説明

動力伝達装置

【課題】長大化を抑制してデフケースと固定ケースの軸方向に対する支持を安定化させることができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】ケーシング3と、入力ギヤ5と、固定ケース7と、デフケース9と、ピニオン11と、一対のサイドギヤ13,15と、デフケース9とピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とからなる差動機構17と、固定ケース7とデフケース9との間に設けられ固定ケース7とデフケース9とを断続する断続部19と、デフケース9を固定ケース7に対して回転可能に支持する一対の軸受21,23とを備えた動力伝達装置1において、断続部19を、固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつ一対の軸受21,23の軸方向の間に設け、軸方向一側の軸受21を、固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつデフケース9と軸方向に隣接配置し、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適用される動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンなどの駆動源からの駆動力を断続する断続機構を備えた動力伝達装置としては、前輪側に駆動源としてのエンジンを配置し、駆動源からの駆動力を前輪側に配置されたフロントデフ及びトランスファに伝達し、プロペラシャフトを介して後輪側に配置された断続機構としてのクラッチ機構を断続することにより後輪側に配置されたリヤデフに駆動源からの駆動力を伝達するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
この動力伝達装置では、駆動源からの駆動力が伝達されるクラッチ機構をリヤデフの軸方向に隣接配置させ、クラッチ機構とリヤデフとをデフキャリア内に収容させている。このようにクラッチ機構とリヤデフとをデフキャリア内に収容させる構造とすることにより、別々に取り扱われてきたクラッチ機構やリヤデフを一部品として取り扱うことができ、クラッチ機構とリヤデフの設定変更を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−370557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような動力伝達装置では、リヤデフのデフケースを軸方向の両側でデフキャリアに支持させる際に、クラッチ機構とデフケースとが軸方向に隣接配置されているので、クラッチ機構が配置された側でデフケースを軸方向に位置決めさせることができなかった。
【0005】
このため、クラッチ機構を軸方向に挟んでベアリングを配置させる必要があるがこれによると装置が長大化することになり、デフケースやクラッチ機構に駆動力を伝達するリングギヤが固定された固定ケースとしてのアウターケースの軸方向に対する支持が不安定になる可能性があった。
【0006】
そこで、この発明は、長大化を抑制してデフケースと固定ケースの軸方向に対する支持を安定化させることができる動力伝達装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ケーシングと、このケーシングに収容され駆動力を入力する入力ギヤと、この入力ギヤが一体回転可能に固定された固定ケースと、前記ケーシングに収容され前記固定ケースの内周側で前記固定ケースと相対回転可能に設けられたデフケースと、このデフケースに支承されて自転可能であると共に前記デフケースの回転によって公転するピニオンと、このピニオンと噛み合って相対回転可能な一対のサイドギヤと、前記デフケースと前記ピニオンと前記一対のサイドギヤとからなる差動機構と、前記固定ケースと前記デフケースとの間に設けられ前記固定ケースと前記デフケースとの動力伝達を断続する断続部と、前記デフケースを前記固定ケースに対して回転可能に支持する第1の一対の軸受とを備えた動力伝達装置であって、前記断続部は、前記固定ケースと前記デフケースとの径方向の間かつ前記一対の軸受の軸方向の間に設けられ、前記第1の一対の軸受のうち軸方向一側の軸受は、前記固定ケースと前記デフケースとの径方向の間かつ前記デフケースと軸方向に隣接配置され、前記固定ケースと前記デフケースとを軸方向に位置決め支持することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の動力伝達装置であって、
前記軸方向一側の軸受は、前記固定ケースに当接するアウタレースと、前記デフケースに当接するインナレースとを有し、前記アウタレースと前記インナレースのうち少なくとも一方は、固定部材によって軸方向位置が固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の動力伝達装置であって、前記アウタレースと前記インナレースのうち他方は、圧入によって軸方向位置が固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記軸方向一側の軸受のアウタレースに当接する前記固定ケースの一部と前記入力ギヤとは、連続する一部材で形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記固定ケースは、前記入力ギヤが形成された第1の側部材と、前記断続部が連結された筒部材とを有し、前記軸方向一側の軸受は前記第1の側部材の内周に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の動力伝達装置であって、前記固定ケースは、前記筒部材に連結された第2の側部材を有し、前記デフケースは、前記第1の一対の軸受のうち軸方向他側の軸受を介して前記第2の側部材の内周に支持されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記第1の一対の軸受のうち軸方向他側の軸受は、前記デフケースを径方向にのみ支持することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記固定ケースを前記ケーシングに対して回転可能に支持する第2の一対の軸受を備え、前記第1の一対の軸受のうち少なくとも一方は、前記第2の一対の軸受のいずれかに対して径方向に重なり合って配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の動力伝達装置であって、前記ケーシングには、前記断続部を作動させるアクチュエータが収容され、このアクチュエータは、電磁石と、この電磁石によって作動されるパイロットクラッチと、前記電磁石への通電によって前記パイロットクラッチを作動させるアーマチャと、前記電磁石の磁束を透過して磁路を形成するロータと、前記パイロットクラッチの接続によって前記断続部を接続させるカム機構とを有し、前記ロータは、前記第2の側部材をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の動力伝達装置は、断続部が固定ケースとデフケースとの径方向の間かつ第1の一対の軸受の軸方向の間に設けられているので、断続部とデフケースとが軸方向に隣接配置され長大化することがなく、軸受をデフケースの軸方向に近接して配置させることができる。加えて、断続部を固定ケースとデフケースとの径方向の間に設けることで、装置の軸方向を小型化することができる。
【0017】
また、第1の一対の軸受のうち軸方向一側の軸受が固定ケースとデフケースとの径方向の間かつデフケースと軸方向に隣接配置され、固定ケースとデフケースとを軸方向に位置決め支持するので、固定ケースとデフケースとの軸方向位置が確実に保持され、固定ケースとデフケースとの間の動力伝達を安定化させることができる。
【0018】
従って、断続部を固定ケースとデフケースとの径方向の間に設けることで、固定ケースとデフケースとを軸方向に位置決め支持する軸受をデフケースの軸方向に隣接配置させることができ、長大化を抑制してデフケースと固定ケースの軸方向に対する支持を安定化させることができる。
【0019】
請求項2の動力伝達装置は、軸方向一側の軸受のアウタレースとインナレースのうち少なくとも一方が固定部材によって軸方向位置が固定されているので、固定ケースやデフケースを軸方向に支持するアウタレースやインナレースの軸方向位置が固定され、固定ケースやデフケースの軸方向位置を確実に位置決め支持し安定化することができる。
【0020】
請求項3の動力伝達装置は、アウタレースとインナレースのうち他方が圧入によって軸方向位置が固定されているので、固定部材を用いることなく、アウタレースやインナレースの軸方向位置を安定して固定することができる。
【0021】
請求項4の動力伝達装置は、軸方向一側の軸受のアウタレースに当接する固定ケースの一部と入力ギヤとが連続する一部材で形成されているので、固定ケースと入力ギヤとを別体で設けた場合の連結部がなく、両部材の組付誤差も生じないので軸方向一側の軸受を主として支持が安定化し入力ギヤから入力される駆動力を損失なく固定ケースに伝達することができる。
【0022】
請求項5の動力伝達装置は、軸方向一側の軸受が第1の側部材の内周に固定されているので、固定ケースの最大化を抑制することができ、一対の軸受によるデフケースの支持スパンが短くなる分、支持の安定性が向上できる。
【0023】
請求項6の動力伝達装置は、第1の一対の軸受のうち軸方向他側の軸受が第2の側部材の内周に支持されているので、デフケースを小径部で安定して支持することができる。
【0024】
請求項7の動力伝達装置は、第1の一対の軸受のうち軸方向他側の軸受がデフケースを径方向にのみ支持するので、デフケースと固定ケースとの間で相対回転や動力伝達による振動、或いは各部材の熱膨張差により軸方向に相対ズレを起こした場合であっても、その変化を吸収し安定した支持を可能とするものである。この他側の軸受としては、ニードルベアリングや摺動ブッシュのような径方向のみを支持する軸受を適用することができ、軸方向他側の軸受の構造を簡易化することができる。
【0025】
請求項8の動力伝達装置は、第1の一対の軸受のうち少なくとも一方が第2の一対の軸受のいずれかに対して径方向に重なり合って配置されているので、軸方向に小型化することができ、装置の長大化を抑制して支持の安定化をはかることができる。
【0026】
請求項9の動力伝達装置は、ロータが第2の側部材をなしているので、デフケースの支持部材を特別に設ける必要がなく、構造の複雑化を回避することができる。従って、支持構造が簡素化され、装置の長大化を抑制して支持を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)車両が二輪駆動状態のときの車両の動力系を示す概略図である。(b)車両が四輪駆動状態のときの車両の動力系を示す概略図である。
【図2】(a),(b)図1の車両の動力系に2−4切換機構を搭載したときの車両の動力系を示す概略図である。
【図3】図1の車両の動力系とは異なる動力系を示し、(a)車両が二輪駆動状態のときの車両の動力系を示す概略図である。(b)車両が四輪駆動状態のときの車両の動力系を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の他例に係る動力伝達装置の断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の他例に係る動力伝達装置の断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【図12】本発明の第6実施形態の他例に係る動力伝達装置の断面図である。
【図13】本発明の第7実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、図1〜図3を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される車両の動力系の一例について説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る動力伝達装置1を適用した動力系とするが、他の実施形態に係る動力伝達装置も第1実施形態の動力伝達装置1と同様に適用することができる。
【0029】
また、ここでは、黒塗りで示される軸部材は駆動源からの駆動力が伝達されていることを表し、斜線で示される軸部材は駆動源からの駆動力や左右輪によって連れ回りされていることを表し、白抜きで示される軸部材は停止されていることを表すものとする。
【0030】
図1に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源1101と、変速機構としてのトランスミッション1103と、前輪側の左右輪の差動を許容する差動機構としてのフロントデフ1105と、前車軸1107,1109と、前輪1111,1113と、トランスファ1115と、プロペラシャフト1117と、前輪側から後輪側へ伝達される駆動力を制御可能に断続する断続部としてのメインクラッチ19と、後輪側の左右輪の差動を許容する差動機構17と、後車軸1119,1121と、後輪1123,1125などから構成されている。
【0031】
駆動源1101の駆動力はトランスミッション1103からフロントデフ1105を介して前車軸1107,1109から前輪1111,1113に配分されると共に、フロントデフ1105と連結されたトランスファ1115に伝達される。このトランスファ1115に伝達された駆動力は、変換ギヤ組1127で方向変換され、プロペラシャフト1117を介して断続部としてのメインクラッチ19に伝達される。
【0032】
このメインクラッチ19に伝達された駆動力は、メインクラッチ19が接続されると差動機構17に伝達され、後車軸1119,1121から後輪1123,1125に配分されて前後輪駆動の四輪駆動状態になる。また、メインクラッチ19の接続が解除されると、車両は前輪駆動の二輪駆動状態になる。
【0033】
このように車両が二輪駆動状態であるとき、プロペラシャフト1117は駆動源1101からの駆動力によって連れ回りされており、後車軸1119,1121は後輪1123,1125の路面からの従動によって連れ回りされているが、メインクラッチ19が接続されていないため、駆動源1101からの駆動力は差動機構17に伝達されない。このプロペラシャフト1117の連れ回りを防止して燃費を向上させる車両の動力系としては、図2に示すような構造がある。
【0034】
図2に示すように、トランスファ1115には、フロントデフ1105の入力側となるデフケースとトランスファ1115の軸部分との間で伝達される駆動力を断続する2−4切換機構1129が設けられている。この2−4切換機構1129は、車両の駆動を制御するコントローラ(不図示)に接続されている。また、このコントローラは、メインクラッチ19とも接続されており、メインクラッチ19の作動を制御している。なお、2−4切換機構1129は、シンクロナイザーリング機能を備えたもので、回転部材間に相対回転が生じている場合でも切換衝撃を緩和して断続操作することができる。
【0035】
この車両の動力系では、車両が四輪駆動状態である場合、駆動源1101の駆動力は、2−4切換機構1129が接続状態となっており、フロントデフ1105からトランスファ1115に伝達され、プロペラシャフト1117を介してメインクラッチ19に伝達される。車両が二輪駆動状態である場合、駆動源1101の駆動力は、2−4切換機構1129が接続解除状態となっており、フロントデフ1105からトランスファ1115に伝達されず、プロペラシャフト1117及びプロペラシャフト1117と差動機構17との間に配置されて動力伝達を行う駆動ギヤ組としてのピニオンとリングギヤは回転されずに停止状態となる。
【0036】
このような2−4切換機構1129を有する車両の動力系では、車両が二輪駆動状態であるとき、2−4切換機構1129の接続を解除状態とすることにより、プロペラシャフト1117が停止状態となり、停止部材の回転駆動ロスや駆動ギヤ組の噛み合い抵抗、オイル撹拌抵抗を防止して車両の燃費を向上させることができる。
【0037】
上記の車両の動力系では、前輪側に駆動源を配置し二輪駆動状態では前輪側を駆動させる構造となっているが、本発明の動力伝達装置は、図3に示すような前輪側に駆動源を配置し二輪駆動状態では後輪側を駆動させる構造にも適用することができる。
【0038】
図3に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源1201と、変速機構としてのトランスミッション1203と、トランスファ1205と、後輪側プロペラシャフト1207と、後輪側の左右輪の差動を許容する差動機構としてのリヤデフ1209と、後車軸1211,1213と、後輪1215,1217と、トランスファ1205に設けられ駆動源1201からの駆動力を前輪側に伝達させる伝動機構1219と、前輪側プロペラシャフト1221と、トランスファ1205側から前輪側へ伝達される駆動力を制御可能に断続する断続部としてのメインクラッチ19と、前輪側の左右輪の差動を許容する差動機構17と、前車軸1223,1225と、前輪1227,1229などから構成されている。
【0039】
駆動源1201の駆動力はトランスミッション1203から後輪側プロペラシャフト1207を介してリヤデフ1209に伝達され、後車軸1211,1213から後輪1215,1217に配分されると共に、トランスファ1205内の伝動機構1219に伝達される。この伝動機構1219に伝達された駆動力は、前輪側プロペラシャフト1221を介してメインクラッチ19に伝達される。
【0040】
このメインクラッチ19に伝達された駆動力は、メインクラッチ19が接続されると差動機構17に伝達され、前車軸1223,1225から前輪1227,1229に配分されて前後輪駆動の四輪駆動状態になる。また、メインクラッチ19の接続が解除されると、車両は後輪駆動の二輪駆動状態になる。
【0041】
また、トランスファ1205には、伝動機構1219から前輪側プロペラシャフト1221に伝達される駆動力を断続するために、図2における切換機構1129と同様なシンクロ機能を有する2−4切換機構1231が設けられている。このため、車両が後輪駆動の二輪駆動状態である場合、駆動源1201の駆動力は、2−4切換機構1231が接続解除状態となっており、伝動機構1219から前輪側プロペラシャフト1221に伝達されず、前輪側プロペラシャフト1221が停止状態となる。従って、車両が後輪駆動の二輪駆動状態であるとき、前輪側プロペラシャフト1221が停止状態となり、車両の燃費を向上させることができる。
【0042】
以下、このような車両の動力系に適用される動力伝達装置について説明する。
【0043】
図4〜図13を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置について説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図4を用いて第1実施形態について説明する。
【0045】
本実施の形態に係る動力伝達装置1は、ケーシング3と、このケーシング3に収容され駆動力を入力する入力ギヤ5と、この入力ギヤ5が一体回転可能に固定された固定ケース7と、ケーシング3に収容され固定ケース7の内周側で固定ケース7と相対回転可能に設けられたデフケース9と、このデフケース9に支承されて自転可能であると共にデフケース9の回転によって公転するピニオン11と、このピニオン11と噛み合って相対回転可能な一対のサイドギヤ13,15と、デフケース9とピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とからなる差動機構17と、固定ケース7とデフケース9との間に設けられ固定ケース7とデフケース9とを断続する断続部としてのメインクラッチ19と、デフケース9を固定ケース7に対して回転可能に支持する第1の一対の軸受としてのベアリング21,23とを備えている。
【0046】
そして、メインクラッチ19は、固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつ一対のベアリング21,23の軸方向の間に設けられ、軸方向一側の軸受としてのベアリング21は、固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつデフケース9と軸方向に隣接配置され、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持する。なお、詳述すると、ベアリング21はデフケース9の一側の側壁を軸方向に挟んでサイドギヤ13と反対側に配置させることで隣接配置をないしている。
【0047】
また、ベアリング21は、固定ケース7に当接するアウタレース25と、デフケース9に当接するインナレース27とを有し、アウタレース25とインナレース27は、固定部材29,31によって軸方向位置が固定されている。
【0048】
さらに、ベアリング21のアウタレース25が内周に当接する固定ケース7の一部(後述する側部材33)と入力ギヤ5とは、連続する一部材で形成されている。
【0049】
また、固定ケース7は、入力ギヤ5が形成された第1の側部材33と、メインクラッチ19が連結された筒部材35とを有し、側部材33と筒部材35とは、固定部37で一体回転可能に固定され、固定部37は、入力ギヤ5のギヤ部の軸方向背面側に形成されている。
【0050】
さらに、ベアリング21は、第1の側部材33の内周に固定されている。
【0051】
また、固定ケース7は、筒部材35に連結された第2の側部材としてのロータ53を有し、デフケース9は、軸方向他側の軸受としてのベアリング23を介してロータ53の内周に支持されている。
【0052】
さらに、ベアリング23は、筒部材35に連結された固定ケース7の一部である第2の側部材(後述するロータ53)の内周に配置されデフケース9を径方向にのみ支持する。
【0053】
また、固定ケース7をケーシング3に対して回転可能に支持する第2の一対の軸受としてのベアリング49,51を備え、ベアリング23は、ベアリング51に対して同一の軸方向範囲を有するように径方向に重なり合って(オーバーラップして)配置されている。
【0054】
図4に示すように、車両内に配置される静止系部材としてのケーシング3には、入力ギヤ5と、固定ケース7と、動力伝達ギヤ41と、動力伝達軸43と、デフケース9と、差動機構17と、メインクラッチ19と、アクチュエータ45と、第1の一対のベアリング21,23と、第2の一対のベアリング49,51などが収容されている。
【0055】
入力ギヤ5は、固定ケース7の外周の周方向に固定ケース7と連続する一部材として第1の側部材33をなして形成されている。この入力ギヤ5は、動力伝達ギヤ41と噛み合い部39で噛み合ってベベルギヤ式のギヤ組を構成しており、動力伝達ギヤ41側から入力ギヤ5側に駆動力が伝達される。なお、動力伝達ギヤ41と入力ギヤ5は、本実施の形態においては、等高歯のハイポイドギヤ組である。
【0056】
動力伝達ギヤ41は、動力伝達軸43の軸方向一端側に動力伝達軸43と連続する一部材として形成されている。この動力伝達ギヤ41は、入力ギヤ5と噛み合い部39で噛み合い、動力伝達軸43側からの駆動力を入力ギヤ5に入力する。
【0057】
動力伝達軸43は、軸方向に並列するボールが配置されるユニットベアリング47を介してケーシング3に回転可能に支持され、動力伝達軸43と一体回転可能に連結されたフランジ部材48にプロペラシャフト1117(図1,図2参照)や前輪側プロペラシャフト1221(図3参照)が一体回転可能に連結されて駆動源1101,1201(図1〜図3参照)からの駆動力が伝達される。この動力伝達軸43に伝達された駆動力は、動力伝達ギヤ41と入力ギヤ5とを介して固定ケース7に伝達される。
【0058】
固定ケース7は、第1の側部材33と第2の側部材53の各軸端側に形成された小径の軸部外周にベアリング49,51を介してケーシング3に回転可能に支持され、固定ケース7は側部材33と、筒部材35と、ロータ53とを備えている。側部材33の固定ケース7を回転可能に支持するベアリング49のアウタレース25に当接される部分には、入力ギヤ5が連続する一部材で形成されている。この側部材33には、筒部材35が一体回転可能に固定されている。
【0059】
筒部材35は、筒状に形成され、内周にスプライン形状の連結部55が形成されている。この筒部材35は、軸方向一端側が溶接などによる固定部37によって側部材33と一体回転可能に固定されている。この固定部37は、入力ギヤ5のギヤ部の軸方向背面側に形成に形成されている。例えば、メインクラッチ19の径を大きくしたい場合、固定部37を径方向外側に位置させることになるが、固定部37の径方向外側に入力ギヤ5のギヤ部や噛み合い部39が位置していると、固定部37を径方向外側に位置させることができない。これに対して、固定部37と入力ギヤ5のギヤ部の背面側とを軸方向に対向配置させることにより、固定部37と入力ギヤ5のギヤ部の径方向に制約がなく、固定部37の配置位置の変更や噛み合い部39の径方向サイズの変更など固定部37と入力ギヤ5のギヤ部の設定に自由度を与えることができる。また、筒部材35の軸方向他端側には、ロータ53が溶接部57によって一体回転可能に固定されている。なお、固定ケース7の構成としては、入力ギヤ5をギヤ部を主体とする小部材で形成し、ベアリング25と当接する第1の側部材33の外周側に溶接などの固定手段により一体にして形成し、第1の側部材33は、筒部材35を鍛造やプレス、或いはフローフォーミングなどで一体に形成することもできる。この場合においても本発明の各構成上の特徴を逸脱するものではない。
【0060】
第2の側部材であるロータ53は、径方向の中間部に非磁性材の部材を配置し、或いは複数箇所のブリッジ部を設け周方向に空隙を設けた磁性材料からなり、固定ケース7を回転可能に支持するベアリング51と当接され、電磁石59と軸方向に隣接配置されている。このロータ53は、電磁石59への通電による電磁石59の磁束を透過してパイロットクラッチ61とアーマチャ63と共に磁路としての磁束ループを形成する。
【0061】
このような固定ケース7の内周側には、デフケース9が固定ケース7と相対回転可能に配置されている。
【0062】
デフケース9は、ボス部65,67でベアリング21,23を介して固定ケース7と相対回転可能に配置されている。また、デフケース9の外周には、スプライン形状の連結部69が形成されている。このデフケース9には、差動機構17が収容され、入力ギヤ5からメインクラッチ19を介して入力された駆動力がデフケース9を介して差動機構17に伝達される。
【0063】
差動機構17は、デフケース9を含め、ピニオンシャフト71と、ピニオン11と、一対のサイドギヤ13,15とを備えている。ピニオンシャフト71は、端部をデフケース9に係合してピン73で抜け止めされ、デフケース9と一体に回転駆動される。
【0064】
ピニオン11は、ピニオンシャフト71に支承されてデフケース9の回転によって公転する。また、ピニオン11は、一対のサイドギヤ13,15に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ13,15に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト71に自転可能に支持されている。また、ピニオン11の背面側とデフケース9との間には、ピニオン11の公転時に発生する径方向への移動を受ける球面ワッシャ75が配置されている。なお、差動機構11は上述する構成部材により構成されているが、デフケース9に入力した駆動力を左右の駆動軸に差動機能を有しながら伝達する構成であれば、他の差動機構を配置構成しても、特段、本発明の主旨に影響を与えるものではなく、均等物として看ることができる。
【0065】
一対のサイドギヤ13,15は、ボス部77,79でデフケース9に相対回転可能に支持され、ピニオン11と噛み合っている。また、サイドギヤ13,15の背面側とデフケース9との間には、ピニオン11との噛み合い反力によるサイドギヤ13,15の軸方向への移動を受けるスラストワッシャ81,83が配置されている。この一対のサイドギヤ13,15の内周側に形成されたスプライン形状の連結部85,87には、車両の前輪側、もしくは後輪側の左右輪(図1〜図3参照)にそれぞれ連結された駆動軸(不図示)が一体回転可能に連結され、左右輪側に駆動力を伝達する。
【0066】
このような差動機構17のデフケース9の外周側と固定ケース7の内周側との間には、固定ケース7とデフケース9との間の駆動力を断続するメインクラッチ19が設けられている。
【0067】
メインクラッチ19は、固定ケース7とデフケース9との径方向の間であると共に第1の一対のベアリング21,23の軸方向の間に設けられ、複数の外側プレートと複数の内側プレートとからなる。複数の外側プレートは、筒部材35の内周に形成された連結部55に軸方向移動可能で固定ケース7と一体回転可能に連結されている。複数の内側プレートは、複数の外側プレートに対して軸方向に交互に配置され、デフケース9の外周に形成された連結部69に軸方向移動可能でデフケース9と一体回転可能に連結されている。また、メインクラッチ19の軸方向受け側には環状リングと、この環状リングを軸方向受け側でデフケース9に対して位置決めするスナップリングとが配置されている。このメインクラッチ19を接続させることにより、固定ケース7とデフケース9とが接続され、入力ギヤ5側から差動機構17側に駆動源からの駆動力が伝達される。このようなメインクラッチ19は、アクチュエータ45によって作動され滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の摩擦クラッチである。
【0068】
アクチュエータ45は、ケーシング3内に収容され、固定ケース7のロータ53を含め、電磁石59と、パイロットクラッチ61と、アーマチャ63と、カム機構89とを備えている。
【0069】
電磁石59は、電磁コイル91とコア93とで構成され、ベアリング51を介してロータ53を支持している。コア93は、通電を制御するコントローラ(不図示)に接続されており、コントローラの制御によってメインクラッチ19で必要な摩擦トルクを生じさせるように電磁コイル91に通電される。また、コア93は、ケーシング3に対して回り止めされており、静止系部材であるケーシング3に対して電磁石59が回り止めされていると共に、その外周をケーシング3の内周部に嵌め合い固定してセンタリングされている。この電磁石59への通電により、パイロットクラッチ61が作動される。
【0070】
パイロットクラッチ61は、筒部材35の連結部55に軸方向移動可能で固定ケース7と一体回転可能に連結する複数の外側プレートと、カムリング97の外周に複数の外側プレートに対して軸方向に交互に配置され軸方向移動可能でカムリング97と一体回転可能に連結する複数の内側プレートとで構成されている。このパイロットクラッチ61は、電磁石59への通電によって吸引移動されるアーマチャ63によって作動される。
【0071】
アーマチャ63は、磁性材料からなり、軸方向移動可能で軸方向にパイロットクラッチ61を挟んでロータ53と対向配置されている。このアーマチャ63は、電磁石59への通電により、コア93、ロータ53、パイロットクラッチ61、アーマチャ63を介した磁力線が循環されて磁束ループが形成され、電磁石59側に吸引移動されてパイロットクラッチ61を接続させる。このパイロットクラッチ61の締結トルクは、プレッシャリング95と、カムリング97とからなるカム機構89を介して軸方向推力に変換され、メインクラッチ19を押圧して所定の駆動トルクが伝達される。
【0072】
カム機構89は、プレッシャリング95とカムリング97とに周方向に形成されたカム面を対向させ、この間に介在させたカムボール99を備えている。プレッシャリング95は、デフケース9のボス部67の外周に軸方向移動可能に配置され、デフケース9の連結部69にデフケース9と一体回転可能に連結されている。また、プレッシャリング95とデフケース9との軸方向の間には、プレッシャリング95をメインクラッチ19の接続解除方向に付勢する直列及び並列に複数枚組み合わされ、スプリング力と撓み長さとを所定に設定されたリターンスプリング101が配置されている。このプレッシャリング95は、カム機構89で生じるスラスト力によってリターンスプリング101の付勢力に抗してメインクラッチ19側に軸方向移動され、メインクラッチ19を押圧する。
【0073】
カムリング97は、デフケース9のボス部67の外周に軸方向移動可能に配置され、パイロットクラッチ61の内側プレートが一体回転可能に連結されている。このカムリング97とデフケース9のボス部67の外周に軸方向位置が固定された受け部材103との間には、カム機構89で生じるスラスト反力を受けるスラストベアリング105が配置されている。
【0074】
カムボール99は、プレッシャリング95とカムリング97とに形成されたカム面の間に配置されている。このカムボール99は、パイロットクラッチ61の接続によってカムリング97とプレッシャリング95との間に差回転が生じることにより、パイロットクラッチ61に生じる摩擦トルクに応じた強さでプレッシャリング95をメインクラッチ19側へ軸方向押圧移動させるカムスラスト力を発生させる。
【0075】
このようにケーシング3内に収容された固定ケース7とデフケース9とは、一対のベアリング21,23によって相対回転可能に支持されている。この一対のベアリング21,23のうち固定ケース7の側部材33側に位置するベアリング21は、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持する。
【0076】
ベアリング21は、固定ケース7とデフケース9との径方向の間であると共にデフケース9と軸方向に隣接配置され、アウタレース25と、インナレース27と、アウタレース25とインナレース27との間に介在されアウタレース25とインナレース27とを相対回転可能にさせるボールとからなるボールベアリングとなっている。アウタレース25は、固定ケース7の側部材33の内周と当接され、固定ケース7を軸方向に位置決め支持している。このアウタレース25は、スナップリングなどの固定部材29によって軸方向移動が規制され、軸方向の位置が固定されている。インナレース27は、デフケース9のボス部65の外周と当接され、デフケース9を軸方向に位置決め支持している。このインナレース27は、スナップリングなどの固定部材31によって軸方向移動が規制され、軸方向の位置が固定されている。このようにアウタレース25とインナレース27との軸方向位置を固定することで、固定ケース7とデフケース9とを相対回転可能に支持するベアリング21により、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決めさせることができる。
【0077】
一対のベアリング21,23のうち固定ケース7のロータ53側に位置するベアリング23は、固定ケース7とデフケース9とを径方向にのみ支持するニードルベアリングとなっている。これは、一対のベアリング21,23のうち一方のベアリング21がデフケース9に隣接配置されて固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持するので、他方のベアリング23を固定ケース7とデフケース9とを径方向に支持する、例えば、ニードルベアリングやブッシュなどの軸受が適用できるためである。このため、一対のベアリング21,23のうち一方のベアリングで固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持することにより、他方のベアリングを簡易化することができ、装置における各構成部材の配置自由度を向上させ装置の長大化を抑制しつつ支持構造の安定化をはかることができる。また、ベアリング23は、ベアリング51に対して径方向に重なり合って、すなわち径方向にオーバーラップして配置されている。このようにベアリング23を配置することにより、装置が軸方向に長大化することをさらに抑制することができる。
【0078】
このような各部材を収容するケーシング3には、ケーシング3の内部と外部とを区画する複数のシール手段が配置されている。詳細には、ケーシング3と一対のサイドギヤ13,15に連結される駆動軸との間にはシール107,109が配置されている。また、動力伝達軸43を支持するベアリング47にはシール111が配置され、フランジ部材48にはシール111のリップ部と当接してケーシング3内部への粉塵や泥水などの浸入を防止するダストカバー113が配置されている。これらのシール手段により、ケーシング3の内部にギヤの噛み合い部や摺動部などを潤滑・冷却させるオイルを封入させることができる。
【0079】
このように構成された動力伝達装置1は、車両が四輪駆動状態であるとき、電磁石59への通電制御によってアーマチャ63が吸引移動され、パイロットクラッチ61を押圧し、パイロットクラッチ61が制御された摩擦トルクをもって接続される。パイロットクラッチ61が接続されるとカム機構89でカムスラスト力が発生してプレッシャリング95がメインクラッチ19側に押圧移動される。このプレッシャリング95の移動によりメインクラッチ19が接続され、固定ケース7とデフケース9とが接続される。この固定ケース7とデフケース9との接続により、入力ギヤ5側から差動機構17側へ駆動力が伝達され、必要な駆動力を後輪側へ伝達することができるように車両が前後輪駆動の四輪駆動状態となる。
【0080】
また、車両が二輪駆動状態であるとき、電磁石59への通電を停止することにより、リターンスプリング101の付勢力によってプレッシャリング95がメインクラッチ19の接続解除方向に押圧移動される。このプレッシャリング95の移動によりメインクラッチ19の接続が解除され、固定ケース7とデフケース9との接続が解除される。この固定ケース7とデフケース9との接続解除により、入力ギヤ5側から差動機構17側への駆動力の伝達が遮断され、車両が前輪、もしくは後輪駆動の二輪駆動状態となる。
【0081】
このような動力伝達装置1では、メインクラッチ19が固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつ一対のベアリング21,23の軸方向の間に設けられているので、メインクラッチ19とデフケース9とが軸方向に隣接配置され長大化することがなく、ベアリング21をデフケース9の軸方向に近接して配置させることができる。加えて、メインクラッチ19を固定ケース7とデフケース9との径方向の間に設けることで、装置の軸方向を小型化することができる。
【0082】
また、ベアリング21が固定ケース7とデフケース9との径方向の間かつデフケース9と軸方向に隣接配置され、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持するので、固定ケース7とデフケース9との軸方向位置が確実に保持され、固定ケース7とデフケース9との間の動力伝達を安定化させることができる。
【0083】
従って、メインクラッチ19を固定ケース7とデフケース9との径方向の間に設けることで、固定ケース7とデフケース9とを軸方向に位置決め支持するベアリング21をデフケース9の軸方向に隣接配置させることができ、デフケース9と固定ケース7の軸方向に対する支持を安定化させることができる。
【0084】
また、ベアリング21のアウタレース25とインナレース27が固定部材29,31によって軸方向位置が固定されているので、固定ケース7やデフケース9を軸方向に支持するアウタレース25やインナレース27の軸方向位置が固定され、固定ケース7やデフケース9の軸方向位置を確実に位置決めすることができる。
【0085】
さらに、ベアリング21のアウタレース25に当接する固定ケース7の一部と入力ギヤ5とが連続する一部材で形成されているので、固定ケース7と入力ギヤ5とを別体で設けた場合の連結部がなく、入力ギヤ5から入力される駆動力を損失なく固定ケース7に伝達することができる。加えて、部品点数も削減することができる。
【0086】
また、側部材33と筒部材35との固定部37が入力ギヤ5のギヤ部の軸方向背面側に形成されているので、入力ギヤ5のギヤ部の径方向サイズによって固定部37が影響を受けることがなく、ギヤ部の噛み合い部39や固定部37を独立して設定することができる。
【0087】
また、ベアリング21が第1の側部材33の内周に固定されているので、固定ケース7の最大化を抑制することができ、一対のベアリング21,23によるデフケース9の支持スパンが短くなる分、支持の安定性が向上できる。
【0088】
さらに、ベアリング23がロータ53の内周に支持されているので、デフケース9を小径部で安定して支持することができる。
【0089】
また、ベアリング23がデフケース9を径方向にのみ支持するので、ニードルベアリングや摺動ブッシュのような径方向のみを支持する軸受を適用することができ、ベアリング23側の構造を簡易化することができる。
【0090】
さらに、ベアリング23がベアリング51に対して径方向に重なり合って配置されているので、軸方向に小型化することができ、装置の長大化を抑制することができる。
【0091】
(第2実施形態)
図5を用いて第2実施形態について説明する。
【0092】
本実施の形態に係る動力伝達装置201は、ベアリング21のインナレース27は、圧入によって軸方向位置が固定されている。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0093】
図5に示すように、ベアリング21のインナレース27は、デフケース9のボス部65の外周に圧入され、ベアリング21の軸方向位置が固定されている。また、ベアリング21のアウタレース25は、固定部材29によって軸方向位置が固定されている。このようにベアリング21のアウタレース25とインナレース27とのいずれか一方を圧入によって軸方向位置を固定することにより、固定部材を用いることなく、部品点数を削減することができる。なお、アウタレース25とインナレース27とのいずれか一方を固定部材、他方を圧入によって軸方向位置を固定することが好ましいが、両方を圧入によって軸方向位置を固定してもよい。
【0094】
このような動力伝達装置201では、インナレース27が圧入によって軸方向位置が固定されているので、固定部材を用いることなく、インナレース27の軸方向位置を固定することができ、部品点数を削減することができる。
【0095】
(第3実施形態)
図6を用いて第3実施形態について説明する。
【0096】
本実施の形態に係る動力伝達装置301は、第1の側部材33と筒部材35との固定部303は、入力ギヤ5の噛み合い部39と径方向に重なり合って(オーバーラップして)配置されている。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0097】
図6に示すように、固定ケース7の側部材33と筒部材35との固定部303は、嵌合部305と、溶接部307とを備えている。嵌合部305は、側部材33に設けられた凹部309と、筒部材35に設けられた凸部311とを凹凸嵌合することにより構成されている。溶接部307は、嵌合部305の外径側を溶接することによって設けられ、側部材33と筒部材35とを一体回転可能に固定している。
【0098】
このような固定部303は、入力ギヤ5と動力伝達ギヤ41との噛み合い部39と径方向に重なり合って、すなわち径方向にオーバーラップして配置されている。このように固定部303と噛み合い部39とを配置することにより、動力伝達軸43の軸心と差動機構17の回転中心とを同一線上に合わせることが容易になる。このため、例えば、プロペラシャフトを車両の中心に配置した場合、差動機構17の中心から左右輪までの距離を左右両側で均等にすることができる。また、例えば一対のサイドギヤ13,15に連結される駆動軸の長さを均等にすることができるので、1種類の長さの駆動軸をどちらのサイドギヤ13,15にも連結させることができ、部品点数を削減することができる。
【0099】
このような動力伝達装置301では、側部材33と筒部材35との固定部303が入力ギヤ5の噛み合い部39と径方向に重なり合って配置されているので、入力ギヤ5から駆動力が入力される差動機構17の回転中心と入力ギヤ5と噛み合う動力伝達軸43の軸心とを同一線上に配置させることができる。このため、車両の装置搭載レイアウトによっては一対のサイドギヤ13,15に連結される駆動軸の長さを均等にすることができ、長さの異なる駆動軸を成形する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0100】
(第4実施形態)
図7,図8を用いて第4実施形態について説明する。
【0101】
本実施の形態に係る動力伝達装置401は、固定ケース7において、筒部材35と第2の側部材としてのロータ53とは、ねじ締結部403で一体回転可能に連結されている。なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0102】
図7に示すように、筒部材35の外周とロータ53の内周との間には、ねじ形状のねじ締結部403が形成され、筒部材35とロータ53とが一体回転可能にねじ締結されている。また、ロータ53の軸方向端部には、ナット405が筒部材35の外周にねじ締結され、ねじ締結部403とナット405によるダブルナット機能によって筒部材35とロータ53とがさらに強固に固定されている。このように筒部材35とロータ53とをねじ締結させることにより、筒部材35とロータ53とを組付けた後でも、ナット405やねじ締結部403の締結を解除することによって容易に筒部材35とロータ53とを分解することができる。このため、固定ケース7内に収容された収容部材の設定変更を容易に行うことができると共に、収容部材の設定変更後にも、容易に筒部材35とロータ53とを組付けることができる。
【0103】
このような動力伝達装置401では、固定ケース7において、筒部材35とロータ53とがねじ締結部403で一体回転可能に連結されているので、パイロットクラッチ61やカム機構89などの設定変更の際に、容易に筒部材35とロータ53との分解や組付の作業を行うことができ、分解組付性を向上させることができる。
【0104】
なお、第2実施形態のような動力伝達装置501においても、図8に示すように、筒部材35とロータ53とをねじ締結部403で一体回転可能に連結させることができ、分解組付性を向上させることができると共に、ベアリング21のインナレース27が圧入によって軸方向位置が固定されているので、部品点数を削減することができる。
【0105】
ところで、従来、固定部や溶接部などによって一体構造とした固定ケースを有する動力伝達装置では、固定ケースの内部に断続部、差動機構、アクチュエータの一部などを収容している。
【0106】
しかしながら、固定ケースは一体構造であるので、容易に分解することができなかった。このため、固定ケースの内部に収容した収容部材の設定を変更したいときなどにおいては、固定ケースを一度強引に分解して収容部材の設定を変更した後、再び溶接などによって固定ケースを組付けなければならず、固定ケースの分解組付性が低下していた。
【0107】
そこで、本実施の形態に係る動力伝達装置によれば、固定ケースの分解組付性を向上することができる。
【0108】
(第5実施形態)
図9,図10を用いて第5実施形態について説明する。
【0109】
本実施の形態に係る動力伝達装置601は、固定ケース7とデフケース9との間には、ケーシング3の内部と固定ケース7の外部との間の入力ギヤ5が配置された第1空間603を区画する第1シール手段605,607が設けられ、デフケース9と一対のサイドギヤ13,15との間及び一対のサイドギヤ13,15には、固定ケース7の内部とデフケース9の外部との間のメインクラッチ19及びデフケース9の内部のピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第2空間609と第1空間603とを区画する第2シール手段611,613,615,617が設けられている。なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0110】
図9に示すように、デフケース9の一対のボス部65,67の外周と固定ケース7の側部材33の内周及びロータ53の内周との間には、それぞれ第1シール手段605,607としてのXリングが配置されている。この第1シール手段605,607は、ケーシング3の内部と固定ケース7の外部との間の入力ギヤ5が配置された第1空間603を区画している。この第1空間603には、入力ギヤ5の噛み合い部39や固定ケース7の摺動部などを潤滑・冷却する潤滑油が封入されている。
【0111】
デフケース9の内周と一対のサイドギヤ13,15のボス部77,79の外周との間にはそれぞれ第2シール手段611,613としてのXリングが配置され、一対のサイドギヤ13,15の内部には第2シール手段615,617としてのキャップが配置されている。この第2シール手段611,613,615,617は、固定ケース7の内部とデフケース9の外部との間のメインクラッチ19及びデフケース9の内部のピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第2空間609を第1空間603から区画している。この第2空間609には、メインクラッチ19、差動機構17の噛み合い部や摺動部などを潤滑・冷却する潤滑油が封入されている。
【0112】
このような動力伝達装置601では、第1シール手段605,607と第2シール手段611,613,615,617によって入力ギヤ5が配置された第1空間603とメインクラッチ19及びピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第2空間609とが区画されているので、第1空間603と第2空間609とにそれぞれの特性に合った種類の異なる潤滑油を封入させることができ、噛み合い部39の噛み合いやメインクラッチ19の断続特性を維持することができる。
【0113】
なお、図10に示すように、第4実施形態のような動力伝達装置701では、筒部材35とロータ53との間に第1空間603を区画する第1シール手段703としてのOリングが配置されている。この動力伝達装置701では、第1空間603と第2空間609とにそれぞれの特性に合った種類の異なる潤滑油を封入させることができると共に、固定ケース7の分解組付性を向上させることができる。
【0114】
(第6実施形態)
図11,図12を用いて第6実施形態について説明する。
【0115】
本実施の形態に係る動力伝達装置801は、デフケース9と一対のサイドギヤ13,15との間には、差動機構17の差動を制限する差動制限機構としてのコーンクラッチ803,805が設けられている。なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0116】
図11に示すように、一対のサイドギヤ13,15の背面側とデフケース9との間には、差動機構17の差動を制限させるコーンクラッチ803,805が設けられている。このコーンクラッチ803,805は、一対のサイドギヤ13,15の間に所定値以上の差回転が生じた場合に作動し、一対のサイドギヤ13,15とデフケース9とを一体回転可能に接続させる。
【0117】
このような動力伝達装置801では、デフケース9と一対のサイドギヤ13,15との間に差動機構17の差動を制限するコーンクラッチ803,805が設けられているので、差動制限が必要な悪路などにおいて差動機構17の差動を制限することができ、車両の悪路での走破性を向上させることができる。
【0118】
なお、第5実施形態のような動力伝達装置901においても、図12に示すように、デフケース9と一対のサイドギヤ13,15との間にコーンクラッチ803,805を設けることができ、車両の悪路での走破性を向上させることができると共に、固定ケース7の分解組付性を向上させることができる。
【0119】
なお、コーンクラッチ803,805はデフケース9に入力する駆動力のトルク値によって摩擦力が変化するトルク感応型のクラッチである。本実施の形態における差動機構17の差動制限は、他のトルク感応型の機構、或いは差動機構の差動回転速度に応じて差動制限力が変化する速度感応型の機構を採用することもできる。
【0120】
(第7実施形態)
図13を用いて第7実施形態について説明する。
【0121】
本実施の形態に係る動力伝達装置1001は、デフケース9のメインクラッチ19が設けられた部分には、デフケース9と一体回転可能に回転固定部材1003が設けられ、デフケース9と回転固定部材1003との間には、第2空間609をデフケース9の内部のピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第3空間1005と固定ケース7の内部とデフケース9の外部との間のメインクラッチ19が配置された第4空間1007とに区画する第3シール手段1009,1011が設けられている。なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0122】
図13に示すように、デフケース9のメインクラッチ19が設けられた部分には、デフケース9と一体回転可能に回転固定部材1003が設けられている。回転固定部材1003は、デフケース9の外周にボルトなどの固定手段(不図示)によってデフケース9と一体回転可能に固定されている。また、回転固定部材1003には、メインクラッチ19の内側プレートと連結される連結部69が設けられている。この回転固定部材1003とデフケース9との間には、第2空間609をデフケース9の内部のピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第3空間1005と固定ケース7の内部とデフケース9の外部との間のメインクラッチ19が配置された第4空間1007とに区画する第3シール手段1009,1011としてのOリングが配置されている。第3空間1005には、ピニオン11と一対のサイドギヤ13,15との噛み合い部やデフケース9の内部の摺動部などを潤滑・冷却する潤滑油が封入されている。第4空間1007には、メインクラッチ19や固定ケース7の内部及びデフケース9の外部の摺動部などを潤滑・冷却する潤滑油が封入されている。
【0123】
このような動力伝達装置1001では、回転固定部材1003と第3シール手段1009,1011によってメインクラッチ19及びピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第2空間609がピニオン11と一対のサイドギヤ13,15とが配置された第3空間1005とメインクラッチ19が配置された第4空間1007とに区画されているので、噛み合い部で発生した部材の欠片などが混合した潤滑油がメインクラッチ19に流入されることがなく、メインクラッチ19の断続特性を確実に維持することができる。
【0124】
ところで、従来、ケーシング内に入力ギヤと断続部とが収容されている動力伝達装置では、ケーシングの内部に入力ギヤの噛み合い部や断続部を潤滑・冷却する潤滑油が封入されている。
【0125】
しかしながら、ケーシング内に封入される潤滑油は入力ギヤ専用の潤滑油の1種類であり、断続部専用の潤滑油でないため、断続部は入力ギヤ専用の潤滑油と相性が悪く、断続部の断続特性が低下する可能性があった。
【0126】
そこで、第5〜第7実施形態に係る動力伝達装置によれば、ケーシング内に複数種類の潤滑油を封入させることができ、断続部の断続特性を安定化させることができる。
【0127】
なお、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置では、前輪側に駆動源を配置して二輪駆動状態では前輪側、もしくは後輪側を駆動させる動力系に適用しているが、これに限らず、後輪側に駆動源を配置して二輪駆動状態では前輪側、もしくは後輪側を駆動させる動力系に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1,201,301,401,501,601,701,801,901,1001…動力伝達装置
3…ケーシング
5…入力ギヤ
7…固定ケース
9…デフケース
11…ピニオン
13,15…サイドギヤ
17…差動機構
19…メインクラッチ(断続部)
21,23…ベアリング(第1の一対の軸受)
25…アウタレース
27…インナレース
29,31…固定部材
33…第1の側部材
35…筒部材
37,303…固定部
39…噛み合い部
49,51…ベアリング(第2の一対の軸受)
45…アクチュエータ
53…ロータ(第2の側部材)
59…電磁石
61…パイロットクラッチ
63…アーマチャ
89…カム機構
403…ねじ締結部
603…第1空間
605,607,703…第1シール手段
609…第2空間
611,613,615,617…第2シール手段
1003…回転固定部材
1005…第3空間
1007…第4空間
1009,1011…第3シール手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、このケーシングに収容され駆動力を入力する入力ギヤと、この入力ギヤが一体回転可能に固定された固定ケースと、前記ケーシングに収容され前記固定ケースの内周側で前記固定ケースと相対回転可能に設けられたデフケースと、このデフケースに支承されて自転可能であると共に前記デフケースの回転によって公転するピニオンと、このピニオンと噛み合って相対回転可能な一対のサイドギヤと、前記デフケースと前記ピニオンと前記一対のサイドギヤとからなる差動機構と、前記固定ケースと前記デフケースとの間に設けられ前記固定ケースと前記デフケースとの動力伝達を断続する断続部と、前記デフケースを前記固定ケースに対して回転可能に支持する第1の一対の軸受とを備えた動力伝達装置であって、
前記断続部は、前記固定ケースと前記デフケースとの径方向の間かつ前記一対の軸受の軸方向の間に設けられ、前記第1の一対の軸受のうち軸方向一側の軸受は、前記固定ケースと前記デフケースとの径方向の間かつ前記デフケースと軸方向に隣接配置され、前記固定ケースと前記デフケースとを軸方向に位置決め支持することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力伝達装置であって、
前記軸方向一側の軸受は、前記固定ケースに当接するアウタレースと、前記デフケースに当接するインナレースとを有し、前記アウタレースと前記インナレースのうち少なくとも一方は、固定部材によって軸方向位置が固定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項2記載の動力伝達装置であって、
前記アウタレースと前記インナレースのうち他方は、圧入によって軸方向位置が固定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記軸方向一側の軸受のアウタレースに当接する前記固定ケースの一部と前記入力ギヤとは、連続する一部材で形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記固定ケースは、前記入力ギヤが形成された第1の側部材と、前記断続部が連結された筒部材とを有し、前記軸方向一側の軸受は前記第1の側部材の内周に固定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】
請求項5記載の動力伝達装置であって、
前記固定ケースは、前記筒部材に連結された第2の側部材を有し、前記デフケースは、前記第1の一対の軸受のうち軸方向他側の軸受を介して前記第2の側部材の内周に支持されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記一対の軸受のうち軸方向他側の軸受は、前記デフケースを径方向にのみ支持することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記固定ケースを前記ケーシングに対して回転可能に支持する第2の一対の軸受を備え、前記一対の軸受のうち少なくとも一方は、前記第2の一対の軸受のいずれかに対して径方向に重なり合って配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項9】
請求項6記載の動力伝達装置であって、
前記ケーシングには、前記断続部を作動させるアクチュエータが収容され、このアクチュエータは、電磁石と、この電磁石によって作動されるパイロットクラッチと、前記電磁石への通電によって前記パイロットクラッチを作動させるアーマチャと、前記電磁石の磁束を透過して磁路を形成するロータと、前記パイロットクラッチの接続によって前記断続部を接続させるカム機構とを有し、前記ロータは、前記第2の側部材をなすことを特徴とする動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−47422(P2011−47422A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194258(P2009−194258)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000225050)GKNドライブラインジャパン株式会社 (409)
【Fターム(参考)】