説明

力覚付与型入力装置及び力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法

【課題】中立センサ等の追加的な構成を必要とせずに、操作レバーの中立復帰を確実に行う力覚付与型入力装置及びその自動中立復帰方法を提供する。
【解決手段】力覚付与型入力装置は、操作レバー(11)と、操作レバーに力を付与するモータ(31,36)と、モータの回転を検出する回転センサ(32,37)と、操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出部(33,38)と、回転センサからの出力に基づきモータをフィードバック制御する制御部(2)とを備える。制御部は、電源投入時に操作レバーを一の方向に回動させ、エッジ検出手段部が操作レバーの第1エッジを検出したとき操作レバーを回動反転させ、エッジ検出手段部が第2エッジを検出したとき再び回動反転動させ、その後回転センサが操作レバーのハーフストロークに対応するパルスを出力したとき回動を停止して中立位置に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイスティック等の操作レバーに付与する反力を電子的に制御することにより操作者に力覚を生じさせる力覚付与型入力装置、及び力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法に関し、特に操作レバーを自動的に中立位置に復帰させる自動中立復帰手段を備えた力覚付与型入力装置、及び力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、カーナビやエアコン等の操作を運転席内で行うため、ジョイスティックやスライドノブ等の操作レバーを有する入力装置が備えられている。従来の入力装置においては、操作レバーを常時、中立位置に戻す方向に力を作用させるリターンスプリング等の復帰手段が備えられ、かかる機械的な復帰手段により、操作者が操作レバーから手を離したときに自動的に操作部を中立位置に復帰させている。
【0003】
近年では、操作レバーにクリック感を生じさせたり、あるいは所定の操作位置に操作レバーを引き込む等の反力制御を付与して操作者に操作支援を行う力覚付与型入力装置が普及している(例えば特許文献1参照)。かかる力覚付与型入力装置は、操作レバーに外力を作用させる電動モータである駆動手段と、駆動手段に連結して回転角を検出する検出手段と、検出手段からの出力に基づき駆動手段への駆動電流をフィードバック制御する制御手段とを備えている。さらに、電源投入時に操作レバーを中立位置に復帰させるためには、その基準となる中立位置を検出する必要があり、そのための中立センサが備えられる入力装置も開示されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−332325号 公報
【特許文献2】特開平10−283111号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の自動復帰手段が備えられた力覚付与型入力装置において、駆動手段の回転角を検出する検出手段がロータリエンコーダである場合には、電源投入時にロータリエンコーダのパルスがリセットされるため、操作レバーを中立位置に復帰するためには上述した特許文献2に開示されるような中立センサが必要となる。一方、検出手段として駆動手段の絶対角を検出する角度センサを採用した場合でも、操作レバーのフルストロークに対する駆動手段(電動モータ)の回転角が360度を超える場合には、角度センサの出力が周期的となるため、電源投入時の操作レバーの位置を角度センサの出力に基づいて特定することができない。したがって、結局、中立センサ等の追加的な構成なしには操作レバーを自動的に中立位置に復帰させることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、中立センサ等の追加的な構成を必要とせずに操作レバーの中立復帰を確実に行うことができる力覚付与型入力装置及び自動中立復帰方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため本発明に係る力覚付与型入力装置は、操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、電源投入時に前記駆動手段により前記操作レバーを一の方向に駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第1の最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段により前記操作レバーを他の方向に反転駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第2の最大ストローク位置を検出したとき前記操作レバーの前記第1の最大ストローク位置から前記第2の最大ストローク位置までの駆動に対応するパルス信号を前記検出手段が出力した場合に整合性があると判断し、当該整合性がある場合に前記駆動手段により前記操作レバーを再び前記一の方向に駆動させ、前記検出手段が前記操作レバーの前記第2の最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段による駆動を停止して前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える。
【0008】
[2]また、本発明に係る力覚付与型入力装置は、操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、電源投入時に前記駆動手段により前記操作レバーを一の方向に駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段により前記操作レバーを他の方向に反転駆動させ、前記検出手段が前記操作レバーの前記最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段による駆動を停止して前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える。
【0009】
[3]また、本発明に係る力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法は、操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法であって、電源投入時に前記駆動手段が前記操作レバーを一の方向に駆動するステップと、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段が前記操作レバーを他の方向に反転駆動するステップと、前記検出手段が前記操作レバーの前記最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段が前記操作レバーの駆動を停止するステップと、を備える。
【0010】
[4]また、本発明に係る力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法は、操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法であって、電源投入時に前記駆動手段が前記操作レバーを一の方向に駆動するステップと、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第1の最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段が前記操作レバーを他の方向に反転駆動するステップと、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第2の最大ストローク位置を検出したとき前記操作レバーの前記第1の最大ストローク位置から前記第2の最大ストローク位置までの駆動に対応するパルス信号を前記検出手段が出力した場合に整合性があると判断するステップと、当該整合性がある場合に前記駆動手段により前記操作レバーを再び前記一の方向に駆動するステップと、前記検出手段が前記操作レバーの前記第2の最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段が前記操作レバーの駆動を停止するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源投入時の操作レバーの中立復帰を確実に行うことができる。また、操作レバーの自動中立復帰制御を中立センサ等の追加的な構成なしに簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による入力装置の構成を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態による回転センサの出力特性の例をグラフで示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態による力覚付与型入力装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態による自動中立復帰の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施の形態による自動中立復帰の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第3の実施の形態による回転センサの出力特性の例をグラフで示す図である。
【図7】図7は、第3の実施の形態による自動中立復帰の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る力覚付与型入力装置として、車両に搭載されるカーナビ装置やエアコン装置等を遠隔操作するための力覚付与機能が付加された力覚付与型入力装置について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態による力覚付与型入力装置は、入力装置1と、制御部2とを備えている。
【0014】
(第1の実施の形態による力覚付与型入力装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態による入力装置1の構成を示す外観斜視図である。この入力装置1は、XYの任意の方向へ回動操作可能な操作レバー11を備えている。操作レバー11は、円柱状の金属部材から形成され、そのシャフトが互いに直交するように設けられた第1キャリッジ12及び第2キャリッジ13の各長孔を貫通している。
【0015】
第1キャリッジ12は、四角形の管状の部材からなり、操作レバー11を長孔の長手方向(X方向)に沿って回動可能に枢着するX軸14と、X軸14に直交する方向(Y方向)において2つの外壁から左右に突出するY軸15とを備えている。各Y軸15は、第1キャリッジ12の両外壁に一体に形成され、Y軸15の各両端部にベアリング16が嵌着されている。ベアリング16がベアリングホルダ17を介して、入力装置1の図示しないフレームに固定されることにより、第1キャリッジ12は当該フレームに対しY軸15を中心に回動可能に枢着されている。
【0016】
第2キャリッジ13は、操作レバー11が貫通している長孔が形成される平板部と、当該平板部と直交するアーム部とが一体形成される外形L字状の部材から構成されている。第2キャリッジ13の長孔は、Y方向に沿って長く形成され、操作レバー11のY方向への回動を許容する一方で、X方向の回動に対しては第2キャリッジ13を揺動させるように形成されている。
【0017】
上面部に四角形の開口を有する箱状の部材であるゲートブロック20は、操作レバー11の操作範囲を所定の回動範囲に制限するために設けられている。すなわち、ゲートブロック20の開口内部には、操作レバー11の基端部が挿入され、操作レバー11の最大ストローク(エッジ)の位置で当該基端部がゲートブロック20の内壁に当接することにより、それ以上の操作レバー11の回動を規制している。
【0018】
また、入力装置1は、2つのセクターギア21,26と、検出手段としての2つの回転センサ32,37と、駆動手段としての電動トルクモータであるXモータ31及びYモータ36とを備えている。セクターギア21,26は、それぞれ扇状の基端部に回動軸が設けられ、その回動軸を中心とする同一半径の周面部にギア歯21a,26aが形成されている。
【0019】
第1のセクターギア21は、入力装置1の図示しないフレームにその回動軸が枢着されて回動可能であるとともに、第2キャリッジ13のアーム部が同軸に連結している。第1のセクターギア21のギア歯21aには、Xモータ31のモータギア31aが噛合している。また、モータギア31aに連結して、Xモータ31の回転を検出する回転センサ32が設けられている。
【0020】
第2のセクターギア26は、その回動軸が第1キャリッジ12の一方のY軸15に連結している。また、第2のセクターギア26のギア歯26aには、Yモータ36のモータギア36aが噛合している。さらに、モータギア36aには、Yモータ36の回転を検出する回転センサ37が連結して設けられている。
【0021】
すなわち、操作者が操作レバー11をX方向に回動操作すると、第2キャリッジ13が連動して揺動し、第2キャリッジ13に軸を一にして連結するセクターギア21が回動する。これに伴いセクターギア21のギア歯21aに噛合するモータギア31aが回転するので、その回転角に基づいて回転センサ32により操作レバー11のX方向における回動操作が検出される。同様に、操作レバー11がY方向に回動操作されると、第1キャリッジ12が揺動して連結するセクターギア26が回動する。これに伴いセクターギア26のギア歯26aに噛合するモータギア36aが回転し、その回転角に基づいて回転センサ37により操作レバー11のY方向における回動操作が検出される。
【0022】
ここで、2つの回転センサ32,37は、Xモータ31及びYモータ36の回転方向に応じて異なる位相の2つのパルスを積分(インクリメント)することで、入力されるXモータ31、Yモータ36及びセクターギア21,26の回転方向と回転量を検出する。
【0023】
図2は、回転センサ32による出力特性の例をグラフで示す図である。この例では、操作レバー11がX方向における右側の第1エッジと左側の第2エッジの間のフルストロークの検出範囲において、Xモータ31が1回転以上(約4回転弱)回転する。そのため、操作レバー11の中立位置(0°)を基準に操作レバー11を左右方向のエッジまで回動操作すると、Xモータ31が360°回転した時に回転センサ32の出力が一旦、リセット(0V)される。なお、図示はしないがもう1つの回転センサ37も同一の特性を有する。
【0024】
また、回転センサ32,37の検出方式としては、フォトディテクタを用いた光式または磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いた磁気式のいずれでもよい。また、パルスを積分して出力するインクリメント型に限らず、ロータリエンコーダ等のパルス出力型のセンサであってもよい。
【0025】
さらに、Xモータ31に駆動電流が供給されると、モータギア31a、セクターギア21及び第2キャリッジ13を介して操作レバー11をX方向に回動させるトルクが伝達される。同様にYモータ36に駆動電流が供給されると、モータギア36a、セクターギア26及び第1キャリッジ12を介して操作レバー11をY方向に回動させるトルクが伝達される。次に説明する制御部2は、Xモータ31及びYモータ36に駆動電流を供給し、回転センサ32,37が検出する回転角に基づきフィードバック制御することにより、所望の反力を操作レバー11に付与する力覚制御を行う。
【0026】
図3は、本実施の形態による力覚付与型入力装置のシステム構成を示すブロック図である。制御部2は、CPU、ROMやRAMからなるメモリ、各種センサやスイッチが接続される入出力ポート、車載LANコントローラ等をハードウエア回路として備え、CPUが予めROMに記憶されたプログラムに従って演算制御処理を実行する電子制御ユニットとして構成される。
【0027】
制御部2には、Xモータ31、回転センサ32、Xエッジ検出部33、Yモータ36、回転センサ37、Yエッジ検出部38が接続されている。Xエッジ検出部33は、操作レバー11のX方向における両端の最大ストローク位置(第1及び第2エッジ)を検出する手段であり、Yエッジ検出部38は、操作レバー11のY方向における最大ストローク位置を検出する手段である。
【0028】
具体的には、Xエッジ検出部33は、例えばXモータ31の過負荷状態を検出する過負荷検出手段として構成される。すなわち、操作レバー11が最大ストローク位置にあるときにはその基端部がゲートブロック20の内壁に当接し規制されているため、回転センサ32の出力を目標値とするフィードバック制御をする際にXモータ31への駆動電流が過電流指令となる。つまり、Xエッジ検出部33は、Xモータ31の駆動電流が過電流状態のときに過負荷を検出して、操作レバー11が最大ストローク位置(エッジ)にあると判定する。なお、Yエッジ検出部38も同様にYモータ36の過負荷を検出する過負荷検出手段として構成され、操作レバー11のY方向における最大ストローク位置(エッジ)を検出する。
【0029】
また、Xエッジ検出部33及びYエッジ検出部38の他の実施の形態としては、操作レバー11のゲートブロック20への接触を直接的に検出する機械接点スイッチ、又は操作レバー11による光の遮断若しくは反射を検出する光センサ等により構成されるものでもよい。
【0030】
(第1の実施の形態による力覚付与型入力装置の動作)
次に、第1の実施の形態の力覚付与型入力装置による中立復帰の動作を説明する。図4は、電源投入時に制御部2のCPUが操作レバー11を自動的に中立位置に復帰させる制御動作を示すフローチャートである。ここでは、図4のフローチャートに基づいてX方向における中立復帰の動作を説明するが、実際の制御ではY方向における復帰動作も同じ方法で同時に又は連続して行われる。
【0031】
はじめに、入力装置1に電源が投入されると、制御部2はXモータ31を駆動して操作レバー11を例えば右方向に回動させる(ステップS10)。
【0032】
制御部2は、Xエッジ検出部33により、操作レバー11が右側の第1エッジに到達したと判断すると(ステップS11:YES)、Xモータ31を駆動して操作レバー11を左方向に反転して回動させる(ステップS12)。
【0033】
続いて、制御部2は、回転センサ32からの出力を受けながらパルスをカウントする。このとき、制御部2は、操作レバー11のフルストローク範囲で出力する回転センサ32のパルス数(予め定数としてメモリに記憶されている積算出力量)を初期値として変数メモリPfにセットし、回転センサ32から受ける出力毎に当該変数メモリPfをデクリメントする(ステップS13)。
【0034】
そして、制御部2は、Xエッジ検出部33により操作レバー11が左側の第2エッジに到達したことを検出すると(ステップS14:YES)、変数メモリPfの値がゼロか否か判断する(ステップS15)。このとき、変数メモリPfの値がゼロ(許容誤差を含む)であれば、制御部2はステップS10〜ステップS14までのエッジ検出動作が整合していると判断し(ステップS15:YES)、操作レバー11を再び右方向に反転して回動させる(ステップS16)。なお、制御部2は、Xエッジ検出部33が第2エッジを検出したにも関わらずステップS15において変数メモリPfの値がゼロでないと判断したときは(ステップS15:NO)、操作レバー11が回動中に操作者の手が触れた等の何らかの外力が作用したとみなして、再びステップS10からの自動復帰の処理をやり直す。
【0035】
制御部2は、ステップS16で操作レバー11の反転を開始すると同時に、操作レバー11のフルストロークの1/2の範囲、つまりエッジから中立位置までのハーフストロークの範囲で出力する回転センサ32のパルス数(予め定数としてメモリに記憶されている積算出力量)を初期値として変数メモリPhにセットする。そして、回転センサ32から受ける出力毎に当該変数メモリPhをデクリメントする(ステップS17)。
【0036】
そして、制御部2は、変数メモリPhの値がゼロとなったとき、操作レバー11が中立位置に到達したと判断し(ステップS18:YES)、Xモータ31の回転を停止して操作レバー11の回動を停止させる(ステップS19)。
【0037】
かかる制御部2の制御処理により、電源投入時の初期動作として操作レバー11を正確に中立位置に復帰させることができる。
【0038】
(第2の実施の形態による力覚付与型入力装置の動作)
次に、第2の実施の形態の力覚付与型入力装置による中立復帰の動作を説明する。図5は、第2の実施の形態の制御部2による中立復帰の制御動作を示すフローチャートである。ここでは、X方向における中立復帰の動作を説明するが、実際の制御ではY方向における復帰動作も同じ方法で同時に又は連続して行われる。
【0039】
図5を参照し、はじめに入力装置1に電源が投入されると、制御部2はXモータ31を駆動して操作レバー11を例えば右方向に回動させる(ステップS20)。
【0040】
制御部2は、Xエッジ検出部33により、操作レバー11が右側のエッジに到達したと判断すると(ステップS21:YES)、Xモータ31を駆動して操作レバー11を左方向に反転して回動させる(ステップS22)。
【0041】
続いて、制御部2は、回転センサ32からの出力を受けながらパルスをカウントする。このとき、制御部2は、操作レバー11のフルストロークの1/2の範囲、つまりエッジから中立位置までのハーフストロークの範囲で出力する回転センサ32のパルス数(予め定数としてメモリに記憶されている積算出力量)を初期値として変数メモリPhにセットする。そして、回転センサ32から受ける出力毎に当該変数メモリPhをデクリメントする(ステップS23)。
【0042】
そして、制御部2は、変数メモリPhの値がゼロとなったとき、操作レバー11が中立位置に到達したと判断し(ステップS24:YES)、Xモータ31の回転を停止して操作レバー11の回動を停止させる(ステップS25)。
【0043】
かかる制御部2の制御処理により、電源投入時の初期動作として操作レバー11を正確に中立位置に復帰させることができる。
【0044】
(第3の実施の形態による力覚付与型入力装置の動作)
次に、第3の実施の形態の力覚付与型入力装置による中立復帰の動作を説明する。ここで、図6は、第3の実施の形態の回転センサ32による出力特性の例をグラフで示す図である。この例では、操作レバー11がX方向における右側の第1エッジと左側の第2エッジの間のフルストロークの検出範囲において、Xモータ31が約2回転弱回転する構成となっている。図示はしないがもう1つの回転センサ37も同一の特性を有する。
【0045】
また、第3の実施の形態による回転センサ32,37は、入力される回転角に応じた電圧値を出力する角度センサであり、操作レバー11が中立位置のとき回転センサ32,37の出力がゼロになるように予め設定されている。また、ここでは、X方向における中立復帰の動作を説明するが、実際の制御ではY方向における復帰動作も同じ方法で同時に又は連続して行われる。
【0046】
図7は、この第3の実施の形態の制御部2による中立復帰の制御動作を示すフローチャートである。
【0047】
図7を参照し、はじめに入力装置1に電源が投入されると、制御部2はXモータ31を駆動して操作レバー11を例えば右方向に回動させる(ステップS30)。
【0048】
制御部2は、回転センサ32からの出力を監視し、その出力がゼロとなったとき、操作レバー11が中立位置に到達したと判断し(ステップS31:YES)、Xモータ31の回転を停止し操作レバー11の回動を停止させて処理が終わる(ステップS35)。
【0049】
一方、制御部2は、ステップS31で操作レバー11の中立を検出できず、Xエッジ検出部33によって操作レバー11の右側のエッジへの到達を検出すると(ステップS32:YES)、Xモータ31を駆動して操作レバー11を左方向に反転して回動させる(ステップS33)。
【0050】
続いて、制御部2は、回転センサ32からの出力を監視し、その出力がゼロとなったとき、操作レバー11が中立位置に到達したと判断する(ステップS34:YES)。そして、Xモータ31の回転を停止して操作レバー11の回動を停止させる(ステップS35)。
【0051】
かかる制御部2の制御処理により、電源投入時の初期動作として操作レバー11を正確に中立位置に復帰させることができる。
【0052】
以上、本発明に好適な実施の形態を複数説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。例えば、回転センサとして磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いた磁気式の構成とすれば、Xモータ31が180°回転した時に回転センサの出力が1周期分出力されるが、このような構成にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…入力装置、2…制御部、11…操作レバー、12…第1キャリッジ、13…第2キャリッジ、14…X軸、15…Y軸、16…ベアリング、17…ベアリングホルダ、20…ゲートブロック、21…セクターギア、21a…ギア歯、22…操作検出部、31…Xモータ、31a…モータギア、32…回転センサ、33…Xエッジ検出部、26…セクターギア、26a…ギア歯、36…Yモータ、36a…モータギア、37…回転センサ、38…Yエッジ検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者に操作される操作レバーと、
前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、
前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、
前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、
電源投入時に前記駆動手段により前記操作レバーを一の方向に駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第1の最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段により前記操作レバーを他の方向に反転駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第2の最大ストローク位置を検出したとき前記操作レバーの前記第1の最大ストローク位置から前記第2の最大ストローク位置までの駆動に対応するパルス信号を前記検出手段が出力した場合に整合性があると判断し、当該整合性がある場合に前記駆動手段により前記操作レバーを再び前記一の方向に駆動させ、前記検出手段が前記操作レバーの前記第2の最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段による駆動を停止して前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置。
【請求項2】
操作者に操作される操作レバーと、
前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、
前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、
前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、
電源投入時に前記駆動手段により前記操作レバーを一の方向に駆動させ、前記エッジ検出手段が前記操作レバーの最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段により前記操作レバーを他の方向に反転駆動させ、前記検出手段が前記操作レバーの前記最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段による駆動を停止して前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置。
【請求項3】
操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法であって、
電源投入時に前記駆動手段が前記操作レバーを一の方向に駆動するステップと、
前記エッジ検出手段が前記操作レバーの最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段が前記操作レバーを他の方向に反転駆動するステップと、
前記検出手段が前記操作レバーの前記最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段が前記操作レバーの駆動を停止するステップと、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法。
【請求項4】
操作者に操作される操作レバーと、前記操作レバーに対し力を付与して駆動可能な駆動手段と、前記駆動手段に連結し当該駆動手段の駆動量に対応するパルス信号を出力する検出手段と、前記操作レバーの最大ストローク位置を検出するエッジ検出手段と、前記操作レバーを中立位置に復帰させる自動中立復帰手段と、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法であって、
電源投入時に前記駆動手段が前記操作レバーを一の方向に駆動するステップと、
前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第1の最大ストローク位置を検出したとき前記駆動手段が前記操作レバーを他の方向に反転駆動するステップと、
前記エッジ検出手段が前記操作レバーの第2の最大ストローク位置を検出したとき前記操作レバーの前記第1の最大ストローク位置から前記第2の最大ストローク位置までの駆動に対応するパルス信号を前記検出手段が出力した場合に整合性があると判断するステップと、
当該整合性がある場合に前記駆動手段により前記操作レバーを再び前記一の方向に駆動するステップと、
前記検出手段が前記操作レバーの前記第2の最大ストローク位置から中立位置までの駆動に対応するパルス信号を出力したとき前記駆動手段が前記操作レバーの駆動を停止するステップと、を備える力覚付与型入力装置における自動中立復帰方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−243101(P2011−243101A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116292(P2010−116292)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】