御に基づき、デジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正処理を施し、ノイズ除去部23Aに送出する。
【0181】
ノイズ除去部23Aは、デジタル画像信号DSA1に含まれるノイズを低減し、右目用画像データDSA2としてメモリ5に送出する。
【0182】
一方左目撮像ユニットLIF2(図1)により被写体の撮像が行われると、デジタル信号処理部117Bはデジタル信号処理部117Aと同様に、増幅部20B、ホワイトバランス調整部21B及びガンマ補正部22Bを介して、デジタル画像信号DSB1を輪郭補正部51Bに入力する。
【0183】
輪郭補正部51B及びノイズ除去部23Bは、輪郭補正部51A及びノイズ除去部23Aと同様の処理を実行し、左目用画像データDSB2をメモリ5に送出する。
【0184】
[2−2.輪郭補正処理]
[2−2−1.単眼撮像状態の輪郭補正処理]
撮像切替部6を介したユーザの操作により単眼撮像が指定された場合、輪郭補正部51Aは、以下に述べる単眼撮像状態の輪郭補正処理を実行することにより、デジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正処理を行う。
【0185】
輪郭補正量制御部50は、輪郭補正量を単眼輪郭補正値に設定し、当該輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCGAを輪郭補正部51Aに送出する。
【0186】
輪郭補正部51Aは、デジタル画像信号DSA1から、図11に示す輝度信号SBAを抽出する。
【0187】
輪郭補正処理を行う以前の当該輝度信号SBAは、図11に示したように、デジタル画像信号DSA1の所定の1ラインにおける画素位置の変化に対し、なだらかに信号レベルが変化している。このような輝度信号を含む画像信号により示される画像は、輪郭がなだらかに変化する画像となる。
【0188】
輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAに対し所定の信号処理を行い、当該輝度信号SBAの高周波成分を補正信号SCAとして抽出する。
【0189】
また輪郭補正部51Aは、単眼輪郭補正値に応じた輪郭補正増幅率で補正信号SCAを増幅し、増幅補正信号SGCAを生成する。ここで輪郭補正部51Aは、輪郭補正量制御部50から取得した輪郭補正信号SCCAにより示される輪郭補正量が大きい(すなわち輪郭を強調する度合が大きい)ほど、輪郭補正増幅率を大きくするようになされている。
【0190】
さらに輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAと増幅補正信号SGCAとを加算し、補正輝度信号SCBAを生成する。当該補正輝度信号SCBAは輝度信号SBAと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0191】
このように輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAから抽出された補正信号SCAを輪郭補正量に応じた輪郭補正増幅率で増幅した増幅補正信号SGCAを、輝度信号SBAに加算することにより、デジタル画像信号DSA1に含まれる輝度信号SBAを補正後輝度信号SCBAに変換する。
【0192】
これにより輪郭補正部51Aは、デジタル画像信号DSA1に基づき表示される画像の輪郭を強調するよう補正することができる。
【0193】
[2−2−2.複眼撮像状態の輪郭補正処理]
一方、撮像切替部6(図10)を介したユーザの操作により複眼撮像が指定された場合、輪郭補正部51A及び51Bは、以下に述べる複眼撮像状態の輪郭補正処理を実行することにより、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対し輪郭補正処理を行う。複眼撮像状態において輪郭補正量制御部50は、立体感に応じて輪郭補正量を調整する。
【0194】
[2−2−2−1.立体感が大きい場合の輪郭補正処理]
輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が大きいと検出された場合、単眼輪郭補正値よりも小さな輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCCA及びSCCBを、輪郭補正部51A及び51Bそれぞれに送出する。
【0195】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最大値に達しており、立体感が最大である状態とする。このとき輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態における最大の輪郭補正量を表す複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とする。
【0196】
輪郭補正部51A及び51Bは、デジタル画像信号DSA1及びDSB1から図12に示す輝度信号SBBを抽出して、当該輝度信号SBBに対し所定の信号処理を行い、当該輝度信号SBBの高周波成分を補正信号SCBとして抽出する。
【0197】
輪郭補正部51A及び51Bは、複眼輪郭補正量最大値に応じて、単眼撮像状態よりも小さく、且つ複眼撮像状態においては最大となる輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅することにより、増幅補正信号SGCB1を生成する。
【0198】
図12に示すように、増幅補正信号SGCB1は増幅補正信号SGCAと比較して、振幅が小さくなっている。
【0199】
続いて輪郭補正部51A及び51Bは、輝度信号SBBに増幅補正信号SGCB1を加算し、補正輝度信号SCBB1を生成する。当該補正輝度信号SCBB1は輝度信号SBBと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0200】
また補正輝度信号SCBB1は、単眼撮像状態における補正輝度信号SCBAと比較して、信号レベルの変化が緩やかになっている。このため輪郭補正部51A及び51Bは、複眼撮像状態に立体感が最大である場合、単眼撮像状態と比較してデジタル画像信号DSA1及びDSB1に対する輪郭補正の度合を小さくするようになされている。
【0201】
このように輪郭補正部51A及び51Bは、立体感が最大である場合、複眼輪郭補正量最大値に応じて輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅する。
【0202】
また、複眼撮像状態に立体感が最大である場合の輪郭補正量は複眼輪郭補正量最大値であり、単眼撮像状態における輪郭補正量である単眼輪郭補正値よりも小さくなっている。
【0203】
[2−2−2−2.立体感が小さい場合の輪郭補正処理]
これに対し、輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が小さいと検出された場合、単眼輪郭補正値よりも小さく、且つ複眼輪郭補正量最大値よりも小さい輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCCA及びSCCBを、輪郭補正部51A及び51Bそれぞれに送出する。
【0204】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最小値に達しており、立体感が最小である状態とする。このとき輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態における最小の輪郭補正量を表す複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とする。
【0205】
この場合輪郭補正部51A及び51Bは、複眼輪郭補正量最小値に応じて、単眼撮像状態よりも小さく、且つ複眼撮像状態においては最小となる輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅することにより、増幅補正信号SGCB2を生成する。
【0206】
図12に示すように、増幅補正信号SGCB2は、増幅補正信号SGCA及び増幅補正信号SGCB1のどちらよりも振幅が小さくなっている。
【0207】
続いて輪郭補正部51A及び51Bは、輝度信号SBBに増幅補正信号SGCB2を加算し、補正輝度信号SCBB2を生成する。当該補正輝度信号SCBB2は輝度信号SBBと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0208】
また補正輝度信号SCBB2は、複眼撮像状態における補正輝度信号SCBB1よりも、さらに信号レベルの変化が緩やかになっている。
【0209】
このため輪郭補正部51A及び51Bは、複眼撮像状態に立体感が最大である場合と比較して、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対する輪郭補正の度合をさらに小さくするようになされている。
【0210】
このように輪郭補正部51A及び51Bは、立体感が最小である場合、複眼輪郭補正量最小値に応じて輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅するようになされている。
【0211】
また、複眼撮像状態に立体感が最小である場合における輪郭補正量は複眼輪郭補正量最小値であり、単眼輪郭補正値よりも小さく、且つ複眼輪郭補正量最大値よりも小さくなっている。
【0212】
以上においては複眼撮像状態における立体感が最小である場合と最大である場合とについて説明した。これに対し立体感が最小と最大との間であった場合、輪郭補正量制御部50は、複眼輪郭補正量最小値と複眼輪郭補正量最大値との間である複眼撮像状態輪郭補正量範囲の範囲内に輪郭補正量を設定する。
【0213】
上述したように輪郭補正部51A及び51Bは、デジタル画像信号DSA1及びDSB1から輝度信号SBBを抽出した後に、当該輝度信号SBBの高周波成分を補正信号SCBとして抽出し、当該補正信号SCBを増幅する。
【0214】
このため輪郭補正部51A及び51Bは、補正信号SCBを増幅する際、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれていたノイズもまた増幅してしまうこととなる。
【0215】
よって、ノイズ除去部23A及び23Bはノイズを完全には除去できない可能性がある。このため、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2にはノイズが残留する場合がある。
【0216】
ここで、上述したように複眼撮像状態においては、単眼撮像状態よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0217】
このため輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態の輪郭補正量を、単眼撮像状態の輪郭補正量よりも小さくするようになされている。
【0218】
これにより撮像装置101は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における複眼輪郭補正量最大値まで輪郭補正量を抑えることで、デジタル画像信号DSA1及びDSB1の輪郭補正処理を行い解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0219】
また、上述したように、立体感が小さい場合は大きい場合よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0220】
これに対し、複眼撮像状態において輪郭補正制御部50は、立体感が最大である場合には複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とし、一方立体感が最小である場合には当該複眼輪郭補正量最大値よりも小さい複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とするようにした。
【0221】
これにより撮像装置101は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、輪郭補正量を抑えることで、デジタル画像信号DSA1及びDSB1の輪郭補正処理を行い解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0222】
[2−3.立体感の変化に対する輪郭補正量の変化]
ところで上述したように、システムコントローラ102は、複眼撮像状態においては、立体感に応じて複眼輪郭補正量最小値から複眼輪郭補正量最大値まで複眼撮像状態輪郭補正量範囲PCR(図13)の範囲内で輪郭補正量を変化させるようになされている。
【0223】
以下では、複眼撮像状態における立体感検出値の変化に対する輪郭補正量の変化について説明する。図13に示す立体感検出値と輪郭補正量との関係のように、輪郭補正量は、立体感が最小である場合の複眼輪郭補正量最小値から立体感が最大である場合の複眼輪郭補正量最大値へ向けて、輪郭補正線CCLに沿って徐々に大きくなっていく。
【0224】
ここで、例えば現在の輪郭補正量が点P10にある状態で、立体感検出値が大きくなっていく場合、輪郭補正量制御部50は、立体感検出値が点P11に達するまでは輪郭補正量を増加させず、点P11に達すると閾値線SHL11に沿うように増加させていく。
【0225】
同様に、輪郭補正量が点P10にある状態で、立体感検出値が小さくなっていく場合、輪郭補正量制御部50は、立体感検出値が点P12に達するまでは輪郭補正量を減少させず、点P12に達すると閾値線SHL12に沿うように減少させていく。
【0226】
このように立体感検出値が所定の値から変化した場合、輪郭補正量制御部50は、輪郭補正線CCLにおける現在の地点から閾値線SHL11及びSHL12までの距離である立体感閾値SHMだけ立体感検出値が変化して閾値線SHL11又はSHL12に達するまでは、輪郭補正量を変化させないようになされている。
【0227】
このように撮像装置101は、立体感検出値が多少変化しただけでは輪郭補正量を変化させないようにすることにより、視聴者が画像を視聴する際にシーンの立体感が少しでも変化する度に画面に映る被写体の輪郭の見え方が変化することを防ぎ、自然な画面表示をさせるようにすることができる。
【0228】
[2−4.単眼撮像状態と複眼撮像状態との切り替え]
第1の実施の形態と同様に、撮像装置101は、操作部3を操作されることにより同時表示モードが選択されるようになされている。
【0229】
システムコントローラ102は、図14に示すように右目用画像RYPをモニタ7の右部分に表示させると共に合成画像DPを左部分に表示させる。このとき、合成画像DPよりも右目用画像RYPの方が輪郭が強調された画像となっている。
【0230】
これにより撮像装置101は、ユーザが単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えた場合に生成した画像データにより示される画面表示を、予めユーザに提示することができる。
【0231】
このためユーザは、現在の撮像状態を切り替えるとどのような画面表示になるかを、撮像状態を切り替える以前に認識することができるため、画面に表示される被写体に適切な輪郭補正がなされるように撮像装置101における輪郭補正量を調整することができる。
【0232】
[2−5.動作及び効果]
以上の構成において、撮像装置101は、単眼撮像状態よりも複眼撮像状態の輪郭補正量を小さくするようにした。
【0233】
このため撮像装置101は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に輪郭補正量を抑えて輪郭補正処理を行うことにより、解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0234】
また、複眼撮像状態において撮像装置101は、立体感が最大である場合には複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とし、一方立体感が最小である場合には当該複眼輪郭補正量最大値よりも小さい複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とするようにした。
【0235】
このため撮像装置101は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に輪郭補正量を抑えて輪郭補正処理を行うことにより、解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0236】
以上の構成によれば、撮像装置101は、撮像素子12Aで被写体を撮像することにより得られたデジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正部51Aにおいて所定の輪郭補正量で輪郭補正処理を行う右目撮像ユニットRIF1を用いる単眼撮像状態か、被写体を右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1で撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置101は、複眼撮像により被写体を撮像する際は、単眼撮像により被写体を撮像する際よりも、システムコントローラ2の制御により輪郭補正量を小さくするようにした。
【0237】
このため撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えないように、複眼撮像状態において画像信号に対する輪郭補正処理の度合を抑えることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成することができる。
【0238】
<3.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、右目用画像RYPと左目用画像LYPとに基づき差分ベクトルDDISを求めることにより、立体感を検出する場合について述べた。
【0239】
本発明はこれに限らず、光軸間隔に基づき、光軸間隔が広い場合は立体感が大きいと判断すると共に、当該光軸間隔が狭い場合は立体感が小さいと判断するようにしても良い。この場合、図3に示したように、右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bに、例えばリニアエンコーダでなる光軸間隔測定センサADSを取り付けることにより、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの間隔(すなわち被写体光の光軸間隔)を算出すれば良い。
【0240】
また、輻輳角に基づき、輻輳角が広い場合は立体感が大きいと判断すると共に、当該輻輳角が狭い場合は立体感が小さいと判断するようにしても良い。この場合、図4に示したように右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bに、例えばリニアエンコーダでなる輻輳角測定センサCASを2個取り付け、右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bの先端部分の間隔と後端部分の間隔との差分を算出することにより輻輳角を算出すれば良い。
【0241】
さらに、光軸間隔と輻輳角とを組み合わせ、例えば光軸間隔が広くなり且つ輻輳角が広くなった場合は立体感がさらに大きくなったと算出するようにしても良い。
【0242】
また、光軸間隔測定センサ及び輻輳角測定センサは、リニアエンコーダに限らず、例えばロータリーエンコーダやポテンショメータ等、種々のセンサにより光軸間隔及び輻輳角を算出するようにして良い。
【0243】
さらに上述した実施の形態においては、右目撮像ユニット及び左目撮像ユニットを有する撮像装置1について述べた。
【0244】
本発明はこれに限らず、例えば3つ以上の撮像ユニットを有する撮像装置において本発明を適用しても良い。この場合も、1つの撮像ユニットで撮像する場合よりも2つ以上の撮像ユニットで撮像した場合において、画像信号に対する増幅率又は輪郭補正量を下げることが望ましい。
【0245】
さらに上述した実施の形態においては、デジタル信号処理部117A及び117Bに設けられた増幅部20A及び20Bにおいて増幅処理を行い、輪郭補正部51A及び51Bにおいて輪郭補正処理を行う場合について述べた。
【0246】
本発明はこれに限らず、例えばアナログ信号処理部115A及び115B等、デジタル信号処理部117A及び117B以外において増幅処理又は輪郭補正処理を行っても良い。
【0247】
さらに上述した実施の形態においては、同時表示モードのとき、左右に並べて右目用画像RYPと合成画像DPとをモニタ7に表示させる場合について述べた。
【0248】
本発明はこれに限らず、例えば現在単眼撮像を行っている際は右目用画像RYPを大きくモニタ7に表示し、当該右目用画像RYPの隅に重ねて合成画像DPを小さく表示させるなど、種々の方法で右目用画像RYPと合成画像DPとをモニタ7に表示させて良い。
【0249】
さらに上述した第2の実施の形態においては、輝度信号SBA又はSBBから補正信号SCA又はSCBを抽出し、当該補正信号SCA又はSCBを増幅して増幅補正信号SGCA又はSGCBとし、輝度信号SBA又はSBBに加算する場合について述べた。
【0250】
本発明はこれに限らず、増幅補正信号SGCA又はSGCBが所定の振幅以上大きくならないようリミットをかけ、本来の増幅補正信号SGCA又はSGCBよりもその振幅を小さくした上で、輝度信号SBA又はSBBに加算しても良い。
【0251】
この場合、リミットとする制限値を高く設定するほど、補正輝度信号は輝度信号に対し信号レベルが急峻に立ち上がることとなる。
【0252】
さらに上述した実施の形態においては、判別部としての撮像切替部6と、増幅率最大値制御部としてのデバイス制御量分配部30とによって、制御装置としてのシステムコントローラ2及び撮像切替部6を構成する場合について述べた。
【0253】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる判別部と、増幅率最大値制御部とによって制御装置を構成するようにしても良い。
【0254】
さらに上述した実施の形態においては、判別部としての撮像切替部6と、輪郭補正量制御部としての輪郭補正量制御部50とによって、制御装置としてのシステムコントローラ102及び撮像切替部6を構成する場合について述べた。
【0255】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる判別部と、輪郭補正量制御部とによって制御装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0256】
本発明は、複数の撮像素子からなる複数の撮像ユニットを有する撮像装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0257】
1、101……撮像装置、1A、101A……単眼撮像系、1B、101B……複眼撮像系、RIF……右目撮像ユニット、LIF……左目撮像ユニット、2、102……システムコントローラ、3……操作部、4……記憶部、5……メモリ、6……撮像切替部、7……モニタ、8……レンズドライバ、9……ズームレンズ、10……絞り、11……フォーカスレンズ、12……撮像素子、13……鏡筒、14……タイミングジェネレータ、15……アナログ信号処理部、16……アナログデジタル変換部、17、117……デジタル信号処理部、18……立体感検出部、19……画像合成部、20……増幅部、21……ホワイトバランス調整部、22……ガンマ補正部、23……ノイズ除去部、30……デバイス制御量分配部、31……輝度検出部、32……輝度基準値発生部、33……輝度差分値算出部、34……露出制御量決定部、40……アクチュエータ、50……輪郭補正量制御部、51……輪郭補正部。
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置、制御方法及び制御プログラムに関し、例えば単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えることが可能な撮像装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、左目用画像及び右目用画像を表示し視聴者に視認させることにより、表示した画像を立体視させる表示装置が普及してきている。
【0003】
また、そのような左目用画像及び右目用画像を表示する画像データを生成するために、撮像素子により被写体を撮像する撮像ユニットが複数設けられた撮像装置が用いられている。
【0004】
この撮像装置においては、被写体を撮像して生成した画像信号に補正処理を施すことにより、画像信号に基づき表示される画像の明るさや解像感を調整するものがある。
【0005】
このような撮像装置として、1つの撮像ユニットにより得られた画像信号の輝度レベルを基準とし、他の撮像ユニットにより得られた画像信号の増幅率を制御して基準と同一の輝度レベルになるように増幅することにより、それぞれの撮像ユニットの個体差を補正するものが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−154478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような撮像装置においては、撮像ユニットが出力した画像信号に含まれるノイズが多い場合、当該画像信号を補正する際にノイズが増幅されてしまい、その後ノイズ除去処理を行ってもノイズが残留してしまうことがある。
【0008】
単眼撮像した画像を表示装置において視聴する場合、視聴者は左右の目で同じノイズを視認するため、左目用画像と右目用画像との画像の差によるちらつきを感じることはない。
【0009】
ここで、画像信号に対し補正処理を施す際の補正値は、単眼撮像状態においては、画像の明るさ及び解像感と、ノイズとのバランスを取った値となっている。
【0010】
これに対し複眼撮像した画像を立体視で視聴する場合、視聴者は左右の目で、左右の画像にそれぞれ残留し時間経過とともにそれぞれランダムに変化するノイズを別々に視認する。
【0011】
特にこの場合、単眼撮像状態に対し最適化された補正値を用いているにも関わらず、視聴者が視認する左右の画像に差が生じることとなり、視聴者はちらつきを感じたり、ノイズが奥行き方向に分布を持つように見えたりすることがあり、画像の立体感を感じにくくなってしまう。
【0012】
このように撮像装置は、単眼撮像状態と複眼撮像状態とのいずれにも関わらず高品質な画像データを生成するということができない恐れがあった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替え可能な撮像装置において、高品質な画像データを生成し得る制御装置、制御方法及び制御プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明の制御装置においては、撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、判別部の判別結果に基づいて、画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御部とを設けるようにした。
【0015】
この制御装置では、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように画像信号の増幅を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0016】
さらに本発明の制御装置においては、撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、判別部の判別結果に基づいて、画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御部とを設けるようにした。
【0017】
この制御装置では、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように輪郭補正の度合を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように画像信号の増幅を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0019】
また本発明によれば、単眼撮像状態と複眼撮像状態とにおいてそれぞれの許容ノイズレベルを超えないように輪郭補正の度合を変化させることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成させることができる。
【0020】
かくして本発明は、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替え可能な撮像装置により高品質な画像データを生成し得る制御装置、制御方法及び制御プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1及び第2の実施の形態による撮像装置の全体構成を示す略線図である。
【図2】第1の実施の形態によるデジタル信号処理部及びシステムコントローラの機能的構成を示す略線図である。
【図3】光軸間隔の変化を示す略線図である。
【図4】輻輳角の変化を示す略線図である。
【図5】露出制御量と電子シャッター制御量、絞り制御量及びゲイン制御量との関係を示すプログラム線図である。
【図6】立体感が小さいシーン及び立体感が大きいシーンを示す略線図である。
【図7】視差ベクトルに基づく立体感を示す略線図である。
【図8】立体感検出値と増幅率との関係を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態による同時表示モードにおけるモニタ表示を示す略線図である。
【図10】第2の実施の形態によるデジタル信号処理部及びシステムコントローラの構成を示す略線図である。
【図11】単眼撮像状態の輪郭補正処理を示す略線図である。
【図12】複眼撮像状態の輪郭補正処理を示す略線図である。
【図13】立体感検出値と輪郭補正量との関係を示す略線図である。
【図14】第2の実施の形態による同時表示モードにおけるモニタ表示を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(単眼撮像と複眼撮像とで増幅率最大値を変化させる例)
2.第2の実施の形態(単眼撮像と複眼撮像とで輪郭補正量を変化させる例)
3.他の実施の形態
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.撮像装置の構成]
図1に示す第1の実施の形態による撮像装置1は、被写体を撮像することにより得られた画像データに基づく画像をユーザに提示すると共に当該画像データを記憶するようになされている。
【0024】
撮像装置1は、被写体を撮像する撮像素子が搭載された右目撮像ユニットRIF1と左目撮像ユニットLIF1との2つの撮像ユニットを有している。
【0025】
また撮像装置1は、単眼撮像と複眼撮像とを行うことが可能となっている。撮像装置1は、単眼撮像を行う際の単眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF1を含む単眼撮像系1Aの構成を動作させる。一方撮像装置1は、複眼撮像を行う複眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1を含む複眼撮像系1Bの構成を動作させる。
【0026】
システムコントローラ2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成され、操作部3を介したユーザの操作に応じて、記憶部4に記憶された各種プログラム等をメモリ5に読み出して実行することにより、撮像装置1を統括制御する。
【0027】
撮像切替部6は、物理的なスイッチ又はタッチパネル等により構成され、単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えるユーザからの操作に基づき、撮像切替信号SSMをシステムコントローラ2に送出するようになされている。
【0028】
またシステムコントローラ2は、現在撮像している画像データをモニタ7に表示することにより、撮像しているシーンの画像をユーザに確認させるようになされている。
【0029】
[1−2.単眼撮像系の構成]
撮像切替部6を介したユーザの操作により単眼撮像が指定された場合、撮像装置1は、システムコントローラ2の制御に基づきレンズドライバ8Aによりズームレンズ9Aを光軸方向に移動させる。これにより撮像装置1は、撮像対象である被写体に対するズーム倍率を調整し、被写体からの光である被写体光を絞り10Aに入射させる。
【0030】
絞り10Aは、レンズドライバ8Aにより駆動されて絞りを制御することにより被写体光の光量を調整して、フォーカスレンズ11Aに入射させる。
【0031】
フォーカスレンズ11Aは、レンズドライバ8Aにより駆動されて光軸方向に移動することにより、集光する被写体光の焦点位置を調整し、当該被写体光を撮像素子12Aに照射して当該撮像素子12Aの撮像面に光学像を形成する。
【0032】
ところで、ズームレンズ9A、絞り10A及びフォーカスレンズ11Aは、右目用鏡筒13A内部に設置されている。右目用鏡筒13Aにはアクチュエータ40Aが取り付けられており、当該アクチュエータ40Aにより駆動されるようになされている。
【0033】
撮像素子12Aは、システムコントローラ2の制御に基づきタイミングジェネレータ14Aから送出されるタイミング信号により、電子シャッターのシャッタースピードを変化させて受光する被写体光の光量を調整し、撮像面に形成された光学像の撮像結果をアナログ画像信号ASA1として送出する。
【0034】
このように右目撮像ユニットRIF1においては、システムコントローラ2がレンズドライバ8Aを制御して絞り10Aを、タイミングジェネレータ14Aを制御して撮像素子12Aを駆動することにより、被写体を撮像する際の露出を調整するようになされている。
【0035】
アナログ信号処理部15Aは、システムコントローラ2の制御に基づき、アナログ画像信号ASA1を相関二重サンプリングし、アナログデジタル変換部16Aに送出する。
【0036】
アナログデジタル変換部16Aは、アナログ画像信号ASA1をアナログデジタル変換してデジタル画像信号DSA1とし、デジタル信号処理部17Aに送出する。
【0037】
デジタル信号処理部17Aは、DSP(Digital Signal Processor)により構成される。当該デジタル信号処理部17Aは、図2に示すように増幅部20Aにおいてシステムコントローラ2におけるデバイス制御量分配部30(詳しくは後述する)の制御に基づき、デジタル画像信号DSA1を所定の増幅率で増幅し、ホワイトバランス調整部21A及び輝度検出部31Aに送出する。
【0038】
続いてホワイトバランス調整部21Aがデジタル画像信号DSA1のホワイトバランスを調整した後、ガンマ補正部22Aがガンマ補正を行い、デジタル画像信号DSA1をノイズ除去部23Aに送出する。
【0039】
ノイズ除去部23Aは、デジタル画像信号DSA1に対し例えば時間方向のフレーム加算を行うことにより、デジタル画像信号DSA1に含まれるノイズを低減し、右目用画像データDSA2としてメモリ5に送出する。
【0040】
またシステムコントローラ2は、右目用画像データDSA2をメモリ5から読み出してモニタ7に送出することにより、右目用画像をモニタ7に表示する。
【0041】
さらにシステムコントローラ2は、メモリ5に送出された右目用画像データDSA2を、光ディスク、磁気ディスク、メモリカード又はハードディスク等により形成された記憶部4(図1)に記憶させる。
【0042】
露出の制御を行う際、デジタル信号処理部17A(図2)は、輝度検出部31Aにおいて右目用画像データDSA2の輝度レベルである輝度検出値を検出し、輝度検出信号SDBAとしてシステムコントローラ2に送出する。
【0043】
システムコントローラ2における輝度基準値発生部32は、予め所定の輝度基準値が設定されており、当該輝度基準値を示す輝度基準信号SSBを送出するようになされている。
【0044】
輝度差分値算出部33Aは、輝度基準値発生部32から送出された輝度基準信号SSBと、輝度検出部31Aから取得した輝度検出信号SDBAとの輝度差分値を算出し、当該輝度差分値を示す輝度差分信号DSBAを露出制御量決定部34Aに送出する。
【0045】
露出制御量決定部34Aは、輝度差分信号DSBAにより示される輝度差分値に基づき露出制御量(EV値)を決定し、当該露出制御量を示す露出制御信号SCEAをデバイス制御量分配部30に送出する。
【0046】
実際上露出制御量決定部34Aは、輝度検出値が輝度基準値を下回った、すなわち右目用画像データDSA2が基準よりも暗かった場合、露出制御量を小さくすることにより右目用画像データDSA2の輝度レベルが上がる方向へ制御するようになされている。
【0047】
これに対し輝度検出値が輝度基準値を上回った、すなわち右目用画像データDSA2が基準よりも明るかった場合、露出制御量決定部34Aは、露出制御量を大きくすることにより右目用画像データDSA2の輝度レベルが下がる方向へ制御するようになされている。
【0048】
デバイス制御量分配部30は、露出制御信号SCEAにより示される露出制御量に基づき、レンズドライバ8Aを制御する絞り制御量、タイミングジェネレータ14Aを制御するシャッタースピード制御量及び増幅部20Aを制御する増幅率制御量を算出する。
【0049】
実際上デバイス制御量分配部30は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくする(すなわち右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げる)ことを示している場合、絞り制御量(F値)を大きくし、当該絞り制御量を示す絞り制御信号SCDAをレンズドライバ8Aに送出する。
【0050】
レンズドライバ8A(図1)は、絞り制御信号SCDAを取得し、当該絞り制御信号SCDAにより示される絞り制御量が絞りを大きくすることを示している場合、絞り10Aを絞るように駆動することにより、被写体光の光量を減少させる。
【0051】
またデバイス制御量分配部30(図2)は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくすることを示している場合、シャッタースピード制御量を大きくし、当該シャッタースピード制御量を示すシャッタースピード制御信号SCSAをタイミングジェネレータ14Aに送出する。
【0052】
タイミングジェネレータ14A(図1)は、シャッタースピード制御信号SCSAを取得し、当該シャッタースピード制御信号SCSAにより示されるシャッタースピード制御量がシャッタースピードを速くすることを示している場合、シャッタースピードを速くするよう撮像素子12Aを駆動することにより、被写体光の光量を減少させる。
【0053】
さらにデバイス制御量分配部30(図2)は、取得した露出制御信号SCEAが露出制御量を大きくすることを示している場合、増幅率制御量を小さくし、当該増幅率制御量を示す増幅率制御信号SCGAを増幅部20Aに送出する。
【0054】
増幅部20Aは、増幅率制御信号SCGAを取得し、当該増幅率制御信号SCGAにより示される増幅率制御量が増幅率を小さくすることを示している場合、デジタル画像信号DSA1を増幅する増幅率を小さくする。これにより増幅部20Aは、結果として右目用画像データDSA2の輝度レベルを低下させる。
【0055】
因みにシステムコントローラ2は、操作部3を介したユーザの操作に応じて、デバイス制御量分配部30により絞り制御量、シャッタースピード制御量及び増幅率制御量を制御するようにもなされている。
【0056】
ここで、デバイス制御量分配部30は、撮像切替部6から撮像切替信号SSMを取得すると、当該撮像切替信号SSMが示す複眼撮像状態又は単眼撮像状態いずれかに応じて、増幅率制御量を変更するようになされている(詳しくは後述する)。
【0057】
またデバイス制御量分配部30は、現在撮像しているシーンの立体感を示す立体感検出信号SDMを立体感検出部18から取得した場合、当該立体感検出信号SDMに基づき増幅率制御量を変更するようにもなされている(詳しくは後述する)。
【0058】
このように単眼撮像状態において撮像装置1は、右目撮像ユニットRIF1を用いて被写体を撮像することにより取得した右目用画像データDSA2を記憶部4に記憶すると共に、当該右目用画像データDSA2に基づく右目用画像をモニタ7に表示するようになされている。
【0059】
[1−3.複眼撮像系の構成]
一方、撮像切替部6を介したユーザの操作により複眼撮像が指定された際、撮像装置1は複眼撮像系1Bを機能させる。
【0060】
複眼撮像状態において撮像装置1は、上述した右目用画像ユニットRIF1に加えて左目用画像ユニットLIF1を動作させることにより、右目用画像データDSA2に加えて左目用画像データDSB2を生成する。左目用画像ユニットLIF1は、右目用画像ユニットRIF1とほぼ同様に構成されている。
【0061】
被写体光は、左目用鏡筒13Bに設置されレンズドライバ8Aにより駆動されるズームレンズ9B、絞り10B及びフォーカスレンズ11Bを介して撮像素子12Bに照射される。
【0062】
左目用鏡筒13Bにはアクチュエータ40Bが取り付けられており、当該アクチュエータ40Bにより駆動される。
【0063】
システムコントローラ2は、アクチュエータ40Bと上述したアクチュエータ40Aとを制御し、図3に示す被写体側から撮像装置1を見た状態のように、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとを離接する方向へ移動させる。
【0064】
これによりシステムコントローラ2は、右目用鏡筒13Aにおける被写体光の光軸AXと左目用鏡筒13Bにおける被写体光の光軸AXとの間隔である光軸間隔ADを変更する。
【0065】
図3(A)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとが近接しているため、光軸間隔ADは狭くなっている一方、図3(B)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとが離隔しているため、光軸間隔ADは広くなっている。
【0066】
これによりシステムコントローラ2は、複眼撮像状態において被写体が写るシーンを撮像して得られた画像における立体感(詳細は後述する)を調整し得るようになされている。
【0067】
またシステムコントローラ2は、アクチュエータ40Aとアクチュエータ40Bとを制御し、図4に示す被写体側から撮像装置1を見た状態のように、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの先端部分が互いに離接するよう、当該右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bを回転させる。
【0068】
これによりシステムコントローラ2は、右目用鏡筒13Aにおける被写体光の光軸AXと左目用鏡筒13Bにおける被写体光の光軸AXとが成す角度である輻輳角CAを変更する。
【0069】
図4(A)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの被写体側の先端部分がそれほど内側に向かって回転していないため、輻輳角CAは狭くなっている。一方、図4(B)においては右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの先端部分が内側に向かって大きく回転しているため、輻輳角CAは広くなっている。
【0070】
これにより撮像装置1は、複眼撮像状態の画像における立体感(詳細は後述する)を調整し得るようになされている。
【0071】
撮像素子12B(図1)は、タイミングジェネレータ14Bから送出されるタイミング信号により、電子シャッターのシャッタースピードを変化させて被写体光の光量を調整し、撮像面に形成された光学像の撮像結果をアナログ画像信号ASB1として送出する。
【0072】
このように左目撮像ユニットLIF1においては、システムコントローラ2がレンズドライバ8Bを制御して絞り10Bを、タイミングジェネレータ14Bを制御して撮像素子12Bを駆動することにより、被写体を撮像する際の露出を調整するようになされている。
【0073】
続いてシステムコントローラ2は、右目撮像ユニットRIF1と同様にアナログ信号処理部15B、アナログデジタル変換部16B及びデジタル信号処理部17Bを介して左目用画像データDSB2をメモリ5に送出する。
【0074】
複眼撮像状態においてメモリ5には、左目用画像データDSB2に加えて、右目撮像ユニットRIF1により取得した右目用画像データDSA2が格納されている。
【0075】
このように、複眼撮像状態において右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2がメモリ5に格納されると、システムコントローラ2は、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2をメモリ5から読み出して画像合成部19において合成して合成画像データDMを生成し、記憶部4に送出する。
【0076】
またシステムコントローラ2は、複眼撮像状態においては画像合成部19で生成された合成画像データDMをモニタ7に表示させることにより、現在撮像しているシーンが記憶部4に記憶される状態の映像をユーザに確認させるようになされている。
【0077】
ここで、露出制御を行う際、単眼撮像状態と同様に、システムコントローラ2(図2)における輝度差分値算出部33Bは、輝度基準値発生部32から送出された輝度基準信号SSBと、輝度検出部31Bから取得した輝度検出信号SDBBとの輝度差分値を算出する。続いて輝度差分値算出部33Bは、当該輝度差分値を示す輝度差分信号DSBBを露出制御量決定部34Bに送出する。
【0078】
露出制御量決定部34Bは、輝度差分信号DSBBにより示される輝度差分値に基づき露出制御量(EV値)を決定し、当該露出制御量を示す露出制御信号SCEBをデバイス制御量分配部30に送出する。
【0079】
デバイス制御量分配部30は、上述したレンズドライバ8A、タイミングジェネレータ14A及び増幅部20Aと同様に、露出制御信号SCEBにより示される露出制御量に基づき、レンズドライバ8Bを制御する絞り制御量、タイミングジェネレータ14Bを制御するシャッタースピード制御量及び増幅部20Bを制御する増幅率制御量を算出する。
【0080】
デバイス制御量分配部30は、上述した単眼撮像状態と同様の処理を行うことにより、絞り10B、撮像素子12B及び増幅部20Bを制御し、被写体光の光量を変化させると共に左目用画像データDSB2の明るさを変化させる。
【0081】
[1−4.単眼撮像状態の動作]
上述したように、システムコントローラ2は、撮像切替部6により指定される単眼撮像又は複眼撮像に応じて、増幅部20A及び20Bを制御する増幅率制御量を変更するようになされている。
【0082】
システムコントローラ2は、撮像切替部6により単眼撮像が指定された場合、図5に示すプログラム線図のように、露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。因みに図5においては、単眼撮像状態の増幅率の変化だけでなく、複眼撮像状態の増幅率の変化も合わせて図示している。
【0083】
以下では、露出制御量を第1制御量EV1から第2制御量EV2まで変化させる、すなわち暗いシーンの撮像(暗所撮像)から明るいシーンの撮像(明所撮像)へ移るに従い右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げていくよう制御する場合について説明する。第1制御量EV1においては、増幅率は18[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0084】
第1制御量EV1から露出制御量が大きくなっていくと、まず変化点CP1から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が18[dB]から0[dB]へ低下していく。因みに図5においては、縦軸の上方に向かうほど増幅率が低下するように記載している。
【0085】
続いて変化点CP2からさらに露出制御量が大きくなると、既に増幅率は0[dB]となっているため、変化点CP3に向かって徐々にシャッタースピードが1/60[秒]から1/100[秒]へ変化していくことにより、シャッタースピードが速くなっていく。
【0086】
その後変化点CP3から変化点CP4に向かって、徐々に絞りがF1.8からF4.0へ変化してくことにより、絞りが絞られていく。
【0087】
変化点CP4から変化点CP5にかけては、徐々にシャッタースピードが1/100[秒]から1/500[秒]へ変化していくことにより、シャッタースピードがさらに速くなっていく。
【0088】
変化点CP5から第2制御量EV2にかけては、徐々に絞りがF4.0からF8.0へ変化していくことにより、さらに絞りが絞られていく。
【0089】
このように、単眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、暗所撮像を行っており露出制御量が最も小さいとき(すなわち第1制御量EV1)、増幅率を18[dB]とする。さらにシステムコントロータ2は、その増幅率18[dB]を最大値(増幅率最大値とも呼ぶ)として、その後露出制御量が大きくなるに従い増幅率を小さくしていくことにより、右目用画像データDSA2の輝度レベルを下げて暗くしていくようになされている。
【0090】
[1−5.複眼撮像状態の動作]
一方システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定された場合、単眼撮像の場合とは異なるプログラム線図に従って増幅率制御量を変更するようになされている。
【0091】
さらにシステムコントローラ2は、現在撮像しているシーンにおける立体感にも応じて、異なるプログラム線図に従って増幅率制御量を変更するようにもなされている。このため、以下ではまず立体感の検出方法について説明する。
【0092】
[1−5−1.立体感の検出]
図6(A)に示すように、立体感が小さいシーンの場合、撮像装置1に対して奥側に位置する奥側被写体BOと、手前側に位置する手前側被写体FOとが近接している。このように、立体感が小さいシーンとは、奥側被写体BOと手前側被写体FOとの奥行き差が小さいシーンのことを指している。
【0093】
この場合、右目用画像データDSA2により示される右目用画像RYPと左目用画像データDSB2により示される左目用画像LYPとにおいては、それぞれ奥側被写体BOと手前側被写体FOとの位置ずれが小さくなっている。
【0094】
一方図6(B)に示すように、立体感が大きいシーンの場合、立体感が小さいシーンと比較して、奥側被写体BOと手前側被写体FOとが離隔している。このように、立体感が大きいシーンとは、奥側被写体BOと手前側被写体FOとの奥行き差が大きいシーンのことを指している。
【0095】
この場合、立体感が小さいシーンと比較して、右目用画像RYPと左目用画像LYPとにおいては、それぞれ奥側被写体BOと手前側被写体FOとの位置ずれが大きくなっている。
【0096】
立体感検出部18(図1)は、メモリ5から右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2を読み出して、現在のシーンの立体感の検出を行う。
【0097】
具体的に立体感検出部18は、右目用画像RYPと左目用画像LYPとに対し、例えば縦方向8画素×横方向8画素等の一定の領域ごとにマッチングを取る。これにより立体感検出部18は、図7(A)に示すように、右目用画像RYPの奥側被写体BOと左目用画像LYPの奥側被写体BOとの視差を示す複数の奥側視差ベクトルBDISを検出する。
【0098】
続いて立体感検出部18は、検出した複数の奥側視差ベクトルBDISのうちからベクトル量が最も小さい視差ベクトルを、奥側最小視差ベクトルSBDISとして選択する。
【0099】
さらに立体感検出部18は、右目用画像RYPの手前側被写体FOと左目用画像LYPの手前側被写体FOとの視差を示す複数の手前側視差ベクトルFDISを検出する。
【0100】
続いて立体感検出部18は、検出した複数の手前側視差ベクトルFDISうちからベクトル量が最も大きい視差ベクトルを、手前側最大視差ベクトルBFDISとして選択する。
【0101】
その後立体感検出部18は、奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分を取ることにより、差分ベクトルDDIS1を算出する。
【0102】
図7(B)に示したように立体感が大きいシーンの場合、上述と同様にして算出された差分ベクトルDDIS2は、図7(A)の立体感が小さいシーンにおける差分ベクトルDDIS1と比較して大きくなっている。
【0103】
このように立体感検出部18は、立体感が小さいシーンの場合は奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分が小さいため、小さい差分ベクトルDDIS1を検出する。
【0104】
これに対し立体感が大きいシーンの場合、奥側最小視差ベクトルSBDISと手前側最大視差ベクトルBFDISとの差分が大きいため、立体感検出部18は、立体感が小さいシーンと比較して大きい差分ベクトルDDIS2を検出する。
【0105】
このように立体感検出部18は、差分ベクトルの大きさを立体感の大きさとして検出する。立体感検出部18は、このように算出した差分ベクトルの絶対値を、シーンの立体感を表す立体感検出値とし、当該立体感検出値を立体感検出値SDMとしてシステムコントローラ2(図2)におけるデバイス制御量分配部30に送出するようになされている。
【0106】
[1−5−2.立体感が大きい場合のプログラム線図]
システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が大きいと検出された場合、図5に示したプログラム線図のように露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。
【0107】
以下では、上述した単眼撮像状態と同様に、露出制御量を第1制御量EV1から第2制御量EV2まで変化させる、すなわち暗所撮像から明所撮像へ移るに従い右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2の輝度レベルを下げていくよう制御する場合について説明する。
【0108】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最大値に達しており、立体感が最大である状態とする。第1制御量EV1においては、増幅率は12[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0109】
第1制御量EV1から露出制御量を大きくしていくと、まず変化点CP10から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が12[dB]から0[dB]へ低下していく。その後変化点CP2から第2制御量EV2にかけては、上述した単眼撮像状態と同様のプログラム線図となっているため説明を省略する。
【0110】
このように複眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、立体感が最大である場合、露出制御量が小さい状態における増幅率(12[dB])を増幅率最大値として、その後露出制御量が大きくなるにつれて増幅率を低下させていく。
【0111】
このため、複眼撮像状態に立体感が最大である場合における増幅率最大値(12[dB])は、単眼撮像状態における増幅率最大値(18[dB])よりも小さくなっている。
【0112】
[1−5−3.立体感が小さい場合のプログラム線図]
システムコントローラ2は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が小さいと検出された場合、図5に示したプログラム線図のように露出制御量の変化に対して絞り、シャッタースピード及び増幅率を変化させる。
【0113】
以下の説明においては、立体感検出値が所定の最小値に達しており、立体感が最小である状態とする。第1制御量EV1においては、増幅率は9[dB]、シャッタースピードは1/60[秒]、絞りはF1.8となっている。
【0114】
第1制御量EV1から露出制御量を大きくしていくと、まず変化点CP20から変化点CP2に向かって徐々に増幅率が9[dB]から0[dB]へ低下していく。その後変化点CP20から第2制御量EV2にかけては、上述した単眼撮像状態と同様のプログラム線図となっているため説明を省略する。
【0115】
このように複眼撮像状態においてシステムコントローラ2は、立体感が最小である場合、露出制御量が小さい状態における増幅率(9[dB])を増幅率最大値として、その後露出制御量が大きくなるにつれて増幅率を低下させていく。
【0116】
このため、複眼撮像状態において立体感が最小である場合における増幅率最大値(9[dB])は、単眼撮像状態における増幅率最大値(18[dB])よりも小さくなっている。
【0117】
以上においては複眼撮像状態における立体感が最小である場合と最大である場合とについて説明した。これに対し立体感が最小と最大との間であった場合、システムコントローラ2は、9[dB]と12[dB]との間である複眼撮像状態増幅率範囲PGR(図5)の範囲内である、例えば10[dB]等に増幅率最大値を設定する。
【0118】
また複眼撮像状態においては、立体感が最小である場合又は最大である場合のいずれにおいても、増幅率最大値はそれぞれ9[dB]と12[dB]となっているため、単眼撮像状態の増幅率最大値である18[dB]よりも小さくなっている。
【0119】
ところで、上述したようにデジタル信号処理部17A及び17B(図2)のノイズ除去部23A及び23Bにおいては、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対しノイズ除去処理を行う。これによりノイズ除去部23A及び23Bは、記憶部4に記憶される右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2に含まれるノイズを低減する。
【0120】
しかしながらそのようなノイズ除去を行っても、ノイズ除去部23A及び23Bはノイズを完全には除去できない可能性がある。このため、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2にはノイズが残留する場合がある。
【0121】
特に暗所撮像時においては、デジタル画像信号DSA1及びDSB1を大きく増幅することにより画像表示の明るさを保つため、当該デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれるノイズも増幅されてしまう。
【0122】
このためノイズ除去部23A及び23Bは、そのような増幅されたノイズを除去しきれないことがある。従って、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2には残留ノイズが発生してしまうことがある。
【0123】
ここで、単眼撮像を行うことにより記憶された右目用画像データDSA2を所定の表示装置において視聴者が視聴する場合は、仮に当該右目用画像データDSA2にノイズが含まれていたとしても、表示装置に表示される画像は右目用画像データDSA2に基づく画像のみであるため、視聴者は左右の目で同じノイズを認識する。
【0124】
このため単眼撮像を行うことにより記憶された右目用画像データDSA2を視聴する場合、視聴者は左目用画像データDSB2を視聴しないため、左目用画像データDSB2と右目用画像データDSA2との画像の差によるちらつきを感じることはない。
【0125】
これに対し、複眼撮像を行うことにより記憶された合成画像データDMを所定の表示装置において視聴者が立体視で視聴する場合は、仮に当該合成画像データDMにノイズが含まれていると、視聴者は左右の目で、左右の画像にそれぞれ残留し時間経過とともにそれぞれランダムに変化するノイズを別々に視認する。
【0126】
このため合成画像データDMに含まれる左目用画像データDSB2と右目用画像データDSA2とに差が生じることとなり、視聴者は、視聴している画面がちらついたり、ノイズが奥行き方向に分布をもって見えたりすることになる。
【0127】
よって、仮に単眼撮像状態の増幅率最大値(18[dB])を、そのまま複眼撮像状態に適用してしまうと、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれる残留ノイズの影響で、視聴者が合成画像データDMを視聴する際に大きなちらつきが発生してしまうこととなる。すなわち、複眼撮像状態においては、単眼撮像状態よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0128】
このため撮像装置1は、複眼撮像状態の増幅率最大値を、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも小さくするようになされている。
【0129】
これにより撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における増幅率最大値までデジタル画像信号DSA1及びDSB1を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0130】
また図5に示したように、複眼撮像状態においては、立体感が最大である場合の増幅率最大値(12[dB])の方が、立体感が最小である場合の増幅率最大値(9[dB])よりも大きくなっている。
【0131】
ここで、撮像しているシーンの立体感が大きい場合、合成画像データDMに多少の残留ノイズが含まれていても、視聴者は、奥行方向に分布を持って見えるノイズの影響をあまり受けることなく、立体感を損なわずに視聴することができる。
【0132】
これに対し、撮像しているシーンの立体感が小さい場合、合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者は、奥行方向に分布を持つノイズに画像の立体感が埋もれてしまうように視認してしまうため、立体感を感じにくくなってしまう。
【0133】
すなわち、立体感が小さい場合は大きい場合よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0134】
このため撮像装置1は、複眼撮像状態において、立体感が最小である場合の増幅率最大値(9[dB])を、立体感が最大である場合の増幅率最大値(12[dB])よりも小さくするようになされている。
【0135】
これにより撮像装置1は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、立体感が小さい場合の増幅率最大値までデジタル画像信号DSA1及びDSB1を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0136】
[1−5−4.立体感の変化に対する増幅率の変化]
ところで上述したように、システムコントローラ2は、複眼撮像状態においては増幅率最大値を立体感に応じて9[dB]から12[dB]まで複眼撮像状態増幅率範囲PGR(図5)の範囲内で変化させる。
【0137】
以下では、複眼撮像状態における立体感検出値の変化に対する増幅率の変化について説明する。図8に示す立体感検出値と増幅率との関係のように、増幅率は、立体感が最小である場合の9[dB]から立体感が最大である場合の12[dB]へ向けて、増幅率線GLに沿って徐々に大きくなっていく。
【0138】
ここで、例えば現在の増幅率が点P0にある状態で、立体感検出値が大きくなっていく場合、デバイス制御量分配部30は、立体感検出値が点P1に達するまでは増幅率を増加させず、点P1に達すると閾値線SHL1に沿うように増加させていく。
【0139】
同様に、増幅率が点P0にある状態で、立体感検出値が小さくなっていく場合、デバイス制御量分配部30は、立体感検出値が点P2に達するまでは増幅率を減少させず、点P2に達すると閾値線SHL2に沿うように減少させていく。
【0140】
このように立体感検出値が所定の値から変化した場合、デバイス制御量分配部30は、増幅率線GLにおける現在の地点から立体感検出値が閾値線SHL1及びSHL2までの距離である立体感閾値SHMだけ変化して閾値線SHL1又はSHL2に達するまでは、増幅率を変化させないようになされている。
【0141】
このように撮像装置1は、立体感検出値が多少変化しただけでは増幅率を変化させないようにすることにより、視聴者が画像を視聴する際にシーンの立体感が少しでも変化する度に画面の明るさが変化することを防ぎ、自然な画面表示をさせることができる。
【0142】
また図8に示したように、閾値線SHL1及びSHL2は、立体感検出値が大きくなるにつれて徐々に増幅率線GLに対してそれぞれ右方向及び左方向に広がるように設定されている。このため、立体感検出値が大きくなるにつれて立体感閾値SHMは大きくなっていく。
【0143】
このように撮像装置1は、立体感が小さい場合は、立体感が大きい場合よりも立体感検出値の小さな変化に応じて増幅率を変化させることにより、立体感の小さな変化に応じて画面の明るさを細かく変化させることができる。
【0144】
また撮像装置1は、立体感が大きい場合、ある程度立体感検出値が変化しなければ増幅率を変化させないようになされている。
【0145】
立体感が大きい場合は、立体感が小さい場合と比べて増幅率が大きいため、残留ノイズも大きくなっている。
【0146】
このように立体感が大きい状態において、立体感の小さな変化に応じて増幅率を細かく変化させると、表示される画像に含まれるノイズが細かく変化してしまうため、視聴者が画像を視聴する際にちらつきを感じやすくなってしまう。
【0147】
これに対し撮像装置1は、立体感が大きい場合、ある程度立体感検出値が変化しなければ増幅率を変化させないため、視聴者が画像を視聴する際にちらつきを感じにくくすることができる。
【0148】
[1−6.単眼撮像状態と複眼撮像状態との切り替え]
上述したように、撮像装置1は、撮像切替部6を操作されることにより単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えるようになされている。
【0149】
本実施の形態においてシステムコントローラ2は、現在単眼撮像を行っている状態において、操作部3を介したユーザの操作により同時表示モードが選択されると、左目撮像ユニットLIF1を動作させることにより、右目用画像データDSA2に加えて左目用画像データDSB2をメモリ5に格納する。
【0150】
またシステムコントローラ2は、メモリ5から右目用画像データDSA2を読み出してモニタ7に送出することにより、図9に示すように右目用画像RYPをモニタ7の右部分に表示させる。
【0151】
さらにシステムコントローラ2は、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2をメモリ5から読み出して画像合成部19において合成することにより、合成画像データDMを生成する。
【0152】
システムコントローラ2は、画像合成部19を制御して合成画像データDMをモニタ7に送出させることにより、合成画像DP(図9)をモニタ7の左部分に表示させる。
【0153】
このようにシステムコントローラ2は、単眼撮像状態において同時表示モードが選択されると、右目用画像RYP及び合成画像DPを同一画面に並べて表示するようになされている。
【0154】
一方システムコントローラ2は、複眼撮像状態において同時表示モードが選択されると、メモリ5から右目用画像データDSA2及び合成画像データDMを読み出してモニタ7に送出することにより、右目用画像RYP(図9)をモニタ7の右部分に、合成画像DPを左部分にそれぞれ表示させる。
【0155】
このようにシステムコントローラ2は、複眼撮像状態においても、同時表示モードが選択されると、右目用画像RYP及び合成画像DPをモニタ7の同一画面に並べて表示するようになされている。
【0156】
上述したように、複眼撮像状態においては単眼撮像状態に比べて増幅率が小さく設定されるため、ユーザが単眼撮像を行っている状態から複眼撮像状態に切り替えると、生成された合成画像データDMに基づき視聴者が視聴する画面表示が暗くなりすぎてしまう可能性がある。
【0157】
また逆に、単眼撮像状態においては、複眼撮像状態に比べて増幅率が高く設定されるため、ユーザが複眼撮像を行っている状態から単眼撮像状態に切り替えると、生成された右目用画像RYPに基づき視聴者が視聴する画面表示が明るくなりすぎてしまう可能性がある。
【0158】
これに対し本実施の形態によれば、ユーザが同時表示モードを選択した場合、システムコントローラ2は、単眼撮像状態における右目用画像RYPと複眼撮像状態における合成画像DPとの両方の画像を同時にモニタ7に表示する。
【0159】
これにより撮像装置1は、ユーザが単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えた場合に生成した画像データにより示される画面表示を、予めユーザに提示することができる。
【0160】
このためユーザは、現在の撮像状態を切り替えるとどのような画面表示になるかを、撮像状態を切り替える以前に認識することができるため、画面表示が適切な明るさとなるように撮像装置1における増幅率を調整することができる。
【0161】
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において、撮像装置1は、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも複眼撮像状態の増幅率最大値を小さくするようにした。
【0162】
単眼撮像により生成された右目用画像データDSA2に残留ノイズが含まれていたとしても、視聴者は左右の目で同じ残留ノイズを視認するため、視聴者はちらつきを感じることはない。
【0163】
一方複眼撮像により生成された合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者の左右の目には異なる残留ノイズが視認されるため、視聴者はちらつきを感じてしまう。
【0164】
これに対し本実施の形態においては、単眼撮像状態の増幅率最大値よりも複眼撮像状態の増幅率最大値を小さくするようにした。このため、撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における増幅率最大値まで画像信号を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0165】
また撮像装置1は、複眼撮像状態において、立体感が大きい場合の増幅率最大値よりも立体感が小さい場合の増幅率最大値を小さくするようにした。
【0166】
撮像しているシーンの立体感が大きい場合、合成画像データDMに多少の残留ノイズが含まれていても、視聴者は、奥行方向に分布を持って見えるノイズの影響をあまり受けることなく、立体感を損わずに視聴することができる。
【0167】
一方撮像しているシーンの立体感が小さい場合、合成画像データDMに残留ノイズが含まれていると、視聴者は、奥行方向に分布を持つノイズに画像の立体感が埋もれてしまうように視認してしまうため、立体感を感じにくくなってしまう。
【0168】
これに対し本実施の形態においては、複眼撮像状態において、立体感が大きい場合の増幅率最大値よりも立体感が小さい場合の増幅率最大値を小さくするようにした。このため撮像装置1は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、立体感が小さい場合の増幅率最大値まで画像信号を増幅し画像を明るくすることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0169】
以上の構成によれば、撮像装置1は、撮像素子12Aで被写体を撮像することにより得られたアナログ画像信号ASA1を増幅部20Aにおいて所定の増幅率最大値以下の増幅率で増幅する右目撮像ユニットRIF1を用いる単眼撮像状態か、被写体を右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1で撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置1は、複眼撮像により被写体を撮像する際は、単眼撮像により被写体を撮像する際よりも、システムコントローラ2の制御により増幅率最大値を小さくするようにした。
【0170】
このため撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えないように、複眼撮像状態における画像信号の増幅を抑えることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、暗所撮像時の画質、明るさ及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成することができる。
【0171】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.撮像装置の構成]
図1に示す第2の実施の形態による撮像装置101は、システムコントローラ102、デジタル信号処理部117A及び117Bが第1の実施の形態による撮像装置1におけるシステムコントローラ2、デジタル信号処理部17A及び17Bと異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0172】
図10に示す第2の実施の形態によるシステムコントローラ102は、輪郭補正量制御部50が追加されている点が第1の実施の形態によるシステムコントローラ2と異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0173】
また第2の実施の形態によるデジタル信号処理部117A及び117Bは、輪郭補正部51A及び51Bが追加されている点が第1の実施の形態によるデジタル信号処理部17A及び17Bと異なっているものの、それ以外はほぼ同様に構成されている。
【0174】
撮像装置101(図1)は、撮像装置1と同様に、単眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF2を含む単眼撮像系101Aの構成を動作させる一方、複眼撮像状態においては右目撮像ユニットRIF2及び左目撮像ユニットLIF2を含む複眼撮像系1Bの構成を動作させる。
【0175】
輪郭補正部51A及び51B(図10)は、輪郭補正信号SCCA及びSCCBを輪郭補正量制御部50から受信することにより、輪郭の強調をどの程度行うかを表す輪郭補正量を取得し、当該輪郭補正量に応じて輪郭補正処理を行うようになされている。
【0176】
輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6から撮像切替信号SSMを取得すると、当該撮像切替信号SSMが示す複眼撮像状態又は単眼撮像状態いずれかに応じて、輪郭補正量を変更する。
【0177】
また輪郭補正量制御部50は、立体感検出信号SDMを立体感検出部18から取得すると、当該立体感検出信号SDMに基づき輪郭補正量を変更する。
【0178】
因みに輪郭補正量制御部50は、操作部3を介したユーザの操作に応じて、輪郭補正量を制御するようにもなされている。
【0179】
右目撮像ユニットRIF2(図1)により被写体の撮像が行われると、デジタル信号処理部117Aは、増幅部20A、ホワイトバランス調整部21A及びガンマ補正部22Aを介して、デジタル画像信号DSA1を輪郭補正部51Aに入力する。
【0180】
輪郭補正部51Aは、輪郭補正量制御部50の制御に基づき、デジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正処理を施し、ノイズ除去部23Aに送出する。
【0181】
ノイズ除去部23Aは、デジタル画像信号DSA1に含まれるノイズを低減し、右目用画像データDSA2としてメモリ5に送出する。
【0182】
一方左目撮像ユニットLIF2(図1)により被写体の撮像が行われると、デジタル信号処理部117Bはデジタル信号処理部117Aと同様に、増幅部20B、ホワイトバランス調整部21B及びガンマ補正部22Bを介して、デジタル画像信号DSB1を輪郭補正部51Bに入力する。
【0183】
輪郭補正部51B及びノイズ除去部23Bは、輪郭補正部51A及びノイズ除去部23Aと同様の処理を実行し、左目用画像データDSB2をメモリ5に送出する。
【0184】
[2−2.輪郭補正処理]
[2−2−1.単眼撮像状態の輪郭補正処理]
撮像切替部6を介したユーザの操作により単眼撮像が指定された場合、輪郭補正部51Aは、以下に述べる単眼撮像状態の輪郭補正処理を実行することにより、デジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正処理を行う。
【0185】
輪郭補正量制御部50は、輪郭補正量を単眼輪郭補正値に設定し、当該輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCGAを輪郭補正部51Aに送出する。
【0186】
輪郭補正部51Aは、デジタル画像信号DSA1から、図11に示す輝度信号SBAを抽出する。
【0187】
輪郭補正処理を行う以前の当該輝度信号SBAは、図11に示したように、デジタル画像信号DSA1の所定の1ラインにおける画素位置の変化に対し、なだらかに信号レベルが変化している。このような輝度信号を含む画像信号により示される画像は、輪郭がなだらかに変化する画像となる。
【0188】
輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAに対し所定の信号処理を行い、当該輝度信号SBAの高周波成分を補正信号SCAとして抽出する。
【0189】
また輪郭補正部51Aは、単眼輪郭補正値に応じた輪郭補正増幅率で補正信号SCAを増幅し、増幅補正信号SGCAを生成する。ここで輪郭補正部51Aは、輪郭補正量制御部50から取得した輪郭補正信号SCCAにより示される輪郭補正量が大きい(すなわち輪郭を強調する度合が大きい)ほど、輪郭補正増幅率を大きくするようになされている。
【0190】
さらに輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAと増幅補正信号SGCAとを加算し、補正輝度信号SCBAを生成する。当該補正輝度信号SCBAは輝度信号SBAと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0191】
このように輪郭補正部51Aは、輝度信号SBAから抽出された補正信号SCAを輪郭補正量に応じた輪郭補正増幅率で増幅した増幅補正信号SGCAを、輝度信号SBAに加算することにより、デジタル画像信号DSA1に含まれる輝度信号SBAを補正後輝度信号SCBAに変換する。
【0192】
これにより輪郭補正部51Aは、デジタル画像信号DSA1に基づき表示される画像の輪郭を強調するよう補正することができる。
【0193】
[2−2−2.複眼撮像状態の輪郭補正処理]
一方、撮像切替部6(図10)を介したユーザの操作により複眼撮像が指定された場合、輪郭補正部51A及び51Bは、以下に述べる複眼撮像状態の輪郭補正処理を実行することにより、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対し輪郭補正処理を行う。複眼撮像状態において輪郭補正量制御部50は、立体感に応じて輪郭補正量を調整する。
【0194】
[2−2−2−1.立体感が大きい場合の輪郭補正処理]
輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が大きいと検出された場合、単眼輪郭補正値よりも小さな輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCCA及びSCCBを、輪郭補正部51A及び51Bそれぞれに送出する。
【0195】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最大値に達しており、立体感が最大である状態とする。このとき輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態における最大の輪郭補正量を表す複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とする。
【0196】
輪郭補正部51A及び51Bは、デジタル画像信号DSA1及びDSB1から図12に示す輝度信号SBBを抽出して、当該輝度信号SBBに対し所定の信号処理を行い、当該輝度信号SBBの高周波成分を補正信号SCBとして抽出する。
【0197】
輪郭補正部51A及び51Bは、複眼輪郭補正量最大値に応じて、単眼撮像状態よりも小さく、且つ複眼撮像状態においては最大となる輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅することにより、増幅補正信号SGCB1を生成する。
【0198】
図12に示すように、増幅補正信号SGCB1は増幅補正信号SGCAと比較して、振幅が小さくなっている。
【0199】
続いて輪郭補正部51A及び51Bは、輝度信号SBBに増幅補正信号SGCB1を加算し、補正輝度信号SCBB1を生成する。当該補正輝度信号SCBB1は輝度信号SBBと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0200】
また補正輝度信号SCBB1は、単眼撮像状態における補正輝度信号SCBAと比較して、信号レベルの変化が緩やかになっている。このため輪郭補正部51A及び51Bは、複眼撮像状態に立体感が最大である場合、単眼撮像状態と比較してデジタル画像信号DSA1及びDSB1に対する輪郭補正の度合を小さくするようになされている。
【0201】
このように輪郭補正部51A及び51Bは、立体感が最大である場合、複眼輪郭補正量最大値に応じて輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅する。
【0202】
また、複眼撮像状態に立体感が最大である場合の輪郭補正量は複眼輪郭補正量最大値であり、単眼撮像状態における輪郭補正量である単眼輪郭補正値よりも小さくなっている。
【0203】
[2−2−2−2.立体感が小さい場合の輪郭補正処理]
これに対し、輪郭補正量制御部50は、撮像切替部6により複眼撮像が指定され、さらに立体感検出部18により立体感が小さいと検出された場合、単眼輪郭補正値よりも小さく、且つ複眼輪郭補正量最大値よりも小さい輪郭補正量を示す輪郭補正信号SCCA及びSCCBを、輪郭補正部51A及び51Bそれぞれに送出する。
【0204】
また以下の説明においては、立体感検出値が所定の最小値に達しており、立体感が最小である状態とする。このとき輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態における最小の輪郭補正量を表す複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とする。
【0205】
この場合輪郭補正部51A及び51Bは、複眼輪郭補正量最小値に応じて、単眼撮像状態よりも小さく、且つ複眼撮像状態においては最小となる輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅することにより、増幅補正信号SGCB2を生成する。
【0206】
図12に示すように、増幅補正信号SGCB2は、増幅補正信号SGCA及び増幅補正信号SGCB1のどちらよりも振幅が小さくなっている。
【0207】
続いて輪郭補正部51A及び51Bは、輝度信号SBBに増幅補正信号SGCB2を加算し、補正輝度信号SCBB2を生成する。当該補正輝度信号SCBB2は輝度信号SBBと比較して、信号レベルの変化が急峻となっている。
【0208】
また補正輝度信号SCBB2は、複眼撮像状態における補正輝度信号SCBB1よりも、さらに信号レベルの変化が緩やかになっている。
【0209】
このため輪郭補正部51A及び51Bは、複眼撮像状態に立体感が最大である場合と比較して、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に対する輪郭補正の度合をさらに小さくするようになされている。
【0210】
このように輪郭補正部51A及び51Bは、立体感が最小である場合、複眼輪郭補正量最小値に応じて輪郭補正増幅率で補正信号SCBを増幅するようになされている。
【0211】
また、複眼撮像状態に立体感が最小である場合における輪郭補正量は複眼輪郭補正量最小値であり、単眼輪郭補正値よりも小さく、且つ複眼輪郭補正量最大値よりも小さくなっている。
【0212】
以上においては複眼撮像状態における立体感が最小である場合と最大である場合とについて説明した。これに対し立体感が最小と最大との間であった場合、輪郭補正量制御部50は、複眼輪郭補正量最小値と複眼輪郭補正量最大値との間である複眼撮像状態輪郭補正量範囲の範囲内に輪郭補正量を設定する。
【0213】
上述したように輪郭補正部51A及び51Bは、デジタル画像信号DSA1及びDSB1から輝度信号SBBを抽出した後に、当該輝度信号SBBの高周波成分を補正信号SCBとして抽出し、当該補正信号SCBを増幅する。
【0214】
このため輪郭補正部51A及び51Bは、補正信号SCBを増幅する際、デジタル画像信号DSA1及びDSB1に含まれていたノイズもまた増幅してしまうこととなる。
【0215】
よって、ノイズ除去部23A及び23Bはノイズを完全には除去できない可能性がある。このため、右目用画像データDSA2及び左目用画像データDSB2にはノイズが残留する場合がある。
【0216】
ここで、上述したように複眼撮像状態においては、単眼撮像状態よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0217】
このため輪郭補正量制御部50は、複眼撮像状態の輪郭補正量を、単眼撮像状態の輪郭補正量よりも小さくするようになされている。
【0218】
これにより撮像装置101は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に、複眼撮像状態における複眼輪郭補正量最大値まで輪郭補正量を抑えることで、デジタル画像信号DSA1及びDSB1の輪郭補正処理を行い解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0219】
また、上述したように、立体感が小さい場合は大きい場合よりも許容される残留ノイズ量が小さいと言える。
【0220】
これに対し、複眼撮像状態において輪郭補正制御部50は、立体感が最大である場合には複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とし、一方立体感が最小である場合には当該複眼輪郭補正量最大値よりも小さい複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とするようにした。
【0221】
これにより撮像装置101は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に、輪郭補正量を抑えることで、デジタル画像信号DSA1及びDSB1の輪郭補正処理を行い解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0222】
[2−3.立体感の変化に対する輪郭補正量の変化]
ところで上述したように、システムコントローラ102は、複眼撮像状態においては、立体感に応じて複眼輪郭補正量最小値から複眼輪郭補正量最大値まで複眼撮像状態輪郭補正量範囲PCR(図13)の範囲内で輪郭補正量を変化させるようになされている。
【0223】
以下では、複眼撮像状態における立体感検出値の変化に対する輪郭補正量の変化について説明する。図13に示す立体感検出値と輪郭補正量との関係のように、輪郭補正量は、立体感が最小である場合の複眼輪郭補正量最小値から立体感が最大である場合の複眼輪郭補正量最大値へ向けて、輪郭補正線CCLに沿って徐々に大きくなっていく。
【0224】
ここで、例えば現在の輪郭補正量が点P10にある状態で、立体感検出値が大きくなっていく場合、輪郭補正量制御部50は、立体感検出値が点P11に達するまでは輪郭補正量を増加させず、点P11に達すると閾値線SHL11に沿うように増加させていく。
【0225】
同様に、輪郭補正量が点P10にある状態で、立体感検出値が小さくなっていく場合、輪郭補正量制御部50は、立体感検出値が点P12に達するまでは輪郭補正量を減少させず、点P12に達すると閾値線SHL12に沿うように減少させていく。
【0226】
このように立体感検出値が所定の値から変化した場合、輪郭補正量制御部50は、輪郭補正線CCLにおける現在の地点から閾値線SHL11及びSHL12までの距離である立体感閾値SHMだけ立体感検出値が変化して閾値線SHL11又はSHL12に達するまでは、輪郭補正量を変化させないようになされている。
【0227】
このように撮像装置101は、立体感検出値が多少変化しただけでは輪郭補正量を変化させないようにすることにより、視聴者が画像を視聴する際にシーンの立体感が少しでも変化する度に画面に映る被写体の輪郭の見え方が変化することを防ぎ、自然な画面表示をさせるようにすることができる。
【0228】
[2−4.単眼撮像状態と複眼撮像状態との切り替え]
第1の実施の形態と同様に、撮像装置101は、操作部3を操作されることにより同時表示モードが選択されるようになされている。
【0229】
システムコントローラ102は、図14に示すように右目用画像RYPをモニタ7の右部分に表示させると共に合成画像DPを左部分に表示させる。このとき、合成画像DPよりも右目用画像RYPの方が輪郭が強調された画像となっている。
【0230】
これにより撮像装置101は、ユーザが単眼撮像状態と複眼撮像状態とを切り替えた場合に生成した画像データにより示される画面表示を、予めユーザに提示することができる。
【0231】
このためユーザは、現在の撮像状態を切り替えるとどのような画面表示になるかを、撮像状態を切り替える以前に認識することができるため、画面に表示される被写体に適切な輪郭補正がなされるように撮像装置101における輪郭補正量を調整することができる。
【0232】
[2−5.動作及び効果]
以上の構成において、撮像装置101は、単眼撮像状態よりも複眼撮像状態の輪郭補正量を小さくするようにした。
【0233】
このため撮像装置101は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えない程度に輪郭補正量を抑えて輪郭補正処理を行うことにより、解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0234】
また、複眼撮像状態において撮像装置101は、立体感が最大である場合には複眼輪郭補正量最大値を輪郭補正量とし、一方立体感が最小である場合には当該複眼輪郭補正量最大値よりも小さい複眼輪郭補正量最小値を輪郭補正量とするようにした。
【0235】
このため撮像装置101は、立体感が大きい場合よりも低い、立体感が小さい場合の許容ノイズレベルを超えない程度に輪郭補正量を抑えて輪郭補正処理を行うことにより、解像感を向上させることができると共に、ノイズが軽減され立体感が感じられる画像データを生成することができる。
【0236】
以上の構成によれば、撮像装置101は、撮像素子12Aで被写体を撮像することにより得られたデジタル画像信号DSA1に対し輪郭補正部51Aにおいて所定の輪郭補正量で輪郭補正処理を行う右目撮像ユニットRIF1を用いる単眼撮像状態か、被写体を右目撮像ユニットRIF1及び左目撮像ユニットLIF1で撮像する複眼撮像状態かを切り替えるようにした。また撮像装置101は、複眼撮像により被写体を撮像する際は、単眼撮像により被写体を撮像する際よりも、システムコントローラ2の制御により輪郭補正量を小さくするようにした。
【0237】
このため撮像装置1は、単眼撮像状態よりも低い複眼撮像状態の許容ノイズレベルを超えないように、複眼撮像状態において画像信号に対する輪郭補正処理の度合を抑えることにより、視聴者が立体視する際に視認するノイズを軽減させることができるため、画質、解像感及び立体感の知覚のバランスが取れた高品質な画像データを生成することができる。
【0238】
<3.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、右目用画像RYPと左目用画像LYPとに基づき差分ベクトルDDISを求めることにより、立体感を検出する場合について述べた。
【0239】
本発明はこれに限らず、光軸間隔に基づき、光軸間隔が広い場合は立体感が大きいと判断すると共に、当該光軸間隔が狭い場合は立体感が小さいと判断するようにしても良い。この場合、図3に示したように、右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bに、例えばリニアエンコーダでなる光軸間隔測定センサADSを取り付けることにより、右目用鏡筒13Aと左目用鏡筒13Bとの間隔(すなわち被写体光の光軸間隔)を算出すれば良い。
【0240】
また、輻輳角に基づき、輻輳角が広い場合は立体感が大きいと判断すると共に、当該輻輳角が狭い場合は立体感が小さいと判断するようにしても良い。この場合、図4に示したように右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bに、例えばリニアエンコーダでなる輻輳角測定センサCASを2個取り付け、右目用鏡筒13A及び左目用鏡筒13Bの先端部分の間隔と後端部分の間隔との差分を算出することにより輻輳角を算出すれば良い。
【0241】
さらに、光軸間隔と輻輳角とを組み合わせ、例えば光軸間隔が広くなり且つ輻輳角が広くなった場合は立体感がさらに大きくなったと算出するようにしても良い。
【0242】
また、光軸間隔測定センサ及び輻輳角測定センサは、リニアエンコーダに限らず、例えばロータリーエンコーダやポテンショメータ等、種々のセンサにより光軸間隔及び輻輳角を算出するようにして良い。
【0243】
さらに上述した実施の形態においては、右目撮像ユニット及び左目撮像ユニットを有する撮像装置1について述べた。
【0244】
本発明はこれに限らず、例えば3つ以上の撮像ユニットを有する撮像装置において本発明を適用しても良い。この場合も、1つの撮像ユニットで撮像する場合よりも2つ以上の撮像ユニットで撮像した場合において、画像信号に対する増幅率又は輪郭補正量を下げることが望ましい。
【0245】
さらに上述した実施の形態においては、デジタル信号処理部117A及び117Bに設けられた増幅部20A及び20Bにおいて増幅処理を行い、輪郭補正部51A及び51Bにおいて輪郭補正処理を行う場合について述べた。
【0246】
本発明はこれに限らず、例えばアナログ信号処理部115A及び115B等、デジタル信号処理部117A及び117B以外において増幅処理又は輪郭補正処理を行っても良い。
【0247】
さらに上述した実施の形態においては、同時表示モードのとき、左右に並べて右目用画像RYPと合成画像DPとをモニタ7に表示させる場合について述べた。
【0248】
本発明はこれに限らず、例えば現在単眼撮像を行っている際は右目用画像RYPを大きくモニタ7に表示し、当該右目用画像RYPの隅に重ねて合成画像DPを小さく表示させるなど、種々の方法で右目用画像RYPと合成画像DPとをモニタ7に表示させて良い。
【0249】
さらに上述した第2の実施の形態においては、輝度信号SBA又はSBBから補正信号SCA又はSCBを抽出し、当該補正信号SCA又はSCBを増幅して増幅補正信号SGCA又はSGCBとし、輝度信号SBA又はSBBに加算する場合について述べた。
【0250】
本発明はこれに限らず、増幅補正信号SGCA又はSGCBが所定の振幅以上大きくならないようリミットをかけ、本来の増幅補正信号SGCA又はSGCBよりもその振幅を小さくした上で、輝度信号SBA又はSBBに加算しても良い。
【0251】
この場合、リミットとする制限値を高く設定するほど、補正輝度信号は輝度信号に対し信号レベルが急峻に立ち上がることとなる。
【0252】
さらに上述した実施の形態においては、判別部としての撮像切替部6と、増幅率最大値制御部としてのデバイス制御量分配部30とによって、制御装置としてのシステムコントローラ2及び撮像切替部6を構成する場合について述べた。
【0253】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる判別部と、増幅率最大値制御部とによって制御装置を構成するようにしても良い。
【0254】
さらに上述した実施の形態においては、判別部としての撮像切替部6と、輪郭補正量制御部としての輪郭補正量制御部50とによって、制御装置としてのシステムコントローラ102及び撮像切替部6を構成する場合について述べた。
【0255】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる判別部と、輪郭補正量制御部とによって制御装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0256】
本発明は、複数の撮像素子からなる複数の撮像ユニットを有する撮像装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0257】
1、101……撮像装置、1A、101A……単眼撮像系、1B、101B……複眼撮像系、RIF……右目撮像ユニット、LIF……左目撮像ユニット、2、102……システムコントローラ、3……操作部、4……記憶部、5……メモリ、6……撮像切替部、7……モニタ、8……レンズドライバ、9……ズームレンズ、10……絞り、11……フォーカスレンズ、12……撮像素子、13……鏡筒、14……タイミングジェネレータ、15……アナログ信号処理部、16……アナログデジタル変換部、17、117……デジタル信号処理部、18……立体感検出部、19……画像合成部、20……増幅部、21……ホワイトバランス調整部、22……ガンマ補正部、23……ノイズ除去部、30……デバイス制御量分配部、31……輝度検出部、32……輝度基準値発生部、33……輝度差分値算出部、34……露出制御量決定部、40……アクチュエータ、50……輪郭補正量制御部、51……輪郭補正部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、
上記判別部の判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御部と
を有する制御装置。
【請求項2】
上記増幅率最大値制御部は、
上記判別部により上記複眼撮像状態であると判別された際には、上記単眼撮像状態であると判別された際よりも、上記増幅率最大値を小さくする
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
上記被写体の立体感を検出する立体感検出部を
さらに有し、
上記増幅率最大値制御部は、
上記複眼撮像状態において、上記立体感検出部により検出された上記立体感が大きいほど、上記増幅率最大値を大きくする
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
上記増幅率最大値制御部は、
上記立体感が変化した際、当該立体感の変化の変化量が所定の閾値以内である場合、上記増幅率最大値を一定に保つ
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
上記増幅率最大値制御部は、
上記立体感が大きいほど、上記閾値を大きくする
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
上記立体感検出部は、
上記複眼撮像状態において用いられる一方の上記撮像ユニットが生成する第1画像と、他方の上記撮像ユニットが生成する第2画像との互いの画像における手前側被写体の位置ずれを示す手前被写体視差ベクトルと、奥側被写体の位置ずれを示す奥側被写体視差ベクトルとの差分が大きいほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸との光軸間隔が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸とが成す輻輳角が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項9】
上記撮像ユニットにより生成した画像信号に基づく画像を所定の表示部に表示させる表示制御部を
さらに有し、
上記表示制御部は、
上記単眼撮像状態において上記被写体を撮像することにより生成した画像信号に基づく画像と、上記複眼撮像状態において上記被写体を撮像することにより生成した画像信号に基づく画像とを上記表示部に表示させる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御ステップと
を有する制御方法。
【請求項11】
電子機器に対し、
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御ステップと
を実行させる制御プログラム。
【請求項12】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、
上記判別部の判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御部と
を有する制御装置。
【請求項13】
上記輪郭補正量制御部は、
上記判別部により上記複眼撮像状態であると判別された際は、上記単眼撮像状態であると判別された際よりも、上記輪郭補正量を小さくする
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
上記被写体の立体感を検出する立体感検出部を
さらに有し、
上記輪郭補正量制御部は、
上記複眼撮像状態において、上記立体感検出部により検出された上記立体感が大きいほど、上記輪郭補正量を大きくする
請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
上記輪郭補正量制御部は、
上記立体感が変化した際、当該立体感の変化の変化量が所定の閾値以内である場合、上記輪郭補正量を一定に保つ
請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
上記立体感検出部は、
上記複眼撮像状態において用いられる一方の上記撮像ユニットが生成する第1画像と、他方の上記撮像ユニットが生成する第2画像との互いの画像における手前側被写体の位置ずれを示す手前被写体視差ベクトルと、奥側被写体の位置ずれを示す奥側被写体視差ベクトルとの差分が大きいほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸との光軸間隔が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項18】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸とが成す輻輳角が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項19】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御ステップと
を有する制御方法。
【請求項20】
電子機器に対し、
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御ステップと
を実行させる制御プログラム。
【請求項1】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、
上記判別部の判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御部と
を有する制御装置。
【請求項2】
上記増幅率最大値制御部は、
上記判別部により上記複眼撮像状態であると判別された際には、上記単眼撮像状態であると判別された際よりも、上記増幅率最大値を小さくする
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
上記被写体の立体感を検出する立体感検出部を
さらに有し、
上記増幅率最大値制御部は、
上記複眼撮像状態において、上記立体感検出部により検出された上記立体感が大きいほど、上記増幅率最大値を大きくする
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
上記増幅率最大値制御部は、
上記立体感が変化した際、当該立体感の変化の変化量が所定の閾値以内である場合、上記増幅率最大値を一定に保つ
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
上記増幅率最大値制御部は、
上記立体感が大きいほど、上記閾値を大きくする
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
上記立体感検出部は、
上記複眼撮像状態において用いられる一方の上記撮像ユニットが生成する第1画像と、他方の上記撮像ユニットが生成する第2画像との互いの画像における手前側被写体の位置ずれを示す手前被写体視差ベクトルと、奥側被写体の位置ずれを示す奥側被写体視差ベクトルとの差分が大きいほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸との光軸間隔が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸とが成す輻輳角が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項9】
上記撮像ユニットにより生成した画像信号に基づく画像を所定の表示部に表示させる表示制御部を
さらに有し、
上記表示制御部は、
上記単眼撮像状態において上記被写体を撮像することにより生成した画像信号に基づく画像と、上記複眼撮像状態において上記被写体を撮像することにより生成した画像信号に基づく画像とを上記表示部に表示させる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御ステップと
を有する制御方法。
【請求項11】
電子機器に対し、
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号の増幅率の最大値である増幅率最大値を変化させる増幅率最大値制御ステップと
を実行させる制御プログラム。
【請求項12】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別部と、
上記判別部の判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御部と
を有する制御装置。
【請求項13】
上記輪郭補正量制御部は、
上記判別部により上記複眼撮像状態であると判別された際は、上記単眼撮像状態であると判別された際よりも、上記輪郭補正量を小さくする
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
上記被写体の立体感を検出する立体感検出部を
さらに有し、
上記輪郭補正量制御部は、
上記複眼撮像状態において、上記立体感検出部により検出された上記立体感が大きいほど、上記輪郭補正量を大きくする
請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
上記輪郭補正量制御部は、
上記立体感が変化した際、当該立体感の変化の変化量が所定の閾値以内である場合、上記輪郭補正量を一定に保つ
請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
上記立体感検出部は、
上記複眼撮像状態において用いられる一方の上記撮像ユニットが生成する第1画像と、他方の上記撮像ユニットが生成する第2画像との互いの画像における手前側被写体の位置ずれを示す手前被写体視差ベクトルと、奥側被写体の位置ずれを示す奥側被写体視差ベクトルとの差分が大きいほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸との光軸間隔が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項18】
上記立体感検出部は、
一方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸と、他方の上記撮像ユニットにおける被写体光の光軸とが成す輻輳角が広いほど、上記立体感が大きいと検出する
請求項14に記載の制御装置。
【請求項19】
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御ステップと
を有する制御方法。
【請求項20】
電子機器に対し、
撮像素子で被写体を撮像することにより画像信号を得る撮像ユニットを、単数用いて撮像を行う単眼撮像状態か、複数用いて上記撮像を行う複眼撮像状態かを判別する判別ステップと、
上記判別ステップの判別結果に基づいて、上記画像信号に対して輪郭補正を行うための輪郭補正量を変化させる輪郭補正量制御ステップと
を実行させる制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−142749(P2012−142749A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293359(P2010−293359)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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