説明

加熱された測定先端部を備える放射型温度計による温度測定方法

【課題】加熱可能な測定先端部を有する放射温度計による耳式体温測定方法の提供。
【解決手段】ユーザが起動装置を作動させた後、制御装置は加熱素子のスイッチを切り、一定時間の後、複数の温度測定が連続して実行され、前記測定された温度から表示されるべき温度が決定されるか、エラーメッセージが表示される。遅くとも、最大の測定時間が経過した後、あるいは、最多の温度が測定された後、表示されるべき温度あるいはエラーメッセージが表示装置上に表示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、加熱された測定先端部を備える放射型温度計に関し、特に、温度を測定する為の赤外線温度計に関する。そのような温度計は、赤外線センサ、周辺温度センサ、評価装置を含むことが知られているが、評価装置は、センサの出力信号から測定対象の温度を決定する。
【0002】
加熱素子によって加熱可能な測定先端部を備える赤外線型耳温度計は、WO00/58703号から既知である。高温の測定先端部が聴覚管に挿入されると、測定先端部と聴覚管との間で熱交換はほとんどなされないので、測定先端部と聴覚管は、温度測定中、熱的平衡状態になる。この場合、前記聴覚管より聴覚管内に挿入された測定先端部の温度が低い場合には、当該聴覚管の冷却の結果として生じる測定誤差は、避けられる。耳温度計は、また、測定先端部の温度を調整する為の制御装置が備えられ、この制御装置は、測定先端部が聴覚管内に配置されているか決定し、測定先端部が聴覚管内に挿入されるか取り出されるときに加熱素子のスイッチを入れたり切ったりする。
【0003】
EP1081475号から赤外線型温度計は既知であるが、この測定先端部は、そこに配置された加熱可能な赤外線センサにより前端部で加熱される。
【0004】
本発明の目的は、加熱可能な測定先端部を備える放射型温度計と、加熱可能な測定先端部を持たない温度計から既知の、同一の簡単な操作を許容する温度計の計測方法を提供することである。
【0005】
この目的を達成するため、本発明による温度計は、測定シーケンスを制御する為の装置が提供される。本発明による温度計の好ましい実施形態において、制御装置と評価装置は、表示装置も制御するマイクロ・コントローラ等の内部で組み合わされている。測定シーケンスは、測定先端部が加熱素子によって直接加熱されるか、加熱可能な赤外線センサにより間接的に加熱されるかとは無関係である。
【0006】
本発明による測定シーケンスは、以下の通りである。最初にユーザは、既知の方式で温度計のスイッチを入れる。すると、温度計の測定先端部は自動的に特定温度(例えば、およそ37℃)まで加熱される。この温度は、WO00/58703やEP1081475から既知の構造を持つ温度計で非常に短時間(例えば、数秒)で達成される。そのため、温度計は、このように測定の準備ができている。ユーザは、直ちに温度計の測定先端部を耳の中に挿入し、起動装置を作動することにより(例えば、ボタンを押すことにより)温度測定を始められる。
【0007】
本発明による温度計は、また、温度計の測定先端部が耳の中に挿入されたか否かを確証する検知装置を含むことができる。この場合、測定装置を耳の中に挿入することにより起動装置の作動を同期、すなわち、挿入後、検知装置が耳の中に配置されたことを確証し、この時点で、ユーザが起動装置を(更に)特別に作動させることなく、更なる測定プロセスが開始する。
【0008】
電池駆動式温度計では、ユーザが起動装置を不作動にしない場合、電流を節約する為、例えば1分後、温度計が自動的にスイッチを切ることが特に好都合である。
【0009】
ユーザが本発明による赤外線型温度計で起動装置を作動させた後、以下のように測定プロセスが自動的に起こる:最初に、測定先端部の加熱のスイッチが切られる。好ましくは、一定時間(例えば、1秒)経過後、測定対象(例えば、特に体温)の温度が数回測定される。この測定シーケンスの遅れは、測定先端部や赤外線センサに存在する可能性がある温度差を温度測定前に等しくするという利点がある。表示される測定対象の温度は、その後、測定された温度から決定され、遅くとも最大測定時間の経過後、あるいは、温度測定の最多回数の後、表示装置に表示される。しかし、測定温度が互いに異なり過ぎたり、連続して測定された温度の最少回数が少なくとも概略同一でなかったり、測定プロセスの過程で特定値に落ち着かなかったり、測定温度の有効性に適した他の基準が満足されない場合、温度の代わりにエラーメッセージが出力され、ユーザに対し温度測定プロセスを繰り返すことを勧めることが有利である。エラーメッセージは、もし、最大測定時間以内あるいは最多温度測定回数の後でも有効な温度値が期待できない場合には、最小測定時間または最少温度測定回数の後に出力可能である。しかし、測定温度が互いに違いすぎず、あるいは、連続した最少の測定回数が少なくとも概略同一であったり、測定プロセスの過程で特定値に落ち着いたり、又は、測定温度の有効性に適した他の基準が満足される場合、表示されるべき温度は直ちに(すなわち、最大測定時間が経過する前、あるいは最多温度測定回数の前に)表示される。
【0010】
本発明による温度計の好ましい実施形態において、現在の温度測定中、信号装置が制御装置によって作動される(例えば、測定プロセスが完了したことをユーザに表示する光点滅形式のLED及び/又は連続した警告音において、例えば、LEDの連続した点灯及び/又は長い警告音)。この場合、ユーザは全測定プロセスが完了する前に耳から温度計を取り出すことが防止される筈である。
【0011】
本発明による温度計の有利な実施形態において、データ記憶装置と前述した信号装置を有し、これにより、データ記憶装置内で記憶されたデータ(例えば、測定温度、表示温度、実行された測定シーケンスの全回数など)は、出力可能である。このため、LEDや警告音は、特定方式で符号化されており、このデータは、外部読取機により記録され、解読され、更に、処理及び/又は表示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温測定用耳温度計であり、加熱可能な測定先端部を備える放射型温度計による温度測定を制御する方法であって、
前記温度計のスイッチを入れた後、前記温度計の測定先端部を加熱する加熱素子のスイッチが入り、起動装置を作動させた後、前記加熱素子のスイッチが切られ、一定時間が経過した後、複数の温度測定が実行され、測定された温度から表示されるべき温度が決定されるかエラーメッセージが発生され、遅くとも、最大温度測定時間が経過した後、あるいは、最多温度測定回数の後、表示されるべき温度またはエラーメッセージが前記表示装置上に表示されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記測定された温度の有効性の基準が決定され、その後、前記基準が満足されたときに表示されるべき温度が表示され、最小測定時間あるいは最少温度測定回数の後、前記最大測定時間以内あるいは最多温度測定回数の後に、前記基準が満足されることが期待できない場合にはエラーメッセージが表示されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記温度測定シーケンス及び/又は終了がユーザに対して合図されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
温度測定は、前記温度計の前記測定先端部が耳の中に置かれたことを検知装置が確証した場合に限り開始することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。

【公開番号】特開2008−39791(P2008−39791A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235857(P2007−235857)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【分割の表示】特願2002−566622(P2002−566622)の分割
【原出願日】平成14年2月19日(2002.2.19)
【出願人】(596181730)ブラウン ゲーエムベーハー (75)
【Fターム(参考)】