説明

加熱システム、ヒーター、および部品を加熱する方法

【課題】電場によって発生する高調波電流の振幅を低減することを容易にする加熱システムを提供する。
【解決手段】ヒーター106は、加熱素子の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する少なくとも1つの加熱素子200を含み、第1の表面208と、第1の表面208の反対側の第2の表面と、第1の表面208と第2の表面との間に延びる第3の表面212と、第1の表面208と第2の表面との間に延び、第3の表面212の反対側である第4の表面とを含み、加熱素子200は、第1の表面208と第2の表面との間で規定される高さ、および第3の表面212と第4の表面との間で規定される幅を有し、幅は、高さよりも小さく、ヒーター106は、第1の表面208に結合され、加熱素子200において電場を生成しかつ電流を加熱素子200を通って流すように構成される少なくとも1つの電極204も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に加熱システムに関し、より詳しくは、加熱システム、ヒーター、および部品を加熱する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの航空機電力システムでは、複数のセンサーが、航空機内または近辺の動作状態および/もしくは環境状態を検出する。センサーから受け取ったデータは、航空機の所望の航行を維持するのに不可欠なこともある。しかしながら、いくつかの飛行状態の間および/または寒い気候での航行中に、氷が、センサー上にまたはセンサーにごく近接して形成されることもある。そのような氷は、センサーの動作を妨げることもあり、かつ/またはセンサーから受け取ったデータを不正確なものにすることもある。
【0003】
センサーの周りまたはその上での氷の形成を減らすまたは防止するために、少なくとも一部の既知の航空機は、センサーを加熱する加熱システムを含む。いくつかの既知の加熱システムは、複数の加熱素子に結合される複数の電極を通じて電気を送る。電場は、電極によって印加され、電流を加熱素子を通って流す。加熱素子の抵抗は、熱をセンサーにまたはセンサーと関連する構造体に伝える。しかしながら、そのような加熱システムは、供給電流に高調波電流を誘起することもある。そのような高調波電流は、航空機電気システムの性能を低下させることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7884503号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、加熱素子の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する少なくとも1つの加熱素子を含むヒーターが、提供される。加熱素子は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に延びる第3の表面と、第1の表面と第2の表面との間に延び、第3の表面の反対側である第4の表面とを含む。加熱素子は、第1の表面と第2の表面との間で規定される高さ、および第3の表面と第4の表面との間で規定される幅を有し、幅は、高さよりも小さい。ヒーターはまた、第1の表面に結合され、加熱素子において電場を生成しかつ電流を加熱素子を通って流すように構成される少なくとも1つの電極も含む。
【0006】
別の実施形態では、ヒーターを含む加熱システムが、提供される。ヒーターは、加熱素子の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する少なくとも1つの加熱素子を含む。加熱素子は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に延びる第3の表面と、第1の表面と第2の表面との間に延び、第3の表面の反対側である第4の表面とを含む。加熱素子は、第1の表面と第2の表面との間で規定される高さ、および第3の表面と第4の表面との間で規定される幅を有し、幅は、高さよりも小さい。ヒーターはまた、第1の表面に結合され、加熱素子において電場を生成しかつ電流を加熱素子を通って流すように構成される少なくとも1つの電極も含む。
【0007】
さらに別の実施形態では、部品にごく近接してヒーターを位置決めするステップを含む、機械の部品を加熱する方法が、提供される。ヒーターは、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を含む少なくとも1つの加熱素子と、少なくとも1つの加熱素子の第1の表面に結合される第1の電極と、第2の表面に結合される第2の電極とを含む。本方法はまた、電流が少なくとも1つの加熱素子を通って流れて熱を少なくとも1つの加熱素子から発生させるように、第1の電極と第2の電極との間に電場を印加するステップも含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】少なくとも1つの部品を加熱する際に使用するための例示的な加熱システムのブロック図である。
【図2】図1で示す加熱システムとともに使用されてもよい例示的なヒーターの斜視図である。
【図3】図2で示すヒーターとともに使用されてもよい例示的な加熱素子および例示的なベーンの斜視図である。
【図4】図2で示すヒーターとともに使用されてもよい例示的な加熱素子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で述べる実施形態では、加熱システムは、電場によって発生する高調波電流の振幅を低減することを容易にする。電極は、電極が各素子の全高だけ分離されるように加熱素子の対向する表面に置かれる。各加熱素子の高さは、各加熱素子の幅よりも大きいので、従来技術のシステムと比較して、増加した高さの加熱素子材料が、電極間に存在する。電場の強さは、電極の間隔に反比例するので、電極間の加熱素子材料がより大きくなると、電場の強さは、減少する。誘起される高調波電流の振幅は、電場の強さに関係するので、電場の強さの減少は、電極を通って流れる供給電流に誘起される高調波電流振幅の減少を引き起こす。
【0010】
図1は、システムまたは機械(図示せず)の少なくとも1つの部品102を加熱する際に使用するための例示的な加熱システム100のブロック図である。より具体的には、例示的な実施形態では、加熱システム100は、航空機(図示せず)とともに使用される複数のセンサー102を加熱する。
【0011】
例示的な実施形態では、加熱システム100は、電力源104および少なくとも1つの導体108を介して電力源104に結合されるヒーター106を含む。より具体的には、例示的な実施形態では、電力源104は、第1の導体110および第2の導体112を介してヒーター106に結合される。別法として、電力源104は、加熱システム100が本明細書で述べるように機能することを可能にする、任意の数の導体108を使用するヒーター106に結合されてもよい。一実施形態では、複数の電力源104および/または複数のヒーター106が、加熱システム100とともに使用されてもよい。例示的な実施形態では、電力源104は、航空機電力システム114の一部であり、第1および第2の導体110および112の両方、またはそれらのいずれかを介して交流(AC)電力(すなわち、AC電圧および電流)をヒーター106に供給する。ヒーター106は、例示的な実施形態では、ヒーター106からの熱が少なくとも部分的にセンサー102に伝えられるように、センサー102に結合される、またはセンサー102にごく近接して位置決めされる。
【0012】
動作中、電力源104は、第1および/または第2の導体110および/または112を介してAC電圧および電流をヒーター106に供給する。AC電圧は、以下でより完全に述べるように、ヒーター106の少なくとも1つの素子(図1では示されず)内に電流を生じさせる。電流は、ヒーター106の素子内に熱を発生させ、その熱の少なくとも一部分は、ヒーター106からセンサー102に伝えられる。そのため、センサー102上でまたはそれにごく近接する望ましくない氷の形成を除去しかつ/または防止するのが容易になる。
【0013】
図2は、加熱システム100(図1で示す)とともに使用されてもよい例示的なヒーター106の斜視図である。図3は、ヒーター106とともに使用されてもよい例示的な加熱素子200および例示的なベーン202の斜視図である。例示的な実施形態では、ヒーター106は、複数の電極204に結合される、または複数の電極204にごく近接して位置決めされる複数の加熱素子200を含む。別法として、ヒーター106は、単一の加熱素子200および/または単一の電極204を含んでもよい。例示的な実施形態では、電極204は各々、(図1で示す)第1および第2の導体110および112をそれぞれ介して電力源104に電気的に結合される。
【0014】
例示的な実施形態では、各加熱素子200は、材料および/または加熱素子200の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する、ドープされた半導体チタン酸バリウムなどの材料から製造される。そのため、例示的な実施形態では、ヒーター106は、ヒーター106の温度が上昇するにつれて熱の発生を減少させ、ヒーター106の温度が低下するにつれて熱の発生を増加させる、自己調整ヒーター106である。より具体的には、加熱素子200の温度が上昇するにつれて、加熱素子200の抵抗は、増加する。それに応じて、加熱素子200を通って流れる電流は、減少し、その結果、加熱素子200によって発生する熱量は、減少する。反対に、加熱素子200の温度が低下するにつれて、加熱素子200の抵抗は、減少する。それに応じて、加熱素子200を通って流れる電流は、増加し、その結果、加熱素子200によって発生する熱量は、増加する。
【0015】
例示的な実施形態では、加熱素子200は、実質的に同一であり、各々は、複数の実質的に長方形の外側表面206を含む実質的に長方形の断面形状を有する。別法として、加熱素子200は、ヒーター106が本明細書で述べるように機能することを可能にする任意の断面形状を有してもよい。例示的な実施形態では、表面206は、第1の表面すなわち上側表面208、対向する第2の表面すなわち下側表面210、第3の表面すなわち外側表面212、対向する第4の表面すなわち内側表面214、第5の表面すなわち前側表面216、および対向する第6の表面すなわち後側表面218を含む。表面212および214は、上側表面208と下側表面210との間にそれぞれ延びる。表面216および218は、上側表面208と下側表面210との間、および外側表面212と内側表面214との間にそれぞれ延びる。その上、例示的な実施形態では、各加熱素子200の高さ220(または厚さ)は、上側表面208と下側表面210との間で規定され、各加熱素子200の幅222は、外側表面212と内側表面214との間で規定される。例示的な実施形態では、高さ220は、幅222よりも大きい。その上、各加熱素子200の長さ224は、前側表面216と後側表面218との間で測定される。
【0016】
加熱素子200は、例示的な実施形態では、上部加熱素子226のグループおよび下部加熱素子228のグループに一緒に集められる。上部電極230は、電極230が各上部加熱素子226の実質的に全長224に沿って延びるように、各上部加熱素子226の上側表面208に結合される。例示的な実施形態では、下部電極232は、電極232が各下部加熱素子228の実質的に全長224に沿って延びるように、各下部加熱素子228の下側表面210に結合される。その上、例示的な実施形態では、中心電極234は、上部加熱素子226と下部加熱素子228との間に結合される。より具体的には、中心電極234は、各上部加熱素子226の下側表面210および各下部加熱素子228の上側表面208に結合される。中心電極234は、各上部加熱素子226および各下部加熱素子228の実質的に全長224に沿って延びる。例示的な実施形態では、中心電極234は、第1の導体110に結合され、上部および下部電極230および232は各々、第2の導体112に結合される。別法として、加熱素子200および/または電極204は、ヒーター106が本明細書で述べるように機能することを可能にする任意の他の構成で位置決めされてもよい。
【0017】
ヒーター106は、少なくとも1つの上部加熱素子226および/または少なくとも1つの下部加熱素子228から延びる少なくとも1つのベーン202を含む。より具体的には、例示的な実施形態では、ベーン202は、樹脂を用いて複数の加熱素子226および/または加熱素子228に結合される。別法として、1つまたは複数のベーン202は、任意の適切な接着剤またはヒーター106が本明細書で述べるように機能することを可能にする任意の他の結合機構を使用して加熱素子226および/または228に結合されてもよい。例示的な実施形態では、ベーン202は、熱を加熱素子200からセンサー102に伝えることを容易にする。より具体的には、例示的な実施形態では、ベーン202が、各加熱素子226および228の実質的に全長224に沿って延びるように、かつ/または熱が、ベーン202の実質的に全長に沿ってベーン202に伝えられるように、ベーン202(または複数のベーン202)は、外側表面212および/または内側表面214に沿って素子226および素子228に結合される。例示的な実施形態では、ベーン202は、ヒーター106によって発生する熱をセンサー102および/またはセンサー102と関連する1つもしくは複数の構造体に伝えることができる金属材料または金属合金から製作される。別法として、ベーン202は、セラミック材料および/またはヒーター106が本明細書で述べるように機能することを可能にする任意の他の適切な材料から製作されてもよい。
【0018】
動作中、例示的な実施形態では、中心電極234は、AC電圧を電力源104から受け取る。電圧が、中心電極234に印加されると、電場(図示せず)が、生成される。電場は、上部および下部加熱素子226および228それぞれにおいて(すなわち、中心電極234と上部電極230との間、および中心電極234と下部電極232との間に)印加される。電場が、上部および下部加熱素子226および228において印加されると、電流が、素子226および228をそれぞれ通って流れる。電流は、電極230および232によって受け取られ、第2の導体112を介して電極230および232から電力源104に送られる。
【0019】
その上、例示的な実施形態では、電流が、加熱素子226および228を通って流れると、加熱素子226および228の抵抗は、加熱素子226および228内に熱を発生させる。発生する熱の少なくとも一部分は、外側表面212、内側表面214、および/またはベーン202からセンサー102の方へ伝えられる。例示的な実施形態では、センサー102は、伝えられる熱エネルギーに起因して温度が上昇しかつ/または温度の低下に抵抗し、その結果センサー102上でまたはそれにごく近接する氷の形成を除去または防止するのが容易になる。
【0020】
上部および下部加熱素子226および/または228において印加される電場は、上部電極230および/または下部電極232を通って流れる電流に少なくとも1つの高調波電流を誘起させることもある。高調波電流は、望ましくないことに、熱を発生させかつ/または電力源104および/もしくは航空機電力システム114(図1で示す)内の電力の質を低下させることもある。
【0021】
本明細書で述べるように、ヒーター106および/または加熱システム100は、電場が発生させる高調波電流の振幅を低減することを容易にする。より具体的には、電極204は、電極204が各素子200の全高220(または厚さ)だけ分離されるように、加熱素子200の対向する表面206(すなわち、上側表面208および下側表面210)に置かれる。より具体的には、各加熱素子200の高さ220が、各素子200の幅222よりも大きいので、従来技術のシステムと比較して、増加した高さ220の加熱素子材料が、電極204間に存在する。電場の強さは、電極204の間隔に反比例するので、電極204間の加熱素子200の高さ220がより大きくなると、電場の強さは、減少する。電極204に誘起される高調波電流の振幅は、加熱素子200において印加される電場の強さに関係するので、電場の強さの減少は、電極204を通って流れる供給電流に誘起される高調波電流振幅の減少を引き起こす。
【0022】
電極204間の加熱材料高さ220の増加は、加熱素子200を通って送られる電流に関して各加熱素子200の実効電気抵抗を増加させる。従来技術のシステムと比較して加熱素子200を通って送られる同様の電流量を維持するために(それ故にヒーター106によって発生する同様の熱エネルギー量を維持するために)、加熱素子材料の抵抗率は、低減されてもよい。例えば、半導体チタン酸バリウム材料のドーピングまたは処理条件は、材料の抵抗率を低減するように変更されてもよい。減少した抵抗率は、加熱素子200の増加した高さ220に起因する材料の増加した抵抗を実質的に相殺する。それに応じて、ヒーター106は、従来技術のシステムと比較して減少した電場の強さを使用して実質的に同様の熱量を発生させ、それ故に電極204内の高調波電流の発生および/または振幅を低減する。
【0023】
代替実施形態では、上部電極230は、第1の導体110に結合され、AC電圧を電力源104から受け取る。下部電極232は、第2の導体112に結合される。中心電極234は、第1の導体110にも第2の導体112にも結合されない(すなわち、中心電極234は、「フローティング」である)。別法として、ヒーター106は、中心電極234を含まず、そのような実施形態では、電場は、上部電極230に印加される電圧によって生成される。その上、代替実施形態では、電場は、上部加熱素子226および下部加熱素子228において生成され、電流は、上部加熱素子226および下部加熱素子228を通って流れ、それは次いで、第2の導体112を介して電力源104に送られて戻る。さらに、そのような実施形態では、電流は、追加の加熱素子材料を通って流れ、それ故に本明細書で述べる他の実施形態と比較してより多くの熱を発生させる。そのため、電場は、加熱素子200内で強さが低減されることもあり、結果として生じる高調波電流の振幅は、同様に低減されることもある。
【0024】
図4は、加熱システム100(図1で示す)および/またはヒーター106(図2で示す)とともに使用されてもよい例示的な加熱素子300の上面図である。例示的な実施形態では、そうでないと明確に述べない限り、加熱素子300は、加熱素子200(図2で示す)に似ており、類似の部品は、図2で使用される同じ参照数字を使って図4で識別される。
【0025】
例示的な実施形態では、加熱素子300は、上側表面208に結合される複数の電極204(すなわち、上部電極230)を含む。第1の電極グループ302は、上側表面208の第1の側部304から延び、第2の電極グループ306は、上側表面208の対向する第2の側部308から第1の電極グループ302の方へ延びる。例示的な実施形態では、第1の電極グループ302内の各電極204の端部分310は、第2の電極グループ306内の各電極204の端部分312と交互配置する。別法として、第1の電極グループ302内の各電極204の実質的に全長などの任意の他の量が、第2の電極グループ306内の各電極204と交互配置してもよい。
【0026】
動作中、例示的な実施形態では、電力源104は、電圧差が電極グループ302と306との間で生じるように、第1の導体110および/または任意の他の導体108(両方とも図1で示す)を介してAC電圧および電流を第1の電極グループ302および第2の電極グループ306に供給する。隣接電極204間に生成される電場は、電流を加熱素子300を通って中心電極234および/または下部電極232に流す。電流が、加熱素子300を通って流れると、発生する熱は、上でより完全に述べたように、ベーン202を介してセンサー102に伝えられる。
【0027】
一実施形態では、航空機のセンサーなどの、機械の部品を加熱する方法は、部品にごく近接してヒーターを位置決めするステップを含む。ヒーターは、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を含む少なくとも1つの加熱素子と、少なくとも1つの加熱素子の第1の表面に結合される第1の電極と、第2の表面に結合される第2の電極とを含む。本方法はまた、電流が少なくとも1つの加熱素子を通って流れて少なくとも1つの加熱素子から熱を発生させるように、第1の電極と第2の電極との間に電場を印加するステップも含む。
【0028】
別の実施形態では、ヒーターは、上部加熱素子および下部加熱素子を含む。そのような実施形態では、本方法は、電流が上部加熱素子および下部加熱素子を通って流れるように、上部加熱素子と下部加熱素子との間に電場を印加するステップを含む。
【0029】
別の実施形態では、本方法は、加熱素子の抵抗を加熱素子の温度に関して非線形に変えるステップを含む。例えば、抵抗は、加熱素子をチタン酸バリウムから製作することによって、および加熱素子を通って流れる電流を調整することによって変えられる。
【0030】
さらに別の実施形態では、少なくとの1つのベーンは、加熱素子に結合される。そのような実施形態では、本方法は、熱をベーンから部品に伝えるステップを含む。
【0031】
本明細書で述べるように、少なくとも1つのセンサー上でまたはそれにごく近接する氷の形成を防止することを容易にする堅牢で効率的なヒーターを含む加熱システムが、提供される。ヒーターは、ヒーター内の各加熱素子の上側表面および下側表面に結合される複数の電極を含む。AC電圧は、中心電極に印加され、電流が加熱素子を通って流れるように、加熱素子において印加される電場を生成する。電場の印加によって発生する熱は、少なくとも1つのベーンを介して加熱素子からセンサーに伝えられる。加熱素子の厚さは、従来技術の加熱システムと比較して増加するので、電流は、従来技術の加熱システムと比較して増加した量の加熱素子材料を通って流れる。それに応じて、従来技術の加熱システムと比較して、増加した熱量が、加熱素子によって発生し、より低い強さの電場が、同様の熱量を得るために使用されてもよい。より低い強さの電場が、加熱素子において印加されるので、発生する高調波電流の振幅は、従来技術のシステム内で発生する高調波電流の振幅と比較して低減させるのが容易になる。
【0032】
加熱システム、ヒーター、および部品を加熱する方法の例示的な実施形態は、上で詳細に述べられる。加熱システム、ヒーター、および方法は、本明細書で述べる特定の実施形態に限定されず、それどころか、システムおよび/もしくはヒーターの部品ならびに/または方法のステップは、本明細書で述べる他の部品および/またはステップから独立してかつ離れて利用されてもよい。例えば、ヒーターはまた、他の電力システムおよび機械と組み合わせて使用されてもよく、本明細書で述べるような航空機加熱システムだけでの実施に限定されない。それどころか、例示的な実施形態は、多くの他の加熱または電力用途に関連して実装され、利用されてもよい。
【0033】
本発明のさまざまな実施形態の特定の特徴が、いくつかの図面で示され、他では示されないこともあるが、これは、便宜のためだけである。本発明の原理によると、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照されかつ/または主張されてもよい。
【0034】
この書面による明細書は、例を使用して、ベストモードを含む、本発明を開示し、ならびにまたいずれの当業者も、任意のデバイスまたはシステムを作りかつ使用することおよび任意の組み込まれた方法を行うことを含む、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定義され、当業者に思いつく他の例を含んでもよい。そのような他の例は、もしそれらが請求項の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有するならば、またはもしそれらが請求項の文字通りの言葉と実質的に差がない等価な構造要素を含むならば、請求項の範囲内であることを意図される。
【符号の説明】
【0035】
100 加熱システム
102 センサー
104 電力源
106 ヒーター
108 導体
110 第1の導体
112 第2の導体
114 航空機電力システム
200 加熱素子
202 ベーン
204 電極
206 外側表面
208 上側表面
210 下側表面
212 外側表面
214 内側表面
216 前側表面
218 後側表面
220 高さ
222 幅
224 長さ
226 上部加熱素子
228 下部加熱素子
230 上部電極
232 下部電極
234 中心電極
300 加熱素子
302 第1の電極グループ
304 第1の側部
306 第2の電極グループ
308 第2の側部
310 端部分
312 端部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの加熱素子の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する前記少なくとも1つの加熱素子(200)であって、
第1の表面(208)、
前記第1の表面の反対側の第2の表面(210)であって、前記少なくとも1つの加熱素子は、前記第1の表面と前記第2の表面との間で規定される高さ(220)を有する、第2の表面、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延びる第3の表面(212)、および
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延び、前記第3の表面の反対側にある第4の表面(214)であって、前記少なくとも1つの加熱素子の幅(222)は、前記第3の表面と前記第4の表面との間で規定され、前記少なくとも1つの加熱素子の前記高さよりも短い、第4の表面とを含む少なくとも1つの加熱素子と、
前記第1の表面に結合され、前記少なくとも1つの加熱素子において電場を生成しかつ電流を前記少なくとも1つの加熱素子を通って流すように構成される少なくとも1つの電極(204)と
を含むヒーター(106)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電極(204)は、第1の電極(230)および第2の電極(234)を含み、前記第1の電極は、前記第1の表面(208)に結合され、前記第2の電極は、前記第2の表面(210)に結合される、請求項1記載のヒーター(106)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの加熱素子(200)は、少なくとも1つの上部加熱素子(226)および少なくとも1つの下部加熱素子(228)を含み、前記第2の電極(234)は、前記少なくとも1つの上部加熱素子の前記第2の表面(210)および前記少なくとも1つの下部加熱素子の前記第1の表面(208)に結合される、請求項2記載のヒーター(106)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極(204)は、前記少なくとも1つの下部加熱素子(228)の前記第2の表面(210)に結合される第3の電極(232)をさらに含む、請求項3記載のヒーター(106)。
【請求項5】
前記第3の表面(212)および前記第4の表面(214)の少なくとも1つに結合される少なくとも1つのベーン(202)をさらに含み、前記少なくとも1つのベーンは、前記少なくとも1つの加熱素子(200)内に発生する熱を機械の少なくとも1つの部品に伝えるように構成される、請求項1記載のヒーター(106)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加熱素子(200)は、第5の表面(216)および対向する第6の表面(218)を含み、前記少なくとも1つの加熱素子は、前記第5の表面と前記第6の表面との間で規定される長さ(224)を有する、請求項1記載のヒーター(106)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電極(204)は、前記少なくとも1つの加熱素子(200)の前記全長(224)に沿って延びる、請求項6記載のヒーター(106)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電極(204)は、前記第1の表面(208)に結合される第1の複数の電極(302)および第2の複数の電極(306)を含み、前記第1の複数の電極の各電極の少なくとも一部分(310)は、前記第2の複数の電極の各電極の少なくとも一部分(312)と交互配置する、請求項1記載のヒーター(106)。
【請求項9】
少なくとも1つの加熱素子の温度に関して非線形に変化する抵抗を有する前記少なくとも1つの加熱素子(200)であって、
第1の表面(208)、
前記第1の表面の反対側の第2の表面(210)であって、前記少なくとも1つの加熱素子は、前記第1の表面と前記第2の表面との間で規定される高さ(220)を有する、第2の表面、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延びる第3の表面(212)、および
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延び、前記第3の表面の反対側にある第4の表面(214)であって、前記少なくとも1つの加熱素子の幅(222)は、前記第3の表面と前記第4の表面との間で規定され、前記少なくとも1つの加熱素子の前記高さよりも短い、第4の表面を含む少なくとも1つの加熱素子、ならびに
前記第1の表面に結合され、前記少なくとも1つの加熱素子において電場を生成しかつ電流を前記少なくとも1つの加熱素子を通って流すように構成される少なくとも1つの電極(204)
を含むヒーター(106)と、
前記ヒーターに結合され、交流(AC)電圧を前記少なくとも1つの電極に供給するように構成される電力源(104)と
を含む加熱システム(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電極(204)は、第1の電極(230)および第2の電極(234)を含み、前記第1の電極は、前記第1の表面(208)に結合され、前記第2の電極は、前記第2の表面(210)に結合される、請求項9記載の加熱システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−26222(P2013−26222A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156068(P2012−156068)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】