制御装置、画像形成装置、及び制御方法
【課題】テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現する。
【解決手段】画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索してから(S5)、画像情報に基づいて形成した多次色トナー像における複数の測色適応領域をそれぞれ測色し(S6)、複数の測色結果について色分を求めた結果に基づいて、その差分をより小さくするように階調再現曲線TRCを補正し(S13)、且つ、その補正に先立って、複数の測色結果における色分布上での偏りの有無を判定し(S10)、偏りがある場合には、互いにトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を4色分形成し、それぞれのテストトナー像のトナー付着量を検知した結果を色情報に変換して、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える(S11)。
【解決手段】画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索してから(S5)、画像情報に基づいて形成した多次色トナー像における複数の測色適応領域をそれぞれ測色し(S6)、複数の測色結果について色分を求めた結果に基づいて、その差分をより小さくするように階調再現曲線TRCを補正し(S13)、且つ、その補正に先立って、複数の測色結果における色分布上での偏りの有無を判定し(S10)、偏りがある場合には、互いにトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を4色分形成し、それぞれのテストトナー像のトナー付着量を検知した結果を色情報に変換して、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える(S11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、並びにこれに用いられる制御装置や制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によってトナー像を形成する画像形成装置においては、温湿度等の環境が変化したり、連続プリント動作を長期間に渡って実施したりすると、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量が変化して画像濃度を変動させてしまうことがある。カラー画像を形成するカラー画像形成装置では、複数の1次色でそれぞれトナー付着量が変動すると、多次色の色調(例えばL*a*b*表色系におけるL*値とa*値とb*値との組合せ)が乱れてしまう。具体的には、カラー画像形成装置によって再現される色は、1次色と多次色とに大別される。1次色は、1種類のトナーだけによって表現される色である。例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)という4種類のトナーを用いる構成においては、Y,M,C,Kトナーのうち、何れか1つだけによって表現される色が1次色である。これに対し、多次色は、2種類以上のトナーを使用して表現される色である。多次色については、複数の1次色トナー像を重ねることで再現するのであるが、それぞれの1次色トナー像に対するトナー付着量が変動すると、それらの重ね合わせによる多次色トナー像の色調が乱れてしまうのである。
【0003】
そこで、特許文献1や特許文献2において、Y,M,C,Kの各1次色についてそれぞれ、次のような処理を定期的に行う画像形成装置が提案されている。即ち、1次色の画像データの入力濃度値と出力濃度値との関係を示す階調再現曲線TRC(Tone Reproduction Curve)をデータ記憶部に記憶している。入力濃度値をこの階調再現曲線TRCに従って補正して出力すれば、オリジナルの色調を良好に再現した1次色のトナー像を形成することが可能であるが、環境変動等によって作像性能が変化すると、1次色の再現精度が低下してしまう。そこで、定期的なタイミングで、特定の多次色のテストトナー像を記録シートに形成するテストプリントを行い、テストプリント紙上におけるテストトナー像の色を分光計によって測色した結果と本来の色との差分を算出する。そして、その差分と、現状の階調再現曲線TRCとに基づいて、測色結果を本来の色に一致させるのに必要となる補正量をそれぞれ求める。そして、その補正量に基づいて階調再現極性TRCを補正する。このような処理をY,M,C,Kについてそれぞれ定期的に実施することで、長期間に渡って安定した色調の多次色トナー像を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる構成では、ユーザーの命令に基づく画像を出力したプリント紙とは別に、テストトナー像を出力したテストプリント紙を排出することになるため、両者の仕分け作業をユーザーに強いることになる。このような仕分け作業は非常に手間がかかるので、テストトナー像を出力する構成を採用することは現実的ではない。
【0005】
そこで、本発明者らは、次のような画像形成装置を開発中である。即ち、まず、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理を実施する。また、画像情報に基づいて実際に形成した多次色トナー像の全領域のうち、領域探索処理によって特定した複数の測色適応領域をそれぞれ分光計によって測色して複数の測色結果を得る。データ記憶手段には、Y,M,C,Kについてそれぞれ階調再現曲線TRCを制御パラメータとして記憶している。これら階調再現曲線TRCと、複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果とに基づいて、色の差分をより小さくするための曲線補正量を決定する。そして、決定した曲線補正量に基づいて階調再現曲線TRCを補正する。このような処理をY,M,C,Kについてそれぞれ行う。かかる構成においては、ユーザーの命令に基づいて出力したプリント紙の画像の測色適応領域を測色した結果に基づいて、階調再現曲線TRCを適切に補正することで、テストプリント紙を出力することなく、多次色を精度良く再現することができる。よって、テストプリントの仕分け作業をユーザーに強いることなく、長期間に渡って安定した色調の多次色トナー像を形成することができる。
【0006】
ところが、この開発中の画像形成装置については、次のような改良の余地が残されていた。即ち、ユーザーの命令に基づいて出力する画像は、色の分布が偏っていることがある。色の分布に偏りのある画像では、特定の色調について測色結果が得られないことから、その色調に対応する階調再現曲線箇所を適切に補正することができずに、その色調の再現性を悪化させてしまうおそれがある。
【0007】
これまで、制御パラメータとして階調再現曲線TRCを補正する画像形成装置において生ずる問題について説明してきたが、次のような画像形成装置においても、同様の問題が生じ得る。即ち、現像バイアスや潜像書込強度など、階調再現曲線とは異なる制御パラメータを補正して色再現性の安定化を図る画像形成装置である。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置、並びにこれに用いられる制御装置及び制御方法を提供することである。即ち、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、前記1つの潜像担持体あるいは前記複数の潜像担持体の表面に対して、自らの表面を無端移動させる表面無端移動体を対向させつつ、前記1つの潜像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、を備える画像形成装置に搭載され、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置であって、前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、且つ、前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、次に説明する理由により、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる。
多次色を測色するためのテストトナー像をテストプリント紙に形成して測色を行う代わりに、ユーザーの命令に基づいて出力した画像を測色し、測色結果に基づいて制御パラメータを補正する。これにより、テストプリント紙を発生させることなく、制御パラメータを測色結果に基づいて適切に補正する。また、ユーザーの命令に基づいて出力した画像に色の分布の偏りがあることで、特定の色について測色結果が不足してしまう場合には、制御パラメータの補正に先立って、次のような処理を行う。即ち、複数の1次色についてそれぞれ、階調パターン像を表面無端移動体の表面に形成し、階調パターン像における各テストトナー像に対するトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知し、得られた検知結果をそれぞれ色情報に変換する。そして、変換結果をそれぞれ測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える。これにより、実際の測色だけでは不足してしまう色の測色結果を、階調パターン像に対するトナー付着量の検知結果を色情報に変換した結果で補うことで、測色できなかった色の再現性の悪化を回避する。かかる構成では、テストプリント紙を発生させたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、制御パラメータの補正を適切に行うことが可能であるので、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの画像形成ユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのトナー付着量検知センサーを示す拡大構成図。
【図4】同プリンタにおける各部の電気的な接続を示すブロック図。
【図5】同プリンタのプリコントローラ内の要部回路と、演算部内で行われる各種の処理との関係を示すブロック図。
【図6】同演算部によって定期的に実施される制御における一部の処理フローを示すフローチャート。
【図7】ユーザーから供される画像情報によって表される画像の一例を示す模式図。
【図8】同画像、及びそれから探索された測色適応領域を示す模式図。
【図9】同演算部によって実施される色分布偏り判定処理において作成されるヒストグラムの一例を示す図。
【図10】同演算部によって実施される測色データ補足処理で形成される階調パターン像を示す拡大模式図。
【図11】時間tとt+1の各階調再現曲線と補正量δを示す特性図。
【図12】Y,M,C,Kの各1次色と、4次元色空間における濃度との関係を示す模式図。
【図13】階調再現曲線TRC制御点と変動量との一例を示すグラフ。
【図14】単調増加凹関数を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成について説明する。実施形態に係る画像形成装置は、請求書などの大量のカラードキュメントを高速に出力するカラーオンデマンドプリントを実現するカラープロダクションプリンタである。このようなカラープロダクションプリンタは、例えば数千万件分の電話料金の請求書や領収書を1週間程度で発行するような場合に利用されるものであって、1週間という期間で昼夜を問わない状況で連続印刷を行う(言い換えれば、1分間に数百枚の高速プリントを数十時間の単位で連続運転する)。
【0013】
図1は、実施形態に係るカラープロダクションプリンタ100(以下、単にプリンタ100という)の要部を示す概略構成図である。この図1においては、プリンタ100の全体のうち、露光、帯電、現像、転写、定着を行う電子写真のプロセスを用いた画像形成工程部分(プロセスエンジン部)のみを示している。プリンタ100には、図1に示した構成部材の他に、記録材である記録シート115の供給を行う給紙装置、記録シート115を手差し給紙させるための手差しトレイ、及び画像形成済みの記録シート115が排紙される排紙トレイなど(いずれも図示せず)が設けられている。
【0014】
プリンタ100には、表面無端移動体である無端ベルト状の中間転写ベルト105が設けられている。中間転写ベルト105は、4つの支持ローラ112、113、114、119に張架された状態で、駆動ローラとしての機能を有する支持ローラ112の回転駆動によって図中反時計周り方向に無端移動せしめられる。
【0015】
中間転写ベルト105のおもて面(ループ外面)における周方向の全域のうち、鉛直方向下方を向いている領域分には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色用の4つの画像形成ユニット103Y,C,M,Kが配設されている。これら画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が、互いにほぼ同じ構成になっている。なお、符号の末尾に付したY,C,M,Kという添字は、Y,C,M,K用の部材や装置であることを示している。
【0016】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、ドラム状の感光体101Y,C,M,K、現像装置102Y,C,M,K、感光体を一様帯電せしめる帯電装置などを具備している。中間転写ベルト10のループ内において、感光体101Y,C,M,Kとベルトを介して対向する位置には、1次転写ローラ106Y,C,M,Kが配設されており、ベルトを感光体101Y,C,M,Kに押圧している。これにより、感光体101Y,C,M,Kと中間転写ベルト105とが当接するY,C,M,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0017】
中間転写ベルト105の上方には、現像装置102Y,C,M,K内に補給するためのY,C,M,Kトナーを収容するトナーボトル104Y,C,M,Kが配設されている。
【0018】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kの帯電装置は、像担持体としての感光体101Y,C,M,Kの表面をトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめるものである。同図においては、帯電装置として、帯電バイアスが印加される帯電ブラシローラを感光体101Y,C,M,Kに当接又は近接させたものを例に示しているが、スコロトロンチャージャーなど、他の構成の帯電装置を用いてもよい。
【0019】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kの下方には、潜像書込ユニット200が設けられている。この潜像書込ユニット200は、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、図示しない半導体レーザーを駆動してY,M,C,K用の書込光Lbを出射しながら、図示しないポリゴンミラーによってそれら書込光Lbを主走査方向に偏向せしめて、潜像担持体としての感光体101Y,C,M,Kを光走査する。これにより、一様帯電後の感光体101Y,C,M,Kの表面にY,C,M,K用の静電潜像を書き込む。なお、光源は半導体レーザーに限られるものではなく、例えばLED(light emitting diode)であってもよい。
【0020】
以下、画像形成ユニット103Y,C,M,Kの構成について、図2を参照しながら説明する。4つの画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっており、図2においては、4つのうち、何れか1つだけを示している。どの色のユニットであるのかを限定せずに、符号の末尾の添字(Y,C,M,K)を省略している。また、以下の説明においても、符号の末尾の添字(Y,C,M,K)の表記を省略している。
【0021】
画像形成ユニット103は、感光体101の周囲に、感光体101を帯電する帯電装置301、現像装置102、感光体クリーニング装置311などを具備している。中間転写ベルト105のループ内において、ベルトを介して感光体101に対向する位置には、1次転写ローラ106が配設されている。1次転写ローラ106の代わりに、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャーなどを採用してもよい。
【0022】
帯電装置301は、帯電ローラを採用した接触帯電方式のものであり、感光体101に接触して電圧を印加することにより感光体101の表面を一様に帯電する。この帯電装置301には、非接触のスコロトロンチャージャーなどを採用した非接触帯電方式のものも採用できる。
【0023】
現像装置102は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する図示しない現像剤を内包している。現像剤としては一成分現像剤を使用してもよい。現像装置102は、現像ケース内に設けられた攪拌部303と現像部304とに大別できる。攪拌部303では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての現像スリーブ305上に供給される。
【0024】
攪拌部303には、平行な2本のスクリュウ306が設けられている。これら2本のスクリュウ306の間には、両端部で互いが連通するように仕切るための仕切り板309が設けられている。また、現像スリーブ305や2本のスクリュウ306などを収納する現像ケース308には、現像装置102内の現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサー418が取り付けられている。一方、現像部304では、現像スリーブ305に付着した現像剤のうちのトナーが感光体101に転移される。
【0025】
現像部304には、現像ケースの開口を通して感光体101と対向する現像スリーブ305が設けられており、その現像スリーブ305内には図示しないマグネットが固定配置されている。また、現像スリーブ305に先端が接近するようにドクタブレード307が設けられている。本実施の形態では、このドクタブレード307と現像スリーブ305との間の最接近部における間隔が0.9[mm]となるように設定されている。この現像装置102では、現像剤を2本のスクリュウ306で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ305に供給する。現像スリーブ305に供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げて保持される。現像スリーブ305に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ305の回転に伴って搬送され、ドクタブレード307により適正な量に規制される。規制された現像剤は攪拌部303に戻される。
【0026】
このようにして感光体101と対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ305に印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体101上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体101上の静電潜像部分に転移し、感光体101上の静電潜像は可視像化され、トナー像が形成される。現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ305から離れ、攪拌部303に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部303内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサー418が検出し、その検出結果に基づいて攪拌部303にトナーが補給される。
【0027】
感光体クリーニング装置311は、クリーニングブレード312の先端を感光体101に押し当てられるように配置される、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード312を備えている。また、本実施形態では、クリーニング性能を高めるために感光体101に接触する導電性のファーブラシ310を併用している。このファーブラシ310には、図示しない金属製の電界ローラからバイアスが印加されており、その電界ローラには図示しないスクレーパの先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレード312やファーブラシ310により感光体101から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置311の内部に収容され、図示しない廃トナー回収装置にて回収される。
【0028】
感光体101は、所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動される。また、現像スリーブ305は、所定の線速で図中反時計回り方向に回転駆動される。帯電装置301により、感光体101の表面は例えば−700Vに一様帯電され、潜像書込ユニット200による光走査によって書き込まれた静電潜像の電位は、−120[V]程度である。現像スリーブ305に対して印加される現像バイアスは−470[V]であり、これにより、静電潜像と現像スリーブ305との間に350[V]の現像ポテンシャルが作用する。このようなプロセス条件は電位ポテンシャル制御の結果によって適時変更される。
【0029】
画像形成ユニット103においては、回転駆動される感光体101の表面が帯電装置301によって一様帯電せしめられる。そして、プリントコントローラ410(図4参照)からの画像情報に基づいて、潜像書込ユニット200が書込光Lbによる光走査を行って感光体101の表面に静電潜像を書き込む。この静電潜像は、現像装置102によって現像されてY、M、C又はKの1次色からなる1次色トナー像になる。この1次色トナー像は、1次転写ニップ内で感光体101の表面から中間転写ベルト105のおもて面に1次転写される。1次転写ニップを通過した後の感光体101の表面に付着している転写残トナーは、感光体クリーニング装置311により除去される。
【0030】
先に示した図1において、画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、以上のようなプロセスにより、感光体101Y,C,M,Kの表面にY,C,M,Kトナー像を形成する。これらY,C,M,Kトナー像は、Y,M,C,K用の1次転写ニップで中間転写ベルト105のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト105のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0031】
中間転写ベルト105のループ外には、中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ112に対する掛け回し箇所に対して当接して2次転写ニップを形成している2次転写ローラ108が配設されている。この2次転写ローラ108には、トナーの帯電極性と逆極性の2次転写バイアスが印加される。2次転写ニップの下方には、レジストローラ対が配設されており、これは中間転写ベルト105の4色重ね合わせトナー像に同期させるタイミングで、記録シート115を2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップに進入した記録シートには、2次転写バイアスやニップ圧の作用により、中間転写ベルト105上の4色重ね合わせトナー像が記録シート上に一括2次転写される。そして、4色重ね合わせトナー像は、記録シート115の白色と相まってフルカラートナー像になる。なお、2次転写ローラ108の代わりに、スコロトロンチャージャーなどを用いてもよい。
【0032】
2次転写ローラ108の図中上方には、記録シート115上に転写されたフルカラートナー像を記録シート115に定着させるため定着装置111が設けられている。この定着装置111は、加熱ローラ117に加圧ローラ118を押し当てた構成となっている。また、定着装置111は、加熱ローラ117と圧ローラ118との当接による定着ニップを通過した後の記録シートPに形成されているフルカラートナー像を被検対象として測色を行う測色手段としての分光計109を有している。かかる分光計109としては、特開2005−315883号公報で開示されているものを例示することができる。
【0033】
ベルトループ外には、ベルトクリーニング装置110が配設されている。このベルトクリーニング装置110は、中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ113に対する掛け回し箇所に当接している。そして、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト105に付着しているトナーを除去する。
【0034】
中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ112に対する掛け回し箇所であって且つ2次転写ニップよりもベルト移動方向の下流側の領域には、トナー付着量検知センサー120が、ベルトおもて面に対して所定の間隙を介して対向している。このトナー付着量検知センサー120は、自らの直下を後述の階調パターン像が通過する際に、その階調パターン像に具備されるテスト用トナー像に対するトナー付着量に応じた反射射光量を受光する。
【0035】
図3は、トナー付着量検知センサー120を示す拡大構成図である。同図において、トナー付着量検知センサー120は、発光素子としてのLED120a、正反射型受光素子120b、拡散反射型受光素子120c等を有している。なお、発光素子として、LEDに代えてレーザー発光素子等を用いてもよい。また、正反射型受光素子120b、拡散反射型受光素子120cとしては、何れもフォトトランジスタを用いているが、フォトダイオードや増幅回路等からなるものを用いてもよい。
【0036】
LED120aから発せられた赤外光は、透明な検知窓120dを透過した後、中間転写ベルト105のおもて面に形成されたテスト用トナー像に到達する。そして、赤外光の一部は、テスト用トナー像の表面で正反射して正反射光になった後、検知窓120dを再透過して正反射型受光素子120bに受光される。正反射型受光素子120bは、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値は、後述する本体制御部に入力されて、A/D変換回路によってデジタルデータに変換される。また、赤外光の他の一部は、テスト用トナー像の表面で拡散反射して拡散反射光となった後、検知窓120dを再透過して拡散反射型受光素子120cに受光される。拡散反射型受光素子120c、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値も、図示しない本体制御部にμ力されて、デジタルデータに変換される。
【0037】
図4は、プリンタ100における各部の電気的な接続を示すブロック図である。プリンタ100は、制御装置として機能する本体制御部406を備えており、この本体制御部406が各部を駆動制御することにより電子写真のプロセスを用いた画像形成動作を制御する。本体制御部406は、各種演算や各部の駆動制御を実行する演算部402にバスライン409を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)405と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)403とが接続されている。なお、演算部402は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されている。
【0038】
本体制御部406は、トナー付着量センサー120、色測定手段である分光計109、トナー濃度センサー418、温湿度センサー417等からの情報をデジタルデータに変換するA/D変換回路401も備えており、A/D変換回路401は演算部402にバスライン409を介して接続されている。
【0039】
本体制御部406には、PC(Personal Computer)411、スキャナ412、FAX(Facsimile)413等から送られた画像データを処理して露光データに変換するプリントコントローラ410が接続されている。また、本体制御部406には、モータやクラッチ415を駆動する駆動回路414が接続されている。さらに、本体制御部406には、エンジン部(画像形成ユニット103Y,C,M,K、1次転写装置106、潜像書込ユニット200、2次転写ローラ108、及び定着装置111)に画像形成に必要な電圧を発生する高圧発生装置416も接続されている。
【0040】
プリント指令を受けた本体制御部406の演算部402は、ROM405のコンピュータプログラムに従うことにより、電子写真のプロセスを用いた画像形成制御処理を実行する。より詳細には、本体制御部406の演算部402は、駆動回路414を介してモータやクラッチ415を駆動させ、支持ローラ112が回転駆動して中間転写ベルト105が回転駆動する。また、本体制御部406の演算部402は、これと同時に、駆動回路414および高圧発生装置416を介して電子写真のプロセスを用いたエンジン部(画像形成ユニット103、1次転写装置106、潜像書込ユニット200、2次転写ローラ108、定着装置111)を駆動する。
【0041】
演算部402は、上述のようにして中間転写ベルト105上に形成された4色重ね合わせトナー像が2次転写ニップに進入するタイミングに合わせて駆動回路414を介してモータやクラッチ415を駆動させて給紙装置(図示せず)を制御して記録シート115の供給を行う。給紙装置から供給された記録シート115は、中間転写ベルト105と2次転写ローラ108との間に送り込まれ、2次転写ローラ108により、中間転写ベルト105上の合成トナー像が記録シート115上に2次転写される。その後、記録シート115は、2次転写ローラ108に吸着した状態で定着装置111まで搬送され、定着装置111で熱と圧力が加えられてトナー像の定着処理が行われる。定着装置111を通過した記録シート115は、排紙トレイ(図示せず)に排出されスタックされる。なお、2次転写後の中間転写ベルト105上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置110により除去される。
【0042】
図5は、プリコントローラ410内の要部回路と、演算部402内で行われる各種の処理との関係を示すブロック図である。プリンタ100によってPC411からの情報に従って印刷を行う場合、PC411にインストールされているプリンタドライバが用いられて画像データを含む印刷情報がPC411から送信される。プリントコントローラ410は、PC411から送信された画像データ(RGB方式)を含む印刷情報を受信すると、画像データに対して所定の処理を施してから、上記エンジン部に出力する。具体的には、まず、3D−LUT処理部410aにおいて、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)方式で色調を表現する画像データを、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)方式で色調を表現する画像データに変換する。次いで、変換後の画像データに対して、UCR/GCR処理部410bにより、UCR(Under Cover Removal)処理、又はGCR(Grey Component Replacement)処理を施して、Y,C,M,Kの4つの色分解画像データを得る。それらの色分解画像データの値を、入力値補正処理部410cによってエンジン部の特性に応じた値に補正する。
【0043】
入力値補正処理部410cは、Y,C,M,K用の階調再現曲線TRC(Tone Reproduction Curve)を記憶している。階調再現曲線TRCは、色分解画像データの入力濃度値(網点画像の場合、入力画像のドット面積率)CInと、その入力濃度値CInに従ってエンジン部が形成する1次色画像の出力濃度値DOutとの関係を示す曲線である。入力濃度値CInと出力濃度値DOutとの関係が比例関係となることが理想的であるが、実際には非線形となってしまう。そこで、階調補正では、出力の最低濃度(0)と最高濃度とを結んだ直線を理想特性とし、入力濃度値CInに対する理想的な出力濃度値DOutをその理想特性から求め、出力濃度値DOutを実現するのに必要な入力濃度値を求め、これを補正後の濃度値として出力する。かかる処理を実施する入力値補正処理部410cに記憶されているY,C,M,K用の階調再現曲線TRCを必要に応じて補正することで、環境変動等によって作像性能を変化させてしまったエンジン部においても、再現性に優れた多次色トナー像を形成することが可能になる。
【0044】
入力値補正処理部410cによって補正されたY,C,M,Kの色分解画像データは、中間調処理部410dによって中間調を再現するためのデータに変換された後、エンジン部に出力される。
【0045】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図5に示されるように、演算部402は、領域探索処理、パラメータ補正処理、補正量決定処理、色分布偏り判定処理、測色データ補足処理、測色処理、サンプリング色データベース構築処理などを実施する。
【0046】
図6は、演算部402によって定期的に実施される制御における一部の処理フローを示すフローチャートである。この処理フローでは、ユーザーによってプリント命令がなされると、印刷枚数カウント値Tをゼロにリセットする(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、全てのページを出力するまで(S2でYesになるまで)、S3からS14の各工程を繰り返し実施する。
【0047】
S3〜S14においては、まず、印刷枚数カウント値Tを1つ繰り上げた後(S3)、作像処理を実施する(S4)。この作像処理は、1ページ分の画像を1枚の記録シートに形成するための処理である。作像処理を終えると、作像処理を行ったページの画像データに基づいて、画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理を実施した後、実際に画像を形成した記録シートの全域のうち、領域探索処理で特定した測色適応領域を測色するための測色処理を実施する(S6)。測色は、定着装置111を通過した後の記録シートの画像定着面に対向する分光計109によって行われる。分光計109による測色は、記録シートの全域に対してなされ、その結果が本体制御部406に送られてRAM403に一時記憶される。測色処理は、全領域の測色結果の中から、測色適応領域に対応する測色結果だけを抽出して記憶する処理である。
【0048】
演算部402は、測色処理を終えると、次に、RAM403に記憶しているサンプリング色データベースに、オリジナルの色と測色結果とを関連付けて入力する(S7)、そして、印刷枚数カウント値Tについて所定の周期定数P0で割り切れるか否かを判定する(S8)。周期定数P0は、制御パラメータとしての、プリコントローラ410に記憶されているY,C,M,Kの階調再現曲線TRCに対して、補正を行うタイミングを決定するための数値である。周期定数P0と同じ枚数のプリントが行われる毎に、階調再現曲線TRCの補正が行われるようになっている。S9〜S14においては、階調再現曲線TRCの補正を行うためのフローである。よって、S8において、割り切れると判断された場合だけS9〜S14のフローが行われ、割り切れないと判断された場合には、制御フローがS2にループされる。
【0049】
S9〜S14において、演算部402は、まず、サンプリングデータベースからデータを読み込む(S9)。そして、サンプリングデータベースに入力されている複数の測色結果に基づいて色分布を解析した後、色分布について偏っているか否かを判定する(S10:色分布偏り判定処理)。次いで、偏っていないと判定した場合には(S10でN)、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、サンプリングデータベースから読み込んだ測色結果と、オリジナルの色と、現状の階調再現曲線とに基づいて、曲線補正量を決定する(S12:補正量決定処理)。また、偏っていると判定した場合には(S10でY)、測色データを補足するための測色データ補足処理を行った後(S11)、補足した測色データと、サンプリングデータベースから読み込んだ測色結果と、オリジナルの色と、現状の階調再現曲線とに基づいて、曲線補正量を決定する(S12:補正量決定処理)。その後、Y,C,M,Kについてそれぞれ、決定した曲線補正量に基づいて階調再現曲線TRCを補正した後(S13:パラメータ補正処理)、サンプリングデータベースをクリアしてから(S14)、制御フローをS2に戻す。
【0050】
領域探索処理(S5)では、プリコントローラ410のUCR/GCR処理部410bから送られてくるY,C,M,Kの色分解画像データに基づいて、それら色分解画像データによって表現される多次色画像の全領域のうち、どの領域を測色対象となる測色適応領域にするのかを探索する。
【0051】
測色適応領域の探索については、次のようにして行われる。即ち、画像情報によって表される画素マトリクスの所定位置にある画素を注目画素とし、その注目画素を中心とする所定サイズの領域を部分領域として抽出する。例えば、初回の抽出においては、例えば200dpiの解像度の画素マトリクスにおける左上から21列目で且つ21行目の画素を注目画素とし、この注目画素を中心とする41画素×41画素の5mm角程度の領域を部分領域として抽出する(300dpiでは一辺61画素の正方形に相当)。そして、抽出した部分領域における各画素の画素値(C,M,Y,K)を参照しながら、その部分領域全体としての濃淡の平坦さを示す平坦度を算出する。
【0052】
平坦度としては、様々な算出法によって求められたものを用いることが可能である。平坦度の第1例としては、次のような算出法によって求められたものを挙げることができる。即ち、まず、C,M,Y,Kについてそれぞれ、各画素の分散を求める。次いで、その分散の和に負の符号をつけたものを部分領域内の平坦度として求めるのである。
【0053】
平坦度の第2例として、分散共分散行列の行列式を挙げることができる。具体的には、C,M,Y,Kについてそれぞれ、部分領域内の各画素における分散と共分散を求める。次いで、分散を対角成分に、共分散を非対角成分に配置した4×4の分散共分散行列を構築し、その行列式を計算する。そして、行列式の値に負の符号を付けたものを平坦度として求めてもよい。分散共分散行列の行列式を用いることで、CMYK空間での分布の広がりを評価することができるからである。先に説明した第1例の平坦度に比べて、異なる成分間の色の広がりも評価することができる点が優れている。
【0054】
平坦度の第3例として、色の周波数特性を利用したものを挙げることができる。具体的には、部分領域内の各画素値を用いてフーリエ変換を行い、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を求める。この和に負の符号を付けて平坦度とする。特定周波数については複数の周波数を用いることができる。第1例の平坦度では、中間調処理された画像に対しては中間調処理のパターンの影響を受けて、平坦である領域を識別できないケースがある。これに対し、第3例の平坦度では、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を用いることで、中間調処理の影響を排した平坦度を算出することができる。平坦度は、これまで説明した第1例〜第3例のものに限られるものではなく、公知の平坦度算出技術を用いることが可能である。
【0055】
演算部402は、抽出した部分領域の平坦度を求めると、次に、全ての部分領域を抽出したか否か(画像の全領域について部分領域の抽出が完了したか否か)、を判断する。そして、まだ抽出していない部分領域があると判断した場合には、注目画素の位置を右方向に1画素分だけずらして、それを中心とする41画素×41画素の5mm角程度の領域を部分領域として抽出する。そして、同様にして、抽出した部分領域の色の平坦度を算出する。以降、3、4、5・・・n個目の部分領域の抽出の際に、それぞれ注目画素の位置を右方向に1画素分だけずらしていく。そして、注目画素の列方向の位置をマトリクスの右端から左に向けて21番目の位置までずらした後は、注目画素の列方向の位置をマトリクスの左端から右に向けて21番目の位置まで戻すとともに、行方向の位置を1画素分だけ下方向にずらす。その後、注目画素の位置を1画素分ずつ右にずらす処理を繰り返す。以上のようにして、注目画素の位置をラスタ走査のように順次ずらしていって、画像の全領域を網羅する。
【0056】
なお、注目画素を1画素分ずつずらすのではなく、抽出した部分領域同士の縁部を互いに重ねないように各部分領域を抽出してもよい。例えば、21列目、21行目の注目画素を中心とする41画素×41画素の大きさの部分領域を抽出した後には、62列目、62行目の注目画素を中心とする41画素×41画素の大きさの部分領域を抽出するのである。
【0057】
画像の全領域からの部分領域の抽出や平坦度の算出を行うと、全ての部分領域の中から平坦度の最も優れたものを特定し、その平坦度について、所定の基準平坦度よりも優れているか否かを判定する。そして、優れている場合には、その部分領域を測色に適した測色適応領域とする。
【0058】
このような領域探索処理(S5))により、例えば、図7に示すような画像の場合には、例えば、図8に示されるA1〜A27の27個の測色適応領域が探索される。
【0059】
測色処理(S6)では、領域探索処理で特定した測色適応領域の色(L*a*b*)を測定し、測色データをRAM403内のサンプリング色データベースに保存する。このサンプリング色データベースは、t枚目での出力画像について、サンプリング位置・色:S(t)、L*a*b*目標値:R(t)、出力画像の測定値:M(t)を保存する。複数枚のトナー像を測色して、各測色データをサンプリング色データベースに保存することにより、濃度が高い色から低い色まで万遍なく、かつ大量の画像情報を使うことができる。よって、階調再現曲線の滑らかさを保持して、かつ理想の階調再現曲線との差の変動を抑制することができる。そのため、視認できるような階調の不連続が生じたり、補正の前後で視認できるような色変動が生じたりすることを防ぐことができる。
【0060】
t枚目での出力画像において、サンプリング位置・色:S(t)、L*a*b*目標値:R(t)、出力画像の測定値:M(t)について以下に概説する。
サンプリング位置・色:S(t)について、領域探索処理で、t枚目での出力画像について決定したN(t)個のサンプリングする位置・色:S(t)は、次の数1の式(1)で表され、サンプリング色データベースに保存される。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで、(xi(t),yi(t))は、時間tにおいて、出力画像上のi番目のサンプリング位置(測定の中心点の座標)、(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))は対応するデジタルデータでのCMYK濃度である。
【0063】
また、L*a*b*目標値:R(t)について、プリコントローラ410によって元の画像データ(RGB)から上記S(t)に記録されているサンプリング位置を参照して決められるL*a*b*目標値R(t)は次の数2の式(2)で表され、これは演算部402に送られてサンプリング色データベースに保存される。
【0064】
【数2】
【0065】
数2の式で、
【数3】
は、時間tにおいて出力画像上のi番目のサンプリング位置(xi(t),yi(t))におけるRGB値を変換して得られるL*a*b*目標値である。
【0066】
出力画像の測定値:M(t)について、上記S(t)に記録されているサンプリング位置を参照しながら測色処理によって得られた測定値M(t)は次の数4の式(3)で表され、サンプリング色データベースに保存される。
【0067】
【数4】
【0068】
数4の式における、(Li(t),ai(t),bi(t))は、時間tにおいて出力画像上のi番目のサンプリング位置(xi(t),yi(t))におけるL*a*b*測定値である。
【0069】
色分布偏り判定処理(S10)では、取得された測色データのサンプリング色S(t),S(t−1)・・・,S(t−P0+1)に基づいて、Y,M,C,Kの分布を調べる。例えば、Cについては、他のY,M,K成分の値を除去して分布を算出する。同様にして、Y,M,Kについても他の単色成分の値を除去して分布を算出する。そして、それらの算出結果に基づいて、各色の色分布を示すヒストグラムを作成する。
【0070】
図9は、色分布偏り判定処理(S10)において作成されるヒストグラムの一例を示す図である。この例では、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ1〜16の16段階の濃度分布のヒストグラムを作成し、このヒストグラムに基づいて色の偏りの有無を判定している。より詳しくは、Y,C,M,Kの全てについてそれぞれ1〜16の濃度における測色結果がある場合には、色の偏りについて「なし」と判定する。これについて、何れか一色でも、測色結果がゼロである濃度域がある場合には、色の偏りについて「あり」と判定する。同図の例では、Mにおける13及び14の濃度域で測色結果がゼロであるので、色の偏りについて「あり」と判定され、測色データ補足処理(S11)が実行される。
【0071】
測色データ補足処理(S11)では、まず、中間転写ベルト105のおもて面に例えば図10に示されるような階調パターン像を形成する。図10に示される階調パターン像の例では、Y,C,M,Kについてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる5つのテストトナー像からなる階調パターンを具備している。かかる階調パターン像に含まれる20個のテストトナー像はそれぞれ、中間転写ベルト105の無端移動に伴ってトナー付着量検知センサー120の直下を通過する際に、単位面積あたりのトナー付着量が検出される。トナー付着量検知センサー120における正反射受光素子120bや拡散反射受光素子120cからの出力電圧を単位面積あたりのトナー付着量に換算する方法としては、例えば、特開2006−139180号公報に記載のものを例示することができる。
【0072】
このようにして各テストトナー像のトナー付着量を算出したら、次に、それぞれのトナー付着量を、記録シート上に出力された画像の色情報であるL*a*b*値に変換する。変換方法としては、例えば次の表1に示されるように、トナー付着量とL*a*b*値との関係を示すデータテーブルを用いる方法を例示することができる。
【表1】
【0073】
トナー付着量からL*a*b*値に変換したデータについては、以下のようなデータ処理を施してからサンプリング色データベースに保存する。即ち、まず、印刷枚数カウント値tを1つ繰り上げた後(t=t+1)、サンプリング位置・色:S(t)についての上記数1の数式を次のように構築する。即ち、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像におけるテストトナー像の総数を上記数1の数式におけるN(t)個として扱う。図10に示される階調パターン像の例では、N(t)=20とするのである。数1の数式における(xi(t),yi(t))については、ダミーデータとして扱い、使用しない。上記数1の数式における(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))は、中間転写ベルト105上に形成されたC,M,Y,Kテストトナー像のC,M,Y,K画像濃度に対応する。4つの要素のうち,対応する1次色の要素を階調パターンの濃度として設定し、他の3要素を0に設定する。
【0074】
次に、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像のY,M,C,Kテストトナー像のY,M,C,K濃度に対応する記録シート上での出力の目標色を、上記数2の数式として扱う。そして、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像のC,M,Y,Kテストトナー像のC,M,Y,K濃度に対応させてトナー付着量をL*a*b*値に変換した値を、上記数4の数式として扱う。このようなデータ処理により、中間転写ベルト105上に形成した各色のテストトナー像に対する付着量を、測色データとして扱って、サンプリング色データベースに保存する。
【0075】
補正量決定処理(S12)では、次のようにして補正量を決定する。即ち、C,M,Y,Kの各原色の濃度(面積比)がそれぞれ0からL−1のLレベルに量子化されているとする。但し、0はブランク、L−1はソリッド、例えばLは256である。階調再現曲線は、CMYKの各原色について独立に決められる次の数5の式(4)に示すような関数τc,τm,τy,τkで表される。
【0076】
【数5】
【0077】
入力0(ブランク)とL−1(ソリッド)に対する階調再現曲線の出力は、それぞれ、0とL−1に固定されている。時間tにおけるCMYKの各原色についての階調再現曲線を表す各設定値をτc(t),τm(t),τy(t),τk(t)とする。今、階調再現曲線を表す設定値の変動量δc,δm,δy,δkを「TRC制御」により次の数6の式(5)によって決める。
【0078】
【数6】
すると、時間t+1における階調再現曲線を表す各設定値は、次の数7の式(6)に示すように決められる。
【数7】
【0079】
図11は時間tとt+1の各階調再現曲線と補正量δを示す特性図である。同図はL=256の場合の時間tとt+1での階調再現曲線τ(t)とτ(t+1)、変動量δとの例を示している。
【0080】
C,M,Y,Kデータ(c,m,y,k)について,時間tにおける紙上での測定値が(L,a,b)であるとする。階調再現曲線を表す設定値を変動量δc,δm,δy,δkだけで変動させた後、時間t+1における推定値
【数8】
は、次の数9の式(7)、で与えられる。
【数9】
【0081】
数9の式(7)の
【数10】
は、L*a*b*の各成分のC,M,Y,K濃度(c,m,y,k)についての偏微分係数、すなわちC,M,Y,K濃度(c,m,y,k)の各成分を微小に変化させたときのL*a*b*の各成分の変化量を集めたJacobian行列である。この行列は、C,M,Y,Kの入力値を様々に変えたときの多次色トナー像の測色値のデータから求めればよい。
【0082】
サンプリング色データベースに記録したデータについて、C,M,Y,Kデジタルデータ空間(dS(t)の(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))成分)でクラスタリングを行い、C,M,Y,K(デジタルデータ)、L*a*b*(目標値・測定値)のクラスタ平均を使って階調再現曲線TRC制御を起動する。感光体の偏心による面内色変動や測定誤差の影響を抑えるために、C,M,Y,Kの値をセル状に区分して、階調再現曲線TRC制御点を各セルの中心に代表させて計算する。また、セル内のデータが多ければ誤差は相殺されるので、信頼度は高くなる。セル内のデータ数に応じてセルへ信頼度を付与する仕組みを導入する。
【0083】
図12のように、C,M,Y,Kの各原色について、濃度(0〜L−1)をQ等分(QはLの約数)したC,M,Y,K4次元空間でのQ4個のセル(4次元長立法体)を考える。図12にはC,M,Y,K濃度のセル分割と中心点を示している。CM空間について、Q=4分割した例である。階調再現曲線TRC制御点を各セルの中心点(黒丸)で代表させる。セルP(qc,qm,qy,qk)は、次の数11の数式で表される。
【数11】
【0084】
セルP(qc,qm,qy,qk)の中心は次の数12の式(10)で与えられる。
【数12】
【0085】
C,M,Y,Kの値が、セルP(qc,qm,qy,qk)にあるようなサンプリング色については階調再現曲線TRC変動量を、セルP(qc,qm,qy,qk)の中心点に相当する格子点(10)に代表させて計算する。図13は、L=256、Q=16のときの階調再現曲線TRC制御点と変動量との例を示すグラフである。
【0086】
t0枚目の印刷の後、サンプリング色データベースに保持されている過去P0枚の画像データ(t=t0,t0−1,...,t−P0+1)についてのサンプリング色S(t)、L*a*b*目標値R(t),出力画像の測色値M(t)を使って、4Q個の階調再現曲線TRC変動量は、次の数13の式(11)で表される。
【数13】
【0087】
これを変数とする次の数14の式(12)の評価関数Jを定義する。
【数14】
【0088】
ここで、下記の数15はx以下の最大の整数を表す。
【数15】
【0089】
上記の数14の式(12)の評価関数Jの右辺第1項は目標値と時間t+1における推定値との誤差を最小化するための項である。また、第2項は階調再現曲線TRCを表す設定値に対する変動量を滑らかさにするための項で、階調再現曲線TRCを表す設定値に対する変動量の2次微分(離散形)の二乗和である。数14の式(12)の評価関数Jを最小にするようなδを次のようにして計算する。
【数16】
【0090】
また、数16の式(13)において、次の数17の式(14)のヤコビアン行列を、数18の式(15)の値を使って計算する。
【数17】
【数18】
【0091】
次の数19(Tは行列の転置)の数式は、時間tにおけるC,M,Y,Kデータ(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))についての測定値と目標値との偏差を表すものである。
【数19】
【0092】
この数式のQを十分に大きく選べば(例えば、Q=16)、数18の式(15)のC,M,Y,Kについての測定値と目標値との偏差の推定値として用いることができる。また、数14の式(12)の評価関数Jを最小化では、セル内のデータ数が多いほど、そのセルの中心点への重みが大きくなる。
【0093】
w(t−t0)は、データに重み付けして、より最近のデータの寄与がより大きくなるようにするための重み変数である。t=t0+1→t=t0+Tとき、w(t)が単調増加するような関数を選ぶ。例えば、図14のような単調増加凹関数(tが増えると、微係数が0に近づくような関数、あるいは上に凸な関数)のようなものにすればよい(図14では、c=0.07、t0=100)。
【0094】
w(t−t0)=1−exp(−c(t−t0)) ・・・(16)
但し、cは正の整数(10/T程度)
【0095】
上記数14の式(12)の最小化問題は、δc(c),δm(m),δy(y),δk(k)についての2次形式であるので、標準的な最適化計算法で解くことが可能である。また、下記の数20の式(17)の以外のδc(c),δm(m),δy(y),δk(k)の値は、補間によって計算する。
【数20】
【0096】
パラメータ補正処理(S13)では、補正量決定処理(S12)で決定した補正量と、階調再現曲線TRCの設定値(現状のTRC)とに基づいて、補正後の階調再現曲線を次の数21の式(18)のように更新する。
【数21】
【0097】
このように、濃度レベルをQ分割してできるCMYK4次元空間の超立方体の中心点の階調再現曲線TRC変動を使った計算方法により、次のような利点がある。即ち、測定データを平均化できるため、感光体ドラムの偏心による面内色変動や測定誤差の影響を打ち消すことができる。したがって、制御の精度を向上させることができると同時に階調再現曲線の滑らかさを保持して、かつ急激に変動を抑制することができる。そのため、視認できるような階調の不連続が生じたり、視認できるような色変動が生じたりすることを防ぐことができる。
【0098】
また、階調再現曲線TRC制御の制御点を均等に配置できて、かつ計算時間を縮減できる。画像データに依らず、CMYK合わせて4Q個の量を計算すればよい(例えばQは16)。
【0099】
これまで、制御パラメータとして階調再現曲線TRCを補正して色調の再現性の安定化を図るプリンタの例について説明してきたが、現像バイアスや感光体に対する光書込強度など、階調再現曲線TRCとは異なる制御パラメータの補正によって色調の再現性の安定化を図る画像形成装置にも本発明の適用が可能である。
【0100】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
PC411、FAX413などの外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づくスキャナ412による画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体(例えば感光体)の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段(例えば画像形成ユニット103Y,M,C,K)と、前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体(例えば中間転写ベルト105)の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段(例えば分光計109)と、を備える画像形成装置に搭載され、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置(例えば本体制御部406)であって、前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、且つ、前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段(例えばトナー付着量検知センサー120)によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とするものである。
【0101】
[態様B]
態様Bは、態様Aの制御装置であって、複数のページにそれぞれ個別に対応する複数の画像情報についてそれぞれ、前記領域探索処理と前記測色処理とを実施して測色結果をデータ記憶手段に記憶させた後、前記補正量決定処理にて、それら複数のページの画像についてそれぞれ複数の測色結果を記憶させた結果に基づいて、前記補正量を決定することを特徴とするものである。かかる構成では、1ページだけの測色結果に基づいて補正量を決定する場合に比べて、測色データ補足処理を実施しなければならなくなる事態の発生を抑えることができる。
【0102】
[態様C]
態様Cは、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御手段とを備える画像形成装置において、前記表面無端移動体の表面に形成された1次色のテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知するトナー付着量検知手段を設けるとともに、前記制御手段として、態様A又は態様Bの制御装置を用いたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0103】
101:感光体(像担持体)
103Y,M,C,K:画像形成ユニット(作像手段)
105:中間転写ベルト(表面無端移動体)
106Y,M,C,K:1次転写ローラ(転写手段の一部)
108:2次転写ローラ(転写手段の一部)
109:分光計(測色手段)
106:本体制御部(制御装置)
120:トナー付着量検知センサー(トナー付着量検知手段)
411:PC(外部機器)
413:FAX(外部機器)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2002−033935号公報
【特許文献2】特開2004−229294号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、並びにこれに用いられる制御装置や制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によってトナー像を形成する画像形成装置においては、温湿度等の環境が変化したり、連続プリント動作を長期間に渡って実施したりすると、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量が変化して画像濃度を変動させてしまうことがある。カラー画像を形成するカラー画像形成装置では、複数の1次色でそれぞれトナー付着量が変動すると、多次色の色調(例えばL*a*b*表色系におけるL*値とa*値とb*値との組合せ)が乱れてしまう。具体的には、カラー画像形成装置によって再現される色は、1次色と多次色とに大別される。1次色は、1種類のトナーだけによって表現される色である。例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)という4種類のトナーを用いる構成においては、Y,M,C,Kトナーのうち、何れか1つだけによって表現される色が1次色である。これに対し、多次色は、2種類以上のトナーを使用して表現される色である。多次色については、複数の1次色トナー像を重ねることで再現するのであるが、それぞれの1次色トナー像に対するトナー付着量が変動すると、それらの重ね合わせによる多次色トナー像の色調が乱れてしまうのである。
【0003】
そこで、特許文献1や特許文献2において、Y,M,C,Kの各1次色についてそれぞれ、次のような処理を定期的に行う画像形成装置が提案されている。即ち、1次色の画像データの入力濃度値と出力濃度値との関係を示す階調再現曲線TRC(Tone Reproduction Curve)をデータ記憶部に記憶している。入力濃度値をこの階調再現曲線TRCに従って補正して出力すれば、オリジナルの色調を良好に再現した1次色のトナー像を形成することが可能であるが、環境変動等によって作像性能が変化すると、1次色の再現精度が低下してしまう。そこで、定期的なタイミングで、特定の多次色のテストトナー像を記録シートに形成するテストプリントを行い、テストプリント紙上におけるテストトナー像の色を分光計によって測色した結果と本来の色との差分を算出する。そして、その差分と、現状の階調再現曲線TRCとに基づいて、測色結果を本来の色に一致させるのに必要となる補正量をそれぞれ求める。そして、その補正量に基づいて階調再現極性TRCを補正する。このような処理をY,M,C,Kについてそれぞれ定期的に実施することで、長期間に渡って安定した色調の多次色トナー像を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる構成では、ユーザーの命令に基づく画像を出力したプリント紙とは別に、テストトナー像を出力したテストプリント紙を排出することになるため、両者の仕分け作業をユーザーに強いることになる。このような仕分け作業は非常に手間がかかるので、テストトナー像を出力する構成を採用することは現実的ではない。
【0005】
そこで、本発明者らは、次のような画像形成装置を開発中である。即ち、まず、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理を実施する。また、画像情報に基づいて実際に形成した多次色トナー像の全領域のうち、領域探索処理によって特定した複数の測色適応領域をそれぞれ分光計によって測色して複数の測色結果を得る。データ記憶手段には、Y,M,C,Kについてそれぞれ階調再現曲線TRCを制御パラメータとして記憶している。これら階調再現曲線TRCと、複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果とに基づいて、色の差分をより小さくするための曲線補正量を決定する。そして、決定した曲線補正量に基づいて階調再現曲線TRCを補正する。このような処理をY,M,C,Kについてそれぞれ行う。かかる構成においては、ユーザーの命令に基づいて出力したプリント紙の画像の測色適応領域を測色した結果に基づいて、階調再現曲線TRCを適切に補正することで、テストプリント紙を出力することなく、多次色を精度良く再現することができる。よって、テストプリントの仕分け作業をユーザーに強いることなく、長期間に渡って安定した色調の多次色トナー像を形成することができる。
【0006】
ところが、この開発中の画像形成装置については、次のような改良の余地が残されていた。即ち、ユーザーの命令に基づいて出力する画像は、色の分布が偏っていることがある。色の分布に偏りのある画像では、特定の色調について測色結果が得られないことから、その色調に対応する階調再現曲線箇所を適切に補正することができずに、その色調の再現性を悪化させてしまうおそれがある。
【0007】
これまで、制御パラメータとして階調再現曲線TRCを補正する画像形成装置において生ずる問題について説明してきたが、次のような画像形成装置においても、同様の問題が生じ得る。即ち、現像バイアスや潜像書込強度など、階調再現曲線とは異なる制御パラメータを補正して色再現性の安定化を図る画像形成装置である。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置、並びにこれに用いられる制御装置及び制御方法を提供することである。即ち、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、前記1つの潜像担持体あるいは前記複数の潜像担持体の表面に対して、自らの表面を無端移動させる表面無端移動体を対向させつつ、前記1つの潜像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、を備える画像形成装置に搭載され、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置であって、前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、且つ、前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、次に説明する理由により、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる。
多次色を測色するためのテストトナー像をテストプリント紙に形成して測色を行う代わりに、ユーザーの命令に基づいて出力した画像を測色し、測色結果に基づいて制御パラメータを補正する。これにより、テストプリント紙を発生させることなく、制御パラメータを測色結果に基づいて適切に補正する。また、ユーザーの命令に基づいて出力した画像に色の分布の偏りがあることで、特定の色について測色結果が不足してしまう場合には、制御パラメータの補正に先立って、次のような処理を行う。即ち、複数の1次色についてそれぞれ、階調パターン像を表面無端移動体の表面に形成し、階調パターン像における各テストトナー像に対するトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知し、得られた検知結果をそれぞれ色情報に変換する。そして、変換結果をそれぞれ測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える。これにより、実際の測色だけでは不足してしまう色の測色結果を、階調パターン像に対するトナー付着量の検知結果を色情報に変換した結果で補うことで、測色できなかった色の再現性の悪化を回避する。かかる構成では、テストプリント紙を発生させたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、制御パラメータの補正を適切に行うことが可能であるので、テストプリント紙の仕分け作業をユーザーに強いたり、測色できなかった色の再現性を悪化させたりすることなく、多次色を長期間に渡って精度良く再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの画像形成ユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのトナー付着量検知センサーを示す拡大構成図。
【図4】同プリンタにおける各部の電気的な接続を示すブロック図。
【図5】同プリンタのプリコントローラ内の要部回路と、演算部内で行われる各種の処理との関係を示すブロック図。
【図6】同演算部によって定期的に実施される制御における一部の処理フローを示すフローチャート。
【図7】ユーザーから供される画像情報によって表される画像の一例を示す模式図。
【図8】同画像、及びそれから探索された測色適応領域を示す模式図。
【図9】同演算部によって実施される色分布偏り判定処理において作成されるヒストグラムの一例を示す図。
【図10】同演算部によって実施される測色データ補足処理で形成される階調パターン像を示す拡大模式図。
【図11】時間tとt+1の各階調再現曲線と補正量δを示す特性図。
【図12】Y,M,C,Kの各1次色と、4次元色空間における濃度との関係を示す模式図。
【図13】階調再現曲線TRC制御点と変動量との一例を示すグラフ。
【図14】単調増加凹関数を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成について説明する。実施形態に係る画像形成装置は、請求書などの大量のカラードキュメントを高速に出力するカラーオンデマンドプリントを実現するカラープロダクションプリンタである。このようなカラープロダクションプリンタは、例えば数千万件分の電話料金の請求書や領収書を1週間程度で発行するような場合に利用されるものであって、1週間という期間で昼夜を問わない状況で連続印刷を行う(言い換えれば、1分間に数百枚の高速プリントを数十時間の単位で連続運転する)。
【0013】
図1は、実施形態に係るカラープロダクションプリンタ100(以下、単にプリンタ100という)の要部を示す概略構成図である。この図1においては、プリンタ100の全体のうち、露光、帯電、現像、転写、定着を行う電子写真のプロセスを用いた画像形成工程部分(プロセスエンジン部)のみを示している。プリンタ100には、図1に示した構成部材の他に、記録材である記録シート115の供給を行う給紙装置、記録シート115を手差し給紙させるための手差しトレイ、及び画像形成済みの記録シート115が排紙される排紙トレイなど(いずれも図示せず)が設けられている。
【0014】
プリンタ100には、表面無端移動体である無端ベルト状の中間転写ベルト105が設けられている。中間転写ベルト105は、4つの支持ローラ112、113、114、119に張架された状態で、駆動ローラとしての機能を有する支持ローラ112の回転駆動によって図中反時計周り方向に無端移動せしめられる。
【0015】
中間転写ベルト105のおもて面(ループ外面)における周方向の全域のうち、鉛直方向下方を向いている領域分には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色用の4つの画像形成ユニット103Y,C,M,Kが配設されている。これら画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が、互いにほぼ同じ構成になっている。なお、符号の末尾に付したY,C,M,Kという添字は、Y,C,M,K用の部材や装置であることを示している。
【0016】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、ドラム状の感光体101Y,C,M,K、現像装置102Y,C,M,K、感光体を一様帯電せしめる帯電装置などを具備している。中間転写ベルト10のループ内において、感光体101Y,C,M,Kとベルトを介して対向する位置には、1次転写ローラ106Y,C,M,Kが配設されており、ベルトを感光体101Y,C,M,Kに押圧している。これにより、感光体101Y,C,M,Kと中間転写ベルト105とが当接するY,C,M,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0017】
中間転写ベルト105の上方には、現像装置102Y,C,M,K内に補給するためのY,C,M,Kトナーを収容するトナーボトル104Y,C,M,Kが配設されている。
【0018】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kの帯電装置は、像担持体としての感光体101Y,C,M,Kの表面をトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめるものである。同図においては、帯電装置として、帯電バイアスが印加される帯電ブラシローラを感光体101Y,C,M,Kに当接又は近接させたものを例に示しているが、スコロトロンチャージャーなど、他の構成の帯電装置を用いてもよい。
【0019】
画像形成ユニット103Y,C,M,Kの下方には、潜像書込ユニット200が設けられている。この潜像書込ユニット200は、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、図示しない半導体レーザーを駆動してY,M,C,K用の書込光Lbを出射しながら、図示しないポリゴンミラーによってそれら書込光Lbを主走査方向に偏向せしめて、潜像担持体としての感光体101Y,C,M,Kを光走査する。これにより、一様帯電後の感光体101Y,C,M,Kの表面にY,C,M,K用の静電潜像を書き込む。なお、光源は半導体レーザーに限られるものではなく、例えばLED(light emitting diode)であってもよい。
【0020】
以下、画像形成ユニット103Y,C,M,Kの構成について、図2を参照しながら説明する。4つの画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっており、図2においては、4つのうち、何れか1つだけを示している。どの色のユニットであるのかを限定せずに、符号の末尾の添字(Y,C,M,K)を省略している。また、以下の説明においても、符号の末尾の添字(Y,C,M,K)の表記を省略している。
【0021】
画像形成ユニット103は、感光体101の周囲に、感光体101を帯電する帯電装置301、現像装置102、感光体クリーニング装置311などを具備している。中間転写ベルト105のループ内において、ベルトを介して感光体101に対向する位置には、1次転写ローラ106が配設されている。1次転写ローラ106の代わりに、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャーなどを採用してもよい。
【0022】
帯電装置301は、帯電ローラを採用した接触帯電方式のものであり、感光体101に接触して電圧を印加することにより感光体101の表面を一様に帯電する。この帯電装置301には、非接触のスコロトロンチャージャーなどを採用した非接触帯電方式のものも採用できる。
【0023】
現像装置102は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する図示しない現像剤を内包している。現像剤としては一成分現像剤を使用してもよい。現像装置102は、現像ケース内に設けられた攪拌部303と現像部304とに大別できる。攪拌部303では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての現像スリーブ305上に供給される。
【0024】
攪拌部303には、平行な2本のスクリュウ306が設けられている。これら2本のスクリュウ306の間には、両端部で互いが連通するように仕切るための仕切り板309が設けられている。また、現像スリーブ305や2本のスクリュウ306などを収納する現像ケース308には、現像装置102内の現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサー418が取り付けられている。一方、現像部304では、現像スリーブ305に付着した現像剤のうちのトナーが感光体101に転移される。
【0025】
現像部304には、現像ケースの開口を通して感光体101と対向する現像スリーブ305が設けられており、その現像スリーブ305内には図示しないマグネットが固定配置されている。また、現像スリーブ305に先端が接近するようにドクタブレード307が設けられている。本実施の形態では、このドクタブレード307と現像スリーブ305との間の最接近部における間隔が0.9[mm]となるように設定されている。この現像装置102では、現像剤を2本のスクリュウ306で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ305に供給する。現像スリーブ305に供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げて保持される。現像スリーブ305に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ305の回転に伴って搬送され、ドクタブレード307により適正な量に規制される。規制された現像剤は攪拌部303に戻される。
【0026】
このようにして感光体101と対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ305に印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体101上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体101上の静電潜像部分に転移し、感光体101上の静電潜像は可視像化され、トナー像が形成される。現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ305から離れ、攪拌部303に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部303内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサー418が検出し、その検出結果に基づいて攪拌部303にトナーが補給される。
【0027】
感光体クリーニング装置311は、クリーニングブレード312の先端を感光体101に押し当てられるように配置される、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード312を備えている。また、本実施形態では、クリーニング性能を高めるために感光体101に接触する導電性のファーブラシ310を併用している。このファーブラシ310には、図示しない金属製の電界ローラからバイアスが印加されており、その電界ローラには図示しないスクレーパの先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレード312やファーブラシ310により感光体101から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置311の内部に収容され、図示しない廃トナー回収装置にて回収される。
【0028】
感光体101は、所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動される。また、現像スリーブ305は、所定の線速で図中反時計回り方向に回転駆動される。帯電装置301により、感光体101の表面は例えば−700Vに一様帯電され、潜像書込ユニット200による光走査によって書き込まれた静電潜像の電位は、−120[V]程度である。現像スリーブ305に対して印加される現像バイアスは−470[V]であり、これにより、静電潜像と現像スリーブ305との間に350[V]の現像ポテンシャルが作用する。このようなプロセス条件は電位ポテンシャル制御の結果によって適時変更される。
【0029】
画像形成ユニット103においては、回転駆動される感光体101の表面が帯電装置301によって一様帯電せしめられる。そして、プリントコントローラ410(図4参照)からの画像情報に基づいて、潜像書込ユニット200が書込光Lbによる光走査を行って感光体101の表面に静電潜像を書き込む。この静電潜像は、現像装置102によって現像されてY、M、C又はKの1次色からなる1次色トナー像になる。この1次色トナー像は、1次転写ニップ内で感光体101の表面から中間転写ベルト105のおもて面に1次転写される。1次転写ニップを通過した後の感光体101の表面に付着している転写残トナーは、感光体クリーニング装置311により除去される。
【0030】
先に示した図1において、画像形成ユニット103Y,C,M,Kは、以上のようなプロセスにより、感光体101Y,C,M,Kの表面にY,C,M,Kトナー像を形成する。これらY,C,M,Kトナー像は、Y,M,C,K用の1次転写ニップで中間転写ベルト105のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト105のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0031】
中間転写ベルト105のループ外には、中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ112に対する掛け回し箇所に対して当接して2次転写ニップを形成している2次転写ローラ108が配設されている。この2次転写ローラ108には、トナーの帯電極性と逆極性の2次転写バイアスが印加される。2次転写ニップの下方には、レジストローラ対が配設されており、これは中間転写ベルト105の4色重ね合わせトナー像に同期させるタイミングで、記録シート115を2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップに進入した記録シートには、2次転写バイアスやニップ圧の作用により、中間転写ベルト105上の4色重ね合わせトナー像が記録シート上に一括2次転写される。そして、4色重ね合わせトナー像は、記録シート115の白色と相まってフルカラートナー像になる。なお、2次転写ローラ108の代わりに、スコロトロンチャージャーなどを用いてもよい。
【0032】
2次転写ローラ108の図中上方には、記録シート115上に転写されたフルカラートナー像を記録シート115に定着させるため定着装置111が設けられている。この定着装置111は、加熱ローラ117に加圧ローラ118を押し当てた構成となっている。また、定着装置111は、加熱ローラ117と圧ローラ118との当接による定着ニップを通過した後の記録シートPに形成されているフルカラートナー像を被検対象として測色を行う測色手段としての分光計109を有している。かかる分光計109としては、特開2005−315883号公報で開示されているものを例示することができる。
【0033】
ベルトループ外には、ベルトクリーニング装置110が配設されている。このベルトクリーニング装置110は、中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ113に対する掛け回し箇所に当接している。そして、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト105に付着しているトナーを除去する。
【0034】
中間転写ベルト105の周方向における全域のうち、支持ローラ112に対する掛け回し箇所であって且つ2次転写ニップよりもベルト移動方向の下流側の領域には、トナー付着量検知センサー120が、ベルトおもて面に対して所定の間隙を介して対向している。このトナー付着量検知センサー120は、自らの直下を後述の階調パターン像が通過する際に、その階調パターン像に具備されるテスト用トナー像に対するトナー付着量に応じた反射射光量を受光する。
【0035】
図3は、トナー付着量検知センサー120を示す拡大構成図である。同図において、トナー付着量検知センサー120は、発光素子としてのLED120a、正反射型受光素子120b、拡散反射型受光素子120c等を有している。なお、発光素子として、LEDに代えてレーザー発光素子等を用いてもよい。また、正反射型受光素子120b、拡散反射型受光素子120cとしては、何れもフォトトランジスタを用いているが、フォトダイオードや増幅回路等からなるものを用いてもよい。
【0036】
LED120aから発せられた赤外光は、透明な検知窓120dを透過した後、中間転写ベルト105のおもて面に形成されたテスト用トナー像に到達する。そして、赤外光の一部は、テスト用トナー像の表面で正反射して正反射光になった後、検知窓120dを再透過して正反射型受光素子120bに受光される。正反射型受光素子120bは、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値は、後述する本体制御部に入力されて、A/D変換回路によってデジタルデータに変換される。また、赤外光の他の一部は、テスト用トナー像の表面で拡散反射して拡散反射光となった後、検知窓120dを再透過して拡散反射型受光素子120cに受光される。拡散反射型受光素子120c、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値も、図示しない本体制御部にμ力されて、デジタルデータに変換される。
【0037】
図4は、プリンタ100における各部の電気的な接続を示すブロック図である。プリンタ100は、制御装置として機能する本体制御部406を備えており、この本体制御部406が各部を駆動制御することにより電子写真のプロセスを用いた画像形成動作を制御する。本体制御部406は、各種演算や各部の駆動制御を実行する演算部402にバスライン409を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)405と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)403とが接続されている。なお、演算部402は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されている。
【0038】
本体制御部406は、トナー付着量センサー120、色測定手段である分光計109、トナー濃度センサー418、温湿度センサー417等からの情報をデジタルデータに変換するA/D変換回路401も備えており、A/D変換回路401は演算部402にバスライン409を介して接続されている。
【0039】
本体制御部406には、PC(Personal Computer)411、スキャナ412、FAX(Facsimile)413等から送られた画像データを処理して露光データに変換するプリントコントローラ410が接続されている。また、本体制御部406には、モータやクラッチ415を駆動する駆動回路414が接続されている。さらに、本体制御部406には、エンジン部(画像形成ユニット103Y,C,M,K、1次転写装置106、潜像書込ユニット200、2次転写ローラ108、及び定着装置111)に画像形成に必要な電圧を発生する高圧発生装置416も接続されている。
【0040】
プリント指令を受けた本体制御部406の演算部402は、ROM405のコンピュータプログラムに従うことにより、電子写真のプロセスを用いた画像形成制御処理を実行する。より詳細には、本体制御部406の演算部402は、駆動回路414を介してモータやクラッチ415を駆動させ、支持ローラ112が回転駆動して中間転写ベルト105が回転駆動する。また、本体制御部406の演算部402は、これと同時に、駆動回路414および高圧発生装置416を介して電子写真のプロセスを用いたエンジン部(画像形成ユニット103、1次転写装置106、潜像書込ユニット200、2次転写ローラ108、定着装置111)を駆動する。
【0041】
演算部402は、上述のようにして中間転写ベルト105上に形成された4色重ね合わせトナー像が2次転写ニップに進入するタイミングに合わせて駆動回路414を介してモータやクラッチ415を駆動させて給紙装置(図示せず)を制御して記録シート115の供給を行う。給紙装置から供給された記録シート115は、中間転写ベルト105と2次転写ローラ108との間に送り込まれ、2次転写ローラ108により、中間転写ベルト105上の合成トナー像が記録シート115上に2次転写される。その後、記録シート115は、2次転写ローラ108に吸着した状態で定着装置111まで搬送され、定着装置111で熱と圧力が加えられてトナー像の定着処理が行われる。定着装置111を通過した記録シート115は、排紙トレイ(図示せず)に排出されスタックされる。なお、2次転写後の中間転写ベルト105上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置110により除去される。
【0042】
図5は、プリコントローラ410内の要部回路と、演算部402内で行われる各種の処理との関係を示すブロック図である。プリンタ100によってPC411からの情報に従って印刷を行う場合、PC411にインストールされているプリンタドライバが用いられて画像データを含む印刷情報がPC411から送信される。プリントコントローラ410は、PC411から送信された画像データ(RGB方式)を含む印刷情報を受信すると、画像データに対して所定の処理を施してから、上記エンジン部に出力する。具体的には、まず、3D−LUT処理部410aにおいて、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)方式で色調を表現する画像データを、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)方式で色調を表現する画像データに変換する。次いで、変換後の画像データに対して、UCR/GCR処理部410bにより、UCR(Under Cover Removal)処理、又はGCR(Grey Component Replacement)処理を施して、Y,C,M,Kの4つの色分解画像データを得る。それらの色分解画像データの値を、入力値補正処理部410cによってエンジン部の特性に応じた値に補正する。
【0043】
入力値補正処理部410cは、Y,C,M,K用の階調再現曲線TRC(Tone Reproduction Curve)を記憶している。階調再現曲線TRCは、色分解画像データの入力濃度値(網点画像の場合、入力画像のドット面積率)CInと、その入力濃度値CInに従ってエンジン部が形成する1次色画像の出力濃度値DOutとの関係を示す曲線である。入力濃度値CInと出力濃度値DOutとの関係が比例関係となることが理想的であるが、実際には非線形となってしまう。そこで、階調補正では、出力の最低濃度(0)と最高濃度とを結んだ直線を理想特性とし、入力濃度値CInに対する理想的な出力濃度値DOutをその理想特性から求め、出力濃度値DOutを実現するのに必要な入力濃度値を求め、これを補正後の濃度値として出力する。かかる処理を実施する入力値補正処理部410cに記憶されているY,C,M,K用の階調再現曲線TRCを必要に応じて補正することで、環境変動等によって作像性能を変化させてしまったエンジン部においても、再現性に優れた多次色トナー像を形成することが可能になる。
【0044】
入力値補正処理部410cによって補正されたY,C,M,Kの色分解画像データは、中間調処理部410dによって中間調を再現するためのデータに変換された後、エンジン部に出力される。
【0045】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図5に示されるように、演算部402は、領域探索処理、パラメータ補正処理、補正量決定処理、色分布偏り判定処理、測色データ補足処理、測色処理、サンプリング色データベース構築処理などを実施する。
【0046】
図6は、演算部402によって定期的に実施される制御における一部の処理フローを示すフローチャートである。この処理フローでは、ユーザーによってプリント命令がなされると、印刷枚数カウント値Tをゼロにリセットする(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、全てのページを出力するまで(S2でYesになるまで)、S3からS14の各工程を繰り返し実施する。
【0047】
S3〜S14においては、まず、印刷枚数カウント値Tを1つ繰り上げた後(S3)、作像処理を実施する(S4)。この作像処理は、1ページ分の画像を1枚の記録シートに形成するための処理である。作像処理を終えると、作像処理を行ったページの画像データに基づいて、画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理を実施した後、実際に画像を形成した記録シートの全域のうち、領域探索処理で特定した測色適応領域を測色するための測色処理を実施する(S6)。測色は、定着装置111を通過した後の記録シートの画像定着面に対向する分光計109によって行われる。分光計109による測色は、記録シートの全域に対してなされ、その結果が本体制御部406に送られてRAM403に一時記憶される。測色処理は、全領域の測色結果の中から、測色適応領域に対応する測色結果だけを抽出して記憶する処理である。
【0048】
演算部402は、測色処理を終えると、次に、RAM403に記憶しているサンプリング色データベースに、オリジナルの色と測色結果とを関連付けて入力する(S7)、そして、印刷枚数カウント値Tについて所定の周期定数P0で割り切れるか否かを判定する(S8)。周期定数P0は、制御パラメータとしての、プリコントローラ410に記憶されているY,C,M,Kの階調再現曲線TRCに対して、補正を行うタイミングを決定するための数値である。周期定数P0と同じ枚数のプリントが行われる毎に、階調再現曲線TRCの補正が行われるようになっている。S9〜S14においては、階調再現曲線TRCの補正を行うためのフローである。よって、S8において、割り切れると判断された場合だけS9〜S14のフローが行われ、割り切れないと判断された場合には、制御フローがS2にループされる。
【0049】
S9〜S14において、演算部402は、まず、サンプリングデータベースからデータを読み込む(S9)。そして、サンプリングデータベースに入力されている複数の測色結果に基づいて色分布を解析した後、色分布について偏っているか否かを判定する(S10:色分布偏り判定処理)。次いで、偏っていないと判定した場合には(S10でN)、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、サンプリングデータベースから読み込んだ測色結果と、オリジナルの色と、現状の階調再現曲線とに基づいて、曲線補正量を決定する(S12:補正量決定処理)。また、偏っていると判定した場合には(S10でY)、測色データを補足するための測色データ補足処理を行った後(S11)、補足した測色データと、サンプリングデータベースから読み込んだ測色結果と、オリジナルの色と、現状の階調再現曲線とに基づいて、曲線補正量を決定する(S12:補正量決定処理)。その後、Y,C,M,Kについてそれぞれ、決定した曲線補正量に基づいて階調再現曲線TRCを補正した後(S13:パラメータ補正処理)、サンプリングデータベースをクリアしてから(S14)、制御フローをS2に戻す。
【0050】
領域探索処理(S5)では、プリコントローラ410のUCR/GCR処理部410bから送られてくるY,C,M,Kの色分解画像データに基づいて、それら色分解画像データによって表現される多次色画像の全領域のうち、どの領域を測色対象となる測色適応領域にするのかを探索する。
【0051】
測色適応領域の探索については、次のようにして行われる。即ち、画像情報によって表される画素マトリクスの所定位置にある画素を注目画素とし、その注目画素を中心とする所定サイズの領域を部分領域として抽出する。例えば、初回の抽出においては、例えば200dpiの解像度の画素マトリクスにおける左上から21列目で且つ21行目の画素を注目画素とし、この注目画素を中心とする41画素×41画素の5mm角程度の領域を部分領域として抽出する(300dpiでは一辺61画素の正方形に相当)。そして、抽出した部分領域における各画素の画素値(C,M,Y,K)を参照しながら、その部分領域全体としての濃淡の平坦さを示す平坦度を算出する。
【0052】
平坦度としては、様々な算出法によって求められたものを用いることが可能である。平坦度の第1例としては、次のような算出法によって求められたものを挙げることができる。即ち、まず、C,M,Y,Kについてそれぞれ、各画素の分散を求める。次いで、その分散の和に負の符号をつけたものを部分領域内の平坦度として求めるのである。
【0053】
平坦度の第2例として、分散共分散行列の行列式を挙げることができる。具体的には、C,M,Y,Kについてそれぞれ、部分領域内の各画素における分散と共分散を求める。次いで、分散を対角成分に、共分散を非対角成分に配置した4×4の分散共分散行列を構築し、その行列式を計算する。そして、行列式の値に負の符号を付けたものを平坦度として求めてもよい。分散共分散行列の行列式を用いることで、CMYK空間での分布の広がりを評価することができるからである。先に説明した第1例の平坦度に比べて、異なる成分間の色の広がりも評価することができる点が優れている。
【0054】
平坦度の第3例として、色の周波数特性を利用したものを挙げることができる。具体的には、部分領域内の各画素値を用いてフーリエ変換を行い、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を求める。この和に負の符号を付けて平坦度とする。特定周波数については複数の周波数を用いることができる。第1例の平坦度では、中間調処理された画像に対しては中間調処理のパターンの影響を受けて、平坦である領域を識別できないケースがある。これに対し、第3例の平坦度では、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を用いることで、中間調処理の影響を排した平坦度を算出することができる。平坦度は、これまで説明した第1例〜第3例のものに限られるものではなく、公知の平坦度算出技術を用いることが可能である。
【0055】
演算部402は、抽出した部分領域の平坦度を求めると、次に、全ての部分領域を抽出したか否か(画像の全領域について部分領域の抽出が完了したか否か)、を判断する。そして、まだ抽出していない部分領域があると判断した場合には、注目画素の位置を右方向に1画素分だけずらして、それを中心とする41画素×41画素の5mm角程度の領域を部分領域として抽出する。そして、同様にして、抽出した部分領域の色の平坦度を算出する。以降、3、4、5・・・n個目の部分領域の抽出の際に、それぞれ注目画素の位置を右方向に1画素分だけずらしていく。そして、注目画素の列方向の位置をマトリクスの右端から左に向けて21番目の位置までずらした後は、注目画素の列方向の位置をマトリクスの左端から右に向けて21番目の位置まで戻すとともに、行方向の位置を1画素分だけ下方向にずらす。その後、注目画素の位置を1画素分ずつ右にずらす処理を繰り返す。以上のようにして、注目画素の位置をラスタ走査のように順次ずらしていって、画像の全領域を網羅する。
【0056】
なお、注目画素を1画素分ずつずらすのではなく、抽出した部分領域同士の縁部を互いに重ねないように各部分領域を抽出してもよい。例えば、21列目、21行目の注目画素を中心とする41画素×41画素の大きさの部分領域を抽出した後には、62列目、62行目の注目画素を中心とする41画素×41画素の大きさの部分領域を抽出するのである。
【0057】
画像の全領域からの部分領域の抽出や平坦度の算出を行うと、全ての部分領域の中から平坦度の最も優れたものを特定し、その平坦度について、所定の基準平坦度よりも優れているか否かを判定する。そして、優れている場合には、その部分領域を測色に適した測色適応領域とする。
【0058】
このような領域探索処理(S5))により、例えば、図7に示すような画像の場合には、例えば、図8に示されるA1〜A27の27個の測色適応領域が探索される。
【0059】
測色処理(S6)では、領域探索処理で特定した測色適応領域の色(L*a*b*)を測定し、測色データをRAM403内のサンプリング色データベースに保存する。このサンプリング色データベースは、t枚目での出力画像について、サンプリング位置・色:S(t)、L*a*b*目標値:R(t)、出力画像の測定値:M(t)を保存する。複数枚のトナー像を測色して、各測色データをサンプリング色データベースに保存することにより、濃度が高い色から低い色まで万遍なく、かつ大量の画像情報を使うことができる。よって、階調再現曲線の滑らかさを保持して、かつ理想の階調再現曲線との差の変動を抑制することができる。そのため、視認できるような階調の不連続が生じたり、補正の前後で視認できるような色変動が生じたりすることを防ぐことができる。
【0060】
t枚目での出力画像において、サンプリング位置・色:S(t)、L*a*b*目標値:R(t)、出力画像の測定値:M(t)について以下に概説する。
サンプリング位置・色:S(t)について、領域探索処理で、t枚目での出力画像について決定したN(t)個のサンプリングする位置・色:S(t)は、次の数1の式(1)で表され、サンプリング色データベースに保存される。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで、(xi(t),yi(t))は、時間tにおいて、出力画像上のi番目のサンプリング位置(測定の中心点の座標)、(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))は対応するデジタルデータでのCMYK濃度である。
【0063】
また、L*a*b*目標値:R(t)について、プリコントローラ410によって元の画像データ(RGB)から上記S(t)に記録されているサンプリング位置を参照して決められるL*a*b*目標値R(t)は次の数2の式(2)で表され、これは演算部402に送られてサンプリング色データベースに保存される。
【0064】
【数2】
【0065】
数2の式で、
【数3】
は、時間tにおいて出力画像上のi番目のサンプリング位置(xi(t),yi(t))におけるRGB値を変換して得られるL*a*b*目標値である。
【0066】
出力画像の測定値:M(t)について、上記S(t)に記録されているサンプリング位置を参照しながら測色処理によって得られた測定値M(t)は次の数4の式(3)で表され、サンプリング色データベースに保存される。
【0067】
【数4】
【0068】
数4の式における、(Li(t),ai(t),bi(t))は、時間tにおいて出力画像上のi番目のサンプリング位置(xi(t),yi(t))におけるL*a*b*測定値である。
【0069】
色分布偏り判定処理(S10)では、取得された測色データのサンプリング色S(t),S(t−1)・・・,S(t−P0+1)に基づいて、Y,M,C,Kの分布を調べる。例えば、Cについては、他のY,M,K成分の値を除去して分布を算出する。同様にして、Y,M,Kについても他の単色成分の値を除去して分布を算出する。そして、それらの算出結果に基づいて、各色の色分布を示すヒストグラムを作成する。
【0070】
図9は、色分布偏り判定処理(S10)において作成されるヒストグラムの一例を示す図である。この例では、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ1〜16の16段階の濃度分布のヒストグラムを作成し、このヒストグラムに基づいて色の偏りの有無を判定している。より詳しくは、Y,C,M,Kの全てについてそれぞれ1〜16の濃度における測色結果がある場合には、色の偏りについて「なし」と判定する。これについて、何れか一色でも、測色結果がゼロである濃度域がある場合には、色の偏りについて「あり」と判定する。同図の例では、Mにおける13及び14の濃度域で測色結果がゼロであるので、色の偏りについて「あり」と判定され、測色データ補足処理(S11)が実行される。
【0071】
測色データ補足処理(S11)では、まず、中間転写ベルト105のおもて面に例えば図10に示されるような階調パターン像を形成する。図10に示される階調パターン像の例では、Y,C,M,Kについてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる5つのテストトナー像からなる階調パターンを具備している。かかる階調パターン像に含まれる20個のテストトナー像はそれぞれ、中間転写ベルト105の無端移動に伴ってトナー付着量検知センサー120の直下を通過する際に、単位面積あたりのトナー付着量が検出される。トナー付着量検知センサー120における正反射受光素子120bや拡散反射受光素子120cからの出力電圧を単位面積あたりのトナー付着量に換算する方法としては、例えば、特開2006−139180号公報に記載のものを例示することができる。
【0072】
このようにして各テストトナー像のトナー付着量を算出したら、次に、それぞれのトナー付着量を、記録シート上に出力された画像の色情報であるL*a*b*値に変換する。変換方法としては、例えば次の表1に示されるように、トナー付着量とL*a*b*値との関係を示すデータテーブルを用いる方法を例示することができる。
【表1】
【0073】
トナー付着量からL*a*b*値に変換したデータについては、以下のようなデータ処理を施してからサンプリング色データベースに保存する。即ち、まず、印刷枚数カウント値tを1つ繰り上げた後(t=t+1)、サンプリング位置・色:S(t)についての上記数1の数式を次のように構築する。即ち、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像におけるテストトナー像の総数を上記数1の数式におけるN(t)個として扱う。図10に示される階調パターン像の例では、N(t)=20とするのである。数1の数式における(xi(t),yi(t))については、ダミーデータとして扱い、使用しない。上記数1の数式における(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))は、中間転写ベルト105上に形成されたC,M,Y,Kテストトナー像のC,M,Y,K画像濃度に対応する。4つの要素のうち,対応する1次色の要素を階調パターンの濃度として設定し、他の3要素を0に設定する。
【0074】
次に、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像のY,M,C,Kテストトナー像のY,M,C,K濃度に対応する記録シート上での出力の目標色を、上記数2の数式として扱う。そして、中間転写ベルト105上に形成した階調パターン像のC,M,Y,Kテストトナー像のC,M,Y,K濃度に対応させてトナー付着量をL*a*b*値に変換した値を、上記数4の数式として扱う。このようなデータ処理により、中間転写ベルト105上に形成した各色のテストトナー像に対する付着量を、測色データとして扱って、サンプリング色データベースに保存する。
【0075】
補正量決定処理(S12)では、次のようにして補正量を決定する。即ち、C,M,Y,Kの各原色の濃度(面積比)がそれぞれ0からL−1のLレベルに量子化されているとする。但し、0はブランク、L−1はソリッド、例えばLは256である。階調再現曲線は、CMYKの各原色について独立に決められる次の数5の式(4)に示すような関数τc,τm,τy,τkで表される。
【0076】
【数5】
【0077】
入力0(ブランク)とL−1(ソリッド)に対する階調再現曲線の出力は、それぞれ、0とL−1に固定されている。時間tにおけるCMYKの各原色についての階調再現曲線を表す各設定値をτc(t),τm(t),τy(t),τk(t)とする。今、階調再現曲線を表す設定値の変動量δc,δm,δy,δkを「TRC制御」により次の数6の式(5)によって決める。
【0078】
【数6】
すると、時間t+1における階調再現曲線を表す各設定値は、次の数7の式(6)に示すように決められる。
【数7】
【0079】
図11は時間tとt+1の各階調再現曲線と補正量δを示す特性図である。同図はL=256の場合の時間tとt+1での階調再現曲線τ(t)とτ(t+1)、変動量δとの例を示している。
【0080】
C,M,Y,Kデータ(c,m,y,k)について,時間tにおける紙上での測定値が(L,a,b)であるとする。階調再現曲線を表す設定値を変動量δc,δm,δy,δkだけで変動させた後、時間t+1における推定値
【数8】
は、次の数9の式(7)、で与えられる。
【数9】
【0081】
数9の式(7)の
【数10】
は、L*a*b*の各成分のC,M,Y,K濃度(c,m,y,k)についての偏微分係数、すなわちC,M,Y,K濃度(c,m,y,k)の各成分を微小に変化させたときのL*a*b*の各成分の変化量を集めたJacobian行列である。この行列は、C,M,Y,Kの入力値を様々に変えたときの多次色トナー像の測色値のデータから求めればよい。
【0082】
サンプリング色データベースに記録したデータについて、C,M,Y,Kデジタルデータ空間(dS(t)の(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))成分)でクラスタリングを行い、C,M,Y,K(デジタルデータ)、L*a*b*(目標値・測定値)のクラスタ平均を使って階調再現曲線TRC制御を起動する。感光体の偏心による面内色変動や測定誤差の影響を抑えるために、C,M,Y,Kの値をセル状に区分して、階調再現曲線TRC制御点を各セルの中心に代表させて計算する。また、セル内のデータが多ければ誤差は相殺されるので、信頼度は高くなる。セル内のデータ数に応じてセルへ信頼度を付与する仕組みを導入する。
【0083】
図12のように、C,M,Y,Kの各原色について、濃度(0〜L−1)をQ等分(QはLの約数)したC,M,Y,K4次元空間でのQ4個のセル(4次元長立法体)を考える。図12にはC,M,Y,K濃度のセル分割と中心点を示している。CM空間について、Q=4分割した例である。階調再現曲線TRC制御点を各セルの中心点(黒丸)で代表させる。セルP(qc,qm,qy,qk)は、次の数11の数式で表される。
【数11】
【0084】
セルP(qc,qm,qy,qk)の中心は次の数12の式(10)で与えられる。
【数12】
【0085】
C,M,Y,Kの値が、セルP(qc,qm,qy,qk)にあるようなサンプリング色については階調再現曲線TRC変動量を、セルP(qc,qm,qy,qk)の中心点に相当する格子点(10)に代表させて計算する。図13は、L=256、Q=16のときの階調再現曲線TRC制御点と変動量との例を示すグラフである。
【0086】
t0枚目の印刷の後、サンプリング色データベースに保持されている過去P0枚の画像データ(t=t0,t0−1,...,t−P0+1)についてのサンプリング色S(t)、L*a*b*目標値R(t),出力画像の測色値M(t)を使って、4Q個の階調再現曲線TRC変動量は、次の数13の式(11)で表される。
【数13】
【0087】
これを変数とする次の数14の式(12)の評価関数Jを定義する。
【数14】
【0088】
ここで、下記の数15はx以下の最大の整数を表す。
【数15】
【0089】
上記の数14の式(12)の評価関数Jの右辺第1項は目標値と時間t+1における推定値との誤差を最小化するための項である。また、第2項は階調再現曲線TRCを表す設定値に対する変動量を滑らかさにするための項で、階調再現曲線TRCを表す設定値に対する変動量の2次微分(離散形)の二乗和である。数14の式(12)の評価関数Jを最小にするようなδを次のようにして計算する。
【数16】
【0090】
また、数16の式(13)において、次の数17の式(14)のヤコビアン行列を、数18の式(15)の値を使って計算する。
【数17】
【数18】
【0091】
次の数19(Tは行列の転置)の数式は、時間tにおけるC,M,Y,Kデータ(ci(t),mi(t),yi(t),ki(t))についての測定値と目標値との偏差を表すものである。
【数19】
【0092】
この数式のQを十分に大きく選べば(例えば、Q=16)、数18の式(15)のC,M,Y,Kについての測定値と目標値との偏差の推定値として用いることができる。また、数14の式(12)の評価関数Jを最小化では、セル内のデータ数が多いほど、そのセルの中心点への重みが大きくなる。
【0093】
w(t−t0)は、データに重み付けして、より最近のデータの寄与がより大きくなるようにするための重み変数である。t=t0+1→t=t0+Tとき、w(t)が単調増加するような関数を選ぶ。例えば、図14のような単調増加凹関数(tが増えると、微係数が0に近づくような関数、あるいは上に凸な関数)のようなものにすればよい(図14では、c=0.07、t0=100)。
【0094】
w(t−t0)=1−exp(−c(t−t0)) ・・・(16)
但し、cは正の整数(10/T程度)
【0095】
上記数14の式(12)の最小化問題は、δc(c),δm(m),δy(y),δk(k)についての2次形式であるので、標準的な最適化計算法で解くことが可能である。また、下記の数20の式(17)の以外のδc(c),δm(m),δy(y),δk(k)の値は、補間によって計算する。
【数20】
【0096】
パラメータ補正処理(S13)では、補正量決定処理(S12)で決定した補正量と、階調再現曲線TRCの設定値(現状のTRC)とに基づいて、補正後の階調再現曲線を次の数21の式(18)のように更新する。
【数21】
【0097】
このように、濃度レベルをQ分割してできるCMYK4次元空間の超立方体の中心点の階調再現曲線TRC変動を使った計算方法により、次のような利点がある。即ち、測定データを平均化できるため、感光体ドラムの偏心による面内色変動や測定誤差の影響を打ち消すことができる。したがって、制御の精度を向上させることができると同時に階調再現曲線の滑らかさを保持して、かつ急激に変動を抑制することができる。そのため、視認できるような階調の不連続が生じたり、視認できるような色変動が生じたりすることを防ぐことができる。
【0098】
また、階調再現曲線TRC制御の制御点を均等に配置できて、かつ計算時間を縮減できる。画像データに依らず、CMYK合わせて4Q個の量を計算すればよい(例えばQは16)。
【0099】
これまで、制御パラメータとして階調再現曲線TRCを補正して色調の再現性の安定化を図るプリンタの例について説明してきたが、現像バイアスや感光体に対する光書込強度など、階調再現曲線TRCとは異なる制御パラメータの補正によって色調の再現性の安定化を図る画像形成装置にも本発明の適用が可能である。
【0100】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
PC411、FAX413などの外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づくスキャナ412による画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体(例えば感光体)の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段(例えば画像形成ユニット103Y,M,C,K)と、前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体(例えば中間転写ベルト105)の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段(例えば分光計109)と、を備える画像形成装置に搭載され、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置(例えば本体制御部406)であって、前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、且つ、前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段(例えばトナー付着量検知センサー120)によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とするものである。
【0101】
[態様B]
態様Bは、態様Aの制御装置であって、複数のページにそれぞれ個別に対応する複数の画像情報についてそれぞれ、前記領域探索処理と前記測色処理とを実施して測色結果をデータ記憶手段に記憶させた後、前記補正量決定処理にて、それら複数のページの画像についてそれぞれ複数の測色結果を記憶させた結果に基づいて、前記補正量を決定することを特徴とするものである。かかる構成では、1ページだけの測色結果に基づいて補正量を決定する場合に比べて、測色データ補足処理を実施しなければならなくなる事態の発生を抑えることができる。
【0102】
[態様C]
態様Cは、外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御手段とを備える画像形成装置において、前記表面無端移動体の表面に形成された1次色のテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知するトナー付着量検知手段を設けるとともに、前記制御手段として、態様A又は態様Bの制御装置を用いたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0103】
101:感光体(像担持体)
103Y,M,C,K:画像形成ユニット(作像手段)
105:中間転写ベルト(表面無端移動体)
106Y,M,C,K:1次転写ローラ(転写手段の一部)
108:2次転写ローラ(転写手段の一部)
109:分光計(測色手段)
106:本体制御部(制御装置)
120:トナー付着量検知センサー(トナー付着量検知手段)
411:PC(外部機器)
413:FAX(外部機器)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2002−033935号公報
【特許文献2】特開2004−229294号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
を備える画像形成装置に搭載され、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置であって、
前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、
前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、
前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、
前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、
且つ、
前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1の制御装置であって、
複数のページにそれぞれ個別に対応する複数の画像情報についてそれぞれ、前記領域探索処理と前記測色処理とを実施して測色結果をデータ記憶手段に記憶させた後、前記補正量決定処理にて、それら複数のページの画像についてそれぞれ複数の測色結果を記憶させた結果に基づいて、前記補正量を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御手段とを備える画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に形成された1次色のテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知するトナー付着量検知手段を設けるとともに、
前記制御手段として、請求項1又は2の制御装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
を備える画像形成装置に用いられ、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御方法において、
前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索工程と、
前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色工程とを実施した後、
前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定工程と、
前記補正量決定工程によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正工程とを実施し、
且つ、
前記補正量決定工程にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する工程と、検知結果を色情報に変換する工程と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える工程とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
を備える画像形成装置に搭載され、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御装置であって、
前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索処理と、
前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色処理とを実施した後、
前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定処理と、
前記補正量決定処理によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正処理とを実施し、
且つ、
前記補正量決定処理にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する処理と、検知結果を色情報に変換する処理と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える処理とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1の制御装置であって、
複数のページにそれぞれ個別に対応する複数の画像情報についてそれぞれ、前記領域探索処理と前記測色処理とを実施して測色結果をデータ記憶手段に記憶させた後、前記補正量決定処理にて、それら複数のページの画像についてそれぞれ複数の測色結果を記憶させた結果に基づいて、前記補正量を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御手段とを備える画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に形成された1次色のテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知するトナー付着量検知手段を設けるとともに、
前記制御手段として、請求項1又は2の制御装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
外部機器からのデータ受信、あるいはユーザーの命令に基づく画像読取によって取得した画像情報に基づいて、1つの像担持体の表面に互いに異なる複数の1次色トナー像を作像するか、あるいは、複数の像担持体の表面にそれぞれ互いに異なる1次色トナー像を作像する作像手段と、
前記1つの像担持体あるいは前記複数の像担持体の表面に対して、表面無端移動体の無端移動する表面を対向させつつ、前記1つの像担持体の表面に形成された複数の1次色トナー像、あるいは、前記複数の像担持体の表面にそれぞれ形成された1次色トナー像を、前記表面無端移動体の表面、あるいは前記表面に保持される記録シート、に重ね合わせて転写して多次色トナー像を得る転写手段と、
前記転写手段によって記録シートに転写された多次色トナー像を測色する測色手段と、
を備える画像形成装置に用いられ、
前記作像手段及び転写手段の駆動を制御したり、所定の演算処理を実行したりする制御方法において、
前記画像情報によって示される画像の中から、測色するのに適した測色適応領域を探索する領域探索工程と、
前記画像情報に基づいて形成された多次色トナー像における複数の前記測色適応領域をそれぞれ測色手段によって測色して複数の測色結果を得る測色工程とを実施した後、
前記作像手段によって形成される複数の1次色トナー像についてそれぞれ予め記憶している出力色と前記作像手段の制御パラメータの設定値との関係を表す所定のアルゴリズムと、前記複数の測色結果についてそれぞれ本来の色との差分を求めた結果と、前記制御パラメータの現在の設定値とに基づいて、前記差分をより小さくするための前記制御パラメータの補正量を決定する補正量決定工程と、
前記補正量決定工程によって決定した補正量に基づいて前記制御パラメータを補正して多次色トナー像の色再現精度の向上を図る制御パラメータ補正工程とを実施し、
且つ、
前記補正量決定工程にて、前記複数の測色結果に色分布の偏りがないか否かを判定し、偏りがある場合には、複数の1次色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる複数のテストトナー像からなる階調パターン像を前記表面無端移動体の表面に形成し、それぞれのテストトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量をトナー付着量検知手段によって検知する工程と、検知結果を色情報に変換する工程と、変換結果を測色結果として実際の測色結果のデータ群に加える工程とを実施してから、前記補正量を決定することを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図12】
【公開番号】特開2013−42463(P2013−42463A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179814(P2011−179814)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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