説明

剛性バイアルと内側の撓み嚢体を備える流体ディスペンサ

眼科用ディスペンサは、流体受容チャンバを画定する剛性ハウジングと、流体受容チャンバ内に設置可能な撓み嚢体と、流体受容チャンバと液体連通して連結されるポンプと、環状の、軸方向に延びる弁座を画定する弁、弁座とポンプの間に流体連通して連結される排出口、弁座周辺に延び、その間に環状の、軸方向に延びる接触面を形成する撓み性の弁覆いを有するノズルとを備える。弁の接触面は、排出口と流体連通して接続可能であり、弁覆いの少なくとも一部は、(i)弁覆いが弁座と係合して接触面を閉じ、その間に流体密封止部を形成する、通常は閉じた位置と、(ii)圧送された液体が弁開放のための圧力より大きな圧力で排出口から流れたことに応答して弁覆いの少なくとも一部が弁座から離れ、その間を加圧された液体が流れる開いた位置との間で移動可能である。スプリングがハウジングに駆動可能に接続され、ポンプかハウジングの少なくとも一方をもう一方に関して移動させ、ポンプを作動させる。剛性ハウジングは、カートリッジ内に設置可能であり、カートリッジは、瞼押さえと、瞼押さえとポンプを同時に作動させるトリガを有するディスペンサのハウジングの中に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体その他の物質を保管し、供給するためのディスペンサとその方法および、たとえば、剛性バイアルと、剛性バイアル内に設置された撓み嚢体を有し、撓み嚢体と剛性バイアルとの間に流体その他の物質を受け入れるためのチャンバが画定され、また、チャンバと流体連通して連結される、流体その他の物質をそこから供給するためのノズルとポンプのアセンブリを備えるディスペンサをはじめとするディスペンサを製造、頒布または販売する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願は、2001年10月23日出願の「剛性バイアルと撓み性の内部嚢体を備える流体ディスペンサ」と題する米国特許出願第10/001,745号の一部継続出願であり、第10/001,745号は2000年10月23日出願の同様の題名の米国仮出願第60/242,595号および2000年10月24日出願の米国仮出願第60/242,974号の利益を主張しており、これら仮出願の各々は引用により本願の一部として明確に援用される。本特許出願はまた、2003年1月28日出願の「剛性バイアルと撓み性の内側嚢体を備える流体ディスペンサ」と題する米国仮出願第60/443,524号および2002年10月21日出願の同様の題名の米国特許仮出願第60/420,334号の利益を主張し、これら仮出願の各々は引用により本願の一部として明確に援用される。
【0003】
一般的な流体ディスペンサは、内部に供給されるべき流体を受容するためのチャンバを有するコンテナと、コンテナに設置されたノズルとポンプのアセンブリと、ノズルから下方に向かってチャンバへと延びる、それを通じて液体をチャンバの底部からディスペンサの外へと圧送するための落とし込みチューブとを備える。その他の周知のディスペンサは、バイアルとバイアルの中に設置される撓み嚢体を有する。たとえば、Fuchsの米国特許第6,062,430号では、図1において、やわらかい弾性プラスチックで形成された壁の薄い中空の本体を持つボトル型容器2と、容器本体2の中に囲み込まれたリンクルフィルムで形成された受容コンテナ15を備える、容量可変補償機能付供給コンテナが示されている。
【0004】
一般的な先行技術による流体ディスペンサに見られる欠点のひとつは、流体チャンバが、ディスペンサの保管、貯蔵または使用期間終了まで実質的な無気状態に保持されないことである。たとえば、一般的な先行技術によるディスペンサで用いられているノズルやバルブは、ディスペンサを気密状態に保てないことが多い。このようなノズルやバルブの場合、空気その他の気体がこれらを通過して、流体チャンバの中に保持されている薬剤その他の物質に触れてしまう。さらに、このようなノズルやバルブでは、ディスペンサの保管、貯蔵または使用中のいずれかにそこから蒸発による損失が発生するということが頻繁に見られる。
【0005】
先行技術によるディスペンサの別の欠点は、構成材料のクリープが発生し、それによってディスペンサ内に形成される封止部から漏れが生じることである。多くの薬剤が保管施設または店舗の商品棚に少なくとも数ヶ月、場合によっては何ヶ月も保管される。輸送中や保管中、ディスペンサは気温、気圧、湿度の大幅な変動を伴う大気状況の変化を受ける。その結果、ディスペンサにはしばしば、実質的な熱膨張や収縮の変化が発生し、これが構成材料のクリープの原因となる。上記のような先行技術によるディスペンサの封止部その他のコンポーネントは、このようなクリープに対応するよう設計されていないため、長期間保管し、または大気状態の変化を受けると、ディスペンサからは漏れあるいは空気の侵入または蒸発による損失が起こる。たとえば、ポリエチレン製ディスペンサの中には、保管中に内容物が重量で約10%から約25%失われることがわかっているものがある。このような重量の損失は、薬剤その他の流体を収容するチャンバからディスペンサのポリエチレンの壁を通して蒸発損失が発生すること、または封止部その他、コンテナの構造的接合部分の漏れによるものと考えられる。蒸発による損失は通常、チャンバへの空気の侵入によって埋め合わされる。蒸発損失または空気の侵入は、医薬品やワクチン等の薬剤の入ったディスペンサの場合、コンテナから供給される薬剤の所定の投与量がその都度希薄化する傾向があり、またディスペンサから供給される製剤の濃度が毎回違ってしまうため、特に問題となる。
【0006】
先行技術によるディスペンサの別の不利な点は、中に収容される薬剤その他の物質を気密状態に確実に保持することができないため、薬剤等を何度も投与する場合や防腐剤の入っていない製剤のいずれにも使用できないことである。1回分のディスペンサでは複数回用のディスペンサの場合より実質的に高コストとなりうる。さらに、医薬品やワクチンのような多くの薬剤に使用されている防腐剤が、患者への副作用の原因となり、あるいは患者に対する薬剤の効果を低下することもある。
【0007】
先行技術のディスペンサの他の欠点として、この種のディスペンサに特有のアレージ、つまり「デッドスペース」によって沈殿物が生じる。このようなディスペンサに収容される薬剤その他の製剤の多くが懸濁液である。先行技術によるディスペンサのアレージ、つまりデッドスペースにより、懸濁液の溶質その他の固形成分がその中に沈殿物を形成する。こうした懸濁液の沈降は、ディスペンサに入っている薬剤その他の物質を希釈し、それによって患者への毎回の投与における薬剤または薬剤の濃度が変化してしまう。
【0008】
多くの先行技術によるディスペンサに伴う別の欠点は、直立させた状態、またはその他のある一定の向きでしか、その中に入っている薬剤その他の物質を供給できない点である。この欠点のために、この種のディスペンサは、逆さ、またはその他の向きにすると有効に使用できない。それに加え、これらのディスペンサはその中の薬剤その他の物質を無気状態に保てないことから、宇宙空間等、低重力環境では使用できない。
【0009】
流体(その他の物質)を保管、供給するためのディスペンサは、さまざまな用途に使用される。その中の一例は眼科治療である。実際に、多くのディスペンサが眼に点眼薬を供給するために開発されている。このようなディスペンサの一部は、バイアルの側壁を圧迫すると薬剤を供給する撓み性のバイアルを備える。この種のディスペンサは一般に、「点眼薬容器」と呼ばれる。これほど一般的ではないが、ポンプ型の供給システムを有するディスペンサもある。
【0010】
正しく点眼する上で、さまざまな問題が発生しうる。たとえば、多くの人々にとって、眼に小滴を入れることは難しい。眼は非常に敏感な体の部位であり、人は、眼に水滴状のものを入れる時の反射的な瞬きを制御するのを難しいと感じる。また、眼の上方に点眼薬のボトルの先端をうまく位置づけられない使用者がいれば、ボトルをしっかりと保持しにくい、あるいは正しい量を点眼するためにボトルを圧迫するのが難しい人もいる。さらに、眼の特定の領域に薬剤を供給することが望ましい場合がしばしばある。たとえば、眼薬を眼球の表面につける際、瞬きと自然の涙とが薬剤を払い去り、または希釈してしまうため、薬剤の効果が限定される。その上、薬剤の中には、眼球の角膜領域に直接つけると、「眼の充血」の原因となるものがある。これに対し、薬剤を結膜嚢内まで到達させれば、薬剤は瞬きと涙の影響を受けにくくなり、長時間効果が持続する。
【0011】
上記の問題点のひとつまたはいくつかに対処するための特徴を有するディスペンサもある。このような特徴の例としては、瞼カバー、瞼押さえ、ポンプ型供給システム、トリガ機構等がある。瞼カバーを使用すると、ディスペンサを眼の上部に正しく位置づけやすくなる。瞼押さえは、結膜嚢内を露出しやすくする。ポンプ型供給システムは、薬剤の供給を助ける。トリガ機構により、使用者は供給システムをより便利に作動させることができる。
【0012】
上記のようなディスペンサに伴うひとつの欠点は、そのコストが望まれる以上に高くなることである。さらに、たとえこの種のディスペンサを購入できたとしても、もっと安価なディスペンサにある別の特徴が利用できないこともありうる。その結果、市場のすべての領域に行き渡らせるためには、このようなディスペンサの製造者がもっと安価な製品を提供できることが望ましい。
【0013】
このディスペンサの別の欠点は、上記の特徴を持たないディスペンサよりかさばり、望ましいものより運びにくくなる(たとえば、ポケット、船等で運ぶ場合)。
【0014】
このタイプのディスペンサの他の欠点は、ディスペンサの中に保管できる薬剤(またはその他の流体)の量が制限されることである。ほとんどのものに(すべてではないが)この欠点があるが、空になったときに捨てられないほど高価なディスペンサもある。このようなディスペンサの多くは、使用者がチャンバに容易にアクセスできないため、詰め替えもできない。交換可能なカートリッジを用いるタイプのディスペンサもあるが、これは詰め替えの問題は解決しても、その作動機構は現在求められているものより使いにくい。
【0015】
上記のようなディスペンサの多くに付随する別の欠点は、適正に、こぼさずにチャンバに充填し、蓋をするために、真空ポンプが必要となることである。
【0016】
したがって、本発明の目的は、先行技術の上記の欠点または不利な点のひとつまたは複数を克服することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、流体を供給するディスペンサに関する。本発明のひとつの面によれば、ディスペンサは剛性のハウジングと、ハウジング内に設置され、内部チャンバを画定する撓み嚢体と、撓み嚢体と剛性のケースの間の流体受容チャンバを備える。このディスペンサはさらに、流体受容チャンバ内に、嚢体の中の内部チャンバ内の第二の圧力より大きな第一の圧力を発生させ、流体受容チャンバ内への気体または蒸気の侵入を防止するための手段を備える。本発明の現在選好されている実施形態において、圧力の差を生成する手段は、嚢体を外側に撓ませて膨張状態にするような回復性材料で嚢体を構成し、これによって流体受容チャンバ内に嚢体の内部チャンバ内の第二の圧力より大きな第一の圧力を発生させる。好ましくは、回復性の嚢体は膨張状態に形成され、そのために回復性の嚢体は本来的に膨張状態になろうとする傾向があり、これによって流体受容チャンバと嚢体の内部チャンバとの間に所望の圧力の差が生じる。
【0018】
ディスペンサのひとつの実施形態はさらに、流体受容チャンバと流体連通して連結され、チャンバ内の流体をディスペンサから圧送するポンプと、ポンプと流体連通して連結され、圧送された流体に内部を通過させ、流体が反対側に流れるのを防止する一方向弁を備える。一方向弁は好ましくは、ノズルと、ノズル上に位置する撓み性のカバーで構成され、一方向弁はノズルとカバーの接合面に形成される。
【0019】
本発明の別の面によれば、ディスペンサはさらに、撓み嚢体と剛性バイアルとの間に形成され、流体受容チャンバを密封するための封止材を備える。封止材は、撓み嚢体の外側表面上で半径方向に延びる第一の隆起と、第一の隆起に関して軸方向に間隔を空けて設置され、嚢体の内側表面上で半径方向に内側に延びる第二の隆起を有する。第一と第二の隆起は、撓み嚢体と剛性バイアルとの間の接合面を密封するために、半径方向に圧縮される。好ましくは、第一の隆起は嚢体の外側周辺表面に延びて外側環状封止面を画定し、第二の隆起は嚢体の内側周辺表面に延びて内側環状封止面を画定する。さらに、第一の隆起は、嚢体の材料をほぼ第二の隆起の方向に向かわせ、それによって嚢体の材料にクリープが発生した場合に流体密を保持しやすくする。封止材は、好ましくは、撓み嚢体の開放端に延び、嚢体と剛性バイアルとの接触面をさらに密封するよう軸方向に圧縮される周辺フランジも備える。
【0020】
本発明の別の面によれば、ディスペンサはさらに、剛性バイアルの開放端の中に受けられ、第一と第二の隆起の少なくともいずれか一方と係合し、隆起を半径方向に圧縮して撓み嚢体と剛性バイアルとの間の接合面を密封するための栓を有する。栓はその中に、撓み嚢体の内側チャンバと流体連通する少なくともひとつの開口部を画定する。好ましくは、ディスペンサの双方向弁が撓み嚢体の内側チャンバと栓の開口部の間に流体連通して連結され、双方向弁をはさんだ圧力差が限界値より少ないときに嚢体の内側チャンバと周囲の大気との流体連通が防止されるようにする。双方向弁は、好ましくは、撓み嚢体の内側周辺面から半径方向に内側に延びる撓み性の環状隆起によって形成され、これが栓の環状面と係合し、それによって撓み嚢体と栓の間の接合面を密封する。本発明のひとつの実施形態において、環状隆起は軸方向に対向する表面を画定し、これらの表面は半径方向に内側に細くなり、隆起をはさんだ圧力差が所定の限界値を超えたことに反応して隆起が撓むのを促進する。
【0021】
ディスペンサの撓み嚢体はさらに、開放端と閉鎖端を画定し、圧潰状態と膨張状態との間で変化する。撓み嚢体が圧潰状態から膨張状態へと膨張すると、撓み嚢体と剛性バイアルはその間に環状のギャップを画定する。ひとつの実施形態において、環状のギャップは撓み嚢体の開放端から閉鎖端へ向かって軸方向に幅広となり、嚢体が膨張した時に流体が流体受容チャンバから出やすくなる。好ましくは、撓み嚢体は当初、剛性バイアルと、嚢体の開放端に隣接した部分またはその付近で接触し、その後、膨張するにつれ、撓み嚢体の開放端から閉鎖端に向かって軸方向に徐々に剛性バイアルと係合する。また、ディスペンサのひとつの実施形態によれば、撓み嚢体は膨張状態の外側形状を画定し、剛性バイアルは内側形状を画定し、外側および内側形状は実質的に同じで、撓み嚢体が剛性バイアルと一致して接触し、それらの間の流体受容チャンバの中のデッドスペースがほぼなくなる。
【0022】
本発明の他の面によれば、ディスペンサのポンプは、ピストンと、内部でピストンを滑動可能に受け止めるスライドを備える。ピストンとスライドのうち少なくとも一方は、もう一方に関して往復可能である。さらに、ピストンは比較的硬い材料で構成され、スライドは比較的やわらかい材料で構成され、ピストンにより、ピストンとスライドの少なくとも一方がもう一方に関して移動したときに、スライドの圧縮領域が外側に撓み、それによってピストンとスライドの間の流体密が保たれる。さらに、スライドを比較的撓み性のある材料で形成することで、スライドを、たとえば2つのコンポーネントを単独部品に成形すること等によってノズルと一体形成することができ、この場合、一体化されたノズルとスライドは、その間に圧縮気体を注入することによってコアピンから外すことができる。
【0023】
本発明の別の面によれば、ディスペンサはさらに、撓み嚢体を圧潰させて所定の圧潰状態にするのを制御する手段を備える。本発明のひとつの実施形態において、制御手段は軸方向に内側に向かって撓み嚢体の内側チャンバの中に延び、嚢体が圧潰したときに撓み嚢体と一致して接触する複数の脚を備える。本発明の別の実施形態において、制御手段は、撓み嚢体の中に形成された少なくともひとつの軸方向に細長い表面の切れ目によって画定される。
【0024】
本発明の他の実施形態において、撓み嚢体は、所定の物質を流体受容チャンバ内に導入するために、針または同様の注入部材により貫通することができる。この実施形態では、撓み嚢体は、そこに熱エネルギーが加えられたことに応答して実質的に注入可能となり、流体受容チャンバ内に受容される物質と両立する第一の部分と、第一の部分の上に配置され、そこに熱エネルギーが加えられたことに応答して注入可能となる第二の部分を備えてもよい。このように、第二の部分により、撓み嚢体と流体受容チャンバの間の針またはこれに類する注入部材により貫通される部分に実質的な流体密封止部が形成される。本発明のひとつの実施形態において、第二の部分は熱可塑性またはゴム状材料のいずれかで形成され、嚢体は、その第一の部分を含め、硫化ゴムで形成される。あるいは、撓み嚢体の貫通部分全体を熱による再封可能な熱可塑性材料で形成し、所定の波長と強さのレーザ光線をそこに照射することによって針またはその他の注入部材で形成される穴を密閉することができるようにする。
【0025】
本発明の他の面によれば、流体を保管、供給するディスペンサは、ハウジングとハウジングに連結された第一のアクチュエータと自容型カートリッジを備える。自容型カートリッジは、バイアルを備え、バイアルは内部に画定された内部流体受容チャンバを有し、流体受容チャンバと流体連通し、そこに受容される流体をディスペンサから圧送するためのポンプと、ポンプと流体連通して配置され、圧送された流体にその中を通過させるノズルと、ノズル、ポンプ、バイアルをこの順序で、縦軸に沿ってディスペンサの後端に向かう方向に配置した状態で保持するケースとを備える。ケースは、ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を持ち、第二のアクチュエータがケースに連結され、第一のアクチュエータに応答する。第二のアクチュエータは、少なくとも一部がケースの外側に配置され、少なくとも一部がケースの内側に位置し、ポンプとバイアルのうちの少なくとも一方に機能的に連結する。アクチュエータの作動の第一段階で、ポンプとバイアルのうちの少なくとも一方が縦軸に沿ってもう一方に向かう方向に移動し、アクチュエータによる作動の第二段階で、ポンプとバイアルのうちの少なくとも一方は、もう一方から遠ざかる方向に移動する。
【0026】
本発明の別の面によれば、次のステップを含む方法が実現できる。流体を保管し、供給するための複数のカートリッジを提供するステップと、複数のカートリッジは相互に実質的に同一であり、それぞれバイアルとポンプとノズルを備え、バイアルは内側に内部流体受容チャンバを持ち、ポンプは流体受容チャンバと流体連通し、その中の流体をディスペンサから圧送し、ノズルはポンプと流体連通して配置され、圧送された流体がその中を通過でき、カートリッジはさらに、ノズル、ポンプ、バイアルを、この順序で、縦軸に沿ってカートリッジの後端に向かう方向に配置した状態で保持するケースを有し、アクチュエータがポンプに機能的に連結されており、複数のカートリッジのうちの少なくとも一方をディスペンサ内に取り付け、アクチュエータをカートリッジに機能的に連結させるステップと、アクチュエータの作動が供給を開始し、カートリッジのうちの少なくともひとつを使って、カートリッジをディスペンサ内に取り付けてアクチュエータをカートリッジに機能的に連結させることなく流体を供給するステップとである。
【0027】
本発明の他の面によれば、次のステップを含む方法が実現できる。流体を保管し、供給するための複数のカートリッジを提供するステップと、複数のカートリッジ相互に実質的に同一であり、それぞれバイアルとポンプとノズルを備え、バイアルは内側に内部流体受容チャンバを持ち、ポンプは流体受容チャンバと流体連通し、その中の流体をディスペンサから圧送し、ノズルはポンプと流体連通して配置され、圧送された流体がその中を通過し、カートリッジはさらに、ノズル、ポンプ、バイアルを、この順序で、縦軸に沿ってカートリッジの後端に向かう方向に配置した状態で保持し、アクチュエータがポンプに機能的に連結されており、カートリッジを受け、動作させるよう調整された複数のディスペンサを設置するステップと、複数のカートリッジは相互に実質的に同一で、独立したユニットとして、またはディスペンサの中で動作することができ、カートリッジの少なくともひとつをディスペンサの少なくともひとつと一緒に販売するステップと、少なくともひとつのカートリッジをディスペンサなしで販売するステップとである。
【0028】
本発明の別の面によれば、流体を供給するためのディスペンサは、次のものからなる。自容型の交換可能なカートリッジ。カートリッジは、内側に画定される内部流体受容チャンバを持つバイアルを有する後方部分と、流体受容チャンバと流体連通し、その中の流体をディスペンサから圧送するポンプと、ポンプと流体連通して配置され、圧送された流体がその中を通過できるようにするノズルと、ノズル、ポンプ、後方部分を、この順序で、縦軸に沿ってディスペンサの後端に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、ポンプは後方部分の少なくとも一部に機能的に連結され、縦軸に沿って、その軸上の後方部分の前記部分の運動に合わせて移動し、ケースはノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、後方部分の少なくとも一部に機能的に連結されたアクチュエータとを備え、作動の第一段階で、アクチュエータは後方部分の少なくとも一部を縦軸に沿って、ケースの後端に向かう方向に移動させ、それによってポンプを同じ方向に動かし、作動の第二段階で、後方部分は縦軸に沿って、ケースの前端に向かう方向に移動し、それによってポンプをケースの前端に向かう方向に移動させる。
【0029】
本発明のさらに別の面によれば、流体を供給するためのディスペンサは、次のものからなる。カートリッジ。カートリッジは、内側に画定される内部流体受容チャンバを有するバイアルと、流体受容チャンバと流体連通し、その中の流体をディスペンサから圧送するポンプと、ポンプと流体連通して配置され、圧送された流体がその中を通過するノズルと、内側に画定される内部流体受容チャンバの後方に配置されるスプリング部と、ノズル、ポンプ、バイアルを、この順序で、縦軸に沿ってディスペンサの後端に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、ケースはノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、ポンプに機能的に連結されるアクチュエータとを備え、作動の第一段階で、アクチュエータはポンプを長さ軸に沿ってケースの後端に向かう方向に移動させ、これによって内部流体受容チャンバに力を加えてスプリングを圧縮し、作動の第二段階で、圧縮されたスプリングがポンプをケースの後端に向かう方向に移動させるのを助ける力を加える。
【0030】
本発明の他の面によれば、流体を供給するためのディスペンサは次のものからなる。自容型のカートリッジ。カートリッジは、内側に画定される内部流体受容チャンバを有するバイアルと、流体受容チャンバと流体連通し、その中の流体をディスペンサから圧送するポンプと、ポンプと流体連通して配置され、圧送された流体がその中を通過するノズルと、内側に画定される内部流体受容チャンバの後方に配置されるスプリング部と、ノズル、ポンプ、バイアルを、この順序で、縦軸に沿ってディスペンサの後端に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、ケースはノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、第一の端部と第二の端部を有するアクチュエータと、第一の端部はケース上に枢支され、第二の端部はポンプに機能的に連結され、アクチュエータはさらに、第一の端部と第二の端部の間に設置された枢動部を有する。
【0031】
本発明の現在選好されている実施形態のひとつの利点は、流体受容チャンバおよび嚢体の内部チャンバと大気との圧力差によって、ガスその他の気体または蒸気が撓み嚢体から、あるいはその他の部分から流体受容チャンバ内に侵入するのが実質的に防止されることである。その結果、本発明によるディスペンサは、その中に入っている薬剤その他の物質を、十分な期間の保管、貯蔵または使用中ずっと無気状態に保持することができる。したがって、本発明のディスペンサは、無気状態で保管することが必要な、保存料の入っていない薬剤その他の物質を複数回分供給する場合に特に適している。
【0032】
本発明の現在選好されている実施形態の別の利点は、撓み嚢体と剛性バイアルとの間に形成される封止部が、撓み嚢体の材料を半径方向および軸方向に向かわせ、ディスペンサの保管または貯蔵中に材料のクリープが発生したとしても、流体密を保つ点である。これに加え、本発明の好ましい実施形態において使用されている一方向弁が、ディスペンサの保管、貯蔵または使用中ずっと、流体受容チャンバをさらに密閉状態に保つ。
【0033】
本発明のディスペンサのさらに別の利点は、薬剤その他の物質が流体受容チャンバ内で無気状態に保たれるため、ディスペンサは事実上、どの向きでも使用でき、さらには、低重力環境でも使用できる点である。
【0034】
本発明のディスペンサのまた別の利点は、撓み嚢体が剛性バイアルの内側形状に実質的に合致する外側形状を画定することである。その結果、撓み嚢体は膨張して、これら2つの部分の間の接合面全体で剛性バイアルと接触するため、これによって流体受容チャンバ内のデッドスペースが排除される。
【0035】
本発明の現在選好されている実施形態の他の利点は、撓み嚢体の内部チャンバと大気との間で流体連通して接続される双方向弁が、弁をはさんだ圧力の差が所定のレベルより小さいかぎり、嚢体の内部チャンバと大気の間の気体または蒸気の交換をすべて防止することである。この結果、双方向弁が撓み嚢体の内側チャンバ内に比較的安定したマイクロアトモスファ(micro-atmosphere)を形成し、内部チャンバを大気中の圧力または湿度の変化から絶縁し、これによってさらに流体受容チャンバへの気体または蒸気の侵入が防止される。
【0036】
本発明の現在選好されている実施形態のひとつの利点は、交換可能なカートリッジにより、ディスペンサを再充填のために工場に返す必要がなくなることである。ディスペンサは、新しいカートリッジを取り付けることで再充填できる。さらに、カートリッジは独自のアクチュエータを備え、このアクチュエータはディスペンサのアクチュエータに連結されており、ディスペンサの作動は先行技術によるカートリッジ式ディスペンサと比較して改良され、現在望まれる便利さのレベルを満たしている。
【0037】
本発明の現在選好されている実施形態の別の利点は、カートリッジ上にアクチュエータがあることで、カートリッジをディスペンサとして使用できることである。
【0038】
本発明の現在選好されている実施形態の他の利点は、カートリッジをディスペンサとして使用できるため、製造者はカートリッジを単体で販売し、ディスペンサを購入する余裕または意思のない市場領域にも行き渡らせることができる点である。
【0039】
本発明の現在選好されている実施形態の別の利点は、販売業者がカートリッジとディスペンサを保管し、ディスペンサ用としてカートリッジを(ディスペンサと一緒か否かを問わず)販売し、カートリッジを単体で販売して、ディスペンサを購入する余裕または意思のない市場領域に行き渡らせることができる点である。
【0040】
本発明の現在選好されている実施形態の他の利点は、カートリッジがディスペンサよりかさばらないため、持ち運びにより好都合である(たとえば、ポケット、船その他で運ぶ場合)点である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態のひとつの利点は、アクチュエータが複数の枢動点を有するため、従来のディスペンサより使いやすい点である。
【0042】
本発明のある面によるいくつかの実施形態のひとつの利点は、こぼさずにチャンバに充填し、蓋をするために、真空ポンプが不要な点である。
【0043】
本発明の各種の好ましい実施形態のその他の目的と利点は、以下の詳細な説明と添付の図面から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図1において、本発明により、全体として10で表されるディスペンサに関連して使用できる眼科治療装置8が示されている。図1、図1Aに見られるように、治療装置8は、一般に断面がU字型のハウジング12を有し、内部空洞14とアイカバー16を画定する。トリガ18は、一方の端部20でヒンジ22によってハウジング12に枢支され、反対の端部でスロット25を画定するアーム部24を有する。図1Aに見られるように、ホイール27のピン26はスロット25の中に固定され、ホイール27はハウジング12の内壁に回転可能に設置されている。図1でもっともよく見ることができるが、トリガ18は細長く、たとえば患者の手等に快適にフィットする指用の溝(フィンガーグルーブ: finger groove)28を有する。ほぼL字型のスプリングアーム30が、ハウジング12の内壁から内側に突出するポスト29の一方の端部に固定され、スプリングアームは、トリガ18の内側表面に係合するニー、つまり屈曲部31(仮想線で示す)を画定し、自由端32はディスペンサ10の一方の端部に形成されたリム34と係合する。瞼押さえ36は、ヒンジ38によって、アイカバー16に隣接するハウジング12の端部に枢支され、トリガ18を作動すると、瞼押さえを枢動させるためのホイール27に固定されたフック40を有する。
【0045】
使用時に、アイカバー16は、瞼押さえ36を結膜嚢内付近の組織に当てた状態で、目の周辺組織の付近に設置される。トリガ18を圧迫すると、瞼押さえ36が矢印41の方向に回転し、これが眼の付近の組織を移動させて眼の結膜嚢内を露出させる。瞼押さえ36の回転はホイール27によって起こされ、これがディスペンサ10の隣接端に形成されるノズル42のカバーも開ける。同時に、スプリングアーム30は、ディスペンサ10のリム34を固定ノズル42から遠ざけ、このことによってディスペンサのポンプが準備される。これについて詳しく後述する。トリガ18を圧迫し、これに対応してハウジング12の中のディスペンサ10を伸ばすと、スプリングアーム30の自由端32が最終的にディスペンサのリム34から外れ、伸びたディスペンサがスプリングアームから解放される。その結果、後述するように、ノズル42の弾力性、つまりばねのような性質により、伸びたディスペンサが引き戻り、つまりノズルの方向に戻り、所定の量の薬剤(またはその他の物質)がノズルから使用者の眼の結膜嚢内へと放出される。その後、使用者が眼科治療装置8を眼からはずし、トリガ18を放すと、スプリングアーム30は、図1に示す当初の、つまり休止位置に自動的に戻り、自由端32はリム34と係合する。スプリングアーム30が元の位置に戻る際に発する力により、ホイール27も矢印41と反対の方向に回転させられ、これによって、図のように、瞼押さえ36が元の位置に戻る。このとき、眼科治療装置は、その中に入っている薬剤その他の流体を再び所定の量だけ供給する準備ができた状態にある。
【0046】
ディスペンサ10を使用できる眼科治療装置の別の例が、米国特許第4,981,479号と第6,033,384号に記載されている。これらは本発明の譲受人に譲渡されており、引用をもって本願の一部に援用する。したがって、本願での教示に基づいて当該分野の通常の熟練者であればわかるように、本発明のディスペンサは、多数の各種装置またはシステムにおいて使用して、鼻吸入器等、中に含まれる薬剤その他の流体、液体その他の物質を保持、供給しやすくすることができる。
【0047】
次に、図2、図3を見ると、ディスペンサ10の一部断面図が示され、その内部コンポーネントが見える。ディスペンサ10は、外側形状が一般に円筒形で、ポンプアセンブリ50と、一般に剛性バイアル52と、バイアルの流体用メインチャンバ55内に配置された撓み嚢体とを備える。ポンプアセンブリ50は、流体チャンバ55内に含まれる薬剤その他の物質を所定の投与量だけ排出するためのピストン56と、内部でピストンを滑動可能に受け、その間に所定の量の投与分を入れるチャンバを画定するスライドまたは本体60と、ポンプカバー62とを備え、ポンプカバー62は供給用先端とばね状のベローの位置において、ノズル58とともに、ピストンまたはノズルの一方をもう一方に向かって移動させ、ノズルから薬剤その他の物質の1回分の投与量を排出させ、所定の量が放出されると、ピストンまたはノズルの一方をもう一方から遠ざける一方向弁を形成する。ノズル58は、ディスペンサの供給用先端を密閉し、また、圧送された薬剤その他の物質をそこから排出する。
【0048】
図4を見ると、ピストン56はプラスチック物質等の耐久性を持ち、成形可能な材料で構成することができ、好ましくは、材料は薬剤に関連した使用に適したものとする。適当な材料は、低濃度ポリエチレンである。ピストン56は、ベース部64と、ベース部64から延びる延長部66と、流体用メインチャンバ55と流体連通する中央穴68とを有する。ベース部64は一般に、外側形状がディスク状で、接続フランジ70と、環状取り付け部72と、第一の環状溝74と、第一の環状溝に関して内側に間隔を空けて設置され、中央穴68の取入口端部を囲む第二の環状溝76とを有する。接続フランジ70は、たとえばスナップロック形式等により、相応の寸法とされている取り付けフランジ78を画定するバイアル52(図2)と係合するよう構成されている。図2に示されるように、取り付け部72と第一の環状溝74は、それぞれ、撓み性材料で構成された(詳しく後述する)ポンプカバー62の環状フランジ80とリブ82を受け、バイアル52の流体用メインチャンバ55を密閉する。さらに図2に示されるように、ピストン56がバイアル52に組み込まれると、第二の環状溝76は流体用メインチャンバ55に隣接する。第二の環状溝76はこれによって、流体用メインチャンバ内に不用意に入り込む気泡を受けるための捕捉領域として機能し、気泡が中央穴68の中に入り込むのを防止する。
【0049】
図4において最もよく示されているように、延長部66は、環状溝84と、横方向に延びる穴86と、受容部88を画定する終端を有する。環状溝84は、スライド60と接触するピストンを密封するための、Oリングのような封止材90(図2)を受けるよう構成されている。横方向に延びる穴86は、中央穴68と流体連通し、その端部はスライド60(図3)の環状内側表面92の付近に位置する。図4に示されるように、受容部88は、環状壁94と、環状壁94と穴86との間に延びる先細部95と、ノズル58の運動を止めるためのピストン面96とを備え、この様子は図5、図6に関連して後に詳述する。環状壁94は、ピストンの端部に向かって外側の直径が増大し、スライド60の環状内側表面92と滑動可能に係合する。この様子は、図7に関連して後に詳述する。
【0050】
図3に示すように、ピストン56はさらに、一般に対称的に配置された2個のフック部97を有し、フック部97の各々は、ピストン56の外側表面101とともに個別スロット99を画定する。図7に関連して詳しく後述するように、スライド60はスロット99内に往復可能に設置され、ポンプを作動させると、ピストンがスライド内で相対的に移動する。
【0051】
次に、図5、図6において、ノズル58は、たとえばプラスチック材料等の、適当に耐久性があり、成形可能な、幾分撓み性のある材料で(ノズルと本体が単体として製作される形状に)構成され、現在は、薬剤と両立することがわかっている材料で形成されており、その材料の例としては、どちらもマサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric Companyが所有するVELEXとLEXANの商標で販売されているものが挙げられる。ノズル58は、好ましくは単体として成形され、先端を切った円錐形の本体部分98と、円錐部と同軸上に位置し、そこから半径方向に延びるディスク部100とを備える。円錐部98とディスク部100は、一体にも個別にも成形できることがわかる。円錐部98は、先細の外側表面102と、途中までの中央穴104と、係合部106とを有する。途中までの中央穴104は、先細の外側表面102が矢印110の方向に撓むことができるような寸法と形状とされたレバーウォール108で終わる。係合部106は、図4に関して前述したように、ピストン56の受容部88と結合するよう構成され、表面112で終わる、先端を切った円錐形である。図2、図3に示すように、ピストン56が所定量を供給したところでそのストロークの終端に到達すると、ノズルの係合面112は案内壁94の中で受けられ、ピストン表面96と係合し、それ以上移動しない。ノズル58の係合面112とピストン56のピストン表面96との間に、可変1回排出量保持部113が画定されることがわかる。図3に示すように、最大の1回排出量は、係合表面112をピストン表面96から最大に離した距離で画定される。
【0052】
図6に示すように、ディスク部100は、ノズル58をポンプカバー62とスライド60(図2、図3)に固定するための環状取り付け部114を備え、また、流体その他の物質を通過させるためのスロット116を備える。取り付け部114は、環状の肥厚部118と、一対の環状溝122,124の間にあるネック部120を有する。図2、図3に示すように、環状溝122は、ポンプカバー62(図8)のリブ126と係合するよう構成され、環状スロット124は、スライド60の相応の形状の末端部128(図7)と係合するよう構成されている。図6に示すように、環状溝124は、たとえばスライド60をノズル58に組み込みやすくするために使用される環状の隙間130を画定する。スロット116は先細の外側表面102の平坦部分132の付近に位置し、これによって可変1回排出量保持部113からディスク100を通過して先細の外側表面に至る流体連通が実現する。
【0053】
図7に示すように、スライド60は管状本体を画定し、ノズル58(図5、図6)について上述したものと同様の物質で構成できる。前述のように、また図2も参照すると、スライド60は環状内側表面92を有し、ディスペンサ10を組み立てると、ピストン56とノズル58の係合部106は環状内側表面92に位置する。内側表面92は穴134を画定し、小径のネック部136が、直径が比較的急速に増大する第一の移行領域138と、直径が比較的緩慢に増加する第二の移行領域140との間に位置する。図2を見ると、ノズル58とスライド60がピストン56から遠ざかるように相対的に移動する間、ピストンの環状壁94(図4)が第二の移行領域140(図7)と密閉して係合し、可変1回排出量保持部113の中にある液体がノズル先端のスロット116の中に押し込まれることが理解できる。
【0054】
図7を参照すると、また図5、図6について前述したように、スライド60は、ノズル58の隙間130と係合するように構成された環状ねじ山142を備える終端128を画定する。図3に示すように、スライド60の反対側の端部は、ピストン56のフック部97と係合ように構成されるフランジ144を画定する。
【0055】
図8は、撓み性のポンプカバー62の断面図である。撓み性のポンプカバー62は、たとえばゴム状材料等、耐久性、弾性、撓み性を持つどのような材料でも構成できる。好ましくは、ポンプカバー62はイリノイ州のGLSによってKRATONの商標で販売されているスチレンブタジエンエラストマー等の熱弾性材料で構成する。その他の適当な材料としては、ポリ塩化ビニル、SantopreneTM、ブチルゴムが挙げられる。ポンプカバー62は、取り付け部146と、ベロー部148と、図5に関連して後述するように、スロット116(図6)と協働して弾力弁を提供するノズルカバー150とを備える。図4に関連して前述したように、取り付け部146は、バイアル52の取り付けフランジ78(図2)の付近の取り付け溝72の中に納まる環状フランジ80を有する。図8に示すように、リブ82は、その断面において、ピストンの環状溝74(図4)の形状に対応する、先端が切り取られた円錐形である。ポンプカバー62の材料の弾力性により、環状フランジ80は、バイアル52とピストン56と回復性をもってフィットし、それによってリブ82とともに流体用メインチャンバ55(図2)を密閉するように、若干大きなサイズとすることができる。
【0056】
ベロー部148は、取り付け部140とノズルカバー150の間に延び、複数の蛇行する、または反対側に湾曲する部分152を有し、蛇行部分152は中心軸154にほぼ平行な方向への回復力と、ピストンまたはノズルのいずれかをもう一方から遠ざけ、チャンバ55内の薬剤その他の物質を所定の量だけ供給したところで、そのストロークの最上部までピストンを戻すのに十分なばね状の力を提供するよう機能する。図2、図6も参照すると、ノズルカバー150は、取り付け時に、回復性をもってノズル58とスライド60に係合する寸法と構成であり、ディスク係合部156から軸方向に延びる環状リブ126を有する。ディスク係合部156は、スライド係合部158とノズル本体係合部160の間に設置される。図6も参照すると、ノズル本体係合部160は、ノズル58の先細の外側表面102と係合し、これによってその間に通常は閉じている一方向弁を形成するよう構成されている。図8に見られるように、ノズル係合部160の断面の厚さは、ディスク係合部156から軸方向に、供給用先端161に向かって徐々に減少する。ノズル係合部160の断面厚さが徐々に減少することにより、カバーの比較的撓み性のノズル係合部160とノズル本体の先細表面102の間の長い、環状の接合面によって形成される一方向弁を通じて薬剤その他の物質が放出されやすくなると同時に、空気その他の気体が弁から反対側に通過するのを防止する。これは、引用をもって本願に援用する下記の特許の教示による。
【0057】
図6に示すように、円錐部98は先細の外側表面、つまり弁座102を画定する。ノズルカバー150と弁座102の間の締まり嵌め(インターフェアランスフィット: interference fit)は、通常は閉じている弁を形成し、ディスペンサの中にある物質の1回分の投与量が供給されるまで、開口部またはスロット116を密閉する。図のように、ノズルカバー150の弁座102と接する部分は、好ましくは、厚さが弁座のベース部付近で大きく、徐々に減少し、弁座の端部付近でより薄くなるよう先細とし、こうすることによって弁が開きやすく、その中を物質が流れやすくなる。さらに、弁座102、ノズルカバー150およびその間に形成される環状弁開口部の各々の軸方向の長さは、弁の開口部を通じて物質を供給する際、弁覆いの環状セグメントを常に弁座と接触した状態に保つのに十分なものとする。図に見られるように、ノズルカバー150は内部に穴を画定し、弁座102がこの穴の中で受け止められ、弁座と弁覆いの間の接合面に通常は閉じている環状弁が形成され、弁座の直径(または幅)はカバーの穴の直径(または幅)より大きく、これによってその間に締まり嵌めと通常は閉じている弁開口部が形成される。好ましくは、弁覆いの穴と弁座の間の締まりの度合いは弁座の軸方向に、ディスペンサの内側から外側に減少し、その中を物質が流れやすくなるようにする。
【0058】
当業者であれば本願の教示に基づいて理解できるように、本発明のディスペンサの一方向弁は、本願で説明した弁の機能を果たすものとして現在知られている、あるいは今後知られる各種の形状をとることができ、たとえば、2002年8月13日出願の同時係属出願第60/403,484号、2002年10月16日出願の第10/272,577号および2003年8月13日出願の第10/640,500号で開示される一方向弁の構成のいずれでもよく、これらの出願は引用をもって本願の一部として援用される。
【0059】
動作において、図1、図1Aに関して前述したように、バイアル52が軸方向に移動すると、たとえば、図1のトリガ28またはその他のアクチュエータの作動によってピストン56が図2に示される位置から図3に示される位置まで(またはその逆に)移動し、それにより、流体がピストンの中央穴68と横方向に延びる穴86を通って流体用メインチャンバ55から可変1回排出量保持部113の中に引き込まれる。次に、図6、図8も参照すると、ピストン56がノズル58の方向に(またはその逆に)移動すると、流体はスロット116(図6)から、先細表面102とノズル本体係合部160との間では平坦表面132に沿って、その後ノズル先端の外側に注入される。さらに、本発明の実践において使用されるポンプアセンブリの詳細は、本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許第5,944,702号、第5,875,931号、第5,746,728号に記載されており、これらの特許は引用をもって本願の一部に援用される。
【0060】
図の実施形態によるポンプ形状の利点は、図6の流体の流路を示す矢印によって示されるように、圧送された流体は、可変1回排出量保持部113から軸154に平行な方向に延びるほぼ直線の通路に沿い、スロット116から係合部106の先細表面の上を通り、カバーのノズル係合部160とノズル本体の先細の外側表面132,102との接合面によって形成される一方向弁の間を流れる。この比較的まっすぐで滑らかな流体の流路により、圧送された流体は比較的小さなヘッドロスでノズルを通過し、流体を供給するのに必要な力が小さくてすみ、それ以外にも、水滴の大きさ、流速、噴霧小滴の大きさ、噴霧パターン等に対する制御のように、供給用先端から放出される液体の流れの種類に対する正確な制御が容易となる。
【0061】
図のポンプ形状の別の利点は、ベロー148が可変1回排出量保持部113に関して密封され、これによってチャンバ55の中の薬剤その他の物質がベローとピストンまたはスライドとの間の空間に集まることが防止される。図のように、Oリングまたはこれに類する封止材90はピストンとスライドの間の流体密封止部を形成し、流体がそれを通じてベローの中に流れるのが防止される。同様に、流体密封止部は、カバー62、ノズル58およびスライド60の接合面において形成され、たとえば、カバーのスライド係合部158とスライド60の接合面、およびカバーの環状リブ126の接合面、ノズル58の環状溝122での流体密封止部がある。
【0062】
次に図9、図9Aを見ると、バイアル52は好ましくは、たとえばポリカーボネートやポリ塩化ビニルといった剛性のポリマー材料等、適当な剛性を持ち、成形可能な材料で構成される。好ましくは、この材料は、さまざまな種類の薬剤と両立するよう選択され、その例には、マサチューセッツ州ピッツフイールドのGeneral Electric CorporationのLexanの商標で販売されるもの等がある。バイアル52は管状の形状であり、流体用メインチャンバ55、図2、図4に関連して上述した環状取り付けフランジ78、取り付けフランジ78に関してバイアルの反対側の端部に形成された環状接続部162を画定する。流体用メインチャンバ55は、撓み嚢体54(図2)に沿って、所定の量の薬剤等、供給される液体を収容するのに十分な大きさとされる。これについては後に詳述する。取り付けフランジ78は、バイアル52をノズルカバー62(図2)と密閉して取り付け、ディスペンサ10の使用中のカバーの移動を防止するための環状ねじ山164を備える。図2、図3に見られるように、カバー62の取り付け部146は、ピストン56のベース64と剛性バイアル52との間に挟まれ、流体密封止部を形成する。
【0063】
図9Aに示されるように、環状接続部162は、先細の端部166と、増径部170に、そこから内側に向かって間隔を空けて設けられた周辺溝168を有する。撓み嚢体54(図2)を係合するために、環状ねじ山172が設けられている。後述するように、増径部170と環状ねじ山172は、バイアル52を組み立てた後に流体用メインチャンバ55を密閉するよう機能する。これも後述するが、流体用メインチャンバ55の充填中にバイアル152を保持するため、環状溝174が設けられている。
【0064】
次に、図10を見ると、撓み嚢体54は適当な撓み性材料で構成することができ、好ましくは、蒸気、水分、気体が通過するのを防止するようなバリア特性を画定する。製造しやすくするために、材料は、成形可能であることが好ましく、チャンバ55内に入るさまざまな薬剤その他の物質と両立するものとする。あるいは、撓み嚢体54は、熱弾性材料、たとえば、ポンプカバー62に関して上述したKRATONの商標で販売されるスチレンブタジエンエラストマー等で構成できる。同様に、このほかにAES Companyが所有するVISKAFLEXの商標、デラウェア州ウィルミントンのDupont Companyが所有するALCRYNまたはHYTRELの商標、DSM Companyが所有するSARLINKの商標で販売される材料を使用してもよい。しかしながら、これらの材料は例にすぎない。当業者であれば本願の教示からわかるように、撓み嚢体は、本願で開示する撓み嚢体の機能を果たすことが現在知られている、または今後知られるその他多数の材料でも構成できる。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、撓み嚢体54は、上述のような弾性材料で構成され、膨張した状態で成形される。したがって、後述のように圧潰すると、弾性の嚢体は外側に広がろうとし、嚢体の内側の圧力と比較して、流体用メインチャンバ55の中の薬剤その他の液体の圧力を高める。この圧力差の大きな利点は、嚢体の内側チャンバ内にある空気その他の気体または蒸気が嚢体から、またはその他、流体用メインチャンバの中に侵入するのを防止することである。その結果、本発明のディスペンサは、複数回分の投与量を含むもの、防腐剤を使っていない薬剤その他の物質、およびこのような物質をディスペンサの長い保管、貯蔵または使用期間にわたって殺菌された、無気状態に保つことに特に適している。この有利な特徴により、ディスペンサの周辺条件が流体用メインチャンバ55の無気状態に影響を与えるのを防止しやすくするほか、空気、その他の気体または蒸気が流体用メインチャンバ内に進入するのを防ぐ。
【0066】
撓み嚢体54はまた、好ましくは、撓み嚢体からの空気等の気体が通過しないようにするバリアとなるため、空気に対する透過性が非常に低い1層の材料で構成できる。本発明のひとつの実施形態において、嚢体54は多層材料で構成される。たとえば、図10Bに示すように、嚢体の壁175は、空気に対して比較的浸透性があるエラストマーの第一の撓み性層177と、空気に対して比較的不浸透性の、デラウェア州ウィルミントンのDupont Corporationが販売する、アルミニウムとポリエステル組成物等の金属蒸着MYLARのようなバリア層179とすることができる。バリア層179は、ポリエチレンの上層181と下層183の間に設置し、撓み性を保持しながら、バリア層を嚢体の壁175に接着しやすくすることができる。あるいは、バリア層179は、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyが所有するSARANの商標で販売されるポリ塩化ビニリデンで構成してもよい。バリア層179は、好ましくは、嚢体の壁176を、後述のように、撓み嚢体の各種可能を妨害することなく、そこからの空気の通過を減少させるためにできるだけ多く覆うような寸法とする。バリア層179はまた、好ましくは、嚢体の壁175の内側に設置される。あるいは、バリアの材料は、シリンジストッパの製造に使用されるものや、タイヤ業界で使用されるもの等のブチルゴム系材料としてもよい。当業者であれば本願の教示からわかるように、本願で開示する撓み嚢体とバリアの材料は例にすぎず、本願で開示する機能を果たすことが現在知られている、または今後知られる他の多数も材料も同様に使用できる。
【0067】
再び図10を見ると、撓み嚢体は管状の形状であり、閉鎖端176と、空洞180と流体連通する開放端78を有する。嚢体54は、図10に示されるような膨張状態の時、バイアル52(図2)の中に適合するような大きさの外径を確定する。図2、図3に示されるように、嚢体54の外側表面は、好ましくは、剛性バイアル52の内側表面とほぼ同じ形状または形態を確定し、撓み嚢体が膨張すると、撓み嚢体がこれら2つのコンポーネントの接合面全体で、剛性バイアルと一致、接触し、これによってこれらのコンポーネントの間のアレージ、つまりデッドスペースを排除し、チャンバ55内の薬剤その他の物質の全部を、そこから供給されるよう、ポンプ50の可変1回排出量保持部113の中に押し出すことができるようにする。さらに、完全に膨張した時の撓み嚢体の外径(または幅)は、好ましくは、剛性バイアルの内径(または対応する幅)より若干大きく、膨張した嚢体がバイアルに向かう回復力を発生し、嚢体の片側のチャンバ55と嚢体の内側との間に少なくとも若干の圧力差を保持し、これによって、前述のように、空気その他の気体または蒸気が嚢体から流体用メインチャンバに侵入するのを防ぐことができる。
【0068】
図10、図11に示すように、縦軸方向に延びる補強材またはリブ部182が内側表面184に沿って設置され、嚢体54が圧潰する際の支持構造を提供するよう機能する。これについては、図12に関連して後に詳述する。これを実現するために、リブ部182は内側表面184に沿って軸方向に延び、内側表面の周囲にほぼ等間隔で配置される。これ以外の構成のリブ部182やこれ以外の場所でリブ部を使用することも本発明に含まれることがわかる。たとえば、リブ部182は、撓み嚢体54の閉鎖端176の内側表面182に沿って延びるようにしてもよい。
【0069】
図10、図10Aに示されているように、撓み嚢体54は、嚢体の後端に形成された環状フランジ188と、フランジ188に関して軸方向に内側に間隔を空けて設置された外側環状ローブ190と、外側環状ローブ190とフランジ188の間に設置された内側環状ローブ192とを備える。図10Aに示されるように、環状フランジ188は、その下側に、バイアル52の環状ねじ山172(図9A)と密閉して係合するための環状のV字型の切込を画定する。さらに、環状フランジ188は、バイアルとの最初の組立中、詳しくは後述するが、環状フランジの周辺表面がバイアル52の対応する環状溝168(図9A)と係合するように、大きめである。
【0070】
ディスペンサ10の保管または貯蔵中、撓み嚢体54の材料は、それが受ける張力と圧縮力を均一にするために流れる、または移動する。本願で言うクリープとは、材料の回復力と記憶力が損なわれるような、材料の特性の変化を指す。特に、クリープが発生すると、弾性材料は永久に変形し、その当初の弾力性の少なくとも一部が失われる。したがって、ディスペンサ10の組立後と充填中に、撓み嚢体54の空洞180には低い圧力がかかり、これにより、その圧潰と弾性変形が発生し、これは、流体用メインチャンバ55(図2)に充填される流体の圧力によって保持される。その後、充填されたディスペンサは、使用前、少なくとも2ないし3ヶ月は保管場所または店舗その他の商品棚で保持され、その間、嚢体の材料にクリープが発生し、それが原因で、少なくともある程度の変形が生じるかもしれない。撓み嚢体54のクリープが発生している間の材料の動きを適正に管理するために、図10Aに示されるように、嚢体には外側環状密閉ローブ190と、外側密閉ローブとフランジ188の間で軸方向に間隔を空けられた内側環状密閉ローブ192が設けられ、エラストマーまたはゴム状の材料によってクリープが生じたときに、材料間の圧力は2つのローブ190,192の間でバランスがとられ、一貫した流体密が得られる。その後、このような機械的封止材が維持されるのは、少なくともひとつの要因として、内側ローブにより材料収容部が形成されるからであり、その中では外側ローブ190の材料のクリープが内側ローブのそれと相殺される。
【0071】
図10Aに示すように、外側環状ローブ190は、ローブ192の片側に位置する第一の角度部190と、ローブの反対側に設置された第二の角度部200でなる。第一の角度部98は、中心軸202に関して、約0°から約30°、より好ましくは約0°から約10°の範囲の第一の鋭角“A”を画定する。第二の角度部200は、軸202に関して、約0°から約15°、より好ましくは約0°から約5°の範囲の第二の鋭角“B”を画定する。撓み嚢体54の材料のクリープが発生している間、材料が確実にほぼ矢印204と矢印205の方向に移動するようにするために、第一の角Aは第二の角度Bより大きく、撓み嚢体は、これに対応する後方栓の環状溝(図14)の中に受け止められる内側環状密閉ローブ192によって軸方向に固定される。図2、図3に示されるように、撓み嚢体54が剛性バイアル52の中に十分に受け止められているとき、外側環状ローブ190はバイアルの平滑な内壁に押し付けられ、内側環状ローブ192はこれに対応する後方栓の環状溝22(図14)の中に受け止められ、環状フランジ188が後方栓と剛性バイアルの環状ねじ山172の間に挟まれる。このように、内側環状密閉ローブ192は外側環状密閉ローブ190の材料タンクとして機能し、矢印204,205によって示されるように、軸方向にオフセットされるローブにより、材料が一般に外側ローブ190から内側ローブ192に向かって、また両方のローブから一般に環状フランジ188に向かって流れる。その結果、材料の流れは一貫して内側密閉ローブ192または環状フランジ188に向けられ、これによって嚢体の材料のクリープの程度に関係なく、撓み嚢体、剛性バイアル、後方栓の間の流体密が保たれる。図のように、外側環状ローブ190の形状と相対的位置により、前述のように、嚢体の中の力、ひいては材料を矢印204,205の方向に向けやすくなるため、ディスペンサ10の保管、貯蔵、使用期間中ずっと、流体密を保持することができる。
【0072】
図11に示されているように、撓み嚢体54は、好ましくは、少なくともひとつの表面の切れ目206を備え、これによって嚢体は管状の形状から所定の圧潰形状につぶれやすく、またこれが制御され、その結果、嚢体の内側によって画定される空洞180がほぼ排除される。図の実施形態において、撓み嚢体は、嚢体の内側表面184上で、相互にほぼ等間隔に配置された3つの表面切れ目206を有する。図のように、切れ目206はそれぞれ、隣接する細長いリブ182の間にほぼ等間隔に配置されている。切れ目206は、図において、断面においてほぼ平坦な中央部(参照番号なし)で終わる隙間または割れ目の形状に描かれている。図のように、表面の切れ目206によって、嚢体は細長いリブ182の各々の周辺で圧潰し、または畳まれ、それによって圧潰状態において、相互に関して約120°の間隔を持つ3つの折り畳み部または脚が形成される。当業者であれば本願の開示からわかるように、また、以下に別の実施形態で説明するように、上記のような切れ目と細長いリブによって形成される所定の圧潰形状と同様の所定の形状に嚢体を圧潰するために他の多くの構造または形状も同様に採用できる。
【0073】
次に、図12を見ると、撓み嚢体54’の外壁208’の断面図が簡略化して示されている。撓み嚢体54’は、バイアル52の外壁77(図9)に近い実線で示される膨張位置から破線で示される圧潰位置へと矢印210’の方向に圧潰することができる。撓み嚢体54’は、撓み嚢体54と機能的に同様であるため、類似した要素には同様の参照番号に記号「’」を付けて付与する。しかしながら、撓み嚢体54と撓み嚢体54’には、ある程度の構造的な違いがあることがわかる。たとえば、切れ目206’は切れ目206に関して逆転しているように描かれ、壁208’の断面厚さ(t’)全体をほぼカバーする。切れ目206’はほぼ弓形の形状に描かれているが、後述の機能を果たすのであれば、切れ目206のような他の形状でも使用できることが予想できる。また、リブ部182’は、バイアルの中のこれに対応した形状の部分(図示せず)を受けるための取り付けスロット209’を画定することも予想できる。
【0074】
切れ目206,206’はどちらも、壁208’の中で撓み嚢体54,54’を圧潰するのに必要な部分の長さを短縮する役割を果たす。この役割については、図12の実施形態について説明しているが、この説明は、図11の実施形態にも同様に当てはまる。図12に示されているように、壁208’は、各々の切れ目206’と隣接するリブ部182’との間に延びる複数の壁部212’を有し、実線で示されているように、各壁部212’は、嚢体54’が膨張すると弧を描く。嚢体54’が矢印210’の方向に圧潰する間、壁部212’はほぼ線形となり、鎖線で示される弦を描き、破線で示されているように逆に作動する。したがって、図のように、実線で示される切れ目206’の長さL1は、鎖線で示される長さL2に短縮され、弧212’が矢印210’の方向に自由に移動することができる。撓み嚢体54’が圧潰しきると、嚢体は膨張し、壁部212’は矢印210’と反対方向に自由に移動できる。
【0075】
図13、図14に示されるように、撓み嚢体は、撓み嚢体54の開放端178(図2)と結合するよう構成された後方栓214を有し、後方栓と剛性バイアル52の間に設置された撓み嚢体54を密閉する。後方栓214は、たとえばポリエチレン等、ポリマー材料のような適度な強度を持つ、成形用の耐久性材料で構成することができ、好ましくは、耐応力特性を持つLexanTMまたはこれに類するポリカーボネートで構成する。後方栓214は、終端壁216と側壁218を有し、これらは、図14Aにおいて最もよく見られるように、好ましくは、栓の後方端に向かって直径が徐々に増加する先細部220と、先細部220の後方に向かって間隔を空けて設けられた環状溝222と、ステップ部224と、栓の軸を中心に相互に関して角度的に間隔を空けて設置された複数の外側に突出する保護用タブ226(または製造しやすいバンプでもよい)と、嚢体の内部チャンバ180と大気との間の流体連通を可能にする、側壁に沿って延びる穴228とを備える。先細部220は、直径が増加するため、栓214を撓み嚢体54(図2)に組み込みやすくし、栓と撓み嚢体の隣接表面との間に環状スペース230(図2)を画定する。上述のように、また図2、図3に示されるように、環状溝222は内側環状ローブ192(図10)を受け止めるように構成され、ステップ部224は剛性バイアルの環状ねじ山172に対して撓み嚢体54の環状フランジ188をはさむ。図13、図14において最もよく見られるように、安全密封タブ226はステップ部224から上側と外側に突出し、栓の軸を中心として、相互に関して角度的に間隔を空けて設置されている。密封タブ226は、栓214をバイアル52(図2)にロックするために設置され、嚢体の環状フランジ188に対して押圧されると、バイアルの環状溝168(図9)の中にパチンと嵌るように構成され、それによって気密密封される。さらに、密封タブ226は、代表的なものとしては図14Aにおいて示されているように、外側に向かって先細になっているため、タブはバイアルの環状溝168に容易に嵌めこむことができる。しかしながら、タブは、反対方向には溝から出せないため、密閉部へのいたずら防止にもなる。穴228は環状スペース230とチャンバ180(図2)と大気との流体連通を可能にし、ほぼ長方形の形状で描かれている。しかしながら、撓み嚢体54の内部チャンバ180を充満させるのに十分な量の空気が通過できるのであれば、円その他、異なる形状も利用できることが理解されるであろう。
【0076】
図10、図10Aにおいて、撓み嚢体54はまた、好ましくは、嚢体の内側チャンバ180と大気の間の気流を制御するために、密封ローブ190,192の下に軸方向に間隔を空けて設置された双方向弁234を備える。弁234は、嚢体の内壁から内側に突出し、断面がほぼねじ山形状の環状オペレータ235を備える。図2、図3に示されるように、環状オペレータ235の終端部は、後方栓214のベース部に形成される環状表面232と係合し、環状スペース220と嚢体の内部チャンバ180の間に位置する。撓み嚢体54はさらに、環状オペレータ235の付近に軸方向に間隔を空けて設置され、軸202を中心として相互に関して角度的に間隔を空けて設置された複数の支持用隆起236を画定する。各隆起236の端部表面は、環状オペレータ235の端部に関して内側に間隔を空けて設置され、これによってオペレータ235は後方栓と係合し、オペレータと後方栓の間の接合面が密閉され、同時に、オペレータ235がいずれかの方向に移動できるよう、後方栓と撓み嚢体との間に十分な半径方向の空間が確保される。このように、図からわかるように、オペレータ235と後方栓の環状壁232は、弁をはさんだ圧力の差がオペレータを軸方向に撓ませるのに十分であるときに、流体が通過できるような双方向弁を形成する。オペレータの剛性は、圧力差が所定の圧力限界値を超えると流体がそこを通過できるように設定されることが理解できるであろう。このように、弁234の大きな利点は、撓み嚢体54の内側チャンバ180の中の比較的安定したマイクロアトモスファを保持し、嚢体内のマイクロアトモスファと大気の間の空気、その他の気体または蒸気の通常の交流を防止することである。たとえば、弁234により、流体用メインチャンバ55から薬剤その他の物質が供給されると、空気がチャンバ180へと引き込まれ、これによって嚢体は膨張し、供給された薬剤のスペースを埋める。しかしながら、弁234はまた、空気や蒸気がマイクロアトモスファと大気との間を自由に流れるのを防止する。したがって、チャンバ180内のマイクロアトモスファは大気と比較して異なる圧力または湿度レベルを画定する。この特徴の大きな利点は、それがマイクロアトモスファを大気の圧力または湿度レベルの変化から絶縁し、これによってマイクロアトモスファ内の比較的安定したし圧力と湿度レベルを保持し、空気または蒸気が嚢体壁から流体用メインチャンバに通過するのを防止する。
【0077】
図15Aから図15Cにおいて、それぞれ、ディスペンサが充満している状態、中身が半分の状態および空の状態が示されている。図15Aでは、流体用メインチャンバ55は、ポンプアセンブリ50がノズル58の外に圧送する、たとえば薬剤(図示せず)等で充満している。したがって、嚢体54は、嚢体54は圧潰した状態で描かれている。図15Bでは、撓み嚢体54は膨張した状態にあり、したがって嚢体が膨張して流体用メインチャンバ55から供給される容量の薬剤を移動させたところである。これを実現するために、空気が弁234を通って撓み嚢体の内部チャンバ180へと矢印240の方向にすでに通過している。図15Cにおいて、ディスペンサ10は、空の状態で描かれている。図のように、嚢体54は剛性バイアルの壁77に対して完全に膨張しており、実質的に剛性バイアルの形状と一致し、アレージつまりデッドスペースが排除され、その中の薬剤その他の物質がすべてポンプ50へと排出される。
【0078】
次に、図16Aから図16Cを見ると、たとえばエネルギー光線の照射等による殺菌のためのディスペンサ10の最初のアセンブリが図16Aに示されている。特に、後方栓214が撓み嚢体54に取り付けられ、栓と撓み嚢体は部分的にバイアル52の中に挿入される。次に図9A、図10を見ると、撓み嚢体54のフランジ188は、部分的に挿入された位置にあるとき、バイアル52の環状溝168の中に配置され、これによって嚢体とバイアルとの間に気密の、ただし、いたずら防止はされていない封止部が形成される。この状態で、ディスペンサ10は、そこに入れるべき薬剤その他の物質を充填する前に、密閉された状態で殺菌または輸送することができる。
【0079】
ディスペンサ10の充填の様子が図16Bにおいて図式的に描かれている。ここでは、撓み嚢体54と栓214がバイアル52から離れ、充填のために流体用メインチャンバ55に手が届く状態にある。図からわかるように、嚢体の環状フランジ188はバイアルの環状溝168から後方に引き出して取り外し、バイアルを開いて流体用メインチャンバ55に到達することができる。好ましくは、この動作は、殺菌済みのディスペンサを殺菌輸送ポートによって輸送し、たとえば、引用をもって本願に援用する、共通の譲受人に譲渡された米国特許第5,641,004号と第5,816,772号で開示されている種類の殺菌充填装置の中でディスペンサの充填を行うことによって実行できる。充填においては、嚢体の内側チャンバ180を真空にして嚢体を圧潰させ、その中に入れられる薬剤その他の物質を流体用メインチャンバ55内に導入する。実施形態によっては、流体用メインチャンバ55は過剰充填される、つまり、チャンバに供給される薬剤の量が、嚢体と栓を挿入した状態でチャンバが収容できる量を超える。これにより、嚢体54と後方栓214を挿入したときに、流体用メインチャンバの中に空気が入り込む可能性が排除される(つまり、流体用メインチャンバには薬剤その他の物質だけが充填される)。
【0080】
図16Cに示されているように、流体用メインチャンバ5に、その中に入れるべき薬剤その他の物質を充填すると、撓み嚢体と後方栓のアセンブリは剛性バイアルの中に移動し、図9Aにおいて最もよく見られるように、嚢体の撓みフランジ188が移動して環状ねじ山172と係合し、後方栓は内側に押圧されて、密封タブ226がバイアルの環状溝168内の所定の位置にパチンと嵌り、これによっていたずら防止された気密の封止部が実現する。この状態で、ディスペンサ10は、上記の眼科治療装置またはその他、薬剤その他の流体を供給するための適当な装置、たとえば鼻吸入器等に取り付けることができる。
【0081】
実施形態によっては、嚢体と後方栓の挿入中にバイアルから溢れる薬剤その他の物質を「捕獲」するために真空を利用することが好ましい。これは特に、嚢体と後方栓を挿入した後にメインチャンバに空気が入り込む可能性をなくすために、が嚢体と後方栓を挿入する前に流体用メインチャンバ55を溢れさせた場合に当てはまる。真空を利用しないと、嚢体と後方栓を挿入したときに、余剰の薬剤その他の物質はすべてバイアルから溢れ出る。
【0082】
図17から図20において、本発明のディスペンサの別の実施形態が、全体として参照番号310で示される。ディスペンサ310は、上記のディスペンサ10とほぼ同じであるので、番号「3」から始まる、または「1」ではなく「4」から始まる、または「2」ではなく「5」から始まる同様の参照番号は、同様の要素を示すのに使用されている。ディスペンサ310の、ディスペンサ10と比較した場合の主な違いは、(i)剛性バイアル352とピストン356が一体のコンポーネントとして形成されていること、(ii)ノズル358とスライド360が一体のコンポーネントとして形成されていること、(iii)撓み嚢体354が、切れ目やリブが形成されずに平滑な円筒形状を画定していること、(iv)後方栓514が、撓み嚢体が所定の圧潰形状へと圧潰するのを制御するための複数の内側に突出する脚538を備えることである。
【0083】
図21から図23に示されるように、後方栓514は、嚢体が所定の圧潰形状へと圧潰するのを制御するための枠組みを撓み嚢体354の内側チャンバ480内に画定する、内側に突出し、軸方向に長い複数の脚538を画定する。図21に示されているように、本発明による図の実施形態は、後方栓の軸を中心として相互に関して約120°、角度的に間隔を空けられた3本の脚538を有する。各脚は、後方栓の軸と交わる各平面内にあり、栓の軸と剛性バイアルの内壁の間で放射状に延びる、ほぼ平坦な側面540を画定する。図19に見られるように、各脚の半径方向の縁辺部542は、剛性バイアルの内壁に関して内側に向かって半径方向に間隔を空けて位置し、これによって、撓み嚢体は脚の半径方向の縁辺とバイアルの間で自由に動くことができる。図19、図20に示されるように、脚538は、嚢体が所定の圧潰状態へと圧潰するのを脚が制御できるような十分な距離だけ、撓み嚢体の内側チャンバ480へと軸方向に延びる。図の実施形態において、各脚538は、嚢体の軸の長さの少なくとも約半分に沿って延びている。図24に示されるように、所定の圧潰状態において、撓み嚢体354は脚538の外側表面と一致して係合し、これによって流体用メインチャンバ355には薬剤その他の物質が充填される。次に、図25に示されるように、流体用メインチャンバ355からすべての薬剤その他の物質を供給すると、撓み嚢体354の回復性により、嚢体は脚538から遠ざかる外側に向かって膨張する。代表的なものとしては図19、図20に示されるように、完全に膨張したとき、撓み嚢体354は剛性バイアルの内壁と一致して係合し、これによってアレージ、つまりデッドスペースが排除され、流体用メインチャンバ34の中の薬剤その他の物質がすべてそこから供給されるようになる。
【0084】
前述のように、撓み嚢体538は、好ましくは、硫化ブチルゴム等の比較的透過性の低いエラストマーその他のゴムで構成する。このようなゴムについては、医薬品やワクチン等の各種薬剤およびその他の物質に対する安定性または両立性が証明されているため、現在、このような用途に好まれている。現在選好されている実施形態において、撓み嚢体354は膨張した状態で成形されており、圧潰すると、嚢体の回復性により、嚢体はその膨張した状態へと外側に向かおうとする傾向がある。嚢体内の回復力は、流体用メインチャンバ355の中の液体に圧力をかけ、したがって、流体用メインチャンバ355の中は、嚢体の内部チャンバ480と比較して高圧となる。その結果、圧力差により、空気その他の気体または蒸気が撓み嚢体または剛性バイアルのいずれかを通じて、あるいはその他の方法で流体用メインチャンバ内に進入するのが防止される。このように、嚢体の材料または形状は、好ましくは、各種の大気条件下で流体用メインチャンバへの空気その他の気体または蒸気の侵入を防止するのに十分な圧力差を保つように選択される。前述のように、本願で開示される撓み嚢体用の好ましいゴム材は例にすぎず、撓み嚢体の機能を果たすことが現在わかっている、または今後わかるその他多数の材料も同様に利用できる。
【0085】
図26、図27で示されているように、図10Aの撓み嚢体54に関連して上述した、間隔の空いた隆起236は、撓み嚢体354の構成材料その他の構造上の特徴に応じて不要となる。さらに、外側環状ローブの形状は、図10Aの嚢体に関連して図に描かれたものと異なっていてもよい。図27に示されるように、外側環状ローブ490は、環状の隆起部または肥厚部によって画定され、先細表面498は、ローブまたは環状の隆起部490と撓み嚢体354の外側周辺表面との間で半径方向に内側に延びる。図19、図20に示されるように、環状の隆起部490は剛性バイアル352の内側表面に対して圧迫され、これが、後端キャップの環状溝522(図23)内で固定される軸方向にオフセットされた内側環状ローブ492との組み合わせにより、撓み嚢体の材料のクリープを発生させ、あるいは材料が図27の矢印504,505の方向に流れ、その結果、撓み嚢体、後方栓、剛性バイアルの間が一貫して気密状態に保たれる。このように、撓み嚢体の末端封止部は、後方栓と剛性バイアルの間の軸方向にオフセットされるローブにおいて半径方向に圧縮され、後方栓と剛性バイアルの間のフランジで軸方向に圧縮される。
【0086】
代表的なものとして図22に示されるように、後方栓514は、栓の軸を中心として相互に関してほぼ等間隔で設置された3つの穴528を画定する。さらに、図14について前述した密封タブ226を画定する代わりに、後方栓514は、後方栓の周辺表面から外側に突出し、剛性バイアルの環状溝168(図30)にパチンと嵌るような寸法とされた環状ローブ526を画定する。ディスペンサ310は、図16Aから図16Cに関連して上述したものと同様の方法で殺菌し、仮閉めし、再び開き、充填することができる。
【0087】
図28、図29に示されているように、ノズル358とスライド360は、相互に一体的に形成される。前の実施形態について前述した別個のノズルとスライドと比較した場合のこのような一体構造のひとつの利点は、一体構造のほうが一般に製造および組立コストが低く、さらに、コンポーネント間の密封箇所が少なく、それによってディスペンサの全体的信頼性が改善される。
【0088】
図30、図31に示されるように、ピストン356と剛性バイアル352も相互に一体的に形成できる。上記の一体構造のノズルとスライドの場合と同様に、前の実施形態について前述した別個のピストンとスライドと比較したこのような一体構造のひとつの利点は、一体構造のほうが一般に製造および組立コストが低く、さらに、コンポーネント間の密封箇所が少なく、それによってディスペンサの全体的信頼性が改善される。現在選好されている本発明のひとつの実施形態において、一体構造のノズル358とスライド360は、比較的やわらかい材料で構成され、一体構造のピストン356とバイアル352は、比較的硬い材料で構成される。ディスペンサ310の動作において、ピストン356を下方に押し、スライド360の圧縮領域436(図29)に到達すると、図のピストンの相対的な硬さと形状によってスライドの圧縮領域436を外側に押しやり、あるいはスライドの圧縮領域と気密的に係合し、これによってピストンとスライドの間に流体密封止部が形成される。図30に示されるように、案内壁394の先端は、スライド内のピストンの滑動を助けるよう面取りされている。
【0089】
比較的やわらかく、柔軟な材料で一体的なノズルとスライドを構成することで、部品成形時にコアピンから部品を外すためにスライドの圧縮領域436を外側に撓められるので、ノズルとスライドを単独部品として一体的に成形できる。好ましくは、部品をコアピン(図示せず)から外しやすくするために、コアピンとスライドの内側表面392との間に圧縮空気を注入する。
【0090】
図19、図20に示されるように、撓み嚢体354が完全に膨張した状態またはそれに近い状態にあると、環状ギャップ“C”が嚢体とバイアルの間に形成される。図からわかるように、ギャップCの幅は、後端キャップ514から嚢体の閉鎖端476に向かって軸方向に徐々に減少する。図からわかるように、ギャップCは嚢体の軸の長さの約半分の位置から始まり、その幅は、嚢体の、側壁と終端壁476の間の湾曲部分で最大となる。ギャップCは、嚢体を剛性バイアルの中に挿入する際、ギャップを形成するのに十分な抜き勾配を持たせて、撓み嚢体354のほぼ円筒形の側壁を形成することによって作られる。ギャップCを徐々に広げる目的は、流体用メインチャンバ355内のすべての液体をポンプ350の方向に押しやり、流体用メインチャンバ内に、そこから排出できないような流体のポケットが形成されないようにすることである。
【0091】
代表的なものでは図19、図20に示されているように、ギャップCを作るのに必要な若干の違い以外に、撓み嚢体354は剛性バイアル352の内側表面とほぼ同じ形状を画定し、嚢体が完全に膨張したところで、嚢体が剛性バイアルと緊密に一致して係合するようになっている。さらに、撓み嚢体354は、好ましくは、完全に膨張した状態で、その外径(または幅)が剛性バイアルのチャンバ355の内径(または幅)より少なくとも同じまたはそれより大きい。これらの特徴が、撓み嚢体の回復性とあいまって、流体用メインチャンバ355への気体または蒸気の侵入を防止し、チャンバ内の液体の実質的に全部を確実に利用することができるようになる。
【0092】
図32に示されるように、撓みカバー362はその一端において環状取り付けフランジ380を画定し、これを一体的なピストンと剛性バイアル(図30、図31)に形成された、これと対応する環状溝374で受けることにより、撓みカバーがピストンとバイアルに固定される。さらに、一体的なピストンと剛性バイアルは、環状溝374の付近に環状フランジ381を画定し、これが撓みカバーの対応する環状溝382(図32)で受けられ、カバーがピストンとバイアルにさらに確実に固定される。
【0093】
図33を見ると、本発明のディスペンサの別の実施形態が、全体として参照番号610により示されている。ディスペンサ610は、上記のディスペンサ310とほぼ同じであるため、番号「3」の代わりに「6」、「4」の代わりに「7」、または「5」の代わりに「8」からそれぞれ始まる同様の参照番号が、同様の要素を指すのに使用されている。ディスペンサ310と比較したディスペンサ610の主な相違は、ディスペンサ610が再密可能な嚢体を備え、これによって、2001年2月12日出願の同時係属米国特許出願第09/781,846号で、現在は米国特許第6,604,561号となり、本発明と同じ譲受人に譲渡され、引用をもって本願の一部として援用する特許において開示されているタイプの殺菌充填装置の中で嚢体の充填を行うことができる点である。
【0094】
図33において示されているように、撓み嚢体654は、その閉鎖端776において、閉鎖端776と重なる再密可能部844を有する。図の実施形態において、撓み嚢体354は、流体用メインチャンバ655に入れる所定の薬剤その他の物質と両立する第一の材料で形成され、その外側側面において、流体用メインチャンバ内に入れられる所定の薬剤その他の物質に露出されることになる、あるいはこれと接触することになる薬剤露出面を画定する。再密可能部844は、撓み嚢体を通じて流体用メインチャンバ内に所定の薬剤その他の物質を導入するために、針その他の充填部材によって貫通可能である。撓み嚢体の貫通可能領域は、硫化ゴムで形成されるため、熱エネルギーが加えられることに応答し、実質的に不透過性を帯びる。これに対し、再密可能部844の貫通可能領域は、熱エネルギーを加えると透過性を帯びるため、再密可能部の貫通可能領域は、針その他の充填部材をそこから取り除くと、気密的に密閉される。図の実施形態において、再密可能部844はゴム性の嚢体の上に挿入成形され、その間、熱可塑性の再密閉可能層がその下のゴム層と結合する。必要に応じて、当業者にとって周知の機械的固定装置を使って、再密可能部を撓み嚢体の終端壁に接着しやすくすることができる。
【0095】
再密可能部材844は、好ましくは、GLSによってKRATON(R)の商標で販売されているポリマー材料と、Dow Chemical Co.によってENGAGETMまたはEXACTTMの商標で販売されているポリエチレン等の低密度ポリエチレンの混合物に代表される、回復性ポリマー材料で構成される。再密可能部材844の重要な特徴は、再密可能部材に針、シリンジまたはこれに類する注入部材を挿入した後に再密閉され、気密封止部が形成されることである。好ましくは、再密可能部材は、当業者にとって周知の、上記の同時係属特許出願に記載された方法により、針で穿孔された領域を加熱することによって密閉できる。上記の混合ポリマーのひとつの利点は、薬剤その他の物質がポリマー内に吸収される程度が、KRATON(R)そのものの場合と比較して、なるべく低くなると知られている点である。
【0096】
図33に示されているように、後方栓514はその中に形成され、最密可能部材844と重なる充填穴846を画定する。図33において破線で示されているように、二重管腔針またはこれに類する注入部材848が充填穴846の中を往復運動し、再密可能部材844とその下の撓み嚢体の閉鎖端776の両方を貫通する。注入部材848は、流体用メインチャンバ655内に入れられる薬剤その他の物質の供給源(図示せず)と流体連通して連結され、チャンバにその薬剤その他の物質を充填するよう作動する。チャンバの充填が終了すると、撓み嚢体654は、上述のように所定の圧潰状態へと圧潰し、針が抜き取られる。必要に応じて、嚢体の圧潰を助けるために、充填中に撓み嚢体の内部チャンバ780を真空にしてもよい。針を抜き取ると、レーザその他のエネルギー源(図示せず)が再密可能部材の貫通領域にレーザ光線を当て、上記の同時係属特許出願において記載されている方法で針穴を密閉し、これによってその中の薬剤その他の物質を、殺菌され、密閉された状態に保つ。充填穴846は、キャップ850(破線で示す)を使って密閉し、撓み嚢体の内側チャンバ780を密閉状態に保つことができる。
【0097】
本発明の特定の実施形態において、再密可能部844の少なくとも一部は、針で貫通して針穴を形成することが可能な針貫通領域を画定する熱可塑性材料で形成され、所定の波長と強度のレーザ光線を照射することにより、針穴を密閉できるよう、熱による密閉が可能である。本発明の別の実施形態では、再密可能部844の全体が熱可塑性材料で形成される。本発明の上記の別の実施形態において、再密可能部の上側重複部分は透過性のある熱可塑性材料で形成され、再密閉可能部の下側重複部分は硫化ゴム等の不透過性材料で形成される。好ましくは、各々の熱可塑性部分または本体は、(i)その軸方向に向かって所定の壁厚と、(ii)所定の波長のレーザ光線を実質的に吸収し、所定の壁厚を通じた光線の通過を実質的に防止する所定の色と不透過率と、(iii)所定の波長と強度のレーザ光線が所定の時間で、実質的に針貫通領域を焼くことなく(つまり、材料の分子構造や化学的特性を非可逆的に変化させることなく)、針貫通領域に形成された針穴を密閉するような所定の色と不透過率を画定する。ある実施形態において、所定の時間は約2秒、好ましくは、約1.5秒以下、最も好ましくは約1秒以下である。この実施形態において、レーザ光線の所定の波長は約980nm、各レーザの所定の強度は、好ましくは約30ワット、最も好ましくは約10ワット以下、あるいは約8ワットから約10ワットの範囲である。この実施形態ではまた、材料の所定の色はグレー、所定の不透過率は、再密可能部分の材料にダークグレーの着色剤を約0.3重量%から約0.6重量%の範囲で添加することによって画定される。
【0098】
さらに、熱可塑性材料は、好ましくは、KRATONまたはDYNAFLEXの商標で販売される材料に代表されるスチレンブロックコポリマーである第一の材料と、好ましくは、ENGAGEまたはEXACTの商標で販売される材料に代表されるオレフィンである第二の材料の混合物とすることができる。ひとつの実施形態において、第一と第二の材料は重量で約50:50から重量で約95:5の範囲(第一の材料:第二の材料)で混合される。このような実施形態の例において、第一と第二の材料の混合は、重量で約50:50である。第一の材料だけの場合と比較したこのような混合物の利点は、水分または蒸気バリア特性が改善され、したがって、製品の貯蔵寿命が改善され、ヒートシール特性が改善され、摩擦係数が減り、成形性と型流動度が改善され、ヒステリシス損が減少することである。当業者であれば本願の教示からわかるように、これらの数字や材料は例にすぎず、希望に応じて、あるいは特定のシステムにおける必要に応じて変えることができる。
【0099】
図34Aから図34Cは、本発明の別の面による眼科治療装置908を示す。以下の説明から明らかなように、治療装置908は、治療装置8(図1B)と多くの点で類似している。
【0100】
図34Aを見ると、治療装置908は、ハウジング912と、アイカバー916と、トリガ918とを備える。ハウジング912は、第一の端部919と第二の端部920を有する。アイカバー916はウィング923A,923Bを有し、これらはハウジング912の第一の端部919に枢支される。細長く、フィンガグルーブ928を有するトリガ918は、ハウジング912の第二の端部920に枢支される。ハウジング912は一般に、内側空洞を画定する(内側空洞の詳細は図37に示される)。
【0101】
装置98はさらに、瞼押さえ936を備え、これはハウジング912の第一の端部919(つまり、ハウジングの、アイカバー916が接続されているほうと同じ端部)に枢支される2つの間隔の空いた指部937(図34C)を有する。
【0102】
次に、図34B,図34Cを見ると、ハウジング912には2つの部分939,941がある。ハウジングの第一の部分939(以下、「主要部」939という)はほぼU字型であり、第一の側壁943、第二の側壁945、第三の側壁947の3つの側壁を有する。第二の部分941(以下、「カバー部」941という)はほぼL字型であり、第四の側壁949と第五の側壁951(第五の側壁を本願では底壁という)を画定する。カバー部941の一端は、主要部939の上側領域に枢支され、これについては後述する。カバー部941のもう一端は、主要部939と係合するよう構成された突起部953を有する。係合により、主要部939はカバー部941にロックされ、「閉鎖状態」(図のとおり)となり、これによってハウジング912の内部が隠れる。突起部953を互いの方向に圧迫することにより、突起部953は主要部939から外れ、これによって第一の部分とカバー部のうちの片方または両方が(相互に関して)自由に枢動し、「開放状態」となってハウジング912によって一般に画定される内側空洞が露出する(図35A、図35B、図37参照)。
【0103】
カバー部941の突起先端は、瞼押さえ936の間隔の空いた指部937(図34C)の間の領域に延びる。指部937の間隔は、瞼押さえ936とカバー部941がそれぞれ、相手の妨害を受けずに枢動できるよう十分な幅とする。
【0104】
図35Aから図35Bは、ハウジング912が開放状態にある治療装置908を示し、本発明のひとつの面の実施形態によるカートリッジ957が見える。カートリッジ957は、薬剤(またはその他の物質)の保管と供給に使用される。図36は、治療装置908の一部の拡大図であり、カートリッジ957とハウジング912のカバー部941をより詳細に示している。
【0105】
図37は、眼科治療装置908の部分分解透視図であり、カートリッジ957とハウジング912のカバー部941をさらに詳細に示している。
【0106】
図36、図37を見ると、カートリッジ957はケース959と、ノズル1058と、アクチュエータ963を備える。ケース959は、前方領域965、中間領域967、後方領域969(図36)を有しているのがわかる。前方領域965は、先端を切った円錐形である。中間領域と後方領域967,969は、ほぼ円柱形であるが、2つの平坦な(つまりほぼ平面の)側壁971を有する。平坦な側壁の一方のみ示されていることに注意する。もう一方の平坦な側壁は、カートリッジ957の反対側にある。平坦な側壁を設けることにより、カートリッジ957の幅973が狭くなり、これによってカートリッジをハウジングの内側空洞に嵌めこむことができる。後方領域969の直径は、中間領域967の直径より若干大きい。ケースの前方領域965は、ノズル1068の先端を受ける穴の開いた壁975を有し、ノズル1068から出る流体経路と流体連通している。さらに、突起977がケース959の前方領域から放射状に延びる。後述のように、突起977は、ハウジング912のカバー部941上の機能と係合する、またはハウジング912がない状態で使用する場合は瞼押さえと係合するよう調整されている。
【0107】
この実施形態において、ケースは半分に分かれており、それぞれ一体形成されている。2つの半分部分は、カートリッジの製造中に最終的に連結される。
【0108】
アクチュエータ963はレバー979を有し、レバーの一端はヒンジ981によってケース957の前方領域に枢支されている。レバー979のもう一端は、ケース957の後方領域969の開口部の中に延びる。本実施形態において、レバー979は半径”γ”を持つよう形成される。
【0109】
カートリッジ957は、治療装置908の使用前にカバー部941の中に挿入するよう調整されている。カートリッジの中の薬剤が空になると、カートリッジ957はカバー部941から外し、別のカートリッジと取り替えることができる。この実施形態において、カートリッジは自容型である。さらに、カートリッジは実質的に密閉されたユニットであり、カートリッジの外側表面には(ノズルの一方向弁を通過して設置される薬剤用の流路を除き)封止部のない開口部は実質的に存在しない。
【0110】
そのために、カバー部941は壁983,985と、カートリッジ957を受けるための、縦軸方向に延びる台座を画定する受け面987,989を有する。カバー部941の内側に設置された縦軸方向のリブ991と横軸方向のリブ993はさらに、カートリッジ957のための台座を画定し、壁983,985および受け面987,989と協働し、カートリッジ957を正しく位置づける。壁は、カートリッジ957の横方向の運動を限定する。受け面987,989は、軸方向の運動を限定する。さらに、壁の各々は開口部995を有し、開口部995はカートリッジ957上の各々の突起977と協働し、カートリッジ957をカバー部941の上に釈放自在に保持し、さらにカートリッジ957をカバー部941とハウジング012に関して位置づける。カバー部941の幅は、ハウジング912の主要部939の第一と第三の側壁943,947の間に嵌めることができるだけ小さいものとする。受け面989は、ノズル1068から出る流路と流体連通するスロット997を備える。
【0111】
図38は、図357のカートリッジのひとつの実施形態の、一部除去された側面図である。この実施形態において、カートリッジ957は、ポンプアセンブリ1050と、剛性バイアル1052と、撓み嚢体1054と、ピストン1056と、ノズル1058と、ポンプカバー1062と、ノズルカバー1150と、空洞1180と、後方栓1214と、弁1234とを備え、これらは図17から図20に関して上述したポンプアセンブリ350、剛性バイアル352、撓み嚢体354、ピストン356、ノズル358、スライド360、ポンプカバー362、ノズルカバー450、空洞480、後方栓514、弁534と同様である。
【0112】
以下、数字「3」の代わりに「10」で始まる参照番号は同様の要素を示す。同様に、数字「4」の代わりに「11」で始まる参照番号は同様の要素を示し、「5」の代わりに「12」で始まる参照番号は同様の要素を示す。たとえば、後方栓1214は、撓み嚢体が所定の圧潰形状に圧潰するのを制御するための、内側に突起した複数の脚1238を備える。剛性バイアル1052は、周辺溝1168を備え、撓み嚢体1054を係合するための環状ねじ山1172を有する。
【0113】
しかし、注目すべき3つの大きな相違点がある。まず、剛性バイアル352は増径部と環状ねじ山(増径部170と環状ねじ山172を参照(図9A))を有する。しかしながら、この実施形態において、バイアル1052には増径部1300の一部のみ(図39A、図39B)と環状ねじ山1301の一部のみ(図39A、図39B)しかない。これは、バイアル1052には平坦な側面1302(図39A、図39B)があるため、バイアルの幅が狭くなり、それによってバイアル1052をケース959によって画定される内側空洞の中に嵌めることができるからである。上述のように、ケース959は、ハウジング912によって画定される内側空洞内に嵌めるために、平坦な側壁971(図35から図37)を有する。図には示されていないが、バイアル1052の平坦な側壁1302(図39A、図39B)は円周に沿ってケーシング959の平坦な側壁971(図35から図37)と一致する、または接触する。第二に、スライド1060には、スライド360のネック(ネック136参照(図7))より長さが約50%短いネック1303がある。これは、治療装置が、図17から図20の装置によって供給される投与量の約半分を供給するようにするためである。第三に、ピストン1056の長さは、スライド1060上に、より短いネックを設置するために、ピストン356の長さより短い。
【0114】
ネック1303によって画定される容量を制御することにより、1回分の投与量を精密に制御できる点に注意すべきである。これは、図4、図7を参照すると、ピストン56(図4)の環状壁94(図4)がスライド1060のネック1303に到達すると、環状壁94は封止部を形成し、これが薬剤のメインチャンバ55への逆流を防止し、その結果、スライド1060のネック1303に捕捉される薬剤の量がノズルから排出される薬剤の量を決めるからである。したがって、たとえば、一部の実施形態において、投与量は精密に10ミクロンリットル(μl)とすることができる。しかしながら、当業者であれば本願の教示からわかるように、投与量は精密に制御され、あるいは特定の用途に求められる、またはその他望まれる、たとえば15,20,25,30,35または40マイクロリットルといった他の投与量を含め、事実上どのような投与量にもセットできる。したがって、本発明の現在選好されている実施形態の大きな利点は、たとえば、特定の薬剤の薬理学的利点を最大限にするため、または投与量を結膜嚢内で受け、保持できる容量とほぼ同じに設定する(またはこれに対応させる)ために、投与量を精密に制御できることである。
【0115】
カートリッジ957はさらに、スプリング1304を有する。スプリング1304は、後方栓1214の後方壁の外側表面とケーシング959の後方壁の内側表面との間に設置される。後方栓上のガイド1306とケース959上の縦軸方向のリブ1308は、スプリングを所望の位置に保持する。後述のように、スプリング1304は、摩擦を克服し、カートリッジ957から眼の中に投与分の薬剤を排出するのを助ける力を提供する。
【0116】
上述のように、レバー979の一端はヒンジによってケース959で枢支される。レバー979のもう一端は、ケース959の開口部982の中に延びる。ケースは、ケース959の中に延びるレバーの端部を密閉する一対の表面1310,1312を備える。これらの表面のうち半径方向に内側の表面1310は、レバー979の半径方向に内側の表面1314を密閉する。上記一対の表面のうち半径方向に外側のもの1312は、レバー79の半径方向に外側の表面1316を密閉する。
【0117】
カートリッジの動作中、半径方向に内側の力がレバー979にかかる。これは、レバー979の部分1318をケース959と接触させ、これによってレバー979はまっすぐになり、ひいてはレバーの端部がカートリッジの後方端に向かって移動し、バイアル1052の環状ねじ山1301の部分と係合する。レバーは引き続きカートリッジの後方端に向かって移動し、これによってピストン1056は同じ方向に駆動され、ポンプを作動できる状態にし(先に詳述)、スプリグ1304を圧縮する。レバー979にかかる半径方向の力が増加すると、レバー979の自由端は最終的に環状ねじ山1301の部分から外れ、それによって一体構造としてのバイアル1052とピストン1056をレバー979の力から解放する。その結果、ポンプアセンブリ1050の回復力またはばねのような性質(先に詳述)および圧縮されたスプリング1304のスプリング力により、一体構造としてのピストン1056とバイアル1052は、カートリッジ957の前方端に向かって移動し、ノズル1058から所定の投与量の薬剤(その他の物質)を押し出す。
【0118】
図40A、図40Bは、治療装置908の一部除去された図である。
【0119】
図40Cは、図34Aの眼科治療装置の断面図である。図40Cを見ると、トリガ918の一端はピン1332によってハウジング912に枢支されている。トリガ918のもう一端1334は、曲面1338を有するアーム1336に接続され、アームは、トリガ918の作動によって瞼押さえ936を枢動させるために瞼押さえ936の端部に接続されている。トリガ918はさらに、受けた力をカートリッジ957のレバー979に伝えるよう調整された表面1339を備える。
【0120】
使用中、治療装置908のアイカバー916は、瞼押さえ936を結膜嚢内付近の組織にあてた状態で、眼の周囲の組織に隣接して設置される。トリガ918を圧迫すると、瞼押さえ936は矢印1340の方向に回転し、これが眼の付近の組織を移動させて結膜嚢内を露出させる。瞼押さえ936の回転は、アーム1336によって起こされ、これがノズル1058のカバーを開ける。同時に、トリガ918の表面1339は、カートリッジ957のレバー979に力を加え、これにより、前述のように、カートリッジは所定の投与量の薬剤(その他の物質)をノズル1058から供給する。
【0121】
一部の実施形態では、アイカバー916のウィング923A,923Bは、装置908が使用されていないとき、ウィング923A,923Bがノズル1058の少なくとも一部をカバーするよう十分に枢動可能である。
【0122】
この実施形態において、トリガ918の枢軸とレバー979の枢軸は、装置の反対側にあることに注意すべきである。つまり、トリガ918の枢軸は、装置908のほぼ後方領域に位置し、レバー979の枢軸は装置99のほぼ前方領域に位置する。一部の実施形態において、トリガ918の枢軸とレバー979の枢軸は、装置のほぼ反対の末端にある(たとえば、トリガ918の枢軸はほぼ一端にあり、レバー979の枢軸はほぼ反対の端部にある)。この実施形態において、トリガ918とレバーはそれぞれ同じ方向、たとえば下方に枢動することに注意されたい。もちろん、他の実施形態では別のタイプのアクチュエータや配置を利用できる。
【0123】
図41Aは、剛性バイアル1452、嚢体1454、後方栓1614の別の実施形態を、充填済みで蓋をしていない状態で示す、一部断面の側面図である。図41Bは、図41Aの剛性バイアルと嚢体を、蓋をした状態で示す、一部断面の側面図である。剛性バイアル1452、嚢体1454、後方栓1614のこの実施形態においては、真空キャッピングが不要である。剛性バイアル1452、嚢体1454、後方栓1614は、図38に関して前述した剛性バイアル1052、撓み嚢体1054、後方栓1214と同様である。以下、数字「10」の代わりに「14」から始まる参照番号は同様の要素を示す。同様に、数字「11」の代わりに「15」から始まる参照番号は同様の要素を示し、「12」の代わりに「16」から始まる参照番号は同様の要素を示し、「13」の代わりに「17」から始まる参照番号は同様の要素を示す。
【0124】
図41Bにおいて、剛性バイアル1052は周辺溝1568と、増径部1700と、環状ねじ山部分1701と、流体用メインチャンバ1855と、増径部1700の前方領域の環状ねじ山1872とを有する。流体用メインチャンバ1872は、流体用メインチャンバ55(図9)と同様である。後方栓1614は、内側に突出した脚1638と、環状リブ1800と、環状表面1832を有する。突出脚1638は、嚢体1454が所定の圧潰形状に圧潰するのを制御するための脚1238(図38)と同様である。環状リブ1800は、嚢体1454をバイアル1452の増径部1700の前方部分に密着接触させ、これによって流体用メインチャンバ1855を密閉する。環状表面532(図19)と同様の環状表面1832は、嚢体1454の後方部分1900を剛性バイアル1452と密着接触させ、これによって、嚢体1454および剛性バイアル1452の増径部1700と協働し、環状チャンバ1834が画定される。後述のように、環状チャンバ1834の存在は、剛性バイアルに蓋をする際にこぼれるのを防ぐのに役立つ。
【0125】
図41Aにおいて、真空キャッピングを使用せずに流体用メインチャンバ1855を充填する方法の一例は次のとおりである。剛性バイアル1452のメインチャンバ1855に、そこに入れるべき薬剤(その他の物質)を供給する。チャンバは好ましくは過剰に充填する。つまり、チャンバ1855に供給する薬剤の量を、好ましくは、チャンバ1855が嚢体と栓を挿入した状態で収容できる量より大きくする。これにより、流体用メインチャンバ1855が、嚢体1454と後方栓1614を挿入したときに薬剤その他の物質だけで充満される(つまり、流体用メインチャンバ1855に空気が入らない)。
【0126】
次に図41Bを参照すると、撓み嚢体1454と後方栓1614のアセンブリが剛性バイアル1452の中に移動され、嚢体1454が環状ねじ山1872と係合し、後方栓1614が内側に押され、最終的に環状表面1872がバイアルの環状溝1568内にパチンと嵌り、その結果、嚢体1454の後方部分1900が剛性バイアル1452と密着接触し、気密封止部が形成される。この工程により、余剰の薬剤その他の物質がメインチャンバ1855から押し出されるが、これは環状チャンバ1834によって捕捉されるため、こぼれない。その結果、余剰の薬剤を捕らえるために真空を使用する必要がない。もちろん、メインチャンバ1855は、余剰薬剤その他の物質が環状チャンバ1834を超える(つまり溢れる)程度まで充填すべきではない。
【0127】
カートリッジ957は、治療装置が、たとえばハウジング912、アイカバー916、トリガ918、瞼押さえ936等の多数の特徴を持っているように描かれているが、カートリッジは、これらの特徴の一部しかない治療装置にも使用できる。たとえば、一部の実施形態において、カートリッジ957は、カートリッジを隠すカバー部のない治療装置とともに使用される。このように、ハウジング内に設置されているときであっても、カートリッジは常に見えている状態にある。他の実施形態においては、たとえば、アイカバー196、トリガ918、瞼押さえ936のない治療装置にこのカートリッジが使用される。もちろん、治療装置の中には、治療装置908より多くの特徴を有するものもある。
【0128】
さらに、カートリッジ957は治療装置908内で使用されているように描かれているが、カートリッジ957を単体で、つまり装置908の残りの部分を使わずに使用できることに注意すべきである。たとえば、ユーザはカートリッジのレバーを自分の手で押してもよい。さらに、希望に応じて、瞼押さえやその他の特徴をカートリッジ957に組み合わせ、ユーザが薬剤を供給するのをさらに助けることもできる。瞼押さえは、瞼押さえ936のようなトリガ式である必要はない。瞼押さえのひとつの実施形態1952を備えるカートリッジ957の例を図46に示す。瞼押さえの別の実施形態1954を備えるカートリッジ957を図48に示す。当業者であれば本願の教示からわかるように、瞼押さえは、本願で開示する各種の瞼押さえの機能を果たすものとして現在知られている、または今後知られる、さまざまな形状、構成とすることができる。
【0129】
さらに、カートリッジ957は、上記の具体的実施形態であるカートリッジ957に限定されるわけではないことを理解すべきである。たとえば、ある実施形態において、カートリッジは一体構造としてのポンプとバイアルを使用しなくてもよい。さらに、異なる形状のケース、異なるアクチュエータ、異なる保管または供給システムを使用する実施形態もある。
【0130】
さらに、本願で開示されるディスペンサとカートリッジは、眼の治療または医療機器にさえ限定されるものではないことを理解すべきである。
【0131】
図42から図4は、本発明の別の面による眼科治療装置2008を示す。治療装置2008は、治療装置908(図34から図40)と同様である。特に断りがないかぎり、数字「9」の代わりに「20」から始まる参照番号は同様の要素を示し、数字「10」の代わりに「21」から始まる参照番号は同様の要素を示し、「12」の代わりに「23」から始まる参照番号は同様の要素を示す。ただし、特に断りのある場合を除く。
【0132】
たとえば、治療装置2008は、ハウジング2012と、アイカバー2016と、トリガ2018と、瞼押さえ2036を備え、これらは治療装置908のハウジング912、アイカバー916、トリガ918、瞼押さえ936(図34から図40)と同様である。
【0133】
治療装置208と治療装置9008の主な相違点は、カートリッジ2057とカートリッジ957(図35から図40)の相違点に関連している。特に、(i)カートリッジ2057は、湾曲レバー957の代わりに2つの一体蝶番を備えるアクチュエータ2063を有し、(ii)カートリッジ2057は、実質的に密閉されている代わりに開放され、カートリッジ2057の中のコンポーネントに手が届き、(iii)カートリッジ2057は後方栓2314とケース2059の間に設置されたスプリングを使用せず、(iv)カートリッジ2057にはカートリッジ957のそれ(平坦部分971(図37))に対応する平坦部分がなく、(v)ノズル2158はケース2059全体を通過して延びる。
【0134】
レバーとケースは別の部品として示されているが、このようにする必要はない。たとえば、ある実施形態において、レバーとケースを単独の一体的コンポーネントとして形成することができる。
【0135】
図47Aから図47Dは、カートリッジにおいて使用できる液体保管供給システムの別の実施形態を示す図である。この実施形態は、ポンプアセンブリ2650と、剛性バイアル2652と、撓み嚢体2654と、ピストン2656と、ノズル2658と、スライド2660と、ポンプカバー2662と、ノズルカバー2750と、空洞2780と、後方栓2814と、弁2834(図47D参照)を備える。
【0136】
カートリッジ957は実質的に密閉されたユニットであったが、本発明は実質的に密閉されたユニットのカートリッジに限定されないことを理解すべきである。たとえば、一部の実施形態は、自容型(または少なくとも実質的に自容型)であるが、実質的に密閉されていないカートリッジを使用することができる。別の実施形態では、自容型ではないカートリッジでも使用される。
【0137】
ハウジング912の第二の部分941は突起953を有し、これは第一の部分939と係合し、第一の部分939を第二の部分941に釈放可能にロックするよう調整されているが、第一の部分を第二の部分にロックする別の種類の係合構造を使用できないということではない。
【0138】
上記のように、カートリッジは単独で、つまり装置908の残りの部分を使用せずに使用することもできる。さらに、本願で開示されるカートリッジとディスペンサは、眼科治療または医療機器にさえ限定されない。
【0139】
図49は、本発明の別の面による眼科治療装置3008の、一部除去された透視図である。治療装置3008は、治療装置908(図34から図40)と同様である。特に断りがないかぎり、数字「9」の代わりに「30」から始まる参照番号は同様の要素を示し、数字「10」の代わりに「31」から始まる参照番号は同様の要素を示し、「11」の代わりに「31」から始まる参照番号は同様の要素し、数字「12」の代わりに「33」から始まる参照番号は同様の要素を示し、「13」の代わりに「34」から始まる参照番号は同様の要素を示す。ただし、特に断りのある場合を除く。
【0140】
たとえば、治療装置3008は、ハウジング3012と、アイカバー3016と、トリガ3018と、瞼押さえ3036を備え、これらは治療装置908のハウジング912、アイカバー916、トリガ918、瞼押さえ936(図34から図40)と同様である。ハウジング3012は、第一と第二の部分3039,3041を有し、これらは第一と第二の部分939,941と同様である。
【0141】
治療装置3008はさらに、ケース3059と、アクチュエータ3063と、ポンプアセンブリ3150と、剛性バイアル3152と、撓み嚢体3154と、ピストン3156と、ノズル3158と、スライド3160と、ポンプカバー3162と、空洞3280と、後方栓3314を有し、これらは図34から図40について上述したポンプアセンブリ1050、剛性バイアル1052、撓み嚢体1054、ピストン1056、ノズル1058、スライド1060、ポンプカバー1062、ノズルカバー1150、空洞1180、後方栓1214と同様である。
【0142】
治療装置3008と治療装置908の主な相違点は、カートリッジ3057とカートリッジ957(図35から図40)の相違点、トリガ3018とトリガ918の相違点、数ジング3012とハウジング912の相違点に関連している。特に、(i)カートリッジ3057が備えるアクチュエータ3063は、アクチュエータ3063が、アクチュエータ963により用いられているレバー979の代わりに、レバー3079Aとこれに枢支された(たとえば、エルボー3079Cで、またはこれを使って)アーム3079Bを有する点でアクチュエータ963と異なり、(ii)カートリッジ3057はスプリング3404(後方栓3314とケース3059の間に設置)を有し、これはカートリッジ957のスプリング1304と異なり、カートリッジ3057のアクチュエータ3063に連結され、これと一体に形成され、そこから延びる。後述のように、スプリング3404は、摩擦を克服し、投与量の薬剤をカートリッジ3057から眼に供給する力を提供する。長く、フィンガグループ3028を有するトリガ3018は、(i)レバー3079Aのための台座3700を有し、台座3700はレバー3079Aの表面を補完する表面形状を持ち、(ii)端部3430を有し(ハウジング3012に枢支される)、これはピン3432の上に軸方向にスライドさせることができるよう、スロットを有する。最後に、ハウジング912と異なり、ハウジング3012にはトリガ3018の端部3430のための台座がない。
【0143】
図50Aから図50Dは、図49の眼科治療装置が、トリガに徐々に大きな力が加えられる場合の動作を示す連続側面図である。図50Eから図50Hは、トリガが完全に作動され、トリガが徐々に元の状態に戻った後の図49の眼科治療装置の動作を示す。
【0144】
図50Aから図50Dにおいて、トリガ3018を圧迫すると、瞼押さえ3036が回転し、これが眼の付近の組織を移動させて結膜嚢内を露出させる。瞼押さえ3036の回転は、アーム3436によって起こされ、これがノズル3158のカバーを開く。同時に、トリガ3018は半径方向に内側に向かう力をカートリッジ3057のレバー3079に加える。これによってレバー3079Aはハウジング3059の方向に押しやられ(この際、レバー3079Aはトリガ3018の中の台座3700に沿ってスライドすることに注意)、それを受けて、エルボー3079Cがまっすぐになりはじめ、その結果、アーム3079Bの端部がカートリッジの後方端部に向かって移動し、バイアル3152の環状ねじ山3401の一部と係合する。一部の実施形態において、アームの運動によってスプリング3404が圧縮される。半径方向に内側に向かう力がさらに加わるため、エルボー3079Cはさらにまっすぐになり、アーム3079Bは引き続き後方に移動し、ピストン3156を同じ方向に駆動してポンプを作動できる状態にし(詳細は前述のとおり)、スプリング3404を圧縮(またはさらに圧縮)する。
【0145】
次に、図50Eから図50Hを見ると、レバー3079Aには一層半径方向の力が加わり、アーム3079Bは最終的に環状ねじ山3401の一部から外れ、それによってバイアル3152とピストン3156がアーム3079Bから加えられる力を受けなくなる。その結果、ポンプアセンブリ3150の回復力またはばねのような性質および圧縮されたスプリング3404のばね力により、ピストン3156とバイアル3132はカートリッジ3057の前方端部に向かって移動し、これによって所定の量の薬剤(その他の物質)がノズル3158から押し出される。
【0146】
図51は、図49の眼科治療装置の透視図であり、ハウジングが開いた状態にある。
【0147】
図52は、図49の眼科治療装置の一部分解透視図である。
【0148】
図53は、図49の眼科治療装置の一部分解側面図である。
【0149】
カートリッジ3057は、治療装置が、たとえばハウジング3012、アイカバー3016、トリガ3018、瞼押さえ3036等の多数の特徴を持っているように描かれているが、カートリッジは、これらの特徴の一部しかない治療装置にも使用できる。たとえば、一部の実施形態において、カートリッジ3057は、カートリッジを隠すカバー部のない治療装置とともに使用される。このように、ハウジング内に設置されているときであっても、カートリッジは常に見えている状態にある。他の実施形態においては、たとえば、アイカバー3096、トリガ3018、瞼押さえ3036のない治療装置にこのカートリッジが使用される。もちろん、治療装置の中には、治療装置3008より多くの特徴を有するものもある。
【0150】
さらに、カートリッジ957について前述のように、カートリッジ3057はハウジングの中で使用されているように描かれているが、カートリッジ3057は、単独で、つまりハウジングを用いずに使用することもできることに注意すべきである。たとえば、使用者は自分でカートリッジ3057を使用し、そのアクチュエータ3063を自分の手で押すこともできる。さらに、希望に応じて、瞼押さえその他の特徴をカートリッジ3057に組込み、使用者が薬剤を供給するのをさらに助けることができる。使用される瞼押さえは、瞼押さえ3036のようなトリガ式である必要はない。一部の実施形態において、瞼押さえはカートリッジ3057のハウジング3059に一体的に形成することができる。別の実施形態では、カートリッジ3057と一体ではなく、別に形成され、その後カートリッジに取り付けられた瞼押さえを使うこともできる。
【0151】
図54、図55は、カートリッジに瞼押さえを取り付けるひとつの方法を示す。この方法は、一体化された瞼押さえ3502を備え、カートリッジ3057に釈放可能に固定されるよう調整されたキャップ3500を使用する。特に、キャップ3500は、カートリッジ3057の端部を受けるような形状と寸法の周辺壁3504を有する。周辺壁3504は、カートリッジ3057のハウジング3059から延びる突起部3077を受けるよう調整された開口部3506を画定する。この構成により、キャップ3500はカートリッジ3057に押し付けられ、または嵌められ、またこのカートリッジと係合し、キャップ3500をカートリッジ3057に釈放可能に固定する。キャップの周辺壁3504はさらに、ノズル3158と一致する位置に開口部3508を画定し、ノズル3158から供給される薬剤の流れを妨げないようにしている。
【0152】
図56から図58は、一体化された瞼押さえ3602の付いた別のキャップ3600を持つカートリッジの図である。キャップ3600はキャップ3500(図54、図55)と、瞼押さえ3602の設計以外、同じである。数字「35」の代わりに「36」で始まる参照番号は、同様の要素を示す。図からわかるように、ノズルから瞼押さえ3602の距離は前の実施形態より短い。当業者であれば本願の教示からわかるように、瞼押さえの形状、構成、向きは、たとえば、患者にとっての快適さ等を実現するため、あるいは、たとえば結膜嚢内等、眼の所定の領域に薬滴を供給しやすくするために、希望に応じて調整できる。
【0153】
瞼押さえ付きカートリッジを提供する他のいくつかの方法が図46、図48に示されている。
【0154】
瞼押さえをカートリッジに釈放可能に、または固定して設置する、また別の方法は、当業者にとって本願の説明から自明であるはずである。
【0155】
図59は、図49のカートリッジで使用されるノズル、ピストン、バイアルのひとつの実施例を示す。特に断りがないかぎり、数字「3」の代わりに「4」で始まる参照番号は、同様の要素を示す。この特定の実施形態は、液体その他の物資を通過させる通路のための2つのスロット4116を示す。2つのスロット4116は、ノズル4158の中心穴に関して見た場合、相互に直径方向に反対に位置する。このようなスロットの配置により、一般に細長い噴射パターンが得られる(つまり、装置から供給される薬剤の噴射パターンは、若干細長い断面を有する)。
【0156】
このスロットの配置のひとつの利点は、細長い噴射パターンであると、円形の噴射パターンと比較した場合、結膜嚢内の形状により適合する点である。したがって、このようなスロットの配置により、円形の噴射パターンが使用された場合に結膜嚢内に届く薬剤の割合と比較して、より大きな割合の薬剤が結膜嚢内に届くことである。
【0157】
上記のように、薬剤を眼の特定の領域に向けることがしばしば望まれる。少なくとも一部の実施形態において、薬剤をしばしば結膜盲管とも呼ばれる結膜嚢内に供給することが望まれ、これは一般に細長い形状をしている。
【0158】
このようなスロットの配置を使用した場合、キーイングは、好ましくは、カートリッジ3057または治療装置3008に組み入れ、ほぼ細長い噴射パターンはほぼ細長い結膜嚢内の形状の位置とほぼ一致するようにする。図66には示されていないが、キーイングは、バイアル4052またはその一部に、カートリッジケース3059の平坦な側壁を補完する、これと円周で一致する、またこれと接触する平坦な側壁を持たせることによって組み入れることができる。たとえば、バイアルの平坦な側壁1302(図39A、図39B)により、バイアル1052の幅が狭くなり、バイアル1062をケース959によって画定される内側空洞の中に嵌め込むことができるようになっている。
【0159】
図60Aから図60Dは、図49のカートリッジで使用されるノズル、ピストン、バイアルのその他の実施形態の図である。特に断りがないかぎり、数字「3」の代わりに「5」で始まる参照番号は、同様の要素を示す。この実施形態もまた、ほぼ細長い噴射パターンを実現するために、2つの直径方向に反対のスロット5116を使用している。
【0160】
ほぼ細長い複写パターンを提供するための他の構成は、当業者にとって本願の説明から自明であろう。
【0161】
ほぼ細長い噴射パターンの利点にかかわらず、図49の治療装置はこのような噴射パターンに限定されるものではないと理解すべきである。
【0162】
特に断りがないかぎり、たとえば、「放射状(半径方向)に延びる」との語句は、「たとえば放射成分等を有する方向に延びる」ことを意味する。したがって、この方向は純粋に放射状のものか、あるいは軸成分または円周成分に加え、放射成分を有するものとすることができる。
【0163】
特に断りがないかぎり、たとえば、「接続される」との語句は、「直接接続される」または「間接的に接続される」ことを意味する。したがって、特に断りがないかぎり、「連結される」とは、「直接連結される」または「間接的に連結される」ことを意味する。
【0164】
また、特に断りがないかぎり、たとえば、「備える」、「有する」、「含む」およびそのすべての活用形は、それ以外の要素や特徴を排除しない無制限のものと考えるものとする。
【0165】
当業者にとっては本願の教示からわかるように、本発明の前述の、およびその他の実施形態には、特許請求範囲で定義された本発明の精神から逸脱することなく、さまざまな変更、改変を加えることができる。たとえば、ディスペンサのコンポーネントは、そのコンポーネントの機能を果たすことが現在知られている、または今後知られる多数の別の材料で構成することができる。同様に、ディスペンサのコンポーネントは、多種多様な形状や構成のいずれをとることもできる。また、ディスペンサは、たとえば、眼、鼻、皮膚科その他薬理学的またはOTC用等、各種の用途のさまざまな流体その他の物質を供給するのに使用できる。さらに、本発明のディスペンサを充填するのに使用される殺菌充填装置は、ディスペンサ充填用として現在知られている、または今後知られる各種の構成のものとすることができる。たとえば、ディスペンサを殺菌、供給、排出または充填するための各種のメカニズムのいずれでも使用できる。このほか、ディスペンサは、そのような充填装置や方法を採用するための各種の特徴のいずれでも組み込むことができる。さらに、ポンプや供給弁はそれぞれ、本願で開示したものとは異なる構成とすることができる。したがって、現在選好されている実施形態の詳細な説明は、限定的な意味ではなく、例として理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の好ましい実施形態により、ディスペンサを内蔵する眼科治療装置の、一部除去された透視図である。
【図1A】ディスペンサのない図1と同様の図である。
【図1B】図1の眼科治療装置の透視図である。
【図1C】図1Bの眼科治療装置の分解透視図である。
【図1D】図1Bの眼科治療装置の分解側面図である。
【図2】ポンプアセンブリ、バイアル、嚢体を備え、ポンプアセンブリが閉じた位置にある、図1のディスペンサをさらに詳しく示す、一部断面を含む側面図である。
【図3】ディスペンサが図2の向きについて90°回転されており、ポンプアセンブリが伸びた状態にある、図2と同様の図である。
【図4】図1のポンプアセンブリのピストンの縦軸に沿った中央断面図である。
【図5】図1のポンプアセンブリのノズルの先端の正面図である。
【図6】図5の線6−6に沿った縦軸方向の断面図である。
【図7】図2、図3のポンプアセンブリの、基本的に圧縮領域を形成するスライドまたは本体の縦軸に沿った中央断面図である。
【図8】図2、図3のポンプアセンブリの撓み性のポンプカバーの縦軸に沿った中央断面図であり、ポンプカバーがノズルの先端から剛性バイアルへと伸び、バイアルに接続されたピストンの往復運動を可能にするよう構成されている様子を示す。
【図9】図2、図3のディスペンサの剛性バイアルの縦軸に沿った中央断面図である。
【図9A】図10の嚢体を受けるための後方取り付け部を示す、図9のバイアルの一部の拡大図である。
【図10】図2、図3のディスペンサの嚢体の縦軸に沿った中央断面図であり、この構成において、嚢体が所定の圧潰状態にしぼむように3本リブ構造(three-ribbed structure)が設置されていることを示す。
【図10A】図10の嚢体の一部の拡大図である。
【図10B】図10の嚢体の一部をより拡大した図である。
【図11】図10の嚢体の横軸に沿った断面図である。
【図12】剛性バイアルの内部に設置され、各弧の弦を通過する弧のつぶれを容易にするために、嚢体の外壁に細長い切れ目または細長いバッファを有する、図2、図3のディスペンサの嚢体の別の実施形態を示す断面略図である。
【図13】図2、図3のディスペンサを密閉するために、剛性バイアルと後方栓との間にサンドイッチ型構造を形成することにより、内側嚢体の後端を閉じるために使用される後方栓の上面図である。
【図14】図13の線14−14に沿った後方栓の断面図である。
【図14A】図14の後方栓の部分拡大図であり、栓の環状側壁を詳細に示す。
【図15A】それぞれ、図1のディスペンサの充満、半分、空の状態における液体の容量の減少とこれに対応する嚢体の膨張を示す、一部断面の連続側面図である。
【図15B】それぞれ、図1のディスペンサの充満、半分、空の状態における液体の容量の減少とこれに対応する嚢体の膨張を示す、一部断面の連続側面図である。
【図15C】それぞれ、図1のディスペンサの充満、半分、空の状態における液体の容量の減少とこれに対応する嚢体の膨張を示す、一部断面の連続側面図である。
【図16A】図2、図3のディスペンサの殺菌および充填中に、嚢体をバイアルに取り付けるステップを示す一部断面の連続側面図である。
【図16B】図2、図3のディスペンサの殺菌および充填中に、嚢体をバイアルに取り付けるステップを示す一部断面の連続側面図である。
【図16C】図2、図3のディスペンサの殺菌および充填中に、嚢体をバイアルに取り付けるステップを示す一部断面の連続側面図である。
【図17】本発明のディスペンサの別の実施形態の透視図である。
【図18】図17のディスペンサの端部立面図である。
【図19】図18の線19−19に沿った、図17、図18のディスペンサの断面図である。
【図20】図18の線20−20に沿った、図17、図18のディスペンサの断面図である。
【図21】図17のディスペンサの後方栓の透視図である。
【図22】図21の後方栓の断面図である。
【図23】図21の後方栓の断面図である。
【図24】図21の後方栓の軸方向に延び、半径方向に突起する脚の部分断面図であり、撓み嚢体が所定の圧潰状態で、脚と一致して係合する様子を示す。
【図25】後方栓の脚と嚢体の部分断面図であり、嚢体が膨張している状態を示す。
【図26】図17のディスペンサの撓み嚢体の断面図である。
【図27】図26の撓み嚢体の一部の部分拡大断面図である。
【図28】図17のディスペンサの一体的のノズルとスライドの正面図である。
【図29】図28の線29−29に沿った一体型のノズルとスライドの断面図である。
【図30】図17のディスペンサの一体型のピストンと剛性バイアルの側面図である。
【図31】図30の一体型のピストンと剛性バイアルの部分断面図である。
【図32】図17のディスペンサの撓み性のノズルカバーとベローの断面図である。
【図33】ディスペンサに薬剤その他の物質を充填するために、そこから針またはこれに類する注入部材を挿入するための再密可能な部分を撓み嚢体の上に有し、熱エネルギーを加えることによって針穴を密封できるようにした、本発明のディスペンサの別の実施形態の断面図である。
【図34A】本発明の別の実施形態による眼科治療装置の前方上面透視図である。
【図34B】図34Aの眼科治療装置の側面図である。
【図34C】図34Aの眼科治療装置の底面図である。
【図35A】図34Aの眼科治療装置の、ハウジングが開いた状態の透視図である。
【図35B】図34Aの眼科治療装置の、ハウジングが開いた状態の側面図である。
【図36】図35Aのカートリッジの一部の拡大図である。
【図37】図35Aの眼科治療装置の一部分解透視図である。
【図38】図35Aのカートリッジの、一部除去された側面図である。
【図39A】図38の一体型のピストンとバイアルの背面図である。
【図39B】図38の一体型のピストンとバイアルの後方底面図である。
【図39C】図38の一体型のピストンとバイアルの側面図である。
【図39D】図38の一体型のピストンとバイアルの一部の断面図である。
【図40A】図34Aの眼科治療装置の、一部除去された側面図である。
【図40B】図34Aの眼科治療装置の、一部除去された前方底面図である。
【図40C】図34Aの眼科治療装置の断面図である。
【図41A】剛性バイアルと嚢体の別の実施形態を示す、バイアルが充填され、蓋がされていない状態の部分断面側面図である。
【図41B】図41Aの剛性バイアルと嚢体を示す、バイアルが蓋を閉められた状態の部分断面側面図である。
【図42】本発明の別の実施形態による眼科治療装置の、一部仮想線とした前方上面図である。
【図43】図41の眼科治療装置の部分分解透視図である。
【図44A】図41のカートリッジの透視図である。
【図44B】図41のカートリッジの透視図である。
【図44C】図41のカートリッジの透視図である。
【図45】図41のカートリッジの分解透視図である。
【図46】ひとつの実施形態による瞼押さえを備えた、図41のカートリッジの断面図である。
【図47A】保管、供給システムの別の実施形態を示す図である。
【図47B】保管、供給システムの別の実施形態を示す図である。
【図47C】保管、供給システムの別の実施形態を示す図である。
【図47D】保管、供給システムの別の実施形態を示す図である。
【図48】別の実施形態による瞼押さえを備えた、図41のカートリッジの断面図である。
【図49】本発明の他の面による眼科治療装置の、一部除去された透視図である。
【図50A】徐々に大きな力がトリガに加えられる時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50B】徐々に大きな力がトリガに加えられる時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50C】徐々に大きな力がトリガに加えられる時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50D】徐々に大きな力がトリガに加えられる時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50E】トリガが十分に作動された後に徐々に初期状態に戻る時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50F】トリガが十分に作動された後に徐々に初期状態に戻る時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50G】トリガが十分に作動された後に徐々に初期状態に戻る時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図50H】トリガが十分に作動された後に徐々に初期状態に戻る時の図49の眼科治療装置の動作を示す、一部断面の、連続側面図である。
【図51】ハウジングが開いた状態の、図49の眼科治療装置の透視図である。
【図52】図49の眼科治療装置の一部分解透視図である。
【図53】図49の眼科治療装置の一部分解側面図である。
【図54】本発明の別の面により、瞼押さえが取り外し可能に設置された図49のカートリッジの拡大側面図である。
【図55】図54のカートリッジと瞼押さえの透視図である。
【図56】別の実施形態の瞼押さえが取り外し可能に設置された図49のカートリッジの側面図である。
【図57】別の実施形態の瞼押さえが取り外し可能に設置された図49のカートリッジの側面図である。
【図58】図56のカートリッジと瞼押さえの透視図である。
【図59】図49のカートリッジで使用できるノズル、ピストン、バイアルのひとつの実施形態の図である。
【図60A】図49のカートリッジで使用できるノズル、ピストン、バイアルの別の実施形態の図である。
【図60B】図49のカートリッジで使用できるノズル、ピストン、バイアルの別の実施形態の図である。
【図60C】図49のカートリッジで使用できるノズル、ピストン、バイアルの別の実施形態の図である。
【図60D】図49のカートリッジで使用できるノズル、ピストン、バイアルの別の実施形態の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用ディスペンサであって、
流体容器を確定する本体と、
前記容器と流体連通して連結され、軸方向に細長い通路を画定するスライドと、前記軸方向に細長い通路内で滑動可能に受け止められるピストンを有するポンプと、前記スライドは、前記軸方向に細長い通路内に圧縮領域と、前記圧縮領域と前記容器の間に形成された第一の部分と、前記第一の部分に関して前記圧縮領域の反対側に位置する第二の部分を画定し、前記第一の部分は第一の半径によって画定され、前記圧縮領域は前記第一の半径より小さい第二の半径によって画定され、前記ピストンとスライドのうち少なくとも一方は、(i)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第一の部分の中に受け止められ、前記圧縮領域が前記容器と流体連通して接続され、そこから流体を受ける第一の作動位置と、(ii)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中で受容される休止位置との間でもう一方に関して移動可能であり、
ノズルは、環状の、軸方向に延びる弁座(バルブシート: valve seat)と、前記弁座と前記圧縮領域との間で流体連通して連結された排出口と、前記弁座周辺に延び、その間に環状の、軸後方に延びる接合面を形成する撓み性の弁覆い(バルブカバー: valve cover)を備え、前記接合面は、前記排出口と流体連通して連結可能であり、前記弁覆いの少なくとも一部は、(i)前記弁覆いが前記弁座と係合し、その間に流体密封止部を形成する、通常は閉鎖している位置と、(ii)前記弁覆いの少なくとも一部が、流体が前記排出口から弁開放のための圧力より大きな圧力で流れたことに応答し、前記弁座から離れ、その間を加圧された流体に通過させる開放位置との間で移動可能であり、
前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続される少なくともひとつのスプリングを備え、前記スプリングは、前記ピストンと前記スライドのうちの少なくとも一方を前記第一の作動位置から前記休止位置へと駆動させ、前記圧縮領域内の流体を加圧し、次に、流体の計量された投与量を前記弁から使用者の眼に供給する
ことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、さらに、
アクチュエータは、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続され、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を前記休止位置から前記第一の作動位置に移動させることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項3】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ポンプは細長い軸を画定し、前記アクチュエータは、前記ポンプの前記細長い軸を横切る運動経路を画定することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項4】
請求項2に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記アクチュエータは、トリガと、前記トリガと前記ピストンならびにスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続され、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を、前記トリガの運動に応答して、前記休止位置から前記第一の作動位置に移動させるレバーアームとを備えることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項5】
請求項4に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記スプリングは、前記レバーアームと一体的に形成されていることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項6】
請求項5に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記スプリングは、前記本体と係合し、前記本体を移動させ、次に、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を、前記第一の作動位置から前記休止位置に移動させる前記レバーアームの曲線終端部分によって画定されることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項7】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ピストンの先端と前記スライドの前記圧縮領域のうちの少なくとも一方は、もう一方よりやわらかく、前記ピストンの先端と圧縮領域は締まり嵌めを形成し、これによってその間に流体密封止部を形成することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項8】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記圧縮領域の容量は、前記弁から供給される流体の計量された投与量の容量とほぼ等しいことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項9】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記休止位置において、前記ピストンの先端は前記スライドの前記第二の部分に位置し、前記排出口は前記容器と流体連通して接続され、前記排出口と前記圧縮領域との間の圧力を低減させ、前記弁を閉じることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項10】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ピストンと前記スライドのうちの少なくとも一方は、(i)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中に位置する前記休止位置と、(ii)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第一の部分の中に位置し、前記圧縮領域が前記容器と流体連通して接続され、そこから流体を受ける前記第一の作動位置と、(iii)前記ピストンの先端が前記圧縮領域内に位置し、前記ピストンの先端と圧縮領域との間に流体密封止部が形成され、前記圧縮領域内の前記流体を、前記弁開放のための圧力より大きな圧力に加圧し、前記加圧流体が前記弁を開け、前記弁から供給される第二の作動位置と、(iv)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中に位置し、前記排出口が前記容器と流体連通して連結され、前記排出口と前記圧縮領域との間の圧力を低減させ、前記弁を閉じる前記休止位置との間を、もう一方に関して移動可能であることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項11】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ノズルは、前記休止位置にある前記ピストンの先端と接触する停止面を画定し、前記ピストンの先端と停止面の表面が協働し、前記ピストンの先端が前記休止位置にあるときに、前記スライドの前記第二の部分の中の容量をほぼゼロにすることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項12】
請求項1に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記停止面は第一の形態を画定し、前記ピストンの先端は、前記第一の形態とほぼ一致する第二の形態を画定することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項13】
請求項12に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ノズルは、単独の、角度的に延長する排出口を画定することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項14】
請求項13に記載の眼科用ディスペンサであって、さらに、
眼の付近の顔面組織と係合し、瞼を下方に移動させ、計量された投与量の供給時に結膜嚢内を露出させる瞼押さえを備え、前記ノズルの排出口は、前記瞼押さえと位置合わせされ、前記露出された結膜嚢内に計量された投与量を供給することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項15】
液体を供給する眼科用ディスペンサであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結された第一のアクチュエータと、
自容型カートリッジと、を備え、
前記カートリッジは、
バイアルと、前記バイアルは内側に内部流体受容チャンバを備え、
前記流体受容チャンバと流体連通し、その中で受容される液体を前記ディスペンサから圧送するためのポンプと、
前記ポンプと流体連通して設置され、圧送された液体にその中を通過させるノズルと、
前記ノズル、前記ポンプ、前記バイアルを、この順序で、縦軸に沿って、前記ディスペンサの後方端部に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、を備え、前記ケースは、前記ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、
前記ケースに接続され、前記第一のアクチュエータに応答する第二のアクチュエータと、前記第二のアクチュエータは、前記ケースの外側に位置する少なくとも一部と、前記ケースの内側に位置する少なくとも一部を有し、前記ポンプと前記バイアルのうちの少なくとも一方に機能的に連結されており、前記アクチュエータの作動の第一段階において、前記ポンプと前記バイアルのうちの少なくとも一方は、縦軸に沿ってもう一方に向かう方向に移動し、前記アクチュエータによる作動の第二段階において、前記ポンプと前記バイアルのうちの少なくとも一方は、もう一方から遠ざかる方向に移動する、
ことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項16】
請求項15に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記カートリッジは、一体的に形成され、相互に結合してケースを形成する2つの主要部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項17】
請求項15に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記第二のアクチュエータは、第一の端部と第二の端部を有し、前記第一の端部は前記ケースに枢支され、前記第二の端部は前記ポンプに機能的に接続され、前記アクチュエータはさらに、前記第一の端部と前記第二の端部の間に設置された枢軸を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項18】
請求項15に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ケースはさらに、前記バイアルの縦軸方向に延びる部分とほぼ一致する内側表面を有する縦軸方向に延びる部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項19】
請求項15に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記バイアル、ポンプ、前記ノズルは、流体保管供給システムの一部を形成し、前記流体保管供給システムは、ある形状を画定する外囲容器を有し、前記ケースは、前記流体保管供給システムの前記外囲容器によって画定される前記形状とほぼ同じ形状を画定する外囲容器を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項20】
方法であって、
点眼液を保管し、供給する複数のカートリッジを提供するステップと、前記複数のカートリッジは相互にほぼ同一で、各々がバイアルと、ポンプと、ノズルとを有し、前記バイアルは内部に画定される内部流体受容チャンバを有し、前記ポンプは前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受けられる流体を前記カートリッジから圧送し、前記ノズルは前記ポンプと流体連通して設置され、前記圧送された流体にその中を通過させ、前記カートリッジはさらに、前記ノズル、前記ポンプ、前記バイアルを、この順序で、縦軸に沿って、前記カートリッジの後方端部に向かう方向で配置した状態で保持するケースと、前記ポンプと機能的に接続されたアクチュエータを備え、
前記複数のカートリッジのうちの少なくともひとつを、前記カートリッジに機能的に接続されたアクチュエータを有する眼科用ディスペンサ内に取り付けるステップと、前記アクチュエータの作動により供給が始まり、
前記カートリッジに機能的に接続されたアクチュエータを有する眼科用ディスペンサに前記カートリッジを設置することなく、前記カートリッジのうちの少なくともひとつを使って点眼液を供給するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
方法であって、
点眼液を保管し、供給する複数のカートリッジを提供するステップと、前記複数のカートリッジは相互にほぼ同一で、各々がバイアル、ポンプ、ノズルを有し、前記バイアルは内部に画定された内部流体受容チャンバを有し、前記ポンプは前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受ける液体を前記カートリッジから圧送し、前記ノズルは前記ポンプと流体連通して配置され、圧送された液体にその中を通過させ、前記カートリッジはさらに、前記ノズル、前記ポンプ、前記バイアルを、この順序で、縦軸に沿って、前記カートリッジの後方端部に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、前記ポンプと機能的に接続されたアクチュエータを備え、
前記カートリッジを受け、作動させるよう調整された複数のディスペンサを提供するステップと、
前記カートリッジのうちの少なくともひとつを、前記ディスペンサのうちの少なくともひとつと一緒に販売するステップと、
前記カートリッジのうちの少なくともひとつを、ディスペンサなしで販売するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
流体を供給する眼科用ディスペンサであって、
自容型交換可能カートリッジと、前記カートリッジは、
バイアルを含む後方部分と、前記バイアルは内部に画定された内部流体受容チャンバを有し、
前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受ける点眼液を前記ディスペンサから圧送するポンプと、
前記ポンプと流体連通して配置され、圧送された液体にその中を通過させるノズルと、
前記ノズル、前記ポンプ、前記後方部分を、この順序で、縦軸に沿って、前記ディスペンサの後方端部に向かって配置した状態で保持するケースと、前記ポンプは前記後方部分の少なくとも一部に機能的に接続され、前記縦軸に沿って、前記軸に沿った前記後方部分の前記少なくとも一部の運動と一緒に移動し、前記ケースは前記ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、
前記後方部分の前記少なくとも一部に機能的に接続されるアクチュエータを備え、作動の第一段階において、前記アクチュエータは、前記後方部分の前記少なくとも一部を前記縦軸に沿って、前記ケースの前記後方端部に向かう方向に移動させ、それによってポンプを同じ方向に移動させ、作動の第二段階において、前記後方部分は前記縦軸に沿って、前記ケースの前記前方端部に向かう方向に移動し、これによってポンプを前記ケースの前記前方端部に向かう方向に移動させる
ことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項23】
請求項22に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記カートリッジは、一体的に形成され、相互に結合し、前記ケースを形成する2つの主要部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項24】
請求項23に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ケースはさらに、前記バイアルの縦軸方向に延びる部分とほぼ一致する内側表面を有する縦軸方向に延びる部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項25】
請求項22に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記バイアル、ポンプおよび前記ノズルは、流体保管供給システムの一部を形成し、前記流体保管供給システムは、ある形状を画定する外囲容器を有し、前記ケースは、前記流体保管供給システムの前記外囲容器によって画定される前記形状とほぼ同じ形状を画定する外囲容器を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項26】
液体を供給する眼科用ディスペンサであって、
カートリッジと、前記カートリッジは、
バイアルと、前記バイアルは内部に画定される内部流体受容チャンバを有し、
前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受ける点眼液を前記ディスペンサから圧送するポンプと、
前記ポンプと流体連通して設置され、圧送された液体に内部を通過させるノズルと、
内部に画定される前記内部流体受容チャンバの後方に配置されるスプリング部分と、
前記ノズル、前記ポンプと、前記バイアルを、この順序で、縦軸に沿って前記ディスペンサの後方端部に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、前記ケースは前記ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、
前記ポンプに機能的に接続されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、作動の第一段階において、ポンプを縦軸に沿って前記ケースの前記後方端部に向かう方向に移動させ、それによって前記内部流体受容チャンバに力を加えて前記スプリングを圧縮し、作動の第二段階において、前記圧縮されたスプリングは前記ポンプを前記ケースの前記前方端部に向かって移動させるのを助ける力をかける
ことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項27】
液体を供給するための眼科用ディスペンサであって、
自容型交換可能カートリッジと、前記カートリッジは、
バイアルと、前記バイアルは内部に画定された内部流体受容チャンバを有し、
前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受ける点眼液を前記ディスペンサから圧送するポンプと、
前記ポンプと流体連通して配置され、圧送された液体にその中を通過させるノズルと、
前記ノズル、前記ポンプ、前記バイアルを、この順序で、縦軸に沿って、前記ディスペンサの後方端部に向かって配置した状態で保持するケースと、前記ケースは、前記ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、
第一の端部と第二の端部を有するアクチュエータを備え、前記第一の端部は前記ケースに枢支され、前記第二の端部は前記ポンプに機能的に連結され、前記アクチュエータはさらに、前記第一の端部と前記第二の端部との間に設置される枢動部を有している
ことを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項28】
請求項27に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記カートリッジは一体的に形成され、相互に結合して前記ケースを形成する2つの主要部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項29】
請求項28に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ケースはさらに、前記バイアルの縦軸方向に延びる部分とほぼ一致する内側表面を有する縦軸方向に延びる部分を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項30】
請求項27に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記バイアル、ポンプおよび前記ノズルは、流体保管供給システムの一部を形成し、前記流体保管供給システムは、ある形状を画定する外囲容器を有し、前記ケースは前記流体保管供給システムの前記外囲容器によって画定される前記形状とほぼ同じ形状を画定する外囲容器を有することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項31】
眼科用ディスペンサであって、
流体容器を形成する第一の手段と、
前記容器と流体連通して接続され、軸方向に細長い通路と、前記軸方向に細長い通路内で流体を圧送するための第二の手段を有するポンプと、前記ポンプは前記軸方向に細長い通路内の圧縮領域と、前記圧縮領域と前記容器との間に形成される第一の部分と、前記圧縮領域の前記第一の部分に関して反対側に位置する第二の部分を画定し、前記第一の部分は第一の寸法によって画定され、前記圧縮領域は、前記第一の寸法より小さい第二の寸法によって画定され、前記第二の手段と軸方向に細長い通路のうちの少なくとも一方は、(i)前記第二の手段が前記軸方向に細長い通路の前記第一の部分の中で受け止められ、前記圧縮領域が前記タンクと流体連通して接続され、そこからの流体を受ける第一の作動位置と、(ii)前記第二の手段が前記軸方向に細長い通路の前記第二の部分の中で受け止められる休止位置との間で、もう一方に関して移動可能であり、
環状の、軸方向に延びる弁座と、前記弁座と前記圧縮領域との間に流通連通して連結される排出口と、前記弁座周辺に延び、その間に環状の、軸方向に延びる接合面を形成する撓み性の弁覆いを備える弁を有するノズルと、前記接合面は、前記排出口に流体連通して連結可能で、前記弁覆いの少なくとも一部は、(i)前記弁覆いが前記弁座と係合し、前記接合面を閉じ、その間に流体密封止部を形成する、通常は閉じている位置と、(ii)流体が前記排出口から、弁開放のための圧力より大きな圧力で流れたのに応答し、前記弁の少なくとも一部が前記弁座から離れ、その間を加圧された流体が流れるようにする開放位置との間で移動可能であり、
前記第二の手段と前記軸方向に細長い通路のうちの少なくとも一方を前記第一の作動位置から前記休止位置に迂回させ、次に、前記圧縮領域内の流体を加圧して流体を前記弁から使用者の眼に供給する第三の手段と、
を備えることを特徴とする眼科用ディペンサ。
【請求項32】
請求項31に記載の眼科用ディスペンサであって、さらに、
前記ポンプを作動させ、次に、前記第二の手段と軸方向に細長い通路のうちの少なくとも一方を、もう一方に関して移動させる第四の手段を備えることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項33】
請求項32に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記ポンプは細長い軸を画定し、前記第四の手段は、前記ポンプの前記細長い軸を横切る運動経路を画定することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項34】
請求項31に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記第四の手段は、トリガと、前記第一の手段と前記ポンプのうちの少なくとも一方に駆動的に接続されたレバーアームを備え、前記レバーアームは、前記第二の手段と軸方向に細長い通路のうちの少なくとも一方を、もう一方に関して移動させるよう、前記トリガによって係合可能であることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項35】
請求項34に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記レバーアームは、(1)前記トリガの運動とともに半径方向と軸方向に屈撓自在に移動する撓み性の曲線本体と、(2)第一のアーム部、第二のアーム部、前記第一と第二のアーム部を相互に屈撓自在に接続し、前記トリガの運動と一緒に前記第一と第二のアーム部の半径方向と軸方向の運動を可能にする一体の蝶番のうちの少なくとも一方を画定することを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項36】
請求項31に記載の眼科用ディスペンサであって、さらに、
前記第一の手段と前記ポンプのうちの少なくとも一方に駆動的に接続され、前記第三の手段を画定するアクチュエータを備えることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項37】
請求項36に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記第三の手段は、前記第一の手段と係合し、前記第一の手段を移動させ、次に、前記第二の手段と軸方向に細長い通路のうちの少なくとも一方をもう一方に関して移動させる、前記アクチュエータの撓み性曲線部によって画定されることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項38】
請求項31に記載の眼科用ディスペンサであって、さらに、
眼の付近の顔面組織と係合可能で、前記組織を移動させ、次に、付近の瞼を下方に移動させる瞼押さえと、前記瞼押さえと、前記第一の手段および前記ポンプのうちの少なくとも一方の両方に駆動的に接続され、前記瞼押さえと前記ポンプをほぼ同時に作動させるアクチュエータを備えることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項39】
請求項38に記載の眼科用ディスペンサであって、
前記第三の手段は前記アクチュエータによって形成されることを特徴とする眼科用ディスペンサ。
【請求項40】
眼科用ディスペンサを充填する方法であって、
前記眼科用ディスペンサは、第一の流体受容チャンバを画定する剛性ハウジングと、前記第一の流体受容チャンバに関して軸方向に間隔を空けて設置され、これと流体連通して連結可能な第二の流体受容チャンバを画定するフランジ、前記ハウジングの前記第一の流体受容チャンバ内で受け止められる、軸方向に延びる本体部分と、第一の環状密閉表面と、前記第一の環状密閉表面の、前記軸方向に延びる本体部分に関して反対側に軸方向に間隔を空けて設置され、前記ハウジングの前記フランジ内で受け止められる第二の環状密閉表面を画定する撓み嚢体、前記第一の流体受容チャンバと流体連通して接続されるポンプ、環状の、軸方向に延びる弁座と、前記弁座と前記ポンプとの間に流体連通して接続される排出口と、前記弁座付近に延び、その間に環状の、軸方向に延びる接合面を形成する撓み性の弁覆いを有するノズルとを備え、前記接合面は前記排出口と流体連通して連結可能であり、前記弁覆いの少なくとも一部は、(i)前記弁覆いが前記弁座と係合し、前記接合面を閉じ、その間に流体密封止部を形成する、通常は閉じている位置と、(ii)流体が、弁開放のための圧力より大きな圧力で前記排出口を流れたのに応答し、前記弁覆いの少なくとも一部を前記弁座から離し、加圧された流体にその間を通過させる開放位置の間を移動可能で、前記ポンプとハウジングのうちの少なくとも一方に駆動的に接続された少なくともひとつのスプリングと、前記スプリングは前記ポンプとハウジングの少なくとも一方を、もう一方に関して移動させて前記ポンプを作動させ、前記方法は、
(i)点眼液を前記ハウジングの前記第一の流体受容チャンバの中に導入するステップと、
(ii)前記撓み嚢体の前記軸方向に細長い本体部分を前記ハウジングの前記第一の流体受容チャンバの中に少なくとも部分的に挿入し、前記第一の流体受容チャンバに点眼液が充填され、前記第二の流体受容チャンバに少なくとも一部的に点眼液が充填されるようにするステップと、
(iii)前記嚢体の前記第一の環状密閉表面と前記ハウジングの間に第一の実質的な流体密封止部を形成し、前記嚢体の前記第二の環状密閉表面と前記ハウジングの前記フランジの間に第二の実質的な流体密封止部を形成し、前記第一の流体受容チャンバに、実質的に気体を含むことなく点眼液が充填され、前記第二の流体受容チャンバに、点眼液が少なくとも部分的に充填されるようにするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、さらに、
前記撓み嚢体を圧潰させてから、前記嚢体を前記ハウジングの前記第一の流体受容チャンバの中に挿入するステップを含むことを特徴とする方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を供給するディスペンサであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結された第一のアクチュエータと、
自容型カートリッジと、を備え、
前記カートリッジは、
本体と、前記本体は内側に内部流体受容チャンバを備え、
前記流体受容チャンバと流体連通し、その中に受容される流体を前記ディスペンサから圧送するためのポンプと、
前記ポンプと流体連通して設置され、圧送された流体にその中を通過させるノズルと、
前記ノズル、前記ポンプ、前記本体を、この順序で、縦軸に沿って、前記ディスペンサの後方端部に向かう方向に配置した状態で保持するケースと、を備え、前記ケースは、前記ノズルを受けるための開口部を有する前方壁を有し、
前記ケースに接続され、前記第一のアクチュエータに応答する第二のアクチュエータと、を備え、前記第二のアクチュエータは、前記ケースの外側に位置する少なくとも一部と、前記ケースの内側に位置し、前記ポンプと前記本体のうちの少なくとも一方と機能的に接続される少なくとも一部を有し、前記アクチュエータの作動の第一段階において、前記ポンプと前記本体のうちの少なくとも一方は、縦軸に沿ってもう一方に向かう方向に移動し、前記アクチュエータによる作動の第二段階において、前記ポンプと前記本体のうちの少なくとも一方は、もう一方から遠ざかる方向に移動する、
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記カートリッジは、一体的に形成され、相互に結合して前記ケースを形成する2つの主要部分を有することを特徴とするディスペンサ。
【請求項3】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記第二のアクチュエータは、第一の端部と第二の端部を有し、前記第一の端部は前記ケースに枢支され、前記第二の端部は前記ポンプに機能的に接続され、前記アクチュエータはさらに、前記第一の端部と前記第二の端部の間に置された枢軸を有することを特徴とするディスペンサ。
【請求項4】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ケースはさらに、前記本体の縦軸方向に延びる部分とほぼ一致する内側表面を有する縦軸方向に延びる部分を有することを特徴とするディスペンサ。
【請求項5】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記本体、ポンプ、前記ノズルは、流体保管供給システムの一部を形成し、前記流体保管供給システムは、ある形状を画定する外囲容器を有し、前記ケースは、前記流体保管供給システムの前記外囲容器によって画定される前記形状とほぼ同じ形状を画定することを特徴とするディスペンサ。
【請求項6】
請求項1に記載のディスペンサであって、
前記ポンプは、軸方向に細長い通路を画定するスライドと、前記軸方向に細長い通路内で滑動可能に受け止められるピストンを備え、前記スライドは、前記軸方向に細長い通路内に圧縮領域と、前記圧縮領域と前記容器の間に形成された第一の部分と、前記第一の部分に関して前記圧縮領域の反対側に位置する第二の部分を画定し、前記第一の部分は第一の半径によって画定され、前記圧縮領域は前記第一の半径より小さい第二の半径によって画定され、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方は、(i)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第一の部分の中に受け止められ、前記圧縮領域が前記容器と流体連通して接続され、そこからの流体を受ける第一の作動位置と、(ii)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中で受容される休止位置との間でもう一方に関して移動可能であり、
前記ノズルは、環状の、軸方向に延びる弁座(バルブシート: valve seat)と、前記弁座と前記圧縮領域との間で流体連通して連結された排出口と、前記弁座周辺に延び、その間に環状の、軸後方に延びる接合面を形成する撓み性の弁覆い(バルブカバー: valve cover)を備え、前記接合面は、前記排出口と流体連通して連結可能であり、前記弁覆いの少なくとも一部は、(i)前記弁覆いが前記弁座と係合し、その間に流体密封止部を形成する、通常は閉鎖している位置と、(ii)前記弁覆いの少なくとも一部が、流体が前記排出口から弁開放のための圧力より大きな圧力で流れたことに応答し、前記弁座から離れ、その間を加圧された流体に通過させる開放位置との間で移動可能であり、前記ディスペンサはさらに、
前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続される少なくともひとつのスプリングを備え、前記スプリングは、前記ピストンと前記スライドのうちの少なくとも一方を前記第一の作動位置から前記休止位置へと駆動させ、前記圧縮領域内の流体を加圧し、次に、流体の計量された投与量を前記弁から供給することを特徴とするディスペンサ。
【請求項7】
請求項に記載のディスペンサであって
前記第二のアクチュエータは、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続され、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を前記休止位置から前記第一の作動位置に移動させることを特徴とするディスペンサ。
【請求項8】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ポンプは細長い軸を画定し、前記第一のアクチュエータは、前記ポンプの前記細長い軸を横切る運動経路を画定することを特徴とするディスペンサ。
【請求項9】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記第二のアクチュエータは、トリガと、前記トリガと前記ピストンならびにスライドのうちの少なくとも一方に駆動的に接続され、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を、前記トリガの運動に応答して、前記休止位置から前記第一の作動位置に移動させるレバーアームとを備えることを特徴とするディスペンサ。
【請求項10】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記スプリングは、前記レバーアームと一体的に形成されていることを特徴とするディスペンサ。
【請求項11】
請求項10に記載のディスペンサであって、
前記スプリングは、前記本体と係合し、前記本体を移動させ、次に、前記ピストンとスライドのうちの少なくとも一方を、前記第一の作動位置から前記休止位置に移動させる前記レバーアームの曲線終端部分によって画定されることを特徴とするディスペンサ。
【請求項12】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ピストンの先端と前記スライドの前記圧縮領域のうちの少なくとも一方は、もう一方よりやわらかく、前記ピストンの先端と圧縮領域は締まり嵌めを形成し、これによってその間に流体密封止部を形成することを特徴とするディスペンサ。
【請求項13】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記圧縮領域の容量は、前記弁から供給される流体の計量された投与量の容量とほぼ
等しいことを特徴とするディスペンサ。
【請求項14】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記休止位置において、前記ピストンの先端は前記スライドの前記第二の部分に位置し、前記排出口は前記容器と流体連通して接続され、前記排出口と前記圧縮領域との間の圧力を低減させ、前記弁を閉じることを特徴とするディスペンサ。
【請求項15】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ピストンと前記スライドのうちの少なくとも一方は、(i)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中に位置する前記休止位置と、(ii)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第一の部分の中に位置し、前記圧縮領域が前記容器と流体連通して接続され、そこから流体を受ける第一の作動位置と、(iii)前記ピストンの先端が前記圧縮領域内に位置し、前記ピストンの先端と圧縮領域との間に流体密封止部が形成され、前記圧縮領域内の前記流体を、前記弁開放のための圧力より大きな圧力に加圧し、前記加圧流体が前記弁を開け、前記弁から供給される第二の作動位置と、(iv)前記ピストンの先端が前記スライドの前記第二の部分の中に位置し、前記排出口が前記容器と流体連通して連結され、前記排出口と前記圧縮領域との間の圧力を低減させ、前記弁を閉じる前記休止位置との間を、もう一方に関して移動可能であることを特徴とするディスペンサ。
【請求項16】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ノズルは、前記休止位置にある前記ピストンの先端と接触する停止面を画定し、前記ピストンの先端と停止面の表面が協働し、前記ピストンの先端が前記休止位置にあるときに、前記スライドの前記第二の部分の中の容量をほぼゼロにすることを特徴とするディスペンサ。
【請求項17】
請求項16に記載のディスペンサであって、
前記停止面は第一の形態を画定し、前記ピストンの先端は、前記第一の形態とほぼ一致する第二の形態を画定することを特徴とするディスペンサ。
【請求項18】
請求項に記載のディスペンサであって、
前記ノズルは、単独の、角度的に延長する排出口を画定することを特徴とするディスペンサ。
【請求項19】
請求項18に記載のディスペンサであって、
前記ディスペンサは眼科用ディスペンサであり、さらに、眼の付近の顔面組織と係合し、瞼を下方に移動させ、計量された投与量の供給時に結膜嚢内を露出させる瞼押さえを備え、前記ノズルの排出口は、前記瞼押さえと位置合わせされ、前記露出された結膜嚢内に計量された投与量を供給することを特徴とするディスペンサ。
【請求項20】
方法であって、
流体を保管供給するカートリッジを提供するステップと、前記カートリッジは本体と、ポンプと、ノズルとを有し、前記本体は内部に画定される内側流体受容チャンバを有し、前記ポンプは前記流体受容チャンバと流体連通し、そこで受けられる流体を前記カートリッジから圧送し、前記ノズルは前記ポンプと流体連通して設置され、前記圧送された流体にその中を通過させ、前記カートリッジはさらに、前記ノズル、前記ポンプ、前記本体を、この順序で、縦軸に沿って、前記カートリッジの後方端部に向かう方法で配置した状態で保持するケースと、前記ポンプに機能的に接続されたアクチュエータを備え、
記カートリッジを、前記カートリッジに機能的に接続されたアクチュエータを有するディスペンサ内に取り付けるステップと、を含み、前記アクチュエータの作動により供給が始まることを特徴とする方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図42】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【図48】
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【図49】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【公表番号】特表2006−516101(P2006−516101A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501655(P2005−501655)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033503
【国際公開番号】WO2004/037708
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】