説明

加熱調理器

【課題】水受皿の上方にリブを橋渡してなる貫通孔を設けるとともに、平面視で水受皿とヒーターとが重ならないようにすることにより、肉汁或いは油等の排出を良好にし、調理プレート全体を調理面積とすることができ、且つ水受皿に起因したヒーターの熱効率の低下を防止できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】ケース本体20と、該ケース本体20内に設けられる調理プレート40と、前記調理プレート40の下方に設けられるヒーター30と、前記ヒーター30の下方に設けられる遮熱部材25と、前記調理プレート40の下方に設けられる水受皿27とを有する加熱調理器であって、前記調理プレート40は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、その上部に複数のリブが橋渡しされるとともに、前記複数のリブにより平面視で複数の開口23に分割され、前記貫通孔の下方には、前記水受皿27が、平面視で前記ヒーター30と重ならないように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ホットプレートやテーブルグリル或いは電気焼肉器等の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットプレート等の加熱調理器は、外郭を形成し、底部に脚を有するケース本体と、そのケース本体の上部に設けられ、肉等の被調理物を調理する穴あき調理プレートと、その調理プレートの下方に設けられ、調理プレートを加熱するヒーターと、肉汁或いは油等を受ける水受皿と、テーブル上等での調理を安全且つ快適に行うためにヒーターの下方に設けられる遮熱部材を有し、調理プレート上に被調理物をおいて加熱調理するものである。
【0003】
ホットプレートは、上記のような部材及び構造を有しており、テーブル上に載せ肉等を調理したとしてもテーブルが熱くなることはなく、また肉から出る肉汁或いは油が流れ落ちて煙が発生することはなく、また、使用後にはそれらの部材を取り外して容易に洗うことができるため、多くの家庭で使用されている。
【0004】
ところで、図9に示すように、従来、ケース本体aの上部に図示しない調理プレートを置き、この調理プレートの下方にヒーターbと調理プレートとほぼ同じ大きさの水受皿cを設けるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところが、このようなものは、調理プレートの下面が水の蒸発の影響を受け、調理プレートの温度が上がりにくく、また、水受皿cの水がヒーターbから直接輻射熱を受け、水受皿c内の水が早く蒸発し、更には、水受皿cが大きいためそれだけ材料費がかさむという問題を有している。
【0006】
このような問題をなくすものとして、図10及び図11に示すものが提案されている。この調理プレート1は、調理プレート1全体を中央部に向けて傾斜するすり鉢状にし、その中央部に小さな貫通孔2を設けるとともに、そのすり鉢状の領域にそれぞれ複数で且つ平行な凸状リブ3からなる第1の凸状リブ群A、第2の凸状リブ群B、第3の凸状リブ群C及び第4の凸状リブ群Dを設け、更に前記貫通孔2の下方に上記図9のものに比べて小さい水受皿4を設けてなるものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
ところが、上記従来の調理プレート1の貫通孔2は、凸状リブ3の面積を大きく確保するため中央部に小さなものとして形成されている。そのため、肉汁或いは油の流出が悪くなるとともに、貫通孔2に至るまでの距離及び時間が長くなり、肉汁或いは油が調理プレート1上で熱せられたり或いは焦げたりして煙が発生する割合が高まるという問題を有している。
【0008】
また、上記従来の調理プレート1は、貫通孔2の箇所で肉を焼くと貫通孔2が塞がり、肉汁或いは油等が流れなくなる恐れがあるため、その箇所で肉等を焼けないという問題も有している。
【0009】
更に、上記従来の調理プレート1は、貫通孔2から流下する油煙が矢印で示すように遮熱部材5に達し、その油煙がヒーター6の熱により加熱されて遮熱部材5に焼き付いたり、或いは、水受皿4上に落ちた肉汁等で水がはね、はねた水がヒーター6或いは遮熱部材5に当たり、ヒーター6の熱効率が低下したり、水に含まれる肉汁等が遮熱部材5に焼き付くという問題も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−282131号公報
【特許文献2】特開2001−61672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明の目的は、このような課題を解決するものであり、水受皿の上方にリブを橋渡してなる貫通孔を設けるとともに、平面視で水受皿とヒーターとが重ならないようにすることにより、肉汁或いは油等の排出を良好にし、調理プレート全体を調理面積とすることができ、且つ水受皿に起因したヒーターの熱効率の低下を防止できる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0013】
請求項1に係る発明では、ケース本体と、該ケース本体内に設けられる調理プレートと、前記調理プレートの下方に設けられるヒーターと、前記ヒーターの下方に設けられる遮熱部材と、前記調理プレートの下方に設けられる水受皿とを有する加熱調理器であって、前記調理プレートは、貫通孔を有し、前記貫通孔は、その上部に複数のリブが橋渡しされるとともに、前記複数のリブにより平面視で複数の開口に分割され、前記貫通孔の下方には、前記水受皿が、平面視で前記ヒーターと重ならないように設けられる構成。
【0014】
なお、水受皿が平面視でヒーターと重ならないようにする構成は、水受皿をヒーターで囲む構成を含み、その場合には、水受皿を囲むヒーターは水受皿の少なくとも半分以上を囲んでいればよい。
【0015】
請求項2に係る発明では、前記調理プレートの下面には、リング状リブが設けられ、前記水受皿の上端は、前記リング状リブに入り込む構成。
【0016】
請求項3に係る発明では、前記水受皿に、リング状皿蓋を設ける構成。
【0017】
請求項4に係る発明では、前記水受皿は、その中央部に、水量を検知可能な突起体を有する構成。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、調理プレートは、貫通孔を有し、貫通孔は、その上部に複数のリブが橋渡しされ、複数のリブにより平面視で複数の開口に分割され、貫通孔の下方には、水受皿が平面視でヒーターと重ならないように設けられることにより、従来の図9のものに比べ水受皿を小さくすることができ、且つ貫通孔を従来の図11のものに比べ大きくすることができる。その結果、肉汁或いは油等の排出を早め、肉汁或いは油等が調理プレート上で熱せられたり或いは焦げたりして煙が発生する弊害を低減することができるとともに、貫通孔上で肉等を焼くことができるため、調理プレートの利便性を高めることができ、更には、水受皿を小さくすることができる分、材料費を低減することができる。
【0019】
また、平面視で水受皿とヒーターとが重ならないため、蒸発水による調理プレートへの熱量不足を解消することができるとともに、ヒーターからの輻射熱による水受皿内の水の蒸発を低減することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、調理プレートの下面にリング状リブを設け、水受皿の上端を、リング状リブに嵌入することにより、貫通孔を通り遮熱部材方向に向かう油煙を低減し、油煙が遮熱部材に焼き付く弊害を防止することができ、また、水受皿上に落ちた肉汁等で水がはね、はねた水がヒーターに当たり、ヒーターの熱効率が低下する弊害を防止することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、水受皿にリング状皿蓋を設けることにより、請求項2に係る発明の効果を更に高めることができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、水受皿の中央部に水量が検知可能な突起体を設けることにより、水受皿内に所定量の水が入れられているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】加熱調理器の図3のA−A線方向の概略断面図
【図2】調理プレートの斜視図
【図3】調理プレートの平面図
【図4】加熱調理器の要部拡大断面図
【図5】調理プレートがない状態の平面図
【図6】水受皿にリング状皿蓋を被せる前の状態を示す斜視図
【図7】水受皿にリング状皿蓋を被せる前(A)と被せた後(B)の状態を示す断面図
【図8】水受皿にリング状皿蓋を被せない場合の状態を示す図4に対応する断面図
【図9】従来の加熱調理器のヒーターと水受皿を示す斜視図
【図10】従来の他の加熱調理器の断面図
【図11】図10の調理プレートの斜視図
【実施例】
【0024】
図1に加熱調理器の全体の断面図(図3のA−A線断面図)を示し、図2、3に調理プレートの斜視図、平面図を示し、図4に加熱調理器の要部拡大断面図を示す。加熱調理器は、ホットプレートやテーブルグリル或いは電気焼肉器等あるが、以下においてはホットプレートを一例にして説明する。
【0025】
図1に示すようにホットプレート10は、ケース本体20と、遮熱部材25と、該遮熱部材25に支持されるヒーター30と、該ヒーター30の上方に配置される調理プレート40を有する。
【0026】
ケース本体20は、樹脂製の部材であり、ホットプレートの外郭を構成し、平面視略矩形状でその底部にはテーブル等に載置するための複数個の脚21が設けられるとともに、その上面及び下面の一部には、上部開口22及び底部開口23を有する。
【0027】
前記遮熱部材25は、金属性の薄板をプレス加工により一体形成した平面視略矩形状で略皿状の部材であり、ケース本体20内に収納される。この遮熱部材25はその表面に反射及び断熱処理が施されており、ヒーター30の熱がケース本体20へ伝わるのを防止する。
【0028】
また、遮熱部材25には、中央部分の第1凹部25aと中間部分の第2凹部25bとそれ以外の第3凹部25cが形成され、遮熱部材25の強度を高めている。第1凹部25aは、遮熱部材25の略中央部に形成される平面視円形の最も深い凹部で、水受皿27がセットされる。そして、第1凹部25aの底部には、複数、例えば3個の同じ高さの支持突起26が略等間隔で設けられており、第1凹部25aに水受皿27を収納すると水受皿27は、遮熱部材25の上面より隙間を有して支持突起26の上に支持される。水受皿27をこのように接触面積が小さい形態で支持することにより、遮熱部材25の熱により水受皿27内の水が早期に蒸発する弊害を防止することができる。
【0029】
前記第2凹部25bは、第1凹部25aより浅く、第3凹部25cより深い凹部であり、遮熱部材25の中間部の領域、具体的には、後記するヒーター30の略円形の内側ヒーター部分30aと略方形の外側ヒーター部分30bとで囲まれる領域であり、図5で斜線で示す領域に形成される。
【0030】
前記第3凹部25cは、最も浅い領域であり、遮熱部材25の底部を形成する領域中の第1凹部25a及び第2凹部25bを除いた領域である。即ち、ヒーター30は、そのほぼ全体が、最も浅い第3凹部25cに沿って配置される。そのため、ヒーター30と遮熱部材25との距離が短くなり、ヒーター30からのより高い温度の熱を遮熱部材25により調理プレート40方向に反射させ、調理プレート40の温度をより高くすることができる。
【0031】
遮熱部材25には、ヒーター30を支持するための複数個のヒーター支持具28が取り付けられる。ヒーター支持具28の上端は、上方開口の略U字状をなし、ヒーター30を下方及び側方から支持する。そして、中央部分の第1凹部25aには、水受皿27がその底部を複数の支持突起26の上にのる形態でセットされる。なお、水受皿27については後で詳述する。
【0032】
ヒーター30は、例えば平面視略ハート状或いはY字状からなり、シーズヒーターが用いられる。より具体的には、図5で示すように、略円形の内側ヒーター部分30aと略方形の外側ヒーター部分30bとを有するものである。
【0033】
前記内側ヒーター部分30aは、円形の水受皿27の外径より大きい内径を有し、且つ水受皿27を取り囲むように略同心状に配置される。即ち、水受皿27は、平面視で前記ヒーター30と重ならないように設けられる。水受皿27とヒーター30とをこのように配置することにより、ヒーターからの輻射熱が直接水受皿27内に伝わらなくなり、水の蒸発が低減し、更には、水受皿を小さくすることにより材料費が低減する。
【0034】
ヒーター30の内側ヒーター部分30aは、後記する調理プレート40のすり鉢状領域42をカバーし、外側ヒーター部分30bは、平板状領域41をカバーするとともに、その全体は、前記複数のヒーター支持具28に水平に支持される。そして、ヒーター30は、図示しない公知の温度調節器に電気的に接続され、所定の設定温度で加熱される。
【0035】
このヒーター30は、例えば金属パイプの中にコイル状の電熱線を通し、パイプと電熱線間の接触を防ぐためマグネシアなどの耐熱性の無機質絶縁粉末を詰め、金属パイプの両端を密封した構造を有するもので通常インコロイヒータとも呼ばれるものである。ヒーター30はこのような構造を有するため金属パイプは絶縁されておりたとえ金属パイプに触れたとしても感電することはない。なお、特にシーズヒーターである必要はなく他のヒーターを用いてもよく、また、その形状も上記のような略ハート状でなくてもよく、内側ヒーター部分30aの形状も方形、楕円等でもよい。好ましくは、内側ヒーター部分30aと水受皿27とは同形がよい。
【0036】
前記調理プレート40は、厚いアルミダイキャスト製で、ケース本体20と同様な平面視略矩形状の部材であり、平板状領域41及びすり鉢状領域42を有し、両領域41、42の境界には円形で上方に突出してなる区画リブ43が設けられる。
【0037】
前記平板状領域41は、調理プレート40の外周部に形成される水平な領域であり、主として野菜を焼くために利用される。この領域は、円形の区画リブ43によりすり鉢状領域42と区画されており、野菜等がすり鉢状領域42に落ち難くしている。
【0038】
前記すり鉢状領域42は、調理プレート40の中央部に形成される円形で、且つ全体が中心に向かって下降するすり鉢形状の領域であり、主として肉を焼くために利用される。この領域は、円形の区画リブ43により平板状領域41と区画され、肉汁及び油等が平板状領域41へ浸入するのを防止している。
【0039】
すり鉢状領域42には、第1の凸状リブ群R1、第2の凸状リブ群R2及び第3の凸状リブ群R3が形成されるとともに、中央部には円形の貫通孔44が形成される。この貫通孔44の径は、すり鉢状領域42の径に対して、0.25〜0.3程度が好ましく、実際には、貫通孔44の径は55mm、すり鉢状領域42の径は200mmの0.28で形成される。このように従来の図11のものと比べ格段に大きく形成されており、肉汁及び油等をより早く排出することができる。
【0040】
前記第1の凸状リブ群R1は、複数個、例えば6個の第1凸状リブ45からなる。これら第1凸状リブ45は、いずれもほぼ同長、ほぼ同形の断面で、且つ平行或いは略平行に貫通孔44の一方から他方に亘り径方向に設けられる。この場合、すり鉢状領域42の部分の頂部は下方へ若干傾斜し、貫通孔44上の部分の頂部は水平になるが、全体に亘り水平で同じ高さであってもよい。
【0041】
そして、図1ないし図3に示すように、貫通孔44上の第1凸状リブ45により、1個の貫通孔44は、複数個、この場合は7個の開口44aに分割されており、肉汁及び油等はこれら7個の開口44より水受皿27に排出される。このように各第1凸状リブ45は、貫通孔44の上を横切って橋渡しされており、この第1凸状リブ45上で肉等を焼くことができるため、すり鉢状領域42の全体で肉等を調理することができる。
【0042】
前記第2の凸状リブ群R2は、複数個、例えば21個の第2凸状リブ46からなる。これら第2凸状リブ46は、外方ほど長さが短く、いずれもほぼ同形の断面で、且つ平行或いは略平行に伸びるとともに、それらの外方端は全体で円弧状をなし、内方端は全体で直線状をなし、全体では平面視略櫛形状をなす。
【0043】
そして、第2の凸状リブ群R2は、前記第1の凸状リブ群R1と直交する形態で設けられるが、第1の凸状リブ群R1と交わることはない。即ち、全体で直線状をなす内方端は、貫通孔44まで伸びておらず、第2の凸状リブ群R2で肉等を焼くと、肉汁及び油等は、第2凸状リブ46間の通路を流下して最も外側の開口44aより水受皿27に排出される。
【0044】
前記第3の凸状リブ群R3は、第1の凸状リブ群R1を挟んで第2の凸状リブ群R2と反対側に左右対称に設けられる前記第2の凸状リブ群R2とほぼ同様なものである。即ち、複数個、例えば21個の第3凸状リブ47からなる。これら第3凸状リブ47は、外方ほど長さが短く、いずれもほぼ同形の断面で、且つ平行或いは略平行に伸びるとともに、それらの外方端は全体で円弧状をなし、内方端は全体で直線状をなし、全体では平面視略櫛形状をなす。
【0045】
そして、第3の凸状リブ群R3は、前記第1の凸状リブ群R1と直交する形態で前記第2の凸状リブ群R2と左右対称に設けられるが、第1の凸状リブ群R1と交わることはない。即ち、全体で直線状をなす内方端は、貫通孔44まで伸びておらず、第3の凸状リブ群R3で肉等を焼くと、肉汁及び油等は、第3凸状リブ47間の通路を流下して最も外側の開口44aより水受皿27に排出される。また、第1凸状リブ45ないし第3凸状リブ47の高さは、平板状領域41より低く、ヒーター30に近いため、熱が第1凸状リブ45ないし第3凸状リブ47に伝わり易い。
【0046】
前記調理プレート40の底面には、複数個、より具体的には3個の垂下リブである第1垂下リブ50、第2垂下リブ51及び第3垂下リブ52が、それぞれ所定間隔を有して略同心状に設けられる。
【0047】
第1垂下リブ50は、貫通孔44の外周端部に垂下する形態で設けられる最内端の円筒状のリブで、貫通孔44の内壁面に沿って流下する肉汁及び油等が調理プレート40の底面に回り込むことなくその下端部より確実に水受皿27に落ちるように案内するものである。
【0048】
前記第2垂下リブ51は、第1垂下リブ50の外方に所定間隔離れて略同心状に設けられる中間部のリブで、第1垂下リブ50と略同じ水平面まで垂下され、その先端は、図8に示すように、水受皿27の上端27aの近傍で水受皿27内に入り込む長さに設定されたり、または、図4に示すように、後記するリング状皿蓋55の上面に形成されるリング状凹部57内に入り込む長さに設定される。
【0049】
前記第3垂下リブ52は、第2垂下リブ51の外方に所定間隔離れて略同心状に設けられる最外部のリブで、第2垂下リブ51と略同じ水平面まで垂下され、その先端は、図4及び図8に示すように、水受皿27の上端27aの外側近傍の位置で水受皿27の上端27aを覆う長さに設定される。
【0050】
水受皿27或いはリング状皿蓋55に対して第1垂下リブ50ないし第3垂下リブ52を上記した形態で組み合わせることにより、貫通孔44から遮熱部材25までの経路を紆余曲折させることができるため、貫通孔44に流下する肉汁及び油等が遮熱部材25に流れ出る弊害をより確実に防止することができる。
【0051】
水受皿27は、金属製の平面視円形の容器で、その外周面は、遮熱部材25の中央部分の第1凹部25aの内周面より若干小さく、また、その内周は、貫通孔44の第1垂下リブ50の外周より大きい形状であり、遮熱部材25の第1凹部25aに、その底部を複数の支持突起26上に載置する形態でセットされ、その中に水が入れられる。水受皿27がセットされる位置は、調理プレート40の貫通孔44の真下であり、該貫通孔44より流れ落ちる肉汁や油等を受ける。なお、その形状は、方形、楕円等であってもよい。
【0052】
また、水受皿27の内部中央には、略柱状の突起体29が立設する形態で一体に形成される。この突起体29は、水受皿27内の水量の満水位置を指示するためのものであり、水受皿27の内部中央に立設する形態で設けることにより、水が入っているかどうか、または水が入っていてもその量が適量であるか、別言すれば、水を継ぎ足す時期を、調理プレート40がセットされていない場合は勿論のこと、調理プレート40がセットされている場合であっても前記7個の開口44aを通して容易に視認することができる。
【0053】
なお、水受皿27の水の満水位置は、ヒーター30の下面より低くなるようにする。このようにヒーター30と水面との距離を離すことにより、ヒーター30の熱による影響を低減することができる。また、水受皿27の外周形状と、ヒーター30の水受皿27を囲む部分(内側ヒーター部分30aが相当)の形状と、貫通孔44の形状とは同形とするとよい。このようにそれぞれの距離を等間隔にすることにより、肉汁或いは油等の落下による水の跳ね返りによる悪影響及びヒーター30による水受皿27に対する熱的影響を低減することができる。
【0054】
遮熱部材25の第1凹部25aに水受皿27のみ(後記のリング状皿蓋55がない場合)をセットした場合には、図8に示す例のように、調理プレート40の底面の第1垂下リブ50及び第2垂下リブ51は水受皿27内に入り込み、第3垂下リブ52は水受皿27の上端27aの外側に位置することになり、紆余曲折の経路を形成する。
【0055】
図8に示すように、水受皿27のみを直接取り付けても、調理プレート40と水受皿27との間に紆余曲折の経路を形成することができるため、肉汁及び油等を遮熱部材25に流出させない効果を奏することができるが、水受皿27の上部に図4等で示すリング状皿蓋55を設けることによりその効果をより高めることができる。
【0056】
リング状皿蓋55は、図5に平面図、図6に斜視図、図7に断面図を示すように、その中央に大きな中央開口56、その外方のリング状凹部57及びその外方のリング状凸部58を有する金属製或いは樹脂製のリング状或いはドーナツ状の部材であり、図4に示すように水受皿27の上部に被せて用いる。
【0057】
前記中央開口56は、比較的大きな開口であり、その内周端56aの内径は、調理プレート40の第1垂下リブ50の外径より若干大きく、リング状皿蓋55を被せた水受皿27を所定位置にセットした後では、図4に示すように第1垂下リブ50が内周端56aの近傍で中央開口56内に入り込む形態になる。
【0058】
前記リング状凹部57は、中央開口56より外方へ伸びる水平部分56bの外方に形成される下方に凹んだリング部分で、リング状皿蓋55を被せた水受皿27を所定位置にセットした後では、図4に示すように第2垂下リブ51がリング状凹部57内に上方から入り込む形態になる。
【0059】
前記リング状凸部58は、前記リング状凹部57の直外方に形成される上方に突き出たリング部分で、リング状皿蓋55を被せた水受皿27を所定位置にセットした後では、図4に示すように水受皿27の上端27aがリング状凸部58内に下方から入り込む形態になる。即ち、リング状凸部58は、調理プレート40の第2垂下リブ51と第3垂下リブ52の間に位置する形態になる。
【0060】
図7(A)にリング状皿蓋55を水受皿27に被せる前の状態を示し、図7(B)にリング状皿蓋55を水受皿27に被せた後の状態を示す。このようにリング状皿蓋55を水受皿27に被せると、リング状皿蓋55のリング状凸部58内に水受皿27の上端27aが嵌入してユニット体を形成する。そして、このユニット体を遮熱部材25の第1凹部25a内にセットし、その上に調理プレート40を載せると、第1垂下リブ50が中央開口56内に嵌入し、肉汁及び油等が遮熱部材25方向に流れる弊害を、リング状皿蓋55がないものに比べ格段に低減する。
【0061】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であることは勿論である。また、請求項1では、貫通孔の上部に複数のリブを橋渡しすることを必須要件にしているが、例えば以下のような発明であってもよい。
【0062】
請求項1では、ケース本体と、該ケース本体内に設けられる調理プレートと、前記調理プレートの下方に設けられるヒーターと、前記ヒーターの下方に設けられる遮熱部材と、前記調理プレートの下方に設けられる水受皿とを有する加熱調理器であって、前記調理プレートは、貫通孔を有し前記貫通孔の下方には、前記水受皿が、平面視で前記ヒーターと重ならないように設けられることを特徴とする加熱調理器。
請求項2では、前記調理プレートの下面には、複数のリング状リブが略同心状に設けられ、前記水受皿の上端は、前記複数のリング状リブの隣合うリブ間に入り込むことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
請求項3では、前記水受皿の上端に、リング状皿蓋を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
請求項4では、前記水受皿は、その中央部に、水量を検知可能な突起体を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【符号の説明】
【0063】
10…ホットプレート 20…ケース本体
21…脚 22…上部開口
23…底部開口 25…遮熱部材
25a…第1凹部 25b…第2凹部
25c…第3凹部 26…支持突起
27…水受皿 27a…上端
28…ヒーター支持具 29…突起体
30…ヒーター 30a…内側ヒーター部分
30b…外側ヒーター部分 40…調理プレート
41…平板状領域 42…すり鉢状領域
43…区画リブ 44…貫通孔
44a…開口 45…第1凸状リブ
46…第2凸状リブ 47…第3凸状リブ
50…第1垂下リブ 51…第2垂下リブ
52…第3垂下リブ 55…リング状皿蓋
56…中央開口 56a…内周端
56b…水平部分 57…リング状凹部
58…リング状凸部 R1…第1の凸状リブ群
R2…第2の凸状リブ群 R3…第3の凸状リブ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、該ケース本体内に設けられる調理プレートと、前記調理プレートの下方に設けられるヒーターと、前記ヒーターの下方に設けられる遮熱部材と、前記調理プレートの下方に設けられる水受皿とを有する加熱調理器であって、
前記調理プレートは、貫通孔を有し、
前記貫通孔は、その上部に複数のリブが橋渡しされるとともに、前記複数のリブにより平面視で複数の開口に分割され、
前記貫通孔の下方には、前記水受皿が、平面視で前記ヒーターと重ならないように設けられることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記調理プレートの下面には、リング状リブが設けられ、前記水受皿の上端は、前記リング状リブに入り込むことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記水受皿に、リング状皿蓋を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記水受皿は、その中央部に、水量を検知可能な突起体を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−218081(P2011−218081A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93035(P2010−93035)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】