説明

前処理装置を備えた冷却装置

【課題】粒状成分の量が多い雰囲気内で、粒状成分の量が少ない空気を熱交換器に供給するようにした冷却装置及び冷却方法を提供すること。
【解決手段】熱交換器に大気を流す前に大気が予め清浄にされ、次いで、周囲雰囲気へと排出して戻す冷却装置及び方法。少なくとも1つのファン420,430が、粒状成分を含んでいる大気を少なくとも1つの前処理器410a〜410h内へ引き込み、そこで大気は予め清浄にされて粒状成分の量を少なくした予め清浄にした空気が生成される。この予め清浄にした空気は、次いで、チャンバ440内に引き込まれ、チャンバ内に含まれている熱交換器460の上又は中を流動せしめられ、チャンバから周囲雰囲気へと排気される。熱交換器内の流体は、熱交換器の中又は上を流れるときに冷却される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、比較的粒状成分の量が多い雰囲気内で作動する作業車両のための冷却装置に関する。より特定すると、本発明は、比較的粒状成分の量が多い大気を予め清浄にして粒状成分の量が少ない予め清浄にした空気を生成し、この予め清浄にした空気を熱交換の目的で熱交換器に供給するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、伝統的には、作動環境に適合するように設計されて来た。従って、自動車のための熱交換器は、フィンがルーバーを有する傾向がある緻密なフィンの数によって小型化される傾向があった。このことは、このような熱交換器がしばしば必要とされるように小型に設計されるのを可能にする。自動車が作動する環境内の空気は粒状成分の量が比較的少ない傾向にあるので、ルーバーの詰まりは、自動車の作動条件においては起こり難い。しかしながら、詰まりは、熱交換器内を流れる空気を遮断して交換される熱の総量を減少させる傾向があるので、作業車両のための熱交換器は、夾雑物、石ころ、わら、棒きれ、針等による比較的激しい詰まりを最少にするために、簡素でルーバーを備えていないフィンを備えている。
【0003】
上記したように、作業車両のための熱交換器は、詰まりを避けるために、簡素でルーバーを備えていない極めて少ない数のフィンを有する傾向がある。従って、等しい熱の移動を達成するために、作業車両用の熱交換器は自動車用の熱交換器よりも幾分大きくなければならない。その結果、作業車両用の熱交換器は、自動車用の熱交換器よりも実質的に大きい。しかしながら、実際には、作業車両用の熱交換器は、サイズが比較的大きく且つ簡素化されているにもかかわらず、詰まることが多い。
【特許文献1】無し
【非特許文献1】無し
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、粒状成分の量が多い雰囲気全体内で、粒状成分の量が少ない空気を熱交換器に供給するようにした冷却装置及び冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明においては、
【発明の効果】
【0006】
本発明による冷却装置及び冷却方法は、作業車両用の熱交換器におけるより進んだ小型化を可能にするばかりでなく改良された全効率を可能にする。このような装置及び方法においては、清浄化すなわち詰まり防止のための車両の中断時間は、著しく短縮され、幾つかの状況においては中断時間がなくなるかも知れない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参考にして詳細に説明する。
図6は従来の作業車両を示している。図6に示されている特別な作業車両は、垂直枢軸40によって後方本体部分30に枢動可能に結合されている前方本体部分20を含んでいる本体10を含んでいる連接四輪駆動ローダー1であり、該ローダーは、当該技術において公知の方法で前方本体部分20を後方本体部分30に対して枢動させることによって操舵される。後方本体部分30は、エンジン室50と冷却領域60とを含んでいる。前方本体部分20と後方本体部分30とは、各々、前方駆動輪22及び後方駆動輪32上に各々支持されている。運転手ステーション11は、後方本体部分30上に設けられており且つ垂直枢軸40の上方に配置されている。前方駆動輪22及び後方駆動輪32は、車両を地面に沿って推進させ、当該技術において公知の方法で動力を付与される。
【0008】
図1は、本発明の冷却装置400の例示的な実施形態を含んでいる後方本体部分300を示しているローダー100の側面図である。図2乃至4は、図1の冷却装置400の詳細図である。図1のローダー100は、後方本体部分300が冷却装置400を含んでいる以外は、図6のローダー1とほぼ同一である。
【0009】
図1乃至4に示されているように、冷却装置400は、8個の前処理器410a乃至410hと、2つの後向きの遠心ファン420,430と、各々、ファン420,430のための部分的なカバーとして機能している2つの一体化されたファンハウジング421,431と、第1の壁442と、第2の壁446と、熱交換器460とを含んでいる。
【0010】
前処理器410a乃至410hは、一般的なものであって良く且つ市販によって現在入手可能である多数の前処理器のうちのいずれをも含むことができ又はこれらの前処理器は当業者によって製造されても良い。前処理器は、各々、入口411a乃至411hと出口412a乃至412hとを備えている。これらは、この特別な実施形態においては受動的であり動力を付与されても良い。図5は、前処理器410b乃至410hの典型的な例である前処理器410aの斜視図である。この特別な実施形態のファン420,430は油圧によって駆動される。しかしながら、これらは電気的又は機械的に駆動されても良い。
【0011】
チャンバ440は、熱交換器460を隔離しており且つ第1の部分441と第2の部分445とを含んでいる。第1の部分441は、8つの嵌合する一体化された円筒部443a乃至443hを備えた8つの穴442a乃至442hを含んでいる第1の壁442と、熱交換器460とを含んでいる。第2の部分445は、2つの穴446a,446bを含んでいる第2の壁446と熱交換器460とを含んでいる。チャンバ440の結合された部分の各々は、ナット及びボルトによって結合され且つカシメ又はゴム(図示せず)によってシールされている。
【0012】
前処理器410a乃至410hは、一体化された嵌合円筒部443a乃至443h上を摺動させ且つ締結されたホースクランプ413a乃至413hの保持による摩擦によって前記前処理器412a乃至412hを定位置に保持することによって第1の部分に取り付けられている。締結されたホースクランプ413a乃至413hはまた、前処理された空気のみがチャンバ440内へ入るようにさせるシールをも提供する。
【0013】
この実施形態の一体化されたファンハウジング421,431は、ナット及びボルト(図示せず)を介して第2の壁446に取り付けられ、各々、穴446a及び446bの各々におけるファン入口422及び432を形成している。カシメ又はゴム(図示せず)の気密シールが、ファンハウジング421,431の外周に沿って第2の壁446とファンハウジング421との間に形成されている。
【0014】
作動時には、ファン420,430は、前処理器入口411a乃至411hを介して前処理器410a乃至410h内に粒状成分を含む大気を引き込み、前処理器410a乃至410hにおいては、前処理器410a乃至410hの大気から粒状成分の一部分を分離して予め清浄にした空気を生成する機械的作用によって予め清浄にした空気が生成される。本発明のこの特別な実施形態においては、前処理器410a乃至410hの機械的作用は、前処理器410a乃至410hの機械的要素の上方を動く大気の動きによって生じる。予め清浄にした空気は、次いで、前処理器の出口412a乃至412hから第1の壁442内の穴442a乃至442hを通ってチャンバ440内へ引き出される。ファン420,430は、次いで、熱交換器460内の流体の冷却が生じる熱交換器460内を又は該熱交換器の上方を予め清浄にした空気を第2の壁446内の穴446a,446bを介してチャンバからファンの入口422,432を介してファンハウジング421,431内へと抜き取る。最後に、ファン420,430は、予め清浄にした空気を、ファンハウジング421,431からファンの出口423,424並びに433及び434を介して周囲雰囲気へと押し出す。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上、例示的な実施形態を説明したが、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形を施すことができることは明らかであろう。更に、本発明を使用することができる作業車両は、ここに図示され且つ説明された例示的な作業車両に限られず、例えばスキッドステアのような他の車両に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態を含んでいる作業車両の側面図である。
【図2】図2は、図1に図示されている車両の後方部分の左側から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に図示されている車両の後方部分の右側から見た斜視図である。
【図4】図4は、図2に図示されている冷却装置の分解図である。
【図5】図5は、図2及び3に示されている前処理器のうちの一つの斜視図であり、出口の詳細が示されている。
【図6】図6は、従来の作業車両の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 四輪駆動ローダー、 10 本体、 11 運転手ステーション、
20 前方本体部分、 22 前方駆動輪、 32 後方駆動輪、
30 後方本体部分、 40 垂直枢軸、 50 エンジン室、
60 冷却領域、 100 ローダー、 300 後方本体部分、
400 冷却装置、 410a乃至410h 遠心ファン、
411a乃至411h 前処理器入口、
412a乃至412h 前処理器出口、
413a乃至413h ホースクランプ、
420,430 ファン、 421,431 ファンハウジング、
422及び432 ファン入口、
423,424,433,434 ファン出口
440 チャンバ、 441 第1の部分、 442 第1の壁、
442a乃至442h 穴、 443a乃至443h 円筒部、
445 第2の部分、 446 第2の壁、 446a,446b 穴、
460 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状成分の量が多い雰囲気で作動する作業車両のための冷却装置であって、
前処理器の入口と前処理器の出口とを有する少なくとも1つの前処理器であって、前記前処理器入口において粒状成分を含む大気を受け入れ且つ前記処理器の出口において粒状成分量が少なくされた予め清浄にした空気を放出する前記少なくとも1つの前処理器と、
第1の側面と第2の側面とを有する少なくとも1つの熱交換器と、
少なくとも1つのファンと、
第1のチャンバ部分と第2のチャンバ部分とを備えたチャンバであって、前記少なくとも1つの熱交換器を囲繞し、前記少なくとも1つのファンは、前記予め清浄にした空気を、前記第1のチャンバ部分から前記第2のチャンバ部分を介して前記チャンバ内に抜き取り、前記予め清浄された空気を雰囲気へと排出し、前記前処理器の出口は前記第1のチャンバ部分に予め清浄された空気を提供し、前記少なくとも1つの熱交換器は前記第1の側面において前記予め清浄にした空気を前記第2の側面において排出するようになされた前記チャンバと、を含む冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記前処理器の出口が前記第1のチャンバ部分に取り付けられている冷却装置。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記チャンバが、前記第1のチャンバ部分に設けられた少なくとも1つの入口穴と、前記第2のチャンバ部分に設けられた少なくとも1つの出口穴とを含んでいる冷却装置。
【請求項4】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記少なくとも1つのファンが少なくとも1つの後向きの遠心ファンを含んでいる冷却装置。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却装置であって、
前記少なくとも1つの後向きの遠心ファンが、1つの入口穴と2つの出口穴とを備えたファンの枠を含んでおり、前記入口穴は前記チャンバから予め清浄にした空気を受け取り、前記2つの出口穴は、前記予め清浄にした空気を雰囲気へと排出するようになされた冷却装置。
【請求項6】
粒状成分の量が多い雰囲気内で作動するエンジンのためのエンジン冷却装置であって、
前処理器入口と前処理器出口とを有する少なくとも1つの前処理器であって、前記前処理器入口において粒状成分を含む大気を受け入れ且つ前記処理器出口において粒状成分量が少なくされた予め清浄にした空気を放出する前記少なくとも1つの前処理器と、
第1の側面と第2の側面とを有する少なくとも1つの熱交換器と、
少なくとも1つのファンと、
第1のチャンバ部分と第2のチャンバ部分とを備えたチャンバであって、前記少なくとも1つの熱交換器を囲繞し、前記少なくとも1つのファンは、前記予め清浄にした空気を、前記第1のチャンバ部分から前記第2のチャンバ部分を介して前記チャンバ内に抜き取り、雰囲気へと排出し、前記前処理器出口は前記第1のチャンバ部分に予め清浄された空気を提供し、前記少なくとも1つの熱交換器は前記第1の側面において前記予め清浄にした空気を前記第2の側面において排出するようになされた前記チャンバと、を含むエンジン冷却装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエンジン冷却装置であって、
前記前処理器の出口が前記第1のチャンバ部分に取り付けられているエンジン冷却装置。
【請求項8】
請求項6に記載のエンジン冷却装置であって、
前記チャンバが、前記第1のチャンバ部分に設けられた少なくとも1つの入口穴と、前記第2のチャンバ部分に設けられた少なくとも1つの出口穴とを含んでいるエンジン冷却装置。
【請求項9】
請求項6に記載のエンジン冷却装置であって、
前記少なくとも1つのファンが少なくとも1つの後向きの遠心ファンを含んでいるエンジン冷却装置。
【請求項10】
請求項9に記載のエンジン冷却装置であって、
前記少なくとも1つの後向きの遠心ファンが、1つの入口穴と2つの出口穴とを備えたファンの枠を含んでおり、前記入口穴は前記チャンバから予め清浄にした空気を受け取り、前記2つの出口穴は、前記予め清浄にした空気を雰囲気へと排出するようになされたエンジン冷却装置。
【請求項11】
作業車両のための流体を冷却する方法であって、
前記作業車両は、前処理器入口と前処理器出口とを備えた少なくとも1つの前処理器を含んでいる冷却装置と、第1の側面と第2の側面とを有する少なくとも1つの熱交換器と、第1のチャンバ部分及び第2のチャンバ部分を有するチャンバとを備えており、前記チャンバは少なくとも1つの熱交換器を囲繞しており、前記チャンバは、前記第1のチャンバ部分において前記前処理器出口及び前記第2のチャンバ部分において前記少なくとも1つのファンと直接連通しており、
少なくとも1つのファンによって、粒状成分を含む大気を、前記前処理器入口から前記前処理器内を通って前記前処理器出口へと引き込んで、粒状成分の量が少ない予め清浄にした空気を獲得し、
前記予め清浄にした空気を少なくとも1つのファンによって前記熱交換器を横切って流動させ、
前記少なくとも1つのファンによって、前記チャンバから前記予め清浄にした空気を抜き取り且つそれを雰囲気へと排出する、ことからなる作業車両のための流体を冷却する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−112425(P2006−112425A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290656(P2005−290656)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】