説明

加熱炉

【課題】波形に形成した発熱体を炉壁に設けた溝内に配置し、発熱体の端子部を炉壁に固定し、上記発熱体の波高部を上記溝の両側壁に埋め込むことにより、上記発熱体を炉壁に固定する発熱体の固定方法では、発熱体の加熱膨張・収縮により上記発熱体が溝から飛び出し、発熱体同士が接触したりしてしまう欠点がある。
【解決手段】炉壁1と、上記炉壁内面に設けた発熱体収納溝2と、上記発熱体収納溝2内に配置せしめた波形に形成した発熱体3と、上記炉壁1に設けた、上記発熱体3の端子部4を貫通せしめる貫通孔9とよりなり、上記貫通孔9が上記発熱体収納溝2の延びる方向に大きく延びる空隙とする。また、発熱体収納溝2の下側には上記発熱体3の波形端部収納溝8を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱炉、特に炉壁内面の溝内に配置した発熱体の飛び出しや脱落を防止するための加熱炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来の加熱炉の炉壁の一部を示し、1はセラミックファイバー等よりなる電気炉等の加熱炉の縦型筒状断熱炉壁、2は上記断熱炉壁1の内周面に上下方向に互いに離間して設けた複数の発熱体収納溝、3は上記発熱体収納溝2の幅より大きい振幅の波形に形成した電気抵抗発熱体、4は上記炉壁1に形成した貫通孔5を貫通して炉外に延びる上記電気抵抗発熱体3の端子部であってこの端子部4は上記炉壁1の外面に固定具6によって固定し、上記電気抵抗発熱体3はその波形端部7を上記炉壁1内に埋め込み上記炉壁1に固定せしめている。
【0003】
このような加熱炉は例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平10−12361号公報(図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、上記従来の加熱炉においては、上記電気抵抗発熱体3の波形端部7及び端子部4を上記炉壁1に固定しているため、加熱中の発熱体の膨張及び冷却中の収縮による歪みが電気抵抗発熱体3に蓄積し、上記発熱体3が溝2から飛び出したり、発熱体3同士が接触したり、上記発熱体3が炉内の被加熱物に接触したり、熱疲労により発熱体3が破断してしまうという欠点があった。
【0005】
本発明は上記のような欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱炉は、炉壁と、上記炉壁内面に設けた発熱体収納溝と、上記発熱体収納溝内に配置せしめた波形に形成した発熱体と、上記炉壁に設けた、上記発熱体の端子部を貫通せしめる貫通孔とよりなり、上記貫通孔が上記発熱体収納溝の延びる方向に大きく延びる空隙から成ることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の加熱炉は、炉壁と、波形に形成した発熱体と、上記炉壁内面に設けた上記発熱体収納溝と、この発熱体収納溝の下側に設けた上記発熱体の波形端部収納溝と、上記炉壁に設けた、上記発熱体の端子部を貫通せしめる貫通孔とよりなり、上記貫通孔が上記発熱体収納溝の延びる方向に大きく延びる矩形状としたことを特徴とする。
【0008】
上記矩形の短方向の長さは、上記電気抵抗発熱体の外径の1.0〜1.5倍であり、上記矩形の長方向の長さは、上記短方向の長さの2〜4倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱炉によれば、発熱体を炉壁に固定せずに保持し、また、上記電気抵抗発熱体の端子部を貫通せしめるための上記炉壁の貫通孔の形状を溝の延びる方向に長く延びる矩形状とし、炉壁外に引き出される上記発熱体の端子部を上記貫通孔内で移動自在ならしめたので、発熱体の加熱膨張・収縮現象が自由となり、繰り返しの加熱冷却による発熱体の歪の蓄積が減少し、発熱体が長期に亘って安定した形状を保ち、電気抵抗発熱体の寿命を長くすることができるという大きな利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の加熱炉は、図1に示すように、例えば縦型の筒状断熱炉壁1と、波形に形成した電気抵抗発熱体3と、上記断熱炉壁1の内周面に上下に互いに離間して設けた複数の発熱体収納溝2と、上記各発熱体収納溝2の下側に形成した断面U字状の波形端部収納溝8と、上記断熱炉壁1に設けた、上記電気抵抗発熱体3の端子部4を貫通せしめる貫通孔9と、上記貫通孔9を貫通して炉壁1外に突出した上記電気抵抗発熱体3の端子部4に、その先端を固定せしめた可撓性のある通電リード10とにより形成し、上記貫通孔9の形状は、図2に示すように、上記発熱体収納溝2の延びる方向(横方向)と直交する方向(縦方向)の長さが上記電気抵抗発熱体2の外径に対して1.0〜1.5倍であり、また上記横方向の長さが、上記縦方向の長さの2〜4倍である矩形状とする。
【0012】
本発明の加熱炉によれば、発熱体3を炉壁1に固定せず、発熱体3を収納溝2内に配置し、発熱体3の波形端部7を波形端部収納溝8内に配置せしめることにより保持し、また、上記炉壁1の貫通孔9の形状を溝2の延びる方向に大きく延びる矩形状とし、上記電気抵抗発熱体3の端子部4を炉壁外面に固定せずに可撓性のある通電リード10に固定せしめたので、電気抵抗発熱体3の端子部4が横方向において大きく移動可能となり、繰り返しの加熱冷却による発熱線の歪の蓄積が減少し、また、発熱体の加熱膨張・収縮現象が自由となり、発熱体が長期に亘って安定した形状を保ち、発熱体の寿命が長期とすることができるという大きな利益がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の加熱炉の要部の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】従来の加熱炉の要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 断熱炉壁
2 発熱体収納溝
3 電気抵抗発熱体
4 端子部
5 貫通孔
6 固定具
7 波形端部
8 波形端部収納溝
9 貫通孔
10 通電リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁と、上記炉壁内面に設けた発熱体収納溝と、上記発熱体収納溝内に配置せしめた波形に形成した発熱体と、上記炉壁に設けた、上記発熱体の端子部を貫通せしめる貫通孔とよりなり、上記貫通孔が上記発熱体収納溝の延びる方向に大きく延びる空隙から成ることを特徴とする加熱炉。
【請求項2】
炉壁と、波形に形成した発熱体と、上記炉壁内面に設けた上記発熱体収納溝と、この発熱体収納溝の下側に設けた上記発熱体の波形端部収納溝と、上記炉壁に設けた、上記発熱体の端子部を貫通せしめる貫通孔とよりなり、上記貫通孔が上記発熱体収納溝の延びる方向に大きく延びる矩形状としたことを特徴とする加熱炉。
【請求項3】
上記矩形の短方向の長さが上記発熱体の外径の1.0〜1.5倍であり、上記矩形の長方向の長さが上記短方向の長さの2〜4倍であることを特徴とする請求項1または2記載の加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−128580(P2008−128580A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315085(P2006−315085)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(500070097)株式会社アルファ・オイコス (21)
【Fターム(参考)】