説明

剥離型水性粘着シート、剥離型水性粘着剤組成物及び、それを用いた貼るカイロ用粘着部材、並びに貼るカイロ

【課題】 貼るカイロ用の粘着剤、粘着テープ、粘着シートの粘着剤として使用でき、綿やポリエステル布など種々の衣服を被着体としたときの低温接着力、温熱使用時の接着力、温熱使用後の剥離性、耐湿剥離性などの性能に優れた、剥離型水性粘着シート及び剥離型水性粘着剤組成物の提供。
【解決手段】 アクリル系樹脂エマルジョンが架橋剤により架橋された水性粘着剤層を有する剥離型水性粘着シートであって、水性粘着シートの綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上である剥離型水性粘着シート、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル60〜99.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体0〜38.9重量%を含む単量体混合物を乳化重合させて得られるゲル分率が70重量%以下のアクリル系樹脂エマルジョン及び架橋剤を含有してなる剥離型水性粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離型水性粘着剤組成物に関し、更に詳しくは、綿やポリエステル布など種々の衣服を被着体としたときの低温接着力、温熱使用時の接着力、温熱使用後の剥離性、耐湿剥離性などの性能に優れた、剥離型水性粘着シート、剥離型水性粘着剤組成物及び、それを用いた貼るカイロ用粘着部材、並びに貼るカイロに関するものである。
なお、本発明において、剥離型とは、被着体に貼着した後でも剥離することができることの意味であり、貼着及び剥離の操作は複数回であってもよい。
【背景技術】
【0002】
従来より、粘着剤や粘着シートなどにより、衣類や身体などに自在に貼着できる使い捨ての貼るカイロが知られている。かかる使い捨て貼るカイロに用いられる粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、酢酸ビニル系などの有機溶剤型もしくは水性型の粘着剤が用いられる。
このような貼るカイロに用いる粘着剤としては、例えば、粘着剤の対綿布接着力において、カイロが被着体に貼着固定されて温熱効果を発現した後の該接着力が、温熱効果を発現する前の接着力の4倍以下であるカイロ用粘着部材(例えば、特許文献1参照。)や、スチレン系ブロック共重合体をベースポリマーとし、S−S曲線における伸びが3000%以下で、かつ最大強度と破断強度との間における伸びが50%以下である粘着層を有する使い捨てカイロ(例えば、特許文献2参照。)、スチレン系ブロック共重合体を主成分とし、粘着剤中に芳香族変性テルペン樹脂を3〜25重量%含有するカイロ用粘着部材(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
【特許文献1】特開平7−8517号公報
【特許文献2】特開2000−26818号公報
【特許文献3】特開2000−44902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示の技術では、使い捨て貼るカイロ用の粘着剤としてはまだまだ満足のいくものではなく、貼るカイロ用の粘着剤として求められている、綿やポリエステル布等種々の衣服用被着体に対する接着力、寒冷環境下での使用を想定した低温接着力、温熱使用時の接着力、温熱使用後の剥離性、発汗時の耐湿剥離性といった粘着性能について、更なる改良が求められるものであった。
【0004】
そこで、本発明ではこのような背景下において、綿やポリエステル布等の衣服用基材に対する接着力、特に低温接着性に優れ、かつ耐熱接着力に優れ、更には耐熱及び耐湿剥離性にも優れた、剥離型水性粘着シート、剥離型水性粘着剤組成物、及びそれを用いた使い捨ての貼るカイロ用粘着部材、並びに貼るカイロを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、
〔1〕アクリル系樹脂エマルジョン[A]が架橋剤[B]により架橋された水性粘着剤層を有する剥離型水性粘着シートであって、かつ、水性粘着シートの綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上である剥離型水性粘着シート、
〔2〕炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)1〜20重量%、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)0〜38.9重量%を含む単量体混合物を乳化重合させて得られるゲル分率が70重量%以下のアクリル系樹脂エマルジョン[A]及び架橋剤[B]を含有してなる剥離型水性粘着剤組成物
が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明では、アクリル系樹脂エマルジョン[A]が、アニオン型反応性乳化剤の存在下に乳化重合させて得られるものであることが好ましい。
更に、架橋剤[B]が、カルボジイミド系化合物(b1)、オキサゾリン系化合物(b2)、エポキシ系化合物(b3)及び金属化合物(b4)から選ばれる少なくとも1種であることが耐熱及び耐湿剥離性に優れる点から望ましい。
【0007】
本発明では、得られる粘着シートの離型紙の剥離力を調整するために、ヒドラジン系化合物[C]を含有させることがより好ましい。
【0008】
また、本発明では、更に濡れ剤[D]を含有することが好ましく、かかる濡れ剤[D]が、アセチレングリコール構造を有してなる化合物を含有してなることがハジキや発泡が少なく塗工性に優れる点から望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の剥離型水性粘着シート及び剥離型水性粘着剤組成物は、綿やポリエステル布等種々の衣服用基材を被着体としたときの低温接着力、温熱使用時の高温接着力、温熱使用後の剥離性及び耐湿剥離性等の性能に優れた効果を有するものであり、特に、使い捨ての貼るカイロ用の粘着シートとして非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、アクリル系樹脂エマルジョン[A]が架橋剤[B]により架橋された水性粘着剤層を有する剥離型水性粘着シートであって、かつ、粘着シートにしたときの綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上である剥離型水性粘着シートである。従来の剥離型水性粘着シート、とりわけ貼るカイロ用の剥離型水性粘着シートとして、綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上であるものはなかった。
本発明で用いられるアクリル系樹脂エマルジョン[A]は、アクリル系単量体を主たる共重合成分とするものであればよいが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)1〜20重量%、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)0〜38.9重量%を含む単量体混合物を、乳化重合させてなるものである。
【0011】
炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、特に限定されず、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもメチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。又、これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0012】
炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)としては、特に限定されず、例えばn−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数4〜8のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。又、これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0013】
カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)としては、特に限定されず、例えばアクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられ、中でもアクリル酸、メタクリル酸等が好ましく用いられる。又、これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0014】
更に、その他の不飽和単量体(a4)としては、特に限定されず、例えばトリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等の炭素数13以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0015】
更に、不飽和単量体(a4)として、上記の他に、官能基含有不飽和単量体(但し、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)を除く。)、例えば水酸基含有不飽和単量体、エポキシ基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、アミド基やメチロール基、カルボニル基を含有する不飽和単量体、多官能性不飽和単量体等を用いてもよい。
【0016】
水酸基含有不飽和単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
アルコキシシリル基含有不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
【0018】
アミド基やメチロール基を含有する不飽和単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシN−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0019】
多官能性不飽和単量体としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等が挙げられる。又、これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0020】
本発明において、上記炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)、その他の不飽和単量体(a4)の含有割合としては、好ましくは炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が1〜20重量%、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)が60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)が0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)が0〜38.9重量%であり、より好ましくは炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が1〜18重量%、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)が65〜98.5重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)が0.5〜15重量%、その他の不飽和単量体(a4)が0〜33.5重量%であり、更に好ましくは炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が1〜15重量%、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)が70〜98重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)が1〜10重量%、その他の不飽和単量体(a4)が0〜28重量%である。
【0021】
炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が上記下限値未満では十分な剥離性が得られず、上限値を超えると充分な粘着力、タックが得られない傾向にある。炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)が上記下限値未満では充分な粘着力、タックが得られず、上限値を超えるとカルボキシル基含有不飽和単量体(a3)が少量となり充分な粘着力と剥離性が得られない傾向にある。カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)が上記下限値未満では重合安定性や機械安定性が低下するとともに剥離性が不充分となり、上限値を超えるとエマルジョンの粘度が上昇し取り扱いが悪くなり、又粘着力、タックも低下する傾向にある。その他の不飽和単量体(a4)が上記上限値を超えると粘着力、タックが低下する傾向にある。
【0022】
本発明では、上記炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)、その他の不飽和単量体(a4)の単量体混合物を用いて、乳化重合させてアクリル系樹脂エマルジョン[A]を得るわけであるが、かかる乳化重合においては反応性乳化剤の存在下に行うことが好ましく、かかる反応性乳化剤を用いることにより、基材密着性や剥離性が良好となり、本発明の効果を顕著に発揮する。反応性乳化剤の中でも特にアニオン型反応性乳化剤がより顕著な効果を発揮する。
【0023】
かかるアニオン型反応性乳化剤としては、アニオン型であって、かつ反応性を有する乳化剤であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)〜(11)のような構造をもつものが挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
〔ここで、一般式(1)〜(11)において、R1はアルキル基、R2は水素又はメチル基、R3はアルキレン基、nは1以上の整数、m、lは1以上の整数(m+l=3)、XはSO3NH4、SO3Naのいずれかである。〕
【0036】
上記乳化剤として具体的には、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープPP−70」、「アデカリアソープPP−710」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」〔以上、旭電化工業社製〕、「エレミノールJS−2」、「エレミノールJS−20」、「エレミノールRS−30」〔以上、三洋化成工業社製〕、「ラテムルS−180A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルPD−104」〔以上、花王社製〕、「アクアロンBC−05」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−20」、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「ニューフロンティアS−510」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」〔以上、第一工業製薬社製〕、「フォスフィノ−ルTX」〔東邦化学工業社製〕)等の市販品が挙げられる。
【0037】
かかるアニオン型反応性乳化剤の使用量は、(a1)〜(a4)の単量体混合物100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.8〜7重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。該乳化剤が上記下限値未満では乳化重合が不安定となる傾向にあり、上限値を超えると未反応の乳化剤が多くなり基材密着性や被着体汚染の原因となる傾向にある。
尚、乳化剤は単量体混合物からなる乳化モノマー液に添加したり、予め重合缶に添加しておいてもよく、又両者を併用してもよい。
【0038】
又、必要に応じて、反応性を有しないアニオン型乳化剤や、反応性を有しないノニオン型乳化剤或いはノニオン型反応性乳化剤を併用することもできる。
反応性を有しないアニオン型乳化剤としては、例えばアルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0039】
反応性を有しないノニオン型乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸等が挙げられる。
【0040】
ノニオン型反応性乳化剤としては、例えば上記一般式(1)〜(11)において、Xが水素に変更されたものが挙げられ、具体的には、「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」、「アデカリアソープNE−40」、「アデカリアソープER−10」、「アデカリアソープER−20」、「アデカリアソープER−30」、「アデカリアソープER−40」、〔以上、旭電化工業社製〕、「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」〔以上、第一工業製薬社製〕等の市販品が挙げられる。
【0041】
乳化重合を行うに当たっては重合開始剤を用いるが、かかる重合開始剤としては、特に制限されず、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能で、具体的には、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2'−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等が挙げられ、これらの中でも重合安定性に優れる点で、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、レドックス系触媒(酸化剤:過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、還元剤:亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム)等が好適である。
【0042】
重合開始剤の使用量は、(a1)〜(a4)の単量体混合物100重量部に対して、0.01〜5重量部、更には0.03〜3重量部であることが好ましく、下限値未満では重合速度が遅くなり、上限値を超えると剥離性が低下する傾向にある。
【0043】
尚、該重合開始剤は重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、必要に応じて重合途中に追加添加してもよい。又、(a1)〜(a4)の単量体混合物に予め添加したり、該単量体混合物からなる乳化液に添加してもよい。添加に当たっては重合開始剤を別途溶媒や上記単量体に溶解して添加したり、溶解した重合開始剤を更に乳化状にして添加してもよい。
【0044】
又、必要に応じて、重合時に、pH調整のため、pH緩衝剤を併用してもよく、該pH緩衝剤の使用量は、(a1)〜(a4)の単量体混合物100重量部に対して0.01〜10重量部、特には0.1〜3重量部であることが好ましい。
かかるpH緩衝剤としては、pH緩衝作用を有するものであれば特に制限されないが、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0045】
水の使用量は、(a1)〜(a4)の単量体混合物100重量部に対して、30〜400重量部であることが好ましく、より好ましくは35〜200重量部、特に好ましくは40〜150重量部である。水の使用量が下限値未満では得られる樹脂組成物が高粘度となり、又、重合安定性も低下する傾向となり、上限値を超えると得られる樹脂組成物の濃度が低くなり、被膜化する際の乾燥性が低下する傾向となる。
【0046】
上記(a1)〜(a4)の単量体混合物を反応性乳化剤、好ましくはアニオン型反応性乳化剤の存在下に、上記開始剤により重合を行うのであるが、その方法としては、
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し重合する、
(2)反応缶に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温し重合した後、残りの単量体混合物を滴下又は分割添加して重合を継続する、
(3)反応缶に水、乳化剤等を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物を全量滴下又は分割添加して重合する、
等が挙げられるが、重合温度の制御が容易である点で、(2)、(3)の方法が好ましい。
【0047】
上記重合方法における重合条件としては、特に限定されないが、例えば、
(1)の方法では、通常40〜100℃程度の温度範囲が適当であり、昇温開始後1〜8時間程度重合反応を行う。
(2)の方法では、単量体混合物の1〜50重量%を40〜90℃で0.1〜4時間重合した後、残りの単量体混合物を1〜5時間程度かけて滴下又は分割添加して、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。
(3)の方法では、重合缶に水を仕込み、40〜90℃に昇温し、単量体混合物を2〜5時間程度かけて滴下又は分割添加し、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。
【0048】
上記重合方法において、単量体混合物は、乳化剤(又は乳化剤の一部)を単量体混合物に溶解しておくか、又は、予めO/W型の乳化液の状態としておいたほうが重合安定性の点で好ましい。
乳化液の調整方法としては、特に限定されないが、水に乳化剤を溶解した後上記(a1)〜(a4)を仕込み、この混合液を撹拌乳化する方法、或いは水に乳化剤を溶解した後撹拌しながら上記(a1)〜(a4)を仕込む方法等が挙げられる。
【0049】
上記乳化液の乳化の際の撹拌は、各成分を混合し、ホモディスパー、パドル翼等の撹拌翼を取り付けた撹拌装置を用いて行うことができる。
乳化時の温度は、乳化中に混合物が反応しない程度の温度であれば問題なく、通常5〜60℃程度が適当である。
【0050】
さらに、アンモニア水、各種水溶性アミン、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加し、pH5〜9、好ましくはpH6〜8に調整することにより、本発明で用いられるアクリル系樹脂エマルジョン[A]を得る。上記アルカリ水溶液は重合中又は重合終了後に添加することができるが、重合安定性及び得られるエマルジョンの経時粘度安定性の点から、重合中の熟成段階で一部又は全量を添加することが好ましい。
【0051】
かくしてアクリル系樹脂エマルジョン[A]が得られるが、本発明においては、かかるアクリル系樹脂エマルジョン[A]のゲル分率が70重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜55重量%である。かかるゲル分率が70重量%を超えると充分な基材密着性が得られず、剥離後の糊残りの原因となる傾向にある。
【0052】
かかるアクリル系樹脂エマルジョン[A]のゲル分率を70%以下に調整する方法としては、代表的には、重合時にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類などの連鎖移動剤を併用したり、重合開始剤を通常より多く用いるなど量の調整を行うことにより製造することができる。
【0053】
尚、アクリル系樹脂エマルジョン[A]のゲル分率とは、樹脂組成物の溶剤不溶解分の割合のことであり、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の、40℃で24時間乾燥した10μmの塗膜において、トルエンに20℃で24時間浸漬し乾燥したときの、浸漬前の塗膜重量に対する浸漬後の残存塗膜重量の割合(%)として求められる。
【0054】
又、得られたアクリル系樹脂エマルジョン[A]中のアクリル系樹脂の平均粒子径については1000nm以下、特には200〜700nm、更には120〜500nmの微粒子であることが基材密着性や耐水性の点で好ましい。
【0055】
更に、得られたアクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分濃度は10〜65重量%、特には20〜55重量%であることが乾燥性、塗工性の点で好ましく、又、アクリル系樹脂エマルジョン[A]中のアクリル系樹脂のガラス転移温度が−70〜−30℃であることが、低温タック、低温接着力と剥離性のバランスの点で好ましく、特には−60〜−35℃、更には−55〜−40℃であることが好ましい。
【0056】
次に、本発明で用いられる架橋剤[B]としては、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)のカルボキシル基と架橋するものであれば特に限定されず、例えば、カルボジイミド系化合物(b1)、オキサゾリン系化合物(b2)、エポキシ系化合物(b3)、金属系化合物(b4)、アジリジン系化合物、イソシアネート系化合物、メラミン系化合物、アミン系化合物等が挙げられるが、中でも水性タイプのカルボジイミド系化合物(b1)、オキサゾリン系化合物(b2)、エポキシ系化合物(b3)、金属系化合物(b4)が高温接着力、耐熱及び耐湿処理後の剥離性に優れる点で好ましい。特に、カルボジイミド系化合物(b1)、オキサゾリン系化合物(b2)が、剥離性に優れるとともに、架橋剤を配合した後の配合液の安定性に優れ、一液の粘着剤組成物として使用できる点で最も好ましい。
【0057】
カルボジイミド系化合物(b1)としては、カルボジイミド基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば日清紡社製の「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトV−06」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−04」等が挙げられる。
オキサゾリン系化合物(b2)としては、例えば、2位の炭素位置に不飽和炭素−炭素結合をもつ置換基を有する付加重合性2−オキサゾリン(例えば2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)と他の不飽和単量体との共重合体等が挙げられ、市販品として、日本触媒社製の「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」等が挙げられる。
【0058】
エポキシ系化合物(b3)としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−611」、「デナコールEX−612」、「デナコールEX−614」、「デナコールEX−614B」、「デナコールEX−622」等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−512」、「デナコールEX−521」等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−411」等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−421」等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−313」、「デナコールEX−314」等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−321」等)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−201」等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−211」等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−212」等)、ヒドロゲネイティッドビスフェノールAジグリしジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−252」等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−810」、「デナコールEX−811」等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−850」、「デナコールEX−851」等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−821」、「デナコールEX−830」、「デナコールEX−832」、「デナコールEX−841」、「デナコールEX−861」等)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−911」等)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−941」、「デナコールEX−920」、「デナコールEX−931」等が挙げられる。中でも、水性タイプのものが好適である。
【0059】
金属系化合物(b4)としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等の金属アルコキシドや、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル、エチレンジアミン四酢酸配位化合物の金属キレート化合物等や、酢酸−アンモニウム錯塩、アンモニウム−カーボネート錯塩等が挙げられる。中でも水性タイプのものが好適である。
【0060】
アジリジン系化合物としては、アジリジン基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば「ケミタイトPZ−33」、「ケミタイトDZ−22E」(日本触媒社製)等が挙げられる。
【0061】
イソシアネート系化合物としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、等のイソシアネート化合物、「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)の如きビュレットポリイソシアネート化合物、「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(バイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ウレタン社製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物、「コロネートHL」(日本ポリウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物、「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」(日本ポリウレタン社製)の如き自己乳化型の水分散ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、水分散タイプが好適である。又、ブロックイソシアネートを使用してもかまわない。
【0062】
メラミン系化合物としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メトキシメチロールユリア等が挙げられる。
アミン系化合物としては、1,3−ジアミノプロパン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
【0063】
上記架橋剤[B]の含有量は、上記アクリル系樹脂エマルジョン[A]中のアクリル系樹脂に含まれるカルボキシル基1当量あたり、架橋剤に含まれる反応性基が0.001〜1当量となる割合であることが好ましく、特には0.005〜0.8当量、更には0.01〜0.5当量となる割合であることが好ましい。かかる含有量が上記下限値未満では粒子間の架橋が不充分となり剥離性不良となる傾向にあり、上限値を超えると未反応の架橋剤により被着体汚染の原因となったり、基材密着性が低下する傾向にある。
【0064】
更に、本発明では、得られる粘着剤シートの離型紙の剥離力を調整するため、必要に応じて離型紙の剥離力調整剤としてヒドラジン系化合物[C]を添加することが好ましい。ヒドラジン系化合物[C]としては、分子中にヒドラジド基を有するものであればよく、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0065】
上記ヒドラジン系化合物[C]の含有量としては、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100重量部に対して0.01〜1重量部であることが好ましい。かかる含有量が下限値未満では離型紙への接着力を付与することが難しく、上限値を超えてもそれ以上の効果は得られず、粘着力を低下させる傾向にある。
【0066】
また、本発明では、更に濡れ剤[D]を含有することが好ましく、かかる濡れ剤[D]としては、その効果を発揮するものであれば特に限定されず、例えば、ノニオン型又はアニオン型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、各種のアルコール等が挙げられる。各種の濡れ剤を単独又は複数使用することができるが、中でもアセチレングリコール構造を有する化合物を含有すること、特にはアセチレングリコール系のノニオン型界面活性剤であることが、表面張力を低下させる効果が高く発泡が少ないため塗工性に優れる点で好ましい。
このアセチレングリコール系ノニオン型界面活性剤としては、「サーフィノール104シリーズ」、「サーフィノール400シリーズ」、「ダイノール604」(エアープロダクツ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0067】
上記濡れ剤[D]の含有量としては、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましく、更には0.1〜3重量部であることが好ましい。かかる含有量が上記下限値未満では充分な濡れ性が得難く、離型紙上に塗工した際にハジキを生ずる等塗工性が低下する傾向にあり、上限値を超えて配合してもそれ以上の効果は得られず、被着体汚染の原因となったり、粘着力を低下させる傾向にある。
【0068】
又、本発明では、必要に応じて更に、粘着付樹脂(マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル化ロジン等の変性ロジン,不均化や二量化、水素化などを施した安定化ロジン、さらに前記ロジンをグリセリンやペンタエリスリトールなどによりエステル化したもの等のロジン系樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂等)、可塑剤(例えば液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレン及び液状ポリアクリレート等)、防腐・防黴剤、防錆剤、凍結防止剤、高沸点溶剤、顔料、着色剤、充填剤(亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー等)、金属粉末、消泡剤、増粘剤、接着力コントロール剤、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性付与剤、酸化防止剤等を適宜添加したり、又、上記の乳化重合の重合前や重合途中に添加したりすることもできる。
【0069】
かくして本発明の剥離型水性粘着剤組成物が得られるが、本発明においては、粘着シートにしたときの綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上であることが必要であり、特に好ましくは1.6〜10N/25mm、更に好ましくは1.7〜5N/25mmである。かかる初期接着力が1.5N/25mm未満では低温使用時の接着力が不十分となり、本発明の効果を発揮しない。
【0070】
本発明において、綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力を上記範囲に調整する方法として、アクリル系樹脂の組成を炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)1〜20重量%、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)0〜38.9重量%の範囲とし、アクリル系樹脂の組成のガラス転移温度を−30℃以下にしたり、架橋剤をアクリル系樹脂に含有されるカルボキシル基の1当量あたり、架橋剤に含まれる反応性基が1当量以下となる割合で含有させたりする方法などが挙げられる。
【0071】
本発明の剥離型水性粘着剤組成物は、種々の粘着シート、粘着テープに用いることができるが、中でもとりわけ、使い捨ての貼るカイロ用の粘着剤組成物として有用であり、通常、発熱体包材等に粘着剤層として設けられて使い捨ての貼るカイロとして実用に供される。
かかる使い捨て貼るカイロを製造するには、まず本発明の剥離型水性粘着剤組成物をそのまま又は適当な濃度に調整し、シリコーン処理等が施された基材の処理面に塗工したり、あるいは直接基材に塗工して、例えば80〜120℃、5秒〜10分間加熱処理等により乾燥させて粘着剤層を形成させる、あるいは、剥離型水性粘着剤組成物を離型紙や離型フイルムに塗布し乾燥した後、基材上に転写して粘着剤シートを得る。この粘着剤シートを鉄粉、水分保持剤などを配合した発熱体を不織布等で包装した発熱部材の片面に設けて、使い捨ての貼るカイロとするのである。
【0072】
かかる基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリピロピレン等のフイルムが挙げられ、中でもポリエチレンフィルムが好適に用いられる。
基材の厚さは通常、10〜300μm、特には20〜100μmが好ましく、かかる基材の片面に、上記の剥離型水性粘着剤組成物からなる層を1〜100μm、更には3〜50μm、特には5〜30μmの厚さに設けて、もう片面には別途粘着剤層及び発熱部材を設けて、使い捨ての貼るカイロの形態とする。
【0073】
かくして得られる本発明の剥離型水性粘着シート及び剥離型水性粘着剤組成物は、綿やポリエステル布等種々の衣服用基材を被着体としたときの低温接着力、温熱使用時の高温接着力、温熱使用後の剥離性及び耐湿剥離性等の性能に優れた効果を発揮し、使い捨ての貼るカイロ用の粘着部材として、非常に有用である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0075】
実施例1
メチルメタクリレート(a1)10.0部、n−ブチルアクリレート(a2)64.0部、2−エチルヘキシルアクリレート(a2)23.0部、アクリル酸(a3)1.0部、メタクリル酸(a3)2.0部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.1部、アニオン型反応性乳化剤(旭電化工業社製、「アデカノールSR−1025」:有効成分25%、上記一般式(3)の構造で、R1:アルキル基、X:SO3NH4)4.8部、水44.1部を混合撹拌し、単量体混合物からなる乳化液を得た。
次に、冷却管、撹拌翼を備えたフラスコに、アニオン型反応性乳化剤(旭電化工業社製、「アデカノールSR−1025」:有効成分25%、上記一般式(3)の構造で、R1:アルキル基、X:SO3NH4)0.4部、pH緩衝剤としてリン酸二ナトリウム(12水和物)0.5部と水43.5部を仕込み、撹拌下75℃に昇温した後、上記乳化液の5%(7.5部)を添加した。更に、80℃に昇温した後、5%過硫酸アンモニウム水溶液を0.5部添加し、乳化重合を行い、その後15分後に、上記乳化液の残り95%(141.5部)と5%過硫酸アンモニウム水溶液1.9部を混合した混合液を3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま80℃に維持し、30分後に10%アンモニア水溶液2.5部を添加し、さらに80℃に保持したまま1.5時間撹拌を続けた。その後、55℃まで冷却し、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド(日本油脂社製、「パーブチルH−69」)の10%水溶液0.5部と10%亜硫酸ナトリウム水溶液0.5部をそれぞれ添加し、15分間反応させた後、再度、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド(日本油脂社製、「パーブチルH−69」)の10%水溶液0.5部と10%亜硫酸ナトリウム水溶液0.5部をそれぞれ添加し、15分間反応させた。その後、30℃まで冷却した後、200メッシュの金網でろ過し、アクリル系樹脂エマルジョン[A]を得た(ゲル分率45%、固形分50.0%、粘度500mPa・s、平均粒子径170μm、ガラス転移温度−45℃)。
【0076】
更に、得られたアクリル系樹脂エマルジョン[A]に、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100部に対して、架橋剤[B]として日清紡社製の「カルボジライトV−04」を1.6部(エマルジョンの固形分100部に対して、有効成分として0.65部)、アクリル系樹脂エマルジョン[A]100部に対して、離型紙剥離力調整剤[C]としてアジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液0.125部、濡れ剤[D]として「サーフィノール440」(日信化学社製)0.5部、「SNウェット970」(サンノプコ社製)0.2部、消泡剤として「SNデフォーマー777」(サンノプコ社製)0.015部、増粘剤として「アデカノールUH−541」(旭電化社製)0.3部を添加し、本発明の剥離型水性粘着剤組成物を得た。
得られた剥離型水性粘着剤組成物について、以下の通り粘着シートを作製し、以下の評価を行った。
【0077】
〔粘着シートの作製〕
得られた剥離型水性粘着剤組成物を、離型紙上に乾燥後の厚みが25μmになるようにアプリケーターで塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、ポリエチレンフィルム(厚さ55μm)に転写して粘着シートを作製した。
【0078】
(塗工性)
粘着シートの作製段階で、塗工の状態を目視観察し、以下のように評価した。
○・・・・塗面にむらやハジキはなかった
×・・・・塗面にハジキが発生した
【0079】
(低温接着力)
得られた粘着シート及び綿布(JIS金巾3号)を、0℃雰囲気下に24hr以上静置した後、同温度で綿布上に粘着シートを積層し、次いで、2kgローラーを2往復させて接着させ、1分後、JIS Z 0237の接着力の測定法に準じて180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
【0080】
(高温接着力)
得られた粘着シートを、綿布(JIS金巾3号)に23℃、50%RHにて2kgローラーを2往復させて接着させ、60℃にて30分放置し、その後60℃にてJIS Z 0237の接着力の測定法に準じて180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
【0081】
(温度変化後の接着力)
得られた粘着シートを、綿布(JIS金巾3号)に23℃、50%RHにて2kgローラーを2往復させて接着させ、60℃にて12時間、その後23℃、50%RHで30分間放置し、23℃、50%RHにてJIS Z 0237の接着力の測定法に準じて180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
【0082】
(耐熱剥離性)
得られた粘着シートを、綿布(JIS金巾3号)にテストプレス機を用いて5kg/cmの圧力で10秒間圧着し、60℃にて12時間放置し、その後23℃、50%RH
で30分間放置し、23℃、50%RHにて綿布から粘着シートを引き剥がし、綿布表面への粘着剤の移行を目視観察し、以下の通り評価した。
○・・・・糊残りは認められなかった
△・・・・わずかに糊残りが認められた
×・・・・明らかに糊残りが認められた
【0083】
(耐湿剥離性)
得られた粘着シートを、綿布(JIS金巾3号)にテストプレス機を用いて3kg/cmの圧力で10秒間圧着し、40℃、80%RHにて12時間放置し、その後23℃
、50%RHで30分間放置し、23℃、50%RHにて綿布から粘着シートを引き剥がし、綿布表面への粘着剤の移行を目視観察し、以下の通り評価した。
○・・・・糊残りは認められなかった
△・・・・わずかに糊残りが認められた
×・・・・明らかに糊残りが認められた
【0084】
(0℃指触タック)
得られた粘着シートを0℃の雰囲気下に24時間以上放置し、その後粘着面の指触タックを下記の5段階で評価した。
5・・・粘着力が非常に強く感じられる
4・・・粘着力が強く感じられる
3・・・粘着力がやや感じられる
2・・・粘着力がわずかに感じられる
1・・・粘着力がほとんど感じられない
【0085】
(離型紙剥離力)
得られた粘着シートの離型紙の剥離力を、23℃、50%RHにてJIS Z 0237の接着力の測定法に準じて180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
【0086】
実施例2〜8、比較例1〜3
表1〜3に示す如き配合に変更した以外は実施例1と同様に行い、アクリル系樹脂エマルジョン[A]を得た。更に、得られたアクリル系樹脂エマルジョン[A]に、表1〜3に示す通り架橋剤[B]、離型紙調整剤[C]、濡れ剤[D]を添加した以外は実施例1と同様に行い、剥離型水性粘着剤組成物を得、得られた剥離型水性粘着剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
実施例と比較例の評価結果を表4に示す。

【0087】
【表1】

【0088】
【表2】



【0089】
【表3】

【0090】
【表4】



【0091】
尚、表中の、単量体混合物、連鎖移動剤、乳化剤、中和剤、架橋剤の数値はアクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100重量部に対する配合量(部)を示す。但し、架橋剤の( )内の数値は、アクリル系樹脂中のカルボキシル基1当量当たりの架橋剤の当量数を示す。
(乳化剤)
・SR−1025(旭電化工業社製、「アデカノールSR−1025」:有効成分25% 反応性アニオン型乳化剤)
(架橋剤)
・V−04(日清紡社製の「カルボジライトV−04」:有効成分40%)
・E−04(日清紡社製の「カルボジライトE−04」:有効成分40%)
・WS−500(日本触媒社製の「エポクロスWS−500」:有効成分40%)
・金属系化合物(酢酸亜鉛アンモニウム〔Zn(NH34(CH3COO)2〕の10%水溶液
(濡れ剤)
・サーフィノール440(エアープロダクツ・ジャパン社製の「サーフィノール440」:有効成分100%)
・SN970(サンノプコ社製の「SNウエット970」:有効成分50%)

【0092】
【表4】



【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の剥離型水性粘着シート及び剥離型水性粘着剤組成物は、綿やポリエステル布等種々の衣服用基材を被着体としたときの低温接着力、温熱使用時の高温接着力、温熱使用後の剥離性及び耐湿剥離性等の性能に優れた効果を有するものであり、使い捨ての貼るカイロ用の粘着部材として、非常に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系樹脂エマルジョン[A]が架橋剤[B]により架橋された水性粘着剤層を有する剥離型水性粘着シートであって、かつ、水性粘着シートの綿布に対する0℃雰囲気下での初期接着力が1.5N/25mm以上であることを特徴とする剥離型水性粘着シート。
【請求項2】
アクリル系樹脂エマルジョン[A]が、炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)1〜20重量%、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)0〜38.9重量%を含む単量体混合物を乳化重合させて得られるアクリル系樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の剥離型水性粘着シート。
【請求項3】
アクリル系樹脂エマルジョン[A]のゲル分率が70重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の剥離型水性粘着シート。
【請求項4】
炭素数1〜3のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)1〜20重量%、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)60〜98.9重量%、カルボキシル基含有不飽和単量体(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和単量体(a4)0〜38.9重量%を含む単量体混合物を乳化重合させて得られるゲル分率が70重量%以下のアクリル系樹脂エマルジョン[A]及び架橋剤[B]を含有してなることを特徴とする剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項5】
アクリル系樹脂エマルジョン[A]が、アニオン型反応性乳化剤の存在下に乳化重合させて得られるものであることを特徴とする請求項4記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項6】
アクリル系樹脂エマルジョン[A]中のアクリル系樹脂のガラス転移温度が−70〜−30℃であることを特徴とする請求項4または5記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項7】
架橋剤[B]が、カルボジイミド系化合物(b1)、オキサゾリン系化合物(b2)、エポキシ系化合物(b3)及び金属化合物(b4)から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、アクリル系樹脂エマルジョン[A]中のアクリル系樹脂に含まれるカルボキシル基1当量あたり、架橋剤に含まれる反応性基が0.001〜1当量となる割合で架橋剤[B]を含有してなることを特徴とする請求項4〜6いずれか記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項8】
更に、ヒドラジン系化合物[C]を、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100重量部に対して0.01〜1重量部含有してなることを特徴とする請求項4〜7いずれか記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項9】
更に、濡れ剤[D]を、アクリル系樹脂エマルジョン[A]の固形分100重量部に対して0.05〜5重量部含有してなることを特徴とする請求項4〜8いずれか記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項10】
濡れ剤[D]がアセチレングリコール構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項9記載の剥離型水性粘着剤組成物。
【請求項11】
請求項1〜3いずれか記載の剥離型粘着シートまたは請求項4〜10いずれか記載の剥離型水性粘着剤組成物を用いてなることを特徴とする貼るカイロ用粘着部材。
【請求項12】
請求項11記載の貼るカイロ用粘着部材をカイロ用発熱包材の片面に設けてなることを特徴とする貼るカイロ。


【公開番号】特開2007−39607(P2007−39607A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227711(P2005−227711)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】