説明

加熱温度確認センサー

【課題】マイクロ波加熱装置による被加熱食品や物品の加熱不足や加熱し過ぎを無くし、適温に加熱された食品や所望温度に加熱された物品を庫外からの目視で確認しながら温度管理をすること。
【解決手段】マイクロ波加熱装置のマイクロ波による被加熱食品又は物品の所望設定温度を検知する温度検知部11と、この温度検知部11の検知温度で点灯又は点滅する発光体12と、この発光体12に給電する検波ダイオード13と、前記マイクロ波を受け検波ダイオード13にマイクロ波を給電するアンテナ14とを直列に接続し取付体18に配設してなり、被加熱食品又は物品の加熱状態による発光体12の点灯又は点滅をマイクロ波加熱装置の庫外から確認すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波加熱装置の庫内で加熱を要する食品その他の物品(例えば、介護用マット等)の所望加熱温度を、同装置の庫外から視認することのできる加熱温度確認センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品その他の物品(例えば、介護用マット等)をマイクロ波加熱装置、いわゆる電子レンジで温める場合、加熱時間の設定をするが、電子レンジは、メーカーや機種によって時間設定が異なり、設定時間の過不足が原因で加熱不足や加熱し過ぎとなることがしばしば起きている。
【0003】
ところで、マイクロ波加熱装置におけるマイクロ波の電界強度の検出に関し、特開2006−322869(特許文献1)の技術が提案されている。この技術は、同装置の庫内に、アンテナと検波ダイオード及び発光体を基板に配置したものを多数個配列収納し、マイクロ波の強さによる発光体の発光状態により、マイクロ波の電界強度分布を庫外から目視で検出するようにしたものである。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記特許文献1で開示された発光体を用いての庫外目視管理の技術を応用し、マイクロ波加熱装置による被加熱食品や物品(例えば、介護用マット等)の加熱不足や加熱し過ぎを無くし、庫外からの目視で確認しながら温度管理をして被加熱食品又は物品を最適温度で温めるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、マイクロ波加熱装置のマイクロ波による被加熱食品又は物品の所望設定温度を検知する温度検知部と、この温度検知部の検知温度で点灯又は点滅する発光体と、この発光体に給電する検波ダイオードと、前記マイクロ波を受け前記検波ダイオードに前記マイクロ波を給電するアンテナを直列に接続し取付体に配設してなり、前記被加熱食品又は物品の加熱状態による前記発光体の点灯又は点滅を上記マイクロ波加熱装置の庫外から確認することを特徴とする加熱温度確認センサーである。
【発明の効果】
【0007】
マイクロ波加熱装置の作動時において、温度検知部が被加熱食品の最適加熱適温、あるいは被加熱物品の所望加熱温度を検知すると、検波ダイオードと発光体が導通して発光体が点灯し、この発光体の点灯を庫外から目視することができるので、温度管理が容易となり、適温に加熱された食品や所望温度に加熱された物品を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明センサーに用いられる温度センサー回路の回路図である。
【図2】 温度センサー回路を浮き筒に用いた本発明センサーの一例を示す斜視図である。
【図3】 同回路を別の浮き筒に用いた本発明センサーの他の例を示す斜視図である。
【図4】 本発明に用いられる温度センサー回路の別の実施例を示す回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による加熱温度確認センサー10は、基本的には温度検知部11、発光体12及び検波ダイオード13が、それぞれアンテナ14を介して直列接続され、温度センサー回路15として構成されている。
【0010】
温度検知部11は、マイクロコンピュータ16と温度センサー17で構成され、マイクロコンピュータ16は、温度センサー17の検知温度の設定・変更、加熱経過時間の計測による時間経過後の発光体12の点灯、設定・変更した検知温度での発光体12の点灯や加熱設定温度を超えて危険エリアになった場合の発光体12の点滅等を制御する。なお、温度検出部11には、マイクロ波による放電や誤動作を避けるため、金属等で電磁波遮断されている。
【0011】
発光体12は、温度検知部11がON状態になったとき通電して点灯又は点滅するもので、この点灯あるいは点滅により被加熱食品や物品(例えば、介護用マット等)の加熱温度状態を目視することができる。発光体12としてはLED(発光ダイオード)が好ましく、その発光色は、白色、緑色、青色、赤色等いずれをも選択することができる。
【0012】
検波ダイオード13は、マイクロ波周波数f=2450MHz程度の高周波電圧を受けて導通し、発光体12に給電するものである。また、アンテナ14は、マイクロ波加熱装置のマイクロ波電力を受電し検波ダイオード13に給電するものである。
【0013】
上記の温度センサー回路15は、取付体18に配設されている。取付体18としては、例えば、一面を粘着面とし液状食品を入れる容器外面に貼着される貼着板(図示せず。)、水や液状食品に浮かせて使用する浮き板(図示せず。)や浮き筒19,20(図2及び図3)あるいは被加熱物品(例えば、介護用マット等)の場合には、これに取り付けるチップ(図示せず。)等が選択される。
【0014】
浮き筒19,20は、マイクロ波を通す材質のもの、例えば、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等で成形され、筒の上部に浮き穴21が形成されている。この浮き穴21によって浮き筒19,20の立ち浮きが可能となる。このうち、浮き筒19には、その下面に温度センサー回路15全体が配設され、そのうちの発光体12と上面に形成された発光孔22とが光ファイバー23によって繋げられている。したがって、発光体12の点灯・点滅は光ファイバー23を介して発光孔22から確認することになる。また、浮き筒20には、その下面に温度センサー回路15のうちの温度検知部11と検波ダイオード13が、その上面側に発光体12がそれぞれ配設され、温度検知部11と発光体12間及び検波ダイオード13と発光体12間を長尺アンテナ14aで接続してなっている。したがって、発光体12の点灯・点滅は、浮き筒20の上面で確認することになる。なお、長尺アンテナ14a部分をマイクロ波から守るため、当該部分の浮き筒20外周には金属カバー24が被着されている。
【0015】
以下、作用を説明する。例えば、マイクロ波加熱装置によってスパゲティーを茹でる場合を説明する。マイクロコンピュータ16には、茹で湯沸騰後の最適茹で時間や茹で過ぎでの発光体12の点灯・点滅情報等、必要な情報が入力されている。情報入力済の加熱温度確認センサー10を、水を張った耐熱ガラス容器に乾燥スパゲティーとともに入れ、適宜な時間をセットしてマイクロ波加熱装置を作動させる。茹で湯が沸騰後最適茹で時間になると、温度センサー17がこれを検知し、マイクロコンピュータ16に信号が入り検波ダイオード13と発光体12が導通し、発光体12が点灯する。この点灯を庫外から目視することで、スパゲティーの最適な茹で状態が分かることになる。また、茹で過ぎになると、マイクロコンピュータ17は発光体12を点灯から点滅に切り替える。
【0016】
図4には、温度検知部11にサーモスタット25を用いた例が示されている。このサーモスタット25は、所望の設定温度だけを検知するものであるため、例えば、スープ等の液状食品を温めるのに好適である。このサーモスタット25の付いた加熱温度確認センサー10をスープの加温に用いれば、所望温度になるとサーモスタット25がこれを検知して発光体12を点灯させることになる。この発光体12の点灯も庫外から確認できるので、最適温度でスープが温められていることを庫外で認識することができる。
【0017】
また、上記サーモスタット25に代え、一定温度になるとON→OFFあるいはOFF→ONになるIC化された温度スイッチを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、マイクロ波加熱装置で加熱可能な上記以外の食品、例えば、ミルクやお酒等の液状食品、ごはんや惣菜等の固形食品、あるいは、介護用マット以外の物品、例えば、加温用アイマスク等の最適加熱温度の確認にも利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
10 加熱温度確認センサー
11 温度検知部
12 発光体
13 検波ダイオード
14 アンテナ
14a 長尺アンテナ
15 温度センサー回路
16 マイクロコンピュータ
17 温度センサー
18 取付体
19,20 浮き筒
21 浮き穴
22 発光孔
23 光ファイバー
24 金属カバー
25 サーモスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波加熱装置のマイクロ波による被加熱食品又は物品の所望設定温度を検知する温度検知部と、この温度検知部の検知温度で点灯又は点滅する発光体と、この発光体に給電する検波ダイオードと、前記マイクロ波を受け前記検波ダイオードに前記マイクロ波を給電するアンテナとを直列に接続し取付体に配設してなり、前記被加熱食品又は物品の加熱状態による前記発光体の点灯又は点滅を上記マイクロ波加熱装置の庫外から確認することを特徴とする加熱温度確認センサー。
【請求項2】
前記温度検知部をマイクロコンピュータと温度センサーで構成し、前記マイクロコンピュータは、前記温度センサーの加熱検知温度の制御、加熱経過時間の計測及び前記発光体の点灯・点滅パターンの制御を行う請求項1に記載の加熱温度確認センサー。
【請求項3】
前記温度検知部がサーモスタットである請求項1に記載の加熱温度確認センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95233(P2011−95233A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263368(P2009−263368)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(598079592)株式会社ダイトー (3)
【出願人】(000114031)ミクロ電子株式会社 (37)
【出願人】(509319384)
【Fターム(参考)】