説明

制御装置

【課題】 適切な出力解像度を決定し得る技術を提供すること。
【解決手段】 多機能機は、ユーザに指示に従って、複数種のファイルフォーマットの中から、1種類のファイルフォーマットを選択する。多機能機は、選択済みのファイルフォーマットが、ページ概念を有するファイルフォーマット(即ちPDF又はXPS)である場合に、第1の解像度を出力解像度として決定し、選択済みのファイルフォーマットが、ページ概念を有さないファイルフォーマット(例えばJPEG)である場合に、第1の解像度よりも高い第2の解像度を出力解像度として決定する。多機能機は、スキャン実行部に原稿のスキャンを実行させてスキャンデータを生成させる。さらに、多機能機は、スキャンデータを用いて、決定済みの出力解像度を有する画像データを含む対象ファイルを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、スキャン実行部を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、画像データを外部に送信する画像送信装置が開示されている。この画像送信装置では、ユーザは、複数個の送信方式(例えば、FAX送信、ScanToFTP、ScanToE−mail)の中から、1個の送信方式を選択することができ、さらに、複数個の画質(普通字、小さい字等)の中から、1個の画質を選択することができる。画像送信装置は、ユーザによって選択される送信方式及び画質に応じて、送信対象の画像データの解像度を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−335386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、画像データの出力解像度を適切に決定することができない可能性がある。本明細書では、適切な出力解像度を決定し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、スキャン実行部を制御するための制御装置を開示する。制御装置は、決定部と、スキャン制御部と、を備える。決定部は、第1種のファイルフォーマットと、第1種のファイルフォーマットと異なる第2種のファイルフォーマットと、を含む複数種のファイルフォーマットの中から選択される1種類のファイルフォーマットに応じて、生成対象の対象ファイルに含まれるべき画像データが有する解像度である出力解像度を決定する。スキャン制御部は、スキャンデータを用いて得られる画像データであって、決定済みの出力解像度を有する画像データを含む対象ファイルを生成する生成部に対象ファイルを生成させるために、スキャン実行部に原稿のスキャンを実行させてスキャンデータを生成させる。決定部は、(A)選択済みのファイルフォーマットが第1種のファイルフォーマットである第1の場合に、第1の解像度を出力解像度として決定し、(B)選択済みのファイルフォーマットが第2種のファイルフォーマットである第2の場合に、第1の解像度と異なる第2の解像度を出力解像度として決定する。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、選択済みのファイルフォーマットに応じて、画像データの出力解像度を決定する。制御装置は、従来にない新規な手法を用いて画像データの出力解像度を決定するために、適切な出力解像度を決定し得る。
【0007】
第1種のファイルフォーマットは、ページ概念を有するファイルフォーマットであってもよい。第2種のファイルフォーマットは、ページ概念を有さないファイルフォーマットであってもよい。第1の解像度は、第2の解像度よりも低くてもよい。例えば、ページ概念を有するファイルフォーマットを有する対象ファイルが生成される場合には、対象ファイルが多数のページを表わす画像データを含む可能性がある。従って、仮に、第1の解像度が比較的に高いと、第1種のファイルフォーマットが選択される場合に、対象ファイルのファイルサイズが膨大なサイズになり得る。上記の構成によると、第1の解像度が比較的に低いために、第1種のファイルフォーマットが選択される場合に、対象ファイルのファイルサイズが過度に大きくなるのを抑制し得る。
【0008】
決定部は、第1の場合において、スキャン実行部が複数ページ分の原稿のスキャンを実行すべき場合に、第1の解像度を出力解像度として決定し、第1の場合において、スキャン実行部が1ページ分の原稿のみのスキャンを実行すべき場合に、第2の解像度を出力解像度として決定してもよい。この構成によると、決定部は、ページ概念を有する第1種のファイルフォーマットが選択される場合に、スキャンされるページ数に応じて、適切な出力解像度を決定し得る。
【0009】
決定部は、第1のファイルサイズと、第1のファイルサイズよりも小さな第2のファイルサイズと、を含む複数個のファイルサイズの中から選択される1個のファイルサイズにさらに応じて、出力解像度を決定してもよい。決定部は、(A1)第1の場合において、選択済みのファイルサイズが第1のファイルサイズである場合に、第1の解像度を出力解像度として決定し、(A2)第1の場合において、選択済みのファイルサイズが第2のファイルサイズである場合に、第1の解像度よりも低い第3の解像度を出力解像度として決定し、(B1)第2の場合において、選択済みのファイルサイズが第1のファイルサイズである場合に、第2の解像度を出力解像度として決定し、(B2)第2の場合において、選択済みのファイルサイズが第2のファイルサイズである場合に、第2の解像度よりも低い第4の解像度を出力解像度として決定してもよい。この構成によると、制御装置は、選択済みのファイルフォーマットと、選択済みのファイルサイズと、に応じて、画像データの出力解像度を決定する。従って、制御装置は、適切な出力解像度を決定し得る。
【0010】
第1の解像度及び第2の解像度のうちの低い方の解像度は、第3の解像度及び第4の解像度のうちの高い方の解像度以上である。この構成によると、制御装置は、選択済みのファイルサイズに応じて、適切な出力解像度を決定し得る。即ち、例えば、比較的に大きな第1のファイルサイズが選択される場合に決定される出力解像度が、比較的に小さな第2のファイルサイズが選択される場合に決定される出力解像度よりも低くなる、という事態が発生するのが抑制される。
【0011】
複数個のファイルサイズの相違は、JPEGの画像データのデータサイズに関係してもよい。また、複数個のファイルサイズの相違は、画像データの圧縮率に関係してもよい。
【0012】
決定部は、制御装置が第1のモードで動作すべき場合に、選択済みのファイルフォーマットに応じて、出力解像度を決定し、制御装置が第1のモードと異なる第2のモードで動作すべき場合に、選択済みのファイルフォーマットに応じて、出力解像度を決定せずに、ユーザによって指定される解像度を、出力解像度として決定してもよい。この構成によると、制御装置は、制御装置自身が動作すべきモードに応じて、適切な出力解像度を決定し得る。
【0013】
制御装置は、複数種のファイルフォーマットの中から、1種類のファイルフォーマットを選択する選択部をさらに備えていてもよい。決定部は、選択部によって選択される選択済みファイルフォーマットに応じて、出力解像度を決定してもよい。
【0014】
制御装置は、生成部をさらに備えていてもよい。この構成によると、制御装置は、適切な出力解像度を有する画像データを含む対象ファイルを生成することができる。
【0015】
なお、上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】スキャン処理のフローチャートを示す。
【図3】ファイルサイズとファイルフォーマットと出力解像度との関係を表わすテーブルの一例を示す。
【図4】ファイル生成処理のフローチャートを示す。
【図5】第2実施例のスキャン処理のフローチャートを示す。
【図6】第2実施例のファイル生成処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図1に示されるように、通信システム2は、多機能機10(PC60の周辺機器)と、PC60と、を備える。多機能機10とPC60とは、LAN4に接続されている。多機能機10とPC60とは、LAN4を介して、相互に通信可能である。
【0018】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能等を含む複数の機能を実行可能である。多機能機10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス16と、印刷実行部18と、スキャン実行部20と、USBインターフェイス22と、制御部30と、を備える。上記の各部12〜22,30は、バス線24に接続されている。
【0019】
操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス16は、LAN4に接続されている。印刷実行部18は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部30からの指示に従って印刷を実行する。スキャン実行部20は、CCD、CIS等のスキャン機構(即ち複数個のイメージセンサ)を備え、制御部30からの指示に従って、原稿のスキャンを実行する。USBインターフェイス22には、USBメモリが接続される。
【0020】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラム(図示省略)に従って、様々な処理を実行する。CPU32が当該プログラムに従って処理を実行することによって、選択部50、決定部52、スキャン制御部54、及び、生成部56の各機能が実現される。
【0021】
メモリ34は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等によって構成される。メモリ34は、スキャン設定記憶領域36と、ラインバッファ38と、リサイズバッファ40と、ワーク領域42と、を備える。メモリ34は、さらに、テーブル44(図3参照)を格納している。テーブル44は、多機能機10の出荷段階において、多機能機10に予め格納されている。ただし、これに代えて、多機能機10は、多機能機10のベンダによって提供されるメディア(例えばUSBメモリ)からテーブル44を取得(即ちインストール)してもよいし、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからテーブル44を取得してもよい。各領域36〜42に記憶されるデータの内容、及び、テーブル44の内容については、後で詳しく説明する。
【0022】
(PC60の構成)
PC60は、ネットワークインターフェイス62と、制御部70と、を備える。PC60は、さらに、図示省略の操作部及び表示部も備える。ネットワークインターフェイス62は、LAN4に接続されている。
【0023】
制御部70は、CPU72と、メモリ74と、を備える。CPU72は、メモリ74に格納されているプログラム(例えばスキャナドライバ76)に従って、様々な処理を実行する。CPU72がスキャナドライバ76に従って処理を実行することによって、選択部80、決定部82、及び、スキャン制御部84の各機能が実現される。なお、各部80〜84は、後述の第3実施例で利用される。また、生成部86は、後述の第4実施例で利用される。
【0024】
メモリ74は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等によって構成される。メモリ74は、多機能機10のスキャン機能を利用するためのスキャナドライバ76を格納している。PC60は、多機能機10と共に出荷されるメディアから、スキャナドライバ76を取得(即ちインストール)する。ただし、これに代えて、PC60は、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからスキャナドライバ76を取得してもよいし、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからスキャナドライバ76を取得してもよい。
【0025】
(スキャン処理;図2)
続いて、多機能機10が実行する処理について説明する。ユーザは、多機能機10の所定の位置に原稿を載置した後に、多機能機10の操作部12を操作して、スキャンの実行の指示を多機能機10に入力する。なお、本実施例では、ユーザが自動原稿搬送装置(ADF(Auto Document Feeder))に1枚以上の原稿を載置することを想定している。ただし、ユーザは、透明板に原稿を載置してもよい。スキャンの実行の指示が入力されると、選択部50(図1参照)は、ユーザがスキャン設定を指定するための指定画面を、表示部14に表示させる。本実施例では、図1に示されるように、「ファイルサイズ」と「出力解像度」と「ファイルフォーマット」と「送信先」とを含む複数個のスキャン設定項目が存在する。
【0026】
(ファイルサイズ)
「ファイルサイズ」は、生成対象のファイル(以下では「対象ファイル」と呼ぶ)のファイルサイズを意味する。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、3個のファイルサイズ(「大」、「中」、「小」)を採用している。なお、本実施例では、3個のファイルサイズを採用しているが、変形例では、2個のファイルサイズ(例えば「大」、「小」)を採用してもよいし、4個以上のファイルサイズを採用してもよい。
【0027】
(出力解像度)
「出力解像度」は、対象ファイルに含まれる画像データが有する解像度を意味する。なお、詳しくは後述するが、「出力解像度」は、スキャン実行部20が実際にスキャンする際に利用される光学解像度と区別されるものである。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、5個の出力解像度(「Auto」、「600dpi」、「300dpi」、「200dpi」、「100dpi」)を採用している。「Auto」は、後述するように、多機能機10が、ファイルサイズ及びファイルフォーマットに応じて、出力解像度の値を決定するための設定値である。なお、本実施例では、具体的な数値を有する出力解像度として、4個の出力解像度(「600dpi」、「300dpi」、「200dpi」、「100dpi」)を採用しているが、変形例では、3個以下又は5個以上の出力解像度を採用してもよい。
【0028】
(ファイルフォーマット)
「ファイルフォーマット」は、対象ファイルのファイルフォーマットを意味する。より具体的に言うと、「ファイルフォーマット」は、対象ファイルのファイル名に含まれる拡張子(例えば、「.jpg」、「.pdf」、「.xps」によって特定される。即ち、複数個のファイルが異なる拡張子を有する場合には、それらの複数個のファイルは、異なるファイルフォーマットを有する。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、3種類のファイルフォーマット(「JPEG(Joint Photographic Experts Group)」、「PDF(Portable Document Format)」、「XPS(XML Paper Specification)」)を採用している。なお、本実施例では、3種類のファイルフォーマットを採用しているが、変形例では、2種類のファイルフォーマットを採用してもよいし、4種類以上のファイルフォーマットを採用してもよい。
【0029】
なお、「JPEG」のファイルフォーマットを有するファイル(以下では「JPEGファイル」と呼ぶ)は、JPEGの圧縮方式に従って圧縮された画像データ(以下では「JPEGデータ」と呼ぶ)を含む。また、「PDF」のファイルフォーマットを有するファイル(以下では「PDFファイル」と呼ぶ)、及び、「XPS」のファイルフォーマットを有するファイル(以下では「XPSファイル」と呼ぶ)も、JPEGデータを含む。
【0030】
後で詳しく説明するが、上記の3個のファイルサイズ(「大」、「中」、「小」)に応じて、JPEGデータの圧縮率が変わる。なお、本実施例では、圧縮率を以下のように定義する。即ち、圧縮率が高い程、JPEGデータ(即ち圧縮後の画像データ)のデータサイズが小さくなる(即ち圧縮の程度が大きくなる)。換言すると、圧縮率が低い程、JPEGデータ(即ち圧縮後の画像データ)のデータサイズが大きくなる(即ち圧縮の程度が小さくなる)。
【0031】
比較的に大きなファイルサイズがユーザによって指定される場合には、比較的に低い圧縮率で圧縮されたJPEGデータ(即ち比較的に大きなデータサイズを有するJPEGデータ)が生成され、比較的に小さなファイルサイズがユーザによって指定される場合には、比較的に高い圧縮率で圧縮されたJPEGデータ(即ち比較的に小さなデータサイズを有するJPEGデータ)が生成される。従って、上記の3個のファイルサイズの相違は、対象ファイルに含まれる画像データの圧縮率に関係する。また、上記の3個のファイルサイズの相違は、JPEGデータ(即ち圧縮後の画像データ)のデータサイズに関係する。
【0032】
(送信先)
「送信先」は、対象ファイルの送信先を意味する。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、3種類の送信先(「USB」、「FTP(File Transfer Protocol)」、「PC」)を採用している。「USB」は、USBインターフェイスに接続されているUSBメモリに対象ファイルを送信することを意味する。「FTP」は、予め決められているサーバに対象ファイルを送信することを意味する。「PC」は、予め決められているPCに対象ファイルを送信することを意味する。なお、本実施例では、3種類の送信先を採用しているが、変形例では、2種類の送信先を採用してもよいし、4種類以上の送信先(例えば電子メールアドレスを送信先としてもよい)を採用してもよい。
【0033】
ユーザは、上記の指定画面が表示されている状態で、操作部12を操作して、複数個のスキャン設定項目のそれぞれについて、1個の設定値を指定する。この場合、図2のS10において、選択部50は、ユーザの指定(換言すると、ユーザの指示)に従って、3個のファイルサイズの中から1個のファイルサイズを選択し、5個の出力解像度の中から1個の出力解像度を選択し、3種類のファイルフォーマットの中から1種類のファイルフォーマットを選択し、3種類の送信先の中から1種類の送信先を選択する。S10では、選択部50は、さらに、選択済みのファイルサイズと、選択済みの出力解像度と、選択済みのファイルフォーマットと、選択済みの送信先と、をスキャン設定記憶領域36に記憶させる。
【0034】
次いで、S12において、決定部52(図1参照)は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの出力解像度が「Auto」であるのか否かを判断する。決定部52は、選択済みの出力解像度が「Auto」である場合に、S12でYESと判断して、S14に進む。一方において、決定部52は、選択済みの出力解像度が「Auto」でない場合、即ち、選択済みの出力解像度が、具体的な数値を有する4個の出力解像度のいずれかである場合に、S12でNOと判断して、S18に進む。
【0035】
なお、後述するように、決定部52は、選択済みの出力解像度が「Auto」である場合に、選択済みのファイルフォーマット及び選択済みのファイルサイズに応じて、対象ファイルに含まれるJPEGデータの出力解像度を決定する。一方において、決定部52は、選択済みの出力解像度が「Auto」でない場合に、選択済みのファイルフォーマット等に応じて、出力解像度を決定せずに、ユーザによって指定された出力解像度(即ちスキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの出力解像度)を、対象ファイルに含まれるJPEGデータの出力解像度として決定する。この構成によると、多機能機10は、多機能機10自身が動作すべきモードに応じて(即ち「Auto」か否かに応じて)、適切な出力解像度を決定することができる。
【0036】
S14では、決定部52は、メモリ34内のテーブル44を参照して、出力解像度を決定する。図3に示されるように、テーブル44は、ファイルサイズとファイルフォーマットと出力解像度との関係を表わすデータである。テーブル44内のデータは、ファイルサイズが大きくなる程、出力解像度が高くなるように、設定されている。換言すると、テーブル44内のデータでは、ファイルサイズが小さくなる程、出力解像度が低くなるように、設定されている。
【0037】
また、テーブル44内のデータは、「PDF」及び「XPS」に対応する出力解像度が、「JPEG」に対応する出力解像度よりも低くなるように、設定されている。「PDF」及び「XPS」は、ページ概念を有するファイルフォーマット(即ち複数ページ分の画像データを含むことが可能なファイルフォーマット)である。これに対し、「JPEG」は、ページ概念を有さないファイルフォーマット(即ち複数ページ分の画像データを含むことが不可能なファイルフォーマット)である。従って、テーブル44内のデータは、ページ概念を有するファイルフォーマット(「PDF」、「XPS」)に対応する出力解像度が、ページ概念を有さないファイルフォーマット(「JPEG」)に対応する出力解像度よりも低くなるように、設定されている。
【0038】
S14では、決定部52は、テーブル44の中から、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルサイズ及び選択済みのファイルフォーマットに対応する出力解像度を特定する。これにより、決定部52は、対象ファイルに含まれるJPEGデータの出力解像度を決定することができる。なお、決定部52は、選択済みの送信先に応じて、出力解像度を決定しない。即ち、出力解像度は、選択済みの送信先に依存しない。
【0039】
なお、図3から明らかなように、ファイルサイズ「中」に対応する2個の出力解像度(「300dpi」、「200dpi」)のうちの低い方の出力解像度(「200dpi」)は、ファイルサイズ「小」に対応する2個の出力解像度(「200dpi」、「100dpi」)のうちの高い方の出力解像度(「200dpi」)以上である。さらに、ファイルサイズ「大」に対応する2個の出力解像度(「600dpi」、「300dpi」)のうちの低い方の出力解像度(「300dpi」)は、ファイルサイズ「中」に対応する2個の出力解像度(「300dpi」、「200dpi」)のうちの高い方の出力解像度(「300dpi」)以上である。このようなテーブル44の構成を採用すると、決定部52は、選択済みのファイルサイズに応じて、適切な出力解像度を決定し得る。即ち、例えば、比較的に大きなファイルサイズ(例えば「大」)が選択される場合に決定される出力解像度が、比較的に小さなファイルサイズ(例えば「中」)が選択される場合に決定される出力解像度よりも低くなる、という事態が発生するのが抑制される。
【0040】
S14を終えると、S16において、決定部52は、S14で決定された決定済みの出力解像度に対応する光学解像度を決定する。本実施例では、出力解像度と光学解像度との関係が予め決められている。具体的に言うと、決定済みの出力解像度が「600dpi」である場合には、決定部52は、光学解像度として「600dpi」を決定する。また、決定済みの出力解像度が、「300dpi」、「200dpi」、「100dpi」である場合には、決定部52は、光学解像度として「300dpi」を決定する。一般的に言うと、決定部52は、光学解像度が出力解像度以上であるという制約条件の下で、光学解像度が可能な限り低くなるように、光学解像度を決定する。なお、光学解像度は、予め決められている値(本実施例では「600dpi」)の1/X倍(Xは1以上の整数)に相当する値(「600dpi」、「300dpi」等)のいずれかに決定される。S16を終えると、S20に進む。
【0041】
また、S12でNOの場合に実行されるS18では、決定部52は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの出力解像度に対応する光学解像度を決定する。出力解像度と光学解像度との関係は、上記のS16と同様である。S18を終えると、S20に進む。
【0042】
S20では、スキャン制御部54(図1参照)は、1ページ分の原稿のスキャンの実行をスキャン実行部20に指示する。具体的に言うと、スキャン制御部54は、所定の信号をスキャン実行部20に送信する。特に、スキャン制御部54は、S16又はS18で決定された決定済みの光学解像度で原稿のスキャンを実行するように、スキャン実行部20に指示する。これにより、スキャン実行部20は、決定済みの光学解像度で原稿のスキャンを実行して、1ページ分のスキャンデータを生成する。この結果、決定済みの光学解像度(例えば「600dpi」)を有する1ページ分のスキャンデータが生成される。
【0043】
なお、スキャン実行部20は、1ライン分のスキャンデータを生成する毎に、当該1ライン分のスキャンデータを制御部30に送信する。1ライン分のスキャンデータは、スキャン実行部20が備える複数個のイメージセンサが並ぶ方向に沿った複数個の画素のデータである。制御部30は、1ライン分のスキャンデータを受信する毎に、当該1ライン分のスキャンデータをラインバッファ38に格納する。S20を終えると、S22に進む。
【0044】
(ファイル生成処理;S22)
S22では、生成部56(図1参照)は、ファイル生成処理を実行する。図4に示されるように、S32において、生成部56は、S16又はS18で決定された決定済みの光学解像度が、決定済みの出力解像度に一致するのか否かを判断する。なお、ここでの「決定済みの出力解像度」は、図2のS12でYESの場合には、S14で決定された出力解像度であり、図2のS12でNOの場合には、ユーザによって指定された出力解像度である。決定済みの光学解像度が決定済みの出力解像度に一致しない場合(S32でNOの場合)には、S34〜S38を実行し、決定済みの光学解像度が決定済みの出力解像度に一致する場合(S32でYESの場合)には、S34〜S38をスキップして、S40に進む。
【0045】
S34〜S38では、生成部56は、決定済みの光学解像度を有する画像データを、決定済みの出力解像度を有する画像データにリサイズするための処理を実行する。S34では、生成部56は、ラインバッファ38に格納されている1ライン分のスキャンデータを、リサイズバッファ40に格納する。これにより、生成部56は、ラインバッファ38を解放することができる。S34を終えると、S36に進む。
【0046】
本実施例では、リサイズのための手法として、バイリニア法を採用している。この場合、2ライン分のスキャンデータがあれば、リサイズを実行することができる。S36では、生成部56は、リサイズに必要な2ライン分のスキャンデータが、リサイズバッファ40に格納されているのか否かを判断する。2ライン分のスキャンデータがリサイズバッファ40に格納されていない場合(S36でNOの場合)には、生成部56は、S32及びS34を再び実行して、次の1ライン分のスキャンデータをリサイズバッファ40に格納する。2ライン分のスキャンデータがリサイズバッファ40に格納されている場合(S36でYESの場合)には、S38に進む。
【0047】
S38では、生成部56は、リサイズバッファ40に格納されている2ライン分のスキャンデータを用いて、リサイズ処理を実行する。即ち、生成部56は、決定済みの光学解像度を有するスキャンデータを、決定済みの出力解像度を有するスキャンデータにリサイズ(即ち変換)する。S38を終えると、S40に進む。
【0048】
S38を経て実行されるS40では、生成部56は、リサイズ後のスキャンデータをワーク領域42に格納する。これにより、生成部56は、リサイズバッファ40を解放することができる。さらに、S32でYESの場合に実行されるS40では、生成部56は、ラインバッファ38に格納されている1ライン分のスキャンデータ(即ちリサイズされていないスキャンデータ)を、ワーク領域42に格納する。これにより、生成部56は、ラインバッファ38を解放することができる。
【0049】
次いで、S42において、生成部56は、S40でワーク領域42に格納されたスキャンデータを用いて、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルサイズに応じた圧縮処理を実行する。なお、S42では、生成部56は、JPEGの圧縮方式を利用する。生成部56は、選択済みのファイルサイズが「大」である場合には、第1の圧縮率でスキャンデータを圧縮し、選択済みのファイルサイズが「中」である場合には、第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率でスキャンデータを圧縮し、選択済みのファイルサイズが「小」である場合には、第2の圧縮率よりも高い第3の圧縮率でスキャンデータを圧縮する。これにより、JPEGデータが生成される。
【0050】
なお、S42の処理を実行すべき際に、圧縮処理に必要なライン数のスキャンデータがワーク領域42に格納されていない場合には、生成部56は、必要なライン数のスキャンデータが得られるまで、S42の処理をスキップする。
【0051】
次いで、S44において、生成部56は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルフォーマットに対応するデータを生成する。なお、S44の処理は、必要に応じて実行される。即ち、S44の処理を実行すべき際に、データを生成する必要がなければ、生成部56は、S44の処理をスキップする。
【0052】
例えば、選択済みのファイルフォーマットが「JPEG」である場合には、S44では、生成部56は、JPEGの拡張子(「.jpg」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ等を生成したりする。また、例えば、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」である場合には、S44では、生成部56は、PDFの拡張子(「.pdf」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ、PDFのヘッダ及びフッタ、ページ番号を示すデータ等を生成したりする。また、例えば、選択済みのファイルフォーマットが「XPS」である場合には、S44では、生成部56は、XPSの拡張子(「.xps」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ、XPSのヘッダ及びフッタ、ページ番号を示すデータ等を生成したりする。
【0053】
次いで、S46において、生成部56は、1ページ分の原稿のスキャンが終了したのか否かを判断する。生成部56は、スキャン実行部20から1ページ分の原稿のスキャンの終了を示すデータを受信する場合に、S46でYESと判断して、S48に進む。一方において、生成部56は、スキャン実行部20から1ページ分の原稿のスキャンの終了を示すデータを受信しない場合(S46でNOの場合)には、S32に戻り、次の1ライン分のスキャンデータの処理を実行する。
【0054】
S48では、生成部56は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの送信先(USBメモリ、所定のサーバ、又は、所定のPC)に向けて、S42で生成されたJPEGデータと、S44で生成されたファイル名等のデータと、を含む1ページ分のデータを送信する。
【0055】
S32〜S48の処理が実行されると、選択済みの送信先に対象ファイルが格納されることになる。対象ファイルは、選択済みのファイルフォーマットを有する。さらに、対象ファイルは、決定済みの出力解像度を有するJPEGデータであって、選択済みのファイルサイズに応じた圧縮率で圧縮されたJPEGデータを含む。
【0056】
図4のファイル生成処理が終了すると、図2のS24において、制御部30は、スキャン対象の次ページの原稿が存在するのか否かを判断する。制御部30は、スキャン実行部20から全ページの原稿のスキャンが終了したことを示すデータを受信しない場合に、S24でYESと判断して、S20に進む。これにより、S20において、スキャン制御部54は、次ページの原稿のスキャンの実行をスキャン実行部20に指示する。そして、S22において、生成部56は、次ページの原稿を表わすJPEGデータを生成して、選択済みの送信先に向けて送信する。
【0057】
なお、上述したように、「JPEG」は、ページ概念を有さない。従って、例えば、2ページ分以上の原稿のスキャンが実行される場合には、1ページ分の原稿毎に、当該1ページ分の原稿を表わす1個のJPEGファイルが生成される。即ち、選択済みのファイルフォーマットが「JPEG」であり、かつ、Yページ分(Yは2以上の整数)の原稿のスキャンが実行される場合には、生成部56は、異なるファイル名を有するY個のJPEGファイルを生成する。
【0058】
一方において、「PDF」及び「XPS」は、ページ概念を有する。従って、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」又は「XPS」であり、かつ、Yページ分(Yは2以上の整数)の原稿のスキャンが実行される場合には、生成部56は、Yページ分の原稿を表わすYページ分のJPEGデータを含む1個のファイル(PDFファイル、XPSファイル)を生成する。
【0059】
なお、制御部30は、スキャン実行部20から全ページの原稿のスキャンが終了したことを示すデータを受信する場合に、S24でNOと判断して、スキャン処理を終了する。
【0060】
(本実施例の効果)
本実施例によると、多機能機10は、選択済みのファイルフォーマット及び選択済みのデータサイズに応じて、対象ファイルに含まれるJPEGデータの出力解像度を決定する。従って、多機能機10は、適切な出力解像度を決定することができる。特に、本実施例では、多機能機10は、選択済みのファイルフォーマットが、ページ概念を有さない「JPEG」である場合には、比較的に高い解像度を出力解像度として決定し、選択済みのファイルフォーマットが、ページ概念を有する「PDF」又は「XPS」である場合には、比較的に低い解像度を出力解像度として決定する。例えば、「PDF」又は「XPS」の対象ファイルが生成される場合には、対象ファイルが、多数のページを表わすJPEGデータを含む可能性がある。このような実情に鑑みて、本実施例では、「PDF」又は「XPS」の対象ファイルに含まれるJPEGデータの出力解像度を比較的に低く設定している。これにより、対象ファイルが多数のページを表わすJPEGデータを含む場合に、対象ファイルのファイルサイズが過度に大きくなるのが抑制される。
【0061】
(対応関係)
多機能機10の制御部30が、「制御装置」の一例である。「PDF」又は「XPS」が「第1種のファイルフォーマット」の一例であり、「JPEG」が「第2種のファイルフォーマット」の一例である。なお、図3のテーブル44に示されるように、ファイルサイズ「大」、ファイルサイズ「中」が、それぞれ、「第1のファイルサイズ」、「第2のファイルサイズ」の一例である。この場合、ファイルサイズ「大」及びファイルフォーマット「PDF(又はXPS)」に対応する「300dpi」が、「第1の解像度」の一例であり、ファイルサイズ「大」及びファイルフォーマット「JPEG」に対応する「600dpi」が、「第2の解像度」の一例である。また、ファイルサイズ「中」及びファイルフォーマット「PDF(又はXPS)」に対応する「200dpi」が、「第3の解像度」の一例であり、ファイルサイズ「中」及びファイルフォーマット「JPEG」に対応する「300dpi」が、「第4の解像度」の一例である。また、選択済みの出力解像度が「Auto」であるモード、選択済みの出力解像度が「Auto」以外であるモードが、それぞれ、「第1のモード」、「第2のモード」の一例である。
【0062】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。第1実施例では、決定部52は、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」又は「XPS」である場合に、スキャン対象の原稿のページ数に関わらず、比較的に低い解像度を出力解像度として決定する。本実施例では、決定部52は、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」又は「XPS」である場合において、(1)スキャン実行部20が複数ページ分の原稿のスキャンを実行すべき場合に、比較的に低い解像度を出力解像度として決定し、(2)スキャン実行部20が1ページ分の原稿のみのスキャンを実行すべき場合に、比較的に高い解像度を出力解像度として決定する。
【0063】
(スキャン処理;図5)
図5を参照して、本実施例のスキャン処理の内容について説明する。なお、図5では、第1実施例と同じ処理について、図2と同じ符号が利用されている。S10を終えると、S11において、制御部30は、N=1を設定して、S12に進む。S12でYESの場合には、S13に進む。
【0064】
S13では、決定部52は、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」又は「XPS」であり、かつ、N=1であるのか否かを判断する。選択済みのファイルフォーマットが「JPEG」である場合、又は、N=2以上である場合には、決定部52は、S13でNOと判断して、S14に進む。一方において、S13でYESの場合には、S15に進む。
【0065】
S15では、決定部52は、テーブル44の中から、選択済みのファイルサイズ及び「JPEG」に対応する出力解像度を特定する。例えば、選択済みのファイルサイズが「大」であり、かつ、選択済みのファイルサイズが「PDF」又は「XPS」である場合でも、決定部52は、ファイルサイズ「大」及びファイルフォーマット「JPEG」に対応する比較的に高い解像度「600dpi」を決定する(図3参照)。S15を終えると、S16に進む。S16〜S20は、第1実施例と同様である。
【0066】
(ファイル生成処理;図6)
続いて、図6を参照して、本実施例のファイル生成処理(図5のS22の処理)の内容について説明する。なお、図6では、第1実施例と同じ処理について、図4と同じ符号が利用されている。S32〜S46は、第1実施例と同様である。S46でYESの場合に、S50において、生成部56は、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」又は「XPS」であり、かつ、N=1であるのか否かを判断する。S50でYESの場合には、S52に進み、S50でNOの場合には、S48に進む。
【0067】
S52では、生成部56は、スキャン対象の次ページの原稿が存在するのか否かを判断する。S52の処理は、図2のS24の処理と同様である。S52でYESの場合には、S54に進み、S52でNOの場合には、S48に進む。
【0068】
S54では、決定部52は、テーブル44の中から、選択済みのファイルサイズ及び選択済みのファイルフォーマットに対応する出力解像度を特定して、出力解像度を決定する。S54の処理は、図5のS14の処理と同様である。例えば、N=1であり、選択済みのファイルサイズが「大」であり、かつ、選択済みのファイルサイズが「PDF」又は「XPS」である場合には、図5のS15において、ファイルサイズ「大」及びファイルフォーマット「JPEG」に対応する出力解像度「600dpi」が決定される。この例の場合、S54では、ファイルサイズ「大」及びファイルフォーマット「PDF、XPS」に対応する出力解像度「300dpi」が決定される(図3参照)。
【0069】
次いで、S56において、生成部56は、S42で生成されたJPEGデータに対するリサイズ処理を実行する。生成部56は、まず、JPEGデータを伸張して、スキャンデータを生成する。当該スキャンデータは、S15で決定された出力解像度(例えば「600dpi」)を有する。次いで、生成部56は、S15で決定された出力解像度(例えば「600dpi」)を有するスキャンデータを、S54で決定された出力解像度(例えば「300dpi」)を有するスキャンデータにリサイズ(即ち変換)する。さらに、生成部56は、リサイズ後のスキャンデータを圧縮して、JPEGデータを生成する。これにより、S54で決定された出力解像度を有する1ページ分のJPEGデータが生成される。S56を終えると、S48に進む。
【0070】
S56を経て実行されるS48では、生成部56は、選択済みの送信先に向けて、S56で生成されたJPEGデータと、S44で生成されたファイル名等のデータと、を含む1ページ分のデータを送信する。一方において、S56を経ないで実行されるS48では、生成部56は、選択済みの送信先に向けて、S42で生成されたJPEGデータと、S44で生成されたファイル名等のデータと、を含む1ページ分のデータを送信する。
【0071】
図6のファイル生成処理が終了すると、図5のS24において、制御部30は、スキャン対象の次ページの原稿が存在するのか否かを判断する。S24でYESの場合には、S25において、制御部30は、現在のNに「1」を加算して、新たなNを算出して、S12に戻る。この場合、N=2以上になるために、S13でNOと判断され、S14に進む。即ち、2ページ以降では、S15の手法で出力解像度が決定されることはなく、S14の手法で出力解像度が決定される。
【0072】
本実施例では、第1実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施例では、決定部52は、選択済みのファイルフォーマットが「PDF」及び「XPS」である場合に、スキャンされるページ数に応じて、出力解像度を変える。具体的に言うと、複数ページ分の原稿のスキャンが実行される場合には、図6のS52でYESと判断されるために、図6のS54で決定される比較的に低い出力解像度(例えば「300dpi」)が、1ページ目のJPEGデータの解像度として、利用される。さらに、2ページ目以降のJPEGデータの解像度は、図5のS14で決定される比較的に低い出力解像度になる。これにより、対象ファイルのファイルサイズが過度に大きくなるのを抑制することができる。一方において、1ページ分の原稿のみのスキャンが実行される場合には、図5のS52でNOと判断されるために、図5のS15で決定される比較的に高い出力解像度(例えば「600dpi」)が利用される。これにより、高解像度を有する画像をユーザに提供し得る。この構成によると、決定部52は、ページ概念を有するファイルフォーマットが選択される場合に、スキャンされるページ数に応じて、適切な出力解像度を決定することができる。
【0073】
(第3実施例)
第1及び第2実施例では、ユーザは、多機能機10の操作部12を操作して、スキャンの実行の指示を多機能機10に入力する。即ち、第1及び第2実施例は、いわゆるプッシュスキャンの実施例である。第3実施例では、ユーザは、多機能機10の所定の位置に原稿を載置した後に、PC60の操作部(図示省略)を操作して、スキャンの実行の指示をPC60に入力する。この場合、PC60は、スキャナドライバ76に従って、スキャンの実行の指示を多機能機10に送信する。即ち、第3実施例は、いわゆるプルスキャンの実施例である。
【0074】
(第3実施例のスキャン処理)
本実施例では、PC60の選択部80(図1参照)は、ユーザがスキャン設定を指定するための指定画面を表示部14に表示させる。ユーザは、PC60の操作部を操作して、複数個のスキャン設定項目のそれぞれについて、1個の設定値を指定する。この場合、第1実施例と同様に、選択部80は、図2及び図5のS10の処理を実行する。なお、本実施例では、S10において、PC60のメモリ74に選択済みのファイルサイズ等が格納される。
【0075】
次いで、PC60の決定部82(図1参照)は、図2及び図5のS12〜S18の処理を実行する。なお、S14では、決定部82は、スキャナドライバ76に含まれるテーブル44(図3参照)を参照する。次いで、S20では、PC60のスキャン制御部84(図1参照)は、所定の信号を多機能機10に送信することによって、原稿のスキャンの実行を多機能機10に指示する。S20では、スキャン制御部84は、S16又はS18で決定された決定済みの光学解像度で原稿のスキャンを実行するように、多機能機10に指示する。さらに、S20では、スキャン制御部84は、決定済みの出力解像度、選択済みのファイルサイズ、選択済みのファイルフォーマット、及び、選択済みの送信先を、多機能機10に通知する。
【0076】
これにより、多機能機10では原稿のスキャンが実行され、さらに、多機能機10の生成部56等は、第1実施例と同様に、図2及び図5のS22のファイル生成処理(図4、図6参照)を実行する。これにより、対象ファイルが生成され、当該対象ファイルが選択済みの送信先に格納される。
【0077】
本実施例によっても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。上述したように、本実施例では、PC60が選択部80と決定部82とスキャン制御部84とを備え、多機能機10が生成部56を備える。なお、本実施例では、多機能機10、PC60が、それぞれ、「スキャン実行部」、「制御装置」の一例である。
【0078】
(第4実施例)
本実施例では、PC60が選択部80と決定部82とスキャン制御部84と生成部86とを備える。図2のS10〜S20の処理は、第3実施例と同様である。本実施例では、多機能機10は、1ライン分のスキャンデータを生成する毎に、当該1ライン分のスキャンデータをPC60に送信する。そして、PC60の生成部86等は、第1実施例と同様に、図2及び図5のS22のファイル生成処理(図4、図6参照)を実行する。これにより、対象ファイルが生成され、当該対象ファイルが選択済みの送信先に格納される。
【0079】
本実施例によっても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例では、多機能機10、PC60が、それぞれ、「スキャン実行部」、「制御装置」の一例である。
【0080】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0081】
(変形例1)多機能機10が選択部50と決定部52とスキャン制御部54とを備え、PC60が生成部86を備えてもよい。この場合、多機能機10の各部50〜54は、図2及び図5のS10〜S20の処理を実行して、1ライン分のスキャンデータを生成する毎に、当該1ライン分のスキャンデータをPC60に送信する。PC60の生成部86等は、図2及び図5のS22のファイル生成処理(図4、図6参照)を実行する。
【0082】
(変形例2)多機能機10が選択部50と生成部56とを備え、PC60が決定部82とスキャン制御部84とを備えてもよい。この場合、多機能機10の選択部50は、図2及び図5のS10の処理を実行して、次いで、選択済みのファイルサイズ等をPC60に通知する。PC60の各部82,84は、図2及び図5のS12〜S20の処理を実行する。そして、多機能機10の生成部56等は、図2及び図5のS22のファイル生成処理(図4、図6参照)を実行する。
【0083】
上述したように、選択部、決定部、スキャン制御部、及び、生成部がどのデバイスに設けられるのかについて、様々な例が考えられる。一般的に言うと、制御装置は、少なくとも決定部及びスキャン制御部を備えていればよい。
【0084】
(変形例3)多機能機10及びPC60の一方が、図4及び図6の複数の処理のうちの一部の処理(例えばS32〜S38)を実行し、多機能機10及びPC60の他方が、残りの処理(例えばS40以降の処理)を実行してもよい。一般的に言うと、生成部は、2個以上のデバイスに分散して設けられてもよい。
【0085】
(変形例4)上記の各実施例では、テーブル44内のデータは、「PDF」及び「XPS」に対応する出力解像度が、「JPEG」に対応する出力解像度よりも低くなるように、設定されている(図3参照)。これに代えて、テーブル44内のデータは、「JPEG」に対応する出力解像度が、「PDF」及び「XPS」に対応する出力解像度よりも低くなるように、設定されてもよい。一般的に言うと、第1種のファイルフォーマットは、ページ概念を有するファイルフォーマットであり、かつ、第2種のファイルフォーマットは、ページ概念を有さないファイルフォーマットである場合に、第1の解像度は、第2の解像度よりも高くてもよい。ページ概念を有するファイルフォーマットは、文字を含む可能性が高い。文字を含む画像の解像度が低いと、ユーザが低画質であると知覚し易い。第1の解像度を比較的に高く設定することにより、ユーザが低画質であると知覚してしまうのを抑制し得る。
【0086】
(変形例5)決定部(即ち決定部52及び/又は決定部82)は、ユーザによってファイルサイズ優先モードが選択される場合に、上記の各実施例のように(一般的に言うと、第1の解像度が第2の解像度よりも低くなるように)、出力解像度を決定し、ユーザによって画質優先モードが選択される場合に、上記の変形例4のように(一般的に言うと、第1の解像度が第2の解像度よりも高くなるように)、出力解像度を決定してもよい。この構成によると、ユーザによって選択されるモードに応じて、適切な出力解像度を決定することができる。
【0087】
(変形例6)上記の各実施例では、「PDF」又は「XPS」が「第1種のデータフォーマット」の一例である。それに代えて、「第1種のデータフォーマット」は、ページ概念を有する他のフォーマット(例えば、TIFF、JPEGXR)であってもよい。また、上記の各実施例では、「JPEG」が「第2種のデータフォーマット」の一例である。それに代えて、「第2種のデータフォーマット」は、ページ概念を有さない他のフォーマット(例えば、PNG)であってもよい。
【0088】
(変形例7)上記の各実施例では、決定部(即ち決定部52及び/又は決定部82)は、選択済みのファイルフォーマット及び選択済みのファイルサイズに応じて、出力解像度を決定する。これに代えて、決定部は、選択済みのファイルフォーマットのみに応じて、出力解像度を決定してもよい。なお、決定部は、選択済みのファイルサイズのみに応じて、出力解像度を決定してもよい。また、決定部は、選択済みのファイルフォーマット及び/又は選択済みのファイルサイズのみならず、他の指標(例えば、ネットワークの通信速度等)にさらに応じて、出力解像度を決定してもよい。
【0089】
(変形例8)上記の各実施例では、複数個のファイルサイズ(「大」、「中」、「小」)の相違は、対象ファイルに含まれる画像データの圧縮率、即ち、JPEGデータのデータサイズに関係する。これに代えて、複数個のファイルサイズのいずれが選択されても、画像データの圧縮率が同じであってもよい。この場合、複数個のファイルサイズの相違は、例えば、対象ファイルに含まれるICCプロファイルのデータサイズに関係してもよい。
【0090】
(変形例9)上記の第2及び第3実施例では、PC60が「制御装置」の一例であるが、「制御装置」は、例えば、携帯電話、PDA等であってもよい。
【0091】
(変形例10)上記の各実施例では、CPU32又はCPU72がプログラムに従った処理を実行することによって、各部50〜54,80〜86の機能が実現される。ただし、各部50〜54,80〜86のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0092】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0093】
2:通信システム、10:多機能機、44:テーブル、60:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン実行部を制御するための制御装置であって、
第1種のファイルフォーマットと、前記第1種のファイルフォーマットと異なる第2種のファイルフォーマットと、を含む複数種のファイルフォーマットの中から選択される1種類のファイルフォーマットに応じて、生成対象の対象ファイルに含まれるべき画像データが有する解像度である出力解像度を決定する決定部と、
スキャンデータを用いて得られる前記画像データであって、前記決定済みの出力解像度を有する前記画像データを含む前記対象ファイルを生成する生成部に前記対象ファイルを生成させるために、前記スキャン実行部に原稿のスキャンを実行させて前記スキャンデータを生成させるスキャン制御部と、
を備え、
前記決定部は、
前記選択済みのファイルフォーマットが前記第1種のファイルフォーマットである第1の場合に、第1の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記選択済みのファイルフォーマットが前記第2種のファイルフォーマットである第2の場合に、前記第1の解像度と異なる第2の解像度を前記出力解像度として決定する、
制御装置。
【請求項2】
前記第1種のファイルフォーマットは、ページ概念を有するファイルフォーマットであり、
前記第2種のファイルフォーマットは、ページ概念を有さないファイルフォーマットであり、
前記第1の解像度は、前記第2の解像度よりも低い、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記第1の場合において、前記スキャン実行部が複数ページ分の原稿のスキャンを実行すべき場合に、前記第1の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記第1の場合において、前記スキャン実行部が1ページ分の原稿のみのスキャンを実行すべき場合に、前記第2の解像度を前記出力解像度として決定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、第1のファイルサイズと、前記第1のファイルサイズよりも小さな第2のファイルサイズと、を含む複数個のファイルサイズの中から選択される1個のファイルサイズにさらに応じて、前記出力解像度を決定し、
前記決定部は、
前記第1の場合において、前記選択済みのファイルサイズが前記第1のファイルサイズである場合に、前記第1の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記第1の場合において、前記選択済みのファイルサイズが前記第2のファイルサイズである場合に、前記第1の解像度よりも低い第3の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記第2の場合において、前記選択済みのファイルサイズが前記第1のファイルサイズである場合に、前記第2の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記第2の場合において、前記選択済みのファイルサイズが前記第2のファイルサイズである場合に、前記第2の解像度よりも低い第4の解像度を前記出力解像度として決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の解像度及び前記第2の解像度のうちの低い方の解像度は、前記第3の解像度及び前記第4の解像度のうちの高い方の解像度以上である、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数個のファイルサイズの相違は、JPEGの前記画像データのデータサイズに関係する、請求項4又は5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記複数個のファイルサイズの相違は、前記画像データの圧縮率に関係する、請求項4から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記決定部は、
前記制御装置が第1のモードで動作すべき場合に、前記選択済みのファイルフォーマットに応じて、前記出力解像度を決定し、
前記制御装置が前記第1のモードと異なる第2のモードで動作すべき場合に、前記選択済みのファイルフォーマットに応じて、前記出力解像度を決定せずに、ユーザによって指定される解像度を、前記出力解像度として決定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記複数種のファイルフォーマットの中から、前記1種類のファイルフォーマットを選択する選択部をさらに備え、
前記決定部は、前記選択部によって選択される前記選択済みファイルフォーマットに応じて、前記出力解像度を決定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記生成部をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
スキャン実行部を制御するための制御装置に、以下の各処理、即ち、
第1種のファイルフォーマットと、前記第1種のファイルフォーマットと異なる第2種のファイルフォーマットと、を含む複数種のファイルフォーマットの中から選択される1種類のファイルフォーマットに応じて、生成対象の対象ファイルに含まれるべき画像データが有する解像度である出力解像度を決定する決定処理と、
スキャンデータを用いて得られる前記画像データであって、前記決定済みの出力解像度を有する前記画像データを含む前記対象ファイルを生成する生成部に前記対象ファイルを生成させるために、前記スキャン実行部に原稿のスキャンを実行させて前記スキャンデータを生成させるスキャン制御処理と、
を実行させ、
前記決定処理では、
前記選択済みのファイルフォーマットが前記第1種のファイルフォーマットである第1の場合に、第1の解像度を前記出力解像度として決定し、
前記選択済みのファイルフォーマットが前記第2種のファイルフォーマットである第2の場合に、前記第1の解像度と異なる第2の解像度を前記出力解像度として決定する、
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175270(P2012−175270A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33641(P2011−33641)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】