説明

加熱炉

【課題】被加熱材を搬送する複数の搬送ローラが炉内外を貫通する加熱炉において、炉内からの伝熱によって各搬送ローラの軸受が確実に焼付けかない加熱炉を提供する。
【解決手段】断面が角形状で、炉床2、左右一対の炉壁3b、および天井を有し、両端に開口する搬入口および搬出口を有する炉本体1と、該炉本体の炉内における炉床付近で、且つ被加熱材の搬送方向と直交する方向に軸方向が沿って左右一対の炉壁を貫通しており、互いに平行に配置された複数の搬送ローラRと、を備え、該搬送ローラRの両端に位置し且つ炉本体の各炉壁の外側に突出する一対の軸部12のうち、一方の軸部には、係る軸部を回転可能に支持する軸受14付近に少なくとも先端が達する冷却水用の通水孔21が当該軸部の端面の中心部から軸心に沿って形成されていると共に、該冷却水用の通水孔には、その中心部に沿って冷却水用の給水パイプ24が挿入されている、加熱炉F。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体がほぼトンネル状で且つローラ搬送式の加熱炉に関する。尚、本発明の加熱炉には、熱処理炉や焼成炉なども含まれる。
【背景技術】
【0002】
トンネル状の炉室を水平に貫通する複数の搬送ローラの上を被熱処理材を搬送して熱処理する加熱炉において、上記炉室の熱が搬送ローラを伝熱して、係る搬送ローラの軸受を損傷する事態を防ぐため、炉壁と軸受との間に、搬送ローラを囲むようにカバーケースを設け、係るケース内に冷却液が循環する冷却装置を配置すると共に、この冷却装置の内側面に上記搬送ローラの向かって求心状に延びた複数の冷却フィンを突設した加熱炉用搬送ローラ支持装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載の加熱炉用搬送ローラ支持装置によれば、冷却装置および冷却フィンによって、搬送ローラの軸受付近が無接触で冷却されるため、軸受の焼付きを防ぐことが可能である。
【0003】
しかし、炉壁と軸受との間に位置する搬送ローラを囲むように、カバーケース、その内側に配置され且つ内部を冷却液が循環する前記冷却装置、および係る装置の内側面に円盤状に突設した複数の冷却フィンを配設するため、構成要素が多く且つ構造が複雑となり、コスト高となり且つスペースが必要となる、という問題があった。しかも、搬送ローラの軸受付近を外側から無接触で冷却するので、冷却効率が低くなる。その結果、十分に軸受を冷却できず、約300〜400℃に加熱され得るため、該軸受の焼付きを確実には防げない、おそれがあった。
一方、搬送ローラの軸受付近を確実に冷却すべく、炉壁と軸受との間に位置する軸部に対し、冷却水を直に噴射した場合、係る冷却水の一部が軸受の内側に進入して、該軸受内の潤滑油が流出するため、一層焼付きを生じ易くなる。しかも、係る軸受の焼付きに伴って、軸部の端面側に取り付けた従動用スプロケットと係合している駆動用のチェーンへの負荷が増大する、というおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−30848号公報(第1〜9頁、図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、トンネル状で且つ被加熱材を搬送する複数の搬送ローラが炉内外を貫通する加熱炉において、炉内からの伝熱によって各搬送ローラの軸受が確実に焼付けかないようにした加熱炉を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、加熱炉における搬送ローラごとの軸部の端面の中心部から冷却水の通水孔を少なくとも軸受付近にまで形成し、搬送ローラの軸部を冷却水によって直接冷却する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の加熱炉(請求項1)は、断面が角形状で、炉床、左右一対の炉壁、および天井を有し、被加熱材の搬送方向の両端に開口する搬入口および搬出口を有する炉本体と、係る炉本体の炉内における炉床付近で、且つ被加熱材の搬送方向と直交する方向に軸方向が沿って左右一対の上記炉壁を貫通しており、互いに平行に配置された複数の搬送ローラと、を備え、係る搬送ローラの両端に位置し且つ上記炉本体の各炉壁の外側に突出する一対の軸部のうち、少なくとも一方の軸部には、係る軸部を回転可能に支持する軸受付近に少なくとも先端部が達する冷却水用の通水孔が当該軸部の端面の中心部から軸心に沿って形成されていると共に、上記冷却水用の通水孔には、その中心部に沿って冷却水用の給水パイプが挿入されている、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記給水用のパイプの先端から吐出された冷却水は、搬送ローラの軸部に形成された前記冷却水用の通水孔の先端部に当たって直ちに逆流し、該通水孔の内壁面とパイプの外周面との間を軸部の端面に向かって流れつつ、係る軸部を直に冷却すると共に、係る軸部を介して、これを回転可能に支持している軸受をも確実に冷却できる。その結果、搬送ローラの炉内側からの伝熱してきた熱による軸受の昇温を防止ないし抑制できるので、その焼付きおよび前記チェーンへの負荷の増加などを確実に防止することが可能となる。
【0008】
尚、前記加熱炉は、各種の材料を所定の温度帯に加熱するための加熱炉に限らず、加熱した金属材料を所定の温度帯まで加熱した後に急冷あるいは除冷するための熱処理炉、あるいは、セラミック材料を焼成するための焼成炉も含んでいる。
また、炉本体は、その炉床、炉壁、および天井が、それぞれ外側の鉄皮とその内面に貼り付けた耐火材との2重構造を有するものである。
更に、被加熱材のうち、被熱処理材には、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼の線材が例示され、係る線材は、前記加熱炉内で1100℃台に加熱された後、搬出口側の位置で水の噴射による急冷を受ける熱処理を施される。
また、搬送ローラは、炉内に位置する太径のローラ本体の両端が延びる一対の軸部において、双方の軸部に冷却水用の通水孔と、その中心部に沿って挿入する給水用パイプとを左右対称に設けても良い。
更に、前記搬送ローラには、前記炉壁と軸受との間におけるその軸部に、複数の放熱フィンを突設した形態も含まれる。
また、複数の前記搬送ローラは、何れか一方の軸部ごとの端部に駆動用チェーンと係合する従動用のスプロケットをそれぞれ取り付けており、該スプロケットと係合するチェーン、該チェーンを無端回転させる駆動側のスプロケット、および該スプロケットを回転させるモータ(駆動源)などによって駆動される。
更に、前記冷却水用の通水孔は、軸部の端面における中心部に開口し、係る開口部から軸心に沿って形成され、その閉じた先端部は、前記軸受に支持される軸部の部分よりも炉壁側の位置まで延びた直線状の細長い孔である。
加えて、前記給水用のパイプの先端は、上記冷却水用の通水孔における閉じた先端部の直前付近まで、係る通水孔と同軸心状にして挿入されている。
【0009】
また、本発明には、前記搬送ローラの軸部の端面における前記冷却水用の通水孔の開口部には、軸部とほぼ同軸心で且つ外側に向かって拡径した円錐形状の水切りが取り付けられている、加熱炉(請求項2)も含まれる。
これによれば、冷却水用のパイプから流された冷却水は、前記冷却水用の通水孔をその開口部に向かって流れた後、搬送ローラの軸部の端面から放出されるが、係る位置に取り付けた前記水切りによって、上記軸部の下側の外周面を伝って流れる事態を阻止される。その結果、軸受内に冷却水が進入しなくなるので、係る軸受の焼付きを一層確実に防ぐことが可能となる。
【0010】
更に、本発明には、前記搬送ローラの軸部の端面における前記冷却水用の通水孔における開口部の下方には、前記炉本体における被加熱材の搬送方向に沿って、受水用の樋が配置されている、加熱炉(請求項3)も含まれる。
これによれば、各搬送ローラごとの軸部の端面から放出された前記冷却水を、排水することなく、受水用の上記樋によって回収できるので、係る冷却水を熱交換器に送水して再度冷却した後、複数回にわたり循環して再利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の熱処理炉(加熱炉)の概略を示す垂直断面図。
【図2】図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図。
【図3】図2中で一点鎖線部分Yの搬送ローラの軸部付近を示す拡大図。
【図4】図3と同じ位置の軸部付近を示す垂直断面図。
【図5】本発明の熱処理炉の作用を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の熱処理炉(加熱炉)Fの概略で且つ被熱処理材(被加熱材)の搬送方向に沿った垂直断面図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図である。
熱処理炉Fは、図1,図2に示すように、断面が角形状で、炉床2、左右一対の炉壁3a,3b、および天井4を、図示しない被熱処理材の搬送方向の全長に沿って有し、該搬送方向の両端に搬入口8および搬出口9を開口させた全体がほぼトンネル状の炉本体1を備えている。尚、係る炉本体1を構成する炉床2、左右一対の炉壁3a,3b、および天井4は、それぞれ外側の鉄皮6と、それらの内側に貼り付けた耐火材7との2重構造を有している。また、熱処理炉Fは、被熱処理材を所定の温度帯に加熱するための加熱手段、あるいは該加熱手段から送給され熱媒体を炉内に取り入れる装置を有し、且つ搬出口9側の天井4には、熱処理のために用いる水または冷風の供給装置(何れも図示せず)を有している。
図1,図2に示すように、上記炉本体2の炉内の炉床2付近で、且つ被熱処理材の搬送方向と直交する方向に沿って炉壁3a,3bを水平に貫通すると共に、互いに平行にして複数の搬送ローラRが配置されている。そのため、炉壁3a,3bの下部には、搬送ローラRを貫通させる複数の貫通孔5が穿設されている。
【0013】
搬送ローラRは、図1,図2に示すように、中空部を内蔵する円筒形で且つ炉壁3a,3bの貫通孔5を貫通するローラ本体10と、その両端から同軸心にして炉壁3a,3bの外側に延びた比較的細径の軸部11,12とを備えている。
図2で左側に位置する円柱形の軸部11は、側面視が半円形で且つ上向きの軸受面を有する軸受13に回転自在に支持されると共に、ローラ本体10から伝熱による軸方向に沿った熱膨張に対応可能とされている。尚、上記軸受13は、少なくとも軸部11に接触する半円形の部分が比較的軟質の軸受合金からなる。
一方、図2で右側に位置する軸部12は、軸受14を貫通し且つこれに回転可能に支持されると共に、先端側に従動用のスプロケットSが取り付けられている。係るスプロケットSは、図2の前後方向に沿って配置され、側面視がほぼ長円形で且つその一端の内側に図示しないモータに駆動される駆動側のスプロケットが係合しているチェーンCの上辺と係合している。係るチェーンCは、各搬送ローラRごとのスプロケットSにも同様に係合している。
尚、上記軸受13,14は、フロアまたはこれから立設したコンクリートG上に取り付けられている。
【0014】
図2中の一点鎖線部分Yを拡大した図3、およびその垂直断面図の図4に示すように、軸部12は、ローラ本体10に隣接する太径部15、これに隣接し且つ円盤状に突出した複数の放熱フィン16、中間の細径部17、および最外側の細径部18を同軸心で有している。
図4に示すように、軸受14は、円環状に配置した複数のボールベアリングbを介して、軸部12の細径部17,18間を回転自在に支持している。また、細径部18の先端側には、キー19を介してスプロケットSが固定されている。
上記軸部12の中心部には、その端面に開口し、且つ先端部22が太径部15の中心部に達する円形断面で且つ冷却水用の細長い通水孔21が軸心に沿って形成されている。係る通水孔21の開口部で且つ軸部12の端面には、該軸部12とほぼ同軸心で且つ外側に向かって拡径する円錐形状の水切り20が固定されている。
尚、上記水切り20の最外部分は、スプロケットSおよびチェーンCよりも外側に少なくとも約20cm以上離れており、望ましくは30cm以上離れている。
【0015】
図4に示すように、軸部12に穿設した通水孔21の中心部には、冷却水用の細長いパイプ24が該通水孔21と同軸状にして挿入され、該パイプ24の先端は、通水孔21の先端部22の直前付近に位置している。係るパイプ24は、図示しない冷却水用のタンクまたは水槽に基端が連通する給水管26と連通している。係る給水管26は、複数の搬送ローラRごとの通水孔21内に挿入された複数のパイプ24と連通し、これらに対して冷却水を同時に送水可能としている。
図3,図4に示すように、前記軸部12の端面における通水孔21の開口部に取り付けた水切り20の下方には、該水切り20りの最外部に向けて開口する断面チャンネル状で且つ受水用の樋30が、炉壁3bに沿って水平に配置されている。係る樋30は、ステンレス鋼などの金属、あるいは耐熱性の樹脂からなる。
【0016】
以下において、前記のような熱処理炉Fの作用について説明する。
予め、所定の線径に熱間圧延された後、レイングヘッドに通されて螺旋形状にされたオーステナイト系ステンレス鋼の線材(被熱処理材:図示せず)は、炉本体2の搬入口8から熱処理炉Fの炉内に順次搬入され、係る炉内の雰囲気温度の約1100℃台に再加熱されつつ搬出口9側に送られる。
この間において、熱処理炉Fにおける複数の搬送ローラRは、ローラ本体10が炉内の雰囲気温度によって加熱され、その熱が軸部11,12側に伝熱される。このうち、前記軸受13に支持された円柱形の軸部11は、ローラ本体10および軸部11自体の膨張分を含めて軸方向に沿って膨張するが、係る軸部11の膨張は、軸受13に阻止されことなく、その外側に延びることで対処される。尚、軸部11は、炉内の雰囲気温度が低下すると、元の長さに戻る。
一方、ローラ本体10から軸部12に伝達された前記熱は、その一部が放熱フィン16を経て炉外に放出されるが、大部分の熱は、軸部12の太径部15から細径部17,18側に伝達される。
【0017】
係る状態で、図5中で実線の矢印で示すように、給水管26から搬送ローラRごとの軸部12に設けた冷却水用の通水孔21の中心部に沿って挿入されたパイプ24に冷却水w1を送給する。すると、係る冷却水w1は、パイプ24の先端から吐出され、図5中の一点鎖線の矢印で示すように、通水孔21の先端部22に当たって反転した後、該通水孔21の内壁面とパイプ24の外周面との間を、軸部21の端面側に送水される。係る冷却水w1の流動過程において、ローラ本体10から軸部12の太径部15および細径部17,18に伝達された前記熱は、当該冷却水w1によって抜熱(降温)される。
その結果、軸部12の少なくとも細径部17,18は、数10℃程度に保たれる。これに伴って、係る軸部12を支持する軸受14も上記同様の温度に維持されるので、従来のような約300〜400℃に加熱され、軸受14のボールベアリングb内の潤滑油が低減ないし溶出して、当該軸受14が焼け付く事態を確実に防止することができる。
【0018】
搬送ローラRごとの軸部12の通水孔21を流れる間に前記伝熱により昇温した冷却水w2は、図5に示すように、該通水孔21から水切り20を経て樋30内に受水される。この際、冷却水w2は、スプロケットS、チェーンC、および軸受14に飛散して付着しない。そのため、搬送ローラRの回転に悪影響を与えないと共に、軸受14内の潤滑油の溶出も生じない。その結果、係る軸受14の焼け付きを一層確実に阻止することができる。
尚、各搬送ローラR内から水切り20を経て、樋30に受水された冷却水w2は、図示しないクーリングタワーなどの熱交換器に送られて、例えば、常温以下の温度に冷却される。更に、冷却された冷却水w1は、貯水槽または給水タンクを経て、前記給水管26から各搬送ローラRの軸部12の通水孔21内に挿入された前記パイプ24に循環して再送水される。そのため、水資源の有効利用も図り得る。
更に、前記炉本体1の炉内で約1100℃台に加熱された前記非熱処理材は、複数の搬送ローラR上を搬出口9側に搬送され、搬出口9の直前における炉内で冷却水の噴射、あるいは冷風の吹き付けによる急冷を受ける熱処理を施されて、所要の特性を付与される。そのため、搬出口9の直前における炉本体1の前記天井4には、所要数の噴水用ノズル、あるいは送風ダクトの先端が配置されている。
【0019】
以上において説明した熱処理炉Fによれば、前記給水用のパイプ24の先端から吐出された冷却水w1は、搬送ローラRの軸部12に形成された前記冷却水用の通水孔21の先端部22に当たって逆流し、パイプ24の外周面と冷却水用の通水孔21の内壁面との間を軸部12の端面に向かって流れつつ、係る軸部12を直に冷却すると共に、係る軸部12を介して、これを支持している軸受14も確実に冷却する。その結果、搬送ローラRの炉内側から軸部12に伝熱してきた熱による軸受14の昇温を抑制でき、その焼付きおよび前記チェーンへCの負荷の増加などを確実に防止できる。しかも、ローラ本体10からの伝熱を受けて昇温した冷却水w2は、軸部12の端面に固定された水切り20から樋30内に受水され、前記スプロケットS、チェーンC、および軸受14に対し、飛散して付着しないので、該スプロケットSやチェーンCの機能を低下させず、且つ軸受14の焼け付きを確実に防止できる。更には、冷却水w2の再利用も容易となる。
【0020】
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、前記冷却水用の通水孔21およびその中心部に挿入するパイプ24は、搬送ローラRの両端に位置する一対の軸部にそれぞれ左右対称に配置しても良い。
また、前記冷却水用の通水孔21は、パイプ24の挿入状態に支障がなければ、円形の断面に限らず、各コーナーにアールを付けた正方形や正六角形などの正多角形の断面としても良い。
更に、前記冷却水用の通水孔21の先端部22は、少なくとも前記軸受14により支持される前記細径部17の付近に達する(位置する)ようにしても良い。
また、搬送ローラRの軸部12に突設した複数の前記放熱フィン16を省略しても良い。
更に、本発明の加熱炉には、前記炉本体1の搬出口9の下流側に別の冷却ゾーンを配置し、炉本体2の炉内では、加熱のみを被加熱材に施す加熱炉も含まれる。
加えて、本発明の加熱炉には、炉本体1の炉内で未焼成のセラミックグリーンシートを焼成するための焼成炉も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、炉内外を水平に貫通する複数の搬送ローラを有する熱処理炉などの加熱炉において、炉内の雰囲気温度により搬送ローラの軸部に伝熱された熱を、前記冷却水用の通水孔にパイプから送水された冷却水によって抜熱するため、上記軸部を支持する軸受の焼け付きを確実に防止でき、これに伴う悪影響を阻止することが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1……………炉本体、 2……………炉床、
3a,3b…炉壁、 4……………天井、
8……………搬入口、 9……………搬出口、
12…………軸部、 14…………軸受、
20…………水切り、 21…………冷却水用の通水孔、
22…………上記孔の先端部、 24…………冷却水用のパイプ、
30…………受水用の樋、 R……………搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が角形状で、炉床、左右一対の炉壁、および天井を有し、被加熱材の搬送方向の両端に開口する搬入口および搬出口を有する炉本体と、
上記炉本体の炉内における炉床付近で、且つ被加熱材の搬送方向と直交する方向に軸方向が沿って左右一対の上記炉壁を貫通しており、互いに平行に配置された複数の搬送ローラと、を備え、
上記搬送ローラの両端に位置し且つ上記炉本体の各炉壁の外側に突出する一対の軸部のうち、少なくとも一方の軸部には、係る軸部を回転可能に支持する軸受付近に少なくとも先端が達する冷却水用の通水孔が当該軸部の端面の中心部から軸心に沿って形成されていると共に、上記冷却水用の通水孔には、その中心部に沿って冷却水用の給水パイプが挿入されている、
ことを特徴とする加熱炉。
【請求項2】
前記搬送ローラの軸部の端面における前記冷却水用の通水孔の開口部には、軸部とほぼ同軸心で且つ外側に向かって拡径した円錐形状の水切りが取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱炉。
【請求項3】
前記搬送ローラの軸部の端面における前記冷却水用の通水孔における開口部の下方には、前記炉本体における被加熱材の搬送方向に沿って、受水用の樋が配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−69509(P2011−69509A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218492(P2009−218492)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】