説明

剥離性ポリイミドフィルム積層体の製造方法

【課題】耐熱性が高く、かつ線膨張係数の低いフィルムを積層してなる積層体であって、必要に応じて積層体のうち補強材としてのフィルムの剥離が容易な剥離性ポリイミドフィルム積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】分子中にベンゾオキサゾール骨格を有するポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理して、表面元素比率O/Cを0.45より大きく、0.65以下に制御し、プラズマ表面処理された当該ポリイミドフィルム同士を、接着剤層を介することなく加熱加圧して積層することを特徴とする剥離性ポリイミドフィルム積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント回路(以降、FPCと記す)などの加工・製造時に用いられる極薄のポリイミドフィルムの取扱いに好適な、適度な剛性、熱寸法安定性、剥離性を有する補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、FPCの需要が急激に伸びており、更にこうした機器の小型化、軽量化に対応してFPCの薄膜化が進んでいる。そのため、FPC用の銅貼ポリイミドフィルムの薄膜化も同時に進行しているが、これによってフィルム自体の剛性が低下し、FPCを製造する際の加工が困難になってきている。
薄膜化したFPCを製造する際の加工性を改良する方法としては、FPC補強用フィルムを予めFPCに貼り付けて保持することで、全体として加工時の剛性を持たせる方法が用いられている。その際、加工時の取り扱いを簡便にし、かつ加工終了後には剥離・除去できるような微粘着性の補強フィルムが用いられるようになっている。従来は、この目的で、アクリル系やゴム系の粘着シートが使用されていたが、これらのシートは粘着力が大きく、またその粘着力が温度、圧力により著しく変化するため、FPC製造工程の加工条件によっては使用できないことがあった。このような補強を目的とした技術として、例えば、片面のみに金属箔を配したフレキシブル積層板において、反りの発生防止と製造効率の低下防止のために、金属箔、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、およびイミド化促進剤の共存下においてポリアミド酸を転化することにより得られるポリイミド樹脂裏打ち層、をこの順で積層してなるフレキシブル積層板(特許文献1参照)、フレキシブルプリント回路基板の加工時に用いられる、ポリエステル(A)とポリイミド (B)を含有し、かつ熱収縮率が0.25%以下、熱膨張係数が13×10−6/℃以上50×10−6/℃以下の補強用ポリエステルフィルム(特許文献2参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−186274号公報
【特許文献2】特開2003−101166号公報
【特許文献3】特開2002−234126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法は、裏打ち層または補強フィルムを準備し、かつ、回路基板に貼付するという工程を別途必要としている。
そこで、本発明は、FPCなどの加工・製造時に用いられる極薄のポリイミドフィルムの取扱いに好適な、適度な剛性、熱寸法安定性、剥離性を有する補強用裏打フィルムが予め積層されたポリイミドフィルムを提供せんとするものである。
なお、ポリイミドフィルム積層体としては、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて熱圧着させた、該フィルム間の剥離強度0.3kgf/cm以上のポリイミドフィルム積層体が提案されている(特許文献3参照)が、このように層間の剥離強度が強固なものは、本発明が目的とする層間剥離できる積層体の提供には適していない。
そこで本発明は、特定の引張弾性率および引張破断強度を保有し、かつ特定の低い線膨張係数を有する極薄ポリイミドフィルムに、当該フィルムと同等の特性を有し、かつ皺の発生のない補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルム積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを使用したポリイミドフィルムを、所定の条件でプラズマ処理したうえで積層することにより、線膨張係数が低めの特定範囲にあり、より高い耐熱性を具備し、かつ、必要に応じて容易に剥離できるポリイミド積層体が得られることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
[1]芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理し表面元素比率O/Cが0.45より大きく、0.65以下であるポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて100℃以上の温度でかつ10kg/cm2以上の圧力で加熱加圧することを特徴とする剥離性ポリイミドフィルム積層体の製造方法。
(ただしOは酸素、Cは炭素を表し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)
[2]プラズマ処理の条件が、二酸化炭素雰囲気中で、放電電力密度が2,000〜10,000W/mである上記[1]記載の製造方法。
[3]積層体の厚さ方向に、元素比率O/Cが0.25〜0.40の接合層を少なくとも1層形成することを特徴とする上記[1]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により、以下に示すような優れた性能を有する層間剥離が可能なポリイミド積層体を作成することができる。
(1)芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルムと芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルムとが、接着剤層を介することなく積層した積層体であって、積層体を構成するフィルム間の初期剥離強度が、0.02〜2.0N/cmであることを特徴とする剥離性ポリイミドフィルム積層体。
(2)300℃、1時間の熱処理後の剥離強度が、初期の剥離強度の0.2〜2.0倍の範囲である上記(1)の剥離性ポリイミドフィルム積層体。
(3)芳香族ジアミン類がベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類を主成分とするものである上記(1)または(2)の剥離性ポリイミドフィルム積層体。
(4)いずれのポリイミドフィルムも面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である上記(1)〜(3)のいずれかの剥離性ポリイミドフィルム積層体。
(5)積層体を構成するポリイミドフィルムの剥離面の平均表面粗さRaが10nm未満である上記(1)〜(4)のいずれかの剥離性ポリイミドフィルム積層体。
(6)積層体を構成するポリイミドフィルムの剥離面の表面元素比率O/Cが0.25〜0.40である上記(1)〜(5)のいずれかの剥離性ポリイミドフィルム積層体。
【0007】
すなわち、本発明の製造方法によって芳香族テトラカルボン酸またはその反応性誘導体(例:無水物およびアミド形成性誘導体)(以下、これらを芳香族テトラカルボン酸類と総称することがある。)と、ベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミンまたはその反応性誘導体(例:アミド形成性誘導体)(以下、これらを芳香族ジアミン類と総称することがある。)との反応によって得られるポリイミドからなるフィルム同士が、接着剤層を介することなく積層された積層体を製造できる。ベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ポリイミドフィルムからなる積層体は、線膨張係数が低いため、配線間の間隔が小さい高密度実装用のFPCとして有用である。また、本発明の方法で作成された剥離性ポリイミドフィルム積層体は、積層体を構成するフィルム間の初期剥離強度が0.02〜2.0N/cmであって、しかも当該積層体を構成する構成ポリイミドフィルムの一面に銅薄膜などの薄膜を積層形成するなど、本発明の剥離性ポリイミドフィルム積層体を種々工程で取扱う際に、皺や歪みが発生し難い。さらに必要に応じて剥離性ポリイミドフィルム積層体を層間剥離する時には、剥離が容易なことにより、ポリイミドフィルムに皺や歪みが発生し難い。加えて、耐熱性、フレキシブル性、機械的強度をより高いレベルで具備し、かつ一定厚さ以下の厚さを有するポリイミドフィルムを絶縁層として提供できるため、絶縁性信頼性の向上と軽少(軽薄)化をも達成し得るものである。したがって、薄いFPCなどの細密かつ軽少短薄電気部品に対応し得る剥離性ポリイミドフィルム積層体として工業的に極めて有意義である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の製造方法によって製造された剥離性ポリイミドフィルム積層体は、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルム同士が接着剤層を介することなく積層された積層体であって、積層体を構成するフィルム間の初期剥離強度が、0.02〜2.0N/cmである剥離性ポリイミドフィルム積層体である。
本発明の製造方法によって製造された剥離性ポリイミドフィルム積層体は、好ましくは300℃、1時間の熱処理後の剥離強度が、初期の剥離強度の0.2〜2.0倍の範囲である剥離性ポリイミドフィルム積層体である。またいずれのポリイミドフィルムも面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である剥離性ポリイミドフィルム積層体であり、さらに積層体を構成するポリイミドフィルムの剥離面の平均表面粗さRaは10nm未満である。
【0009】
本発明で使用される芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルム(以下、ポリイミドフィルムともいう)は、芳香族テトラカルボン酸類(以下、無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して酸類という)とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類(以下、アミン、およびアミド結合性誘導体を総称してアミン類という)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、流延、乾燥した後、イミド化してフィルムとなす方法で得られる。
当該ポリイミドフィルムとしては、ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせが好ましい。
【0010】
<ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類>
本発明に特に好ましく使用されるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定されるものではなく、通常、置換基を有してもよいアミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、置換基を有してもよいフェニレンビスアミノベンゾオキサゾール、置換基を有してもよいビスアミノベンゾオキサゾロベンゼン、置換基を有してもよいジアミノジフェニルベンゾビスオキサゾールが挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
【化7】

【0018】
【化8】

【0019】
【化9】

【0020】
【化10】

【0021】
【化11】

【0022】
【化12】

【0023】
【化13】

【0024】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを、全芳香族ジアミンの70モル%以上使用することが好ましい。
【0025】
本発明においては、全芳香族ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0026】
<芳香族テトラカルボン酸類>
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類としては、無水物が好ましく、特に、二無水物が好ましい。具体的には、以下のものが挙げられる。
【0027】
【化14】

【0028】
【化15】

【0029】
【化16】

【0030】
【化17】

【0031】
【化18】

【0032】
【化19】

【0033】
これらのテトラカルボン酸無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0035】
<溶媒>
ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0036】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させたりしてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。この範囲の還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)と制御し易くなる。
【0037】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等の炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
【0038】
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
【0039】
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されにくくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間加熱した後に350〜500℃で3〜20分間加熱する2段階熱処理が挙げられる。
【0040】
本発明により製造される積層体を構成するポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、40μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、更には15μm以下が好ましい。これらのフィルムの面内での厚さムラは20%以下であることが好ましい。特に銅などの薄膜を形成して後、回路加工される場合などに使用される場合には、ポリイミドフィルムの厚さは、一枚が10μm以下であることが好ましく、さらには7μm以下のものが本発明の主旨からして好ましい。積層加工時の作業性の点から、好ましい下限値は3μmである。
【0041】
本発明における該ポリイミド積層体の線膨張係数は、積層体の面方向でのポリイミド積層体の線膨張係数と定義され、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であり、−1.0ppm/℃〜+5ppm/℃がより好ましい。
−5ppm/℃〜+7ppm/℃の範囲を超える場合は、所定温度以上に曝された場合に、積層体の寸法が膨張または収縮して積層体の寸法安定性が求められないことになる。
低い線膨張率を実現するためには、高配向が期待できる芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類とを選定することが重要である。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類では、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体などが適しており、また、酸無水物ではピロメリット酸無水物や3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物が適する。
【0042】
積層体の形成方法には、ポリイミドフィルム製造時のグリーンフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を積層してイミド化する方法や、ポリイミドフィルム面に大気圧や真空プラズマ処理などを施し両者を真空プレスして合体せしめる方法などが挙げられる。本発明の積層体の形成方法はポリイミドフィルムをプラズマ処理し、プラズマ処理されたフィルム同士を真空プレスや加熱加圧して積層する方法である。プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて、100℃以上の温度でかつ10kg/cm2以上の圧力で、より好ましくは、150℃以上の温度でかつ20kg/cm2以上の圧力で3分間以上加熱加圧して積層する。
【0043】
本発明の製造方法において、プラズマ表面処理方法は、グロー放電等の公知の方法を採用することができる。ポリイミドフィルムのプラズマ表面処理を好ましく実施するには、内部電極型低温プラズマ発生装置中で、電極間に少なくとも1,000ボルト以上の放電電圧を与えてグロー放電を行い、ポリイミドフィルム表面を低温プラズマ雰囲気と接触させる。低温プラズマ処理のためのプラズマ用ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、酸素、空気、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、水蒸気、水素、亜硫酸ガス、シアン化水素などが例示され、これらは単独または二種以上のものを混合して使用することができる。特に、含酸素無機ガスの使用が好ましく、より好ましくは二酸化炭素と水蒸気であり、最も好ましくは二酸化炭素である。
【0044】
装置内におけるガス雰囲気の圧力は0.001〜10トル(Torr)の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0トルである。このようなガス圧力下で放電電極間に例えば、周波数10KHz〜2GHzの高周波で、10W〜100KWの電力を与えることにより安定なグロー放電を行わせることができ、放電周波数帯域は、高周波以外に低周波、マイクロ波、直流などを用いることができる。低温プラズマ発生装置としては、内部電極型であることが好ましいが、場合によって外部電極型であってもよいし、またコイル炉などの容量結合、誘導結合のいずれであってもよい。電極の形状については特に制限はなく、それらは平板状、リング状、棒状、シリンダー状等種々可能であり、さらには処理装置の金属内壁を一方の電極としてアースした形状のものであってもよい。電極間に1,000ボルト以上の電圧を印加し、安定な低温プラズマ状態を維持するには、入力電極にかなりの耐電圧を持った絶縁被覆を施す必要がある。
【0045】
本発明で行うプラズマ処理に適する放電電力密度は2,000〜10,000W・min/m2の範囲が好ましく、更には、2,500〜8,000W・min/m2がより好ましい。2,000W・min/m2未満では、接合強度が強すぎては剥離性能が十分でなく、10,000より大きい場合は、表面の脆化が進行し、加工時に十分な接合強度を保有する積層体が得られない。
【0046】
本発明においては、積層に使用する表面元素比率はO/Cが0.45〜0.65が望ましい。O/Cが0.45未満の場合、プラズマ処理による改質効果により加熱積層後強固な接着性を保持し、剥離性が得られない。また、O/Cが0.65より大きい場合は、表面の脆化が進行し、十分な強度を保有する積層体が得られない。
すなわち、本発明のポリイミド積層体の製造方法の重要な特徴の一つは、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムの表面を、積層前の時点で、表面元素比率O/Cが0.45〜0.65となるようにプラズマ処理の条件を制御することであり、上記のプラズマ処理方法の採用によってそのような表面処理が可能となる。
また、このようにして作成された積層体を構成するポリイミドフィルムの剥離面の表面元素比率O/Cは0.25〜0.40である。言い換えると、本発明の積層体の製造方法は、積層体の厚さ方向に、元素比率O/Cが0.25〜0.40の接合層を形成することを特徴としている。そのような接合層は、n枚のポリイミドフィルムを積層した場合には、(n−1)層形成される。
【0047】
このようにしてポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理する場合、そのプラズマ処理するフィルム面は、片面でもよいが、その両面をプラズマ処理するのが好ましい。プラズマ表面処理ポリイミドフィルムは、これらを少なくとも2枚重ねて、接着剤等を介することなく、熱圧着し積層体を得る。プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを積層し、熱圧着するに際し、その熱圧着手段は特に制限されず、加熱ロールを用いることや、平板の熱板間に裁断積層されたフィルムをシリンダー等で加圧することもできる。
【0048】
その際真空(または減圧)下で加熱加圧することが、得られる積層体に気泡等の欠点が生じにくい点から好ましい。また面内の圧力むらの軽減のために、鏡面板、クッション板等を積層体の上下または内部に用いても差し支えない。その加熱加圧条件としては、任意の条件が選択可能ではあるが、得られる積層体の耐熱性の観点から、100℃以上で、かつ、10kg/cm2以上で加熱加圧する必要があり、150℃以上、かつ20kg/cm2以上の条件で、3分以上加熱加圧することがより好ましい。積層加工の温度、圧力、時間は、層構成に応じて、適宜設定すればよい。
【0049】
加熱温度の上限値は、通常、400℃程度であり、加圧時の圧力の上限値は、通常、1000kg/cm2程度である。積層は、2枚以上、4〜2000枚のプラズマ表面処理ポリイミドフィルムを重ねて、熱圧着することにより、シート状から板体状の積層体を得ることができる。得られた積層体の厚さは10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、さらに100μm以上、なおさらには250μm以上、そのうえさらに500μm以上が好ましく、その上限は特にない。この製法の繰り返しによって通常0.2〜100mm、好ましくは0.5〜20mmの積層体を容易に得ることができる。
【0050】
本発明においては、初期剥離強度が、0.02〜2.0N/cmで、300℃、1時間の熱処理後の剥離強度が、初期剥離強度の0.2〜2.0倍を示すことが必須である。初期剥離強度が0.02N/cm未満では、層間の接着力が不十分であり、センサーや回路などのデバイス積層体などで使用される際のレーザーやドリルでの穴加工やルーター等の外形加工にて、クラックや剥離が発生する。一方、2.0N/cmを超える場合にはこれらの積層体を使用して種々の製品を作成した後、必要に応じて、この積層体を層間剥離する作業が困難になりやすい。つまり、回路等の基材として用いられるポリイミドフィルム(1枚または複数枚の積層体)を残して、補強フィルムとしての役割を有するその他の構成フィルム(1枚または複数枚の積層体)を剥がす作業が困難となり、支障が出る場合が多くなる。また、300℃、1時間の熱処理後の剥離強度は、初期の剥離強度の0.2〜2.0倍を示すことが望ましい。加熱処理後の剥離強度がこれらの範囲外では、高温または高湿環境で使用される場合、他部材との熱膨張や湿度膨張による応力に対して、クラックや剥離が発生したり、逆に必要なときの層間剥離が困難になる傾向がある。
【0051】
本発明における積層体剥離面の平均表面粗さRaは、10nm未満が好ましく、剥離面の平均表面粗さRaが10nm以上の場合には、積層体の層間の剥離が困難となり、本発明の目的とする効果が得られない。
【0052】
本発明における積層体の一方の表面に形成してもよい薄膜としては、ITO(インジウム・錫系酸化物)などの金属酸化物薄膜、銅、金、銀、クロム、チタニウム、アルミニウムなどの金属薄膜、珪素、ゲルマニウムなどの半導体薄膜や、これらの複合膜や積層膜などが挙げられる。中でも銅薄膜が好ましく適用できる。薄膜形成方法は特に限定されるものではないが、蒸着、スパッタリングなどの乾式薄膜形成法が好ましく適用できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は、以下の通りである。
【0054】
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(または、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。なお、ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。
【0055】
2.ポリイミドフィルムまたは積層体の厚さの測定
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて異なる5点を測定し、その平均値を表す。
【0056】
3.剥がし状態の判定
補強用裏打フィルムを剥がした時にポリイミドフィルムに皺、歪などの異常が起きていないか目視確認判定し、皺、歪などの異常が殆ど見られないものを○、皺、歪などの異常が多く見られるものを×とした。
【0057】
4.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
本発明においては、ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度は以下の方法で測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(以下、MD方向とも記す)および幅方向(以下、TD方向とも記す)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向のそれぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
【0058】
5.ポリイミドフィルム、積層体の面方向および厚さ方向での線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、40〜50℃、50〜60℃、などのように10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を450℃まで繰り返し行った。50℃から400℃までの全測定値の平均値を、それぞれMD方向のCTE(平均値)、TD方向のCTE(平均値)として算出した。フィルム面または積層体の面方向での値は、MD値とTD値の平均値を以って面方向での線膨張係数(CTE)とし、一方、厚さ方向の値を厚さ方向での線膨張係数(CTE)とした。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
熱機械分析装置 : ブルカーAXS社製 TMA4000S
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 2mm
昇温開始温度 : 25℃
昇温終了温度 : 450℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
【0059】
6.ポリイミドフィルムおよび積層体剥離面の表面組成分析
酸素/炭素比(O/C比)、および珪素/炭素比(Si/C比)については、光電子分光法(ESCA)で測定した。プラズマ処理を施した直後のポリイミドフィルムを、試料ホルダー上に両面テープで固定し、予備排気室で十分に排気した。その後、試料を測定室のチャンバー内に投入し、表面組成を分析した。X線源としてMg Kαを用い、出力は10kV、20mAに設定した。検出器のパスエネルギーは75eV、光電子の脱出角度は90度とした。測定は0.1eVピッチで行い,測定時間は1ピッチあたり200msとし7回以上積算を行った。また測定中試料チャンバー内の真空度を3×10−5Pa以下とした。測定時の帯電に伴うピークの補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー値を285.0eVに合わせた。
C1sピーク面積は結合エネルギー281〜295eVの範囲、O1sピーク面積は528〜541eVの範囲で、それぞれShirley法のバックグラウンドを引くことにより求めた。バックグラウンドを引く際の2端点強度はそれぞれの端点付近の10点の強度を数値平均した値を用いた。
酸素/炭素比(O/C比)は、上記O1sピーク面積に対するC1sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光測定装置として Shimazu−Kratos社製、「ESCA3400」を用いた。
【0060】
7.積層体の剥離強度測定
積層体の接着性の評価(積層体構成の各フィルム間の接着性の評価)は、熱処理する前の300℃、1時間の熱処理を行ない下記の条件で、180度剥離試験を行うことで剥離強度を測定した。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
試験機 : (株)島津製作所製 オートグラフAG−IS
サンプル長さ: 100mm
サンプル幅 : 3mm
測定温度 : 25℃
剥離速度 : 50mm/min
雰囲気 : 大気
【0061】
8.積層体剥離面の表面粗さ分析
積層体構成の各フィルムの剥離面の突起の観測方法:直接位相干渉型顕微鏡VertScan((株)菱化システム製)を用いフィルムの表面観察(モード:wave560M、観察視野:75×75μm)を実施して、平均表面粗さ(Ra)を算出した。平均表面粗さ(Ra)は、JIS B0601−1994の算術平均粗さ(Ra)と同等である。
【0062】
〔参考例1〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10((株)日本触媒製)1.22質量部とN−メチル−2−ピロリドン420質量部を、接液部および輸液用配管がオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である容器に入れ、ホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
【0063】
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた接液部、および輸液用配管を備える反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。なお、容器の接液部および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を421.2質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌することで、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8であった。
【0064】
〔参考例2〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10((株)日本触媒製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を、接液部および輸液用配管がオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
【0065】
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを反応容器内に入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を397.6質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌することで、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7であった。
【0066】
〔ポリイミドフィルムの作成〕
参考例1〜2で得たポリアミド酸溶液を、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90〜115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、ポリアミド酸溶液AおよびBからなるグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持した。フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミが生じないようにピンシート間隔を調整し、最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、第1段が170℃で2分、第2段として230℃で2分、第3段485で6分の各条件で段階的に加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈するフィルム1〜フィルム4(表1)のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルム1〜4について、特性測定結果を表1に記載する。
【0067】
【表1】

【0068】
<実施例1>
気圧0.2トル(Torr)、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)2500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。放電電力密度は、装置に依存して異なるが本発明では、実施例、比較例を通して同一の装置でプラズマ処理を実施している。
これらのフィルムを20cmに裁断後、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体1を取り出した。
得られた積層体1は厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0069】
<実施例2>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)3500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。
これらのフィルムを20cmに裁断後2枚、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体2を取り出した。
得られた積層体2は、厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0070】
<実施例3>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)5000W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。
これらのフィルムを20cmに裁断後2枚、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体3を取り出した。
得られた積層体3は、厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0071】
<実施例4>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)3500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。
これらのフィルムを20cmに裁断後、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理した面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて200℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体4を取り出した。
得られた積層体4は、厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0072】
<実施例5>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)2500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。
これらのフィルムを20cmに裁断後、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理した面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、30kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体5を取り出した。
得られた積層体5は、厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0073】
<比較例1>
プラズマ処理をしていないポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とプラズマ処理をしていないポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体6を取り出した。
得られた積層体6は厚さ43μmの板状体であった。
積層体6は、微粘着性を有するものの外力により容易に剥離するものであった。
【0074】
<比較例2>
プラズマ処理をしていないポリイミドフィルムNO.2(厚さ38μm)とプラズマ処理をしていないポリイミドフィルムNO.4(厚さ5μm)とを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体7を取り出した。
得られた積層体7は厚さ43μmの板状体であった。
積層体7は、微粘着性を有するものの外力により容易に剥離するものであった。
【0075】
<比較例3>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)10,000W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。 これらのフィルムを20cmに裁断後2枚、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理した面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体8を取り出した。
得られた積層体8は、厚さ43μmの板状体であった。
積層体8は、微粘着性を有するものの外力により容易に剥離するものであった。
【0076】
<比較例4>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。これらのフィルムを20cmに裁断後2枚、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理した面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体9を取り出した。
得られた積層体9は、厚さ43μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の初期の180度剥離強度および300℃、1時間処理後の180度剥離強度、剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率の結果を表3に示す。
【0077】
<比較例5>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)2500W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)とポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)とにそれぞれ、片面プラズマ処理を施した。
これらのフィルムを20cmに裁断後、フィルムNO.1とフィルムNO.3のプラズマ処理した面同士を重ね合わせて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて50℃、130kg/cm2の条件で30分プレス後圧力を開放し、積層体10を取り出した。
得られた積層体10は、厚さ43μmの板状体であった。
積層体10は、微粘着性を有するものの外力により容易に剥離するものであった。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
表2および表3に示されるように、本発明の製造方法で作成された各実施例記載の積層体は、CTEが低いという優れた特性と、加工時の負荷には耐えることができて、しかも必要なときには容易に剥離できる剥離強度とを兼備していた。これに対し、プラズマ処理を施していない比較例1および2は、いずれも、加工に耐えうるだけの初期の層間接着強度を確保できなかった。同様に、プラズマの放電電力密度が高すぎた比較例3は初期の層間接着強度を確保できなかった。一方、プラズマの放電電力密度が低すぎた比較例4は初期接着が高くなりすぎて、積層体を剥離させる作業が困難であった。また、プラズマ処理条件が適当であっても、比較例5のように加熱加圧条件が満たされない場合には、初期の層間接着強度を確保できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の製造方法により、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルム同士を、プラズマ表面処理することにより、接着剤層を介することなく積層体を製造することができる。プラズマ処理条件の制御することにより、積層体を構成するフィルム間の初期剥離強度が、0.02〜2.0N/cmである剥離性ポリイミドフィルム積層体が得られる。得られた剥離性ポリイミドフィルム積層体は、高温での膨張収縮が少なく、耐熱性と重量などに耐える強度がバランスよく保持されたものである。すなわち、高温での薄膜形成などに皺の発生がなく取り扱いが容易であり、かつ、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた剥離性ポリイミドフィルム積層体を提供できる。本製造方法により製造された積層体は、汚染物質を生じる可能性のある接着剤を使用する必要が無いので、センサーや回路などのデバイス積層体などにも有効に使用することができる。しかも回路基材として用いられないフィルム(1枚または複数枚)を剥がすことで薄型回路を実現できる。また、接着剤を使用しないことで、高温使用に耐える、センサー、プローブ、集積回路、およびこれらの複合デバイスなどの、特に薄型デバイスの実現を可能にするものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理し表面元素比率O/Cが0.45より大きく、0.65以下であるポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて100℃以上の温度でかつ10kg/cm2以上の圧力で加熱加圧することを特徴とする剥離性ポリイミドフィルム積層体の製造方法。
(ただしOは酸素、Cは炭素を表し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)

【公開番号】特開2011−20393(P2011−20393A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168642(P2009−168642)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(592166137)河村産業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】