説明

制振装置、及び免震台

【課題】制振装置を小型化する。
【解決手段】一対のギア16は、その間を移動する噛合チェーン18A、18Bによって互いに反対方向へ回転駆動される。そして、ギア16が正回転(矢印R方向)すると、噛み外された噛合チェーン18A、18Bの内側フック52同士、及び外側フック54同士が徐々に接近し、一対のギア16の間で噛み合わせられる。噛み合わせられた噛合チェーン18A、18Bは、長手方向へ圧縮力を伝達可能になる。一方、ギア16が互いに反対方向へ逆回転(矢印R方向)すると、各噛合チェーン18A、18Bの内側フック52同士、及び外側フック54同士が徐々に離間して噛み外される。噛み外された噛合チェーン18A、18Bは、ガイド部によってガイドされ、チェーン収納部に移動される。ギア16に取付けられた回転式ダンパ14により減衰力が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振装置、及び免震台に関する。
【背景技術】
【0002】
制振装置としては、例えば、図10(A)に示されるように、オイルダンパ300が知られている。このオイルダンパ300は、構造体302に取り付けられ、オイル304が収容されるシリンダ306と、基礎308に取り付けられ、シリンダ306に抜き挿し可能に挿入されるロッド310を備えている。ロッド310の先端にはピストン312が設けられている。このピストン312が、構造体302と基礎308の水平方向の相対移動(矢印A方向)に伴ってシリンダ306内を移動し、ピストン312に形成されたオリフィス312Aにオイル304を通過させることにより、減衰力を発生する。なお、図10(A)は模式図であり、説明に必要な部分以外は適宜簡略化して図示している。
【0003】
また、図10(B)には、粘性体ダンパ320が示されている。粘性体ダンパ320は、基礎308に固定され、粘性体322を収容する収容槽324と、構造体302に固定され、収容槽324内に配置される抵抗板326を備え、この抵抗板326が、基礎308と構造体302の水平方向(矢印A方向)の相対移動に伴って粘性体322内を移動することにより減衰力を発生する。
【0004】
更に、図10(C)には、ラック338とピニオン340を用いた回転式粘性体ダンパ330が示されている。回転式粘性体ダンパ330は、基礎308に固定され、粘性体を収容する収容容器334と、収容容器334内に挿入された回転軸336を備えている。回転軸336の端部には、構造体302に固定されたラック338に噛み合わせられるピニオン340が設けられている。このラック338及びピニオン340によって、基礎308と構造体302の水平方向の相対移動(矢印A方向)が回転軸336の回転に変換され、回転軸336に取り付けられた円筒状の回転抵抗体339が粘性体内で回転することにより減衰力を発生する。
【0005】
ここで、制振装置の最大稼動範囲(ストローク)をSとして、前述した各種の制振装置の装置長さを比較すると、オイルダンパ300(図10(A)参照)では、ストロークS(0.5S×2)に、ピストン312の厚みC、及びシリンダ306から突出するロッド310の突出長0.5Sが加算され、その装置長さはC+1.5S(0.5S×3)になる。次に、粘性体ダンパ320(図10(B)参照)では、ストロークS(0.5S×2)に、抵抗板326の幅Cが加算され、その装置長さはC+Sになる。最後に、ラック338及びピニオン340を用いた回転式粘性体ダンパ330では、微小であるラック338とピニオン340との噛み合い幅を無視すると、その装置長さはS(0.5S×2)となり、上記3つの制振装置の中で最小になる。しかしながら、制振装置には、更なる小型化が望まれている。
【0006】
一方、特許文献1には、噛合チェーンを用いた昇降装置が提案されている。この昇降装置では、噛合チェーンを用いて昇降テーブルを昇降させることにより、昇降テーブルが最も降下したときの装置高さを低く抑えている。しかしながら、この昇降装置は、駆動モータでスプロケを回転駆動して噛合チェーン同士を噛み合わせ又は噛み外させるものであり、部材間の相対移動を利用して噛合チェーン同士を噛み合わせ又は噛み外させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−1378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、制振装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の制振装置は、圧縮力を長手方向へ伝達可能に噛み合い、噛み合った端部が第1部材に取り付けられる一対の噛合チェーンと、前記第1部材に対して相対移動する第2部材に取り付けられ、前記噛合チェーン同士の噛み合わせ位置で該噛合チェーンとそれぞれ噛み合い、正回転することで前記噛合チェーン同士を噛み合わせ、逆回転することで該噛合チェーン同士を噛み外して互いに離れる方向へ移動させる一対のギアと、前記ギアの回転軸に取り付けられ、減衰力を発生して該回転軸の回転を減衰する回転式ダンパと、を備えている。
【0010】
上記の構成によれば、第1部材には、噛み合った一対の噛合チェーンの端部(以下、「噛合端部」という)が取り付けられ、第2部材には、噛合チェーンと噛み合う一対のギアが取り付けられる。ギアの回転軸には、回転式ダンパが取り付けられている。なお、回転式ダンパは、一対のギアの少なくとも一方に取り付けられていれば良い。
【0011】
ここで、第1部材と第2部材とが相対移動し、噛合チェーンの噛合端部とギアとの間隔が広がると、噛合チェーンが一対のギアの間を移動し、噛み合わせ位置で噛合チェーンと噛み合った一対のギアがそれぞれ正回転する。ギアが正回転すると、噛合チェーン同士が噛み合わせられ、噛合チェーンの長手方向へ圧縮力が伝達可能となる。
【0012】
逆に、第1部材と第2部材とが相対移動し、噛合チェーンの噛合端部とギアとの間隔が狭くなると、噛み合った噛合チェーンの長手方向に圧縮力が伝達され、これにより、噛合チェーンが一対のギアの間を逆方向へ移動し、噛み合わせ位置で噛合チェーンと噛み合ったギアが逆回転する。ギアが逆回転すると、噛合チェーン同士が噛み外されて互いに離れる方向へ移動する。
【0013】
このように、噛合チェーンによって、第1部材と第2部材との相対移動がギアの回転に変換される。ギアの回転は、当該ギアの回転軸に取り付けられた回転式ダンパの減衰力によって減衰される。この結果、第1部材と第2部材との相対移動が減衰される。
【0014】
ここで、一対のギアによって噛み外された噛合チェーンは、互いに離れる方向へ移動される。従って、噛み合った噛合チェーンの長手方向の装置長さが短くすることが可能となり、制振装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載の制振装置は、請求項1に記載の制振装置において、前記ギアと対向し、噛み外された前記噛合チェーンを該ギアに沿ってそれぞれ湾曲させるガイド部を備えている。
【0016】
上記の構成によれば、ギアと対向するガイド部によって、噛み外された噛合チェーンがギアに沿って湾曲される。このガイド部によって、噛み外された噛合チェーンを噛み合った噛合チェーンの長手方向に対して90度以上湾曲させることにより、噛み合った噛合チェーンの長手方向の装置長さを短くすることができる。従って、制振装置の小型化を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の制振装置は、請求項2に記載の制振装置において、噛み合った噛合チェーンの両側に設けられ、前記ガイド部に沿って移動した前記噛合チェーンが畳まれて収納される収納部を備えている。
【0018】
上記の構成によれば、噛み合った噛合チェーンの両側に収納部が設けられている。この収納部に、噛み外された噛合チェーンが畳まれた状態で収納される。従って、噛み外された噛合チェーンを畳まずに収納する場合と比較して、制振装置の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項4に記載の制振装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の制振装置において、前記噛合チェーンの噛み合った端部が、前記第1部材に回転可能に取り付けられ、前記ギアが、前記第2部材に回転可能に取り付けられた支持部材に取り付けられている。
【0020】
上記の構成によれば、噛合チェーンの噛合端部が第1部材に回転可能に取り付けられ、ギアが第2部材に回転可能に取り付けられた支持部材に取り付けられている。従って、噛み合った噛合チェーンの長手方向(圧縮力伝達方向)と直交する方向へ第1部材と第2部材が相対移動した場合、噛合チェーンの噛合端部、及びギアが取り付けられた支持部材がそれぞれ回転する。従って、噛み合った噛合チェーンに作用する曲げが低減され、噛合チェーンとギアの噛み外れや、噛合チェーン及びギアの破損、損傷が抑制される。
【0021】
請求項5に記載の免震台は、第1部材と、前記第1部材と対向すると共に、該第1部材と一方向に相対移動可能に連結される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に設けられた請求項1〜4の何れか1項に記載の制振装置と、を備え、前記制振装置が、噛み合った前記噛合チェーンの長手方向を前記相対移動方向にして配置され、前記噛合チェーンの噛み合った端部が、前記第1部材に取り付けられると共に、前記ギアが前記第2部材に取り付けられている。
【0022】
上記の構成によれば、対向する第1部材と第2部材が、一方向に相対移動可能に連結されている。これらの第1部材と第2部材の間には、請求項1〜4の何れか1項に記載の制振装置が設けられている。制振装置は、噛み合った噛合チェーンの長手方向を、第1部材と第2部材の相対移動方向にして配置されており、噛合チェーンの噛み合った端部が第1部材に取り付けられると共に、ギアが第2部材に取り付けられている。従って、第1部材と第2部材との相対移動がギアの回転に変換され、ギアの回転軸に取り付けられた回転式ダンパが減衰力を発生する。よって、第1部材と第2部材との相対移動が減衰される。
【0023】
また、噛み合った噛合チェーンは、その長手方向を第1部材と第2部材との相対移動方向にして配置されているため、噛み合った噛合チェーンに作用する曲げが低減される。従って、噛合チェーンとギアの噛み外れや、噛合チェーン及びギアの破損、損傷が抑制される。
【0024】
なお、この免震台には、例えば、美術品等の展示品や、サーバーマシン(コンピュータ)を収納するサーバーラック等が載置される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上記の構成としたので、制振装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制振装置を示す、側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る制振装置を示す、平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る噛合チェーン及びギアを示す、斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回転式ダンパを示す、縦断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、本発明の第1実施形態に係る制振装置の作動状態を示す、平面図である。
【図6】(A)〜(C)は、本発明の第1実施形態に係る制振装置の作動状態を示す、平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る免震台を示す、斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る免震台を示す、分解斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る免震台の作動状態を示す、側面図である。
【図10】(A)〜(C)は、従来の制振装置を示す、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
先ず、第1実施形態に係る制振装置10について説明する。
【0029】
<制振装置の全体構成>
図1及び図2に示されるように、制振装置10は、ケース(支持部材)12と、ケース12の下部に設けられた2つの回転式ダンパ14と、各回転式ダンパ14の回転軸36に取り付けられる一対のギア16と、一対のギア16の間に配置され、噛み合った端部がケース12から水平方向に突出する一対の噛合チェーン18を備えている。なお、説明の便宜上、噛み合った噛合チェーン18(以下、単に「噛合チェーン18」という場合がある)の長手方向(軸方向)を矢印Xで示し、矢印Xと直交する矢印Y方向を制振装置10の幅方向とし、更に、ケース12から噛合チェーン18が突出する方向を制振装置10の前方向(前側)とし、反対方向を制振装置10の後方向(後側)として説明する。
【0030】
制振装置10は、建物の基礎20と、基礎20の上方に構築された上部構造体22の間に形成された免震層に、噛合チェーン18の長手方向(矢印X方向)を水平方向として設置されている。なお、上部構造体22は、当該上部構造体22と基礎20との間に設けられた図示せぬ免震装置により、基礎20に対して水平二方向に相対移動可能に支持されている。
【0031】
ケース12の前壁12Aから水平方向へ突出した噛合チェーン18の端部(以下、「噛合端部24」という)、及びケース12の後壁12Bには、それぞれ取付部26、28が設けられている。これらの取付部26、28は、基礎20及び上部構造体22に設けられた支持台30、32(第1部材、第2部材)に、連結ピン34によって回転可能に連結されている。従って、地震時等に基礎20に対して上部構造体22が水平方向へ相対移動したときに、噛合チェーン18がケース12内から引き出され、若しくはケース12内に押し込まれ、噛合チェーン18と噛み合った一対のギア16が回転する。この結果、ギア16が取り付けられた回転式ダンパ14が減衰力を発生して、基礎20と上部構造体22との水平方向の相対移動が減衰される。以下、各構成要素について詳説する。
【0032】
<ケースの構成>
図1〜図3に示されるように、ケース12は箱状で、2つの回転式ダンパ14が収納されている。回転式ダンパ14の上方には、一対のギア16が収納されるギア収納部38(図2参照)、及び一対のギア16によって噛み合わされた噛合チェーン18が移動する移動経路40が設けられている。移動経路40は、ギア収納部38からケース12の前壁12Aに形成された開口部42まで延びている。この開口部42から噛合チェーン18がケース12内から引き出され、又はケース12内に押し込まれる。なお、ケース12の前壁12Aには、開口部42から引き出された噛合チェーン18を埃等から保護する伸縮自在のカバー62が設けられている。
【0033】
ケース12の後壁12Bには、一対のギア16によって噛み外された噛合チェーン18を、ギア16に沿ってそれぞれ湾曲させるガイド部44が設けられている。ガイド部44は、移動経路40の延長線上に設けられており、各ギア16と対向する2つの湾曲面44A、44Bを有している。この湾曲面44A、44Bは、噛み外された噛合チェーン18が、ギア16に沿って湾曲するように、ギア16と同一又は略同一の曲率で円弧状に湾曲している。これらの湾曲面44A、44Bによって、噛み外された噛合チェーン18が、噛合チェーン18の長手方向と直交又は略直交する方向(矢印Y方向)に移動される。
【0034】
なお、噛み外された噛合チェーン18が移動する方向は、湾曲面44A、44Bのガイド長さを増減することに調整可能であり、例えば、湾曲面44A、44Bを短くして噛み外された噛合チェーン18を制振装置10の後方へ移動させても良いし、湾曲面44A、44Bを延ばして噛み外された噛合チェーン18をギア16に半周巻きかけ、制振装置10の前方へ移動させても良い。ただし、噛み合った噛合チェーン18に対して、噛み外れた噛合チェーン18を90度以上湾曲させることが好ましい。制振装置10の噛合チェーン18の長手方向の装置長さを最小にすることができるためである。
【0035】
移動経路40のケース12の幅方向両側には、ガイド部44に沿って移動した噛合チェーン18が収納されるチェーン収納部(収納部)46が設けられている。チェーン収納部46は、ケース12の外周に沿って渦巻き状に形成され、噛み外された噛合チェーン18が畳まれた状態で収納可能になっている。なお、チェーン収納部46に替えて、噛み外された噛合チェーン18を畳まずに、直線状に収納する収納部を設けても良い。
【0036】
更に、ケース12の後壁12Bの外面には、上部構造体22の支持台32(図1参照)に取り付けられる取付部28が設けられている。取付部28は断面T形のフランジからなり、移動経路40の延長線上に設けられている。一方、図1に示されるように、上部構造体22の支持台32には、上下方向に対向する連結プレート48が設けられ、これらの連結プレート48の間に取付部28が配置されている。取付部28及び連結プレート48には貫通孔がそれぞれ形成されている。これらの貫通孔に上下方向(鉛直方向)に貫通される連結ピン34よって、取付部28が連結プレート48に回転可能に取り付けられている。
【0037】
なお、図示を省略するが、連結ピン34に球面滑り軸受け等を取り付けて連結ピン34を傾倒可能状態で保持し、基礎20に対して上部構造体22が上下方向(鉛直方向)へ相対移動したときに、噛合チェーン18に発生する曲げを低減することも可能である。
【0038】
ケース12の下面には、複数のキャスター50が設けられている。各キャスター50は、球体50Aと、球体50Aを回転可能に保持し、ケース12の下面に取り付けられるホルダー50Bを備え、球体50Aが基礎20上を転がることで、ケース12が水平二方向へ移動可能に支持されている。このキャスター50でケース12を支持することにより、噛合チェーン18に発生する撓みが低減されている。
【0039】
なお、キャスター50に替えて、ケース12の下面や基礎20の上面に、滑り材等の低摩擦材を設けて滑り易くしても良い。更に、ケース12を基礎20の上に載置せずに、支持台32に片持で支持させることも可能である。
【0040】
<噛合チェーンの構成>
図3に示されるように、噛合チェーン18は、通称チャックチェーンと呼ばれるもので、2本の噛合チェーン18A、18Bで構成されている。本実施形態では、2組の噛合チェーン18を連結した2段構造(2列構造)のものを用いている。なお、2組の噛合チェーン18は同じ構成であるため、以下、1組の噛合チェーン18について説明する。
【0041】
各噛合チェーン18A、18Bは、対向する複数の内側フック52と、内側フック52の外側にそれぞれ設けられる外側フック54を備えている。なお、内側フック52と外側フック54は同じ形状、大きさである。内側フック52と外側フック54とは、噛合チェーン18の長手方向にずれて配列され、噛合チェーン18の長手方向に隣接する内側フック52に外側フック54がまたがっている。内側フック52及び外側フック54には、噛合チェーン18の長手方向に隣接する2つの貫通孔が形成されている。これらの貫通孔、及び対向する内側フック52の間に設けられた円筒状のブッシュ56に貫通されるピン58によって、内側フック52と外側フック54とが回転可能に連結されている。
【0042】
このように構成された一対の噛合チェーン18A、18Bは、各々の内側フック52同士、及び外側フック54同士が噛み合うように互いに反対向きに配置され、後述する一対のギア16によって、一端から他端に向かって各々の内側フック52同士、及び外側フック54同士が順に噛み合わされている。これらの内側フック52同士及び外側フック54同士が噛み合うことで、内側フック52及び外側フック54の回転が相互規制されて自立可能な状態となり、高剛性の棒状部材のように、噛合チェーン18の長手方向へ圧縮力が伝達可能となる。即ち、基礎20に対して上部構造体22が相対移動したときに、噛合チェーン18がケース12に対して押し込み可能な状態となる。一方、一対のギア16によって、噛み外された噛合チェーン18は、内側フック52及び外側フック54が回転可能となり、一般的なチェーンと同様に、自在に湾曲や折り畳みが可能となる。
【0043】
噛合チェーン18と噛み合う一対のギア16は、ケース12のギア収納部38に収納され、ケース12の幅方向に対向している。各ギア16には、噛み外された噛合チェーン18A、18Bがそれぞれかけられている。噛み外された噛合チェーン18A、18Bは、各ギア16に沿って互いに離れる方向へ湾曲している。なお、各ギア16は、後述する2つの回転式ダンパ14の回転軸36にそれぞれ取り付けられている。
【0044】
一対のギア16は、その間を移動する噛合チェーン18A、18Bによって互いに反対方向へ回転駆動される。そして、ギア16が正回転(矢印R方向)すると、噛み外された噛合チェーン18A、18Bの内側フック52同士、及び外側フック54同士が徐々に接近し、一対のギア16の間で噛み合わせられる(噛み合わせ位置)。噛み合わせられた噛合チェーン18A、18Bは、移動経路40へ移動される。一方、ギア16が互いに反対方向へ逆回転(矢印R方向)すると、各噛合チェーン18A、18Bの内側フック52同士、及び外側フック54同士が徐々に離間して噛み外される。噛み外された噛合チェーン18A、18Bは、ガイド部44によってガイドされ、チェーン収納部46に移動される。
【0045】
また、図1に示されるように、噛み合った噛合チェーン18の噛合端部24には、断面T形のフランジからなる取付部26が設けられている。一方、基礎20の支持台30には、上下方向に対向する連結プレート48が設けられている。これらの連結プレート48の間に、取付部26が配置されている。取付部26及び連結プレート48には貫通孔がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔に上下方向(鉛直方向)に貫通されるに連結ピン34よって、取付部26が連結プレート48に回転可能に取り付けられている。
【0046】
なお、前述したように、連結ピン34に球面滑り軸受け等を取り付けて連結ピン34を傾倒可能状態で保持し、基礎20に対して上部構造体22が上下方向(鉛直方向)へ相対移動したときに、噛合チェーン18に発生する曲げを低減することも可能である。また、制振装置10の向きを反転させ、基礎20の支持台30にケース12の取付部28を取り付け、上部構造体22の支持台32に噛合チェーン18の噛合端部24を取り付けても良い。
【0047】
また、本実施形態では、2段構造の噛合チェーン18を用いているが、噛合チェーン18の段数は、噛合チェーン18に求められる座屈強度、耐久性能等によって適宜変更可能であり、1段構造でも良いし、複数段構造(2段以上)でも良い。また、噛合チェーン18は上記したものに限らず、噛み合った状態で長手方向へ圧縮力を伝達可能となり、噛み外された状態で自在に湾曲や折り畳みが可能となるものであれば良く、従来周知の種々の構造のものを使用することができる。
【0048】
<回転式ダンパの構成>
図4に示されるように、ケース12の下部には、2つの回転式ダンパ14がケース12の幅方向に並んで収納されている。各回転式ダンパ14は、粘性体64を収容する円筒状の収容容器66と、収容容器66内に取り付けられる回転軸36を備えている。この収容容器66は、収容容器66の底となるベースプレート66Bに貫通されたビス68によって、ケース12の底壁12Cに固定されている。
【0049】
回転軸36は、収容容器66の上壁66Aに形成された取付孔70から収容容器66内に挿入され、その下端部が粘性体64に浸漬した状態で、取付孔70及びベースプレート66Bにそれぞれ設けられた軸受72、74によって回転可能に支持されている。これらの軸受72、74は、回転軸36に圧接されるOリング等のシール部材76によって粘性体64に浸らないよう保護されている。また、シール部材76によって、回転軸36と取付孔70との隙間が密閉され、取付孔70から粘性体64が漏れないようになっている。
【0050】
収容容器66内には、回転体78が設けられている。回転体78は、回転軸36の下部に取り付けられ、回転軸36と共に回転する円盤状の回転プレート78Aと、回転プレート78Aの下面に設けられる複数(図2では、2つ)の回転抵抗体78Bを備えている。これらの回転抵抗体78Bは径が異なる円筒体で、各々の中心軸が回転軸36の軸線と一致するように同軸上に配置され、回転軸36の回転に連動して回転可能となっている。
【0051】
収容容器66のベースプレート66Bには、固定抵抗体80が設けられている。固定抵抗体80は円筒体で、その中心軸を回転軸36の軸線に一致させて、隣接する回転抵抗体78Bの間に配置されている。即ち、回転抵抗体78Bと固定抵抗体80とが交互に組み合わされている。そして、固定抵抗体80に対して回転抵抗体78Bが相対回転することにより、粘性体64の粘性抵抗によって減衰力を発生する。
【0052】
なお、回転式ダンパ14の減衰力は、回転抵抗体78Bと固定抵抗体80との間隔を増減して粘性体64との粘性抵抗(せん断速度抵抗)を調整したり、回転抵抗体78B及び固定抵抗体80の配列数を増減したりすることで調整される。
【0053】
収容容器66から突出した回転軸36の上端部は、ケース12の天壁12Dに形成された取付孔82に挿入されるとともに、取付孔70の縁に設けられた軸受84によって回転可能に支持されている。また、回転軸36の上部には、噛合チェーン18とそれぞれ噛み合う2つのギア16が取り付けられている。
【0054】
なお、本実施形態では、一対のギア16の回転軸36に、回転式ダンパ14がそれぞれ設けられているが、一対のギア16の回転軸36の一方にのみ回転式ダンパ14を設けても良い。
【0055】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0056】
図5(A)〜図5(C)には、制振装置10の作動状態を示す、平面図が示されている。なお、図5(B)に示される状態が、制振装置10の初期状態である。先ず、図5(C)に示されるように、地震等によって、基礎20と上部構造体22が水平方向(矢印X方向)へ相対移動し、噛合チェーン18の噛合端部24と一対のギア16との間隔が広がると、ケース12の開口部42(図2参照)から噛合チェーン18が引き出され、一対のギア16の間を噛合チェーン18が移動する。これにより、噛合チェーン18と噛み合った一対のギア16が、互いに反対方向へ正回転する。
【0057】
逆に、図5(A)に示されるように、基礎20と上部構造体22が水平方向へ相対移動し、噛合チェーン18の噛合端部24と一対のギア16との間隔が狭くなると、ケース12内に噛合チェーン18が押し込まれ、一対のギア16の間を噛合チェーン18が逆方向へ移動する。これにより、噛合チェーン18と噛み合った一対のギア16が互いに反対方向へ逆回転する。
【0058】
このように、一対のギア16の間を往復移動する噛合チェーン18によって、基礎20と上部構造体22との水平方向の相対移動が一対のギア16の回転に変換される。これにより、図4に示されるように、ギア16が取り付けられた回転式ダンパ14の回転軸36が回転するとともに、回転軸36の下部に取り付けられた回転体78が粘性体64内で回転する。この回転体78の回転が粘性体64の粘性抵抗(減衰力)によって減衰される結果、基礎20と上部構造体22との相対移動が減衰される。
【0059】
ここで、一対のギア16によって噛み外された噛合チェーン18A、18Bは、ギア16と対向するガイド部44(図2参照)の湾曲面44A、44Bによってガイドされ、ギア16に沿って互いに離れる方向へ移動する。従って、従来のラック338とピニオン340を用いた回転式粘性体ダンパ330(図10(C)参照)と比較して、噛合チェーン18の長手方向の装置長さを短くすることができる。
【0060】
具体的には、前述したように、制振装置の最大稼動範囲(ストローク)をSとすると、従来の回転式粘性体ダンパ330(図10(C)参照)では、ラック338が直線状に設けられるため、その装置長さはS(0.5S×2)となる。これに対して本実施形態では、噛み外された噛合チェーン18A、18Bがギア16に沿って互いに離れる方向へ湾曲してケース12の幅方向へ移動するため、その装置長さは、図5(B)に示したように、0.5S+C(ギア16の直径)+W(1本の噛合チェーン18の幅)となる。なお、チェーン収納部46の幅は考慮していない。これらの直径C及び幅Wの合計値を0.5S以下にすることにより、制振装置10の噛合チェーン18の長手方向の装置長さを、従来の回転式粘性体ダンパ330よりも小さくすることができる。特に、大変形(例えば、1m)を許容する免震建物では、ストロークSに対して直径C及び幅Wの合計値が微小となり、制振装置10の装置長さが0.5Sに近づくため、その装置長さを従来の回転式粘性体ダンパ330の約半分に抑えることができる。従って、従来の回転式粘性体ダンパ330では設置できない狭いスペースにも制振装置10が設置可能となる。よって、制振装置10の設置自由度が向上する。
【0061】
更に、本実施形態では、ケース12に、噛み外された噛合チェーン18を畳んで収納するチェーン収納部46を設けたことにより、ケース12の幅方向の長さも小さく抑えることができる。
【0062】
また、ケース12及びケース12から突出した噛合チェーン18の噛合端部24は、連結ピン34によって、上部構造体22の支持台32及び基礎20の支持台30に回転可能に取り付けられている。従って、図6に示されるように、上部構造体22と基礎20とが噛合チェーン18の長手方向(矢印X方向)と交差(直交)する方向(矢印Y方向)へ相対移動したときに、ケース12及び噛合チェーン18の噛合端部24が、連結ピン34を回転軸としてそれぞれ回転する。これにより、噛合チェーン18に作用する曲げが低減され、噛合チェーン18とギア16の噛み外れや、噛合チェーン18及びギア16の破損、損傷が抑制される。よって、制振装置10の長寿命化を図ることができる。
【0063】
次に、第2実施形態に係る免震台90について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0064】
図7及び図8には、第1実施形態に係る制振装置10が設置された免震台90が示されている。免震台90は3段構造とされ、床や台の上に載置される基台92と、基台92の上方に設けられ、基台92と一方向(矢印S方向)に相対移動する中間台94と、中間台94の上方に設けられ、中間台94の移動方向(矢印T方向)と直交する方向(矢印T方向)に相対移動する載置台96を備えている。基台92と中間台94の間、及び中間台94と載置台96の間には、制振装置10(図8参照)がそれぞれ設けられている。なお、説明の便宜上、基台92と中間台94の間に設けられた制振装置10を制振装置10Aとし、中間台94と載置台96の間に設けられた制振装置10を制振装置10Bとする。
【0065】
基台92及び中間台94は矩形の板状で、対向配置されるとともに、これらの基台92と中間台94の間に設けられた一対の連結手段98Aによって相対移動可能に連結されている。連結手段98Aは、レール100と、レール100に取り付けられ、当該レール100に沿って移動するスライダ102を備えている。各レール100は、平行又は略平行して基台92の端部上面に固定され、スライダ102は、中間台94の下面にビス104で固定されている。これらのレール100にスライダ102を移動可能に取り付けることにより、基台92と中間台94とが、レール100の長手方向(矢印S方向)に相対移動可能に連結されている。
なお、図示を省略するが、レール100の両端部には、スライダ102の移動範囲を規制し、スライダ102の脱落を防止するストッパが設けられている。
【0066】
また、基台92の上面には、制振装置10Aの噛合チェーン18の噛合端部24が取り付けられる支持台106が突設されており、中間台94の下面には、制振装置10Aのケース12が取り付けられる支持台108が突設されている。なお、支持台106、108は、ビス120で基台92、中間台94に固定されている。支持台106、108は、一対のレール100の間に、レール100の長手方向に対向して設けられており、制振装置10Aが噛合チェーン18の長手方向をレール100の長手方向として取り付けられている。これにより、基台92と中間台94との相対移動に連動して、噛合チェーン18がケース12から引き出され、又はケース12に押し込まれるようになっている。
【0067】
中間台94の上方に設けられた載置台96は矩形の板状で、美術品等の展示品や、サーバーマシン(コンピュータ)を収納するサーバーラック等の免震対象物110が載置される。中間台94と載置台96とは対向するとともに、これらの中間台94と載置台96の間に設けられた一対の連結手段98Bによって、中間台94の移動方向(矢印S方向)と直交する方向(矢印T方向)に相対移動可能に連結されている。連結手段98Bは、連結手段98Aと同じ構成とされており、平行又は略平行する2つのレール100が中間台94の端部上面に固定され、2つのスライダ102がビス118で載置台96の下面に固定されている。ただし、連結手段98Bのレール100は、基台92の上面に固定された連結手段98Aのレール100と直交又は略直交しており、中間台94に対する載置台96の相対移動方向(矢印T方向)が、中間台94の移動方向(矢印S方向)と直交又は略直交している。
【0068】
また、中間台94の上面には、制振装置10Bの噛合チェーン18の噛合端部24が取り付けられる支持台114が突設されており、載置台96の下面には、制振装置10のケース12が取り付けられる支持台116が突設されている。なお、支持台114、116は、ビス122で中間台94、載置台96に固定されている。支持台114、116は、一対のレール100の間に、レール100の長手方向に対向して設けられており、制振装置10Bが噛合チェーン18の長手方向をレール100の長手方向として取り付けられている。これにより、中間台94と載置台96の相対移動に連動して、噛合チェーン18がケース12から引き出され、又はケース12に押し込まれるようになっている。
【0069】
なお、本実施形態では、レール100及びスライダ102を備える連結手段98A、98Bを用いたがこれに限らない。連結手段98A、98Bは、2つの部材を特定の方向へ相対移動可能に連結できれば良く、従来周知の種々の連結手段を用いることができる。ただし、地震時等に、制振装置10が効率的に作動するように、相対移動時に発生する摩擦抵抗が小さいものが好ましい。
【0070】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0071】
図9に示されるように、地震等によって、免震台90が矢印T方向に振動すると、中間台94に設けられたレール100に沿って、載置台96が矢印T方向に振動する。そして、中間台94の支持台114と載置台96の支持台116の間隔が広くなると、ケース12から噛合チェーン18が引き出され、逆に、中間台94の支持台114と載置台96の支持台116の間隔が狭くなると、制振装置10Bのケース12内に噛合チェーン18が押し込まれる。これにより、噛合チェーン18と噛み合うギア16(図2参照)が回転して、回転式ダンパ14(図4参照)が減衰力を発生し、中間台94に対する載置台96の相対移動が減衰される。また、載置台96に載置された免震対象物110の振動周期が長周期化され、免震対象物110に発生する地震力が低減される。なお、図9には、中間台94の支持台114と載置台96の支持台116との間隔が狭くなった状態が示されている。
【0072】
一方、基台92に設けられたレール100は矢印T方向と直交するため、中間台94は矢印T方向へ振動しない。従って、基台92と中間台94の間に設けられた制振装置10Aの噛合チェーン18に曲げが作用せず、噛合チェーン18とギア16(図2参照)の噛み外れや、噛合チェーン18及びギア16の破損、損傷が抑制される。
【0073】
次に、免震台90が矢印S方向に振動すると、基台92に設けられたレール100に沿って中間台94が振動し、基台92と中間台94の間に設けられた制振装置10Aが減衰力を発生する。一方、中間台94に設けられたレール100は、矢印S方向と直交するため、載置台96は矢印S方向へ振動しない。従って、中間台94と載置台96の間に設けられた制振装置10Bの噛合チェーン18に曲げが作用せず、噛合チェーン18とギア16の噛み外れや、噛合チェーン18及びギア16の破損、損傷が抑制される。
【0074】
このように、基台92と中間台94の相対移動方向(矢印S方向)と、中間台94と載置台96の相対移動方向(矢印T方向)とを異なる方向にすることで、制振装置10A、10Bの破損、損傷を抑制しつつ、水平二方向の振動を低減することができる。また、一般的な免震台では、制振装置の設置スペースが小さい割に、制振装置に求められるストロークが大きくなり易く、従来の制振装置を設置できない場合がある。これに対して制振装置10A、10Bは、第1実施形態で説明したようにストロークを確保しつつ、装置の小型化が可能であるため、前述した一般的な免震台にも設置することができる。
【0075】
なお、本実施形態のように、基台92と中間台94の相対移動方向、及び中間台94と載置台96の相対移動方向が特定方向に制限されている場合、制振装置10A、10Bのケース12及び噛合チェーン18の噛合端部24は、各支持台106、108、114、116に回転可能に取り付ける必要はない。噛み合った噛合チェーン18に曲げが作用しないためである。
【0076】
また、本実施形態では、基台92、中間台94、及び載置台96の3段構造の免震台90としたが、載置台96を省略した2段構造としても良い。この場合、中間台94の上に免震対象物が載置される。更に、免震台は、3段以上の多段構造としても良い。
【0077】
なお、上記第1、第2実施形態では、免震層や免震台90に制振装置10を設けたがこれに限らない。制振装置10は、相対移動する2つの部材に連結可能である。また、制振装置10は、噛合チェーン18の長手方向を2つの部材の相対移動方向にして配置されていれば良く、2つの部材の相対移動方向に応じて、噛合チェーン18の長手方向を鉛直方向や斜め方向にして配置しても良い。
【0078】
また、上記第1、第2実施形態では、回転式ダンパ14として、粘性体64の粘性抵抗を利用したダンパを用いたが、回転によって減衰力を発生するものであれば良く、回転式の粘弾性体ダンパや摩擦ダンパ等を使用しても良い。
【0079】
以上、本発明の第1、第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1、第2実施形態を組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
10 制振装置
14 回転式ダンパ
16 ギア
18 噛合チェーン
30 支持台(第1部材)
32 支持台(第2部材)
36 回転軸
44 ガイド部
46 チェーン収納部(収納部)
90 免震台
106 支持台(第1部材)
108 支持台(第2部材)
114 支持台(第1部材)
116 支持台(第2部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮力を長手方向へ伝達可能に噛み合い、噛み合った端部が第1部材に取り付けられる一対の噛合チェーンと、
前記第1部材に対して相対移動する第2部材に取り付けられ、前記噛合チェーン同士の噛み合わせ位置で該噛合チェーンとそれぞれ噛み合い、正回転することで前記噛合チェーン同士を噛み合わせ、逆回転することで該噛合チェーン同士を噛み外して互いに離れる方向へ移動させる一対のギアと、
前記ギアの回転軸に取り付けられ、減衰力を発生して該回転軸の回転を減衰する回転式ダンパと、
を備える制振装置。
【請求項2】
前記ギアと対向し、噛み外された前記噛合チェーンを該ギアに沿ってそれぞれ湾曲させるガイド部を備える請求項1に記載の制振装置。
【請求項3】
噛み合った噛合チェーンの両側に設けられ、前記ガイド部に沿って移動した前記噛合チェーンが畳まれて収納される収納部を備える請求項2に記載の制振装置。
【請求項4】
前記噛合チェーンの噛み合った端部が、前記第1部材に回転可能に取り付けられ、
前記ギアが、前記第2部材に回転可能に取り付けられた支持部材に取り付けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の制振装置。
【請求項5】
第1部材と、
前記第1部材と対向すると共に、該第1部材と一方向に相対移動可能に連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の間に設けられた請求項1〜4の何れか1項に記載の制振装置と、
を備え、
前記制振装置が、噛み合った前記噛合チェーンの長手方向を前記相対移動方向にして配置され、前記噛合チェーンの噛み合った端部が、前記第1部材に取り付けられると共に、前記ギアが前記第2部材に取り付けられている免震台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−163447(P2011−163447A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26946(P2010−26946)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】