説明

前照灯及び複焦点レンズ

【課題】ハイビーム時の明るさムラがないような配光を形成できるようにするとともに、ハイビーム時の消費電力を抑えられるようにする。
【解決手段】前照灯1の複焦点レンズ80が、中段レンズ部81、上段レンズ部82、下段レンズ部83を有する。前照灯1が、中段レンズ部81の焦点近傍に位置する前縁を有する区切り板71と、区切り板71の上面・下面にそれぞれ搭載された発光素子10,20と、第一焦点が発光素子10近傍に設定され、第二焦点が中段レンズ部81の焦点近傍に設定された楕円面系反射面31と、第一焦点が発光素子20の近傍に設定され第二焦点が上段レンズ部82の焦点近傍に設定された楕円面系反射面41と、内側焦点が発光素子20近傍に設定され、外側焦点が下段レンズ部83の焦点近傍に設定された双曲面系反射面と、を備える。発光素子10,20が選択的に発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前照灯及び複焦点レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の前照灯(10)は、ロービームとハイビームの切り替えを行えるように構成されている。この前照灯(10)では、薄板状の直進防止部材(36)の上面に第一半導体発光素子(32)が搭載され、その直進防止部材(36)の下面に第二半導体発光素子(42)が搭載されている。また、投影レンズ(22)が直進防止部材(36)の前に配置され、投影レンズ(22)の焦点(F)が直進防止部材(36)の前端縁(36a1)に設定されている。また、第一半導体発光素子(32)の周囲には、第一リフレクタ(34)が設けられ、第二半導体発光素子(42)の周囲には、第二のリフレクタ(44)が設けられている。
ロービームの場合には、第一半導体発光素子(32)のみが発光し、ハイビームの場合には、両方の半導体発光素子(32,42)が発光する。
第一半導体発光素子(32)が発光した場合には、第一半導体発光素子(32)から発した光が第一リフレクタ(34)によって前に反射され、その反射光が投影レンズ(22)の焦点(F)付近に集光するとともに、その反射光の一部が直進防止部材(36)によって遮光される。そのため、照射範囲が水平面よりも下となり、対向車に対するグレアの発生を抑えている。
一方、第二半導体発光素子(42)が発光した場合には、第二半導体発光素子(42)から発した光が第二リフレクタ(44)によって前に反射され、その反射光が投影レンズ(22)の焦点(F)付近に集光するとともに、その反射光の一部が直進防止部材(36)によって遮光される。そのため、照射範囲が水平面よりも上となり、この照射範囲と第一半導体発光素子(32)による照射範囲が合成されて、ハイビームとなる。なお、直進防止部材(36)の上面と下面に反射面が設けられているが、反射面が設けられていても照射範囲は大きく変わらず、各配光パターンが明るくなるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−108554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に記載の前照灯では、ハイビームの場合には、両方の半導体発光素子が発光するから、ハイビーム時の消費電力がロービーム時の消費電力の2倍になってしまい、ハイビーム時の消費電力が増えてしまう。
また、ハイビーム時の照射範囲が第一半導体発光素子(32)による照射範囲と、第二半導体発光素子(42)の照射範囲との合成であるから、第一半導体発光素子(32)による照射範囲と第二半導体発光素子(42)による照射範囲とが重なり合った領域の照度が、他の領域の照度よりも極端に明るくなる。そのため、ハイビーム時の照度分布の繋がりが悪くなり、明るさムラが発生してしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ロービームとハイビームを切り替える前照灯において、ハイビーム時の明るさムラがないような配光を形成できるようにするとともに、ハイビーム時の消費電力を抑えられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明に係る前照灯は、前後方向に延びた光軸上に焦点が設定された中段レンズ部と、当該中段レンズ部の上に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも上斜め前に焦点が設定された上段レンズ部と、を有する複焦点レンズと、前記複焦点レンズの後方において水平面に対して伏せた状態に設けられ、前記中段レンズの焦点又はその近傍に位置する前縁を有する区切り板と、前記区切り板の前縁よりも後において前記区切り板の上面に搭載され、上向きに配置された第一の発光素子と、前記区切り板の前縁よりも後において前記区切り板の下面に搭載され、下向きに配置された第二の発光素子と、前記区切り板の上に設けられ、第一焦点が前記第一の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記中段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第一の楕円面系反射面と、前記区切り板の下に設けられ、第一焦点が前記第二の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記上段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第二の楕円面系反射面と、を備え、前記第一の発光素子と前記第二の発光素子が選択的に発光することとした。
【0006】
好ましくは、前記複焦点レンズが、前記中段レンズ部の下に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも下斜め後に焦点が設定された下段レンズ部を更に有し、前記前照灯が、前記第二の楕円面系反射面の下斜め前に配置され、内側焦点が前記第二の発光素子又はその近傍に設定され、外側焦点が前記下段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された双曲面系反射面を更に備えることとした。
【0007】
好ましくは、前記複焦点レンズを正面から見て、前記中段レンズ部が占める領域の面積が、前記上段レンズ部が占める領域の面積と前記下段レンズ部が占める領域の面積との和に略等しいこととした。
【0008】
好ましくは、前記区切り板の上面の前縁と前記第一の発光素子との間に形成され、水平面に対して平行に設けられた平面状反射面を更に備えることとした。
【0009】
好ましくは、前記複焦点レンズが、前記上段レンズ部の左上又は右上に設けられ、前記上段レンズ部の焦点よりも上且つ前に焦点が設定されたオーバヘッドサイン配光用レンズ部を更に有し、前記前照灯が、前記第一の楕円面系反射面の上斜め前に配置され、第一焦点が前記第一の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記オーバヘッドサイン配光用レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第三の楕円面系反射面を更に備えることとした。
【0010】
好ましくは、前記第一の発光素子が鉛直方向に対して後に0〜20°傾いた状態で上に向いていることとした。
【0011】
好ましくは、前記第二の発光素子が鉛直方向に対して前に10〜20°傾いた状態で下に向いていることとした。
【0012】
本発明に係る複焦点レンズが、前後方向に延びた光軸上に焦点が設定された中段レンズ部と、当該中段レンズ部の上に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも上斜め前に焦点が設定された上段レンズ部と、を備えることとした。
【0013】
好ましくは、前記複焦点レンズが、前記中段レンズ部の下に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも下斜め後に焦点が設定された下段レンズ部を更に備えることとした。
【0014】
好ましくは、前記複焦点レンズが、前記上段レンズ部の左上又は右上に設けられ、前記上段レンズ部の焦点よりも上且つ前に焦点が設定されたオーバヘッドサイン配光用レンズ部を更に備えることとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロービーム時には、第二の発光素子が発光せずに、第一の発光素子が発光し、ハイビーム時には、第一の発光素子が発光せずに、第二の発光素子が発光する。
二つの発光素子が同時に発光せず、選択的に発光するから、消費電力を抑えることができる。特に、上段レンズ部の焦点が区切り板の前縁よりも前に設定され、第二の楕円面系反射面の第二の焦点が上段レンズ部の焦点又はその近傍に設定されているから、ハイビーム時には第二の発光素子から発した光が殆ど遮光されないので、消費電力を抑えることができる。
また、ハイビーム時の配光は、二つの発光素子による照射範囲を重ねたものではなく、第二の発光素子によって得られるものであるから、配光パターンの照度分布のムラを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における前照灯の前方斜視図である。
【図2】同実施形態における前照灯の鉛直断面図である。
【図3】同実施形態における前照灯の水平断面図である。
【図4】同実施形態における複焦点レンズの正面図、側面図、底面図及びD−D断面図である。
【図5】同実施形態における前照灯の鉛直断面図である。
【図6】同実施形態における前照灯の鉛直断面図である。
【図7】同実施形態における前照灯の鉛直断面図である。
【図8】同実施形態における前照灯によって仮想スクリーンに形成される配光パターンを示した図である。
【図9】本発明の第2実施形態における前照灯の前方斜視図である。
【図10】同実施形態における前照灯の鉛直断面図である。
【図11】同実施形態における複焦点レンズの正面図、側面図、底面図及びD−D断面図である。
【図12】同実施形態における前照灯によって仮想スクリーンに形成される配光パターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、それぞれ、前照灯が装備された車両の「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」である。従って、後ろから前に向かって見て、左右の向きを定める。
【0018】
〔第1の実施の形態〕
図1は、前照灯1の前方斜視図である。図2は、光軸Axを通る鉛直断面に沿った断面図である。図3は、光軸Axを通る水平断面に沿った断面図である。
この前照灯1は、第一の発光素子10、第二の発光素子20、第一の楕円面系リフレクタ30、第二の楕円面系リフレクタ40、双曲面系リフレクタ50、区切り板71及び複焦点レンズ80等を備える。
【0019】
複焦点レンズ80は、凸レンズである。図4は、複焦点レンズ80の平面図、正面図、側面図及びD−D断面図である。図1〜図4に示すように、複焦点レンズ80は中段レンズ部81、上段レンズ部82及び下段レンズ部83から構成され、これらレンズ部81〜83が一体成形されている。複焦点レンズ80の光軸Axが中段レンズ部81の中心(中段レンズ部81の前側出射面の頂点)を通って前後方向に延びている。本実施例では、複焦点レンズ80を正面から光軸Axと平行な方向に見て、中段レンズ部81が占める領域の面積は上段レンズ部82が占める領域の面積と、下段レンズ部83が占める領域の面積との和にほぼ等しい。複焦点レンズ80の後面がレンズ部81〜83の後ろ側入射面であって、複焦点レンズ80の光軸Axに対して垂直な平面に設けられている。
【0020】
中段レンズ部81が非球面凸レンズにより構成され、中段レンズ部81の焦点F1が中段レンズ部81の後方の光軸Ax上に設定されている。上段レンズ部82が非球面凸レンズにより構成され、上段レンズ部82の焦点F2が上段レンズ部82の後方に設定されている。下段レンズ部83が非球面凸レンズにより構成され、下段レンズ部83の焦点F3が下段レンズ部83の後方に設定されている。
【0021】
これらレンズ部81〜83の焦点距離が異なっている。具体的には、図2〜図3に示すように、これらレンズ部81〜83のうち下段レンズ部83の焦点距離が最も長く、上段レンズ部82の焦点距離が最も短い。従って、上段レンズ部82の焦点F2が中段レンズ部81の焦点F1よりも前に位置し、中段レンズ部81の焦点F1が下段レンズ部83の焦点F3よりも前に位置している。
【0022】
図3に示すように、鉛直方向に見て、光軸Axがこれらレンズ部81〜83の焦点F1〜F3を通っており、これら焦点F1〜F3が光軸Axに沿って前後に配列されている。一方、図2に示すように、水平左右方向に見て、光軸Axが中段レンズ部81の焦点F1を通っており、上段レンズ部82の焦点F2が光軸Axから上にずれて配置されており、下段レンズ部83の焦点F3が光軸Axから下にずれて配置されている。そのため、中段レンズ部81の焦点F1が下段レンズ部83の焦点F3よりも上に位置し、上段レンズ部82の焦点F2が中段レンズ部81の焦点F1よりも上に位置している。
【0023】
レンズ部81〜83の前側出射面がそれぞれフレネルカット状に分割されている。なお、レンズ部81〜83の前側出射面がフレネルカット状に分割されずに、それぞれの前側出射面が単一の非球面となっていてもよい。
【0024】
図1〜図3に示すように、複焦点レンズ80の後方に、発光素子10,20、リフレクタ30,40,50及び区切り板71が配置されている。
区切り板71が水平面に対して伏せた状態に設けられている。区切り板71が前上がりに傾斜し、区切り板71の上面72の後部(後述の平面状反射面61以外の部分)が前上がりに傾斜し、区切り板71の下面73が前上がりに傾斜している。区切り板71の上面72の後部を前側に延長した場合、その延長面よりも下に上段レンズ部82の焦点F2が位置している。区切り板71の後方にはヒートシンク(図示略)が設けられており、区切り板71の後端部がヒートシンクに連結していることが好ましい。
【0025】
区切り板71の前縁75は、中段レンズ部81の焦点F1又はその近傍に位置している。区切り板71の前縁75は、第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32又はその近傍に位置している。また、区切り板71の前縁75は、中段レンズ部81の像面の湾曲に対応して、後ろに向かって凹むよう湾曲している。
【0026】
区切り板71の上面72の前部には、平面状反射面61が形成され、区切り板71の前縁75が平面状反射面61の前縁である。この平面状反射面61は、光軸Axに対して平行な面であって、第一の発光素子10よりも前に配置されている。平面状反射面61のうち光軸Axよりも左の部分62(以下、左部平面62という。)が水平面であり、光軸Axよりも右の部分63(以下、右部平面63という。)が水平面であり、左部平面62と右部平面63との間に段差があり、左部平面62と右部平面63の間の部分64(以下、傾斜面64という。)が水平方向に対して傾斜している。傾斜面64の傾斜角は、すれ違いビームの斜めカットオフラインを形成する関係上、水平面に対して15°又は45°であることが好ましい。
【0027】
平面状反射面61のうち光軸Axよりも自車線側の部分が対向車線側の部分よりも高く設定されている。具体的には、前照灯1が左側通行用である場合、左部平面62が右部平面63よりも上に位置し、傾斜面64が右下りに傾斜している。一方、前照灯1が右側通行用である場合、右部平面63が左部平面62よりも上に位置し、傾斜面64が左下りに傾斜している。
なお、左部平面62と右部平面63の上下位置が揃っていて、傾斜面64が無くてもよい。
【0028】
第一の発光素子10が、区切り板71の前縁75よりも後において区切り板71の上面72に搭載されている。第二の発光素子20が、区切り板71の前縁75よりも後において区切り板71の下面73に搭載されている。第一の発光素子10が上を向き、第二の発光素子20が下を向いている。具体的には、本実施例では、区切り板71の上面72の後部が水平面を基準として後下りに0〜20°傾斜し、第一の発光素子10が鉛直方向に対して後に0〜20°傾いた状態で上に向いている。また、本実施例では、区切り板71の下面73が水平面を基準として後下りに10〜30°傾斜し、第二の発光素子20が鉛直方向に対して前に10〜20°傾いた状態で下に向いている。
【0029】
第一の発光素子10を後ろ斜め上から平面視すると、この第一の発光素子10の長辺が水平になるとともに左右方向に平行となるよう第一の発光素子10が設置されている。第二の発光素子20を前斜め下から平面視すると、この第二の発光素子20の長辺が水平になるとともに左右方向に平行となるよう第二の発光素子20が設置されている。
【0030】
これら発光素子10,20の前後方向(光軸Axに沿う方向)の位置関係については、これら発光素子10,20が焦点F1と焦点F3との間に配置され、第二の発光素子20が第一の発光素子20よりも後ろに配置されている。これら発光素子10,20の左右方向の位置については、これら発光素子10,20が上から見て光軸Axに重なっている。これら発光素子10,20は発光ダイオード、無機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子その他の半導体発光素子である。
【0031】
第一の楕円面系リフレクタ30は、区切り板71の上に設けられているとともに、下段レンズ部83の焦点F3よりも上に配置されている。この第一の楕円面系リフレクタ30は、第一の発光素子10の後ろから第一の発光素子10の上斜め前・右斜め前・左斜め前にかけて第一の発光素子10を囲うように略半ドーム状に設けられている。第一の楕円面系リフレクタ30の前側内面が凹面状の第一の楕円面系反射面31とされている。
【0032】
図5に示すように、第一の楕円面系反射面31は、楕円面の形状に形成されている。楕円面とは、前後方向に延びた軸Ax1を回転軸とした回転楕円面又はその回転楕円面を基調とした自由曲面をいう。また、第一の楕円面系反射面31は、これらの回転楕円面又は自由曲面を組み合わせた複合楕円面であってもよい。なお、第一の楕円面系反射面31の軸Ax1が前上がりに傾斜しているが、軸Ax1が光軸Axに対して平行であってもよい。また、軸Ax1が光軸Axに重なってもよい。
【0033】
第一の楕円面系反射面31の第一焦点F31が第一の楕円面系リフレクタ30の内側に設定され、第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32が第一焦点F31よりも前に設定されている。第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32は、水平左右方向に延びるとともに、後ろに凸となるよう湾曲した焦線であってもよい。第一の楕円面系反射面31の第一焦点F31は、第一の発光素子10又はその近傍に位置している。第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32は、中段レンズ部81の焦点F1又はその近傍に位置している。また、第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32は、区切り板71の前縁75又はその近傍に位置している。
第一の楕円面系反射面31は、第一の発光素子10から発した光を前方に向けて反射させて、その反射光を中段レンズ部81の焦点F1又はその近傍に集光させるものである。なお、区切り板71は、第一の発光素子10から発して第一の楕円面系反射面31によって前方に反射された反射光の一部を遮光するシェードとして機能する。
【0034】
第二の楕円面系リフレクタ40は、区切り板71の下に設けられている。この第二の楕円面系リフレクタ40は、第二の発光素子20の後ろから第二の発光素子20の下斜め前・右斜め前・左斜め前にかけて第二の発光素子20を囲うように略逆半ドーム状に設けられている。第二の楕円面系リフレクタ40の前側内面が凹面状の第二の楕円面系反射面41とされている。
【0035】
図6に示すように、第二の楕円面系反射面41は、楕円面の形状に形成されている。つまり、第二の楕円面系反射面41は、前後方向に延びた軸Ax2を回転軸とした回転楕円面又はその回転楕円面を基調とした自由曲面である。また、第二の楕円面系反射面41は、これらの回転楕円面又は自由曲面を組み合わせた複合楕円面であってもよい。第二の楕円面系反射面41の軸Ax2が前上がりに傾斜している。
【0036】
第二の楕円面系反射面41の第一焦点F41が第二の楕円面系リフレクタ40の内側に設定され、第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42が第一焦点F41よりも前に設定されている。第二の楕円面系反射面41の第一焦点F41は、第二の発光素子20又はその近傍に位置している。第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42は、上段レンズ部82の焦点F2又はその近傍に位置している。第二の楕円面系反射面41の第一焦点F41が第一の楕円面系反射面31の第一焦点F31よりも前に位置し、第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42が第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32よりも前斜め上に位置し、第二の楕円面系反射面41の第一焦点F41から第二焦点F42までの距離が第一の楕円面系反射面31の第一焦点F31から第二焦点F32までの距離よりも短い。また、第二の楕円面系反射面41の頂点(第二の楕円面系反射面41と軸Ax2の交点)は、第一の楕円面系反射面31の頂点(第一の楕円面系反射面31と軸Ax1の交点)よりも前に位置している。また、第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42が区切り板71の前縁75よりも前に位置している。
【0037】
第二の楕円面系反射面41は、第二の発光素子20から発した光を前方に向けて反射させて、その反射光を上段レンズ部82の焦点F2又はその近傍に集光させるものである。第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42が区切り板71の前縁75から前に離れているので、第二の楕円面系反射面41によって前方に反射された反射光が区切り板71によって殆ど遮光されない。
【0038】
双曲面系リフレクタ50は、第二の発光素子20の下斜め前に配置されている。本実施例では、この双曲面系リフレクタ50と第二の楕円面系リフレクタ40とは、一体化されている。具体的には、双曲面系リフレクタ50が第二の楕円面系リフレクタ40の前端から下斜め前に垂下し、双曲面系リフレクタ50の上部と第二の楕円面系リフレクタ40の前端が連接している。
【0039】
図7に示すように、双曲面系リフレクタ50の前側内面が凹面状の双曲面系反射面51とされている。双曲面系反射面51は、前後方向に延びた軸Ax3を回転軸とした回転二葉双曲面又はこれを基調とした自由曲面である。なお、双曲面系反射面51の軸Ax3が前上がりに傾斜しているが、軸Ax3が光軸Axに対して平行であってもよい。
【0040】
双曲面系反射面51の内側焦点(第一焦点)F51が双曲面系反射面51の外側焦点(第二焦点)F52よりも前に設定されている。双曲面系反射面51の内側焦点F51は、第二の発光素子20又はその近傍に位置している。双曲面系反射面51の外側焦点F52は、下段レンズ部83の焦点F3又はその近傍に位置している。
【0041】
この前照灯1の動作について説明する。
発光素子10,20が選択的に発光する。つまり、第一の発光素子10が発光する時には、第二の発光素子20が発光せず、第二の発光素子20が発光する時には、第一の発光素子10が発光しない。発光素子10,20の選択的な発光は、スイッチング回路等によって行われる。
【0042】
第一の発光素子10が発光した場合の配光について図5を参照しつつ説明する。
第一の発光素子10が発光した場合には、その発光素子10から発した光が第一の楕円面系反射面31によって前方に反射され、その反射光が第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32に集光する。そして、その反射光は、中段レンズ部81によって前方に投射される。第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32が中段レンズ部81の焦点F1又はその近傍に位置しているから、第一の楕円面系反射面31によって反射されて中段レンズ部81によって前方に投射される光がほぼ平行光である。
【0043】
また、区切り板71の前縁75(平面状反射面61の前縁75)が、中段レンズ部81の焦点F1又はその近傍に位置しているとともに、第一の楕円面系反射面31の第二焦点F32又はその近傍に位置しているから、第一の楕円面系反射面31によって反射された光が中段レンズ部81の焦点F1よりも上を後から前に通過して中段レンズ部81に入射するが、その反射光は中段レンズ部81の焦点F1よりも下を後から前に通過しない(図5参照)。そのため、第一の楕円面系反射面31によって反射されて中段レンズ部81によって前方に投射される光によって、図8(a)に示すようなロービーム用(すれ違い用)の配光パターンが前照灯1の前方に形成される。図8(a)は、第一の発光素子10が発光した場合に、前照灯1から前方に所定距離離れた仮想スクリーンに形成される配光パターンを示した等照度線図である。図8(a)において横軸は、光軸Axと仮想スクリーンの交点をゼロ°として左右の角度を表し、縦軸は、光軸Axと仮想スクリーンの交点をゼロ°として上下の角度を表す。
図8(a)に示すように、この配光パターンは、光軸Axを通る水平面と仮想スクリーンとの交線H(光軸Axを中心にして上下方向にゼロ°の線)に沿ったカットオフライン(明暗境界線)C1を明部L1の上縁に有するものである。また、平面状反射面61の前縁75の段差形状に応じて、カットオフラインC1の左右に段差が生じているとともに、左右ゼロ°付近に斜めカットオフラインが形成されている。
【0044】
また、上段レンズ部82が第一の楕円面系反射面31の軸Ax1よりも上に位置しているから、第一の楕円面系反射面31によって反射された光が上段レンズ部82に入射しない。そのため、上段レンズ部82は、図8(a)に示す配光パターンの形状に影響を与えないうえ、対向車のグレアの原因にもならない。
【0045】
また、第一の楕円面系反射面31によって反射された光の一部が下段レンズ部83に僅かに入射しても、第一の楕円面系反射面31が下段レンズ部83の焦点F3よりも上に位置しているため、第一の楕円面系反射面31による反射光の光線の後ろ側への延長線が下段レンズ部83の焦点F3の上を通る。そのため、第一の楕円面系反射面31によって反射されて下段レンズ部83によって投射される光の照射範囲は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1内である。それゆえ、下段レンズ部83が、図8(a)に示す配光パターンの明部L1を明るくするだけで、その配光パターンの形状に影響を与えないとともに、対向車のグレアの原因にもならない。
【0046】
また、第一の楕円面系反射面31によって反射された光の一部が平面状反射面61によって反射される。平面状反射面61によって反射された光は、中段レンズ部81によって前方に投射される。平面状反射面61によって反射された光が中段レンズ部81の焦点F1よりも上を後ろから前に通過するから、平面状反射面61によって反射されて中段レンズ部81によって投射される光の照射範囲は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1内である。そのため、平面状反射面61は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1を明るくするだけで、その配光パターンの形状に影響を与えないうえ、対向車のグレアの原因にもならない。
【0047】
また、平面状反射面61によって反射された光の一部が上段レンズ部82に入射して前方に投射される。平面状反射面61によって反射された光が上段レンズ部82の焦点F2よりも上を後から前に通過するから、平面状反射面61によって反射されて上段レンズ部82によって投射される光の照射範囲は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1内である。そのため、平面状反射面61及び上段レンズ部82は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1を明るくするだけで、その配光パターンの形状に影響を与えないうえ、対向車のグレアの原因にもならない。
【0048】
また、下段レンズ部83が平面状反射面61よりも下に位置しているから、平面状反射面61によって反射された光が下段レンズ部83に入射しない。そのため、平面状反射面61及び下段レンズ部83は、図8(a)に示す配光パターンの形状に影響を与えないうえ、対向車のグレアの原因にもならない。
【0049】
また、第一の発光素子10から発した光が反射面31,61によって反射せずに、上段レンズ部82に入射する。第一の発光素子10が搭載された上面72の後部を前側にした延長した面が上段レンズ部82の焦点F2の上を通るから、第一の発光素子10から上段レンズ部82に直接入射する光は上段レンズ部82の焦点F2の上を通る。その光の照射範囲は、図8(a)に示す配光パターンの明部L1内である。そのため、第一の発光素子10から上段レンズ部82に直接入射する光が、図8(a)に示す配光パターンの明部L1を明るくするだけで、その配光パターンの形状に影響を与えないうえ、対向車のグレアの原因にもならない。
【0050】
第二の発光素子20が発光した場合の配光について図6を参照しつつ説明する。
第二の発光素子20が発光した場合、その発光素子20から発した光が第二の楕円面系反射面41によって前方に反射され、その反射光が第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42に集光する。そして、その反射光は、上段レンズ部82によって前方に投射される。第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42が上段レンズ部82の焦点F2又はその近傍に位置しているから、第二の楕円面系反射面41によって反射されて上段レンズ部82によって前方に投射される光がほぼ平行光である。
【0051】
また、区切り板71の前縁75(平面状反射面61の前縁75)が上段レンズ部82の焦点F2及び第二の楕円面系反射面41の第二焦点F42よりも後に位置しているから、第二の楕円面系反射面41によって反射された光は区切り板71によって殆ど遮光されない(図6参照)。そのため、第二の楕円面系反射面41によって反射されて上段レンズ部82によって前方に投射される光によって、図8(b)に示すようなハイビーム用(走行用)の配光パターンが前照灯1の前方に形成される。図8(b)は、第二の発光素子20が発光した場合に、前照灯1から前方に所定距離離れた仮想スクリーンに形成される配光パターンを示した等照度線図である。図8(b)において横軸は、光軸Axと仮想スクリーンの交点をゼロ°として左右の角度を表し、縦軸は、光軸Axと仮想スクリーンの交点をゼロ°として上下の角度を表す。
図8(b)に示すように、この配光パターンは中心部(光軸Axと仮想スクリーンの交点及びその近傍)に明部L2を有し、その明部L2がH線の下と上に現れる。
【0052】
また、図7を参照すれば、第二の発光素子20から発した光が双曲面系反射面51によって前方に反射される。そして、その反射光は、下段レンズ部83によって前方に投射される。双曲面系反射面51の外側焦点F52が下段レンズ部83の焦点F3又はその近傍に位置しているから、双曲面系反射面51によって反射されて下段レンズ部83によって前方に投射される光がほぼ平行光である。そして、双曲面系反射面51によって反射されて下段レンズ部83によって投射される光の照射範囲は、図8(b)に示す配光パターンの明部L2内である。そのため、双曲面系反射面51及び下段レンズ部83は、図8(a)に示す配光パターンの明部L2を明るくする。
【0053】
また、第二の発光素子20から発した光が反射面51,61によって反射せずに、中段レンズ部81に入射し、その光が中段レンズ部81によって前方に投射される。その光の照射範囲は、図8(b)に示す配光パターンの明部L2内である。そのため、第二の発光素子20から中段レンズ部81に直接入射する光は、図8(b)に示す配光パターンの明部L2を明るくする。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、発光素子10,20が同時に発光せず、選択的に発光するから、消費電力を抑えることができる。特に、ハイビーム用の配光パターン(図8(b)参照)の形成時には、第一の発光素子10が発光せず、第二の発光素子20から発した光が殆ど遮光されないから、消費電力を抑えることができる。
【0055】
また、発光素子10,20が選択的に発光するから、発熱量も抑えることができ、発光素子10,20の両方に共有するヒートシンクを小型化・軽量化することができる。
【0056】
また、ロービーム用の配光パターン(図8(a)参照)の形成時には、第一の発光素子10が発光し、複焦点レンズ80のうち主に中段レンズ部81がその配光パターンの形成に寄与している。一方、ハイビーム用の配光パターンの形成時には、第二の発光素子20が発光し、複焦点レンズ80のうち主に上段レンズ部82及び下段レンズ部83がその配光パターンの形成に寄与している。これらの配光パターンは、両方の発光素子10,20によって形成される配光パターンを重ねたものでないから、これらの配光パターンの照度分布のムラを抑えることができる。特に、ハイビーム用の配光パターンにおいて、交線H近傍が明るくなりすぎてムラが発生することを抑えることができる。
【0057】
第一の楕円面系反射面31の軸Ax1が前上がりに傾斜し、第一の発光素子10が鉛直方向に対して後に傾いた状態で上に向いているので、ロービーム用の配光パターンの明部L1がより明るくなる。
【0058】
〔第2の実施の形態〕
図9は、前照灯1Aの前方斜視図である。図10は、前照灯1Aの鉛直断面に沿った断面図である。図11は、この前照灯1Aの複焦点レンズ80の平面図、正面図、側面図及びD−D断面図である。なお、図10は、図11(a)のX-Xに沿った面の断面図である。
【0059】
第2実施形態における前照灯1Aと、第1実施形態における前照灯1との間で互いに対応する部分には同一の符号を付す。以下、第2実施形態における前照灯1Aと、第1実施形態における前照灯1との間で互いに対応する部分が同一に設けられている場合には、その説明を省略し、相違点について説明する。
【0060】
第1実施形態では、複焦点レンズ80が中段レンズ部81、上段レンズ部82及び下段レンズ部83から構成されているのに対し、第2実施形態では、複焦点レンズ80が中段レンズ部81、上段レンズ部82及び下段レンズ部83に加えて、左右一対のオーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85から構成されている。
【0061】
一方のオーバヘッドサイン配光用レンズ部84は上段レンズ部82の左上に設けられ、他方のオーバヘッドサイン配光用レンズ部85は上段レンズ部82の右上に設けられている。オーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85が非球面凸レンズにより構成され、オーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85の焦点F4,F5がオーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85の後方に設定されている。オーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85の焦点距離が中段レンズ部81及び上段レンズ部82の焦点距離よりも短い。そのため、オーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85の焦点F4,F5が中段レンズ部81の焦点F1及び上段レンズ部82の焦点F2よりも前に位置している。鉛直方向に見て、左のオーバヘッドサイン配光用レンズ部84の焦点F4が光軸Axから左にずれて配置され、右のオーバヘッドサイン配光用レンズ部85の焦点F5が光軸Axから右にずれて配置されている。また、水平方向に見て、オーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85の焦点F4,F5は、光軸Axから上にずれて配置されているとともに、中段レンズ部81の焦点F1及び上段レンズ部82の焦点F2よりも上に位置している。
【0062】
この第2実施形態では、前照灯1Aが左右一対の第三の楕円面系リフレクタ140,150を更に有する。第三の楕円面系リフレクタ140,150は複焦点レンズ80の後であって第一の楕円面系リフレクタ30の前に配置されている。一方の第三の楕円面系リフレクタ140は第一の発光素子10の左上斜め前に配置され、他方の第三の楕円面系リフレクタ150は第一の発光素子10の右上斜め前に配置されている。
【0063】
第三の楕円面系リフレクタ140,150の下側内面が凹面状の第三の楕円面系反射面141,151とされている。第三の楕円面系反射面141,151は、楕円面の形状に形成されている。つまり、左の第三の楕円面系反射面141は、第一の発光素子10から左上斜め前に延びた軸Ax4を回転軸とした回転楕円面又はその回転楕円面を基調とした自由曲面である。また、右の第三の楕円面系反射面151は、第一の発光素子10から右上斜め前に延びた軸を回転軸とした回転楕円面又はその回転楕円面を基調とした自由曲面である。
【0064】
第三の楕円面系リフレクタ140の第一焦点F141が第一の発光素子10又はその近傍に設定され、第三の楕円面系リフレクタ140の第二焦点F142がオーバヘッドサイン配光用レンズ部84の焦点F4又はその近傍に設定されている。第三の楕円面系リフレクタ150の第一焦点が第一の発光素子10又はその近傍に設定され、第三の楕円面系リフレクタ150の第二焦点がオーバヘッドサイン配光用レンズ部85の焦点F5又はその近傍に設定されている。
【0065】
以上に説明したことを除いて、第2実施形態における前照灯1Aと、第1実施形態における前照灯1との間で互いに対応する部分とは、同様に設けられている。
【0066】
この前照灯1Aにおいても、発光素子10,20が選択的に発光する。
第一の発光素子10が発光した場合、図12(a)に示すように、交線Hに沿ったカットオフラインC1を明部L1の上縁に有する配光パターンが形成される。この配光パターンは、第1実施形態と同様に、主に第一の楕円面系反射面31、平面状反射面61及び中段レンズ部81によって形成される。このような配光パターンに加えて、交線Hよりも上に明部L3を有した配光パターンが形成される。この配光パターンは、第三の楕円面系反射面141,151及びオーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85によって形成される。つまり、第一の発光素子10から発して第三の楕円面系反射面141,151によって反射された光が焦点F4,F5に集光され、その光がオーバヘッドサイン配光用レンズ部84,85によって前方に投射されることによって、交線Hよりも上に明部L3が形成される。明部L1は、明部L3よりも明るい。
第二の発光素子20が発光した場合の配光は第1実施形態とほぼ同様であり、その配光パターンが図12(b)に示されている。
【0067】
本実施形態においても、ハイビーム用の配光パターンの形成時には、消費電力を抑えることができる。また、ハイビーム用の配光パターンにおいて、H線近傍が明るくなりすぎてムラが発生することを抑えることができる。更に、上段レンズ部82や下段レンズ部83が対向車に対するグレアの原因にもならない。
【0068】
なお、上記第1、第2の実施形態において、複焦点レンズ80が下段レンズ部83を有さず、且つ、双曲面系リフレクタ50が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 前照灯
10 第一の発光素子
20 第二の発光素子
31 第一の楕円面系反射面
41 第二の楕円面系反射面
51 双曲面系反射面
61 平面状反射面
71 区切り板
75 前縁
80 複焦点レンズ
81 中段レンズ部
82 上段レンズ部
83 下段レンズ部
84、85 オーバヘッド配光用レンズ
141、151 第三の楕円面系反射面
F1、F2、F3、F4、F5 焦点
F31、F41、F141 第一焦点
F32、F42、F152 第二焦点
F51 内側焦点
F52 外側焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びた光軸上に焦点が設定された中段レンズ部と、当該中段レンズ部の上に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも上斜め前に焦点が設定された上段レンズ部と、を有する複焦点レンズと、
前記複焦点レンズの後方において水平面に対して伏せた状態に設けられ、前記中段レンズの焦点又はその近傍に位置する前縁を有する区切り板と、
前記区切り板の前縁よりも後において前記区切り板の上面に搭載され、上向きに配置された第一の発光素子と、
前記区切り板の前縁よりも後において前記区切り板の下面に搭載され、下向きに配置された第二の発光素子と、
前記区切り板の上に設けられ、第一焦点が前記第一の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記中段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第一の楕円面系反射面と、
前記区切り板の下に設けられ、第一焦点が前記第二の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記上段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第二の楕円面系反射面と、を備え、
前記第一の発光素子と前記第二の発光素子が選択的に発光することを特徴とする前照灯。
【請求項2】
前記複焦点レンズが、前記中段レンズ部の下に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも下斜め後に焦点が設定された下段レンズ部を更に有し、
前記前照灯が、前記第二の楕円面系反射面の下斜め前に配置され、内側焦点が前記第二の発光素子又はその近傍に設定され、外側焦点が前記下段レンズ部の焦点又はその近傍に設定された双曲面系反射面を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の前照灯。
【請求項3】
前記複焦点レンズを正面から見て、前記中段レンズ部が占める領域の面積が、前記上段レンズ部が占める領域の面積と前記下段レンズ部が占める領域の面積との和に略等しいことを特徴とする請求項2に記載の前照灯。
【請求項4】
前記区切り板の上面の前縁と前記第一の発光素子との間に形成され、水平面に対して平行に設けられた平面状反射面を更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の前照灯。
【請求項5】
前記複焦点レンズが、前記上段レンズ部の左上又は右上に設けられ、前記上段レンズ部の焦点よりも上且つ前に焦点が設定されたオーバヘッドサイン配光用レンズ部を更に有し、
前記前照灯が、前記第一の楕円面系反射面の上斜め前に配置され、第一焦点が前記第一の発光素子又はその近傍に設定され、第二焦点が前記オーバヘッドサイン配光用レンズ部の焦点又はその近傍に設定された第三の楕円面系反射面を更に備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の前照灯。
【請求項6】
前記第一の発光素子が鉛直方向に対して後に0〜20°傾いた状態で上に向いていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の前照灯。
【請求項7】
前記第二の発光素子が鉛直方向に対して前に10〜20°傾いた状態で下に向いていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の前照灯。
【請求項8】
前後方向に延びた光軸上に焦点が設定された中段レンズ部と、
当該中段レンズ部の上に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも上斜め前に焦点が設定された上段レンズ部と、を備えることを特徴とする複焦点レンズ。
【請求項9】
前記中段レンズ部の下に設けられ、前記中段レンズ部の焦点よりも下斜め後に焦点が設定された下段レンズ部を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の複焦点レンズ。
【請求項10】
前記上段レンズ部の左上又は右上に設けられ、前記上段レンズ部の焦点よりも上且つ前に焦点が設定されたオーバヘッドサイン配光用レンズ部を更に備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の複焦点レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−175818(P2011−175818A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38250(P2010−38250)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】