説明

加熱調理器及び調理器具

【課題】入力操作などの操作性を簡単化できるようにする。
【解決手段】加熱調理装置4は加熱調理器2と調理器具3とから構成されている。調理器具3は、調理器具本体5に取手部6を設けて構成され、取手部6に、ユーザーが入力操作するスイッチ7、8と、取手部側通信部9と、スイッチ7、8の入力情報を取手部側通信部9からから送信する取手部側制御回路10と、バッテリ13とを備えている。加熱調理器2は、加熱コイル23と、取手部側通信部9からから送信された入力情報を受信可能な調理器側通信部27と、この調理器側通信部27で受信した前記入力情報に基づいて加熱コイル23を制御する調理器側制御回路28とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具と加熱調理器とが無線通信手段により通信可能な加熱調理装置及び加熱調理器に用いられる調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器例えば誘導加熱調理器では、加熱調理器具本体のトッププレート上に鍋などの調理器具を載置し、前記トッププレート下方部に設けた誘導加熱コイルにより前記調理器具を誘導加熱し、もって、該調理器具内部の調理物を加熱調理するようにしている。
【0003】
最近、前記加熱調理器と前記調理器具とを無線通信する加熱調理装置が提供されている(例えば特許文献1、2)。このものでは、調理器具側に温度センサと通信手段とを設け、加熱調理器側に通信手段を設け、調理器具側の温度センサにて検知した温度情報を前記両通信手段を介して加熱調理器へ送信し、加熱調理器ではこの送信された温度情報に基づいて加熱制御を行うようにしている。
【特許文献1】特開2005−158407号公報
【特許文献2】特開2006−196208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の誘導加熱調理器、及び前記特許文献1、2に示された誘導加熱調理装置では、調理器具に調理物を入れ、該調理器具を、加熱調理器のトッププレートに置いて該調理器具を加熱する場合、ユーザーは、該調理器具をトッププレートに置いた後、加熱調理器側の操作手段を操作して加熱強度などの設定情報を入力する必要があり、ユーザーは手を調理器具の方から加熱調理器の操作手段の方へ移動させなければならないという手間がかかる。
【0005】
なお、前記特許文献1、2には、調理器具側に設けた温度センサの温度検知情報を加熱調理器側に送信する技術が記載されているが、操作性を配慮したものではない。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力操作などの操作性を簡単化できる加熱調理装置及び調理器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理装置は、調理器具本体に取手部を設けて構成され、前記取手部に、ユーザーが入力操作する取手部側操作手段と、取手部側無線データ送信手段と、前記取手部側操作手段での入力情報を前記取手部側無線データ送信手段から送信する制御手段と、これら操作手段、取手部側無線データ送信手段及び制御手段に電源を与えるバッテリとを備えた調理器具と、
前記調理器具の前記調理器具本体を加熱する加熱手段と、前記取手部側無線データ送信から送信された入力情報を受信可能な調理器側無線データ受信手段と、この調理器側無線データ受信手段で受信した前記入力情報に基づいて前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えた加熱調理器と
を備えて構成される。
【0007】
上記構成の加熱調理装置において、ユーザーは、調理器具をその取手部を持って加熱手段部分に配置させる。そして、ユーザーが該取手部の取手部側操作手段を操作すると、制御手段が、該取手部側操作手段での入力情報を取手部側無線データ送信手段から送信し、調理器側無線データ受信手段が該入力情報を受信し、加熱調理器の加熱制御手段がこの入力情報に基づいて加熱手段を制御する。従って、当該構成によれば、ユーザーは、調理器具から加熱調理器へ手を動かさずに入力操作を行い得、入力操作などの操作性が簡単となる。なお、前記操作手段、取手部側無線データ送信手段及び制御手段には調理器具が備えたバッテリから電源が与えられるから、加熱調理器から電源を得なくてもフリーに動作可能であり、有線の電源コードなどを用いる構成とは違って、調理器具の取り扱いに支障を来たすことがない。
【0008】
本発明の調理器具は、調理器側無線データ受信手段が受信した入力情報に基づいて加熱手段を制御する加熱制御手段を備えた加熱調理器に用いられる調理器具であって、
調理器具本体に取手部を設けて構成され、前記取手部に、ユーザーが入力操作する取手部側操作手段と、取手部側無線データ送信手段と、前記取手部側操作手段での入力情報を前記取手部側無線データ送信手段から送信する制御手段と、これら取手部側操作手段、取手部側無線データ送信手段及び制御手段に電源を与えるバッテリとを備えたところに特徴を有する。
【0009】
この構成の調理器具によれば、ユーザーが該取手部の取手部側操作手段を操作すると、制御手段が、該取手部側操作手段での入力情報を取手部側無線データ送信手段から送信する。この入力情報が送信された加熱調理器においては、この入力情報に基づいて加熱手段を制御することになる。当該構成の調理器具によれば、ユーザーは、調理器具から加熱調理器へ手を動かさずに入力操作を行い得、入力操作などの操作性が簡単となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力操作などの操作性を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図2には、システムキッチン1に組み込まれた加熱調理器2と、この加熱調理器2に用いられる調理器具3とが示されている。この加熱調理器2と調理器具3(図1、図3、図4参照)とで加熱調理装置4が構成されている。
【0012】
前記調理器具3は、調理器具本体5に取手部6を設けて構成されている。この取手部6には、アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8と、取手部側通信部9と、取手部側制御回路10と、取手部側表示器11と、温度センサ12と、これらに電源を供給するバッテリ13とが設けられている。
【0013】
前記調理器具本体5は、誘導電流を発生するのに適した材料(鉄など)により容器状に形成されている。前記取手部6は熱絶縁性に優れた樹脂などから構成されている。
前記アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8は、ユーザーが入力操作する取手部側操作手段に相当するものであり、アップ用スイッチ7は加熱設定温度アップ用、ダウン用スイッチ8は加熱設定温度ダウン用であり、例えばタクトスイッチからなる。そして、このアップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8は取手部6において調理器具本体5に近い部位に左右に並んで設けられている。
【0014】
前記取手部側通信部9は、取手部側無線データ送信手段及び取手部側無線データ受信手段に相当するものであり、例えば赤外線送受信器から構成されている。前記取手部6にあって該取手部側通信部9と対応する部分は透光可能に構成されている。
また、前記取手部側制御回路10は制御手段に相当するものであり、マイクロコンピュータなどを含んで構成されている。
前記取手部側表示器11は取手部側表示手段に相当するものであり、例えば3桁の7セグメント数字表示器から構成されている。この表示器11は前記取手部6において前記各スイッチ7及び8よりさらに前記調理器具本体5に近い部位に設けられている。
【0015】
前記温度センサ12は温度検知手段に相当するものであり、これは調理器具本体7の熱を検知するものである。
前記バッテリ13は、例えば乾電池から構成されており、交換可能にセットされるようになっている。
【0016】
一方、加熱調理器2は、図2に示すように、調理器本体14の上部にトッププレート15を設けて構成されており、調理器本体14はキャビネット1aに組み込まれている。そして前記トッププレート15は、キャビネット1a上面に位置している。
前記調理器本体14の前面には操作パネル16が固定されており、この操作パネル16には調理器側操作手段に相当する火力調整ダイアル17が設けられていると共に、電源入切スイッチ18などが設けられている。
【0017】
トッププレート15には円形状の加熱マーク20が形成されている。この加熱マーク20は汎用の調理器具または前述の調理器具3を載置する載置領域をユーザーに表示する目印として機能する。また、このトッププレート15には、図2に示すように、加熱マーク20の右側方に位置して通信用窓部21が形成されている。この通信用窓部21はトッププレート15の基材である透明部分からなり、透光性を有している。
トッププレート15の下方部には、図1に示すように、加熱マーク20の下方に位置して円環状のコイルベース22が収納されており、このコイルベース22の上面には加熱手段に相当する円環状の加熱コイル23が固定されている。
【0018】
図5には加熱調理器2の電気的構成を示している。この図5において、整流回路24の入力端子には商用交流電源25が接続されている。この整流回路24は交流電源25を直流電源に変換するものであり、ダイオードをブリッジ接続してなるブリッジ回路と平滑コンデンサとから構成されている。この整流回路24の出力端子にはインバータ回路26が電気的に接続されている。このインバータ回路26は整流回路24からの直流電源を高周波電圧に変換するものであり、ハーフブリッジ形に接続されたスイッチング素子を主体に構成されている。このインバータ回路26の出力端子には加熱コイル23が接続されており、加熱コイル23はインバータ回路26から高周波電流が与えられることに基いて上方の調理器具3を誘導加熱する。
【0019】
調理器側通信部27は、前記取手部側通信部9とデータ通信(送受信)するものであり、赤外線送受信器から構成されている。調理器側通信部27は、調理器側無線データ受信手段及び調理器側無線データ送信手段に相当する。
調理器側制御回路28は加熱制御手段に相当するものであり、インバータ回路26を駆動回路29を介して制御する。また、調理器側表示器30及び調理器側通信部27なども制御する。この調理器側制御回路28は、マイクロコンピュータなどを含んで構成されている。前記調理器側表示器30は、調理器側表示手段に相当するものであり、前記取手部側表示器11と同様、例えば3桁の7セグメント数字表示器から構成されている。
【0020】
カレントトランス31は、加熱調理器2の入力電流を検知するためのものであり、該カレントトランス31による入力電流検知結果は、入力電流検出回路32により電圧変換されて調理器側制御回路28に与えられる。この制御回路28はこの入力電流検知結果が異常値を示すときには加熱調理器2の運転を停止する。
【0021】
さて、前記取手部側制御回路10の制御、及び前記調理器側制御回路28の制御についてそれぞれ図6及び図7を参照して説明する。
まず、取手部側制御回路10の制御内容について図6を参照して説明する。この取手部側制御回路10はバッテリ13が電源を供給している通常時には、低消費電力モードで入力待機状態にある(ステップS1、ステップS2)。上記低消費電力モードは、取手部側制御回路10のマイクロコンピュータの動作周波数を遅くする制御モードである。
【0022】
ステップS2では、アップ用スイッチ7又はダウン用スイッチ8がユーザーによって操作(入力)されたか否かを判断し、いずれかのスイッチが操作されれば(ステップS2の「YES」)、ステップS3で通常動作モードとする(取手部側制御回路10のマイクロコンピュータの動作周波数を通常値に上げる)。そして、アップ用スイッチ7又はダウン用スイッチ8の最初の入力により、取手部側制御回路10は、ステップS4で調理用の設定温度として200℃(初期設定温度)を設定すると共に、当該設定温度「200℃」を取手部側表示器11に表示し、当該入力情報として設定温度「200℃」を取手部側通信部9から送信する。
【0023】
次のステップS5では、取手部側通信部9において通信入力(調理器側通信部27からの送信の受信)があったか否かを判断し、通信入力がなければ(「NO」)、ステップS6に移行して、ダウン用スイッチ8からの入力があったか否かを判断し、入力があればステップS7に移行し、ステップS7で、現在の設定温度が下限値である例えば「100℃」であるか否かを判断する。下限値「100℃」でなければ、ステップS8に移行して、現在の設定温度を「10℃」下げるように変更し、当該変更後の設定温度を取手部側表示器11に表示すると共に、加熱調理器2に当該変更後の設定温度を送信する。
なお、前記ステップS7で、現在の設定温度が下限値「100℃」であると判断されると(「YES」)、ステップS9に移行して、取手部側表示器11の表示を停止(無表示)して、加熱停止通知を送信する。
【0024】
前記ステップS8の後は、ステップS10に移行して、アップ用スイッチ7からの入力があったか否かを判断し、入力があれば、ステップS11に移行して、現在の設定温度が上限値である例えば「300℃」であるか否かを判断する。下限値「300℃」でなければ、ステップS12に移行して、設定温度を現在の設定温度から「10℃」上げるように変更し、当該変更後の設定温度を取手部側表示器11に表示すると共に、加熱調理器2に当該変更後の設定温度を送信する。
【0025】
前記ステップS11で、現在の設定温度が上限値「300℃」であったときには、該上限値を超える温度設定はせず、且つ表示も変更せずにステップS5に戻る。
前記ステップS12の後は、ステップS13に移行し、前回の検出温度送信から所定時間例えば1秒経過したか否かを判断し、経過していれば(「YES」)、ステップS14に移行し、温度センサ12により調理器具本体5の温度を検知し、検知温度を加熱調理器 側に送信し、ステップS5に戻る。このように温度検知情報の送信を、所定の時間間隔で行うが、前記アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8での入力情報の送信は当該温度検知情報の送信がない時間帯で行うように制御される。
【0026】
ステップS5においては、取手部側通信部9において通信入力があったと判断されれば(「YES」)、ステップS15に移行し、通信入力が加熱停止通知であるか否かを判断し、「YES」であれば、ステップS16に移行して、取手部側表示部11の表示を停止すると共に、加熱停止を送信する。
前記ステップS15で加熱停止通知でないと判断されると(設定温度変更通知であると判断されると)、ステップS17に移行して、設定温度を変更すると共に、当該設定温度を表示する。
【0027】
次に加熱調理器2の調理器側制御回路28の制御について図7を参照して説明する。電源入切スイッチ18オンにより電源が入っている通常時には、低消費電力モードで入力待機状態にある(ステップT1、ステップT2)。上記低消費電力モードは、調理器側制御回路28のマイクロコンピュータの動作周波数を遅くする制御モードである。
【0028】
ステップT2では、火力調整ダイアル17がユーザーによって操作(入力)されたか否かを判断し、操作されれば(ステップT2の「YES」)、ステップT3で通常動作モードとする(調理器側制御回路28のマイクロコンピュータの動作周波数を通常値に上げる)。そして、ステップT4で調理用の設定温度として200℃を設定すると共に、当該設定温度「200℃」を調理器側表示器29に表示し、当該入力情報として設定温度「200℃」を調理器部側通信部27から送信する。
【0029】
次のステップT5では、左回り方向(火力下げ方向)へ操作(入力)されたか否かを判断し、左周り方向へ操作されれば(「YES」)、ステップT6に移行して、現在の設定温度が下限値である例えば「100℃」であるか否かを判断する。
下限値「100℃」でなければ、ステップT7に移行して、現在の設定温度を「10℃」下げるように変更し、当該変更後の設定温度を調理器側表示器29に表示すると共に、取手部側制御回路10に当該下げた設定温度を送信する。
なお、前記ステップT6で、現在の設定温度が下限値「100℃」であると判断されると(「NO」)、ステップT8に移行して、取手部側表示器11の表示を停止して、加熱停止通知を送信する。
【0030】
前記ステップT7の後は、ステップT9に移行して、火力調整ダイアル17が右回り方向(火力上げ方向)に操作されたか(右回り入力があったか)否かを判断し、入力があれば、ステップT10に移行して、現在の設定温度が上限値である例えば「300℃」であるか否かを判断する。下限値「300℃」でなければ、ステップT11に移行して、設定温度を現在の設定温度から「10℃」上げるように変更し、当該変更後の設定温度を調理器側表示器30に表示すると共に、調理器具3に当該上げた設定温度を送信する。
【0031】
前記ステップT10で、現在の設定温度が上限値「300℃」であったときには、該上限値を超える温度設定はせず、且つ表示も変更せずにステップT5に戻る。
前記ステップT9で「NO」となったとき、及び前記ステップT11の後は、ステップS12に移行し、調理器具3側からの通信の入力があったか否かを判断する。通信入力があれば(「YES」)、ステップT13に移行して、通信入力内容が、加熱停止通知であるか否かを判断し、加熱停止通知でなければ(「NO」)、ステップT14に移行し、検知温度通知であるか否かを判断し、検知温度通知でなければ、設定温度変更通知であると判断して、ステップT15で設定温度を変更し、当該設定温度を調理器側表示器30に表示する。そしてステップT16に移行して、現在の設定温度と検知温度に応じて、インバータ回路26を制御して、加熱コイル23への入力(加熱力)を制御する(加熱制御手段)。
【0032】
前記ステップT13で加熱停止通知であると判断されたときには、ステップT17に移行し、調理器側表示器30の表示を停止し、加熱停止を調理器具3へ送信し、そして、ステップT1に戻る。
【0033】
また、前記ステップT12で「NO」のとき、又はステップT14の「YES」であるときにも、前記ステップT16に移行する。
なお、図8には、アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8並びに火力調整ダイアル17の操作に関連する取手部側表示器11及び調理器側表示器30の表示形態の変化の一例を示している。調理器具3がトッププレート15に載置された直後の状態(アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8並びに火力調整ダイアル17のいずれも、操作されていない状態)では、取手部側表示器11及び調理器側表示器30の表示はなされていない(表示状態A1、A1´参照)。次にアップ用スイッチ7が操作(最初の操作)されると、取手部側表示器11及び調理器側表示器17はそれぞれ表示状態A2、A2´のように設定温度「200℃」を表示する。
【0034】
再度、アップ用スイッチ7が操作されると、表示状態A3、A3´のように設定温度「210℃」を表示する(設定温度が「10℃」上げられる)。この後、ダウン用スイッチ8が操作されると、表示状態A4、A4´のように設定温度「200℃」を表示する(設定温度が「10℃」下げられる。
【0035】
次に加熱調理器2側の火力調整ダイアル17が右回り方向に回動操作されると、表示状態A5、A5´のように設定温度「210℃」を表示する(設定温度が「10℃」上げられる)。この状態から、火力調整ダイアル17が左回り方向に回動操作されると、表示状態A6、A6´に示すように、設定温度「200℃」を表示する(設定温度が「10℃」下げられる。
【0036】
また、「200℃」表示状態から、ダウン用スイッチ8が10回操作されると、取手部側表示器11及び調理器側表示器30が表示状態A7、A7´で示すように下限値「100℃」を表示する(設定温度が下限値「100℃」となる)。この状態からさらにダウン用スイッチ8が操作されると、表示状態A8、A8´で示すように、取手部側表示器11及び調理器側表示器30が表示停止となる。
【0037】
このような本実施例の加熱調理装置4によれば、ユーザーが調理器具3の取手部6の取手部側操作手段であるアップ用スイッチ7あるいはダウン用スイッチ8を操作すると、制御手段である取手部側制御回路10が、前記アップ用スイッチ7あるいはダウン用スイッチ8での入力情報を取手部側無線データ送信手段である取手部側通信部9から送信し、調理器側無線データ受信手段である調理器側通信部27が該入力情報を受信し、加熱調理器2の加熱制御手段である調理器側制御回路28がこの入力情報に基づいて加熱手段である加熱コイル23を制御するようにした。
【0038】
従って、本実施例によれば、ユーザーは、調理器具3から加熱調理器2へ手を動かさずに入力操作を行い得、入力操作などの操作性が簡単となる。この場合、前記アップ用スイッチ7あるいはダウン用スイッチ8、取手部側通信部9及び取手部側制御回路10には調理器具3が備えたバッテリ13から電源が与えられるから、加熱調理器2から電源を得なくてもフリーに動作可能であり、有線の電源コードなどを用いる構成とは違って、調理器具3の取り扱いに支障を来たすことがない。
【0039】
また、本実施例によれば、前記加熱調理器2に調理器側表示器30を設け、前記調理器具3のアップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8の入力情報の内容を該調理器側表示器30に表示するようにしたから、調理器具3側で入力した内容を加熱調理器3側でも確認することができる。
【0040】
また、本実施例によれば、取手部6に、取手部側表示器11を備え、アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8の入力情報の内容を該取手部側表示器11に表示するようにしたから、取手部6にあるアップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8での操作内容を同じく取手部6にある取手部側表示器11にて確認することができ、確認が容易となる。
【0041】
また、本実施例によれば、加熱調理器2に調理器側操作手段としての火力調整ダイアル17を備え、加熱制御手段としての調理器側制御回路28は、該火力調整ダイアル17での入力情報に基づいて加熱制御を変更するようにしたから、調理器具3側のバッテリ13の電源が切れても、加熱調理を支障なく行うことができる。また、加熱調理器として、複数調理器具の使用が可能なように、加熱手段が二つや三つ(いわゆる2口や、3口)の仕様のものがあり、このものでは調理器側操作手段は、一箇所にまとめて配置されることが多く、複数の調理器具について火力などの設定をする場合に、ユーザーはあまり手を動かさずに済む。
【0042】
また、本実施例によれば、加熱調理器2に調理器側無線データ送信手段として機能する調理器側通信部27と備えると共に、取手部6に取手部側無線データ受信手段としても機能する取手部側通信部9を備え、調理器側操作手段である火力調整ダイアル17の入力情報を該調理器側通信部27から送信し、前記取手部側通信部9により該入力情報を受信し、この受信した入力情報の内容を前記取手部側表示器11に表示するようにしたから、加熱調理器2側での入力情報を、調理器具3側で表示することができて便利である。
【0043】
また本実施例によれば、調理器具3に、調理器具本体5の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ12を備え、取手部側操作手段としてのアップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8で入力した入力情報と該温度検知センサ12からの温度検知情報とを前記取手部側通信部9から送信し、加熱制御手段である調理器側制御回路28は、前記調理器側通信部27により受信した該入力情報と温度検知情報とに基づいて加熱制御を変更するようにしたから、調理器具本体5の温度を直接的に検知でき、トッププレート15下面に温度センサを設ける場合と違って、正確な調理温度情報を得ることができ、てんぷら調理時などに温度を一定に保つような加熱制御の場合に、精度の高い加熱制御を行うことができる。また、調理器具3側での入力情報を通信するための取手部側通信部9及び調理器側通信部27を利用して温度検知情報を加熱調理器2側へ伝達できて、コストアップが少なくて済む。
【0044】
また、本実施例によれば、前記温度検知情報の送信を、所定の時間間隔で行い、前記入力情報の送信は当該温度検知情報の送信がない時間帯で行うようにしたから、両方の通信すべき情報を競合することなく送信でき、特に温度検知情報は、所定の時間間隔で常時送信するから常に適正な加熱制御を行うことができる。
【0045】
また、本実施例によれば、アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8を、前記取手部6のうち前記調理器具本体5に近い部位に設けたから、ユーザーが取手部6を握るようにして操作すると、親指で操作し易い。
また、本実施例によれば、前記取手部側表示器11は、アップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8よりも調理器具本体5に近い部位に設けたから、ユーザーが取手部6を握るようにして操作する時に、指で取手部側表示部11が隠れることがなく、視認性を確保することができる。
【0046】
また、本実施例の調理器具3によれば、ユーザーが取手部6のアップ用スイッチ7及びダウン用スイッチ8を操作入力すると、該入力情報を、取手部側制御回路10が、取手部側通信部9から送信するから、この入力情報が送信された加熱調理器2においては、この入力情報に基づいて加熱コイル23を制御することになる。従って、当該調理器具3によれば、ユーザーは、該調理器具3から加熱調理器へ手を動かさずに入力操作を行い得、入力操作などの操作性が簡単となる。
【0047】
本発明は上記実施例に限定されず、次のように変更して実施しても良い。取手部側操作手段としては、加熱設定温度のアップ用スイッチ7やダウン用スイッチ8でなく、メニュー設定用や調理時間設定用などのスイッチでも良い。また、構造的にはタクトスイッチでなく、タッチスイッチなどでも良い。また、トッププレートは全体が透光性を有する構成でも良い。このようにすると、通信間の対向する位置がずれていても通信可能となる。また、取手部側無線データ送信手段及び取手部側無線データ受信手段に相当する前記取手部側通信部9は、赤外線送受信器でなく、Bluetooth(登録商標)など、他の無線データ通信構成でも良い。またバッテリとしては乾電池でなく、充電可能な二次電池などでも良い。また表示器11、30は液晶表示器でも良い。また、加熱口数としては1口に限られず、複数口の加熱調理器でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例を示す加熱調理装置の部分的構造的・機能的構成図
【図2】加熱調理装置の全体構成の斜視図
【図3】調理器具の斜視図
【図4】スイッチ及び表示器部分の平面図
【図5】加熱調理装置の機能的ブロック図
【図6】調理器具側の制御内容を示すフローチャート
【図7】加熱調理器側の制御内容を示すフローチャート
【図8】アップ用スイッチ及びダウン用スイッチ並びに火力調整ダイアルの操作内容と表示内容との関係の一例を示す図
【符号の説明】
【0049】
図面中、2は加熱調理器、3は調理器具、4は加熱調理装置、5は調理器具本体、6は取手部、7はアップ用スイッチ(取手部側操作手段)、8はダウン用スイッチ(取手部側操作手段)、9は取手部側通信部(取手部側無線データ送信手段及び取手部側無線データ受信手段)、10は取手部側制御回路(制御手段)、11は取手部側表示器(取手部側表示手段)、12は温度センサ(温度検知手段)、13はバッテリ、17は火力調整ダイアル(調理器側操作手段)、23は加熱コイル(加熱手段)、26はインバータ回路、27は調理器側通信部(調理器側無線データ受信手段及び調理器側無線データ送信手段)、28は調理器側制御回路(加熱制御手段)、30は調理器側表示器(調理器側表示手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具本体に取手部を設けて構成され、前記取手部に、ユーザーが入力操作する取手部側操作手段と、取手部側無線データ送信手段と、前記取手部側操作手段での入力情報を前記取手部側無線データ送信手段から送信する制御手段と、これら取手部側操作手段、取手部側無線データ送信手段及び制御手段に電源を与えるバッテリとを備えた調理器具と、
前記調理器具の前記調理器具本体を加熱する加熱手段と、前記取手部側無線データ送信から送信された入力情報を受信可能な調理器側無線データ受信手段と、この調理器側無線データ受信手段で受信した前記入力情報に基づいて前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えた加熱調理器と
を備えてなる加熱調理装置。
【請求項2】
前記加熱調理器に調理器側表示手段を備え、前記取手部側操作手段の入力情報の内容を該調理器側表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置。
【請求項3】
前記取手部に、取手部側表示手段を備え、前記取手部側操作手段の入力情報の内容を該取手部側表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理装置。
【請求項4】
前記加熱調理器に調理器側操作手段を備え、前記加熱制御手段は、該調理器側操作手段での入力情報に基づいて加熱制御を変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理装置。
【請求項5】
前記加熱調理器に調理器側無線データ送信手段と備えると共に、前記取手部に取手部側無線データ受信手段を備え、前記調理器側操作手段での入力情報を該調理器側無線データ送信手段から送信し、前記取手部側無線データ受信手段により該入力情報を受信し、この受信した入力情報の内容を前記取手部側表示手段に表示するようにした請求項4に記載の加熱調理装置。
【請求項6】
前記調理器具には、前記調理器具本体の温度を検知する温度検知手段を備え、前記取手部側操作手段で入力した入力情報と該温度検知手段からの温度検知情報とを前記取手部側無線データ送信手段から送信し、前記加熱制御手段は、前記調理器側無線データ受信手段により受信した該入力情報と温度検知情報とに基づいて加熱制御を変更するようにした請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱調理装置。
【請求項7】
前記温度検知情報の送信は、所定の時間間隔で行い、前記入力情報の送信は当該温度検知情報の送信がない時間帯で行うことを特徴とする請求項6に記載の加熱調理装置。
【請求項8】
前記取手部側操作手段は、前記取手部のうち前記調理器具本体に近い部位に設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱調理装置。
【請求項9】
前記取手部側表示部は前記取手部側操作手段よりも調理器具本体に近い部位に設けたことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の加熱調理装置。
【請求項10】
調理器側無線データ受信手段が受信した入力情報に基づいて加熱手段を制御する加熱制御手段を備えた加熱調理器に用いられる調理器具であって、
調理器具本体に取手部を設けて構成され、前記取手部に、ユーザーが入力操作する取手部側操作手段と、取手部側無線データ送信手段と、前記取手部側操作手段での入力情報を前記取手部側無線データ送信手段から送信する制御手段と、これら取手部側操作手段、取手部側無線データ送信手段及び制御手段に電源を与えるバッテリとを備えたことを特徴とする調理器具。
【請求項11】
前記取手部に、取手部側表示手段を備え、前記取手部側操作手段の入力情報の内容を該取手部側表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の調理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−293889(P2008−293889A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140394(P2007−140394)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】