説明

加湿装置

【課題】簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を提供する。
【解決手段】水を溜めるタンク部1と、タンク部1内から供給された水を蒸発させるための加湿エレメント2と、加湿エレメント2に風を送る送風ファン3と、タンク部1内の水を加湿エレメント2を介して循環させるポンプ4と、ポンプ4により加湿エレメント2を含む循環経路を循環する水を加熱するヒータ5と、制御部10とを備える。上記制御部10は、加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素の一例としての出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温に基づいて、加湿エレメント2による加湿量を制御するようにポンプ4と送風ファン3と加熱部ヒータ5を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加湿装置としては、タンクと、ポンプおよび透湿膜加湿器が順に接続された水循環経路を備え、上記水循環経路にタンク内熱交換器により加熱された水を循環させて、加湿用送風機により供給された空気を透湿膜加湿器により加湿するものがある(例えば、特開平11−351648号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記従来の加湿装置では、室内空気の湿度が所定値になるようにタンク内の水の温度を調整して、加湿量を制御する。しかしながら、上記加湿装置では、タンク内の水温の制御は応答性が悪く、加湿量を正確に制御することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平11−351648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明の加湿装置は、
水を溜めるタンク部と、
上記タンク部内から供給された水を蒸発させるための加湿エレメントと、
上記加湿エレメントに風を送る送風部と、
上記タンク部内の水を上記加湿エレメントを介して循環させるポンプと、
上記ポンプにより上記加湿エレメントを含む循環経路を循環する水を加熱する加熱部と、
上記加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素と、
上記要素の出力に基づいて、上記加湿エレメントによる加湿量を制御するように上記ポンプと上記送風部と上記加熱部のうちの少なくとも1つを制御する制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0006】
上記構成の加湿装置によれば、上記ポンプによりタンク部内の水を加湿エレメントを介して循環させて、加湿エレメントを含む循環経路を循環する水を加熱部により加熱する。そして、上記送風部から風が送られる加湿エレメントで加熱部により加熱された水を蒸発させて、加湿エレメントの風下側に加湿空気を供給する。このとき、上記制御部によって、加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する上記要素の出力に基づいて、加湿エレメントによる加湿量を制御(ポンプと送風部と加熱部のうちの少なくとも1つを制御)することによって、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる。ここで、加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素としては、例えば、加湿エレメントの出口側の水温、加湿エレメントの入口側の水温、加湿エレメントの風下側の空気温度、ポンプの流量、送風部の送風量などがある。
【0007】
また、一実施形態の加湿装置では、
上記要素は、上記加湿エレメントの出口側の水温を検出する出口側水温センサを含み、
上記制御部は、上記出口側水温センサにより検出された上記加湿エレメントの出口側の水温に基づいて、上記加湿エレメントによる加湿量を制御する。
【0008】
上記実施形態によれば、加湿エレメントで消費される熱量が多ければ加湿エレメントの出口側の水温は低くなり、加湿エレメントで消費される熱量が少なければ加湿エレメントの出口側の水温は高くなる。このように、上記加湿エレメントの出口側の水温と加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する。ここで、加湿エレメントで消費される熱量とは、加湿エレメントから水が気化するときの潜熱によるものであり、加湿エレメントで消費される熱量と加湿量は略比例する。したがって、このような加湿エレメントの出口側の水温を出口側水温センサにより検出して、検出された加湿エレメントの出口側の水温に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0009】
ここで、給湯機の中間温水や冷媒を用いた熱交換器により加熱された温水を利用して、加湿エレメントを含む循環経路に循環させるような場合、循環する水の温度すなわち加湿エレメントの入口側の水温が予め推測できるので、加湿エレメントの入口側の水温と出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温との温度差を推定でき、これを用いて加湿エレメントで消費される熱量を推定することにより、温度センサ1つで加湿量の制御を正確に行うことができる。
【0010】
また、一実施形態の加湿装置では、
上記要素は、上記加湿エレメントの入口側の水温を検出する入口側水温センサを含み、
上記制御部は、上記出口側水温センサにより検出された上記加湿エレメントの出口側の水温および上記入口側水温センサにより検出された上記加湿エレメントの入口側の水温に基づいて、上記加湿エレメントによる加湿量を制御する。
【0011】
上記実施形態によれば、加湿エレメントの入口側の水温が低ければ加湿エレメントで消費される熱量は少なくなり、加湿エレメントの入口側の水温が高ければ加湿エレメントで消費される熱量は多くなる。このように、上記加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する。そして、上記入口側水温センサにより検出された加湿エレメントの入口側の水温と出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温との温度差は、加湿エレメントで消費される熱量と略比例する。したがって、このような出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温および入口側水温センサにより検出された加湿エレメントの入口側の水温に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0012】
また、一実施形態の加湿装置では、
上記要素は、上記加湿エレメントの風下側の空気温度を検出する空気温度センサを含み、
上記制御部は、上記空気温度センサにより検出された上記加湿エレメントの風下側の空気温度に基づいて、上記加湿エレメントによる加湿量を制御する。
【0013】
上記実施形態によれば、例えば、送風部の送風量が一定の場合、加湿エレメントで消費される熱量が多ければ加湿エレメントの風下側の空気温度は高くなり、加湿エレメントで消費される熱量が少なければ加湿エレメントの風下側の空気温度は低くなる。これは、加湿エレメントで消費される熱量が加湿エレメントから水が気化するときの潜熱によるものであるが、送風部の送風量が一定の場合、加湿エレメントの風下側の相対湿度は、風の温度によらずほぼ一定だからである。このように、上記加湿エレメントの風下側の空気温度と加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する。したがって、このような加湿エレメントの風下側の空気温度を空気温度センサにより検出して、検出された加湿エレメントの風下側の空気温度に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0014】
また、一実施形態の加湿装置では、上記制御部は、上記ポンプの流量と上記送風部の送風量と上記加熱部の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、上記加湿エレメントによる加湿量を制御する。
【0015】
上記実施形態によれば、例えば、入口側の水温と、送風部の送風量とが一定であっても、上記制御部によりポンプの流量を制御して、加湿エレメントを含む循環経路を循環する水の量を多くすれば、出口側の水温の低下は小さく、加湿エレメントで消費される熱量が増えるため、加湿エレメントによる加湿量は増え、加湿エレメントを含む循環経路を循環する水の量を少なくすれば加湿エレメントによる加湿量は少なくなる。また、例えば、入口側の水温と、ポンプの流量とが一定であっても、上記制御部により送風部の送風量を制御して、送風部の送風量を多くすれば、出口側の水温は下がり、加湿エレメントで消費される熱量が増えるため、加湿エレメントによる加湿量は増え、送風部の送風量を少なくすれば加湿エレメントによる加湿量は少なくなる。また、上記制御部により加熱部の加熱量を制御して、加熱部の加熱量を多くすれば、加湿エレメントで消費される熱量が増えるため、加湿エレメントによる加湿量は増え、加熱部の加熱量を少なくすれば加湿エレメントによる加湿量は少なくなる。したがって、上記ポンプの流量と送風部の送風量と加熱部の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメントによる加湿量を容易に制御することができ、ポンプの流量と送風部の送風量と加熱部の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0016】
また、一実施形態の加湿装置では、
上記要素は、上記加湿エレメントの入口側の水温を検出する入口側水温センサと、上記加湿エレメントの出口側の水温を検出する出口側水温センサとを含み、
上記制御部は、上記入口側水温センサにより検出された上記加湿エレメントの入口側の水温と上記出口側水温センサにより検出された上記加湿エレメントの出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、上記ポンプの流量を制御する。
【0017】
上記実施形態によれば、ポンプの流量とが一定の場合、上記入口側水温センサにより検出された加湿エレメントの入口側の水温と出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温との温度差は、加湿エレメントで消費される熱量と略比例する。このような加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部によってポンプの流量を制御する。上記加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温との温度差が大きくなるほど、加湿エレメントの単位面積あたりの加湿量は、入口側で高く、出口側で低くなるため、加湿エレメント全体としての加湿効率(単位面積あたりの加湿量)は低くなる。このため、上記加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温との温度差が大きくなるほど、ポンプの流量を大きくして、加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温との温度差を小さくする。そうして、上記加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温の温度差が所定値以下になるように、ポンプの流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。
【0018】
また、一実施形態の加湿装置では、
空気の湿度を検出する湿度センサを備え、
上記制御部は、上記要素の出力および上記湿度センサにより検出された空気の湿度に基づいて、上記加湿エレメントによる加湿量を制御する。
【0019】
上記実施形態によれば、上記要素の出力および湿度センサにより検出された空気の湿度に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量を制御することにより、例えば局所空間を加湿する場合に、湿度センサにより検出された局所空間内の湿度に基づいてより正確な湿度コントロールができる。
【0020】
また、一実施形態の加湿装置では、上記加熱部は、上記タンク部の下流側かつ上記加湿エレメントの上流側に配置されている。
【0021】
上記実施形態によれば、上記タンク部の下流側かつ加湿エレメントの上流側に加熱部を配置することによって、循環経路を循環する水を加湿エレメントの近くでより早く加熱することができ、加湿量の制御の応答が速くなる。また、加熱部で加熱された水が加湿エレメントに到達するまでの経路を短くして、加湿エレメントに供給される水の温度低下を低減でき、加湿効率を向上できる。
【0022】
また、一実施形態の加湿装置では、上記加熱部は、スケールを析出させて除去するためのスケール析出部を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、上記加熱部のスケール析出部によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部の排水を行うことなく、加湿エレメントのスケール発生を抑制することができる。
【0024】
また、一実施形態の加湿装置では、上記スケール析出部は、析出したスケールを除去可能な構造である。
【0025】
上記実施形態によれば、上記スケール析出部は、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部の加熱効率の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0026】
以上より明らかなように、この発明の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0027】
また、一実施形態の加湿装置によれば、出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0028】
また、一実施形態の加湿装置によれば、出口側水温センサにより検出された加湿エレメントの出口側の水温および入口側水温センサにより検出された加湿エレメントの入口側の水温に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0029】
また、一実施形態の加湿装置によれば、空気温度センサにより検出された加湿エレメントの風下側の空気温度に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量をより正確に制御することができる。
【0030】
また、一実施形態の加湿装置によれば、ポンプの流量と送風部の送風量と加熱部の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメントによる加湿量を容易に制御することができる。
【0031】
また、一実施形態の加湿装置によれば、加湿エレメントの入口側の水温と加湿エレメントの出口側の水温の温度差が所定値以下になるように、ポンプの流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転を行うことができる。
【0032】
また、一実施形態の加湿装置によれば、加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する要素の出力および湿度センサにより検出された空気の湿度に基づいて、制御部によって加湿エレメントによる加湿量を制御することにより、例えば局所空間を加湿する場合に、湿度センサにより検出された局所空間内の湿度に基づいてより正確な湿度コントロールができる。
【0033】
また、一実施形態の加湿装置によれば、タンクの下流側かつ加湿エレメントの上流側に加熱部を配置することによって、循環経路を循環する水を加湿エレメントの近くでより早く加熱することができ、加湿量の制御の応答が速くなると共に、加熱部で加熱された水が加湿エレメントに到達するまでの経路を短くして、加湿エレメントに供給される水の温度低下を低減でき、加湿効率を向上できる。
【0034】
また、一実施形態の加湿装置によれば、加熱部のスケール析出部によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部の排水を行うことなく、加湿エレメントのスケール発生を抑制することができる。
【0035】
また、一実施形態の加湿装置によれば、上記スケール析出部を、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部の加熱効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の加湿装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0037】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の加湿装置の構成を示している。
【0038】
この第1実施形態の加湿装置は、図1に示すように、水を溜めるタンク部1と、上記タンク部1内から供給された水を蒸発させるための加湿エレメント2と、上記加湿エレメント2に風を送る送風部の一例としての送風ファン3と、上記タンク部1内の水を加湿エレメント2を介して循環させるポンプ4と、上記ポンプ4により加湿エレメント2を含む循環経路を循環する水を加熱する加熱部の一例としてのヒータ5と、上記ポンプ4と送風ファン3とヒータ5を制御する制御部10とを備えている。上記加湿エレメント2は、並列接続された複数の透水膜チューブを有している。
【0039】
上記タンク部1内の下側にヒータ5を配置すると共に、タンク部1内の下側かつ側面にタンク部用水温センサ15を設けている。上記加熱部として、入力電力を制御することにより容易に加熱量を制御可能な電気式のヒータを用いたが、加熱部はこれに限らず、加熱量を制御可能な各種の燃焼バーナーなどを用いてもよく、給湯器の中間温水を加熱に用いてもよい。給湯器の中間温水を加熱に用いる場合は、熱交換器を流れる温水の量を制御する(熱交換器を流れる温水の量が多くなると熱交換量が増大して加熱量は多くなる)。
【0040】
また、上記タンク部1内の側面に水位センサ16を設けている。上記水位センサ16は、フロート式の水位を検出するセンサを用いてもよいし、複数の電極を用いて水位を検出するセンサを用いてもよく、さらに光学式センサや超音波式センサなどを用いてもよい。
【0041】
上記タンク部1の下側と加湿エレメント2の入口側とを配管L1を介して接続し、その配管L1にポンプ4を配設している。また、上記加湿エレメント2の出口側に一端が接続された配管L2の他端をタンク部1の上部に配置している。上記タンク部1と配管L1と加湿エレメント2および配管L2で循環経路を構成している。
【0042】
また、外部から水をタンク部1に供給するための給水配管L3の給水口を、タンク部1の上部に配置している。上記給水配管L3に開閉バルブV1を配設している。また、上記タンク部1の下部に排水配管L4の一端を接続し、排水配管L4に開閉バルブV2を配設している。
【0043】
また、上記配管L2の加湿エレメント2の出口近傍に、加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素の一例としての出口側水温センサ11を設けている。
【0044】
また、上記制御部10は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなり、出口側水温センサ11とタンク部用水温センサ15および水位センサ16により検出された各信号に基づいて、ポンプ4と送風ファン3とヒータ5および開閉バルブV1,V2を制御する。上記制御部10は、送風ファン3を駆動するモータ6の単位時間あたりの回転数を制御する。
【0045】
上記構成の加湿装置において、まず制御部10により開閉バルブV1を開いて、タンク部1内に給水配管L3を介して給水する。このとき、水位センサ16により検出されたタンク部1内の水位が所定水位になると、開閉バルブV1を閉じて給水を終了する。次に、タンク部1内の水をヒータ5により加熱してポンプ4を駆動することにより、加熱された温水を、タンク部1と配管L1と加湿エレメント2および配管L2の順に循環させる。そうして、送風ファン3を所定の回転数で運転して、送風ファン3から空気を加湿エレメント2に供給する。上記加湿エレメント2に供給された空気は加湿され、加湿空気が加湿エレメント2の下流側に流れて、室内などの局所空間を加湿する。
【0046】
そして、加湿運転により水位センサ16により検出されたタンク部1内の水位が下限水位以下になると、再び制御部10により開閉バルブV1を開いて、所定水位になるようにタンク部1内に給水する。
【0047】
また、加湿運転時間の累積値などの定められた条件になったときに、開閉バルブV2を開いて、タンク部1内の水を排水配管L4を介して排水する。そうして、排水が終了すると、開閉バルブV2を閉じ、再び開閉バルブV1を開いて、所定水位になるようにタンク部1内に給水する。このようにして、定期的にタンク部1内の水を新しくすることにより、スケールの発生を抑えることができる。
【0048】
図6は加湿装置において同一加湿量を得るための加湿エレメント2の温度低下と温水循環量比との関係、および、加湿エレメント2の温度低下と加湿エレメント2の面積比との関係を示している。図6において、横軸は温度低下ΔT[deg]を表し、縦軸は温水循環量比と加湿エレメント2の面積比を表している。この図6では、加湿エレメント2の入口側に流入する温水の温度が一定で、かつ、加湿エレメント2の単位面積あたりの通風量が一定とする条件において、同一の加湿量を得るために必要となる温水循環量と加湿エレメント2の面積比を示している。なお、横軸の温度低下ΔTは、
ΔT=(加湿エレメント2の入口側の水温)−(加湿エレメント2の出口側の水温)
である。
【0049】
図6に示すように、温度低下ΔTが5[deg]以下では、温水循環量が急増するが、加湿エレメント2の面積はあまり小さくならない。一方、温度低下ΔTが15[deg]以上では、温水循環量はあまり減らないが、加湿エレメント2の面積は温度低下ΔTが大きくなるほど大きくなる。
【0050】
このように、温度低下ΔTを例えば5[deg]〜15[deg]の範囲にすることにより、温水循環量を極端に高くする必要が無くなり、大型のポンプが不要となって、加湿エレメント2内の循環水量も抑えることができるため、加湿エレメント2内の水路もコンパクトにできる。また、温度低下ΔTを例えば5[deg]〜15[deg]の範囲にすることにより、加湿エレメントを極端に大きくする必要が無くなり、加湿装置を小型化することができる。これにより、高性能の循環装置や大型の加湿エレメントを使用することなく、高い加湿量を得ることができる。このように、温度低下ΔTは、加湿装置の最大加湿量を設定するときに重要となる一方、小加湿量の時は、温度低下ΔTはいくら大きくてもよい。こうして、温水循環量と加湿エレメント2の面積を適切な値に設定することによって、温水循環量を最適にして省エネルギー化と小型化が図れる加湿性能の優れた加湿装置を実現できる。
【0051】
上記加湿装置では、出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温に基づいて、制御部10によって加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0052】
上記加湿エレメント2で消費される熱量は、加湿エレメント2から水が気化するときの潜熱によるものであり、ポンプ流量と入口側水温が一定の場合、加湿エレメント2の入口側で消費される熱量が多くなるほど加湿エレメント2の出口側の水温は低くなり、加湿エレメント2で消費される熱量が少なくなるほど加湿エレメント2の出口側の水温は高くなる。このように、上記加湿エレメント2の出口側の水温と加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する。
【0053】
また、上記加湿装置において、配管L1の加湿エレメント2の入口側近傍に加湿エレメント2の入口側の水温を検出する入口側水温センサ12を備えてもよい。この入口側水温センサ12は、加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素の一例である。この場合、出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温と、入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温に基づいて、制御部10によって加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0054】
上記加湿エレメント2の入口側の水温が低くなるほど加湿エレメント2で消費される熱量は少なくなり、加湿エレメント2の入口側の水温が高くなるほど加湿エレメント2で消費される熱量は多くなる。このように、上記加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する。そして、加湿エレメント2の入口側に流入する温水の温度が一定で、かつ、加湿エレメント2の単位面積あたりの通風量が一定とする条件では、入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温と出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温との温度差は、加湿エレメント2で消費される熱量と略比例するので、この特性を利用して加湿量を正確に制御することが可能となる。
【0055】
また、ポンプ流量と入口側水温が一定の場合、上記加湿エレメント2で消費される熱量が多ければ加湿エレメント2の風下側の空気温度は低くなり、加湿エレメント2で消費される熱量が少なければ加湿エレメント2の風下側の空気温度は高くなる。これは、加湿エレメント2で消費される熱量が加湿エレメント2から水が気化するときの潜熱によるものであり、加湿空気の温度が低下するからである。このように、上記加湿エレメント2の風下側の空気温度と送風ファン3の送風量と、加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する。したがって、このような加湿エレメント2の風下側の空気温度を空気温度センサ13により検出して、検出された加湿エレメント2の風下側の空気温度に基づいて、制御部10によって加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0056】
また、上記加湿装置において、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメント2による加湿量を容易に制御することができ、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0057】
また、送風ファン3の送風量と入口側水温が一定の場合でも、上記制御部10によりポンプ4の流量を制御して、加湿エレメント2を含む循環経路を循環する水の量を多くするほど加湿エレメント2による加湿量は増え、加湿エレメント2を含む循環経路を循環する水の量を少なくするほど加湿エレメント2による加湿量は少なくなる。また、ポンプ4の流量と入口側水温が一定の場合でも、上記制御部10により送風ファン3の送風量を制御して、送風ファン3の送風量を多くすれば加湿エレメント2による加湿量は増え、送風ファン3の送風量を少なくするほど加湿エレメント2による加湿量は少なくなる。また、上記制御部10によりヒータ5の加熱量を制御して、ヒータ5の加熱量を多くするほど加湿エレメント2による加湿量は増え、ヒータ5の加熱量を少なくすれば加湿エレメント2による加湿量は少なくなる。
【0058】
また、ポンプ4の流量が一定の場合、上記加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2の出口側の水温との温度差は、加湿エレメント2で消費される熱量と略比例する。したがって、上記加湿装置において、加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部10によってポンプ4の流量を制御することによって、加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が大きくなるほど、加湿エレメント2の出口側の水温が低くなって加湿効率が全体として低下するので、ポンプ4の流量を大きくして、加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2の出口側の水温との温度差を小さくする。そうして、上記加湿エレメント2の入口側の水温と加湿エレメント2の出口側の水温の温度差が所定値以下になるように、ポンプ4の流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。ここで、ポンプ4の流量は、加湿エレメント2内の圧力が最大許容圧力を越えないように制御する。
【0059】
また、上記入口側水温センサ12に加えて、送風ファン3の風上側に湿度を検出する湿度センサ14を備えてもよい。この場合、湿度センサ14により検出された空気の湿度に基づいて、制御部10によって加湿エレメント2による加湿量を制御することにより、例えば室内などの局所空間を加湿する場合により正確な湿度コントロールができる。
【0060】
また、上記加湿装置において、タンク部1の下流側かつ加湿エレメント2の上流側にヒータ5を配置することによって、循環経路を循環する水を加湿エレメント2の近くでより早く加熱することができ、加湿量の制御の応答が速くなる。また、ヒータ5で加熱された水が加湿エレメント2に到達するまでの経路を短くして、加湿エレメント2に供給される水の温度低下を低減でき、加湿効率を向上できる。
【0061】
上記第1実施形態の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
図2はこの発明の第2実施形態の加湿装置の構成を示している。この第2実施形態の加湿装置は、加熱部を除いて第1実施形態の加湿装置と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0063】
上記第1実施形態の加湿装置では、加熱部としてのヒータ5をタンク部1内に配置したが、この第2実施形態の加熱装置は、タンク部1内の底部にヒータ22を配置し、そのヒータ22を囲むように、スケール析出部21を配置している。上記スケール析出部21とヒータ22で加熱部25を構成している。
【0064】
上記スケール析出部21に用いられるスケールを析出させる部材としては、表面積の大きい多孔質の部材などが望ましく、特に後述する第3実施形態のように循環経路を塞ぐように配置される場合は、通水性が高いことが望ましい。なお、多孔質の部材として、パン式加湿機で使用されているスケール捕集部材などが使用でき、ガラスやロックウール、セラミック、各種樹脂、金属繊維などで作られた不織布を用いたり、発泡金属やセラミックの多孔体などを用いたりしてもよい。
【0065】
上記第2実施形態の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0066】
また、上記加湿装置において、配管L1の加湿エレメント2の入口側近傍に加湿エレメント2の入口側の水温を検出する入口側水温センサ12を備えてもよく、第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0067】
また、上記加湿エレメント2の風下側の空気温度を検出する空気温度センサ13を備えてもよいし、送風ファン3の風上側に湿度を検出する湿度センサ14を備えてもよい。いずれの場合も、上記第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0068】
また、上記加湿装置において、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメント2による加湿量を容易に制御することができ、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0069】
また、上記入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温と出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部20によってポンプ4の流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。
【0070】
また、上記加熱部25のスケール析出部21によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部1の排水を行うことなく、加湿エレメント2のスケール発生を抑制することができる。したがって、加湿エレメント2の長寿命化が図れ、排水頻度を少なくして使用水量を低減できる。
【0071】
特に、上記スケール析出部21とヒータ22で構成された加熱部25を、スケールが溜まりやすいタンク部1内の底部またはその近傍に配置することにより、発生したスケールを効果的に除去できる。
【0072】
また、上記スケール析出部21は、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部25の加熱効率の低下を防止できる。
【0073】
例えば、スケール析出部31に開閉部を設け、析出したスケールをその開閉部から取り出して除去してもよいし、スケール析出部31においてスケールが析出して付着した部材を取り外し、その部材からスケールを除去してもよい。
【0074】
〔第3実施形態〕
図3はこの発明の第3実施形態の加湿装置の構成を示している。この第3実施形態の加湿装置は、加熱部を除いて第2実施形態の加湿装置と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0075】
上記第1実施形態の加湿装置では、加熱部としてのヒータ5をタンク部1内に配置したが、この第3実施形態の加熱装置は、タンク部1と加湿エレメント2を接続する配管L1のポンプ4の下流側にスケール析出部31を配設し、そのスケール析出部31に接するようにヒータ32を配置している。上記スケール析出部21とヒータ32で加熱部35を構成している。
【0076】
上記第3実施形態の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0077】
また、上記加湿装置において、配管L1の加湿エレメント2の入口側近傍に加湿エレメント2の入口側の水温を検出する入口側水温センサ12を備えてもよく、第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0078】
また、上記加湿エレメント2の風下側の空気温度を検出する空気温度センサ13を備えてもよいし、送風ファン3の風上側に湿度を検出する湿度センサ14を備えてもよい。いずれの場合も、上記第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0079】
また、上記加湿装置において、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメント2による加湿量を容易に制御することができ、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0080】
また、上記入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温と出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部30によってポンプ4の流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。
【0081】
また、上記タンク部1の下流側かつ加湿エレメント2の上流側に加熱部35を配置することによって、循環経路を循環する水を加湿エレメント2の近くでより早く加熱することができ、加湿量の制御の応答が速くなる。また、加熱部35で加熱された水が加湿エレメント2に到達するまでの経路を短くして、加湿エレメント2に供給される水の温度低下を低減でき、加湿効率を向上できる。
【0082】
また、上記加熱部35のスケール析出部31によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部1の排水を行うことなく、加湿エレメント2のスケール発生を抑制することができる。したがって、加湿エレメント2の長寿命化が図れ、排水頻度を少なくして使用水量を低減できる。
【0083】
また、上記スケール析出部31は、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部35の加熱効率の低下を防止できる。
【0084】
〔第4実施形態〕
図4はこの発明の第4実施形態の加湿装置の構成を示している。この第4実施形態の加湿装置は、加熱部を除いて第1実施形態の加湿装置と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0085】
上記第1実施形態の加湿装置では、加熱部としてのヒータ5をタンク部1内に配置したが、この第4実施形態の加熱装置は、タンク部1外に加熱部45を配置している。
【0086】
上記タンク部1の底部に配管L11の一端を接続し、その配管L11の他端に熱交換器43の一次側の入口を接続している。上記配管L11にポンプ46を配設している。上記熱交換器43の一次側の出口にスケール析出部41の一端を接続し、スケール析出部41の他端に配管L12の一端を接続している。上記配管L12の他端を熱交換器43の二次側の入口に接続し、熱交換器43の二次側の出口を、タンク部1の配管L1の接続位置よりも上側に配管L13を介して接続している。そして、上記スケール析出部41に接するようにヒータ42を配置している。上記スケール析出部41とヒータ42と熱交換器43で加熱部45を構成している。
【0087】
上記加湿装置によれば、タンク部1内の水を加熱するとき、制御部40によってヒータ42をオンすると共にポンプ46を運転して、タンク部1内の水を、配管L11と熱交換器43の一次側とスケール析出部41と配管L12と熱交換器43の二次側および配管L13を介して循環させる。
【0088】
上記第4実施形態の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0089】
また、上記加湿装置において、配管L1の加湿エレメント2の入口側近傍に加湿エレメント2の入口側の水温を検出する入口側水温センサ12を備えてもよく、第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0090】
また、上記加湿エレメント2の風下側の空気温度を検出する空気温度センサ13を備えてもよいし、送風ファン3の風上側に湿度を検出する湿度センサ14を備えてもよい。いずれの場合も、上記第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0091】
また、上記加湿装置において、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメント2による加湿量を容易に制御することができ、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0092】
また、上記入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温と出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部30によってポンプ4の流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。
【0093】
また、上記加熱部45のスケール析出部41によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部1の排水を行うことなく、加湿エレメント2のスケール発生を抑制することができる。したがって、加湿エレメント2の長寿命化が図れ、排水頻度を少なくして使用水量を低減できる。
【0094】
また、上記スケール析出部41は、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部45の加熱効率の低下を防止できる。
【0095】
また、上記熱交換器43の一次側(スケール析出部41の上流側)と熱交換器43の二次側(スケール析出部41の下流側)との間で熱交換を行うことにより、熱交換器がない場合と比べてより少ない熱量で、スケール析出部41に流入する水の温度を上げることができる。
【0096】
〔第5実施形態〕
図5はこの発明の第5実施形態の加湿装置の構成を示している。この第5実施形態の加湿装置は、加熱部を除いて第3実施形態の加湿装置と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0097】
上記タンク部1の底部に配管L21の一端を接続し、その配管L21の他端に熱交換器53の一次側の入口を接続している。上記配管L21にポンプ4を配設している。上記熱交換器43の一次側の出口に配管L22の一端を接続し、配管L22の他端をスケール析出部51の一端を接続している。上記スケール析出部51の他端に配管L23の一端を接続している。上記配管L23の他端を熱交換器53の二次側の入口に接続している。上記熱交換器43の二次側の出口を配管L24の一端に接続し、その配管L24の他端を加湿エレメント2の入口側に接続している。そして、上記スケール析出部51に接するようにヒータ52を配置している。上記スケール析出部51とヒータ52と熱交換器53で加熱部55を構成している。
【0098】
上記第5実施形態の加湿装置によれば、簡単な構成で加湿量を正確に制御できる加湿装置を実現することができる。
【0099】
また、上記加湿装置において、配管L1の加湿エレメント2の入口側近傍に加湿エレメント2の入口側の水温を検出する入口側水温センサ12を備えてもよく、第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0100】
また、上記加湿エレメント2の風下側の空気温度を検出する空気温度センサ13を備えてもよいし、送風ファン3の風上側に湿度を検出する湿度センサ14を備えてもよい。いずれの場合も、上記第1実施形態の加湿装置と同様の作用,効果を奏する。
【0101】
また、上記加湿装置において、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、加湿エレメント2による加湿量を容易に制御することができ、ポンプ4の流量と送風ファン3の送風量とヒータ5の加熱量のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせて制御することによって、加湿エレメント2による加湿量をより正確に制御することができる。
【0102】
また、上記入口側水温センサ12により検出された加湿エレメント2の入口側の水温と出口側水温センサ11により検出された加湿エレメント2の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、制御部30によってポンプ4の流量を制御することによって、加湿効率の低下を防止でき、効率的な加湿運転ができる。
【0103】
また、上記タンク部1の下流側かつ加湿エレメント2の上流側に加熱部55を配置することによって、循環経路を循環する水を加湿エレメント2の近くでより早く加熱することができ、加湿量の制御の応答が速くなる。また、加熱部55で加熱された水が加湿エレメント2に到達するまでの経路を短くして、加湿エレメント2に供給される水の温度低下を低減でき、加湿効率を向上できる。
【0104】
また、上記加熱部55のスケール析出部51によって、スケールを析出させて除去することによって、煩雑にタンク部1の排水を行うことなく、加湿エレメント2のスケール発生を抑制することができる。したがって、加湿エレメント2の長寿命化が図れ、排水頻度を少なくして使用水量を低減できる。
【0105】
また、上記スケール析出部51は、析出したスケールを除去可能な構造とすることによって、発生したスケールを容易に除去でき、メンテナンス性を向上できると共に、スケールによる加熱部55の加熱効率の低下を防止できる。
【0106】
上記第1〜第5実施形態では、出口側水温センサ11入口側水温センサ12、空気温度センサ13、湿度センサ14を加湿エレメント2で消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素として用いた加湿装置について説明したが、加湿エレメントで消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素は、これに限らず、また、2以上の要素を組み合わせて各要素の出力に基づいて、加湿エレメントの加湿量を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の加湿装置の構成図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施形態の加湿装置の構成図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施形態の加湿装置の構成図である。
【図4】図4はこの発明の第4実施形態の加湿装置の構成図である。
【図5】図5はこの発明の第5実施形態の加湿装置の構成図である。
【図6】図6は加湿装置において同一加湿量を得るための加湿エレメントの温度低下とお湯循環量比との関係および加湿エレメントの温度低下と加湿エレメントの面積比との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…タンク部
2…加湿エレメント
3…送風ファン
4,46…ポンプ
5,22,32,42,52…ヒータ
6…モータ
10,20,30,40,50…制御部
11…出口側水温センサ
12…入口側水温センサ
13…空気温度センサ
14…湿度センサ
15…タンク部用水温センサ
16…水位センサ
21,31,41,51…スケール析出部
25,35,45,55…加熱部
43,53…熱交換器
V1,V2…開閉バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜めるタンク部(1)と、
上記タンク部(1)内から供給された水を蒸発させるための加湿エレメント(2)と、
上記加湿エレメント(2)に風を送る送風部(3)と、
上記タンク部(1)内の水を上記加湿エレメント(2)を介して循環させるポンプ(4)と、
上記ポンプ(4)により上記加湿エレメント(2)を含む循環経路を循環する水を加熱する加熱部(5,25,35,45,55)と、
上記加湿エレメント(2)で消費される熱量との間に相関関係を有する状態を検出する要素と、
上記要素の出力に基づいて、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御するように上記ポンプ(4)と上記送風部(3)と上記加熱部(5,25,35,45,55)のうちの少なくとも1つを制御する制御部(10,20,30,40,50)と
を備えたことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿装置において、
上記要素は、上記加湿エレメント(2)の出口側の水温を検出する出口側水温センサ(11)を含み、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記出口側水温センサ(11)により検出された上記加湿エレメント(2)の出口側の水温に基づいて、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項3】
請求項2に記載の加湿装置において、
上記要素は、上記加湿エレメント(2)の入口側の水温を検出する入口側水温センサ(12)を含み、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記出口側水温センサ(11)により検出された上記加湿エレメント(2)の出口側の水温および上記入口側水温センサ(12)により検出された上記加湿エレメント(2)の入口側の水温に基づいて、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項4】
請求項1に記載の加湿装置において、
上記要素は、上記加湿エレメント(2)の風下側の空気温度を検出する空気温度センサ(13)を含み、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記空気温度センサ(13)により検出された上記加湿エレメント(2)の風下側の空気温度に基づいて、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の加湿装置において、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記ポンプ(4)の流量と上記送風部(3)の送風量と上記加熱部(5,25,35,45,55)の加熱量のうちの少なくとも1つを制御することによって、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項6】
請求項1に記載の加湿装置において、
上記要素は、上記加湿エレメント(2)の入口側の水温を検出する入口側水温センサ(12)と、上記加湿エレメント(2)の出口側の水温を検出する出口側水温センサ(11)とを含み、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記入口側水温センサ(12)により検出された上記加湿エレメント(2)の入口側の水温と上記出口側水温センサ(11)により検出された上記加湿エレメント(2)の出口側の水温との温度差が所定値以下になるように、上記ポンプ(4)の流量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の加湿装置において、
空気の湿度を検出する湿度センサ(14)を備え、
上記制御部(10,20,30,40,50)は、上記要素の出力および上記湿度センサ(14)により検出された空気の湿度に基づいて、上記加湿エレメント(2)による加湿量を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の加湿装置において、
上記加熱部(35,55)は、上記タンク部(1)の下流側かつ上記加湿エレメント(2)の上流側に配置されていることを特徴とする加湿装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の加湿装置において、
上記加熱部(25,35,45,55)は、スケールを析出させて除去するためのスケール析出部(21,31,41,51)を有することを特徴とする加湿装置。
【請求項10】
請求項9に記載の加湿装置において、
上記スケール析出部(21,31,41,51)は、析出したスケールを除去可能な構造であることを特徴とする加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−43769(P2010−43769A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207014(P2008−207014)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】