加湿器
【課題】肌の水分量に対応させて加湿を行うことができる加湿器を提供すること。
【解決手段】蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、その蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器において、肌の水分量を検出する肌情報検出部32を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器3と、加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部6と、湿度検出部6によって検出した湿度の値及び肌状態検知器3によって分別された肌の状態に基づいて蒸気発生部の制御を行う制御部7と、を備えた加湿器を構成した。
【解決手段】蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、その蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器において、肌の水分量を検出する肌情報検出部32を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器3と、加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部6と、湿度検出部6によって検出した湿度の値及び肌状態検知器3によって分別された肌の状態に基づいて蒸気発生部の制御を行う制御部7と、を備えた加湿器を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を発生させて加湿対象空間を加湿する加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加湿器としては、常に一定の量の蒸気を発生させるものや、湿度検出部によって加湿対象空間の湿度を検出し、その湿度が設定した湿度となるように蒸気の量を制御するものが知られている。このような従来の加湿器は、季節や天候、体調等により常に変化する肌の状態を考慮して加湿を行うものではなかった。そのため、使用者の肌が十分潤っているときに加湿対象空間を加湿したり、使用者の肌が乾燥しているときに加湿対象空間の加湿を停止させてしまったりすることがあった。
【0003】
そこで、近年、使用者の肌の状態を考慮した加湿器が考えられており、この種の加湿器としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、肌情報検出機能を有している空気調和機に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された空気調和機は、「肌情報を検出する肌情報検出部及び肌情報を送信する送信部とを備えたリモートコントローラと、取り込んだ空気の空気調和を行い送風を行う空気調和部と、前記リモートコントローラからの肌情報信号を受信する受信部と、少なくとも前記受信部で受信した肌情報信号に基づいて前記空気調和部の運転制御を行う制御部とを備えている」ことを特徴としている。
【0004】
そして、この空気調和機は、「加湿装置または噴霧装置をさらに備え、前記制御部は、前記肌情報に基づいて前記加湿装置または噴霧装置を運転する運転制御部を備えている」ことを特徴としている。
【0005】
この特許文献1に記載された空気調和機によれば、「肌水分量等の肌情報に基づいた空気調和機の運転を行うことが可能となる(段落番号[0009]参照)」という効果が期待される。
【特許文献1】特開2005−241181号公報
【0006】
この特許文献1に記載された空気調和機では、検出した肌情報と生体情報データベースにより、肌水分量、肌油分量、肌年齢、疲れ度等を分析し、最適な運転モードを決定する構成となっていた。この運転モードとしては、例えば、肌が乾燥している場合に決定される気流感の無い空調モード、肌温度が冷えている場合の暖房モード等があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された空気調和機では、検出した肌情報によって肌が乾燥していると判断したときに、運転モードを気流感の無い空調モードにすると共に加湿装置または噴霧装置によって芳香・蒸散が行われるようになっていた。即ち、加湿装置は、肌が大幅に乾燥している場合も、肌が僅かに乾燥している場合も、同じ制御によって蒸散を行うように構成されていた。そのため、検出した肌の乾燥具合に対応した加湿を行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を考慮し、肌状態検知器により検出した肌の水分量に対応させて加湿を行うことができる加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加湿器は、蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、当該蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器である。この加湿器は、肌の水分量を検出する水分量検出部を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器と、室内の湿度を検出する湿度検出部と、湿度検出部によって検出した湿度の値及び肌状態検知器によって分別された肌の状態に基づいて蒸気発生部の制御を行う制御部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加湿器によれば、肌状態検知器が検出した水分量から肌の状態を段階的に分別し、分別した肌の状態と加湿対象空間の湿度に基づいて制御部が蒸気発生部の制御を行うため、肌の水分量に対応した加湿を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の加湿器を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
図1〜図4は、本発明の実施の形態の例を示すものである。即ち、図1は本発明の加湿器の第1の実施の形態を示す斜視図、図2は本発明の加湿器に係る肌状態検知器の肌情報検出部を収納部に収納した状態の斜視図、図3は同じく肌情報検出部を外側に突出させた状態の斜視図、図4は本発明の加湿器に係る肌状態検知器の表示部を説明する説明図である。図5〜図9は本発明の加湿器に係る制御部の制御処理例を示すものであり、図5は第1の肌運転において制御部が行う制御処理の例を示すフローチャート、図6は同じく第2の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図7は同じく第3の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図8は同じく第4の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図9は同じく第5の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示す本発明の加湿器の第1の実施の形態は、水を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気をファンによって放出する、いわゆるスチームファン式の加湿器1として構成したものである。この加湿器1は、加湿対象空間に蒸気を放出する加湿器本体2と、この加湿器本体2と別体に設けられた肌状態検知器3とを備えて構成されている。
【0014】
加湿器本体2は、縦長の筐体からなる中空の外装ケース5と、この外装ケース5の側面に設けられた湿度検出部6と、この外装ケース5の内部に設けられた図には表れない蒸気発生部と、この蒸気発生部の制御を行う制御部7等を備えて構成されている。
【0015】
外装ケース5は、図1において左側部を形成する第1の筐体部11と、右側部を形成する第2の筐体部12からなっている。これら第1及び第2の筐体部11,12は、前後方向にずれた状態で重ね合わされていて、第1の筐体11が第2の筐体12よりも前側に突出している。図には表れないが、第1の筐体部11の内部には、給水タンクを着脱可能に収納するタンク収納部と、給水タンクから供給された水を加熱して蒸発させる蒸気発生部と、蒸気発生部によって発生された蒸気に対して送風を行うファン等が設けられている。
【0016】
また、第1の筐体部11の上面11aは、前側に至るにつれて低くなるように傾斜された傾斜面となっている。この上面11aの後側の端部には、蒸気発生部によって発生された蒸気を加湿対象空間へ放出するための蒸気吹出し口13が設けられている。この蒸気吹出し口13には、複数の桟状片14aによって形成された吹出し口カバー14が形成されている。また、蒸気吹出し口13は、図には表れない案内筒によって蒸気発生部と連結されており、この案内筒が蒸気発生部によって発生された蒸気を蒸気吹出し口13へ導くようになっている。
【0017】
第2の筐体部12は、第1の筐体部11よりも後側に突出されており、外装ケース5の左側部を形成している。この第2の筐体12の上面12aは、第1の筐体11の上面11aと同様に、前側に至るにつれて低くなるように傾斜された傾斜面となっている。第2の筐体12の上面12aには、肌状態検知器3を収納可能な収納凹部16が設けられている。また、第2の筐体12の側面12bには、加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部6が設けられている。
【0018】
更に、第2の筐体12の正面12cには、上から順に電源ボタン21と、肌運転ボタン22と、手動運転ボタン23と、自動運転ボタン24と、タイマーボタン25と、ロックボタン26が設けられている。これらのボタン21〜26は、それぞれプッシュ・プッシュ方式のスイッチ手段からなり、押圧操作を行うことにより各種の機能及び運転を選択することができる。
【0019】
電源ボタン21は、押圧操作を行うことにより電源のオン・オフが繰り返される。肌運転ボタン22は、第1の肌運転〜第5の肌運転までの5段階の運転モードから任意の運転モードを選択するためのボタンである。この肌運転ボタン22の押圧操作を繰り返すことにより、5態様の運転モードが順番に実行される。肌運転ボタン22によって選択される第1の肌運転〜第5の肌運転については、後で詳しく説明する。
【0020】
手動運転ボタン23は、蒸気量の少ない弱運転モードと蒸気量の多い強運転モードから任意の運転モードを選択するためのボタンである。この手動運転ボタン23の押圧操作を繰り返すことにより、弱運転モード及び強運転モードの2態様運転モードが順番に実行される。自動運転ボタン24は、加湿対象空間の湿度が設定した湿度となるように加湿する運転を実行させるボタンである。この自動運転ボタン24を押圧操作することにより、制御部が湿度検出部6によって検出した加湿対象空間の湿度に基づいて蒸気発生部を制御し、放出する蒸気量を調整する。
【0021】
タイマーボタン25は、所定の時間が経過すると電源が自動的にオン或いはオフされるように設定するボタンである。また、ロックボタン26は、このロックボタン26以外の各ボタン21〜25を押圧操作しても各種の運転や機能が実行されないようにロックするボタンである。このロックボタン26の押圧操作を繰り返すことにより、ロックとロック解除が順番に実行される。
【0022】
本実施の形態では、操作ボタンとして電源ボタン21及び肌運転ボタン22等を設ける構成としたが、本発明に係る加湿器には、その他の操作ボタンを設けることもできる。その他の操作ボタンとしては、例えば、マイナスイオンを含んだ蒸気を放出させるマイナスイオンボタンや、ビタミンCを含んだ蒸気を放出させるビタミンボタン等を挙げることができる。
【0023】
図2及び図3等に示すように、肌状態検知器3は、検知器本体31と、この検知器本体31に回動可能に支持される肌情報検出部32と、肌情報検出部32によって検出された肌情報を表示する表示部の一具体例を示す液晶ディスプレイ33等を備えて構成されている。
【0024】
肌状態検知器3の検知器本体31は、横長とされた扁平の直方体状に形成されている。この検出器本体31の幅方向に対応する2つの側面のうち一方の側面31aには、肌情報検出部32を収納可能な収納部35が設けられている。検知器本体31に支持される肌情報検出部32は、垂直軸を回動中心として水平方向に略90度回動可能とされている。これにより、肌情報検出部32は、収納部35に収納された図2に示す状態と、その状態から90度回動して一方の側面31aの外側に突出した図3に示す状態とを任意に取ることができる。
【0025】
肌情報検出部32は、検知器本体31に回動可能に支持される回動部材37と、この回動部材37の一面から突出する一対のセンサ38a,38bを有している。この肌情報検出部32は、一対のセンサ38a,38bによって肌に電流を流し、生体電気インピーダンス測定(bioelectrical impedance analysis)を行うことで肌情報を検出している。即ち、肌情報検出部32は、一対のセンサ38a,38bが肌に押し当てられることにより、その肌の水分量、油分量及び弾力性(ハリ)等の肌情報を検出するようになっている。
【0026】
また、検出器本体31の上面31bには、検知器用電源ボタン41と、測定ボタン42と、液晶ディスプレイ33が設けられている。検知器用電源ボタン41は、肌状態検知器3の電源をオン・オフするボタンであり、押圧操作を行うことで電源のオン・オフが繰り返される。測定ボタン42は、肌情報検出部32による肌情報の検出を開始させるボタンである。液晶ディスプレイ33には、肌情報検出部32によって検出された肌情報及びその肌情報によって分別された肌の状態等が表示される。
【0027】
図4に示すように、液晶ディスプレイ33には、肌情報検出部32によって検出された肌情報の一具体例を示す「水分量」、「油分量」及び「弾力性」がバーグラフ(インジケータ)として段階的に表示される。本実施の形態では、バーグラフの目盛りを(−5)〜(−1)と、標準及び(+1)〜(+5)に設定しており、「水分量」、「油分量」及び「弾力性」をそれぞれ11段階で表現している。これら「水分量」、「油分量」及び「弾力性」は、それぞれ最も望ましい状態のときにバーグラフによって標準を示すようになっている。
【0028】
「水分量」の値は、標準よりも肌が湿っている場合にプラス(+)となり、その絶対値が大きくなるほど水分量が多い状態を示している。そして、標準よりも肌が乾燥している場合には、その値がマイナス(−)になり、絶対値が大きくなるほど水分量が少ない状態を示している。「油分量」の値は、標準よりも肌に脂分が多い場合にプラス(+)となり、標準よりも肌に脂分が少ない場合にマイナス(−)となる。また、「弾力性」の値は、標準よりも肌に弾力性がある場合にプラス(+)となり、標準よりも肌に弾力性がない場合にマイナス(−)となる。
【0029】
次に、「水分量」として液晶ディスプレイ33に表示される11段階の値と、肌情報検出部32によって実際に検出される水分量との関係を説明する。肌情報検出部32によって実際に検出される水分量は、上述した11段階の値に変換されて液晶ディスプレイ33に表示される。即ち、「水分量」の11段階の値には、実際に検出される水分量に対応する範囲が設定されている。
【0030】
本実施の形態では、まず、液晶ディスプレイ33に表示される標準に対応する実際の水分量の範囲を設定し、それを基準に残りの値にそれぞれ対応する実際の水分量の範囲を設定した。その際、(−4)〜(−1)と(+1)〜(+4)の8つの値にそれぞれ対応する実際の水分量の範囲を均等に設定して、(−4)に対応する水分量よりも少ない場合を(−5)に設定すると共に(+4)に対応する水分量よりも多い場合を(+5)に設定した。
【0031】
また、液晶ディスプレイ33において、「水分量」、「油分量」及び「弾力性」の値を表すバーグラフの下には、バッテリーマークと、OKマークと、図には表れないエラーマークが表示される。バッテリーマークは、電池の交換を知らせるマークであり、電池の残量が少なくなったときに表示される。OKマークは、肌情報検出部32によって肌情報が正しく検出されたときに表示される。これとは逆に、エラーマークは、肌情報が正しく検出されなかったときに表示される。
【0032】
更に、液晶ディスプレイ33において、OKマーク等の下には、「肌運転」が1〜5の番号で表示される。これら「肌運転」の番号1〜5は、加湿器本体2によって実行される第1〜第5の肌運転に対応する表示である。ここで、肌運転について説明する。肌運転は、使用者の肌の状態とそのときの加湿対象空間の湿度に対応した加湿を行う運転である。本実施の形態では、使用者の肌の状態を5段階に分別し、それぞれの肌の状態に対応させて第1〜第5の肌運転を行う構成となっている。
【0033】
使用者の肌の状態は、肌情報検出部32によって検出した水分量に基づいて5段階に分別される。そして、分別された肌の状態に対応する肌運転の番号が、液晶ディスプレイ33に表示される。これにより、肌情報検知器3は、第1〜第5の肌運転のうち肌情報を検出したときの肌の状態に対応する肌運転を使用者に知らせることができる。なお、図4では、「肌運転」の番号1が表示された状態を示している。これにより、このときの肌の状態に対応する肌運転が第1の肌運転であることがわかる。
【0034】
次に、肌の状態の分別について説明する。本実施の形態では、「水分量」として液晶ディスプレイ33に表示される11段階の値から肌の状態を分別している。なお、本発明に係る肌の状態の分別としては、肌情報検出部32によって検出した水分量から直接肌の状態を分別することもできる。ここで、5段階に分別する肌の状態と、「水分量」の11段階の値及び「肌運転」の番号の関係を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示すように、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(+3)〜(+5)に対応する場合、肌の状態は、肌が湿っている第1の状態に分別される。そして、液晶ディスプレイ33には、「肌運転」として番号1が表示される。これにより、使用者は、現在の肌の状態に対応する肌運転が、第1の肌運転であると認識することができる。
【0037】
同様に、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(+2)に対応する場合、肌の状態は、肌が僅かに湿っている第2の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号2が表示される。そして、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−1)、標準及び(+1)に対応する場合、肌の状態は、肌が適度な水分を有している第3の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号3が表示される。
【0038】
また、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−2)に対応する場合、肌の状態は、肌が僅かに乾燥している第4の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号4が表示される。そして、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−3)〜(−5)に対応する場合、肌の状態は、肌が乾燥している第5の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号5が表示される。
【0039】
上述したように、肌が僅かに湿っている第2の状態及び肌が僅かに乾燥している第4の状態は、それ以外の第1,3,5の状態よりも対応する水分量の範囲を小さく設定した。これにより、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態を正確に検知することができ、これらの状態に対応させて加湿を細かく調整することができる。その結果、僅かに湿っている状態及び僅かに乾燥している状態の肌を、最も望ましい標準の状態に近づけることできる。
【0040】
次に、第1〜第5の肌運転を行う際の制御部7における制御処理の一実施例について図5〜図9を参照して説明する。なお、制御部7の制御処理を説明する際、湿度の値に具体的な数値を用いるが、本発明に係る制御部7の制御処理としては、その数値に限定されるものではなく、分別した肌の状態に対応するように設定した任意の数値を用いることができるものである。
【0041】
図5は、肌が湿っている第1の状態に対応した加湿を行う第1の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。加湿器本体2に設けた肌運転ボタン22を押圧操作して第1の肌運転が開始されると、まず、制御部7は、湿度検出部6によって加湿対象空間の湿度を検出する(ステップS1)。
【0042】
次に、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上であるか否かを判断する(ステップS2)。そして、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Cで加湿量の少ない弱運転を実行する。なお、間欠設定については、後で説明する。また、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が60%以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0043】
検出した加湿対象空間の湿度が60%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Bで弱運転を実行する。また、検出した加湿対象空間の湿度が60%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Aで加湿量の少ない弱運転を実行する。これにより、第1の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が湿っている第1の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。
なお、制御部7は、それぞれの運転を実行すると共に時間の測定を開始する。その後、所定時間が経過すると時間の測定を終了し、ステップS1に戻って再び制御処理を行う。
【0044】
ここで、間欠設定A〜Cについて説明する。間欠設定A〜Cは、それぞれ蒸気を発生させる時間と蒸気の発生を停止する時間が設定されている。この設定は、例えば、給水タンクから供給される水を温めるヒータのオン・オフにより実行することができる。本実例では、蒸気を発生させる時間を間欠設定A〜Cで共通に設定し、間欠設定Cでは蒸気の発生を停止する時間を最も長くして、間欠設定Aでは蒸気の発生を停止する時間を最も短くしている。即ち、間欠設定A〜Cにおける蒸気の発生を停止する時間は、以下の関係が成り立つように設定されている。
間欠設定A<間欠設定B<間欠設定C
【0045】
上述したように、間欠設定A〜Cによって蒸気の発生が停止される時間を異ならせたため、弱運転で放出される蒸気量を調整することができ、肌の状態と加湿対象空間の湿度に基づいた加湿を行うことができる。なお、本発明に係る間欠設定としては、蒸気の発生が停止される時間を共通にしてもよい。その場合、間欠設定Aの蒸気を発生させる時間を最も長くして、間欠設定Cの蒸気を発生させる時間を最も短くすると共に、間欠設定Bの蒸気を発生させる時間を間欠設定Aと間欠設定Cの中間の時間に設定する。
【0046】
図6は、肌が僅かに湿っている第2の状態に対応した加湿を行う第2の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。第2の肌運転が開始されると、まず、制御部7は、湿度検出部6によって加湿対象空間の湿度を検出する(ステップS11)。次に、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上であるか否かを判断する(ステップS12)。そして、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Aで加湿量の少ない弱運転を実行する。
【0047】
また、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が40%以上であるか否かを判断する(ステップS13)。検出した加湿対象空間の湿度が40%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が40%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して強運転を実行する。これにより、第2の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が僅かに湿っている第2の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS11に戻って再び制御処理を行う。
【0048】
図7は、肌が適度な水分を有している第3の状態に対応した加湿を行う第3の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第3の肌運転の制御処理において、ステップ21,22は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ21,22の説明を省略する。ステップ22において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が50%以上であるか否かを判断する(ステップS23)。
【0049】
検出した加湿対象空間の湿度が50%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の少ない弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が50%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第3の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が適度な水分を有している第3の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS21に戻って再び制御処理を行う。
【0050】
図8は、肌が僅かに乾燥している第4の状態に対応した加湿を行う第4の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第4の肌運転の制御処理において、ステップ31,32は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ31,32の説明を省略する。ステップ32において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が60%以上であるか否かを判断する(ステップS33)。
【0051】
検出した加湿対象空間の湿度が60%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の少ない弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が60%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第4の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が僅かに乾燥している第4の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS31に戻って再び制御処理を行う。
【0052】
図9は、肌が乾燥している第5の状態に対応した加湿を行う第5の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第5の肌運転の制御処理において、ステップ41,42は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ41,42の説明を省略する。
【0053】
ステップ42において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第5の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が乾燥している第5の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS41に戻って再び制御処理を行う。
【0054】
本実施の形態では、肌状態検知器3において肌の状態を5段階に分別する構成としたが、本発明に係る肌の状態の分別としては、これに限定されるものではない。本発明に係る肌の状態としては、2〜4段階に分別することができ、また、6以上の段階に分別することもできる。そして、分別した数に対応した肌運転を行うように構成することができるものである。
【0055】
また、本実施の形態では、分別した肌の状態に対応する肌運転の番号を、液晶ディスプレイ33に表示する構成としたが、これに加えて、「肌が乾燥しています」、「肌が僅かに乾燥しています」等の文字で分別した肌の状態を表示する構成としてもよい。
【0056】
更に、本実施の形態では、肌情報を検出して肌の状態を分別する肌状態検知器3を構成したが、本発明に係る肌状態検知器としては、肌情報の検出が可能であると共に加湿器本体2を遠隔操作可能なリモートコントローラとして構成してもよい。その場合は、肌状態検知器に、操作部とこの操作部による操作を情報信号として加湿器本体2に送信する送信部を設け、加湿器本体2に肌状態検知器から送信された情報信号を受信する受信部を設ける。その際、肌状態検知器に、肌情報の水分量に基づいて決定された肌運転を自動的に送信する肌運転送信ボタンを設けることでリモートコントローラとしての操作感を向上させることができる。なお、本実施の形態では、加湿器本体2に対して肌状態検知器3を別体として設けたが、肌状態検知器を加湿器本体と一体に設けてもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明の加湿器によれば、肌状態検知器の肌情報検出部によって検出した肌の水分量から肌の状態を段階的に分別し、分別した肌の状態と湿度検出部によって検出した加湿対象空間の湿度に基づいて制御部が蒸気発生部を制御する。そのため、使用者の肌の状態に合わせて放出する蒸気量を調整することができ、肌の状態に対応した加湿を行うことができる。しかも、加湿対象空間の湿度が高い場合や肌が潤っている場合には、放出する蒸気量を少なくして無駄な消費電力を削減することができる。
【0058】
また、分別した肌の状態のうち肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態に対応させる水分量の範囲を、その他の状態の水分量の範囲よりも小さく設定した。そのため、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態を的確に検知することができる。そして、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態に合わせて放出する蒸気量を調整することにより、肌の状態が最も望ましい標準の状態に近づくように加湿対象空間を加湿することができる。
【0059】
更に、本発明の加湿器によれば、段階的に分別した肌の状態に対応する運転モード(肌運転の番号)を表示部に表示するため、使用者は、そのときの肌の状態に見合った運転を簡単に認識することができる。しかも、検出した水分量及び油分量等の肌情報をバーグラフ(インジケータ)として段階的に表示するため、肌質を簡単に確認することができる。また、肌状態検知器に肌情報検出部を収納可能な収納部を設けたため、不使用時に肌情報検出部を収納部に収納することができ、肌情報検出部が傷つくことを防止することができる。その結果、使用時には、常に正確な肌情報の検出を行うことができる。
【0060】
本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施の形態においては、加湿器としてスチームファン式の例について説明したが、ファンを備えていないスチーム式は勿論、常温の水を蒸発させて放出する気化式、超音波によって水を微細な粒子にして放出する超音波式、その他の方式の加湿器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の加湿器の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器を示すものであり、収納部に肌情報検出部を収納した状態の斜視図である。
【図3】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器を示すものであり、肌情報検出部を外側に突出させた状態の斜視図である。
【図4】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器における表示部の表示を説明する説明図である。
【図5】肌が湿っている第1の状態に対応した加湿を行う第1の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図6】肌が僅かに湿っている第2の状態に対応した加湿を行う第2の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図7】肌が適度な水分を有している第3の状態に対応した加湿を行う第3の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図8】肌が僅かに乾燥している第4の状態に対応した加湿を行う第4の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図9】肌が乾燥している第5の状態に対応した加湿を行う第5の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1…加湿器、 2…加湿器本体、 3…肌状態検知器、 5…外装ケース、 6…湿度検出部、 7…制御部、 11…第1の筐体、 12…第2の筐体、 13…蒸気吹出し口、 16…収納凹部、 21…電源ボタン、 22…肌運転ボタン、 23…手動運転ボタン、 24…自動運転ボタン、 31…検知器本体、 32…肌情報検出部、 33液晶ディスプレイ(表示部)、 37…回動部材、 38a,38b…センサ、 41…検知器用電源ボタン、 42…測定ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を発生させて加湿対象空間を加湿する加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加湿器としては、常に一定の量の蒸気を発生させるものや、湿度検出部によって加湿対象空間の湿度を検出し、その湿度が設定した湿度となるように蒸気の量を制御するものが知られている。このような従来の加湿器は、季節や天候、体調等により常に変化する肌の状態を考慮して加湿を行うものではなかった。そのため、使用者の肌が十分潤っているときに加湿対象空間を加湿したり、使用者の肌が乾燥しているときに加湿対象空間の加湿を停止させてしまったりすることがあった。
【0003】
そこで、近年、使用者の肌の状態を考慮した加湿器が考えられており、この種の加湿器としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、肌情報検出機能を有している空気調和機に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された空気調和機は、「肌情報を検出する肌情報検出部及び肌情報を送信する送信部とを備えたリモートコントローラと、取り込んだ空気の空気調和を行い送風を行う空気調和部と、前記リモートコントローラからの肌情報信号を受信する受信部と、少なくとも前記受信部で受信した肌情報信号に基づいて前記空気調和部の運転制御を行う制御部とを備えている」ことを特徴としている。
【0004】
そして、この空気調和機は、「加湿装置または噴霧装置をさらに備え、前記制御部は、前記肌情報に基づいて前記加湿装置または噴霧装置を運転する運転制御部を備えている」ことを特徴としている。
【0005】
この特許文献1に記載された空気調和機によれば、「肌水分量等の肌情報に基づいた空気調和機の運転を行うことが可能となる(段落番号[0009]参照)」という効果が期待される。
【特許文献1】特開2005−241181号公報
【0006】
この特許文献1に記載された空気調和機では、検出した肌情報と生体情報データベースにより、肌水分量、肌油分量、肌年齢、疲れ度等を分析し、最適な運転モードを決定する構成となっていた。この運転モードとしては、例えば、肌が乾燥している場合に決定される気流感の無い空調モード、肌温度が冷えている場合の暖房モード等があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された空気調和機では、検出した肌情報によって肌が乾燥していると判断したときに、運転モードを気流感の無い空調モードにすると共に加湿装置または噴霧装置によって芳香・蒸散が行われるようになっていた。即ち、加湿装置は、肌が大幅に乾燥している場合も、肌が僅かに乾燥している場合も、同じ制御によって蒸散を行うように構成されていた。そのため、検出した肌の乾燥具合に対応した加湿を行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を考慮し、肌状態検知器により検出した肌の水分量に対応させて加湿を行うことができる加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加湿器は、蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、当該蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器である。この加湿器は、肌の水分量を検出する水分量検出部を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器と、室内の湿度を検出する湿度検出部と、湿度検出部によって検出した湿度の値及び肌状態検知器によって分別された肌の状態に基づいて蒸気発生部の制御を行う制御部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加湿器によれば、肌状態検知器が検出した水分量から肌の状態を段階的に分別し、分別した肌の状態と加湿対象空間の湿度に基づいて制御部が蒸気発生部の制御を行うため、肌の水分量に対応した加湿を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の加湿器を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
図1〜図4は、本発明の実施の形態の例を示すものである。即ち、図1は本発明の加湿器の第1の実施の形態を示す斜視図、図2は本発明の加湿器に係る肌状態検知器の肌情報検出部を収納部に収納した状態の斜視図、図3は同じく肌情報検出部を外側に突出させた状態の斜視図、図4は本発明の加湿器に係る肌状態検知器の表示部を説明する説明図である。図5〜図9は本発明の加湿器に係る制御部の制御処理例を示すものであり、図5は第1の肌運転において制御部が行う制御処理の例を示すフローチャート、図6は同じく第2の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図7は同じく第3の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図8は同じく第4の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャート、図9は同じく第5の肌運転で行う制御処理の例を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示す本発明の加湿器の第1の実施の形態は、水を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気をファンによって放出する、いわゆるスチームファン式の加湿器1として構成したものである。この加湿器1は、加湿対象空間に蒸気を放出する加湿器本体2と、この加湿器本体2と別体に設けられた肌状態検知器3とを備えて構成されている。
【0014】
加湿器本体2は、縦長の筐体からなる中空の外装ケース5と、この外装ケース5の側面に設けられた湿度検出部6と、この外装ケース5の内部に設けられた図には表れない蒸気発生部と、この蒸気発生部の制御を行う制御部7等を備えて構成されている。
【0015】
外装ケース5は、図1において左側部を形成する第1の筐体部11と、右側部を形成する第2の筐体部12からなっている。これら第1及び第2の筐体部11,12は、前後方向にずれた状態で重ね合わされていて、第1の筐体11が第2の筐体12よりも前側に突出している。図には表れないが、第1の筐体部11の内部には、給水タンクを着脱可能に収納するタンク収納部と、給水タンクから供給された水を加熱して蒸発させる蒸気発生部と、蒸気発生部によって発生された蒸気に対して送風を行うファン等が設けられている。
【0016】
また、第1の筐体部11の上面11aは、前側に至るにつれて低くなるように傾斜された傾斜面となっている。この上面11aの後側の端部には、蒸気発生部によって発生された蒸気を加湿対象空間へ放出するための蒸気吹出し口13が設けられている。この蒸気吹出し口13には、複数の桟状片14aによって形成された吹出し口カバー14が形成されている。また、蒸気吹出し口13は、図には表れない案内筒によって蒸気発生部と連結されており、この案内筒が蒸気発生部によって発生された蒸気を蒸気吹出し口13へ導くようになっている。
【0017】
第2の筐体部12は、第1の筐体部11よりも後側に突出されており、外装ケース5の左側部を形成している。この第2の筐体12の上面12aは、第1の筐体11の上面11aと同様に、前側に至るにつれて低くなるように傾斜された傾斜面となっている。第2の筐体12の上面12aには、肌状態検知器3を収納可能な収納凹部16が設けられている。また、第2の筐体12の側面12bには、加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部6が設けられている。
【0018】
更に、第2の筐体12の正面12cには、上から順に電源ボタン21と、肌運転ボタン22と、手動運転ボタン23と、自動運転ボタン24と、タイマーボタン25と、ロックボタン26が設けられている。これらのボタン21〜26は、それぞれプッシュ・プッシュ方式のスイッチ手段からなり、押圧操作を行うことにより各種の機能及び運転を選択することができる。
【0019】
電源ボタン21は、押圧操作を行うことにより電源のオン・オフが繰り返される。肌運転ボタン22は、第1の肌運転〜第5の肌運転までの5段階の運転モードから任意の運転モードを選択するためのボタンである。この肌運転ボタン22の押圧操作を繰り返すことにより、5態様の運転モードが順番に実行される。肌運転ボタン22によって選択される第1の肌運転〜第5の肌運転については、後で詳しく説明する。
【0020】
手動運転ボタン23は、蒸気量の少ない弱運転モードと蒸気量の多い強運転モードから任意の運転モードを選択するためのボタンである。この手動運転ボタン23の押圧操作を繰り返すことにより、弱運転モード及び強運転モードの2態様運転モードが順番に実行される。自動運転ボタン24は、加湿対象空間の湿度が設定した湿度となるように加湿する運転を実行させるボタンである。この自動運転ボタン24を押圧操作することにより、制御部が湿度検出部6によって検出した加湿対象空間の湿度に基づいて蒸気発生部を制御し、放出する蒸気量を調整する。
【0021】
タイマーボタン25は、所定の時間が経過すると電源が自動的にオン或いはオフされるように設定するボタンである。また、ロックボタン26は、このロックボタン26以外の各ボタン21〜25を押圧操作しても各種の運転や機能が実行されないようにロックするボタンである。このロックボタン26の押圧操作を繰り返すことにより、ロックとロック解除が順番に実行される。
【0022】
本実施の形態では、操作ボタンとして電源ボタン21及び肌運転ボタン22等を設ける構成としたが、本発明に係る加湿器には、その他の操作ボタンを設けることもできる。その他の操作ボタンとしては、例えば、マイナスイオンを含んだ蒸気を放出させるマイナスイオンボタンや、ビタミンCを含んだ蒸気を放出させるビタミンボタン等を挙げることができる。
【0023】
図2及び図3等に示すように、肌状態検知器3は、検知器本体31と、この検知器本体31に回動可能に支持される肌情報検出部32と、肌情報検出部32によって検出された肌情報を表示する表示部の一具体例を示す液晶ディスプレイ33等を備えて構成されている。
【0024】
肌状態検知器3の検知器本体31は、横長とされた扁平の直方体状に形成されている。この検出器本体31の幅方向に対応する2つの側面のうち一方の側面31aには、肌情報検出部32を収納可能な収納部35が設けられている。検知器本体31に支持される肌情報検出部32は、垂直軸を回動中心として水平方向に略90度回動可能とされている。これにより、肌情報検出部32は、収納部35に収納された図2に示す状態と、その状態から90度回動して一方の側面31aの外側に突出した図3に示す状態とを任意に取ることができる。
【0025】
肌情報検出部32は、検知器本体31に回動可能に支持される回動部材37と、この回動部材37の一面から突出する一対のセンサ38a,38bを有している。この肌情報検出部32は、一対のセンサ38a,38bによって肌に電流を流し、生体電気インピーダンス測定(bioelectrical impedance analysis)を行うことで肌情報を検出している。即ち、肌情報検出部32は、一対のセンサ38a,38bが肌に押し当てられることにより、その肌の水分量、油分量及び弾力性(ハリ)等の肌情報を検出するようになっている。
【0026】
また、検出器本体31の上面31bには、検知器用電源ボタン41と、測定ボタン42と、液晶ディスプレイ33が設けられている。検知器用電源ボタン41は、肌状態検知器3の電源をオン・オフするボタンであり、押圧操作を行うことで電源のオン・オフが繰り返される。測定ボタン42は、肌情報検出部32による肌情報の検出を開始させるボタンである。液晶ディスプレイ33には、肌情報検出部32によって検出された肌情報及びその肌情報によって分別された肌の状態等が表示される。
【0027】
図4に示すように、液晶ディスプレイ33には、肌情報検出部32によって検出された肌情報の一具体例を示す「水分量」、「油分量」及び「弾力性」がバーグラフ(インジケータ)として段階的に表示される。本実施の形態では、バーグラフの目盛りを(−5)〜(−1)と、標準及び(+1)〜(+5)に設定しており、「水分量」、「油分量」及び「弾力性」をそれぞれ11段階で表現している。これら「水分量」、「油分量」及び「弾力性」は、それぞれ最も望ましい状態のときにバーグラフによって標準を示すようになっている。
【0028】
「水分量」の値は、標準よりも肌が湿っている場合にプラス(+)となり、その絶対値が大きくなるほど水分量が多い状態を示している。そして、標準よりも肌が乾燥している場合には、その値がマイナス(−)になり、絶対値が大きくなるほど水分量が少ない状態を示している。「油分量」の値は、標準よりも肌に脂分が多い場合にプラス(+)となり、標準よりも肌に脂分が少ない場合にマイナス(−)となる。また、「弾力性」の値は、標準よりも肌に弾力性がある場合にプラス(+)となり、標準よりも肌に弾力性がない場合にマイナス(−)となる。
【0029】
次に、「水分量」として液晶ディスプレイ33に表示される11段階の値と、肌情報検出部32によって実際に検出される水分量との関係を説明する。肌情報検出部32によって実際に検出される水分量は、上述した11段階の値に変換されて液晶ディスプレイ33に表示される。即ち、「水分量」の11段階の値には、実際に検出される水分量に対応する範囲が設定されている。
【0030】
本実施の形態では、まず、液晶ディスプレイ33に表示される標準に対応する実際の水分量の範囲を設定し、それを基準に残りの値にそれぞれ対応する実際の水分量の範囲を設定した。その際、(−4)〜(−1)と(+1)〜(+4)の8つの値にそれぞれ対応する実際の水分量の範囲を均等に設定して、(−4)に対応する水分量よりも少ない場合を(−5)に設定すると共に(+4)に対応する水分量よりも多い場合を(+5)に設定した。
【0031】
また、液晶ディスプレイ33において、「水分量」、「油分量」及び「弾力性」の値を表すバーグラフの下には、バッテリーマークと、OKマークと、図には表れないエラーマークが表示される。バッテリーマークは、電池の交換を知らせるマークであり、電池の残量が少なくなったときに表示される。OKマークは、肌情報検出部32によって肌情報が正しく検出されたときに表示される。これとは逆に、エラーマークは、肌情報が正しく検出されなかったときに表示される。
【0032】
更に、液晶ディスプレイ33において、OKマーク等の下には、「肌運転」が1〜5の番号で表示される。これら「肌運転」の番号1〜5は、加湿器本体2によって実行される第1〜第5の肌運転に対応する表示である。ここで、肌運転について説明する。肌運転は、使用者の肌の状態とそのときの加湿対象空間の湿度に対応した加湿を行う運転である。本実施の形態では、使用者の肌の状態を5段階に分別し、それぞれの肌の状態に対応させて第1〜第5の肌運転を行う構成となっている。
【0033】
使用者の肌の状態は、肌情報検出部32によって検出した水分量に基づいて5段階に分別される。そして、分別された肌の状態に対応する肌運転の番号が、液晶ディスプレイ33に表示される。これにより、肌情報検知器3は、第1〜第5の肌運転のうち肌情報を検出したときの肌の状態に対応する肌運転を使用者に知らせることができる。なお、図4では、「肌運転」の番号1が表示された状態を示している。これにより、このときの肌の状態に対応する肌運転が第1の肌運転であることがわかる。
【0034】
次に、肌の状態の分別について説明する。本実施の形態では、「水分量」として液晶ディスプレイ33に表示される11段階の値から肌の状態を分別している。なお、本発明に係る肌の状態の分別としては、肌情報検出部32によって検出した水分量から直接肌の状態を分別することもできる。ここで、5段階に分別する肌の状態と、「水分量」の11段階の値及び「肌運転」の番号の関係を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示すように、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(+3)〜(+5)に対応する場合、肌の状態は、肌が湿っている第1の状態に分別される。そして、液晶ディスプレイ33には、「肌運転」として番号1が表示される。これにより、使用者は、現在の肌の状態に対応する肌運転が、第1の肌運転であると認識することができる。
【0037】
同様に、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(+2)に対応する場合、肌の状態は、肌が僅かに湿っている第2の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号2が表示される。そして、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−1)、標準及び(+1)に対応する場合、肌の状態は、肌が適度な水分を有している第3の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号3が表示される。
【0038】
また、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−2)に対応する場合、肌の状態は、肌が僅かに乾燥している第4の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号4が表示される。そして、検出した水分量が液晶ディスプレイ33に表示される「水分量」の値の(−3)〜(−5)に対応する場合、肌の状態は、肌が乾燥している第5の状態に分別され、「肌運転」として液晶ディスプレイ33に番号5が表示される。
【0039】
上述したように、肌が僅かに湿っている第2の状態及び肌が僅かに乾燥している第4の状態は、それ以外の第1,3,5の状態よりも対応する水分量の範囲を小さく設定した。これにより、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態を正確に検知することができ、これらの状態に対応させて加湿を細かく調整することができる。その結果、僅かに湿っている状態及び僅かに乾燥している状態の肌を、最も望ましい標準の状態に近づけることできる。
【0040】
次に、第1〜第5の肌運転を行う際の制御部7における制御処理の一実施例について図5〜図9を参照して説明する。なお、制御部7の制御処理を説明する際、湿度の値に具体的な数値を用いるが、本発明に係る制御部7の制御処理としては、その数値に限定されるものではなく、分別した肌の状態に対応するように設定した任意の数値を用いることができるものである。
【0041】
図5は、肌が湿っている第1の状態に対応した加湿を行う第1の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。加湿器本体2に設けた肌運転ボタン22を押圧操作して第1の肌運転が開始されると、まず、制御部7は、湿度検出部6によって加湿対象空間の湿度を検出する(ステップS1)。
【0042】
次に、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上であるか否かを判断する(ステップS2)。そして、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Cで加湿量の少ない弱運転を実行する。なお、間欠設定については、後で説明する。また、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が60%以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0043】
検出した加湿対象空間の湿度が60%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Bで弱運転を実行する。また、検出した加湿対象空間の湿度が60%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Aで加湿量の少ない弱運転を実行する。これにより、第1の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が湿っている第1の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。
なお、制御部7は、それぞれの運転を実行すると共に時間の測定を開始する。その後、所定時間が経過すると時間の測定を終了し、ステップS1に戻って再び制御処理を行う。
【0044】
ここで、間欠設定A〜Cについて説明する。間欠設定A〜Cは、それぞれ蒸気を発生させる時間と蒸気の発生を停止する時間が設定されている。この設定は、例えば、給水タンクから供給される水を温めるヒータのオン・オフにより実行することができる。本実例では、蒸気を発生させる時間を間欠設定A〜Cで共通に設定し、間欠設定Cでは蒸気の発生を停止する時間を最も長くして、間欠設定Aでは蒸気の発生を停止する時間を最も短くしている。即ち、間欠設定A〜Cにおける蒸気の発生を停止する時間は、以下の関係が成り立つように設定されている。
間欠設定A<間欠設定B<間欠設定C
【0045】
上述したように、間欠設定A〜Cによって蒸気の発生が停止される時間を異ならせたため、弱運転で放出される蒸気量を調整することができ、肌の状態と加湿対象空間の湿度に基づいた加湿を行うことができる。なお、本発明に係る間欠設定としては、蒸気の発生が停止される時間を共通にしてもよい。その場合、間欠設定Aの蒸気を発生させる時間を最も長くして、間欠設定Cの蒸気を発生させる時間を最も短くすると共に、間欠設定Bの蒸気を発生させる時間を間欠設定Aと間欠設定Cの中間の時間に設定する。
【0046】
図6は、肌が僅かに湿っている第2の状態に対応した加湿を行う第2の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。第2の肌運転が開始されると、まず、制御部7は、湿度検出部6によって加湿対象空間の湿度を検出する(ステップS11)。次に、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上であるか否かを判断する(ステップS12)。そして、検出した加湿対象空間の湿度が70%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して間欠設定Aで加湿量の少ない弱運転を実行する。
【0047】
また、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が40%以上であるか否かを判断する(ステップS13)。検出した加湿対象空間の湿度が40%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が40%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して強運転を実行する。これにより、第2の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が僅かに湿っている第2の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS11に戻って再び制御処理を行う。
【0048】
図7は、肌が適度な水分を有している第3の状態に対応した加湿を行う第3の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第3の肌運転の制御処理において、ステップ21,22は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ21,22の説明を省略する。ステップ22において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が50%以上であるか否かを判断する(ステップS23)。
【0049】
検出した加湿対象空間の湿度が50%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の少ない弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が50%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第3の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が適度な水分を有している第3の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS21に戻って再び制御処理を行う。
【0050】
図8は、肌が僅かに乾燥している第4の状態に対応した加湿を行う第4の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第4の肌運転の制御処理において、ステップ31,32は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ31,32の説明を省略する。ステップ32において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、検出した加湿対象空間の湿度が60%以上であるか否かを判断する(ステップS33)。
【0051】
検出した加湿対象空間の湿度が60%以上(YES)の場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の少ない弱運転を実行する。そして、検出した加湿対象空間の湿度が60%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第4の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が僅かに乾燥している第4の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS31に戻って再び制御処理を行う。
【0052】
図9は、肌が乾燥している第5の状態に対応した加湿を行う第5の肌運転において、制御部7が行う制御処理を示すフローチャートである。この第5の肌運転の制御処理において、ステップ41,42は、第2の肌運転の制御処理のステップ11,12と同じである。そのため、第2の肌運転の制御処理と共通するステップ41,42の説明を省略する。
【0053】
ステップ42において、検出した加湿対象空間の湿度が70%より下(NO)である場合、制御部7は、蒸気発生部を制御して加湿量の多い強運転を実行する。これにより、第5の肌運転における制御部7の制御処理が終了し、肌が乾燥している第5の状態と、そのときの加湿対象空間の湿度に基づいた加湿が行われる。なお、制御部7は、第1の肌運転の場合と同様に、所定時間が経過すると、ステップS41に戻って再び制御処理を行う。
【0054】
本実施の形態では、肌状態検知器3において肌の状態を5段階に分別する構成としたが、本発明に係る肌の状態の分別としては、これに限定されるものではない。本発明に係る肌の状態としては、2〜4段階に分別することができ、また、6以上の段階に分別することもできる。そして、分別した数に対応した肌運転を行うように構成することができるものである。
【0055】
また、本実施の形態では、分別した肌の状態に対応する肌運転の番号を、液晶ディスプレイ33に表示する構成としたが、これに加えて、「肌が乾燥しています」、「肌が僅かに乾燥しています」等の文字で分別した肌の状態を表示する構成としてもよい。
【0056】
更に、本実施の形態では、肌情報を検出して肌の状態を分別する肌状態検知器3を構成したが、本発明に係る肌状態検知器としては、肌情報の検出が可能であると共に加湿器本体2を遠隔操作可能なリモートコントローラとして構成してもよい。その場合は、肌状態検知器に、操作部とこの操作部による操作を情報信号として加湿器本体2に送信する送信部を設け、加湿器本体2に肌状態検知器から送信された情報信号を受信する受信部を設ける。その際、肌状態検知器に、肌情報の水分量に基づいて決定された肌運転を自動的に送信する肌運転送信ボタンを設けることでリモートコントローラとしての操作感を向上させることができる。なお、本実施の形態では、加湿器本体2に対して肌状態検知器3を別体として設けたが、肌状態検知器を加湿器本体と一体に設けてもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明の加湿器によれば、肌状態検知器の肌情報検出部によって検出した肌の水分量から肌の状態を段階的に分別し、分別した肌の状態と湿度検出部によって検出した加湿対象空間の湿度に基づいて制御部が蒸気発生部を制御する。そのため、使用者の肌の状態に合わせて放出する蒸気量を調整することができ、肌の状態に対応した加湿を行うことができる。しかも、加湿対象空間の湿度が高い場合や肌が潤っている場合には、放出する蒸気量を少なくして無駄な消費電力を削減することができる。
【0058】
また、分別した肌の状態のうち肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態に対応させる水分量の範囲を、その他の状態の水分量の範囲よりも小さく設定した。そのため、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態を的確に検知することができる。そして、肌が僅かに湿っている状態及び肌が僅かに乾燥している状態に合わせて放出する蒸気量を調整することにより、肌の状態が最も望ましい標準の状態に近づくように加湿対象空間を加湿することができる。
【0059】
更に、本発明の加湿器によれば、段階的に分別した肌の状態に対応する運転モード(肌運転の番号)を表示部に表示するため、使用者は、そのときの肌の状態に見合った運転を簡単に認識することができる。しかも、検出した水分量及び油分量等の肌情報をバーグラフ(インジケータ)として段階的に表示するため、肌質を簡単に確認することができる。また、肌状態検知器に肌情報検出部を収納可能な収納部を設けたため、不使用時に肌情報検出部を収納部に収納することができ、肌情報検出部が傷つくことを防止することができる。その結果、使用時には、常に正確な肌情報の検出を行うことができる。
【0060】
本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施の形態においては、加湿器としてスチームファン式の例について説明したが、ファンを備えていないスチーム式は勿論、常温の水を蒸発させて放出する気化式、超音波によって水を微細な粒子にして放出する超音波式、その他の方式の加湿器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の加湿器の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器を示すものであり、収納部に肌情報検出部を収納した状態の斜視図である。
【図3】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器を示すものであり、肌情報検出部を外側に突出させた状態の斜視図である。
【図4】本発明の加湿器の第1の実施の形態に係る肌状態検知器における表示部の表示を説明する説明図である。
【図5】肌が湿っている第1の状態に対応した加湿を行う第1の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図6】肌が僅かに湿っている第2の状態に対応した加湿を行う第2の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図7】肌が適度な水分を有している第3の状態に対応した加湿を行う第3の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図8】肌が僅かに乾燥している第4の状態に対応した加湿を行う第4の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【図9】肌が乾燥している第5の状態に対応した加湿を行う第5の肌運転において、制御部が行う制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1…加湿器、 2…加湿器本体、 3…肌状態検知器、 5…外装ケース、 6…湿度検出部、 7…制御部、 11…第1の筐体、 12…第2の筐体、 13…蒸気吹出し口、 16…収納凹部、 21…電源ボタン、 22…肌運転ボタン、 23…手動運転ボタン、 24…自動運転ボタン、 31…検知器本体、 32…肌情報検出部、 33液晶ディスプレイ(表示部)、 37…回動部材、 38a,38b…センサ、 41…検知器用電源ボタン、 42…測定ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、当該蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器において、
肌の水分量を検出する肌情報検出部を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器と、
前記加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部と、
前記湿度検出部によって検出した湿度の値及び前記肌状態検知器によって分別された肌の状態に基づいて前記蒸気発生部の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記肌状態検知器によって段階的に分別された肌の状態のうち特定の状態に対応する水分量の範囲は、それ以外の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲と異なる大きさに設定した
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項3】
前記肌状態検知器は、前記肌の状態を、肌が湿っている第1の状態と、肌が僅かに湿っている第2の状態と、肌が適度な水分を有している第3の状態と、肌が僅かに乾燥している第4の状態と、肌が乾燥している第5の状態の5段階に分別し、
前記第2の状態及び前記第4の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲を、それ以外の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲よりも小さくした
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項4】
前記肌状態検知器は、段階的に分別した肌の状態にそれぞれ対応する運転モードを表示する表示部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項5】
前記表示部は、前記肌情報検出部によって検出した肌の水分量を段階的に表示する
ことを特徴とする請求項4記載の加湿器。
【請求項6】
前記表示部は、検出した水分量に基づいて段階的に分別した肌の状態を表示する
ことを特徴とする請求項4記載の加湿器。
【請求項7】
前記湿度検出部と前記制御部と前記蒸気発生部とを備えた加湿器本体を構成し、前記肌状態検知器は、前記加湿器本体とは別体に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項8】
前記肌状態検知器は、前記肌情報検出部を収納可能な収納部を有する
ことを特徴とする請求項7記載の加湿器。
【請求項1】
蒸気を発生させる蒸気発生部を有し、当該蒸気発生部により発生させた蒸気で加湿対象空間の加湿を行う加湿器において、
肌の水分量を検出する肌情報検出部を有し、検出した水分量に基づいて肌の状態を段階的に分別する肌状態検知器と、
前記加湿対象空間の湿度を検出する湿度検出部と、
前記湿度検出部によって検出した湿度の値及び前記肌状態検知器によって分別された肌の状態に基づいて前記蒸気発生部の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記肌状態検知器によって段階的に分別された肌の状態のうち特定の状態に対応する水分量の範囲は、それ以外の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲と異なる大きさに設定した
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項3】
前記肌状態検知器は、前記肌の状態を、肌が湿っている第1の状態と、肌が僅かに湿っている第2の状態と、肌が適度な水分を有している第3の状態と、肌が僅かに乾燥している第4の状態と、肌が乾燥している第5の状態の5段階に分別し、
前記第2の状態及び前記第4の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲を、それ以外の状態にそれぞれ対応する水分量の範囲よりも小さくした
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項4】
前記肌状態検知器は、段階的に分別した肌の状態にそれぞれ対応する運転モードを表示する表示部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項5】
前記表示部は、前記肌情報検出部によって検出した肌の水分量を段階的に表示する
ことを特徴とする請求項4記載の加湿器。
【請求項6】
前記表示部は、検出した水分量に基づいて段階的に分別した肌の状態を表示する
ことを特徴とする請求項4記載の加湿器。
【請求項7】
前記湿度検出部と前記制御部と前記蒸気発生部とを備えた加湿器本体を構成し、前記肌状態検知器は、前記加湿器本体とは別体に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項8】
前記肌状態検知器は、前記肌情報検出部を収納可能な収納部を有する
ことを特徴とする請求項7記載の加湿器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−281277(P2008−281277A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125994(P2007−125994)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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