説明

動力伝達機構および動力伝達機構におけるベルト組み付け方法

【課題】専用治具を用いることなく伝動ベルトを組み付け可能であり、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止可能な動力伝達機構を提供する。
【解決手段】動力伝達機構10は、エンジンのクランクシャフト11の一端側に回転一体に取り付けられるクランクプーリ12と、ウォータポンプの回転軸21の一端側に回転一体に取り付けられるウォータポンププーリ22と、これらクランクプーリ12とウォータポンププーリ22との間に掛け渡された伝動ベルト31とを備えている。クランクプーリ12の前面12dには、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際にこの伝動ベルト31を引っ掛ける複数の突起14が前方へ向けて突出して設けられ、複数の突起14は、クランクプーリ12の回転中心に関して対称に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構に関する。また、本発明は、そのような動力伝達機構のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるエンジン(内燃機関)には、一般に、ウォータポンプ、オルターネータ、パワーステアリングポンプ、エアコンディショナのコンプレッサなどの各種の補機が装備されている。これらの補機は、動力伝達機構によりエンジン出力が伝達されて駆動されるようになっている。動力伝達機構は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリと、各補機に取り付けられた補機プーリと、これらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた構成となっている。
【0003】
このような動力伝達機構では、伝動ベルトがプーリから滑落してしまうことを防止するために、プーリおよび伝動ベルトとして、例えば、VベルトプーリおよびVリブドベルトが用いられる。また、伝動ベルトの張力を一定に維持する必要があることから、オートテンショナが用いられている。オートテンショナを備えた動力伝達機構においては、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、例えば、一般工具にてオートテンショナをフリーにした状態で、クランクプーリ、補機プーリ、オートテンショナのテンショナプーリ(アイドラプーリ)などに伝動ベルトを巻き掛け、その後、オートテンショナを調節して伝動ベルトに一定の張力を付与する。
【0004】
また、オートテンショナを備えない動力伝達機構も知られている。この場合、伝動ベルトとして、低弾性ベルト(いわゆる、ストレッチベルト)が用いられ、伝動ベルト自体の弾性力(伸縮力)によって張力を維持するようになっている。しかし、伝動ベルトとして低弾性ベルトを用いた動力伝達機構では、オートテンショナは不要になるものの、プーリ間に伝動ベルトを組み付ける際、伝動ベルトを伸ばしながらプーリに巻き掛ける必要がある。このため、伝動ベルトをプーリ間に組み付けるための専用の治具(特殊工具)が必要になり、一般工具(例えば、ラチェットハンドル、めがねレンチなど)だけでは伝動ベルトの組み付け作業を行うことができないといった問題がある。
【0005】
従来では、伝動ベルトの組み付け作業を専用の治具を用いることなく行うことを可能とした動力伝達機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、プーリのフランジに伝動ベルトを誘導する切欠部を設け、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、その切欠部を利用して伝動ベルトをプーリ間に掛け渡すことが示されている。しかし、エンジンの運転時、その切欠部を起点として、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れが発生する可能性がある。また、プーリ間のアライメントにずれ(ミスアライメント)が生じていると、エンジンの運転時、伝動ベルトが切欠部で擦れて損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−195041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような技術的課題を考慮してなされたものであり、専用治具を用いることなく伝動ベルトを組み付け可能であり、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止可能な動力伝達機構、および、そのような動力伝達機構におけるベルト組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるための複数の突起が、軸方向一方側へ向けて突出して設けられ、上記複数の突起が、上記1つのプーリの回転中心に関して対称に配置されていることを特徴としている。
【0009】
ここで、複数のプーリのうち、上記1つのプーリに設けられた突起を利用した伝動ベルトのプーリ間への組み付け作業について説明する。まず、伝動ベルトをプーリ間にセットする。この際、伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリ(他のプーリ)に巻き掛けるとともに、伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら突起の1つに引っ掛ける。この場合、その突起と上記1つのプーリの回転中心とを結ぶ直線がプーリの外周縁と交わる位置よりも、プーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置において、伝動ベルトを上記1つのプーリのフランジ上に乗り上げさせる。そして、フランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内側の突起に引っ掛ける。
【0010】
次に、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら(押圧しながら)、上記1つのプーリを、例えばラチェットハンドル等を用いて回転させる。この際、一方の手で、伝動ベルトを押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル等を操作して上記1つのプーリを回転させればよい。これにより、上記1つのプーリの回転にともなって、伝動ベルトが徐々に伸ばされ、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さが徐々に大きくなり、やがて伝動ベルトが上記1つのプーリに完全に巻き掛けられる。
【0011】
上記構成の動力伝達機構によれば、上記1つのプーリに設けた突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【0012】
具体的には、突起は、上記1つのプーリを回転させる際に上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力を軽減する役割を担っており、その突起に作用する伝動ベルトの張力の分だけ、その必要な伝動ベルトへの押圧力が軽減される。このように、突起によって上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力を低減できるので、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。
【0013】
しかも、上述した従来の構成(フランジに切欠部を設ける構成)とは異なり、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止することができる。つまり、上記1つのプーリのフランジに切欠きなどの凹凸を設けなくても伝動ベルトをプーリ間に組み付けることができるので、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を未然に防ぐことができる。また、プーリ間にミスアライメントがあったとしても、エンジンの運転時、その切欠きなどの凹凸による伝動ベルトの損傷を未然に防ぐことができる。
【0014】
また、後述するボルトやドライバーなどの突起部材を利用する場合に比べて、上記1つのプーリへの突起部材の脱着が不要となるため、伝動ベルトの組み付け作業の工数を減らすことがことができ、しかも、上記1つのプーリから突起部材を取り忘れることがなくなる。
【0015】
また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛ける突起部材をこの1つのプーリに取り付けるための、複数の開口部が形成され、上記複数の開口部は、上記1つのプーリの回転中心に関して対称に配置されていることを特徴としている。
【0016】
この構成では、伝動ベルトをプーリ間に組み付けるにあたって、まず、上記1つのプーリの軸方向一方側の面に突起部材を取り付ける。次に、伝動ベルトをプーリ間にセットし、例えばラチェットハンドル等を用いて伝動ベルトの組み付け作業を行う。
【0017】
上記構成の動力伝達機構によれば、上記1つのプーリに取り付けた突起部材を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【0018】
しかも、上述した従来の構成(フランジに切欠部を設ける構成)とは異なり、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止することができる。つまり、上記1つのプーリのフランジに切欠きなどの凹凸を設けなくても伝動ベルトをプーリ間に組み付けることができるので、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を未然に防ぐことができる。また、プーリ間にミスアライメントがあったとしても、エンジンの運転時、その切欠きなどの凹凸による伝動ベルトの損傷を未然に防ぐことができる。
【0019】
さらに、上記1つのプーリの軸方向一方側の面に開口部を設けるだけでよいので、既存のプーリの流用が可能となる。つまり、既存のプーリと同じ鋳型やプレス型によって上記1つのプーリを製造することができ、新たな鋳型やプレス型が不要となり、コスト削減を図ることができる。また、突起部材は、ベルト組み付け作業の完了後には取り外されるので、突起部材の配置スペースを確保しておく必要がなく、例えばFF型車両のようにエンジンの搭載スペースが厳しく制限される車両において搭載上有利となる。
【0020】
本発明の動力伝達機構において、上記1つのプーリが、エンジンのクランクシャフトの一端部に取り付けられたクランクプーリであり、上記開口部が、クランクシャフトへのクランクプーリの脱着用の治具を装着するためのサービス孔であることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、クランクプーリに設けられたサービス孔を伝動ベルトの組み付けにそのまま利用することができるので、既存のプーリをそのまま使用でき、コスト低減に貢献できる。
【0022】
ここで、上記開口部をねじ孔とし、上記突起部材をボルトとすることが可能である。また、上記開口部を貫通孔とし、上記突起部材をドライバーとすることが可能である。ドライバーを用いて伝動ベルトの組み付け作業を行う場合、上記1つのプーリの貫通孔にドライバーを挿入し、このドライバーに伝動ベルトを引っ掛けて、伝動ベルトの組み付け作業を行えばよい。このように、ドライバーを用いて伝動ベルトの組み付け作業を行う場合、上記1つのプーリへのドライバーの取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。また、ボルトに比べてドライバーは長尺であるため、ベルト組み付け作業の完了後、上記1つのプーリからドライバーを外し忘れる可能性が低くなる。
【0023】
また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向の一端部には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるフランジが設けられていることを特徴としている。
【0024】
上記構成の動力伝達機構によれば、上記1つのプーリの軸方向一方側に設けられたフランジを利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【0025】
本発明の動力伝達機構において、上記1つのプーリには、軸方向の両端部にフランジがそれぞれ設けられ、軸方向一方側に設けられたフランジの軸方向一端側の外周縁が、R形状とされていることが好ましい。なお、軸方向一方側に設けられたフランジの軸方向他端側の外周縁も、R形状としてもよい。
【0026】
伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、伝動ベルトが上記1つのプーリに組み付く直前に、伝動ベルトは、上記1つのプーリの軸方向一方側に設けられたフランジ上を滑るように乗り越える。上記構成では、軸方向一方側に設けられたフランジの外周縁がR形状とされているので、伝動ベルトがフランジ上をスムーズに乗り越えて、上記1つのプーリに組み付く。これにより、伝動ベルトの損傷等を防止することができる。また、この構成では、フランジの外周縁をR形状としない場合に比べて、伝動ベルトがフランジ上を乗り越える際の移動経路が短くなるので、伝動ベルトが過度に伸ばされることを回避できる。これにより、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際の操作荷重を低減することができ、伝動ベルトの組み付け作業を容易に行うことができる。
【0027】
本発明の動力伝達機構において、上記軸方向一方側に設けられたフランジよりも、軸方向他方側に設けられたフランジが小径に形成されていることが好ましい。このように、Rが付けられていない軸方向他方側のフランジを小径にすることで、上記一方のプーリの軽量化を図ることが可能になる。
【0028】
本発明の動力伝達機構において、上記伝動ベルトが、ベルト長さ方向に延びる複数のリブを有するVリブドベルトとされ、上記軸方向一端側の外周縁の曲率半径が、上記伝動ベルトの隣り合うリブ間の間隔よりも大きくされていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、伝動ベルトが上記1つのプーリのフランジ上を乗り越える際、上記1つのプーリのフランジの外周縁が、伝動ベルトの隣り合うリブ間に入り込むことを防止することができ、伝動ベルトのリブの欠損を確実に回避することができる。
【0030】
また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、複数の突起がこの1つのプーリの回転中心に関して対称に形成され、上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記複数の突起のうちの1つに引っ掛け、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴としている。
【0031】
上記のベルト組み付け方法によれば、複数のプーリのうち、1つのプーリに形成された突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【0032】
また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、複数の開口部がこの1つのプーリの回転中心に関して対称に形成され、上記複数の開口部のうちの1つに、軸方向一方側の面から突出するように突起部材を取り付け、上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記突起部材に引っ掛け、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴としている。
【0033】
上記のベルト組み付け方法によれば、複数のプーリのうち、1つのプーリに取り付けた突起部材を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【0034】
これらの場合、上記1つのプーリには、軸方向の両端部にフランジがそれぞれ設けられ、上記伝動ベルトを突起部材に引っ掛ける際、この突起部材と上記1つのプーリの回転中心とを結ぶ直線が軸方向一方側に設けられたフランジの外周縁と交わる位置よりも、プーリ回転方向の上流側の位置において、伝動ベルトを上記フランジ上に乗り上げさせ、このフランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内側の突起または突起部材に引っ掛けることが好ましい。また、上記複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際、上記伝動ベルトが軸方向一方側に設けられたフランジに乗り上げた部分を押さえることが好ましい。このように、伝動ベルトのフランジに乗り上げた部分を押圧することで、伝動ベルトへの押圧力が小さくても、伝動ベルトと上記1つのプーリとの間に効果的に摩擦力を発生させることができる。これにより、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力が小さくて済むので、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、複数のプーリのうち、1つのプーリに設けた突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具を用いることなく、一般工具のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る動力伝達機構の概略構成を模式的に示す正面図である。
【図2】図1のX1−X1線断面図である。
【図3】図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順1を模式的に示す正面図である。
【図4】図3の動力伝達機構のクランクプーリおよび伝動ベルトをY1方向から見た図である。
【図5】図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順2を模式的に示す正面図である。
【図6】図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順3を模式的に示す正面図である。
【図7】図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順4を模式的に示す正面図である。
【図8】図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順5を模式的に示す正面図である。
【図9】動力伝達機構のクランクプーリのフランジを伝動ベルトが乗り越える際の様子を模式的に示す断面図である。
【図10】動力伝達機構の変形例1を示す図1に対応する図である。
【図11】図10のX2−X2線断面図である。
【図12】図10の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順を模式的に示す図3に対応する図である。
【図13】図12の動力伝達機構のクランクプーリおよび伝動ベルトをY2方向から見た図である。
【図14】動力伝達機構の変形例2を示す図1に対応する図である。
【図15】図14の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順を模式的に示す図3に対応する図である。
【図16】動力伝達機構の変形例3を示す図1に対応する図である。
【図17】図16の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順を模式的に示す図3に対応する図である。
【図18】図16の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順を模式的に示す図5に対応する図である。
【図19】図16の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順を模式的に示す図7に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0038】
この実施形態では、車両等に搭載されるエンジン(内燃機関)の出力軸であるクランクシャフトの回転駆動力を、補機としてのウォータポンプの回転軸に伝達する動力伝達機構を例に挙げて説明する。
【0039】
図1、図2に示すように、動力伝達機構10は、エンジンのクランクシャフト11の一端側(前端側)に回転一体に取り付けられるクランクプーリ12と、ウォータポンプの回転軸21の一端側(前端側)に回転一体に取り付けられるウォータポンププーリ22と、これらクランクプーリ12とウォータポンププーリ22との間に掛け渡された伝動ベルト31とを備えている。動力伝達機構10は、エンジンの駆動にともなうクランクシャフト11の回転駆動力が、クランクプーリ12から伝動ベルト31を介してウォータポンププーリ22に伝達されて、ウォータポンプが駆動されるように構成されている。
【0040】
次に、動力伝達機構10の各部について、図1、図2を参照して説明する。
【0041】
クランクプーリ12は、エンジンの前面側に設けられており、エンジンのクランクシャフト11の前端部にセットボルト13を用いて締結されている。クランクプーリ12は、円環状のダンパゴム15を有するダンパプーリとされている。クランクシャフト11は、ウォータポンプの回転軸21よりも下方に配置されている。クランクプーリ12の外周面には、伝動ベルト31のリブ31aが嵌め込まれるプーリ溝12aが形成されている。プーリ溝12aは、周方向に延びる複数のV型の溝からなる。
【0042】
プーリ溝12aの軸方向の両側には、プーリ溝12aよりも外径側に突出するフランジ12b,12cが設けられている。軸方向の一方側(前方側)のフランジ12bは、他方側(後方側)のフランジ12cよりも大径に形成されており、フランジ12b,12c間に段差が生じている。また、フランジ12bは、フランジ12cよりも厚肉に形成されている。そして、フランジ12bの軸方向の一端側(前端側)の外周縁R11と、他端側(後端側)の外周縁R12とには、それぞれR加工が施されている。
【0043】
また、クランクプーリ12の前面12dには、前方へ向けて突出する複数の円柱状の突起14が一体的に設けられている。複数の突起14は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に伝動ベルト31を引っ掛けるために設けられている。この実施形態では、突起14はクランクプーリ12に2つ設けられており、これらの突起14は、クランクプーリ12の回転時のアンバランスを回避する観点から、クランクプーリ12の回転中心に関して対称な位置に配置されている。突起14は、例えば鋳造によりクランクプーリ12と一体成形されている。突起14の前面12dに対する突出量は、伝動ベルト31の軸方向の幅の4/5程度に設定されている。なお、突起14の前面12dに対する突出量は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に突起14に伝動ベルト31を引っ掛けることが可能であれば特に限定されない。
【0044】
ウォータポンププーリ22は、エンジンの前面側に設けられており、クランクプーリ12と所定の間隔を隔てて配置されている。ウォータポンププーリ22は、ウォータポンプの回転軸21の前端部に取り付けられたプーリシート23に固定されている。ウォータポンププーリ22は、例えばプレス加工によって形成される。ウォータポンププーリ22は、クランクプーリ12よりも小径とされている。ウォータポンププーリ22の外周面には、伝動ベルト31のリブ31aが嵌め込まれるプーリ溝22aが形成されている。プーリ溝22aは、周方向に延びる複数のV型の溝からなる。なお、プーリシート23を用いずに他の手段によって、ウォータポンププーリ22を回転軸21に取り付けてもよい。
【0045】
プーリ溝22aの軸方向の両側には、プーリ溝22aよりも外径側に突出するフランジ22b,22cが設けられている。軸方向の一方側(前方側)のフランジ22bと、他方側(後方側)のフランジ22cとは、略同径に形成されている。そして、フランジ22bの軸方向の一端側(前端側)の外周縁R21にはR加工が施されている。
【0046】
伝動ベルト31には、低弾性ベルト(ストレッチベルト)が用いられている。この実施形態では、伝動ベルト31として、長手方向(ベルト長さ方向)に延びる複数のV型のリブ31aを有するVリブドベルトが用いられている。既に述べたように、伝動ベルト31として低弾性ベルトを用いた場合、伝動ベルト31自体の弾性力(伸縮力)によって張力を維持するようになっている。このため、オートテンショナが不要となっている。
【0047】
次に、動力伝達機構10において、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける組み付け作業の手順について、図3〜図8を参照して説明する。
【0048】
まず、作業者は、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けながら突起14の1つに引っ掛ける。つまり、伝動ベルト31をクランクプーリ12に半掛けする。具体的には、図3に示すように、クランクプーリ12のプーリ溝12a上にある伝動ベルト31を曲げてその向きを斜め前方へ変えてフランジ12b上に乗り上げさせ、その伝動ベルト31をフランジ12bよりも内側の突起14に引っ掛ける。この際、伝動ベルト31が若干弛んだ状態で突起14に引っ掛かるように、クランクプーリ12を回転させてその位置(回転方向の位置)を調整する。
【0049】
ここで、突起14とクランクプーリ12の回転中心とを結ぶ直線がフランジ12bの外周縁と交わる位置よりも、プーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置において、伝動ベルト31をフランジ12b上に乗り上げさせている。そして、作業者は、フランジ12bに乗り上げた(引っ掛かった)伝動ベルト31の位置がずれないように、伝動ベルト31を押さえておく(押圧しておく)。この場合、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31bを押さえればよい。
【0050】
次に、作業者は、図5に示すように、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31bを押さえながら、ラチェットハンドル40によって、クランクプーリ12のセットボルト13をクラッチし、クランクプーリ12をR1方向(図5では時計周り方向)へ回す。この場合、作業者は、一方の手で、伝動ベルト31を押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させればよい。クランクプーリ12の回転にともなって、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31bが移動する。
【0051】
クランクプーリ12を回転させる方向は、伝動ベルト31の弛みが減少する方向、言い換えれば、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さ(伝動ベルト31のクランクプーリ12に巻き掛けられた部分の長さ)C1が大きくなる方向となっている。そして、クランクプーリ12の回転中、作業者は、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するように、伝動ベルト31を押さえている一方の手を、伝動ベルト31の上記部分31bの移動に追随させて移動させる。
【0052】
クランクプーリ12を図6に示す位置まで回転させると、伝動ベルト31は、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態(張力がかかっていない状態)となる。この状態では、伝動ベルト31は、ウォータポンププーリ22の巻き掛け可能な全領域に巻き掛けられており、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さが最大となっている。一方、伝動ベルト31は、クランクプーリ12の巻き掛け可能な領域のうち一部の領域だけにしか巻き掛けられておらず、残りの領域に対しても、伝動ベルト31を巻き掛けるには、伝動ベルト31を伸ばす必要がある。
【0053】
この実施形態では、伝動ベルト31を突起14に引っ掛けた状態でクランクプーリ12をR1方向へ回転させることにより伝動ベルト31を伸ばして、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を大きくするようにしている。
【0054】
具体的には、作業者は、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31bを引き続き押さえながら、クランクプーリ12を図6に示す位置からさらにR1方向へ回転させる。この場合、クランクプーリ12に対して伝動ベルト31が滑らない程度の摩擦力が、伝動ベルト31とクランクプーリ12との間に作用するように伝動ベルト31を押さえる。これにより、クランクプーリ12の回転にともなって、伝動ベルト31が徐々に伸ばされ、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が徐々に大きくなる。
【0055】
そして、作業者は、例えば図7に示す位置までクランクプーリ12を回転させた後、一方の手を伝動ベルト31から離し、伝動ベルト31への押圧を解除する。この位置は、伝動ベルト31から一方の手を離しても、伝動ベルト31がクランクプーリ12から外れることのない位置となっている。続いて、クランクプーリ12をさらにR1方向へ回転させると、例えば図8に示すように、伝動ベルト31が突起14から離れ、やがて伝動ベルト31がクランクプーリ12に完全に巻き掛けられる。この際、伝動ベルト31のクランクプーリ12に巻き掛けられていない部分31cが、クランクプーリ12の回転にともなってフランジ12bに徐々に近づいていき、最終的にはその部分31cがフランジ12bを滑るようにして乗り越え、クランクプーリ12に組み付く。その後、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12から取り外し、ベルト組み付け作業を完了する。
【0056】
以上のように、この実施形態によれば、クランクプーリ12に一体に設けられた突起14を利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、ラチェットハンドル40のような一般工具のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。
【0057】
ここで、突起14を利用せずに伝動ベルト31の組み付け作業を行う場合、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要となる伝動ベルト31への押圧力が大きくなる。すなわち、伝動ベルト31の伸張にともなって増大する張力に起因して、伝動ベルト31がクランクプーリ12から外れたり、伝動ベルト31がクランクプーリ12に対して滑ったりする可能性がある。このため、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するには、伝動ベルト31への押圧力を高めて、伝動ベルト31の張力に相当する分だけの摩擦力を伝動ベルト31とクランクプーリ12との間に発生させる必要がある。
【0058】
これに対し、この実施形態では、クランクプーリ12に設けた突起14に伝動ベルト31を引っ掛けているので、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要となる伝動ベルト31への押圧力が軽減される。突起14は、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際に伝動ベルト31への押圧力を軽減する役割を担っており、突起14に作用する伝動ベルト31の張力の分だけ、伝動ベルト31への押圧力が軽減される。また、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31bを押圧するので、伝動ベルト31への押圧力が小さくても、伝動ベルト31とクランクプーリ12との間に効果的に摩擦力を発生させることができる。このように、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際にクランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要な伝動ベルト31への押圧力を低減できるので、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。また、伝動ベルト31への押圧力を低減できるので、エンジンルーム内のような限られたスペースの中での伝動ベルト31の組み付け作業も容易に行うことができる。
【0059】
この場合、突起14をクランクプーリ12の外径側に設けるほど、伝動ベルト31が弛んでおらず、かつ、伸びていない状態(図6参照)で、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を大きく確保することが可能である。そして、クランクプーリ12をR1方向へ回転させる際に必要な伝動ベルト31への押圧力をより低減することが可能である。
【0060】
しかも、この実施形態では、上述した従来の構成(フランジに切欠部を設ける構成)とは異なり、エンジンの運転時、伝動ベルト31の山とびや、ベルト外れなどの発生を防止することができる。つまり、クランクプーリ12のフランジ12bには、切欠きなどの凹凸が設けられていないので、エンジンの運転時、伝動ベルト31の山とびや、ベルト外れなどの発生を未然に防ぐことができる。また、プーリ12,22間にミスアライメントがあったとしても、エンジンの運転時、その切欠きなどの凹凸による伝動ベルト31の損傷を未然に防ぐことができる。
【0061】
また、突起14をクランクプーリ12に一体的に設けているので、クランクプーリ12に取り付けたボルト41(図12、図13等参照)等を利用する場合に比べて、クランクプーリ12へのボルト41等の脱着が不要となるため、伝動ベルト31の組み付け作業の工数を減らすことがことができ、しかも、クランクプーリ12からボルト41等を取り忘れることがなくなる。
【0062】
さらに、クランクプーリ12の前方側のフランジ12bの外周縁R11,R12をR形状としているので、次のような効果も得られる。
【0063】
ここで、上述したように、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31がクランクプーリ12に組み付く直前に、伝動ベルト31は、クランクプーリ12の前方側のフランジ12b上を滑るように乗り越える(図9参照)。しかし、この際、フランジ12bにRが付けられていなければ、伝動ベルト31のリブ31aがフランジ12bの外周縁に強く擦れるため、リブ31aが損傷する可能性がある。また、場合によっては、伝動ベルト31のリブ31aがフランジ12bの外周縁に引っ掛かり、リブ31aが欠けてしまう可能性もある。さらに、伝動ベルト31が過度に伸ばされることになり、過大な張力が発生するため、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重が高くなるという問題がある。
【0064】
これに対し、この実施形態では、図9に示すように、クランクプーリ12の前方側のフランジ12bの外周縁R11,R12がR形状とされている。このため、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31がクランクプーリ12の前方側のフランジ12b上をスムーズに乗り越えて、クランクプーリ12に組み付く。これにより、伝動ベルト31のリブ31aの損傷、欠損(山欠け)等を防止することができる。ここで、フランジ12bの外周縁R11,R12の曲率半径が、伝動ベルト31の隣り合うリブ31a,31a間の間隔W1(例えば、2.5mm)よりも大きくされていることが好ましい。こうすれば、フランジ12bの外周縁R11,R12が、伝動ベルト31の隣り合うリブ31a,31a間に入り込むことを防止することができ、伝動ベルト31のリブ31aの欠損を確実に回避することができる。
【0065】
また、伝動ベルト31がフランジ12b上を乗り越える際の移動経路が短くなるので、伝動ベルト31が過度に伸ばされることを回避できる。これにより、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重を低減することができ、伝動ベルト31の組み付け作業を容易に行うことができる。したがって、伝動ベルト31の信頼性の向上、および、組み付け性の向上を図ることができる。この場合、フランジ12bの外周縁R11,R12の曲率半径が大きいほど、伝動ベルト31の伸びを低減でき、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重を低減ができるので、フランジ12bの幅(軸方向の幅)W2を最大限利用してRを設けることが好ましい。なお、クランクプーリ12の後方側のフランジ12cについては、フランジ12bとは異なりRが付けられていない。このため、フランジ12cを、フランジ12bよりも小径で薄肉に形成することで、クランクプーリ12の軽量化を図るようにしている。
【0066】
−他の実施形態−
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。
【0067】
上記実施形態では、クランクプーリ12に一体形成された突起14を利用して伝動ベルト31の組み付けを行ったが、クランクプーリ12とは別体の突起部材を利用して伝動ベルト31の組み付けを行ってもよい。この変形例1,2について説明する。なお、以下では、上記実施形態とは異なる点について主に説明する。
【0068】
図10〜図13に示す変形例1では、クランクプーリ12の前面12dに、開口部としての複数のサービス孔16が形成されている。サービス孔16は、クランクシャフト11へのクランクプーリ12の脱着を行う際に治具を装着するのに利用される開口部である。この例では、サービス孔16は、ねじ孔として形成されており、伝動ベルト31の組み付けにも利用されるようになっている。つまり、サービス孔16は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に伝動ベルト31を引っ掛けるボルト41をクランクプーリ12の前面12dに取り付けるために設けられている。サービス孔16はクランクプーリ12に2つ設けられており、これらのサービス孔16は、クランクプーリ12の回転時のアンバランスを回避する観点から、クランクプーリ12の回転中心に関して対称な位置に配置されている。
【0069】
そして、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付けるにあたって、クランクプーリ12の前面12dにボルト41を取り付ける。このとき、図12に示すように、複数のサービス孔16のうち1つだけにボルト41を締め付ければよい。ボルト41は、図13に示すように、クランクプーリ12の前面12dから前方へ突出するようにクランクプーリ12に取り付けられる。クランクプーリ12の前面12dに対するボルト41の突出量は、伝動ベルト31を引っ掛けることが可能な突出量であれば特に限定されない。
【0070】
次に、図12に示すように、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けながらボルト41に引っ掛ける。これ以降の伝動ベルト31の組み付け作業の手順は、上記実施形態と同様である(図5〜図8参照)。
【0071】
この例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、クランクプーリ12のサービス孔16に挿入したボルト41を利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、ラチェットハンドル40のような一般工具のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。
【0072】
これに加え、クランクプーリ12の前面12dに設けられたサービス孔16を伝動ベルト31の組み付けにそのまま利用することができるので、既存のプーリをそのまま使用でき、コスト低減に貢献できる。また、ボルト41は、ベルト組み付け作業の完了後には取り外されるので、ボルト41の設置スペースをエンジンルーム内に確保しておく必要がなく、例えばFF型車両のようにエンジンの搭載スペースが厳しく制限される車両において搭載上有利となる。
【0073】
また、図14、図15に示す変形例2では、クランクプーリ12の前面12dに、上記サービス孔16に加え、複数のねじ孔17が形成されている。ねじ孔17は、サービス孔16よりも外径側に設けられており、クランクプーリ12の回転中心とサービス孔16を結ぶ直線上に配置されている。ねじ孔17は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に伝動ベルト31を引っ掛けるボルト41をクランクプーリ12の前面12dに取り付けるための開口部である。ねじ孔17はクランクプーリ12に2つ設けられており、これらのねじ孔17は、クランクプーリ12の回転時のアンバランスを回避する観点から、クランクプーリ12の回転中心に関して対称な位置に配置されている。なお、両孔16,17の周方向の位置が異なっていてもよい。
【0074】
そして、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付けるにあたって、クランクプーリ12の前面12dにボルト41を取り付ける。このとき、図15に示すように、複数のねじ孔17のうち1つだけにボルト41を締め付ければよい。ボルト41は、クランクプーリ12の前面12dから前方へ突出するようにクランクプーリ12に取り付けられる。クランクプーリ12の前面12dに対するボルト41の突出量は、伝動ベルト31を引っ掛けることが可能な突出量であれば特に限定されない。
【0075】
次に、図15に示すように、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けながらボルト41に引っ掛ける。これ以降の伝動ベルト31の組み付け作業の手順は、上記実施形態と同様である(図5〜図8参照)。
【0076】
この例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、クランクプーリ12のねじ孔17に挿入したボルト41を利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、ラチェットハンドル40のような一般工具のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。
【0077】
これに加え、クランクプーリ12の前面12dにねじ孔17を加工するだけでよいので、既存のプーリの流用が可能となる。つまり、既存のプーリと同じ鋳型やプレス型によってクランクプーリ12を製造することができ、新たな鋳型やプレス型が不要となり、コスト削減を図ることができる。また、ボルト41は、ベルト組み付け作業の完了後には取り外されるので、ボルト41の設置スペースをエンジンルーム内に確保しておく必要がなく、例えばFF型車両のようにエンジンの搭載スペースが厳しく制限される車両において搭載上有利となる。
【0078】
ここで、上述した変形例1,2において、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際にこの伝動ベルト31を引っ掛ける突起部材を、ボルト41に替えて、ドライバー、釘、棒状の部材などとしてもよい。このように、ドライバーを用いて伝動ベルト31の組み付け作業を行う場合、クランクプーリ12へのドライバーの取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。また、ボルト41に比べてドライバーは長尺であるため、ベルト組み付け作業の完了後、クランクプーリ12からドライバーを外し忘れる可能性が低くなる。なお、ドライバー、釘、棒状の部材などを用いて伝動ベルト31の組み付け作業を行う場合、クランクプーリ12に設ける複数の開口部を、雌ねじのない単なる貫通孔としてもよい。
【0079】
上記実施形態において、クランクプーリ12に3つ以上の突起14を設けることも可能である。この場合、これらの突起14を、回転時のアンバランスを回避するためにクランクプーリ12の回転中心に関して対称に配置すればよい。また、上述した変形例1,2において、クランクプーリ12に3つ以上の開口部(サービス孔16、ねじ孔17)を設けることも可能である。この場合、これらの開口部を、回転時のアンバランスを回避するためにクランクプーリ12の回転中心に関して対称に配置すればよい。
【0080】
ところで、エンジンの搭載スペースが厳しく制限される車両(例えばFF型車両)では、エンジンルームにエンジンを搭載した車両を持ち上げ、この状態でエンジンルーム内に下方から手を入れて、上述したような手順で伝動ベルト31の組み付け作業を行う必要がある。このため、以上では、2つのプーリ12,22のうち、下方に配置されるクランクプーリ12に伝動ベルト31を半掛けし、その伝動ベルト31がフランジ12bに引っ掛かった部分31bを一方の手で押さえつつ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させるようにした。
【0081】
しかし、エンジンの搭載スペースに比較的余裕がある車両(例えばFR型車両)では、エンジンルーム内に上方から手を入れて、伝動ベルト31の組み付け作業を行うことも可能である。具体的には、2つのプーリ12,22のうち、上方に配置されるウォータポンププーリ22に伝動ベルト31を半掛けし、その伝動ベルト31がウォータポンププーリ22のフランジ22bに引っ掛かった部分31e(図17等参照)を一方の手で押さえつつ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させればよい。この場合、ウォータポンププーリ22に、上記実施形態の突起14と同様の突起、あるいは、上述した変形例2のねじ孔17と同様のねじ孔を形成しておけばよい。また、この場合には、ウォータポンププーリ22がクランクプーリ12よりも小径であるため、そのような突起等を利用しなくても伝動ベルト31の組み付けを行うことも可能である。この変形例3について、図16〜図19を参照して説明する。
【0082】
この変形例3では、図16に示すように、ウォータポンププーリ22に、伝動ベルト31を引っ掛ける突起や、伝動ベルト31を引っ掛ける突起部材を取り付けるねじ孔は設けられていない。
【0083】
図16に示す動力伝達機構10において、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける組み付け作業の手順について、図17〜図19を参照して説明する。
【0084】
まず、図17に示すように、伝動ベルト31をプーリ12,22間にセットする。具体的には、作業者は、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22に半掛けする。伝動ベルト31は、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態(張力がかかっていない状態)でプーリ12,22間に配置される。このとき、ウォータポンププーリ22のプーリ溝22a(図2参照)上にある伝動ベルト31を曲げ、その向きを斜め前方へ変えて、軸方向一方側のフランジ22b上に乗り上げさせている。
【0085】
ここで、両プーリ12,22の回転中心とを結ぶ直線がフランジ22bの外周縁と交わる位置よりも、プーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置において、伝動ベルト31をフランジ22b上に乗り上げさせている。そして、作業者は、フランジ22bに乗り上げた(引っ掛かった)伝動ベルト31の位置がずれないように、伝動ベルト31を押さえておく(押圧しておく)。この場合、伝動ベルト31のフランジ22bに引っ掛かった部分31eを押さえればよい。
【0086】
次に、作業者は、図18に示すように、伝動ベルト31のフランジ22bに引っ掛かった部分31eを押さえながら、ラチェットハンドル40によって、クランクプーリ12のセットボルト13をクラッチし、クランクプーリ12をR2方向(図18では時計周り方向)へ回す。この場合、作業者は、一方の手で、伝動ベルト31を押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させればよい。すると、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間の摩擦力によってウォータポンププーリ22も同じ方向に回転する。この場合、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が大きくなる方向にクランクプーリ12を回転させる。このウォータポンププーリ22の回転中、作業者は、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2を確保するように、伝動ベルト31を押さえている一方の手を、伝動ベルト31の上記部分31eの移動に追随させて移動させる。
【0087】
このように、伝動ベルト31をフランジ22bに引っ掛けた状態でクランクプーリ12をR2方向へ回転させることにより伝動ベルト31を伸ばして、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2を大きくするようにしている。具体的には、作業者は、伝動ベルト31のフランジ22bに引っ掛かった部分31eを押さえながら、クランクプーリ12を図18に示す位置からR2方向へ回転させる。この場合、ウォータポンププーリ22に対して伝動ベルト31が滑らない程度の摩擦力が、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間に作用するように伝動ベルト31を押さえる。これにより、クランクプーリ12の回転にともなって、伝動ベルト31が徐々に伸ばされ、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が徐々に大きくなる。
【0088】
そして、作業者は、例えば図19に示す位置までウォータポンププーリ22を回転させた後、一方の手を伝動ベルト31から離し、伝動ベルト31への押圧を解除する。この位置は、伝動ベルト31から一方の手を離しても、伝動ベルト31がウォータポンププーリ22から外れることのない位置となっている。
【0089】
図19に示す状態の後、作業者は、さらにクランクプーリ12をR2方向へ回転させ、ウォータポンププーリ22を回転させる。これにより、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が、図19に示す状態からさらに増大していき、やがて伝動ベルト31がウォータポンププーリ22に完全に巻き掛けられる。その後、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12から取り外し、ベルト組み付け作業を完了する。
【0090】
以上のように、この例では、ウォータポンププーリ22のフランジ22bを利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、ラチェットハンドル40のような一般工具のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。
【0091】
以上では、補機の一例としてウォータポンプを挙げたが、補機は、オルターネータ、パワーステアリングポンプ、エアコンディショナのコンプレッサなどであってもよい。
【0092】
また、以上では、2軸間で動力を伝達する動力伝達機構に本発明を適用した場合について説明したが、3軸以上の間で動力を伝達する動力伝達機構にも本発明を適用することができる。つまり、本発明は、1つのクランクプーリと2以上の補機プーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構にも適用することができる。
【0093】
以上では、伝動ベルトの一例としてVリブドベルトを挙げたが、伝動ベルトは、Vベルト(断面形状が台形のベルト)であってもよい。
【0094】
また、以上では、車両に搭載されるエンジンの補機類を駆動するための動力伝達機構に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば駆動源を電動モータとする動力伝達機構にも本発明を適用することが可能であり、さらに、駆動プーリと従動プーリとの間に低弾性の伝動ベルトが掛け渡される構造のものであれば、他の種々の動力伝達機構にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構に利用できる。また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、プーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法に利用できる。
【符号の説明】
【0096】
10 動力伝達機構
12 クランクプーリ
12b フランジ
12d 前面(軸方向一方側の面)
14 突起
22 ウォータポンププーリ
31 伝動ベルト
40 ラチェットハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、
上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるための複数の突起が、軸方向一方側へ向けて突出して設けられ、上記複数の突起は、上記1つのプーリの回転中心に関して対称に配置されていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項2】
複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、
上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛ける突起部材をこの1つのプーリに取り付けるための、複数の開口部が形成され、上記複数の開口部は、上記1つのプーリの回転中心に関して対称に配置されていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達機構において、
上記1つのプーリが、エンジンのクランクシャフトの一端部に取り付けられたクランクプーリであり、
上記開口部が、クランクシャフトへのクランクプーリの脱着用の治具を装着するためのサービス孔であることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項4】
請求項2に記載の動力伝達機構において、
上記開口部が、ねじ孔であり、
上記突起部材が、ボルトであることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項5】
請求項2に記載の動力伝達機構において、
上記開口部が、貫通孔であり、
上記突起部材が、ドライバーであることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項6】
複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、
上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向の一端部には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるフランジが設けられていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の動力伝達機構において、
上記1つのプーリには、軸方向の両端部にフランジがそれぞれ設けられ、
軸方向一方側に設けられたフランジの軸方向一端側の外周縁が、R形状とされていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項8】
請求項6に記載の動力伝達機構において、
上記軸方向一方側に設けられたフランジの軸方向一端側の外周縁が、R形状とされていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項9】
請求項7または8に記載の動力伝達機構において、
上記軸方向一方側に設けられたフランジの軸方向他端側の外周縁も、R形状とされていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1つに記載の動力伝達機構において、
上記軸方向一方側に設けられたフランジよりも、軸方向他方側に設けられたフランジが小径に形成されていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1つに記載の動力伝達機構において、
上記伝動ベルトが、ベルト長さ方向に延びる複数のリブを有するVリブドベルトとされ、
上記軸方向一端側の外周縁の曲率半径が、上記伝動ベルトの隣り合うリブ間の間隔よりも大きくされていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項12】
複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、
上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、複数の突起がこの1つのプーリの回転中心に関して対称に形成され、
上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記複数の突起のうちの1つに引っ掛け、
上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
【請求項13】
複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、
上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、複数の開口部がこの1つのプーリの回転中心に関して対称に形成され、
上記複数の開口部のうちの1つに、軸方向一方側の面から突出するように突起部材を取り付け、
上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記突起部材に引っ掛け、
上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の動力伝達機構におけるベルト組み付け方法において、
上記1つのプーリには、軸方向の両端部にフランジがそれぞれ設けられ、
上記伝動ベルトを突起部材に引っ掛ける際、この突起部材と上記1つのプーリの回転中心とを結ぶ直線が軸方向一方側に設けられたフランジの外周縁と交わる位置よりも、プーリ回転方向の上流側の位置において、伝動ベルトを上記フランジ上に乗り上げさせ、このフランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内側の突起または突起部材に引っ掛けることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
【請求項15】
請求項13に記載の動力伝達機構におけるベルト組み付け方法において、
上記複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際、上記伝動ベルトが軸方向一方側に設けられたフランジに乗り上げた部分を押さえることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−77860(P2012−77860A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224789(P2010−224789)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】