説明

加工装置

【課題】ワーク洗浄配管の洗浄液供給口から洗浄液が急に吹き出すのを防止する。
【解決手段】洗浄手段3は、ロール状の洗浄部30と、板状ワークWの裏面WBに洗浄液を供給するワーク洗浄配管32とワーク洗浄配管32に連結し洗浄液供給源330に連通する洗浄液供給配管33とこれに分岐する圧力緩和配管34と洗浄液供給配管33に配設される洗浄液供給バルブ35とを少なくとも備え、ワーク洗浄配管32には複数の供給口300が開いており、圧力緩和配管34は、洗浄液供給配管33に洗浄液が満たされると空気室が形成され、空気室の空気は、洗浄液供給バルブ35を開くと収縮し、洗浄液供給バルブ35を閉じると膨張し洗浄液供給配管33及びワーク洗浄配管32の内部における圧力上昇を緩和させる。そして、ワーク洗浄配管32の供給口300から洗浄液が急に吹き出すことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークを洗浄する洗浄装置を備える加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状ワークを加工する研削装置においては、研削中や研削前後の各々の工程において板状ワークの裏面に研削屑等が付着する場合があるため、板状ワークの研削前後で板状ワークを洗浄している。研削装置には、洗浄液供給源に接続され板状ワークに洗浄液を供給する洗浄液供給配管と、これに連通するワーク洗浄配管と、板状ワークの裏面に接触させて研削屑等を除去するブラシもしくはスポンジとを備える洗浄装置とを搭載している。
【0003】
板状ワークの洗浄は、板状ワークを搬送する搬送手段が板状ワークの表面を保持して、洗浄装置によって洗浄用のブラシもしくはスポンジを板状ワークの裏面に当接させることにより行われている。
【0004】
洗浄装置は、板状ワークの裏面に付着した研削屑等やブラシ等に付着した研削屑等を効率よく除去するために、洗浄液を板状ワークの裏面とブラシ等とにそれぞれ供給している。板状ワーク裏面に洗浄液を供給する場合には、洗浄液を下から上に向けて吹き上げる必要があるため、洗浄装置は、1枚の板状ワークを洗浄するたびに洗浄液の供給及び停止の動作を繰り返している(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0005】
このような洗浄装置には、洗浄液供給源から送られてくる洗浄液の板状ワークへの供給及び停止を制御する洗浄液供給バルブが接続されている。洗浄液供給バルブの開閉動作において、洗浄液供給バルブを閉じる洗浄液供給停止時には、洗浄液供給配管内の圧力が低くなっているため、洗浄液供給バルブが開いて洗浄液を供給する時に、洗浄液供給配管内の圧力が急激に上昇してしまい、ワーク洗浄配管に形成された複数の洗浄液供給口から洗浄液が吹き出してしまうことがある。
【0006】
そのため、洗浄液の急な吹き出しを防止するために、洗浄液供給配管には洗浄液供給バルブを徐々に開いて洗浄液を適量まで供給する洗浄液供給コントロールバルブを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−031674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、洗浄液供給配管に洗浄液供給コントロールバルブが接続されても、例えば板状ワークを洗浄装置にセットする前に洗浄液供給バルブを開いた場合には、洗浄液供給配管の内部における圧力が上昇して洗浄液がワーク洗浄配管に形成された複数の洗浄液供給口から急に吹き出し、洗浄液が飛散することがある。
【0009】
また、洗浄液供給コントロールバルブでは、バルブの開口を徐々に行うため、板状ワークに適量の洗浄液を供給するまでに時間がかかってしまい、適時に適量の洗浄液を板状ワークに供給できないという問題がある。
【0010】
したがって、洗浄装置においては、ワーク洗浄配管の洗浄液供給口から洗浄液が急に吹き出しすることを安価な方法で防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、板状ワークを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに板状ワークを搬入する搬入手段と、該チャックテーブルから板状ワークを搬出する搬出手段と、該搬入手段の搬入経路もしくは該搬出手段の搬出経路のいずれかに配設されチャックテーブルの保持面に接触する板状ワークの面を洗浄する洗浄手段と、該チャックテーブルに保持された板状ワークを加工する加工手段と、を少なくとも含む加工装置において、該洗浄手段は、中心軸を回転軸として回転するロール状の洗浄部と、板状ワークの洗浄する面に洗浄液を供給するワーク洗浄配管と、該ワーク洗浄配管に連結し洗浄液供給源に連通する洗浄液供給配管と、該洗浄液供給配管から分岐して末端が封止されている圧力緩和配管と、該洗浄液供給源と該圧力緩和配管との間で該洗浄液供給配管に配設される洗浄液供給バルブと、を少なくとも備え、該洗浄部のロール状の外周面と該ワーク洗浄配管とは板状ワークの洗浄する面に平行で、該ワーク洗浄配管には板状ワークの洗浄する面に向かって複数の穴が開いており、該圧力緩和配管は、該洗浄液供給バルブを開いて該洗浄液供給配管に洗浄液が満たされることにより密閉された空気室が形成され、該空気室の空気は、該洗浄液供給バルブを開いたときには収縮し、該洗浄液供給バルブを閉じたときには膨張することにより該洗浄液供給配管および該ワーク洗浄配管の内部における圧力上昇を緩和する。
【0012】
本発明には、洗浄液供給配管に連結され、洗浄部のロール状の外周面に平行で該洗浄部の該回転軸の方向に複数の穴が開いている洗浄部洗浄配管が配設されることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、加工装置に、中心軸を回転軸として回転するロール状の洗浄部と、板状ワークの洗浄する面に洗浄液を供給するワーク洗浄配管と、該ワーク洗浄配管に連結し洗浄液供給源に連通する洗浄液供給配管と、該洗浄液供給配管から分岐して末端が封止されている圧力緩和配管と、該洗浄液供給源と該圧力緩和配管との間で該洗浄液供給配管に配設される洗浄液供給バルブと、を少なくとも備えた洗浄手段が配設されており、洗浄液供給配管に洗浄液が満たされると圧力緩和配管の内部に空気室が形成される。そして、この空気室が形成された状態で洗浄液供給バルブを開くと空気室に溜まっている空気が収縮し、洗浄液供給バルブを閉じると該空気が膨張するため、洗浄液供給配管及びワーク洗浄配管内の圧力上昇を緩和することができる。これにより、洗浄液供給バルブを徐々に開いて適量の洗浄液を供給する洗浄液供給コントロールバルブを洗浄液供給バルブに接続しなくとも、ワーク洗浄配管の洗浄液供給口から洗浄液の吹き出しを防止することができ、安価の構成で、適量の洗浄液を瞬時に供給することができる。
【0014】
上記の発明には、洗浄液供給配管に連結され、洗浄部のロール状の外周面に平行で該洗浄部の該回転軸の方向に複数の穴が開いている洗浄部洗浄配管が配設されているため、ワーク洗浄配管の洗浄液供給口から洗浄液の吹き出しを防止するとともに洗浄部を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】洗浄手段を備えた加工装置の構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】洗浄手段の第一例の全体構成を示す模式的な斜視図である。
【図3】洗浄手段の第一例の内部構造を示す説明図である。
【図4】洗浄手段の第二例の内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す加工装置1は、被加工物の加工処理前及び加工処理後において、板状ワークWを洗浄する洗浄手段3を備える加工装置の一例である。加工装置1はY軸方向に延びる長方形形状の基台100と、基台100の奥側にZ軸方向に延びる支持板110とから形成されている。そして、基台100の上面に板状ワークWを収容、搬送、洗浄及び加工する各種装置を配設している。
【0017】
基台100の上面中央には、円盤形状のターンテーブル11が配設されており、回動可能となっている。ターンテーブル11の上面には、板状ワークWを保持する保持面20を有し自転可能なチャックテーブル2が複数配設されている。したがって、ターンテーブル11が回動することにより、チャックテーブル2を公転させることができる。
【0018】
基台100の上面中央に配設されたターンテーブル11の近傍には、ターンテーブル11上に配設されたチャックテーブル2に加工前の板状ワークWを搬入する搬入手段4と、加工後の板状ワークWをチャックテーブル2から搬出する搬出手段5とが配設されている。搬入手段4は駆動軸40を中心として旋回動可能となっており、旋回動して移動する経路を搬入経路L1としている。また、搬出手段5においても搬入手段4と同様の構成としており、駆動軸50を中心として旋回動可能となっており、旋回動して移動する経路を搬出経路L2としている。
【0019】
基台100の上面、かつ、搬入経路L1には、チャックテーブル2の保持面20に接触する板状ワークWの裏面を洗浄する洗浄手段3が配設されている。また、基台100の上面、かつ、搬出経路L2においても、チャックテーブル2の保持面20に接触する板状ワークWの裏面を洗浄する洗浄手段3が配設されている。なお、洗浄手段3は、搬入経路L1もしくは搬出経路L2のいずれかに配設されていればよく、図1に示す加工装置1の構成に限定されない。
【0020】
搬入経路L1にあって、洗浄手段3の近傍には、洗浄手段3により洗浄された加工前の板状ワークWに対して表裏面の洗浄及び乾燥処理を施すスピンナー洗浄装置6が配設されている。また、搬出経路L2にあって、洗浄手段3の近傍には、洗浄手段3により洗浄された加工後の板状ワークWに対して表裏面の洗浄及び乾燥処理を施すスピンナー洗浄装置7が配設されている。
【0021】
基台100のY軸方向奥側には、支持板110において第一の加工手段8が加工送り手段10を介して支持されている。第一の加工手段8には、Z軸方向に軸心を有するスピンドル80と、スピンドル80の下端に装着された研削ホイール81とを備えている。そして、第一の加工手段8は、加工送り手段10によってZ軸方向に昇降可能となっており、板状ワークWに対して粗研削を施す。
【0022】
第一の加工手段8の近傍には、第二の加工手段9が加工送り手段10を介して支持されている。第二の加工手段9には、Z軸方向に軸心を有するスピンドル90と、スピンドル90の下端に装着された研削ホイール91とを備えている。そして、第二の加工手段9は、加工送り手段10によってZ軸方向に昇降可能となっており、板状ワークWに対して仕上げ研削を施す。
【0023】
基台100の上面前部には、加工前の板状ワークWを収容するワークカセット12及び加工後の板状ワークWを収容するワークカセット13が板状ワークWの収容口を対向させてそれぞれ配設されている。ワークカセット12とワークカセット13との間の領域には、ワークカセット12からの板状ワークWの搬出及びワークカセット13への板状ワークWの搬入を行う搬送ロボット14が配設されている。
【0024】
以下においては、洗浄手段の第一例及び第二例の構成及び作用について図2乃至図4を参照しながら説明する。
【0025】
図2及び図3に示す洗浄手段3は、加工装置1に搭載される洗浄手段の第一例である。図2に示すように、洗浄手段3は、板状ワークWを洗浄するロール状の洗浄部30と、洗浄手段3の上方に送り込まれてくる板状ワークWの洗浄する面に洗浄液を供給するワーク洗浄配管32と、ワーク洗浄配管32に連結し洗浄液供給源330に連通する洗浄液供給配管33と、洗浄液供給配管33から分岐して末端に封止部34Aを有する圧力緩和配管34と、洗浄液供給源330と圧力緩和配管34との間で洗浄液供給配管33に配設される洗浄液供給バルブ35とを少なくとも備えている。
【0026】
洗浄部30は、長方形形状の支持台320の両端部上面に立設された一対の挟持板321によって挟み込まれるようにして支持されている。洗浄部30は、板状ワークWに接触する面を外周面30Aとし、ロール状のスポンジローラもしくはブラシローラから構成されている。また、図3に示すように、洗浄部30の中央には、回転軸31が軸通されている。
【0027】
図2に示すように、洗浄部30の下方で一方の挟持板321に、洗浄部30を回転させるモータ322が配設されている。図3に示すモータ322の中央には、回転軸323が連結されており、当該回転軸323と洗浄部30の回転軸31とにベルト324が掛けられている。そして、モータ322の駆動により生じる回転力がベルト324を介して回転軸31に伝達されるようになっている。これにより、回転軸31はモータ322の駆動に伴い回転することができ、ロール状の洗浄部30を回転させることができる。
【0028】
図2に示すワーク洗浄配管32は、端部32Aを挟持板321に固定して洗浄部30の外周面30Aに平行に配設されている。一方、端部32Aの反対側の端部は挟持板321を貫通し洗浄液供給配管33及び洗浄液供給バルブ35を介して洗浄液供給源330に連結されている。
【0029】
図2に示すワーク洗浄配管32には、洗浄液供給源330から供給される洗浄液を板状ワークWに向けて供給するための供給口300が複数形成されている。また、図3に示すように、供給口300は、板状ワークWの裏面WBに洗浄液を吹き上げるために、裏面WBの面方向に開口されている。
【0030】
図2及び図3に示す洗浄液供給配管33は、ワーク洗浄配管32に連結されており、洗浄液供給バルブ35を介して洗浄液供給源330まで連通している。
【0031】
図2に示す洗浄液供給バルブ35は、箱型の弁箱から形成され、弁箱の内部には洗浄液を洗浄液供給配管33へ流す流路を開閉するための不図示の弁体が設けられている。
【0032】
図2に示す圧力緩和配管34は、洗浄水供給配管33から分岐して連結されている。また、圧力緩和配管34の末端は閉じられており、封止部34Aが形成されている。洗浄液が洗浄液供給配管33へ流入すると、洗浄液供給配管33から分岐した圧力緩和配管34及びワーク洗浄配管32へ向けて洗浄液が流れることとなるが、封止部34Aが圧力緩和配管34の末端に形成されていることにより、洗浄液が洗浄液供給配管33の内部に流入して満たされた状態になると、圧力緩和配管34の内部の所定位置まで流れた洗浄液と封止部34Aとの間に密閉された空気室ができるようになっている。
【0033】
また、洗浄液供給源330から供給される洗浄液が洗浄液供給配管33に流入されると、洗浄液供給配管33及びワーク洗浄配管32内における圧力が上昇する。
【0034】
圧力緩和配管34に上記のような空気室が形成された状態で、洗浄液供給バルブ35の弁体が開くと、空気室に溜まっている空気が収縮して洗浄液供給配管33内の圧力上昇を緩和することができる。一方で、洗浄液供給バルブ35の弁体が閉じると、洗浄液の洗浄液供給配管33への流入が遮断され、空気室に溜まっている空気が膨張する。したがって、洗浄手段3に上記の如く構成される圧力緩和配管34を備えることにより、洗浄液供給バルブ35から洗浄液が供給されるときに、洗浄液供給配管33及びワーク洗浄配管32内における急激な圧力上昇を緩和することができるため、ワーク洗浄配管32の供給口300から洗浄液の急な吹き出しを防止することができる。
【0035】
図4に示す洗浄手段3aは、加工装置1に搭載される洗浄手段の第二例である。洗浄手段3aにおいては、上記の洗浄手段3の構成に加えて洗浄液供給配管33に連結される洗浄部洗浄配管36を備えている。洗浄部洗浄配管36は、挟持板321に配設されるワーク洗浄配管32の配設位置とは反対側の位置に洗浄部30のロール状の外周面30Aに平行に配設されている。
【0036】
洗浄部洗浄配管36には、洗浄液供給源330から供給される洗浄液を外周面30Aに向けて供給するための複数の供給口310が複数形成されている。図4に示すように、供給口310は、外周面30Aに洗浄液を吹きつけるために、回転軸31の方向で、かつ、外周面30Aに向けて開口されている。
【0037】
洗浄部30によって板状ワークWの裏面WBを洗浄中、外周面30Aと板状ワークWの裏面WBとが接触するため、板状ワークWの裏面WBに付着した汚れが外周面30Aにも付着することがある。したがって、洗浄手段3aでは、洗浄部洗浄配管36を備えることにより、洗浄部30自身に付着した汚れを除去することができ、裏面WBの洗浄効果をより高めることができる。
【0038】
以下においては、洗浄手段の第一例を搭載した加工装置1の動作について説明する。
図1に示す搬送ロボット14がワークカセット12に収容された加工前の板状ワークWを取り出した後、搬入手段4が作動し搬入経路L1を移動して、搬送ロボット14が保持する板状ワークWの上面を吸着保持する。そして、搬入経路L1にある洗浄手段3の上方に板状ワークWを移動させる。
【0039】
このとき、板状ワークWが洗浄手段3の上方に到達していない時点で、図3に示す洗浄液供給バルブ35が洗浄液供給配管33への流路を開いたとしても、圧力緩和配管34内に形成された空気室により、洗浄液供給配管33とワーク洗浄配管32との内部における圧力上昇が緩和され、洗浄液がワーク洗浄配管32の供給口300から急に吹き出すことはない。
【0040】
板状ワークWが洗浄手段3の上方に到達したら、板状ワークWの裏面WBの洗浄が開始される。図3に示すように、モータ322の回転軸323を回転させて、ベルト324を介して洗浄部30の回転軸31を矢印A方向に回転させ、板状ワークWを矢印B方向に送り込ませながら、回転中の外周面30Aに板状ワークWの裏面WBを摺接させる。これと同時に洗浄液供給源330から洗浄液を洗浄液供給配管33に供給して、洗浄液供給配管33に連結したワーク洗浄配管32に流入させる。そして、洗浄液を供給口300から裏面WBに吹き上げる。その結果、加工前の板状ワークWの裏面WBに付着した汚れが除去される。
【0041】
板状ワークWの裏面WBの全面を洗浄したら、搬入手段4は搬入経路L1を移動してスピンナー洗浄装置6に板状ワークWを移動させ、板状ワークWの表裏面の洗浄及び乾燥処理がなされる。その後、搬入手段4は、搬入経路L1を移動してチャックテーブル2に板状ワークWを搬入する。
【0042】
チャックテーブル2が自転を開始するとともに、ターンテーブル11が回転を開始し、チャックテーブル2を第一の加工手段8及び第二の加工手段9の下方に順次送り込み、板状ワークWに対して第一の加工手段8による粗研削及び第二の加工手段9による仕上げ研削を施す。
【0043】
上記の加工が全て施された後、加工済みの板状ワークWには、加工屑が付着しているため、当該板状ワークWを洗浄手段3に移動させるために、搬出手段5が作動する。搬出手段5は、加工後の板状ワークWを保持するチャックテーブル2から板状ワークWの上面を吸着保持して搬出経路L2を移動する。そして、洗浄手段3の上方に板状ワークWを送り込み板状ワークWの裏面WBを洗浄する。なお、搬出経路L2に配設される洗浄手段3での洗浄についても、上記した搬入経路L1に配設される洗浄手段3と同様である。
【0044】
板状ワークWの裏面WBの全面を洗浄したら、搬出手段5は搬入経路L2を移動してスピンナー洗浄装置7に板状ワークWを移動させ、板状ワークWの表裏面の洗浄及び乾燥処理がなされる。その後、搬送ロボット14が搬出手段5に吸着保持された板状ワークWを受け取り、ワークカセット13に収容する。
【0045】
洗浄手段の第二例を搭載した加工装置1の動作例について、上記の洗浄手段の第一例を搭載した加工装置1とは異なる動作について説明する。
【0046】
図1に示した搬入手段4が搬入経路L1を移動し、図4に示す洗浄手段3aの上方に板状ワークWを到達させた後、板状ワークWの裏面WBの洗浄が開始される。図4に示すように、モータ322を駆動させ、洗浄部30の回転軸31を矢印A方向に回転させる。そして、板状ワークWを矢印B方向に送り込ませながら、回転中の外周面30Aに板状ワークWの裏面WBを摺接させる。これと同時に洗浄液供給源330から洗浄液を洗浄液供給配管33に供給する。このとき、洗浄手段3aにおいては、洗浄液供給配管33から連結したワーク洗浄配管32及び洗浄部洗浄配管36に洗浄液が供給される。
【0047】
洗浄液がワーク洗浄配管32に供給されると、供給口300から裏面WBに吹き上げられるとともに、洗浄部洗浄配管36に供給された洗浄液が供給口310から回転中の洗浄部30の外周面30Aに吹きつけられる。その結果、板状ワークWの裏面WBに付着した加工屑などが除去されるほか、外周面30Aに付着した加工屑についても除去される。
【0048】
以上説明した洗浄手段3及び洗浄手段3aでは、圧力緩和配管34を備えることにより、洗浄液供給バルブ35から洗浄液が供給されるときに、洗浄液供給配管33及びワーク洗浄配管32内における急激な圧力上昇を緩和することができる。そして、ワーク洗浄配管32の供給口300から洗浄液が急に吹き出すことを防止することができる。
【0049】
さらに、洗浄手段3aにおいては、洗浄液供給配管33に連結され洗浄部30のロール状の外周面30Aに平行で洗浄部30の回転軸31の方向に洗浄液の供給口310が複数開いている洗浄部洗浄配管36が配設されているため、洗浄部30を洗浄することができる。
【0050】
実施形態にかかる洗浄手段3、3aでは、洗浄部30が一本だけ適用された一例を示したが、洗浄部30は1本だけに限定されるものではない。例えば、洗浄手段に3本のロール状のブラシローラを適用したものでもよい。
【0051】
また、洗浄手段には、洗浄部の本数と同数の洗浄部洗浄配管が配設される。すなわち、
実施形態にかかる洗浄手段3aでは、洗浄部30一本に対して洗浄部洗浄配管36が一本だけ配設されている。
【0052】
なお、図3及び4に示した洗浄手段3,3aは、図1に示した加工装置1以外の各種加工装置にも搭載することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:加工装置
2:チャックテーブル 20:保持面
3,3a:洗浄手段
30:洗浄部 30A:外周面
31:回転軸 32:ワーク洗浄配管 32A:端部 33:洗浄液供給配管
34:圧力緩和配管 34A:封止部 35:洗浄液供給バルブ 36:洗浄部洗浄配管
300,310:供給口
320:支持台 321:挟持板 322:モータ 323:回転軸 324:ベルト
330:洗浄液供給源
4:搬入手段 40:駆動軸
5:搬出手段 50:駆動軸
6:スピンナー洗浄装置
7:スピンナー洗浄装置
8:第一の加工手段 80:スピンドル 81:研削ホイール
9:第二の加工手段 90:スピンドル 91:研削ホイール
10:加工送り手段
100:基台 110 支持板
11:ターンテーブル
12:ワークカセット
13:ワークカセット
14:搬送ロボット
L1:搬入経路 L2:搬出経路
W:板状ワーク WB:裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに板状ワークを搬入する搬入手段と、該チャックテーブルから板状ワークを搬出する搬出手段と、該搬入手段の搬入経路もしくは該搬出手段の搬出経路のいずれかに配設されチャックテーブルの保持面に接触する板状ワークの面を洗浄する洗浄手段と、該チャックテーブルに保持された板状ワークを加工する加工手段と、を少なくとも含む加工装置において、
該洗浄手段は、中心軸を回転軸として回転するロール状の洗浄部と、
板状ワークの洗浄する面に洗浄液を供給するワーク洗浄配管と、
該ワーク洗浄配管に連結し洗浄液供給源に連通する洗浄液供給配管と、
該洗浄液供給配管から分岐して末端が封止されている圧力緩和配管と、
該洗浄液供給源と該圧力緩和配管との間で該洗浄液供給配管に配設される洗浄液供給バルブと、を少なくとも備え、
該洗浄部のロール状の外周面と該ワーク洗浄配管とは板状ワークの洗浄する面に平行で、該ワーク洗浄配管には板状ワークの洗浄する面に向かって複数の穴が開いており、
該圧力緩和配管は、該洗浄液供給バルブを開いて該洗浄液供給配管に洗浄液が満たされることにより密閉された空気室が形成され、
該空気室の空気は、該洗浄液供給バルブを開いたときには収縮し、該洗浄液供給バルブを閉じたときには膨張することにより該洗浄液供給配管および該ワーク洗浄配管の内部における圧力上昇を緩和する加工装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給配管に連結され、前記洗浄部のロール状の外周面に平行で該洗浄部の回転軸の方向に複数の穴が開いている洗浄部洗浄配管が配設される請求項1記載の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94876(P2013−94876A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238758(P2011−238758)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】