説明

刺繍装置、刺繍装置の制御方法およびプログラム

【課題】誤差を累積させず、且つ簡易な構成で、上糸の交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することができる刺繍装置を提供する。
【解決手段】刺繍針13の針落ち位置を示す座標データ81および各座標間における上糸の配色データ82を記憶する刺繍データ記憶手段79と、上糸を染色する染色手段21と、刺繍対象物に所定の模様を刺繍する刺繍手段52、53と、刺繍針13の位置を検出する刺繍針位置検出手段51と、天秤の位置を検出する天秤位置検出手段51と、刺繍が行われている座標間よりも、刺繍針13から染色手段21に臨む染色位置までの糸長分だけ先読みした座標間の配色データ82に基づいて、上糸を染色するように制御する染色制御手段55と、を備え、染色制御手段55は、刺繍針位置検出手段51および天秤位置検出手段51の検出結果から得られる糸長に基づいて、先読みする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍データに基づき刺繍を行う刺繍装置、刺繍装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の刺繍装置として、異なる糸色の上糸の交換をすることなく、インクジェットにより一本の上糸を染色しながら、複数の色を含む刺繍パターンを自動刺繍するものが知られている。この刺繍装置は、ロータリーエンコーダ付きのスプールに上糸を周回させ、ロータリーエンコーダの回転数から上糸の送り量を測定する。そして、測定した上糸の送り量と色データを含む刺繍パターン情報とから上糸の配色を決定し、決定した配色に基づいて染色液滴を吐出して上糸を染色する。染色された上糸は、定着・発色加工が施された後、刺繍針の針先に送られ、刺繍パターン情報に基づいて自動刺繍される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−299458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の刺繍装置では、ロータリーエンコーダの回転数から上糸の送り量を検出するため、例えば、上糸とスプールとの間で滑りが生じた場合、測定した上糸の送り量に誤差が生じ、この誤差が累積して刺繍終了時には、上糸を染色するタイミングに大きなズレを生じてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みたものであり、誤差を累積させることなく、且つ簡易な構成で、異なる色の上糸に交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することができる刺繍装置、刺繍装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の刺繍装置は、刺繍対象物における刺繍針の複数の針落ち位置を示す座標データおよび座標データの各座標間における上糸の配色データを記憶する刺繍データ記憶手段と、上糸が通る上糸経路に介在し、上糸を染色する染色手段と、染色された上糸が通された刺繍針により、座標データに基づいて、刺繍対象物に所定の模様を刺繍する刺繍手段と、上下動する刺繍針の位置を検出する刺繍針位置検出手段と、上下動により上糸の引き上げおよび引き下げを行う天秤の位置を検出する天秤位置検出手段と、刺繍手段により刺繍が行われている座標間よりも、刺繍針の針穴から染色手段に臨む染色位置までの糸長分だけ先読みした座標間の配色データに基づいて上糸を染色するように染色手段を制御する染色制御手段と、を備え、染色制御手段は、刺繍針位置検出手段および天秤位置検出手段の検出結果から得られる前記糸長に基づいて、先読みすることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の刺繍装置の制御方法は、上糸が通る上糸経路に介在し、上糸を染色する染色手段を備えた刺繍装置の制御方法であって、刺繍対象物における刺繍針の複数の針落ち位置を示す座標データおよび座標データの各座標間における上糸の配色データを記憶するステップと、染色された上糸が通された刺繍針を座標データに基づいて、刺繍対象物に所定の模様を刺繍するステップと、上下動する刺繍針の位置を検出するステップと、上下動により上糸の引き上げおよび引き下げを行う天秤の位置を検出するステップと、刺繍が行われている座標間よりも、刺繍針の針穴から染色手段に臨む染色位置までの糸長分だけ先読みした座標間の配色データに基づいて上糸を染色するように染色制御するステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、上糸に対して染色手段により染色しながら刺繍を行うため、上糸を交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することができる。また、染色位置から刺繍針の針穴までの糸長を考慮すると共に、リアルタイムに刺繍が行われている刺繍位置の情報(刺繍している座標情報および色情報)に基づいて上糸を染色するため、上糸の染色部分(染色する位置)の誤差を累積させることなく、上糸を精度良く染色することができる。さらに、刺繍データから染色のタイミングを図ることができるため、糸の送り量を測定する構成が不要となり簡易な装置構成とすることができる。
【0008】
この場合、刺繍手段は、刺繍開始前に、染色手段により染色された上糸の染色開始位置が刺繍針の針穴を通過するまで、仮刺繍を行う仮刺繍手段を含むことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、刺繍開始前に、上糸の染色されていない部分を仮刺繍し、上糸の染色された部分から刺繍が開始されるため、刺繍される模様に染色されていない部分が混ざることがなく、見た目が良い。
【0010】
この場合、刺繍開始前に、染色手段により染色された上糸の染色部分の境目が刺繍針の針穴を通過するまで、上糸を引き出しながら巻取る上糸巻取手段と、上糸の染色部分の境目が針穴を通過した後、針穴の下流側で上糸を切断する切断手段と、をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、上糸の染色部分の境目(色の変り目)が針穴を通過するまで巻取り、針穴通過後の上糸を切断することで、刺繍される模様に染色されていない部分が混ざることがなく、確実に染色部分から刺繍を開始することができる。また、上糸の非染色部分の処理を仮刺繍によって行う場合と比べ、これに係る後処理(仮刺繍後の糸の取り除き等)が不要となるため、作業者の負担を軽減することができる。
【0012】
これらの場合、上糸経路において染色手段の下流側に介在し、染色手段に染色された上糸に耐水処理を行う耐水処理手段をさらに備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、耐水処理を施すことで、雨や洗濯などの水に対する耐性を高めることができ、染色した糸の色落ちを軽減することができる。
【0014】
これらの場合、染色手段は、インクジェット法により上糸を染色することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、インクの配合を変えることにより、様々な色に糸を染めることが可能なため、簡単に好みの色に糸の染色を行うことができる。
【0016】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の刺繍装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0017】
これを用いることにより、上糸に対して染色手段により染色しながら刺繍を行うため、上糸を交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することが可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る刺繍装置について説明する。本発明は、上糸を交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することができるものである。本実施形態では、布等の刺繍対象物に対して刺繍を行う場合を例に挙げて説明する。
【0019】
まず、図1の斜視図を参照して、刺繍装置1の全体構成について簡単に説明する。刺繍装置1は、基台部2と、基台部2の右隅に立設した支柱部3と、支柱部3を固定端として左方向に延在するアーム部4と、アーム部4の自由端に設けたヘッド部5と、を備えており、正面視「コの字状」に構成されている。
【0020】
支柱部3には、前面に操作パネル11および縫目の大きさを調節する送り調節ダイヤル12、右側面に刺繍針13の装着時に針棒14を昇降する弾み車15、上部に上糸駒16を回転自在に保持した糸立棒17が設けられている。送り調節ダイヤル12は、縫目の大きさを調節するものであり、ユーザは、縫製対象物の厚さ等から単位長さあたりの縫目の数を調整する。弾み車15は、針棒14を昇降するものであり、例えば、刺繍針13の装着時に針棒14を上昇させて針棒14に刺繍針13を装着する。
【0021】
アーム部4には、上部に上糸駒16から繰出された上糸をインクジェット方式で染色する染色処理ユニット21、染色された上糸に耐水処理を施す耐水処理ユニット22および2つの糸架け23、24が設けられている。上糸駒16から繰出された上糸は、染色処理ユニット21(染色手段)および耐水処理ユニット22(耐水処理手段)により染色処理および耐水処理が施された後、2つの糸架け23、24を通じて、ヘッド部5に導かれる。
【0022】
ヘッド部5には、下部に刺繍針13を装着した針棒14および刺繍対象物を押える押え足25が垂設され、正面に上糸の張力を調整する糸調子ダイヤル26および刺繍対象物に形成された縫目を引締める天秤27が設けられている。また、正面には、上下に延在するように貫通溝28が形成され、天秤27は、この貫通溝28を介して前方に突出している。貫通溝28には内側に糸案内(図示省略)が設けられ、針棒14には針棒糸架け29が設けられており、アーム部4の糸架け23、24により導かれた上糸は糸案内および針棒糸架け29を通じて刺繍針13の針穴に導かれる。
【0023】
また、ヘッド部5内には、針棒14を介して刺繍針13を上下動させる刺繍針駆動機構52と、刺繍針駆動機構52の駆動に合わせるように、天秤27を貫通溝28に沿って上下動させる天秤駆動機構53(いずれも、図3参照)と、が収容され、これら両機構52、53を駆動することで、上糸駒16から上糸をたぐり出し、刺繍対象物に刺繍を行う。
【0024】
基台部2には、刺繍枠31をセットするためのキャリッジ32と、キャリッジ32をX方向およびY方向に移動させるXY移動機構33(図3参照)と、が設けられている。刺繍対象物を刺繍枠31にセットした状態で、刺繍針駆動機構52の駆動に合わせて、XY移動機構33によりキャリッジ32をXY方向に移動させることで、刺繍対象物の所望の位置に刺繍が行われる。基台部2内には、下糸を巻回した下糸ボビン34を収容する釜35と、針穴に導かれた上糸を引き出しながら巻取る上糸巻取り機構36(上糸巻取手段)と、引き出された上糸を切断する切断機構37(切断手段)と、が設けられ、上糸巻取り機構36により上糸を所定の長さだけ巻き取った後、切断機構37により上糸の切断を行う。
【0025】
そして、上糸駒16から染色処理ユニット21、耐水処理ユニット22、2つの糸架け23、24、糸調子ダイヤル26、天秤27、糸案内、針棒糸架け29、針穴により上糸経路を構成している。つまり、上糸駒16に巻回された上糸は、染色処理ユニット21、耐水処理ユニット22を通り、糸架け23、24、糸調子ダイヤル26、天秤27、糸案内、針棒糸架け29に架け渡され、針穴を通って引き出される構成となっている。
【0026】
続いて、図2の模式図を参照して染色処理ユニット21および耐水処理ユニット22について説明する。染色処理ユニット21は、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4種類のインクタンク41と、上部に4種類のインクタンク41を搭載し、インクジェット方式で上糸にインクを吐出するインク液滴吐出ヘッド42と、をインク液滴の飛散防止用の染色用ケース43に収容して構成される。インク液滴吐出ヘッド42内は、インク色毎に仕切られており、各インクタンク41から対応する領域にインクが充填され、インク液滴吐出ヘッド42に形成されたノズル毎に吐出制御を行う構成となっている。染色用ケース43は、その両端に上糸の入口および出口となるように開口44a、44bが切り欠かれており、開口44aから開口44bに糸送りされる上糸に対して、上記インク液滴吐出ヘッド42によりインクの吐出、つまり上糸の染色が行われる。上糸の染色をインクジェット方式で行うことで、インクの配合を変えるだけで、様々な色に糸を染めることが可能となり、簡単に好みの色に糸の染色を行うことができる。なお、インク液滴吐出ヘッド42から吐出されるインク液滴の吐出量は、吐出されたインク液滴の直径が上糸の直径よりも小さくなるように調整されることが好ましい。
【0027】
耐水処理ユニット22は、耐水性に優れたコーティング液を貯留したコーティング液タンク45と、上部にコーティング液タンク45を搭載し、インクジェット方式で上糸にコーティング液を吐出するコーティング液滴吐出ヘッド46と、コーティング液滴吐出ヘッド46の下流側に位置し、染色され、且つ耐水処理が施された上糸を加熱処理により乾燥させるヒータ部47と、をコーティング液の飛散防止用の耐水処理用ケース48に収容して構成している。耐水処理用ケース48の両端は、染色用ケース43と同様に、上糸の入口および出口となるように開口49a、49bが切り欠かれており、開口49aから開口49bに糸送りされる染色された上糸に対して、上記コーティング液滴吐出ヘッド46によりコーティング液を吐出して耐水処理を施した後、ヒータ部47により加熱処理(乾燥処理)が行われる。これにより、雨や洗濯などの水に対する耐性を高めることができ、染色した糸の色落ちを軽減することができる。なお、耐水処理ユニット22を設ける代わりに、染色処理ユニット21において耐水性を有するインクを吐出して染色するようにしても良い。この場合、インク液滴吐出ヘッド42の下流側にヒータ部47を設け、染色処理および耐水処理が施された上糸を乾燥させるようにする。
【0028】
続いて、図3の刺繍装置1のブロック図を参照して刺繍装置1の制御構成について説明する。刺繍装置1は、操作パネル11、検出部51(刺繍針位置検出手段、天秤位置検出手段)、XY移動機構33、刺繍針駆動機構52(刺繍手段)、天秤駆動機構53(刺繍手段)、染色処理ユニット21、耐水処理ユニット22およびこれらを制御する制御部55(染色制御手段)から構成されている。
【0029】
操作パネル11は、ユーザが直感的に操作できるようにタッチパネル式に構成されている。ユーザが、操作パネル11に表示されたメニューを指で接触させることにより、制御部55に入力信号が送られ、刺繍装置1各部の制御を行う構成となっている。
【0030】
XY移動機構33は、X軸ステッピングモータ56およびY軸ステッピングモータ57を有し、制御部55からの制御信号により、両モータ56、57を駆動制御して刺繍対象物をセットしたキャリッジ32をX軸方向、あるいはY軸方向に移動させる。キャリッジ32の移動に伴い、刺繍対象物(刺繍枠31)も移動することとなり、これにより、所望する刺繍位置を刺繍針13直下に臨ませることができる。
【0031】
刺繍針駆動機構52および天秤駆動機構53は、図4に示すように、回転駆動する主軸61を介し、連動して動作するように一体に形成されている。主軸61は、刺繍装置1に固定された軸受62によって、回転自在に支持されている。刺繍針駆動機構52は、主軸61の一端に固定された針棒クランク63と、一端が針棒クランク63に回動自在に連結されたクランクロッド64と、クランクロッド64の他端に連結された針棒14と、を有している。一方、天秤駆動機構53は、軸受62を挟んで針棒クランク63と対向する位置に配置され、主軸61に固定された一対の天秤クランク65a、65bと、天秤クランク65a、65bの間に介設されるクランクピン66と、クランクピン66に回動自在に連結される天秤27と、を有している。そして、駆動モータ54(図3参照)により主軸61を回転駆動することで、針棒クランク63および天秤クランク65a、65bを回動させ、針棒14(刺繍針13)を上下動させると共に、当該刺繍針13の上下動に合わせるように、天秤27を上下動させる。これにより、上糸の通された刺繍針13の上下動により刺繍対象物に縫目(刺繍)を形成し、天秤27が上動することにより上糸を引き上げることで、形成された縫目を引締める構成となっている。
【0032】
検出部51は、刺繍針13の位置および天秤27の位置を検出するものであり、図4に示すように主軸61の一端(針棒クランク63とは反対側の端)に設置されたエンコーダ71により構成されている。エンコーダ71は、主軸61に固定されると共に、主軸61の回転に伴って回転するスリット円板72と、スリット円板72に臨むフォトインタラプタ73と、スリット円板72に形成された窪み75と係合するように出没自在に配置されたマイクロスイッチ74と、を有している。そして、スリット円板72の窪み75にマイクロスイッチ74が係合した状態の刺繍針13および天秤27の位置を原点位置(基準位置)とし、この時得られる原点信号(基準信号)を基準として、スリット円板72の回転により得られるパルス信号をカウントすることで、主軸の位相を検出する。そして、この主軸61の位相から、現時点の刺繍針13および天秤27の位置を算出する(図5参照)。なお、本実施形態では、主軸の位相は、刺繍針13が最上端位置に在るときを0°(360°)としている。
【0033】
この検出された刺繍針13および天秤27の位置情報により、例えば、仮刺繍で使用する上糸の長さ(刺繍針13の針先から染色処理ユニット21までの上糸の糸長)を正確に算出することができる。また、刺繍装置1が稼動している際に、刺繍針13および天秤27の位置を随時検出することで、刺繍針13および天秤27が正常に上下動しなかった場合の上糸の送り誤差を検出することができる。この上糸の送り誤差を考慮して、染色処理ユニット21による上糸の染色タイミングや刺繍対象物の送り速度を調整することで、正確な刺繍を最後まで継続することができる。なお、刺繍針13および天秤27のそれぞれにエンコーダ71を設けて、個々に位置検出を行っても良い。また、スリット円板72のスリット間隔を狭くする(スリット数を増やす)ことで、更に正確な刺繍針13の位置および天秤27の位置を検出することができる。
【0034】
制御部55は、CPU76と、RAM77と、ROM78と、データ記憶部79(刺繍データ記憶手段)と、を有し、刺繍装置1全体の制御を行う。RAM77は、検出部51により検出された刺繍針13および天秤27の位置データ、当該位置データを考慮して算出された染色処理ユニット21から針先までの上糸の糸長データ、およびCPU76がデータ記憶部79から読み出した刺繍データ80等を一時的に記憶し、制御処理のための作業領域として使用される。ROM78には、刺繍装置1の各部を駆動制御するための制御プログラムが記憶されている。データ記憶部79は、刺繍データ80等が記憶されている。刺繍データ80は、刺繍対象となる模様の座標を示す座標データ81および各座標間の色情報を示す色データ(配色データ)82から成り、制御部55(CPU76)は、検出部51の検出結果(刺繍針13および天秤27の位置)を考慮した刺繍針13から染色処理ユニット21(染色位置)の糸長を算出すると共に、当該糸長分だけ先読みした座標間の色データ82に基づき、染色処理ユニット21を制御して上糸の染色を行う。そして、刺繍データ80(座標データ81)に基づいて、XY移動機構33、刺繍針駆動機構52、天秤駆動機構53を駆動することで、所望の刺繍パターンを刺繍する。なお、刺繍データ80は、メモリカード(図示省略)等の外部記録媒体から読み込むことも可能である。
【0035】
次に、図6を参照して、上糸の染色および刺繍手順について説明する。ここでは、刺繍位置Aから刺繍位置Fに向けて刺繍を行い、刺繍位置Aから刺繍位置Dは青色に染色した上糸で、刺繍位置Dから刺繍位置F以降は赤色に染色した上糸で刺繍を行うものとする。以下、刺繍位置Aの座標を座標Aと称し、他の刺繍位置に関しても同様に定義する。また、刺繍位置A以降の刺繍を本刺繍と称し、これ以前に行われる刺繍を仮刺繍と称す。
【0036】
まず、同図(a)に示すように、刺繍針13の針先(針位置)から染色処理ユニット21(染色位置)の間に架け渡されている上糸の糸長Lを算出する。これは、刺繍する位置(針位置)から染色処理ユニット21までの距離が離れているため、本刺繍時の刺繍位置に刺繍(縫付)する上糸の染色は、この距離(針先から染色処理ユニット21までの糸長L)を考慮する必要があるからである。この糸長Lの算出は、上述した検出部51により刺繍針13および天秤27の位置を検出し、その検出結果をパラメータとして算出する。
【0037】
次に、座標Aおよび座標Bの座標データ81に基づいて、座標Aから座標Bまでの座標間距離l1を算出する。この座標間距離l1は、座標A(始点座標)と座標B(終点座標)の差からX方向およびY方向の距離を算出し、三平方の定理により求めることができる。なお、座標間距離ln(n=1、2、3・・・)は、刺繍針13の針先から刺繍位置(刺繍対象物)までの糸長を考慮して算出される。
【0038】
そして、求めた座標間距離l1を仮刺繍距離Kとし、糸長Lと比較する。ここでは、比較結果が糸長L>仮刺繍距離K(=座標間距離l1)になるため、座標間距離l1の長さだけ仮刺繍をすると共に、座標AB間の色データ82に基づいて、上糸を青色に染色する(同図(b)参照)。
【0039】
次に、上述と同様に、座標Bおよび座標Cの座標データ81に基づいて、座標Bから座標Cまでの座標間距離l2を算出する。そして、上述で求めた座標間距離l1および今回求めた座標間距離l2の合計を仮刺繍距離Kとし、糸長Lと比較する。ここでは、比較結果が糸長L>仮刺繍距離K(=座標間距離l1+座標間距離l2)になるため、座標間距離l2の長さだけ、更に仮刺繍をすると共に、座標BC間の色データ82に基づいて、上糸を青色に染色する(同図(c)参照)。
【0040】
次に、座標Cおよび座標Dの座標データ81に基づいて、座標Cから座標Dまでの座標間距離l3を算出する。そして、上述で求めた座標間距離l1+l2および今回求めた座標間距離l3の合計を仮刺繍距離Kとし、糸長Lと比較する。この場合、糸長L<仮刺繍距離K(=座標間距離l1+座標間距離l2+座標間距離l3)となるため、針先から染色処理ユニット21までの糸長Lよりも仮刺繍距離Kが長くなる。このまま、座標間距離l3の全ての距離(長さ)を仮刺繍すると、本来、本刺繍で使用されるべき上糸(座標AB間を刺繍するための上糸)が仮刺繍で使用されることになる。これを回避すべく、仮刺繍距離K=糸長Lとなるまで(ここでは、座標C´までの距離l31)仮刺繍を行うと共に、座標CC´間の色データ82(座標CD間の色データ82)に基づいて、上糸を青色に染色する(同図(d)参照)。この場合、仮刺繍の終点が本刺繍の始点(座標A)に来るように刺繍を行う。
【0041】
次に、本刺繍を開始する。この時、針先には座標AB間の糸色である青色の上糸が臨んでいる。この状態で、座標Aから座標Bに向けて刺繍を行う。この時、本刺繍する座標AB間の座標間距離l1と、座標CD間の残りの座標間距離、つまり座標C´D間の座標間距離l32と、を比較する。この場合、座標間距離l1>座標間距離l32であるため、座標Aから座標間距離l32だけ刺繍枠31を移動させると共に、座標C´D間の色データ82(座標CD間の色データ82)に基づいて、上糸を青色に染色する(同図(e)参照)。
【0042】
次に、座標AB間の残りの距離(座標間距離l1−座標間距離l32)と、座標DE間の座標間距離l4を比較する。この場合、座標AB間の残りの距離<座標間距離l4であるため、座標Bまで、つまり座標間距離l1−座標間距離l32の長さだけ刺繍枠31を移動し、座標Bで本刺繍(縫付)すると共に、座標DE間の色データ82に基づいて、上糸を赤色に染色する(同図(f)参照)。この後、同様の処理を繰り返すことで、座標Aからの本刺繍および上糸の染色を行い、所望の刺繍パターンを作成する。
【0043】
このように、仮刺繍を行うことにより、本刺繍開始時に、上糸の染色された部分から刺繍が開始されるため、刺繍される模様に染色されていない部分が混ざることがなく、見た目がよい刺繍パターンを作成することができる。また、仮刺繍あるいは本刺繍の刺繍動作中に、検出部51により刺繍針13および天秤27の位置を検出し、検出結果に基づいて上糸の送り量の誤差を修正しつつ、染色処理および刺繍処理を制御することで、正確に刺繍パターンを刺繍することができる。
【0044】
なお、上糸の最初の座標AB間(座標間距離l1)の染色を開始する前に、当該座標間の色(ここでは、青色)で上糸を所定の長さだけ余分に染色し、当該所定の長さを加味して仮刺繍を行うことが好ましい。これにより、座標AB間を刺繍するための上糸が針先に臨んだ時、非染色部分と青色に染色した部分と、の境目が無くなり、きれいに本刺繍をすることができる。
【0045】
続いて、上述の本刺繍における、上糸の色の変わり目の処理について説明する。図6においては、座標Dの前後で上糸の糸色が青色から赤色に変化し、上糸の色の変わり目(染色変更部分)が発生する。この場合、糸色の染色変更部分を刺繍対象物上の刺繍予定領域(後に刺繍を行う予定の領域)に刺繍することで、染色変更部分が、刺繍表面に露出しないようにする。
【0046】
この染色変更部分を処理するためのデータ(座標データ81および色データ82の一部に相当する)は、予め、対象となる各座標に組まれており、図7(a)に示すように、ここでは、座標CD間の後半部分(座標dD間)および座標DE間の前半部分(座標Dd´間)がこれにあたる。つまり、座標Dの前に青色、座標Dの後に赤色で染色された部分をそれぞれ所定の長さだけ余分に確保し(座標dd´間の領域)、この領域(刺繍変更部分を含んだ領域)を刺繍予定領域に刺繍することで、刺繍変更部分が本刺繍の下に隠れるようにする。
【0047】
例えば、図7(b)に示すように、座標Ad間を青色の上糸で刺繍を行なった後、座標dd´間の部分を、次に刺繍を行う刺繍予定領域(赤色で刺繍を行うことを予定している領域)に刺繍し(捨て縫い)、この後に、座標d´以降の各座標を赤色の上糸で刺繍予定領域に刺繍する。つまり、座標dD間から座標Dd´間の部分(上糸)を、赤色の上糸で覆い隠すように刺繍することとなる。この場合、座標dD間は青色の色糸で、座標Dd´間は赤色の色糸となり、座標d´が本刺繍において赤色の上糸で刺繍を開始する始点となるように、刺繍を行う。
【0048】
このように、上糸の色が変わる染色変更部分(色の変わり目)を、刺繍予定領域に刺繍するように座標データ81および色データ82を組んでおくことにより、実際に刺繍予定領域に刺繍する上糸により、染色変更部分を隠蔽することができるため、染色変更部分が刺繍表面に現れることがなく、刺繍の品質(見た目)を向上させることができる。
【0049】
なお、座標dd´間の長さは、刺繍対象物の種類(布の厚み等)や糸の種類、染色変更前後の色等に応じて、適切な長さとなるように自動調節する機能を設けても良い。また、同様に刺繍対象物の種類等に応じて、座標Dの位置を変更する機能を設けても良い。すなわち、予め記憶している刺繍データ80(座標データ81および色データ82)と、刺繍対象物の種類等の検出結果(またはユーザによる指定結果)に応じて、座標dd´間の長さや座標Dの位置を調整するようにしても良い。この構成によれば、確実に染色変更部分を隠蔽することができる。
【0050】
次に、図8を参照して、刺繍装置1により刺繍を行う際の動作フローについて説明する。まず、ユーザにより、刺繍装置1の電源がON状態にされると、刺繍装置1は、自身を起動する(S01)。次に、ユーザにより、刺繍パターンが選択されると、制御部55は、データ記憶部79に記憶している(あるいは、メモリカード等に記憶している)対応する刺繍データ80をRAM77にロードし、刺繍する模様の座標データ81および色データ82を取得する(S02)。次に、制御部55は、上述の検出部51により得られた刺繍針13および天秤27位置情報に基づいて、刺繍針13の針先から染色処理ユニット21までの糸長を算出する(S03)。当該糸長を算出後、制御部55は、XY移動機構33を制御してキャリッジ32(刺繍枠31)を移動し、刺繍針13を仮刺繍の開始位置にセットする(S04)。この場合、仮刺繍対象となる上糸の長さは、上述で算出した糸長であり、制御部55は、仮刺繍の終点が本刺繍の始点と一致するように仮刺繍の開始位置を決定する。
【0051】
この状態で、制御部55は、染色処理ユニット21および耐水処理ユニット22を制御して上糸に対して染色および耐水処理を行う(S05)と共に、刺繍針駆動機構52および天秤駆動機構53を制御して仮刺繍を開始する(S06)。そして、制御部55は、上記の刺繍手順で述べた仮刺繍時の処理に基づいて、糸長と仮刺繍距離との比較を行い、残りの仮刺繍距離を算出する(S07)。そして、制御部55は、この算出結果に基づいて、糸長と仮刺繍距離とが一致するか否か、つまり、仮刺繍の終点が本刺繍の始点位置に在るか否かを判定する(S08)。仮刺繍の終点が本刺繍の始点に位置に無い場合(S08:NO)、制御部55は、上述のS05からS07までの処理を繰り返し、仮刺繍および上糸の染色を続行する。
【0052】
一方、仮刺繍の終点が本刺繍の始点に位置する場合(S08:YES)、制御部55は、仮刺繍は終了したと判別し、引き続き本刺繍処理を行う(S09)。このとき、刺繍針13の針先には、所定の色に染色された上糸が臨んでおり、本刺繍の始点(縫付座標)に縫付けられている。
【0053】
次に、制御部55は、現在の縫付座標から次の座標までの座標間距離と、染色対象となっている座標間の座標間距離に基づいて、上記の刺繍手段で述べた本刺繍時の座標間距離の比較処理を行う(S10)。この結果に基づき、制御部55は、染色処理ユニット21および耐水処理ユニット22を制御して、上糸に染色および耐水処理を行う(S11)と共に、次の座標に縫付けを行う(S12)。そして、制御部55は、当該縫付座標が本刺繍の終点か否か、つまり、本刺繍が終了したか否かを判定する(S13)。縫付座標が本刺繍の終点ではない場合(S13:NO)、制御部55は、上述のS10からS12までの処理を繰り返し、本刺繍および上糸の染色を続行する。なお、上糸における刺繍点の最後(本刺繍の終点)が、染色処理ユニット21を通過した段階で染色処理を終了する。一方、縫付座標が本刺繍の終点である場合(S13:YES)、制御部55は、本刺繍を終了する。
【0054】
このように、本実施形態によれば、上糸に対して染色処理ユニット21により染色しながら刺繍を行うため、上糸を交換することなく複数の色を含む刺繍パターンを刺繍することができる。また、染色位置(染色処理ユニット21)から刺繍針13の針先までの糸長、および針先から刺繍位置までの糸長を考慮すると共に、刺繍位置の情報(刺繍する座標データ81および座標間の色データ82)に基づいて上糸を染色するため、上糸の染色部分(染色する位置)の誤差を累積させることなく、上糸を精度良く染色することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、染色処理ユニット21で染色した上糸(インク液滴吐出ヘッド42に形成されたノズル位置に在る上糸)を刺繍針13の針先まで移動させる方法として、染色処理ユニット21から針先までの糸長分の仮刺繍を行なっているが、仮刺繍の代わりとして、上述の上糸巻取り機構36により、上糸の染色部分の境目が針穴を通過するまで、つまり染色処理ユニット21から針穴(針先)までの糸長分を巻取り、切断機構37により切断するようにしてもよい。これにより、刺繍される模様に染色されていない部分が混ざることがなく、確実に染色部分から刺繍を開始することができると共に、仮刺繍を行う場合に比べ、これに係る後処理(仮刺繍後の糸の取り除き等)が不要となるため、作業者の負担を軽減することができる。なお、この場合、上糸に最初の染色を行う際に、その染色領域を余分に取ることが好ましい。また、操作パネル11に自動糸処理ボタンを設け、これを押すことで、上糸巻取り機構36および切断機構37を動作させることが好ましい。
【0056】
また、本発明は、刺繍装置1に限らず、ロックミシン等に適用することも可能である。この場合、押え足25の下に送り歯機構を設け、対象となる布等を移動させるようにすることが好ましい。
【0057】
また、上記の例に示した、刺繍装置1の機能をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0058】
また、上述した実施例によらず、刺繍装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態に係る刺繍装置の外観斜視図である。
【図2】染色処理ユニットおよび耐水処理ユニットの模式図である。
【図3】刺繍装置の制御ブロック図である。
【図4】刺繍針駆動機構および天秤駆動機構の斜視図である。
【図5】主軸の位相と、刺繍針および天秤と、の関係を示す図である。
【図6】上糸の染色および刺繍手順について説明する図である。
【図7】上糸の色の変わり目の処理の手順について説明する図である。
【図8】刺繍装置により刺繍を行う際の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…刺繍装置 13…刺繍針 21…染色処理ユニット 22…耐水処理ユニット 36…上糸巻取り機構 37…切断機構 51…検出部 52…刺繍針駆動機構 53…天秤駆動機構 55…制御部 79…データ記憶部 81…座標データ 82…色データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺繍対象物における刺繍針の複数の針落ち位置を示す座標データおよび前記座標データの各座標間における上糸の配色データを記憶する刺繍データ記憶手段と、
前記上糸が通る上糸経路に介在し、前記上糸を染色する染色手段と、
染色された前記上糸が通された前記刺繍針により、前記座標データに基づいて、前記刺繍対象物に所定の模様を刺繍する刺繍手段と、
上下動する前記刺繍針の位置を検出する刺繍針位置検出手段と、
上下動により前記上糸の引き上げおよび引き下げを行う天秤の位置を検出する天秤位置検出手段と、
前記刺繍手段により刺繍が行われている前記座標間よりも、前記刺繍針の針穴から前記染色手段に臨む染色位置までの糸長分だけ先読みした座標間の前記配色データに基づいて前記上糸を染色するように前記染色手段を制御する染色制御手段と、を備え、
前記染色制御手段は、前記刺繍針位置検出手段および前記天秤位置検出手段の検出結果から得られる前記糸長に基づいて、先読みすることを特徴とする刺繍装置。
【請求項2】
前記刺繍手段は、刺繍開始前に、前記染色手段により染色された上糸の染色開始位置が前記刺繍針の針穴を通過するまで、仮刺繍を行う仮刺繍手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の刺繍装置。
【請求項3】
刺繍開始前に、前記染色手段により染色された上糸の染色部分の境目が前記刺繍針の針穴を通過するまで、前記上糸を引き出しながら巻取る上糸巻取手段と、
前記上糸の染色部分の境目が前記針穴を通過した後、前記針穴の下流側で前記上糸を切断する切断手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の刺繍装置。
【請求項4】
前記上糸経路において前記染色手段の下流側に介在し、前記染色手段に染色された上糸に耐水処理を行う耐水処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の刺繍装置。
【請求項5】
前記染色手段は、インクジェット法により前記上糸を染色することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の刺繍装置。
【請求項6】
上糸が通る上糸経路に介在し、前記上糸を染色する染色手段を備えた刺繍装置の制御方法であって、
刺繍対象物における刺繍針の複数の針落ち位置を示す座標データおよび前記座標データの各座標間における前記上糸の配色データを記憶するステップと、
染色された前記上糸が通された前記刺繍針を前記座標データに基づいて、前記刺繍対象物に所定の模様を刺繍するステップと、
上下動する前記刺繍針の位置を検出するステップと、
上下動により前記上糸の引き上げおよび引き下げを行う天秤の位置を検出するステップと、
刺繍が行われている前記座標間よりも、前記刺繍針の針穴から前記染色手段に臨む染色位置までの糸長分だけ先読みした座標間の前記配色データに基づいて前記上糸を染色するように染色制御するステップと、を実行することを特徴とする刺繍装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の刺繍装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−289521(P2008−289521A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135075(P2007−135075)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】