説明

加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板とその製造方法

【課題】自動車分野に適用し得る冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.10〜0.80%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜2.0%、P:0.005〜0.03%、S:0.0001〜0.01%、Al:0.005〜0.10%、及び、N:0.001〜0.01%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、炭化物の平均炭化物径が0.4μm以下、炭化物の球状化率が90%以上で、かつ、降伏比が60%以下であって、さらに、焼入れ後に500HV以上に硬化する焼入硬化能を備えることを特徴とする冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間加工性、特に、冷間鍛造性に優れ、さらには、焼入性に優れた中炭素鋼板と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中炭素鋼板は、チェーン、ギヤ、クラッチ、鋸、刃物等の素材として広く用いられている。中炭素鋼板を、これらの素材として適用するに際しては、成形し、その後に、焼入れ・焼戻しの熱処理により硬質化させるので、成形性と焼入性を両立させる必要性がある。
【0003】
特に、近年、加工技術が発達し、鋼板を鍛造のような、従来よりも加工度の高い成形法が採用されるようなったことや、環境への配慮から、省エネルギー化の社会的ニーズの高まりにより、焼入れ・焼戻し工程も、より短時間化、低温化へ変更する動きが加速している。
【0004】
このように、二つの要求特性は、さらに厳格化が進んでいるとともに、2mm以上の板厚材を主体として、厳しい加工などが施されるので、全幅、全長にわたり、極めて高い板厚精度が求められるようになってきている。
【0005】
以上のようなニーズの変化に対応するためには、軟質でかつ冷間時の加工に耐え、焼入性に優れ、かつ、板厚の精度にも優れた中炭素鋼板を開発することが急務である。ここで、加工とは、曲げ、増肉、絞り等である。
【0006】
従来、中炭素鋼板の加工性と焼入性の関係については、多くの調査がなされてきた(例えば、特許文献1〜5、参照)。
【0007】
例えば、特許文献1には、C:0.1〜0.8質量%、S:0.01質量%以下の亜共析鋼からなり、炭化物球状化率が90%以上であるように炭化物がフェライト中に分散しており、かつ、平均炭化物粒径は0.4〜1.0μmであり、必要に応じてフェライト結晶粒径が20μm以上に調整される中・高炭素鋼板が開示されている。
【0008】
しかし、これまでの鋼板については、伸びフランジといった局所的な加工に対しての組織影響を調査し、その関係を整理している場合が主で、冷間加工時に必要とされる具体的なYR(降伏比)やTS(引張強度)という機械的な諸特性との関係を整理しているものはなく、加えて、その製造方法については、実機による製造方法として確立されたものとなっていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−80884号公報
【特許文献2】特開2003−89846号公報
【特許文献3】特開平9−268344号公報
【特許文献4】特開2001−329333号公報
【特許文献5】特開2001−355047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑み、自動車分野に適用し得る冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板とその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意研究した。その結果、冷間加工時にもっとも必要なことは、軟質化を達成することであるが、そのためには、鋼板を低YR(降伏比)型鋼板とし、材料自体のYR(降伏比)を低下させ、これに併せ、炭化物の平均球径が0.4μm以下で、90%以上の球状化率とすれば、歪伝播の均一性を確保でき、微細な割れ対策をとることができることを知見した。
【0012】
また、加工性を向上させた鋼板は、もう一つの特徴として、炭化物粒径が非常に小さく制御されていて、特に、どのような条件でも、焼入性を満足できることも知見した。
【0013】
さらに、これを満足する鋼板の製造は、単に、圧延条件や焼鈍条件などを工夫しても困難であり、熱延・冷延・焼鈍の一貫工程にて最適化を達成することでしか製造できないことも、種々の研究の積重ねで知見した。
【0014】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、以下の通りである。
【0015】
(1)質量%で、C:0.10〜0.80%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜2.0%、P:0.005〜0.03%、S:0.0001〜0.01%、Al:0.005〜0.10%、及び、N:0.001〜0.01%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、炭化物の平均炭化物径が0.4μm以下、炭化物の球状化率が90%以上で、かつ、降伏比が60%以下であって、さらに、焼入れ後に500HV以上に硬化する焼入硬化能を備えることを特徴とする冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【0016】
(2)前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Cr:0.02〜1.0%、Ni:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、及び、Mo:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【0017】
(3)前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Nb:0.01〜0.5%、V:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%、B:0.001〜0.01%、及び、W:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【0018】
(4)前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Y:0.001〜0.03%、Zr:0.001〜0.03%、La:0.001〜0.03%、Ce:0.001〜0.03%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【0019】
(5)前記中炭素鋼板の冷間加工前の引張強度が500MPa以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【0020】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の成分組成を有する連続鋳造鋳片を、直接、熱間圧延する際、又は、該鋳片を1100℃以上に加熱して熱間圧延する際、熱間圧延をAe3以上で行い、その後、2〜10秒の空冷時間を確保し、次いで、強冷開始から終了までを、10〜80℃/秒の冷却速度で、480〜600℃のパーライト領域まで冷却し、その後、400〜580℃の温度域で巻き取ることにより、初析フェライト5〜10%、ベイナイト50%未満の熱延板組織を有する熱延板を得、該熱延板に、1回冷延・1回焼鈍の処理を施すことを特徴とする冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。
【0021】
(7)前記熱延後の冷延を、圧下率5〜30%未満にて行い、その後、1回の焼鈍を施すことを特徴とする前記(6)に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。
【0022】
(8)前記冷延の後、650〜720℃、40時間以下の焼鈍を施すことを特徴とする前記(7)に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、軽圧下率の冷間圧延によって、熱延板で得た組織に歪を加えることで、粒成長・再結晶を促進し、降伏比が低く極めて軟質なために、冷間加工性に優れ、かつ、微細で球状化率の高い炭化物を析出させることで、どのような焼入条件においても、十分な焼入硬化能を有する中炭素鋼板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板(以下「本発明鋼板」ということがある。)は、質量%で、C:0.10〜0.80%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜2.0%、P:0.005〜0.03%、S:0.0001〜0.01%、Al:0.005〜0.10%、及び、N:0.001〜0.01%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、炭化物の平均炭化物径が0.4μm以下、炭化物の球状化率が90%以上で、かつ、降伏比が60%以下であって、さらに、焼入れ後に500Hv以上に硬化する焼入硬化能を備えることを特徴とするものである。
【0025】
そして、本発明鋼板の製造方法における特徴は、以下の通りである。
【0026】
(i)熱延板の特徴
熱延板の冷却パターンを工夫して、400〜580℃の温度域で巻き取り、初析フェライト5〜10%、ベイナイト50%未満(0は含まない)の熱延板とし、その後、酸洗して、冷延する。
【0027】
(ii)冷延板の特徴
圧下率5〜30%未満で、冷延を1回のみ行う。冷延を実施して、板厚の精度を、熱延板よりもよくする。
【0028】
(iii)熱処理の特徴
冷延板に、Ac1以下で、比較的短時間の焼鈍を1回施す。この焼鈍で、炭化物が微細に分散した状態で、球状化が進行して、目標とする球状化径と球状化率が得られる。炭化物の分散析出効果により、粒界・粒内でのCの析出が促進されて、降伏点が低下する。この降伏点の低下と、フェライト組織への軽歪付与による粒径拡大を利用して、軟質化し、加工性を確保する。
【0029】
以下、個々の要件の必要性について説明する。
【0030】
本発明鋼板は、JISG4051(機械構造用炭素鋼)、JISG4401(炭素工具鋼材)、又は、JISG4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定される成分系を基本とし、製品・製造関連の調査を繰り返すことで知見したものである。それ故、本発明鋼板の基本成分は、JIS規格に準ずるが、成分組成をさらに限定する理由について説明する。なお、以下、成分組成に係る%は、質量%を意味する。
【0031】
C:0.10〜0.80%
Cは、鋼板の焼入れ強度を確保するうえで重要な元素である。0.10%以上を添加して所要の強度を確保する。0.10%未満では、焼入性が低下し、機械構造用高強度鋼板としての強度が得られないので、下限を0.10%とする。0.80%を超えると、破壊の起点となる炭化物の割合が増加し、冷間鍛造性が低下するので、上限を0.80%とする。好ましくは、0.35〜0.70%である。
【0032】
Si:0.01〜0.35%
Siは、脱酸剤として作用し、また、焼入性の向上に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.01%とする。0.35%を超えると、熱間圧延時のスケール疵に起因する表面性状の劣化を招くので、上限を0.35%とする。好ましくは、0.15%以下である。
【0033】
Mn:0.3〜2.0%
Mnは、焼入性の向上に有効な元素である。0.3%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.3%とする。2.0%を超えると、焼入れ・焼戻し後の衝撃特性が低下するので、上限を2.0%とする。好ましくは、0.5〜1.5%である。
【0034】
P:0.005〜0.03%
Pは、固溶強化元素であり、比較的安価に鋼板の強度に有効に作用する元素である。ただし、過剰な含有は、靭性を阻害するので、上限を0.03%とする。0.005%未満に低減することは、精錬コストの上昇を招くので、下限を0.005%とする。
【0035】
S:0.0001〜0.01%
Sは、MnSなどの非金属介在物を形成し、加工性や、熱処理後の靭性を阻害する原因となるので、上限を0.01%とする。0.0001%未満に低減することは、精錬コストの大幅な上昇を招くので、下限を0.0001%とする。
【0036】
Al:0.005〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用し、また、Nの固定に有効な元素である。0.005%未満では、添加効果が十分に得られないので、下限を0.005%とする。0.10%を超えると、添加効果が飽和し、また、表面疵が発生し易くなるので、上限を0.10%とする。好ましくは、0.01〜0.04%である。
【0037】
N:0.001〜0.01%
Nは、窒化物を形成する元素である。湾曲型連続鋳造における鋳片曲げ矯正時に窒化物が析出すると、鋳片が割れることがあるので、上限を0.01%とする。Nは、少ないほど好ましいが、0.001%未満に低減するのは、精錬コストの増加を招くので、下限を0.001%とする。好ましくは、0.001〜0.006%である。
【0038】
本発明鋼板の機械特性を強化するため、Cr、Ni、Cu、及び、Moの1種又は2種以上を、所要量、添加してもよい。
【0039】
Cr:0.02〜1.0%
Crは、焼入性の向上に有効な元素である。0.02%未満では、大きな添加効果がないので、下限を0.02%とする。1.0%を超えると、添加効果は飽和するので、上限を1.0%とする。好ましくは、0.05〜0.6%である。
【0040】
Ni:0.01〜0.5%
Niは、靭性の向上や、焼入性の向上に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果がないので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、添加効果は飽和し、コスト増を招くので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.3%である。
【0041】
Cu:0.05〜0.5%
Cuは、焼入性の確保に有効な元素である。0.05%未満では、添加効果が不十分であるので、下限を0.05%とする。0.5%を超えると、硬くなり過ぎ、冷間加工性が劣化するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.3%である。
【0042】
Mo:0.01〜0.5%
Moは、焼入性の向上と、焼戻し軟化抵抗性の向上に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.3%である。
【0043】
本発明鋼板の機械特性を、さらに強化するため、Nb、V、Ta、B、W、Mg、Ca、Y、Ce、及び、Laの1種又は2種以上を、所要量、添加してもよい。
【0044】
Nb:0.01〜0.5%
Nbは、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果は充分に発現しないので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.07〜0.2%である。
【0045】
V:0.01〜0.5%
Vは、Nbと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、炭化物が生成し焼入れ硬度が低下するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.07〜0.2%である。
【0046】
Ta:0.01〜0.5%
Taは、Nb、Vと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、炭化物が生成し焼入れ硬度が低下するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.3%である。
【0047】
B:0.001〜0.01%
Bは、微量添加で、焼入性を高めるのに有効な元素である。0.001%未満では、添加効果がないので、下限を0.001%とする。0.01%を超えると、鋳造性が低下し、B系化合物が生成して靭性が低下するので、上限を0.01%とする。好ましくは、0.0015〜0.005%である。
W:0.01〜0.5%
Wは、鋼板強化に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が発現しないので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、加工性が低下するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.3%である。
【0048】
Mg:0.0005〜0.003%
Mgは、微量の添加で、酸化物及び硫化物の形態を制御するのに有効な元素である。0.0005%未満では、添加効果は得られないので、下限を0.0005%とする。0.003%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.003%とする。好ましくは、0.0007〜0.002%である。
【0049】
Ca: 0.0005〜0.003%
Caは、Mgと同様に、微量添加で、酸化物及び硫化物の形態を制御するのに有効な元素である。0.0005%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.0005%とする。0.003%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.003%とする。好ましくは、0.0010〜0.003%である。
【0050】
Y:0.001〜0.03%
Yは、Ca、Mgと同様に、微量添加で、酸化物及び硫化物の形態を制御するのに有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.001%とする。0.03%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.03%とする。好ましくは、0.0015〜0.004%である。
【0051】
Ce:0.001〜0.03%
Ceは、Mg、Ca、Yと同様に、微量添加で、酸化物及び硫化物の形態を制御するのに有効な元素である。0.001%未満では、添加効果は得られないので、下限を0.001%とする。0.03%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.03%とする。好ましくは、0.0015〜0.004%である。
【0052】
La:0.001〜0.03%
Laは、Mg、Ca、Y、Ceと同様に、微量添加で、酸化物及び硫化物の形態を制御するのに有効な元素である。0.001%未満では、添加効果は得られないので、下限を0.001%とする。0.03%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.03%とする。
【0053】
Zr:0.001〜0.03%
Zrは、鋼板強化に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が発現しないので、下限を0.001%とする。0.03%を超えると、加工性が低下するので、上限を0.03%とする。好ましくは、0.005〜0.01%である。
【0054】
本発明鋼板の原料としてスクラップを用いた場合、不可避的に、Sn、Sb、及び、Asの1種又は2種以上が、0.003%以上混入するが、いずれも、0.03%以下であれば、本発明鋼板の焼入性を阻害しないので、本発明鋼板においては、Sn:0.003〜0.03%、Sb:0.003〜0.03%、及び、As:0.003〜0.03%の1種又は2種以上の含有を許容する。
【0055】
本発明鋼板において、O量は規定していないが、酸化物が凝集して粗大化すると、冷間加工性が低下するので、Oは、0.0025%以下が好ましい。Oは、少ないほうが好ましいが、0.0001%未満に低減することは、技術的に困難であるので、0.0001%以上の含有は許容される。
【0056】
本発明鋼板は、前述した成分組成に加え、冷間加工前に、降伏比(YR)が60%以下で、かつ、引張強度が500MPa以下であり、炭化物の平均球径:0.4μm未満、球状化率:90%以上で、焼入れ後に500Hv以上に硬化する焼入硬化能を有することを特徴とする。
【0057】
ここでいう冷間加工前の強度は、加工前の強度を指す。成分組成に加え、冷間加工前の引張強度が500MPa以下で、かつ、降伏比が60%以下であり、炭化物の平均炭化物径が0.4μm未満、炭化物の球状化率が90%以上であることにより、鋼板の冷間加工性が改善され、冷間加工性と焼入性を両立させることができる。このことは、本発明者らが見いだした新規な知見である。
【0058】
冷間加工前の強度は、引張強度(TS)で500MPa以下とする。引張強度(TS)で500MPaを超えると、降伏比が60%未満であっても、延性が低下し、加工時の成形量を十分に確保できなくなる。
【0059】
強度が低くなれば、延性が改善され、加工性は良好となるが、打抜き加工時のダレが増加する場合がある。近年、打抜き・曲げ・増肉加工を一体化した鋼板の鍛造技術が普及しつつあるので、製造工程に応じて、引張強度(TS)を400MPa以上とすることが場合によっては好ましい。
【0060】
降伏比(YR)を60%以下とす理由は、加工時の応力歪の集中を避けるためである。鋼板を加工する場合、鋼板が、金型になじみながら変形してゆくためには、金型の動きに同調し、歪が均一に伝播して変形すること、又は、鋼板の塑性流動が均一であることが必要である。
【0061】
特に、近年は、圧縮荷重を多方向から、同時に、異なった方向へ加圧する、加工精度の向上と、短時間化を狙ったプレス方式も出現しつつあり、より均一に、材料変形を実現し、かつ、割れ起点を生じさせないことが重要になってきている。
【0062】
そのためには、低降伏点として、均一に加工硬化が開始し易い状況を形成することが必要であることを、本発明者らは知見した。降伏比が60%超の場合は、歪伝播性が劣り、それが原因で、冷間加工時、一か所に応力集中が生じ、その結果、流入不良や、割れが発生する。
【0063】
炭化物の平均粒径を0.4μm未満とし、球状化率を90%以上とする必要がある。粗大な炭化物は溶解完了までに時間を要し、焼入性を阻害するだけでなく、割れ発生の原因となる、これまで、伸びフランジ加工における炭化物の径と球状化率に関する調査と知見はあったが、加工度が大きい場合において、局所変形をしない場合における炭化物の径と球状化率を評価した知見はなかった。
【0064】
本発明者らは、炭化物の影響調査を行い、炭化物の径と球状化率を改善する手段を検討した。通常、加工時に歪集積が起こらないように、鋼を低降伏比とするが、加工歪量が非常に大きいので、マイクロボイドが生成する。マイクロボイドは、炭化物近傍に生成するので、起点となる炭化物を微細に分散させると、歪が集中しないことが判明した。
【0065】
即ち、本発明者らは、従来考えられている炭化物よりも、さらに小さい0.4μm未満の炭化物を微細に分散させ、球状化析出させなければならないことを見いだした。ただし、針状炭化物の周辺では、冷間加工時に応力が局所化し易くなり、割れの発生起点となり易い。
【0066】
球状化率が90%未満であると、炭化物が0.4μm未満であっても、局所的な応力により、割れの起点となり、冷間鍛造性が悪化する場合があるので、球状化率は90%以上が好ましい。
【0067】
球状炭化物は、母材と接する表面積が針状炭化物に比べて小さく、炭化物から母材への炭素の拡散経路が狭い。特に、球状化率が90%以上の場合、焼入れ効果を得るためには、従来の炭化物径より小さい径の炭化物である必要がある。加工性と焼入性を両立するためには、炭化物径0.4μm未満と球状化率90%以上は、必須条件である。
【0068】
組織観察は、走査型電子顕微鏡で行なう。非常に微細に析出した炭化物の個数が、焼入性に大きく影響するので、3000〜10000倍、場合によっては、30000倍程度の倍率にて、組織観察面上に炭化物が500個以上含まれる視野を4個所以上選択し、その領域中に含まれる各炭化物の面積を詳細に測定する。その後、1個当りの平均面積を円形で近似した際の直径を平均炭化物粒径として求める。
【0069】
炭化物の長軸長と短軸長の比が3以上の場合を針状炭化物とし、3未満の場合を球状炭化物とする。球状炭化物の個数を全炭化物の個数で除した値を、炭化物球状化率とする。
【0070】
焼入後の硬度は500HV以上が好ましい。500HV以上であると、焼入鋼の高強度化に伴い、耐摩耗性が向上する。特に、自動車用部品のクラッチプレートやギヤのような、耐摩耗性が主特性として求められる部材については、この特性は非常に重要であるので、焼入後の硬度500HV以上を満足することが重要である。
【0071】
100℃/秒の加熱速度にて950℃まで加熱した後、3秒保持し、300℃/秒以上の冷却速度で急冷した供試材の硬さを、焼入硬度として評価した結果、球状化率の上昇に伴い炭化物は溶け難くなるので、焼入硬度を確保するための平均球径は、小さくしなければならないという結果を得た。一方、球状化率が増加するほど、加工性は大きくなる。
【0072】
本発明鋼板は、相反する加工性と焼入性の両因子を両立させることを特徴とするものである。
【0073】
次に、本発明鋼板の製造方法について説明する。本発明の技術的思想は、上述した成分組成の鋼材において、熱延仕上圧延と冷却条件を工夫することで、最適熱延板組織を形成し、次いで、軽冷延率と低温短時間焼鈍(1回冷延・1回焼鈍)により、本発明鋼板を製造すること、特に、冷間鍛造性に優れ、さらには短時間の低温加熱焼入処置においても、目標とする硬度を確保できる焼入性に優れた中炭素鋼板を製造することである。
【0074】
以下に、本発明鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)について具体的に説明する。
【0075】
[熱間圧延]
熱間圧延は、成分組成の範囲を満たす連続鋳造鋳片を、直接、又は、鋳片を冷却後に加熱炉に装入して1100℃以上に加熱し、Ae3以上で圧延する。この際の冷却パターンが特徴的である。まず、仕上圧延後2秒以上10秒以下の空冷を実施し、その後、強冷開始から終了までを10〜80℃/秒の冷却速度で、480〜600℃のパーライト領域まで冷却し、次いで、400〜580℃の温度域で巻き取ることが特徴である。
【0076】
以下に、それぞれの熱間圧延での条件を規定する理由について説明する。
【0077】
[仕上圧延の圧延終了温度と冷却開始点]
仕上圧延の温度はAe3以上として、再結晶を促進する。通常、Ar3を、圧延終了温度の目安とし、オーステナイト組織で圧延を終了するが、その場合、鋼板は過冷状態にあり、再結晶が十分に起きず、冷却速度の影響が、圧延終了温度などで変化するので、熱延板において得られる組織に、多大なバラツキが生じる。
【0078】
したがって、本発明製造方法では、連続熱延の終了温度はAe3以上とし、冷却開始まで、冷却開始温度との兼ね合いで、2〜10秒の空冷時間をとり、その後、鋼板の冷却を開始する。
【0079】
空冷時間が10秒を超えると、温度の低下が著しくなり、再結晶挙動が緩慢となって、改善効果が飽和する。空冷時間は7秒以下が好ましい。連続熱延の終了温度は1000℃以下が好ましい。熱延終了温度が1000℃を超えると、スケール厚が増加し、酸洗性が極めて悪くなり、工業生産が困難となる。
【0080】
また、粗圧延後、シートバーとした後に、シートバーを接合し、連続圧延を行ってもよい。シートバーを加熱し、上記の温度で圧延しても、材質・組織への影響はない。
【0081】
[冷却速度と強冷却終了温度]
冷却速度と終了温度を規定する理由は、目標組織を得るためである。ここでの組織制御が十分でないと、その後の冷延・焼鈍を目標範囲で実施しても目標組織を得ることができない。
【0082】
上述した圧延後の空冷を行った後、冷却速度10〜80℃/秒で、480〜600℃のパーライト領域まで冷却する。冷却速度が10℃/秒未満であると、この温度領域まで冷却した場合、変態が完了し、粗大なフェライトと粗大なパーライトの組織となってしまい、その後の冷延・焼鈍後で、目標とする炭化物を得ることができない。よって、冷却速度は10℃/秒以上とする。好ましくは20℃/秒以上である。
【0083】
冷却速度が80℃/秒超であると、鋼板の幅方向において冷却むらが生じる。特に、鋼板の端部近傍は過冷され、その後の巻取りまでの処理で、ベイナイト比率が高くなりすぎて、目標とする組織を得ることができなくなる。鋼板の端部を、トリム等で除去すると、歩留が低下するので、本発明製造方法では、冷却速度を80℃/秒以下とする。好ましくは70℃/秒以下である。
【0084】
[強冷却後の冷却終了後の巻取温度]
冷却後の巻取りは400〜580℃の温度域で行う。巻取温度が400℃未満であると、マルテンサイト変態が一部生じて、酸洗、巻戻し時に割れが発生する懸念が大きくなる。割れは絶対に避ける必要がある。また、割れが発生しなくても、材質にバラツキが生じるので、この点からも、マルテンサイト変態の一部発生は避けるべきである。巻取温度は430℃以上が好ましい。
【0085】
巻取温度を580℃以下とするのは、強冷却後の変態完了していない組織を、ベイナイト化するためである。巻取温度が580℃を超えると、変態未完了組織もパーライト組織へ変態するので、目標とする組織が得られない。巻取温度は550℃以下が好ましい。
【0086】
これらの熱延・冷却条件によって得られた熱延組織は、初析フェライト5〜10%、ベイナイト50%未満の組織である。この組織に制御する理由は、冷延条件と焼鈍条件に深くかかわってくる。
【0087】
その後の冷延・焼鈍処理の狙いは、冷延歪を加え、組織別の歪集積量の差を利用し、粒成長を促進することにある。熱延板の組織中には、冷却時と変態時に歪が導入されるが、組織によって歪量が異なり、ベイナイト組織での歪集積量が大きい。
【0088】
ただし、ベイナイト比率が50%以上の場合は、全体に占めるベイナイト組織が多すぎて、歪差が生じず、再結晶・粒成長が不均一になるので不適切である。また、歪差を大きくし、粒成長・再結晶を促進するためには、熱延板において生成した歪量の少ない初析フェライトを用いる必要があり、この量を、5〜10%に制御する必要がある。
【0089】
初析フェライトの量が5%未満であれば、ベイナイト比率が低くても、粒成長が十分できないし、10%超であれば、歪集積が生じ難く、粒成長が起こり難い。よって、初析フェライトの量は、5〜10%に制御する必要がある。好ましくは、6〜9%である。
【0090】
巻き取った熱延板を、酸洗又はショットブラストなどで、表面の酸化スケールを除去した後、冷延に供する。
【0091】
[冷間圧延率:圧下率5〜30%未満]
上述した熱間圧延方法により、狙い通りの組織とした熱延板を、圧下率5〜30%未満で冷間圧延を実施する。この処理は、熱延板で得た組織に歪を加えることで、組織別の歪差をより顕著にし、粒成長・再結晶を促進するためである。このような効果を得るためには、圧下率を5%以上とする必要がある。好ましくは、7%以上である。
【0092】
また、圧下率の下限のもう一つの意味は、炭化物を微細化することである、圧下率が5%未満であれば、熱延にて析出した炭化物が十分に破壊されず残存して、炭化物の平均粒径が大きくなるので、好ましくない。また、圧下率が30%以上の場合は、再結晶後のフェライトが細粒化して、強度が上昇するので、圧下率は30%未満とする。好ましくは27%以下である。
【0093】
[冷延板焼鈍の焼鈍温度と時間]
熱延・酸洗と冷延を施した鋼板を焼鈍し、目標とする炭化物組織と低YR型の鋼板とする。焼鈍により、各組織に集積した歪量の差を利用し、初析フェライトを再結晶・粒成長させ、粗大な粒とすることで、軟質化を図る。
【0094】
炭化物は、比較的低い巻取温度で分散した状態となっていることに加えて、冷延が施されているため、冷延完了時の状態では、非常に微細となっている。その結果、焼鈍を開始すると、直ぐに、炭化物は溶解を開始し、球状化が進行する。
【0095】
ただし、前述した製造条件により、非常に均一に、小さく分散しているので、一気に球状化が進行し、非常に微細なものが一斉に多数生成する。その結果、鋼中に固溶して残存するC量は極めて少ない状況となる。
【0096】
これまで、降伏点(YP)を上昇させていた固溶C量の低下により、YPが低下し、併せて、目標とする球状化率と炭化物径を得ることができる。この製造方法の冷延板焼鈍においては、低温・短時間が好ましく、650〜720℃、40時間以下とする。好ましくは、690℃で、20〜40時間である。
【0097】
なお、ここでの焼鈍は、箱焼鈍を指しており、水素95%以上で、かつ、400℃までの露点が−20℃未満で、400℃超における露点が−40℃未満の雰囲気で行うことが、鋼材幅方向における特性のバラツキを抑制する点で好ましいが、窒素雰囲気下においても、目標とする特性の鋼材を製造することは可能である。
【実施例】
【0098】
次に、実施例について説明する。実施例の水準は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した実行条件の一例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明要旨を逸脱せず、本発明目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
【0099】
表1に示す成分組成を有する鋼板を用い、表2に示す熱延条件と表3に示す冷延条件を組み合せ、かつ、焼鈍条件を2水準(690℃×35時間、710℃×35時間)として、鋼板の硬さと、鋼板中の炭化物の径を制御し、焼入硬度と冷間曲げ性により、鋼板の加工性を評価した。焼鈍後の冷却は、保定完了後、炉冷とした。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
また、焼入試験は、板厚5tの供試材を、周波数78kHzにて、常温より100℃/秒の加熱速度で昇温後、950℃で10秒保持し、直ちに100℃/秒以上の冷却速度で常温まで急冷する条件で実施し、焼入材のビッカーズ硬度を測定した。
【0104】
曲げ試験は、板厚5tの焼鈍ままの供試材を、曲げ半径5mmにて90°板長さ方向に曲げる条件にて評価し、従来評価していた外曲げ部の微細な亀裂や粗度不良以外にも、加工時の圧縮を考慮し、内曲げ側での微細な亀裂や粗度不良が認められたものについては、冷間加工性が劣位と判断し、評価×とした。評価結果を、表4及び表5に示す。
【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
表4及び表5中の連番1〜6、11、12、13、24〜29は、冷間加工性と焼入性が両立する開発鋼(発明鋼)である。連番7〜10は、焼入後の硬度が、目標に達しておらず、焼入性が劣位な比較鋼である。連番30と31は、炭化物の平均径が大きいため、軟質ではあるが、焼入性が劣位な比較鋼である。連番34は、YRが高いため、冷間加工性が目標に達せず、かつ、炭化物の平均径が大きいため、焼入後の硬度が目標に達していない劣位な比較鋼である。
【0108】
連番17、18、20、22、23、32、33、35、及び、36は、TS及びYRとも、目標に達しておらず、冷間加工性が劣位な比較鋼である。連番14〜16、19、及び、21は、炭化物の球状化率が低く、TS及びYRともに高いため、冷間加工性が劣位な比較鋼である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
前述したように、本発明によれば、軽圧下率の冷間圧延によって、熱延板で得た組織に歪を加えることで、粒成長・再結晶を促進し、降伏比が低く極めて軟質なために、冷間加工性に優れ、かつ、微細で球状化率の高い炭化物を析出させることで、どのような焼入条件においても、十分な焼入硬化能を有する中炭素鋼板を提供することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.10〜0.80%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜2.0%、P:0.005〜0.03%、S:0.0001〜0.01%、Al:0.005〜0.10%、及び、N:0.001〜0.01%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、炭化物の平均炭化物径が0.4μm以下、炭化物の球状化率が90%以上で、かつ、降伏比が60%以下であって、さらに、焼入れ後に500HV以上に硬化する焼入硬化能を備えることを特徴とする冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【請求項2】
前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Cr:0.02〜1.0%、Ni:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、及び、Mo:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【請求項3】
前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Nb:0.01〜0.5%、V:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%、B:0.001〜0.01%、及び、W:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【請求項4】
前記中炭素鋼板が、さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Y:0.001〜0.03%、Zr:0.001〜0.03%、La:0.001〜0.03%、Ce:0.001〜0.03%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【請求項5】
前記中炭素鋼板の冷間加工前の引張強度が500MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分組成を有する連続鋳造鋳片を、直接、熱間圧延する際、又は、該鋳片を1100℃以上に加熱して熱間圧延する際、熱間圧延をAe3以上で行い、その後、2〜10秒の空冷時間を確保し、次いで、強冷開始から終了までを、10〜80℃/秒の冷却速度で、480〜600℃のパーライト領域まで冷却し、その後、400〜580℃の温度域で巻き取ることにより、初析フェライト5〜10%、ベイナイト50%未満の熱延板組織を有する熱延板を得、該熱延板に、1回冷延・1回焼鈍の処理を施すことを特徴とする冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記熱延後の冷延を、圧下率5〜30%未満にて行い、その後、1回の焼鈍を施すことを特徴とする請求項6に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記冷延の後、650〜720℃、40時間以下の焼鈍を施すことを特徴とする請求項7に記載の冷間加工性及び焼入性に優れた中炭素鋼板の製造方法。

【公開番号】特開2013−57114(P2013−57114A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197423(P2011−197423)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】