説明

制御装置、通信制御方法

【課題】通信に係る処理負荷が機器制御に与える影響を低減することが可能な制御装置を提供すること。
【解決手段】ネットワークに接続可能な第1のプロセッサと、ユーザーインターフェースを備えると共に前記第1のプロセッサと通信可能に接続され、前記ユーザーインターフェースを介して入力された情報、及び前記第1のプロセッサが前記ネットワークから取得した情報に基づいて機器制御を行う第2のプロセッサと、を備える制御装置であって、前記第1のプロセッサは、前記ネットワークを介した通信におけるプロトコル制御及び/又は暗号処理を行う通信制御手段を備えることを特徴とする、制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークから取得したデータに基づき機器制御を行う制御装置、及びその通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他のコンピュータからネットワークを介して入力されるデータに基づいて投影を行うプロジェクタ、印刷等を行うMFP(Multi Function Product;複合機)やプリンタ等、ネットワークから取得したデータに基づいて種々の機器制御を行う制御装置を内蔵した機器が普及している。
【0003】
特許文献1には、プロバイダネットワークやインターネットに接続可能なコンピュータについて記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、スリープモードを保ったまま、ネットワークへの情報送信を可能にした機器について記載されている。
【0005】
また、特許文献3では、通信に関する処理が、トランスポート層、ネットワーク層等に階層分けして表現されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の制御装置では、TCP/IPにおける再送処理やSSL暗号処理等、通信系の処理負荷が大きく、その結果、本来実行したいアプリケーション処理が遅延するという課題が存在する。アプリケーション処理としては、例えば上記プロジェクタの場合は投影処理が挙げられ、MFPの場合はスキャン処理や画像形成処理が挙げられる。また、ユーザーインターフェースを介して入力される各種指示入力を反映させる処理等がアプリケーション処理に該当する。
【0007】
本発明は、一側面では、通信に係る処理負荷が機器制御に与える影響を低減することが可能な制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
ネットワークに接続可能な第1のプロセッサと、
ユーザーインターフェースを備えると共に前記第1のプロセッサと通信可能に接続され、前記ユーザーインターフェースを介して入力された情報、及び前記第1のプロセッサが前記ネットワークから取得した情報に基づいて機器制御を行う第2のプロセッサと、
を備える制御装置であって、
前記第1のプロセッサは、前記ネットワークを介した通信におけるプロトコル制御及び/又は暗号処理を行う通信制御手段を備えることを特徴とする、
制御装置である。
【0009】
本発明の第1の態様において、
請求項1に記載の制御装置であって、
前記通信制御手段は、トランスポート層、インターネット層、データリンク層、及び物理層の処理を階層的に行う手段であり、
前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサの間の通信においては、アプリケーション層の処理が行われることを特徴とするものとしてもよい。
【0010】
本発明の第1の態様において、
前記第2のプロセッサは、前記第1のプロセッサからデータを間欠的に受信する際に、データ受信処理の合間に既に受信したデータを用いた機器制御を行うことを特徴とするものとしてもよい。
【0011】
本発明の第1の態様において、
前記第2のプロセッサがスリープ状態に移行する際に、制御対象機器に関する情報を前記第1のプロセッサに送信し、
前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサがスリープ状態であるときに前記ネットワークに接続された外部機器からの前記制御対象機器に関する情報の問い合わせに応答可能であることを特徴とするものとしてもよい。
【0012】
本発明の第1の態様において、
前記第2のプロセッサは、投影装置の制御を行うプロセッサであり、前記第1のプロセッサが前記ネットワークを介して取得した投影データに基づき前記投影装置に画像を投影させることを特徴とするものとしてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様は、
ネットワークに接続可能な第1のプロセッサと、
ユーザーインターフェースを備えると共に前記第1のプロセッサと通信可能に接続され、前記ユーザーインターフェースを介して入力された情報、及び前記第1のプロセッサが前記ネットワークから取得した情報に基づいて機器制御を行う第2のプロセッサと、
を備える制御装置の通信制御方法であって、
前記第1のプロセッサが、前記ネットワークを介した通信において、トランスポート層、インターネット層、データリンク層、及び物理層の処理を階層的に行い、
前記第2のプロセッサが、前記第1のプロセッサとの通信において、アプリケーション層の処理を行うことを特徴とする、
通信制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、通信に係る処理負荷が機器制御に与える影響を低減することが可能な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係るプロジェクタ1のシステム構成例である。
【図2】制御装置30のハードウエア構成例である。
【図3】制御装置30のソフトウエア構成例である。
【図4】ある状態における制御装置30のソフトウエア配置を図3とは別の観点から示す図である。
【図5】通信プロセッサ50がネットワークから受信したパケットデータを処理する流れを示すシーケンス図である。
【図6】暗号ライブラリをメインプロセッサ40上に配置した場合の制御装置30のソフトウエア構成図である。
【図7】メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間で送受信されるアプリデータの構造と、アプリデータが分割されたデータの構造とを示す図である。
【図8】メインプロセッサ40から受信指示がなされた投影データを外部装置62から取得し、取得した投影データを投影する際の制御装置30の処理の流れと、それぞれの通信フェーズで送受信されたデータを例示した図である。
【図9】外部装置62の側から自発的に送信された投影データを、ネットワーク60を介して取得し、取得した投影データを投影する際の制御装置30の処理の流れと、それぞれの通信フェーズで送受信されたデータを例示した図である。
【図10】平文でプロキシサーバに接続する際に、通信プロセッサ50とプロキシサーバの間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【図11】SSLデータでプロキシサーバに接続する際に、通信プロセッサ50とプロキシサーバの間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【図12】平文で通信を行う際に、通信プロセッサ50によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】SSL/TLSデータで通信を行う際に、通信プロセッサ50によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】省エネ制御を行う際における制御装置30のソフトウエア配置を示す図である。
【図15】省エネ制御が開始される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例に係る制御装置30、及びこれを内蔵するプロジェクタ1について説明する。
【0018】
[構成等]
図1は、本発明の一実施例に係るプロジェクタ1のシステム構成例である。プロジェクタ1は、主要な構成として、投影装置10と、入力装置20と、制御装置30と、を備える。
【0019】
投影装置10は、例えば光源となるランプ、カラー表示機構等を含む。入力装置20は、電源ボタン、選択指示ボタン、輝度調整スイッチ等を含む。
【0020】
図2は、制御装置30のハードウエア構成例である。メインプロセッサ40と、通信プロセッサ50と、を備える。
【0021】
メインプロセッサ40は、プログラムを実行するCPU41、BIOS(Basic Input/Output System)等を格納したROM42、プログラムメモリ等として機能するストレージ装置43、ワーキングメモリとして機能するキャッシュメモリやRAMその他のメモリ装置44等のハードウエアを有する。
【0022】
同様に通信プロセッサ50は、CPU51、ROM52、ストレージ装置53、メモリ装置54等のハードウエアを有する。また、通信プロセッサ50は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク60を介して外部装置62との間で通信を行うためのNIC55(Network Interface Card)を有する。外部装置62は、例えばパーソナルコンピュータ、サーバ装置等のコンピュータである。ネットワーク60は、有線の場合も無線の場合もあり得る。
【0023】
一方、メインプロセッサ40と通信プロセッサ50は、例えばPCIe(PCI Express)による通信が行われる通信線70で接続されている。なお、メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間で行われる通信は、無線通信であってもよい。
【0024】
図3は、制御装置30のソフトウエア構成例である。
【0025】
制御装置30のメインプロセッサ40上では、UI(User Interface)40A、投影アプリケーションプログラム(以下、アプリと略記する)40B、機器管理40C、Http(Hyper Text Transfer Protocol)40D、SOAP(Simple Object Access Protocol)、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等のコンテンツ変換40Eが動作する。
【0026】
一方、制御装置30の通信プロセッサ50上では、Http50A、PJLink50B、SNMP(Simple Network Management Protocol)50C、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)50D、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)50E、無線LAN制御部50F、有線LAN制御部50G、DNS(Domain Name System)50H、SSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)50I、暗号エンジン50J、証明書管理50K、機器設定管理50L、機器状態管理50Mが動作する。
【0027】
図4は、ある状態における制御装置30のソフトウエア配置を図3とは別の観点から示す図である。
【0028】
係る状態において、制御装置30のメインプロセッサ40上では、Http利用アプリ40F、制御アプリ40Gその他のアプリケーションプログラム、HttpsAPIスタブ40H、プロセッサ間通信ドライバ40I等を含むOS(Operating System)40Jが動作する。Http利用アプリ40Fには、図3における投影アプリ40B等が含まれる。制御アプリ40Gには、図3における機器管理40C等が含まれる。本実施例においては、OS40JがTCP/IP機能を有する場合であっても、当該機能は使用しない。
【0029】
一方、制御装置30の通信プロセッサ50上では、SSL等のセキュリティ設定を行う設定アプリ50N、HttpsAPIスケルトン50O、暗号ライブラリ50Pを有するSSL50Q、TCP/IP50E、ネットワーク通信ドライバ50R、OS50Sが動作する。
【0030】
TCP/IP50E、及びネットワーク通信ドライバ50Rは、ネットワーク60を介した外部装置62との間の通信を行うために、トランスポート層、インターネット層、データリンク層、及び物理層の処理を行う。すなわち、宛先/送信元アプリケーションの特定、誤り制御、シーケンス制御(到着順序保証)、エラー訂正、再送制御、通信経路の選択、データ中継、信号の受け渡し、電気信号の変換等の処理を行う。
【0031】
また、SSL50Qは、暗号ライブラリ50Pに格納された暗号方式に含まれる所望の方式によってネットワーク60を介した通信における暗号化処理及び復号処理を行う。
【0032】
図5は、通信プロセッサ50がネットワークから受信したパケットデータを処理する流れを示すシーケンス図である。
【0033】
MACがネットワーク60からパケットを受信すると(S80)、MACはドライバに受信通知を行う(S81)。
【0034】
ドライバは、DAMCに転送設定を送信する(S82)。DAMCは、受信FIFOからMACが受信したパケットを読み出し(S83)、受信バッファ(TCP/IP用)に書き込むと共に(S84)、転送完了通知をドライバに送信する(S85)。
【0035】
受信FIFOや各受信バッファは、例えばメモリ装置54上に設定される領域である。また、MAC、DMAC、ドライバは、例えばネットワーク通信ドライバ50Rが有する機能の一部である。
【0036】
ドライバは、転送完了通知を受信すると、受信通知をTCP/IP50Eに送信する(S86)。
【0037】
TCP/IP50Eは、受信バッファ(TCP/IP用)に書き込まれたデータにTCP/IP処理を行い、処理後のデータを受信バッファ(SSL用)に書き込む(S87)。そして、SSL/TLS50Iに受信通知を送信する(S88)。
【0038】
SSL/TLS50Iは、受信バッファ(SSL用)に書き込まれたデータにSSL/TLS処理を行い、処理後のデータを受信バッファ(Http用)に書き込む(S89)。そして、Http50A等に受信通知を送信する(S90)。
【0039】
メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間の通信では、HttpsAPIスタブ40H及びHttpsAPIスケルトン50Oを介したHttps方式等によるアプリケーション層の通信処理が行われる。Https方式で通信が行われるのは、例えば通信プロセッサ50がネットワーク60を介して取得したデータをメインプロセッサ40に転送する際である。これによって、パケットデータに分割されてデータではなく、いわゆるコンテンツデータを送受信することができるため、メインプロセッサ40におけるデータ処理の負荷を低減することができる。
【0040】
一方、制御アプリ40Cによる指示信号は、HttpsAPIスタブ40H及びHttpsAPIスケルトン50Oを介さずに設定アプリ50Nに伝達される。
【0041】
このようなソフトウエア配置によって、メインプロセッサ40において通信に要するCPUリソースの使用量を低減することができる。本実施例の制御装置30では、物理層からトランスポート層までのコアプロトコル処理や、暗号通信処理(暗号鍵の更新等を含む)等、ネットワークリソースのみで処理が完結できる処理を通信プロセッサ50に配置しているからである。
【0042】
また、通信系の処理と、メインプロセッサ40におけるアプリケーション処理を並行に行うことができるため、ネットワーク60から取得したデータをメインプロセッサ30のアプリケーションが実行している間に、新しいデータをネットワーク60から取得するといった効率的な処理を実現することができる。
【0043】
なお、暗号ライブラリをメインプロセッサ40上に配置し、暗号アルゴリズムの実行処理のみ通信プロセッサ50で行ってもよい。図6は、暗号ライブラリをメインプロセッサ40上に配置した場合の制御装置30のソフトウエア構成図である。この場合、通信プロセッサは、セキュリティマクロ50Tを含むセキュリティエンジン50Uを備え、所望のセキュリティプロトコルでセキュリティマクロ50Tを使用することができる。
【0044】
[処理内容、データ構造等]
以下、制御装置30が実行する種々の処理及びデータ構造等について説明する。
【0045】
図7は、メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間で送受信されるアプリデータの構造と、アプリデータが分割されたデータの構造とを示す図である。本実施例において、メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間で送受信されるアプリデータが基準サイズよりも大きい場合には、分割されて送受信される。図示するように、分割前のアプリデータは、アプリデータサイズ、宛先、制御メッセージID、メッセージID詳細、通信モード、パイプ、送信元、アプリデータ(本体)を含む。
【0046】
一方、分割後のアプリデータは、分割データサイズ、及び最終データであるか否かを示すフラグEOFが付与される。また、分割されたアプリデータの本体部を、デバイスデータ1、2、3、…と称する。
【0047】
メインプロセッサ40と通信プロセッサ50の間では、「ネットワーク送信依頼」及び「ネットワーク受信データ共有」という形式でメッセージが送受信される。ネットワーク送信依頼及びネットワーク受信データ共有は、要求と応答に分けられる。送信側は、ネットワーク送信依頼(要求)を送信して(応答)を受け取るまで、次のネットワーク送信依頼<要求>を送信することを禁止される。
【0048】
「ネットワーク送信依頼」(要求)は、IPアドレス又はホスト名で表現される送信先ホスト、証明CN名、認証証明書セット、送信先の装置内での宛先を示す宛先ポート番号、Httpかそれ以外かを示すプロトコル種別、プロキシサーバの利用可否、サーバ認証失敗時の動作(継続/切断/非セキュア通信)、証明書CNチェック可否等の制御パラメータ、及びHttpヘッダとボディ情報を含むコンテンツデータを含む。証明CN名は、非セキュア通信の場合は0x00等で埋められる。また、コンテンツデータは、上記アプリデータに対応する。
【0049】
一方、「ネットワーク送信依頼」(応答)は、応答の送信元情報、各要求の成功/失敗を示す送信結果等を含む。
【0050】
「ネットワーク受信データ共有」(要求)は、送信元、コンテンツの種別(投影データ、ファームデータ、Webコンテンツ等)を含む制御パラメータと、コンテンツデータを含む。コンテンツデータは、投影装置10が投影する動画、画像、音声等の投影データ、メインプロセッサ40用、通信プロセッサ50用、及び省エネ制御(後述)用のファームデータが結合したファームデータ、PCユーティリティからの投影ジョブ(後述)生成コマンド及び終了コマンドが記述されるWebコンテンツ等が含まれる。
【0051】
「ネットワーク受信データ共有」(応答)は、受信の成功/失敗を示す受信結果、通信相手に送信したいHttpヘッダとボディ情報を含むWebコンテンツを含む。Httpヘッダとボディ情報は、例えばCRLF(Carrige Return/Line Feed)で区切られる。
【0052】
図8は、メインプロセッサ40から受信指示がなされた投影データを外部装置62から取得し、取得した投影データを投影する際の制御装置30の処理の流れと、それぞれの通信フェーズで送受信されたデータを例示した図である。
【0053】
図示するように、まず、メインプロセッサ40から通信プロセッサ50に、「ネットワーク送信依頼」(要求)が送信される(S100)。ここでは、例えばJPEG取得要求が送信される。通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40に「ネットワーク送信依頼」(応答)を返信する(S102)。
【0054】
続いて通信プロセッサ50は、メインプロセッサに「ネットワーク受信データ共有」(要求)を送信する(S104)。
【0055】
メインプロセッサ40は、「ネットワーク受信データ共有」を受信すると、メモリ装置44に格納された投影データに基づいて投影を行うように、投影装置10に指示する(S106)。
【0056】
メインプロセッサ40は、「ネットワーク受信データ共有」を再度受信すると(S108)、メモリ装置44に格納された投影データに基づいて投影を行うように、投影装置10に指示する(S110)。
【0057】
更に、通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40に「ネットワーク受信データ共有」(要求)を送信する(S112)。ここで送信されるコンテンツデータは、ジョブ生成に係るWebコンテンツである。メインプロセッサ110は、「UI操作共有」(要求)を返信する(S114)。ここで返信されるデータは、データ転送のキャンセルを指示するためのものである。
【0058】
通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40に「UI操作共有」(応答)を返信する(S116)。
【0059】
その後も通信プロセッサ50による投影データの送信、及びメインプロセッサ40からの応答は、前述したフラグEOF=1であるデータが送信されるまで継続される(S118、S120、S124、S126)。その過程において、S112において通信プロセッサ50からメインプロセッサ40に送信された「ネットワーク受信データ共有」の応答がなされる(S122)。
【0060】
図9は、外部装置62の側から自発的に送信された投影データを、ネットワーク60を介して取得し、取得した投影データを投影する際の制御装置30の処理の流れと、それぞれの通信フェーズで送受信されたデータを例示した図である。
【0061】
まず、通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40に「ネットワーク受信データ共有」(要求)を送信する(S200)。ここで送信されるコンテンツデータは、ジョブ生成に係るWebコンテンツである。メインプロセッサ40は、コンテンツデータを取得すると、通信プロセッサ50に「ネットワーク受信データ共有」応答を送信する(S202)。
【0062】
次に、通信プロセッサ50からメインプロセッサ40に「ネットワーク受信データ共有」要求が送信される(S204)。コンテンツデータの内容は、投影データである。メインプロセッサ40は、投影データに基づき投影するように、投影装置10を制御する(S206)。そして、メインプロセッサ40は、通信プロセッサ50に「ネットワーク受信データ共有」応答を送信する(S208)。
【0063】
次に、通信プロセッサ50からメインプロセッサ40に「ネットワーク受信データ共有」要求が送信される(S210)。コンテンツデータの内容は、Webコンテンツ(ジョブ削除コマンド)である。メインプロセッサ40は、コンテンツデータを取得すると、投影を停止するように投影装置10を制御する(S212)。そして、メインプロセッサ40は、通信プロセッサ50に「ネットワーク受信データ共有」応答を送信する(S214)。
【0064】
本実施例の制御装置30が備える通信プロセッサ50は、プロキシサーバを介して外部装置62と接続することができる。
【0065】
図10は、平文でプロキシサーバに接続する際に、通信プロセッサ50とプロキシサーバの間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【0066】
まず、通信プロセッサ50からプロキシサーバに対し、図示する内容のデータが送信され(S300)、プロキシサーバから応答がなされる(S302)。これによって、認証方式取得用のTCPセッションが完了する。
【0067】
次に、データ通信プロセッサ50からプロキシサーバに対し、図示する内容のデータが送信され(S304)、プロキシサーバから応答がなされる(S306)。これによって、データ転送用のTCPセッションが完了する。
【0068】
図11は、SSLデータでプロキシサーバに接続する際に、通信プロセッサ50とプロキシサーバの間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【0069】
まず、通信プロセッサ50からプロキシサーバに対し、図示する内容のデータが送信され(S400)、プロキシサーバから応答がなされる(S402)。これによって、認証方式取得用のTCPセッションが完了する。
【0070】
次に、通信プロセッサ50からプロキシサーバに対し、図示する内容のデータが送信され(S404)、プロキシサーバから応答がなされる(S406)。これによって、SSL通信が開始され、"Client Hello"が送信されると(S408)、データ転送用のTCPセッションが完了し、以降、SSLのプロトコルに従った通信が行われる。
【0071】
以下、通信プロセッサ50が、既に確立した通信を利用して処理を行う流れについて説明する。
【0072】
図12は、平文で通信を行う際に、通信プロセッサ50によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
まず、通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40からの送信依頼(ネットワーク送信依頼)待ち状態となる(S500)。この状態には、タイムアウトは設定されない。
【0074】
メインプロセッサ40からの送信依頼を受信すると、通信プロセッサ50は、送信依頼においてIPアドレスの直接指定がなされたか、或いはホスト名の指定がなされたかを判定する(S502)。
【0075】
ホスト名の指定がなされた場合、通信プロセッサ50のDNS50Hが機能し、DNSによるアドレス指定を行う(S504)。
【0076】
次に、通信プロセッサ50は、送信依頼においてプロキシを使用することが指定されているか否かを判定する(S506)。送信依頼においてプロキシを使用することが指定されている場合、通信プロセッサ50は、図10におけるS300、S302の処理をプロキシサーバとの間で行い、プロキシ認証方式を取得する(S508)。
【0077】
次に、通信プロセッサ50は、平文データの転送を行う(S510)。
【0078】
次に、通信プロセッサ50は、送信依頼において"Keep-Alive"することが指定されているか否かを判定する(S512)。
【0079】
"Keep-Alive"することが指定されていない場合、通信プロセッサ50は、S500の送信依頼待ち状態に戻る。
【0080】
"Keep-Alive"することが指定されている場合、通信プロセッサ50は、タイムアウト設定付のメインプロセッサ40からの送信依頼待ち状態となる(S514)。通信プロセッサ50は、タイムアウトとなった場合は、S500の送信依頼待ち状態に戻る。
【0081】
タイムアウトとなる前に送信依頼を受信した場合、通信プロセッサ50は、宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と同じであるか否かを判定する(S518)。宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と異なる場合、通信プロセッサ50は、既存のHttpクライアント手順を再利用し(S522)、S502に戻り、処理を実行する。
【0082】
宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と同じである場合、通信プロセッサ50は、当該通信相手と接続が維持されているか否かを判定する(S520)。通信プロセッサ50は、通信相手と接続が維持されている場合は、S510に戻り平文データを転送し、通信相手と接続が維持されていない場合は、既存のHttpクライアント手順を再利用し(S522)、S502に戻り、処理を実行する。
【0083】
図13は、SSL/TLSデータで通信を行う際に、通信プロセッサ50によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
まず、通信プロセッサ50は、メインプロセッサ40からの送信依頼(ネットワーク送信依頼)待ち状態となる(S600)。この状態には、タイムアウトは設定されない。
【0085】
メインプロセッサ40からの送信依頼を受信すると、通信プロセッサ50は、送信依頼においてIPアドレスの直接指定がなされたか、或いはホスト名の指定がなされたかを判定する(S602)。
【0086】
ホスト名の指定がなされた場合、通信プロセッサ50のDNS50Hが機能し、DNSによるアドレス指定を行う(S604)。
【0087】
次に、通信プロセッサ50は、送信依頼においてプロキシを使用することが指定されているか否かを判定する(S606)。送信依頼においてプロキシを使用することが指定されていない場合、通信プロセッサ50は、SSL/TLS接続を行う(S607)。
【0088】
一方、送信依頼においてプロキシを使用することが指定されている場合、図11におけるS400、S402の処理をプロキシサーバとの間で行い、プロキシ認証方式を取得する(S608)。そして、プロキシ経由接続+SSL/TLSに通信方式を切り替える(S609)。
【0089】
次に、通信プロセッサ50は、SSL/TLSデータの転送を行う(S610)。
【0090】
次に、通信プロセッサ50は、送信依頼において"Keep-Alive"することが指定されているか否かを判定する(S612)。
【0091】
"Keep-Alive"することが指定されていない場合、通信プロセッサ50は、S600の送信依頼待ち状態に戻る。
【0092】
"Keep-Alive"することが指定されている場合、通信プロセッサ50は、タイムアウト設定付のメインプロセッサ40からの送信依頼待ち状態となる(S614)。通信プロセッサ50は、タイムアウトとなった場合は、S600の送信依頼待ち状態に戻る。
【0093】
タイムアウトとなる前に送信依頼を受信した場合、通信プロセッサ50は、宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と同じであるか否かを判定する(S618)。宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と異なる場合、通信プロセッサ50は、既存のHttpクライアント手順を再利用し(S622)、S602に戻り、処理を実行する。
【0094】
宛先アドレスと宛先ポート番号が前回と同じである場合、通信プロセッサ50は、当該通信相手と接続が維持されているか否かを判定する(S620)。通信プロセッサ50は、通信相手と接続が維持されている場合は、S610に戻り平文データを転送し、通信相手と接続が維持されていない場合は、既存のHttpクライアント手順を再利用し(S622)、S602に戻り、処理を実行する。
【0095】
このような処理を通信プロセッサ50が自立して行うことができるため、メインプロセッサ40におけるアプリケーション処理が通信確立のための処理(例えばSSLハンドシェイク、プロキシ接続確立等の処理)によって遅延するという不都合を抑制することができる。この結果、通信に係る処理負荷が機器制御に与える影響を低減することができる。
【0096】
[省エネ制御]
制御装置30は、メインプロセッサ40がスリープ状態である場合にも、ネットワーク60を介した外部装置62との通信を行う制御を行うことができる。以下、係る状態における制御を省エネ制御と称し、これについて説明する。
【0097】
図14は、省エネ制御を行う際における制御装置30のソフトウエア配置を示す図である。この状態において、制御装置30のメインプロセッサ40上では、制御アプリ40G、プロセッサ間通信ドライバ40I等を含むOS40Jが動作する。省エネ制御は、省エネPowerOn/Offレジスタ40Kを参照して行われる。
【0098】
一方、制御装置30の通信プロセッサ50上では、省エネ設定アプリ50V、省エネ通信アプリ50W、省エネ移行/復帰アプリ50X等が動作する。
【0099】
省エネ制御は、ユーザによって入力装置20に対して所定の操作がなされたとき、或いは、非使用状態が所定時間以上継続したとき等に開始される。
【0100】
図15は、省エネ制御が開始される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
まず、ユーザが入力装置20に含まれる電源キーを押下すると(S700)、投影装置10は表示画面において確認表示を行う(S702)。
【0102】
再度ユーザが電源キーを押下すると(S704)、投影装置10は電力状態をスタンバイに変更する旨をメインプロセッサ40に通知する(S706)。
【0103】
次に、メインプロセッサ40は、投影装置の電力状態を変更した旨を通信プロセッサ50に通知する(S708)。通信プロセッサ50は、これに応じてメインプロセッサ40をスリープ状態にするように要求する(S710)。
【0104】
メインプロセッサ40は、制御アプリ40Gが保持していた機器管理情報を通信プロセッサ50に送信し(S712)、スリープ状態に移行する。ここで送信する機器管理情報は、例えば、装置エラー情報、映像入力情報、AVミュート情報、ランプ時間等を含む。
【0105】
通信プロセッサ50は、受信した機器管理情報をメモリ装置54等に格納する。これによって、ネットワークを介して外部装置62から機器状態情報等について問い合わされた際に、メインプロセッサ40を起動することなく応答することができる。
【0106】
係る制御によって、メインプロセッサ40をスリープ状態としたまま、外部からプロジェクタ1の状態を監視することができる。この結果、必要に応じた装置状態の監視と電力消費の低減を実現することができる。
【0107】
[まとめ]
以上説明した本実施例の制御装置30によれば、通信に係る処理負荷が機器制御に与える影響を低減することができる。
【0108】
また、省エネ制御を行うことにより、必要に応じた装置状態の監視と電力消費の低減を実現することができる。
【0109】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0110】
例えば、本発明の制御装置が適用される対象は、プロジェクタに限らず、複合機、プリンタ、携帯端末、移動体等、通信手段と複数のプロセッサを備えるものであれば、如何なる装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 プロジェクタ
10 投影装置
20 入力装置
30 制御装置
40 メインプロセッサ
40A UI
40B 投影アプリ
40C 機器管理
40D Http
40E コンテンツ変換
40F Http利用
40G 制御アプリ
40H HttpsAPIスタブ
40I プロセッサ間通信ドライバ
40J OS
40K 省エネPowerOn/Off
41、51 CPU
42、52 ROM
43、53 ストレージ装置
44、54 メモリ装置
50 通信プロセッサ
50A Http
50B PJLink
50C SNMP
50D DHCP
50E TCP/IP
50F 無線LAN制御部
50G 有線LAN制御部
50H DNS
50I SSL/TLS
50J 暗号エンジン
50K 証明書管理
50L 機器設定管理
50M 機器状態管理
50N 設定アプリ
50O HttpsAPIスケルトン
50P 暗号ライブラリ
50Q SSL
50R ネットワーク通信ドライバ
50S OS
50T セキュリティマクロ
50U セキュリティエンジン
50T セキュリティマクロ
50V 省エネ設定アプリ
50W 省エネ通信アプリ
50X 省エネ移行/復帰アプリ
55 NIC
60 ネットワーク
62 外部装置
70 通信線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2011−21717号公報
【特許文献2】特開2000−261515号公報
【特許文献3】特開2003−333076号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な第1のプロセッサと、
ユーザーインターフェースを備えると共に前記第1のプロセッサと通信可能に接続され、前記ユーザーインターフェースを介して入力された情報、及び前記第1のプロセッサが前記ネットワークから取得した情報に基づいて機器制御を行う第2のプロセッサと、
を備える制御装置であって、
前記第1のプロセッサは、前記ネットワークを介した通信におけるプロトコル制御及び/又は暗号処理を行う通信制御手段を備えることを特徴とする、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記通信制御手段は、トランスポート層、インターネット層、データリンク層、及び物理層の処理を階層的に行う手段であり、
前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサの間の通信においては、アプリケーション層の処理が行われることを特徴とする、
制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御装置であって、
前記第2のプロセッサは、前記第1のプロセッサからデータを間欠的に受信する際に、データ受信処理の合間に既に受信したデータを用いた機器制御を行うことを特徴とする、
制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記第2のプロセッサがスリープ状態に移行する際に、制御対象機器に関する情報を前記第1のプロセッサに送信し、
前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサがスリープ状態であるときに前記ネットワークに接続された外部機器からの前記制御対象機器に関する情報の問い合わせに応答可能であることを特徴とする、
制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記第2のプロセッサは、投影装置の制御を行うプロセッサであり、前記第1のプロセッサが前記ネットワークを介して取得した投影データに基づき前記投影装置に画像を投影させることを特徴とする、
制御装置。
【請求項6】
ネットワークに接続可能な第1のプロセッサと、
ユーザーインターフェースを備えると共に前記第1のプロセッサと通信可能に接続され、前記ユーザーインターフェースを介して入力された情報、及び前記第1のプロセッサが前記ネットワークから取得した情報に基づいて機器制御を行う第2のプロセッサと、
を備える制御装置の通信制御方法であって、
前記第1のプロセッサが、前記ネットワークを介した通信において、トランスポート層、インターネット層、データリンク層、及び物理層の処理を階層的に行い、
前記第2のプロセッサが、前記第1のプロセッサとの通信において、アプリケーション層の処理を行うことを特徴とする、
通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−97734(P2013−97734A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242720(P2011−242720)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】