説明

加熱蒸散装置

【課題】組立性に優れ、透光性の液体ボトルの照明を確実に行うことができて、薬液面の視認性に優れ、さらに、イルミネーション効果が向上する加熱蒸散装置を提供する。
【解決手段】蒸散孔を備えた上部器体と薬液ボトルが取付けられる下部器体とからなる器本体と、吸液芯を上昇する薬液を蒸散させる発熱体と、薬液ボトルを照らす照明手段と、給停電用スイッチとを備え、照明手段とスイッチとがスイッチ取付部材に設けられ、このスイッチ取付部材は、スイッチの操作部が上部器体と前記下部器体の接合部間で外部に露出するように、上部器体と下部器体によって支持され、照明手段は、下部器体の底面部に設けられた透光孔に対向して設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱蒸散装置に係り、特に構造を改良した加熱蒸散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱蒸散装置として、ボトル内の殺虫剤・忌避剤、消臭剤、殺菌剤、芳香剤等の薬剤を吸液芯で吸上げ、この吸液芯を発熱体により加熱することで、薬液を蒸散させるものが用いられている。
【0003】
この種の加熱蒸散装置は、略円筒状の上部器本体と、容器状あるいは皿状の下器本体よりなる容器本体を備え、この容器本体に薬液ボトルを収容し、さらに、下器本体に薬液ボトルに収容された薬液を吸い上げる吸液芯を挿入し、この吸液芯を発熱体により加熱して、薬液を容器本体外に蒸散させている。
【0004】
そして、薬液ボトル内の薬液面を容易に視認できるように、薬液ボトルの照明する照明手段を設け、さらに、発熱体および照明手段への給電を制御するスイッチを設けた加熱蒸散装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の加熱蒸散装置は、照明灯が露出して設けられているため、十分に薬液面を照明できず、薬液面の視認性に劣り、また、照明手段および照明灯が別個に容器本体外に取付けられているため、組立性に劣り、さらに、薬液ボトルを収容するボトル収容部を設けるため、薬液ボトルを透過して容器本体に達する光がボトル収容部で遮られるため、イルミネーション効果に劣るという問題がある。
【0006】
また、略円筒状の上部器本体と、容器状あるいは皿状の下器本体よりなる容器本体を備え、この容器本体の底部に薬液ボトルを螺着し、さらに、器本体内に照明手段を設け、上部器本体およびスイッチを同時に照らす加熱蒸散装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の加熱蒸散装置は、照明手段が薬液面を照らしていないため、液面の視認性に劣るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平4−103479号公報
【特許文献2】特開2003−199474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、組立性に優れ、透光性の液体ボトルの照明を確実に行うことができて、薬液面の視認性に優れ、さらに、イルミネーション効果が向上する加熱蒸散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る加熱蒸散装置は、蒸散孔を備えた上部器体と透光性の薬液ボトルが取り付けられる下部器体とからなる器本体、前記下部器体に着脱自在に取付けられる薬液ボトルに収容された薬液を吸い上げる吸液芯と、この吸液芯を加熱して、薬液を蒸散させる発熱体と、前記薬液ボトルを照らす照明手段と、前記発熱体及び前記照明手段に給停電するスイッチとを備えた加熱蒸散装置において、前記照明手段と前記スイッチはスイッチ取付部材に設けられ、このスイッチ取付部材は、前記スイッチの操作部が前記上部器体と前記下部器体の接合部間で外部に露出するように、前記上部器体と前記下部器体によって支持され、前記照明手段は、前記下部器体の底面部に設けられた透光孔に対向して設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る加熱蒸散装置よれば、組立性に優れ、透光性の液体ボトルの照明を確実に行うことができて、薬液面の視認性に優れ、さらに、イルミネーション効果が向上する加熱蒸散装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置の正面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置の平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置の側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置の底面図。
【図5】図3のC−C線に沿う縦断面図。
【図6】図1のA−A線に沿う縦断面図。
【図7】図6のスイッチ取付部材近傍を拡大して示す縦断面図。
【図8】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置に用いる光量調整手段の斜視図。
【図9】本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置に用いる他の光量調整手段の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置を図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図5に示すように、本発明の一実施形態に係る加熱蒸散装置1は、器本体2を備える。
【0015】
この器本体2は、上部器体3と、この上部器体3の下部に取り付けられる下部器体4からなり、各々別個に形成され、一体的に組み立てられ、両器体3、4の開口周囲が凹凸結合し、上部器体3に設けた螺着用突出部35及び下部器体4に設けた螺着用凹部46を介して螺子5により螺着されてなる。
【0016】
器本体2は合成樹脂を用いるのが好ましく、照明手段の消灯時には内部が視認できず、点灯時には上部器体が光る半透明部材がより好ましい。
【0017】
器本体2の外側には、正面にスイッチ6の操作部61およびプラグ7が設けられる。
【0018】
上部器体3は略々円錐形中空状をなし、側部から垂下するプラグ取付部カバー部31が設けられ、さらに、頂部には蒸散口32が設けられる。
【0019】
一方、器本体2の内部には、図6に示すように、加熱手段としてのヒータ8、スイッチ6および照明手段としてのLED9が設けられる。
【0020】
加熱手段としては、ニクロム線、半導体(正特性サーミスタ)、白金触媒、空気酸化発熱材等を用いることができる。また、照明手段はLEDの他、ネオン球、ウエッジランプなどを用いることができる。
【0021】
下部器体4はその下部が開放されるように略々扁平容器状をなし、側部から垂下して、プラグ取付部41が設けられ、このプラグ取付部41にはプラグ7が設けられる。
【0022】
また、下部器体4には、その中央に、透光性の薬液ボトルBの首部および吸液芯10が挿入される空間Sが設けられる。
【0023】
吸液芯の素材としては、薬液に対して安定でかつ毛細管現象で吸液するものを用いればよいが、薬液が油性であるか、又は水性であるかによって考慮する必要がある。例えば、水性薬液の場合、具体的にはクレー、タルク、パーライト、珪藻土等の無機質材料を焼成・形成したもの、ポリエステル系繊維及び/又はポリアミド系繊維からなるプラスチック芯、多孔質セラミック芯などがあげられ、なかでも、ポリエステル系繊維及び/又はポリアミド系繊維、もしくは多孔質セラミック芯が適している。
【0024】
この空間Sは下部器体4の底面部43に立設される内周部44によって画成され、その内面には螺旋状突条441が設けられ、さらに、上部にヒータ8を取付けるための切欠部442が設けられる。
【0025】
螺旋状突条441は薬液ボトルBの首部に設けた螺子部が螺合し、透光性液体ボトルBが下部器体4に着脱自在に取付けられる。
【0026】
さらに、空間Sの上方には、加熱手段としてのヒータ8と吸液芯10が貫通する金属性の加熱リング81を備える。
【0027】
このヒータ8は底面部43から突出する一対の柱状のヒータ取付部45に螺着させることで、下部器体4に取付けられる。
【0028】
また、図6および図7に示すように、空間Sの側方で薬液ボトルBの肩部b上方には、スイッチ6およびLED9が取付けられたスイッチ取付部材11が設けられる。
【0029】
このスイッチ取付部材11は、略箱状をなし、背面(反スイッチ側)には、内周部44に当接する支持部111、図8に示すように、例えば、略台形体状の突出部112および照明取付部113が設けられる。なお、突出部は直方体形状であってもよい。照明取付部113は半円状部114と半円状凹部115で円筒状に形成される。突出部112と半円状部114で光量調整手段116をなす。
【0030】
さらに、スイッチ取付部材11が器本体2に取付けられた状態では、スイッチ取付部材11は上部器体3と下部器体4によって支持される。例えば、スイッチ取付部材11は上部器体3と下部器体4間に狭持され、底面部43から突設する取付部433に底部が支持され、上部器体3から突設する押圧部34によって押圧され、支持部111が内周部44に当接され、スイッチ取付部材11は直接螺子止めしなくとも強固に固定される。
【0031】
また、さらに、スイッチ取付部材11が器本体2に取付けられた状態では、このスイッチ取付部材11に取付けられたスイッチ6の操作部61が、上部器体3に設けた半円状の上切欠部33と下部器体4に設けた半円状の下切欠部42で形成されるスイッチ孔21から、外部に突出した状態になる。
【0032】
LED9は、スイッチ取付部材11に設けた照明取付部113に挿入されて固定され、底面部43に設けた透光孔431に対向する。
【0033】
LED9が透光孔431に対向した状態では、LED9の先端部が、透光孔431の周囲から立ち上がるリブ部432に挿入される。
【0034】
LED9から発する光は、その大部分が透光孔431を通過し、透光性の薬液ボトルBの肩部bから入光して、液面を照らし、かつ薬液ボトルBを照らすようになっている。
【0035】
本実施形態の加熱蒸散装置1は、LED9とスイッチ6がスイッチ取付部材11に取付けられ、このスイッチ取付部材11は上部器体3と下部器体4間に狭持され、底面部43から突設する取付部433で底部が支持され、上部器体3から突設する押圧部34によって押圧され、支持部111が内周部44に当接されるので、スイッチ取付部材11は、このスイッチ取付部材11を直接螺子止めしなくとも強固に固定され、組立性に優れる。
【0036】
なお、本実施形態では、図8に示す突出部112と半円状部114で光量調整手段116を形成したが、図9に示すように、透光孔117aを備えた半円状部117と、透光孔118aを備えた円弧体状の突出部118を用いてもよい。
【0037】
次に本実施形態の加熱蒸散装置1の使用方法について説明する。
【0038】
図6に示すように、加熱蒸散剤が入れられた薬液ボトルBに栓体を介して吸液芯10を立てた状態で挿入する。
【0039】
ここで、加熱蒸散剤としては、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤、防黴剤、殺鼠剤などを用いる。また、必要に応じて上記薬剤を1種又は2種以上を配合して多目的組成物とすることも可能である。
【0040】
吸液芯10を加熱リング81に遊挿し、薬液ボトルBを回動させて、螺旋状突条441を薬液ボトルBの首部に設けた螺子部に螺合して、薬液ボトルBを下部器体4に取付けられる。
【0041】
しかる後、プラグ7をソケットに差込み、操作部61を上側に動かして、スイッチ6をオンにする。
【0042】
ヒータ8は付勢され、薬液ボトルBから毛細管現象によって上昇する蒸散剤を蒸散させる。蒸散された薬液は、蒸散口32を介して、室内に散布される。
【0043】
一方、付勢されたLED9は光を発し、その光の大部分は透光孔431を通過し、薬液ボトルBの肩部bから入光して、薬液面を照らす。
【0044】
このとき、LED9の先端部が、透光孔431の周囲から立ち上がるリブ部432に挿入されているので、LED9の先端側から発する光は側方に漏れることがなく、薬液面がより明るく照らされ、外部から薬液面を視認しやすい。
【0045】
また、薬液は十分に照明され、さらに、下部器体4はその下部が開放されているので、薬液ボトルB全体が照らされて、イルミネーション効果が向上する。
【0046】
さらに、LED9の後側から発する(漏れる)光は、図7および図8に示すように、スイッチ取付部材11に沿い、略台形体状の突出部112で屈折、散光され、下部器体4をほのかに照らし、イルミネーション効果を向上させる。
【0047】
本実施形態の加熱蒸散装置によれば、組立性に優れ、透光性の液体ボトルの照明を確実に行うことができて、薬液面の視認性に優れ、さらに、イルミネーション効果が向上する加熱蒸散装置が実現される。
【符号の説明】
【0048】
1 加熱蒸散装置
2 器本体
21 スイッチ孔
3 上部器体
31 プラグ取付部カバー部
32 蒸散口
33 上切欠部
34 押圧部
35 螺着用突出部
4 下部器体
41 プラグ取付部
42 下切欠部
43 底面部
431 透光孔
432 リブ部
433 取付部
44 内周部
441 螺旋状突条
442 切欠部
45 ヒータ取付部
46 螺着用凹部
5 螺子
6 スイッチ
61 操作部
7 プラグ
8 ヒータ
81 加熱リング
9 LED
10 吸液芯
11 スイッチ取付部材
111 支持部
112 突出部
113 照明取付部
114 半円状部
115 半円状凹部
116 光量調整手段
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸散孔を備えた上部器体と透光性の薬液ボトルが取り付けられる下部器体とからなる器本体と、前記下部器体に着脱自在に取付けられる薬液ボトルに収容された薬液を吸い上げる吸液芯と、この吸液芯を加熱して、薬液を蒸散させる発熱体と、前記薬液ボトルを照らす照明手段と、前記発熱体及び前記照明手段に給停電するスイッチとを備えた加熱蒸散装置において、
前記照明手段と前記スイッチはスイッチ取付部材に設けられ、
このスイッチ取付部材は、前記スイッチの操作部が前記上部器体と前記下部器体の接合部間で外部に露出するように、前記上部器体と前記下部器体によって支持され、
前記照明手段は、前記下部器体の底面部に設けられた透光孔に対向して設けられることを特徴とする加熱蒸散装置。
【請求項2】
前記下部器体には、その中央に、前記吸液芯および透光性液体ボトルの首部が挿入される空間を画成する内周部が設けられ、前記スイッチ取付部材の反スイッチ側には、前記内周部の外壁に当接するリブが設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱蒸散装置。
【請求項3】
前記下部器体は下部が開放され、前記照明手段から発せられる光は、前記透光孔を介して前記透光性液体ボトル内を照らすことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱蒸散装置。
【請求項4】
前記透光孔の周囲には、前記照明手段の全部あるいは一部が挿入されるリブ部が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱蒸散装置。
【請求項5】
前記スイッチ取付部材の反スイッチ側かつ前記照明手段の上方には、光量調整用の遮光部が設けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の加熱蒸散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−161973(P2010−161973A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6991(P2009−6991)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【出願人】(000164140)金澤工業株式会社 (54)
【Fターム(参考)】