説明

加熱ダイオード温度測定装置とこれを用いた赤外線温度測定装置および流量測定装置ならびに流量センシング部の製作方法

【課題】ダイオードをヒータとして利用した経時変化が小さく、高速応答、高感度かつ高信頼性で低消費電力の超小型の温度測定装置を提供する。また、これを用いた小型の赤外線温度測定装置と流量計測装置、および流量のセンシング部の製作方法を提供する。
【解決手段】pn接合などの半導体のダイオード2に順方向電圧を印加して発熱させてヒータとして動作させると共に、このダイオード2を温度センサとしても利用する、または必要に応じて別に設けた個別温度センサで温度計測できるようにする。宙に浮いた半導体薄膜15にダイオード2を形成することにより、赤外線センサとしても低消費電力や高感度化を達成させる。液体の温度計測では、ダイオードを形成してある半導体薄膜を島状にして熱絶縁性基板に貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の接合を用いたダイオード2に順方向電圧を印加して発熱させるヒータとして動作させると共に、ダイオード2を温度センサとしても動作させるようにした加熱ダイオード温度測定装置と、これを用いて熱型の赤外線温度測定装置や、気体や液体のフローセンサとして利用する流量測定装置に応用し、更に流量測定装置の要となる流量センシング部の製作方法を提供するものである。本発明の加熱ダイオード温度測定装置は、真空センサや湿度センサ、熱分析用の温度センサや気体中の微量成分を熱伝導型として検出するセンサ、更に気体や液体の流量などを計測する装置に応用できるものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に特許3366590号「温度測定装置、熱型赤外線イメージセンサ及び温度測定方法」を発明し、トランジスタをサーミスタとして取り扱うことが出来ることを示した。更に特開2002−296121号「温度測定装置」を発明し、トランジスタのコレクタ損失を利用して発熱させ、さらにトランジスタを絶対温度センサとして利用できること、更に、フローセンサなどにも利用できることを示した。
【0003】
また、本出願人は、先に特許3583704号「温度測定装置、熱型赤外線イメージセンサ及び温度測定方法」を発明し、pn接合などの半導体ダイオードも、上述のトランジスタと同様にサーミスタのように動作させることができること、さらに、成熟した半導体技術が利用できるので、安価で、極めて高感度しかも経時変化が無視できる温度センサと熱型の赤外線センサが提供できることを示した。
【特許文献1】特許3366590号公報
【特許文献2】特開2002−296121号公報
【特許文献3】特許3583704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のトランジスタのコレクタ損失を利用して発熱させた場合には、コレクタ抵抗が大きく、そこを流れるコレクタ電流によるコレクタ損失は大きく、発熱しやすいという利点があるが、基板から熱分離した半導体薄膜に形成したバイポーラトランジスタは、接合が2つあり寸法が大きくなり、厚みが大きくなるので、熱容量も大きくなり時定数が大きく、高速応答は困難になること、更に、その分、同一の温度に加熱するには、消費電力も大きくなるということがはっきりしてきた。さらに、3端子であるからダイオードの2端子に比べて小型化が困難である。
【0005】
本発明は、経時変化が無視でき、しかも高感度、高速応答、かつ信頼性及び測定精度が高い計測できると共に、トランジスタのコレクタ損失を用いたヒータ兼温度センサよりも小型となり、更に低消費電力化が達成でき、絶対温度を計測できる温度センサを提供すること、更に、これを用いた小型の赤外線温度測定装置と流量計測装置および流量のセンシング部の製作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係わる加熱ダイオード温度測定装置は、半導体の接合を用いたダイオード2に順方向電圧を印加して発熱させるようにしたヒータとして動作させると共に、このダイオード2を温度センサとしても動作させるようにしたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係わる加熱ダイオード温度測定装置は、ダイオード2としてpn接合もしくはショットキ接合を用いた場合である。
【0008】
ダイオード2が、例えば、シリコンのpn接合ダイオードである場合は、順方向電圧Vfに対して、順方向ダイオード電流Ifは、指数関数的に増大するので、室温ではVf=0.60Vで1μA程度しか流れていない電流が、Vf=0.70VではIf=1mA程度まで急に電流が流れ始める。消費電力はそのときの順方向電圧Vfと順方向電流Ifとの積で表され、これがダイオードのpn接合部に発生するので、このpn接合部がこの消費電力で加熱されることになる。このようにpn接合ダイオードの順方向電圧印加でも、熱容量や熱伝導が小さい場合には、ヒータとして利用できることが分かる。例えば、Vf=0.7Vで、If=1mAは、0.7mWの消費電力で、これは宙に浮いた薄膜に形成したpn接合ダイオードでは、薄膜の熱コンダクタンスGの大きさによるが、時には10℃程度の温度上昇、すなわち、ヒータとして動作する。もちろん、順方向電圧Vfが1.5Vにもなると、室温から100℃程度にも達するようにすることもできることが実験から判明した。
【0009】
シリコンのpn接合ダイオードの場合は120℃以下ならば、特許3583704号「温度測定装置、熱型赤外線イメージセンサ及び温度測定方法」で述べているように、pn接合ダイオードの順方向バイアス電圧Vfを印加してそれを固定したときの順方向電流Ifの温度依存性からpn接合部の温度を知ることができる。pn接合ダイオードの順方向電流Ifの温度依存性が丁度、サーミスタに一定の電圧を印加したときの流れる電流と同一の指数関数的な温度依存性を持つことからダイオードサーミスタと呼んでいる。温度が大きくなると指数関数的に電流が増大するから、逆に、電流を計測することにより、そのときの絶対温度Tを計測することができる。
【0010】
上述のようにして、半導体の接合をもつダイオードの順方向電流で、ダイオードが形成されている薄膜などをジュール加熱して、ヒータとして動作させると共に、時分割などで高速にしかも短時間に切り替えて適当な順方向バイアス電圧を印加して、今度は、ダイオードサーミスタとしての温度センサとして動作させて、ダイオードが形成されている場所の温度を計測するようにすることができる。もちろん、加熱温度が、例えば、10℃程度ならば、時分割によらず、順方向電流によるジュール加熱をしながら、そのままの順方向の印加電圧Vfで温度を計測することもできる。
【0011】
また、本発明の請求項3に係わる加熱ダイオード温度測定装置は、ダイオード2が真性領域で動作するような温度で使用するときに、そのダイオード2に逆方向バイアスを印加して、そのときの逆方向電流から温度を知るようにした場合である。シリコンのpn接合ダイオードの場合は、半導体が150℃以上になると、価電子帯から伝導帯に熱励起による電子のバンド間遷移が主体となり、真性領域になる。このような場合には、半導体の接合に逆方向バイアス電圧を例えば、1V程度印加し、そのときの逆方向電流(pn接合ダイオードの場合は、飽和電流となり、逆方向電圧が0.5Vでも1Vでも、電流値はほとんど変わらない)の値やその変化から温度や温度変化を計測できるので、ヒータとして利用する場合は、必要な順方向バイアス電圧Vfを印加して、ダイオードを加熱し、その後、例えば、時分割により、高速に逆方向バイアス電圧を1V程度印加して、そのときの逆方向電流値から温度を計測する。特に、湿潤空気の熱伝導度の違いから含有水蒸気量、すなわち絶対湿度を計測するときや、気体の熱伝導度から含有ガス成分を検出するときに有効である。
【0012】
また、本発明の請求項4に係わる加熱ダイオード温度測定装置は、ダイオード2を基板1から熱分離した半導体薄膜15に形成した場合である。ダイオード2を基板1から熱分離するには、基板1上の犠牲層エッチにより、宙に浮いた構造の半導体薄膜15を形成しても良いし、基板1の一部を異方性エッチし、基板1に直に堆積形成していた薄膜を宙に浮いた構造の半導体薄膜15としてもよい。また、やはり基板1の一部(例えば、下地基板)を異方性エッチして基板の一部としての半導体薄膜15(例えば、SOI層)を宙に浮いた構造にすることも出来る。このようにして基板1から熱分離した半導体薄膜15は、熱容量が極めて小さく、かつ熱伝導度が極めて小さくなるので、低消費電力で高速で高温に温度上昇できるから、乾電池駆動で長時間の動作が可能となる。ダイオード2は、上述のような宙に浮いた構造の半導体薄膜15に形成されているので、ダイオード2に順方向バイアス電圧を印加すると容易にヒータとして発熱させることができる。
【0013】
発熱させたダイオード2は、宙に浮いた構造の半導体薄膜15に形成されているので、その熱時定数は、半導体薄膜15の熱容量と熱コンダクタンスによりほぼ定まる。ヒータとしてのダイオード2への電力供給が半導体薄膜15の熱時定数に比べて、十分短時間中断した場合には、その中断期間中の温度の低下が小さいので、この期間に今度はダイオード2を温度センサとして動作させて(時分割で動作させる)、ほぼ、半導体薄膜15の平均的な温度として計測することが出来る(実際はダイオード2の接合部の温度を計測することにはなる)。また、流す順方向電流が少なく、発熱がそれほど大きくないならば、ダイオード2を時分割で温度センサとして動作させる必要はなく、ダイオード2をヒータとして動作させている間に、同時に温度センサとしても動作させることが出来る。
【0014】
ダイオード2を温度センサとして動作させるのに、流す電流を一定にさせてそのときの順電圧の温度依存性から温度を検出しても良いし、または、順電圧を一定に固定させて、そのときの順方向電流の温度依存性から温度を検出(ダイオードサーミスタ)しても良い。真性領域のような温度が高い場合には、上述のように逆方向印加電圧で、温度を計測した方が良い。
【0015】
本発明の請求項5に係わる赤外線温度測定装置は、請求項4に記載の加熱ダイオード温度測定装置の半導体薄膜15を赤外線の受光部とした熱型の温度測定装置に関するものである。半導体薄膜15は、宙に浮いた構造で基板1から熱分離しているので、熱容量と熱コンダクタンスとも小さくなり、高速応答で高感度の熱型の赤外線センサとしてのボロメータが達成できる。
【0016】
半導体薄膜15に形成したダイオード2、例えば、pn接合ダイオードに順方向電流を流せばジュール熱が発生し、ダイオード2は加熱される。上述したように、ダイオード2に順バイアスを印加すると、その分、ダイオードサーミスタとしてのB定数が小さくなり、一見、温度感度は小さくなる。しかし、電流が大きく流れるので、その分、演算増幅器(OPアンプ)などを用い、その帰還抵抗に流すと外部に取り出す電圧または電力が大きくなり、S/Nが大きくなるので、大きな増幅が可能となり、結局、総合的に見ると感度を大きくすることが出来ることになる。
【0017】
従来、熱型の赤外線温度センサ(ボロメータ)は、被測定物(ターゲット)の温度を検出するのに、熱型の赤外線温度センサの自己発熱を可能な限り抑えるように、そこでの消費電力を小さくさせるように駆動してきた。すなわち、サーミスタボロメータでは、可能な限り自己発熱がないように流す電流を抑えるようにしてきた。これに対し、本願発明者は、このことについてよく検討した結果、次のように結論に達した。加熱した熱型の赤外線温度センサの温度は、例えば、ターゲット以上の温度になったとしても、周囲温度よりも赤外線温度センサの温度が大きいので、周囲への放射があり、更に窓を通してのターゲットへの熱放射がある。ターゲットの温度が高いとその分、ターゲットへの放射が少なくなるから加熱させている赤外線温度センサの温度が高くなる。逆にターゲットの温度が低いとその分、加熱させている赤外線温度センサの温度が低くなる。このようにターゲットへの温度のフィードバックがあり、さらに上述のようにS/Nが大きくなるので、むしろ、温度検出部を加熱したダイオード2では、それ自体の連流の大きさによる感度の変化があり、その電流の大きさの程度はあるが、積極的に電流を大きくして加熱した方が高感度にターゲットの温度の計測できる領域があることになるということである。
【0018】
本発明の請求項6に係わる流量測定装置は、加熱ダイオード温度測定装置を流量測定装置に応用した場合である。加熱ダイオード温度測定装置のダイオード2を流路に設けてあり、このダイオード2とは熱分離してあり、しかもダイオード2と別に設けた異なる個別温度センサ(ダイオード2と同一の原理に基づく温度センサでよい)を、ダイオード2の上流側、下流側、または上流側と下流側の両方に設けて、加熱ダイオード温度測定装置からの温度に関する情報と、上流側と下流側の個別温度センサからの情報から流路中の流体の流量を計測できるようにしたものである。
【0019】
本発明の請求項7に係わる製作方法は、請求項6の加熱ダイオード温度測定装置を用いた流量測定装置における流量センシング部の製作方法に関するものである。第1の基板1の同一側の表面付近に、ダイオード2と、ダイオード2の上流側、下流側、または上流側と下流側の両方に、ダイオード2から所定の間隔を空けた状態で個別温度センサを形成するセンサ形成工程、ダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域とをそれぞれ島状に残すように第1の基板(1)を溝で囲むエッチング工程、第1の基板1のうちダイオード2と上記個別温度センサとが形成されている面を第2の基板に接着させる接着工程、第2の基板に接着させた第1の基板1の裏面を少なくとも上記溝が露出するまで研磨して、ダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域とが、島状に残された状態で第1の基板1から分離するようにする研磨工程、熱絶縁性の第3の基板に少なくとも島状のダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域との一部または全部を接合する接合工程、第1の基板1と第2の基板とを分離する分離工程、および流路を閉じ込めるための蓋をするカバーリング工程とを含むようにした製作方法である。
【0020】
個別温度センサを含む領域の温度センサ部は、ダイオード2と同一工程で同一の大きさと構造にすることも出来る。島状のダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域とが熱絶縁性の第3の基板に接合する際に、全面に渡り接着接合しないように、第3の基板に凹部を形成しておき、この凹部のために島状の領域のダイオード2(発熱部)や個別温度センサを含む領域の温度センサ部が宙に浮く状態で、接合することも出来る。
【0021】
第2の基板に接着させた第1の基板1の裏面を少なくとも上述の溝が露出するまで研磨する研磨工程は、研磨材で研磨するばかりでなく、異方性エッチングや等方性エッチングにより、化学的に研磨しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の加熱ダイオード温度測定装置は、2端子である半導体の接合を用いたダイオード2に順方向電圧を印加して発熱させるヒータとして用いると共に、このダイオード2を温度センサとしても用いるので、小型であり、ヒータとしては低消費電力であり、温度センサとしては高感度のセンサが提供できるという利点がある。
【0023】
本発明の加熱ダイオード温度測定装置は、半導体の成熟した技術で製作が容易で安定な接合であるpn接合もしくはショットキ接合をダイオード2として用いるので、画一的な特性が得られ、長寿命となるという利点がある。
【0024】
本発明の加熱ダイオード温度測定装置は、ダイオード2を加熱して真性領域で動作するような温度、例えば、シリコンのpn接合ダイオードでは、150℃から500℃程度の温度で使用する時には、そのダイオード2に例えば、0.5Vから1V程度の小さな逆方向バイアスを印加すればよく、しかも高速に温度を計測することができるという利点がある。
【0025】
本発明の加熱ダイオード温度測定装置は、ダイオード2を基板から熱分離した半導体薄膜15に形成できるので、加熱に際して低消費電力、高速で、しかも周囲の気体や液体との接触する表面積が大きいから、これらとの相互作用が大きいという利点がある。
【0026】
本発明の赤外線温度測定装置は、加熱ダイオード温度測定装置の半導体薄膜15を赤外線の受光部として用いると、高感度、高速応答であり、小型で安価な熱型の温度測定装置が提供できるという利点がある。
【0027】
本発明の流量測定装置は、高感度で小型の加熱ダイオード温度測定装置を用いているので、液体や気体の流速、流量の計測、さらに超小型の流量センシング部にすることができるから、流速や流量の分布も計測できるという利点がある。
【0028】
本発明の流量測定装置の流量センシング部の製作方法は、MEMS技術による加熱ダイオード温度測定装置の流量センシング部(ダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域)を形成するに当たり、この流量センシング部が形成される半導体の基板が半導体ウエーハの状態で取扱が可能であり、更に、流量センシング部が、基板から全く熱的にも、空間的にも島状に分離し、熱伝導率の極めて小さいプラスチックなどの第3の基板に接合できるので、一般に半導体基板は熱伝導率が良く、ダイオード2のヒータの熱が基板を介して個別温度センサに熱伝導して、被測定流体の熱伝導以外の熱のため、微流量の計測が困難になるという問題が解消され、更にプラスチックには流路も形成できるなど安価なセンサが製作できるという利点がある。
【0029】
プラスチックなどの第3の基板に接合するときに、第3の基板に凹部などを形成しておき、島状に形成されたダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域とが、この凹部に架ける橋のように、各領域の端部のみを接合すると、ダイオード2や個別温度センサが凹部のところで宙に浮く構造になるので、断熱性が高まる。このような流量センシング部構造を用いた流量測定装置は、気体の流量計測には適するが、液体の場合には、破損の恐れがあり、むしろ、島状に形成されたダイオード2を含む領域と同じく島状に形成された個別温度センサとの全面を第3の基板に接着接合した方が良い。
【0030】
SOI基板は現在、一般の単結晶シリコン基板に対して10倍ほど高価であるので、一般の単結晶シリコン基板を使用したい。本発明の流量測定装置の流量センシング部の製作方法では、必ずしもSOI基板を使用する必要がない。単結晶シリコン基板の(100)面に形成してある溝は、例えば、異方性エッチにより形成してあるとV型にすることができる。そして、その深さは、溝の形成時の幅によりほぼ決定され、エッチング時間に寄らずほぼ一定に保つことができる。このことを利用して、第1の基板1である単結晶シリコン基板の裏側からこの溝が露出するまで研磨またはエッチングすると、そこに形成されているダイオード2を含む領域と個別温度センサを含む領域の半導体薄膜の厚みを容易に制御することができる。従って、安価な流量センシング部を形成することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
加熱ダイオード温度測定装置の半導体基板1としてp型のシリコン単結晶であるSOI基板を用い、このSOI層にn型不純物を熱拡散してpn接合のダイオード2を形成する。SOI基板の下地基板の一部を異方性エッチなどにより除去し空洞を形成して、このダイオード2が形成されているSOI層である薄膜の領域を残すようにして、基板1から熱分離した宙に浮いた構造の半導体薄膜15を形成する。従って、この半導体薄膜15には、pn接合のダイオード2が形成されており、順方向にバイアス電圧を印加するとジュール熱のためダイオード2が加熱され、ヒータとして利用することが出来る。また、順方向にバイアス電圧を印加した場合には、ダイオード2をサーミスタとして考えるとその温度感度であるB定数が、そのバイアス電圧により調整できるので、150℃以下の温度(シリコン半導体を用いた場合)では、温度センサとして利用することが出来る。また、150℃程度以上のシリコンの真性領域となる温度では、逆方向のバイアス電圧、例えば、-1V程度を印加し、そのときの逆方向飽和電流の大きさからダイオード2の温度を計測することが出来る。ダイオード2をヒータとして動作させている間で、半導体薄膜15の熱時定数に比べて遥かに小さな時間の間に、温度センサとして動作させることにより、ヒータ動作と温度センサ動作をほぼ同時に達成させることが出来る。もちろん、ヒータとしての加熱温度上昇が余り大きくないときには、ヒータとして動作させていながら(同時に)温度センサとしても動作させることが出来る。このようにして、加熱ダイオード温度測定装置が構成できる。
【0032】
宙に浮いた構造の半導体薄膜15に、赤外線を吸収する薄膜を形成しておくと、赤外線を吸収して半導体薄膜15が温度上昇する。半導体薄膜15は、そこに形成してあるダイオード2に順方向電流を流しているので、ジュール熱が発生し、ヒータにもなっている。また、このダイオード2は温度センサとしても動作しているので、半導体薄膜15の平均的な温度(実際は、ダイオード2の接合温度)を計測している。ヒータとしてのジュール熱に加えて、赤外線の吸収により、さらに温度上昇するので、その温度上昇分から入射した赤外線量を計測できるし、このデータから赤外線の光源(ターゲット)の温度も知ることが出来る。このようにして、熱型の赤外線温度測定装置が提供できる。ここでは赤外線と表現したが、もちろん、吸収できるならば放射線でもよく、可視光線でもテラヘルツ波などでも良い。
【0033】
SOI基板は一般に高価であるので、加熱ダイオード温度測定装置の半導体の第1の基板1として一般の単結晶シリコンウエーハを使用して、下記の概要のような工程で流量測定装置の流量センシング部を形成する。先ず、例えば、p型のシリコン単結晶基板である第1の基板1にn型の不純物を熱拡散してpn接合ダイオード2や個別温度センサとなるpn接合ダイオードを、このヒータ兼温度センサとしてのpn接合ダイオード2を挟むように上流および下流側に空間的に離して形成する(センサ形成工程)。ダイオード2や2個の個別温度センサのそれぞれの電極パッドも含めた領域が、この後の工程で島状に残るように異方性エッチングにより断面がV字型になるような溝で取り囲んでおく(エッチング工程)。第2の基板として、再利用可能で安定な、例えばアルミナ基板を用い、有機溶剤で溶解しやすいように、ワックスなどで第1の基板1のダイオード2や2個の個別温度センサが形成されている面と第2の基板を接着する(接着工程)。そして、第1の基板1の裏面を溝が露出するまで、研磨材で研磨する(研磨工程)。その後、第3の基板としてプラスチックであり熱絶縁性で耐久性のあるたとえば、ポリカーボネートの板を使用し、例えば、エポキシ樹脂で第1の基板1のpn接合ダイオード2や個別温度センサとなるpn接合ダイオードを含む領域を第3の基板に接合する(接合工程)。このとき、流体の慣性が大きい液体の流量を計測するためには、pn接合ダイオード2や個別温度センサとなるpn接合ダイオードを含む領域の全面をエポキシ樹脂で接着しておく。気体の流量を計測するためには、ポリカーボネートの板に凹部を形成しておき、ダイオード2や個別温度センサの感温部がこの凹部により橋のように宙に浮く構造にすると良い。次に、接着用のワックスなどを溶解して、第1の基板1と第2の基板とを分離する(分離工程)。その後、流路用の凹部を有し、更に、ダイオード2や個別温度センサのそれぞれの電極パッドから外部に配線が出来るような、例えば、プリント配線を施したプラスチックカバーを被せて接合する(カバーリング工程)。このようにして、流量測定装置の流量センシング部が作成される。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の加熱ダイオード温度測定装置のうちの温度センシング部となるダイオード2が形成されている半導体の基板1の平面概略図と加熱ダイオード温度測定装置の駆動回路100の一実施例を示している。図2は、図1のX−X線に沿った断面の概略図である。半導体の基板1としてSOI基板を用い、基板1から空洞3を介して熱分離した半導体薄膜15にpn接合ダイオード2を形成し、このダイオード2をヒータとして動作させたり、温度センサとして動作させるようにしている。この加熱ダイオード温度測定装置は、気体や液体の流れやピラニー真空計のような熱伝導型の真空計やガスクロマトグラフィーのガス分析装置などに用いることができる。
【0035】
pn接合ダイオード2に、OPアンプを有する駆動回路100で順方向バイアス電圧を直流電源E1から、例えば、1.5Vを印加し、ヒータとして動作させる。実験によると宙に浮いた半導体薄膜15の温度は、大体100℃程度となる。また、スイッチSを切り替えて、pn接合ダイオード2に直流電源E2から例えば0.70V印加して、ダイオードサーミスタとしての温度センサとして動作させて、そのダイオード電流の大きさから半導体薄膜15の温度を計測する。このとき、pn接合ダイオード2を温度センサとして動作させるためのスイッチSの切り替え時間は、宙に浮いた半導体薄膜15の熱時定数より十分短い時間として、その間に温度を計測するようにする。宙に浮いた半導体薄膜15の大きさが0.5mm角で、厚みが5マイクロメートルの場合には、その熱時定数は、おおよそ30ミリ秒程度である。pn接合ダイオード2をヒータとして動作させたとき、E1の電圧を大きくして、ヒータ温度が150℃を超えるようであれば、温度センサとして動作させるpn接合ダイオード2への印加電圧E2は、図1に描かれている電圧の向きを逆にして、pn接合ダイオード2には逆方向の電圧を1V程度印加して、pn接合ダイオード2の逆方向飽和電流の温度依存性から温度を計測するようにすると良い。もちろん、室温よりも数十℃程度の小さな温度上昇ならば、スイッチSを切り替えるまでもなく、設定したE1の電圧のままで、温度を計測することもできる。このとき、その大きさの程度にもよるが温度のセンシング部であるダイオード2自体の温度感度は小さくなるが、pn接合ダイオード2に流れる順方向電流が大きいので、OPアンプの帰還抵抗Rfでの電圧降下が大きくなり、その分、結局、大きな出力V0として外部にS/Nの大きい状態で取り出すことができる。
【0036】
基板1の温度計測のために、基板1にpn接合ダイオード2と同時に、しかも同一の構造のpn接合ダイオードを形成してあり、温度センサ5としている。
【0037】
基板1に形成する宙に浮いた構造の半導体薄膜15とここに形成するpn接合ダイオード2のMEMS技術による製作工程の概要を述べると次のようである。p型SOI基板のウエーハを基板1とし、このSOI層8にn型の不純物を熱拡散によりn型領域6を形成する。更に、p型の不純物拡散によりp型領域7を形成する。この工程でpn接合ダイオード2の電極がない状態の構造が出来上がる。その後、宙に浮いた構造の半導体薄膜15として残すようにSOI層をエッチング除去しておく。その後、異方性エッチャントに耐えるように、クロムと白金とを重ねてスパッタリングして、シンタリング後、薄膜配線20やn型用やp型用電極パッド16,17が残るようにパターン化してエッチングする。さらに、基板1の裏面のシリコン酸化膜(SiO2)である絶縁膜51のうち、半導体薄膜15として残す領域に対応させて、その裏面の一部をエッチング除去する。次に、この絶縁膜51をマスクとして、異方性エッチングを行うことにより空洞3を形成して、宙に浮いた構造で、基板1から熱分離した構造の半導体薄膜15が完成する。このとき同時に、基板側にも温度センサ5としてのpn接合のダイオード14を形成しておく。
【0038】
ここでは図示しないが、半導体薄膜15の上に、赤外線吸収膜を形成しておき、ここを赤外線受光部とすると、熱型の赤外線センサとなり、これを利用して、従来技術により熱型赤外線温度測定装置を製作することができる。
【実施例2】
【0039】
図3には、本発明の加熱ダイオード温度測定装置を用いた液体用の流量測定装置における流量センシング部の一実施例を示している。図3(A)は、その平面図の概略図であり、図3(B)は、図3(A)におけるY−Y線に沿った横断面図の概略図である。
【0040】
第3の基板130として、電気的絶縁性で、かつ熱絶縁性であるポリカーボネート板を用い、半導体の基板1から取り出されたダイオード2を含む島状の領域30と、その上流側と下流側に所定の間隔(例えば、1mm)をあけて設置してある個別温度センサ5A、5Bを含む島状の領域35とを第3の基板130上に、エポキシ系樹脂などで接合してある。なお、ここでは、個別温度センサ5A、5Bは、ダイオード2と同じく、pn接合ダイオード12,13で構成されている。更に、断面が凹部である流路160が長手方向に形成してある蓋150を、第3の基板130上に接着剤で接合してある。このとき、流路160がダイオード2とその両脇の個別温度センサ5A、5Bを通るように、しかも、液体が接合部から漏れないように接合している。また、蓋150の幅を狭くしてあり、ダイオード2を含む島状の領域30と個別温度センサ5A、5Bを含む島状の領域35とに形成してあるn型用電極パッド16とp型用電極パッド17とが、蓋150の外側に露出するように形成してあり、これらの電極パッドから更に外部に配線が出来るように工夫してある。また、図3には描いていないが、流路160の上流側と下流側には、流体用の配管が施されている。
【0041】
流量センシング部の動作は、次のようである。ダイオード2の順方向に電流を流しジュール熱により、液体の温度よりも例えば、5℃だけ上昇するように、流量測定装置で制御しておく。このような状態で、被測定液体に流れがないときには、上流側の個別温度センサ5Aと下流側の個別温度センサ5Bとは、ダイオード2に対して対称に、しかも近接して配置されているので、元の被測定液体の温度よりはほぼ等しく熱せられている。このような状態で流路160に流入した被測定液体は、先ず、上流側の個別温度センサ5Aを冷やし、下流側の個別温度センサ5Bをダイオード2の熱を受けて温度上昇させるように作用する。このとき個別温度センサ5Aの温度情報と下流側の個別温度センサ5Bの温度情報、およびダイオード2の温度情報などを利用して、従来技術により流路160中の流量、更には、流路160に流入する以前の全体の流量や流速などを計測することが出来る。
【0042】
上述では、ダイオード2に対して上流側の個別温度センサ5Aと下流側の個別温度センサ5Bとの温度差を利用して、流量や流速を計測するようにしたが、ダイオード2の温度を周期的に変動させるようにして、流れがあったときには上流側の個別温度センサ5Aと下流側の個別温度センサ5Bに到達する熱波に時間差または位相差が生じることを測定原理にしても良い。
【実施例3】
【0043】
図4には、上述の実施例2で説明した液体用の流量センシング部の一実施例に対して、気体の流量や液体でも微流速の計測などに用いられるようにした場合の一実施例を示すものである。図3(B)との違いは、図3(B)の横断面図では、プラスチックなどの第3の基板130にダイオード2を含む島状の領域30や個別温度センサを含む島状の領域35が、全面に渡り接着されているのに対して、本実施例の流量センシング部の構造では、図4に示すように、第3の基板130に凹部135を設けてあり、ダイオード2を含む島状の領域30と個別温度センサ5A、5Bを含む島状の領域35の両端付近のみ第3の基板130に接着接合してあり、ダイオード2や個別温度センサ5A、5Bが宙に浮く構造にして、第3の基板130に熱伝導し難い構造にしている点である。動作は、液体を気体などに変えただけで同様であるから、ここでは説明を省略する。
【実施例4】
【0044】
図5には、本発明の流量測定装置の流量センシング部の製作工程の概略ブロック図を示している。P型(100)面のシリコン単結晶ウエーハを用いて、MEMS加工技術で製作される。フォトリソグラフィーなどによる成熟した半導体の集積化技術を用いて、pn接合ダイオードや薄膜配線などが形成できるので、画一的な流量センシング部が形成できる。
【0045】
図3に示した図面も参照すると、次のようである。先ず、p型のシリコン単結晶基板である第1の基板にn型の不純物を熱拡散してpn接合ダイオード2や個別温度センサ5A、5Bとなるpn接合ダイオード12、13をこのヒータ兼温度センサとしてのpn接合ダイオード2を挟むように上流および下流側に空間的に離して形成する(センサ形成工程)。次に、ダイオード2と2個の個別温度センサ5A、5Bのそれぞれの電極パッドも含めた領域30、35が島状に残るように異方性エッチングにより断面がV字型になるような溝で取り囲んでおく(エッチング工程)。第2の基板110として、再利用可能で安定なアルミナ基板を用い、有機溶剤で溶解しやすいように、ワックスで第1の基板1のダイオード2や2個の個別温度センサ5A、5Bが形成されている面と第2の基板110を接着する(接着工程)。そして、第1の基板1の裏面を溝が露出するまで、研磨材で研磨する(研磨工程)。その後、第3の基板130としてプラスチックであり熱絶縁性で耐久性のあるたとえば、ポリカーボネートの板を使用し、例えば、エポキシ樹脂で第1の基板1のpn接合ダイオード2と個別温度センサ5A、5Bとなるpn接合ダイオードの領域30、35を第3の基板130に接合する(接合工程)。このとき、液体の流量を計測するために、pn接合ダイオード2や個別温度センサ5A、5Bとなるpn接合ダイオード12、13の領域の全面をエポキシ樹脂で接着しておく。気体の流量を計測するためには、ポリカーボネートの板に凹部を形成しておき、ダイオード2や個別温度センサ5A、5Bの感温部がこの凹部により橋のように宙に浮く構造にすると良い。次に、接着用のワックスを溶解して、第1の基板1と第2の基板110とを分離する(分離工程)。その後、流路用の凹部を有し、更に、ダイオード2や個別温度センサ5A、5Bのそれぞれの電極パッド16、17から外部に配線が出来るように、少なくともそれぞれの電極パッド16、17が露出するような幅の狭い蓋150にするか、または電極パッド16、17に電気的に接続できるプリント配線を施した蓋150を被せて接合する(カバーリング工程)。蓋150の材料として、プラスチックを用いると、安価で容易に流路用の凹部が作成できるので、好適である。なお、流路用の凹部は、必ずしも、蓋150のみに形成しなくとも良い。このようにして、流量測定装置の流量センシング部が作成される。
【0046】
ダイオード2とこれを挟むように形成した2個のpn接合ダイオード12、13およびこれらの電極パッドを含む領域30、35は、その後の工程で島状に取り残されるように溝で取り囲む。このとき溝の配置はこれらが形成されている第1の基板1の結晶方位を考慮して設けられ、異方性エッチング後は、その断面がV字型になるように配置されている。また、それぞれの電極パッド16,17となる部分は広くなるように設計しておくと良い。
【0047】
上述の実施例は、それぞれ一実施例に過ぎず、本願発明の主旨と作用および効果が同様でありながら、種々の変形があることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の加熱ダイオード温度測定装置のうちのダイオード2が形成されている半導体の基板1の平面概略図と駆動回路の概略図である。(実施例1)
【図2】図1のX−X線に沿った断面の概略図である。(実施例1)
【図3】本発明の加熱ダイオード温度測定装置を用いた流量測定装置の流量センシング部の概略図で、(A)は平面概略図で、(B)は横断面概略図である。(実施例2)
【図4】本発明の加熱ダイオード温度測定装置を用いた流量測定装置の流量センシング部の他の一実施例を示す横断面概略図である。(実施例3)
【図5】本発明の流量測定装置の流量センシング部の製作工程の概略ブロック図である。(実施例4)
【符号の説明】
【0049】
1 基板
2、12、13、14 ダイオード
3 空洞
5 温度センサ
5A、5B 個別温度センサ
6 n型領域
7 p型領域
8 SOI層
11 下地基板
15 半導体薄膜
16 n型用電極パッド
17 p型用電極パッド
20 薄膜配線
30 ダイオード2を含む島状の領域
35 個別温度センサを含む島状の領域
50 埋め込み絶縁膜(BOX層)
51 絶縁膜
100 駆動回路
101 配線
110 第2の基板
130 第3の基板
135 凹部
150 蓋
160 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体の接合を用いたダイオード(2)に順方向電圧を印加して発熱させるようにしたヒータとして動作させると共に、該ダイオード(2)を温度センサとしても動作させるようにしたことを特徴とする加熱ダイオード温度測定装置。
【請求項2】
ダイオード(2)としてpn接合もしくはショットキ接合とした請求項1記載の加熱ダイオード温度測定装置。
【請求項3】
ダイオード(2)が真性領域で動作するような温度で使用するときに、そのダイオード(2)に逆方向バイアスを印加して、そのときの逆方向電流から温度を知るようにした請求項1または2のいずれかに記載の加熱ダイオード温度測定装置。
【請求項4】
ダイオード(2)を基板(1)から熱分離した半導体薄膜(15)に形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加熱ダイオード温度測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱ダイオード温度測定装置の半導体薄膜(15)を赤外線の受光部としたことを特徴とする熱型の赤外線温度測定装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の加熱ダイオード温度測定装置のダイオード(2)を流路に設けてあり、該ダイオード(2)とは熱分離した個別温度センサをダイオード(2)の上流側、下流側、または上流側と下流側の両方に設けて、加熱ダイオード温度測定装置からの温度に関する情報と、上流側と下流側の少なくとも一方の個別温度センサからの情報を基にして流路の流体の流量や流速を計測できるようにしたことを特徴とする流量測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の流量測定装置の流量センシング部の製作方法において、第1の基板(1)の同一側の表面付近に、ダイオード(2)と、ダイオード(2)の上流側、下流側、または上流側と下流側の両方に、ダイオード(2)から所定の間隔を空けた状態で個別温度センサを形成するセンサ形成工程、ダイオード(2)を含む領域と個別温度センサを含む領域とをそれぞれ島状に残すように第1の基板(1)を溝で囲むエッチング工程、第1の基板(1)のうちダイオード(2)と上記個別温度センサとが形成されている面を第2の基板に接着させる接着工程、第2の基板に接着させた第1の基板(1)の裏面を少なくとも上記溝が露出するまで研磨して、ダイオード(2)を含む領域と個別温度センサを含む領域とが、島状に残された状態で第1の基板(1)から分離するようにする研磨工程、熱絶縁性の第3の基板に少なくとも島状のダイオード(2)を含む領域と個別温度センサを含む領域との一部または全部を接合する接合工程、第1の基板(1)と第2の基板とを分離する分離工程、および流路を閉じ込めるための蓋をするカバーリング工程とを含むことを特徴とした流量センシング部の製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−250736(P2006−250736A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68266(P2005−68266)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(391025741)
【Fターム(参考)】