動物用経口抗菌剤
【課題】ST合剤を動物に供与することによってST合剤による薬効の有効性が確実に高められるようにする。
【解決手段】米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有する動物用経口抗菌剤。
【解決手段】米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有する動物用経口抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルファメトキサゾールおよびトリメトプリムによるST合剤を動物に供与する際に薬効の有効性を有意に高めることができる動物用経口抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スルファメトキサゾール(SMX)およびトリメトプリム(TMP)を含む製剤(以下、ST合剤という)は、豚の大腸菌による細菌性下痢症に対する経口剤として知られており、種々のST合剤が市販されている。一般のST合剤の市販品は、スルファメトキサゾールとトリメトプリムが規定配合比(通常、スルファメトキサゾール:トリメトプリム=5:1)になるように調整されたST合剤を、増量材としての米糠等に対して所定量を配合して製品としている。市販品に含まれるST合剤の配合割合は市販品に明記されており、使用者は、上記した市販品に記載された所定量を餌に混ぜることによって動物に経口投与している。上記ST合剤を主剤とする市販品は豚以外の他の動物、例えば鶏に対しても薬効が期待されている。
【0003】
一方、上記ST合剤を飲料水に溶解して液剤として用いることが考えられており、例えばこの液剤を鶏に与えると、主成分であるスルファメトキサゾールおよびトリメトプリムは鶏の嗜好に合わないためか、鶏の飲水量が低下する。飲水量の低下は、薬効の低下および体重増加速度の減少につながるため大きな問題となる。
【0004】
このため、ST合剤にグルタミン酸またはその塩を含有して飲水量の低下を防止するようにした家禽用抗菌経口剤が特許文献1に示されており、又、ST合剤にグリコール類およびジオクチルスルホコハク酸塩を含有して安定でかつ水溶解性が向上された動物用抗菌液剤が特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開平06-263637号公報
【特許文献2】特開平06-263642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1、2は、何れもST合剤を水に溶解してなる液剤に関するものであり、液剤での供与により飲水量を増加させて動物に対するST合剤の供与量を高めることによって、動物に対するST合剤の薬効の有効性を高めることを目的としている。
【0006】
一方、ST合剤を使用している酪農家からは、ST合剤の市販品(散剤)を動物に供与した場合に、市販品によってST合剤の供与量(摂取量)に差が生じることが指摘されていると共に、同量のST合剤を動物に供与するようにしても、市販品の種類によって薬効の有効性にばら付きがあることが指摘されており、このことから、動物に対するST合剤の供与量を高めることは有効であるが、単に動物に対するST合剤の供与量を高めても、必ずしも動物に対する薬効の有効性が高められない場合があることが判明した。
【0007】
本発明は、ST合剤を動物に供与することによってST合剤による薬効の有効性が確実に高められるようにした動物用経口抗菌剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有することを特徴とする動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、米糠に、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムの合剤4〜16重量%と、溶出抑制剤0.1〜1重量%とを含有したことを特徴とする請求項1に記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記米糠が250μmパス以下の細米糠であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、寒天であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、キサンタンガムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、アルギン酸Naであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、マンナンオリゴ糖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動物用経口抗菌剤は、細米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有したので、細米糠と溶出抑制剤の組み合わせによりST合剤の溶出性が低く抑えられ、動物の腸管内壁等に留まる期間、量が増加することによって動物に供与したST合剤による薬効の有効性が確実に高められ、更に、細米糠と溶出抑制剤の組み合わせにより嗜好性が損なわれることを防止できることから動物に対するST合剤の供与量も高く維持でき、よってST合剤供与による薬効の有効性を更に高めることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
本発明者らは動物に供与するST合剤の薬効の有効性を高く維持するための必要な条件を突き止めるべく種々の調査、研究、試験を実施した。
【0019】
本発明者らは、まず市販されているST合剤の主要な6種類の市販品A〜Fを選定し、各市販品A〜Fを動物に供与した場合における薬効の有効性について聞き取り調査を実施した。
【0020】
その結果は[表1]に示す如く、市販品Aが薬効の最も高い有効性を示し、続いてB、E及びD、Fの順に有効性が低下し、Cは最も有効性が低いことが判明した。
[表1]
市販品 有効性の順位
A 1
B 2
C 6
D 4
E 3
F 5
【0021】
上記した市販品A〜Fの薬効の有効性のばら付きの原因を突き止めるために、市販品A〜Fの夫々の粉体物性(ゆるみ見かけ比重、圧縮度、分散度)を調査したが、粉体物性と前記有効性の順位との間には有意な関連性は認められなかった。
【0022】
続いて、市販品A〜Fの主剤の溶出性を調査するための溶出試験を実施した。このとき、市販品A〜Fにおけるスルファメトキサゾール(SMX)の溶出試験と、トリメトプリム(TMP)の溶出試験とを分けて実施した。更に、上記SMXの溶出試験とTMPの溶出試験は薬局方による溶出試験法第2法(パドル法)に従い、pH1.2試験液、pH4.0試験液、pH6.8試験液の3種類について実施した。
【0023】
SMXの溶出試験におけるpH1.2試験液の場合の結果を図1(A)に示し、pH4.0試験液の場合の結果を図1(B)に示し、pH6.8試験液の場合の結果を図1(C)に示した。又、TMP溶出試験におけるpH1.2試験液の場合の結果を図2(A)に示し、pH4.0試験液の場合の結果を図2(B)に示し、pH6.8試験液の場合の結果を図2(C)に示した。
【0024】
図2に示すように、ST合剤の含有割合が小さいTMPの溶出試験の結果からは、市販品A〜Fの各々の間に溶出率の顕著な差は認められなかった。
【0025】
一方、図1に示すように、ST合剤の含有割合が大きいSMXの溶出試験の結果では、市販品A〜Fの各々の間に溶出率の有意な差が認められた。特に、pH4.0試験液においては、市販品A〜F間に顕著な溶出率の差が認められた。通常、豚及び鶏等の動物胃液のpH値は略3〜4であり、食餌によってpH値は約4前後になると考えられるので、市販品A〜Fは動物胃液において溶出率に大きな差を生じていることが判る。
【0026】
そして、図1について見ると、前記聞き取り調査で薬効の有効性が最も高かった市販品Aが最も溶け難く、続いて市販品B、市販品E及び市販品D、市販品Fの順に溶け易くなっており、薬効の有効性が最も低かった市販品Cは最も溶け易いことが判明した。
【0027】
このことから、ST合剤供与による薬効の有効性は、主剤の溶出率に大きく関係しており、溶出性が低い(溶け難い)ものは薬効の有効性が高く、溶出性が高い(溶け易い)ものは薬効の有効性が低いことが判明した。
【0028】
従って、ST合剤の溶出性を抑制する条件を調査するために、種々の材料に対してST合剤を配合したものにおけるpH4.0試験液に対するSMXの溶出性を調べる試験を実施した。
【0029】
まず、増量剤として一般に用いられている米糠について、粗米糠(500μmパス)と細米糠(250μmパス)の各々に対して前記市販品と同じ配合割合(スルファメトキサゾール:トリメトプリム=5:1)に調整したST合剤の原体粉末を8重量%添加したものを夫々SMXの溶出試験に供した。
【0030】
更に、ST合剤に対する影響がなく、入手が容易で、しかもST合剤の溶出を抑制する効果がある溶出抑制剤を選定した。溶出抑制剤としては、増粘多糖類である寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を選定し、この溶出抑制剤の夫々を細米糠(250μmパス)に対して0.5重量%の割合で添加し、更に、溶出抑制剤を添加した細米糠に、前記市販品と同じ配合割合になるように調整したST合剤の原体粉末を8重量%添加したものを夫々SMXの溶出試験に供した。
【0031】
又、比較例として、前記薬効の有効性が最も高かった市販品Aと、薬効の有効性が最も低かった市販品C(市販品A、Cは、何れも米糠に対し、配合割合5:1のST合剤の原体粉末が8重量%添加されたものである)、及び、粗米糠(500μmパス)に対し、SMX原体粉末を更に粉砕した粉砕物を用いて前記市販品と同じ配合割合になるように調整した粉砕ST合剤を8重量%添加したものをSMXの溶出試験に供した。
【0032】
市販されているSMXは、レーザー回析粒度分布分析装置(セイシン企業社製、LMS-24)により、溶媒として0.1%ソルビタントリオレート(Sorbitan Trioleate)を含むイソオクタンを用いて粒度分布測定を行った。なお、原体粉末の粒度測定を3回実施し、その平均値を図4に示し、又、SMX原体粉末を更に粉砕した粉砕物も粒度測定を3回実施し、その平均値を図5に示した。市販品のSMXの原体粉末は、65μm以上の粒径を60%、40μm以上の粒径を80%、25μm以上の粒径を90%含む粗粒径であった。又、SMXの原体粉未を更に粉砕した粉砕物は、15μm以下の粒径を60%、40μm以下の粒径を90%含む細粒径であった。
【0033】
前記した各試験材料についてのSMXの溶出試験を実施し、その結果を図3に示した。
【0034】
図3に示す如く、前記市販品A、及び細米糠に溶出抑制剤として寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を夫々0.5%添加したものは、夫々約60.00%前後の低い溶出率を示したのに対し、粗米糠(500μmパス)に粉砕ST合剤を混合したものと、市販品Cと、粗米糠(500μmパス)にST合剤を混合したものは約80.00%以上の高い溶出率を示し、細米糠(250μmパス)にST合剤を混合したものは約70.00%前後の中間の溶出率を示した。
【0035】
図3からは、前記ST合剤を動物に供与する際に用いる増量剤としては細米糠が適しており、粗米糠は不適当であるという知見が得られた。
【0036】
又、粉砕ST合剤と、未粉砕の原体粉末のST合剤をそれぞれ粗米糠に混合したものを比べると、粉砕ST合剤の方が高い溶出率を示した。つまり、SMXの原体粉末の粉砕物である15μm以下の粒径を60%含む細粒径のSMXに対して、SMXの原体粉未である65μm以上の粒径を60%含む粗粒径のSMXを使用したほうが溶出率が低く、ST合剤は粒経が大きいものとした方が有効であることが判明した。
【0037】
更に、細米糠(250μmパス)に対して、溶出抑制剤としての、寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を添加すると、溶出率が低く且つ薬効の有効性が最も高かった前記市販品Aと同等或いはそれより低い溶出率に抑えることができた。特に、市販品Aは時間の経過と共に、溶出率が大幅に上昇したが、前記溶出抑制剤を添加したものは時間が経過しても低い溶出率を維持することができた。溶出抑制剤は、その1つを選択して細米糠(250μmパス)に添加しても、或いは複数を同時に細米糠(250μmパス)に添加するようにしてもよい。なお、溶出抑制剤は、上記したものに限定されるものではない。
【0038】
上記したように、細米糠と溶出抑制剤とを組み合わせたことによってST合剤の溶出性が低く抑えられるようになる。更に、ST合剤の溶出性が、豚及び鶏等の動物胃液と同じpH4.0試験液において低く抑えられることにより、ST合剤が動物の腸管内壁等に留まる期間、量が増加し、これによって、ST合剤の薬効の有効性が有意に高められると考えられる。
【0039】
又、米糠は、牛、豚、鶏等の家畜動物の餌として一般的に用いられているものであり嗜好性が良く、従って前記ST合剤を米糠に混合することにより動物に対するST合剤の供与率を高めることができるので、前記した如く溶出性を低く抑えることと相侯って、結果的にST合剤による薬効の有効性を大幅に高めることができる。
【0040】
次に、鶏にコクシジウム攻撃を実施した場合における本発明品の薬効の有効性を確認するための効果確認試験を実施した。
【0041】
供試鶏として、チャンキー種(ブロイラー専用種)の初生雛(雄)を用い、飼料にはブロイラー試験用標準飼料(前期用、日本クレア(株)製)を用い、0〜9日齢まで飼育し、9日目に、コクシジウム攻撃株(Eimeriatenella)により攻撃量:10×104個/羽で攻撃した後、16日齢まで前記飼料により飼育し、16日齢に採材した。供試鶏は、下記供試薬剤の夫々に対して各区10羽を用いた。
効果確認試験としては、次の測定項目について測定した。
【0042】
1.飼育成績(増体量及び飼料摂取量)
体重(16日齢時)
増体量(9〜16日齢)
累積飼料摂取量(9〜16日齢)
飼料要求率
【0043】
2.臨床成績(病変)
盲腸病変スコア
発症率
病変改善率
【0044】
3.ACI(Anticoccidia1 Index)
ACI=(相対増体量+生存率)−(病変値+オーシスト値)
【0045】
供試薬剤としては、実施例1による本発明品1と、比較例としての前記市販品A及びCと、ST合剤の原体粉末を粗米糠(500μmパス)に含有させた高溶出処方と、対照例としての非感染対照と感染対照について測定した。
【0046】
上記本発明品1と、市販品Aと、市販品Cと、高溶出処方の各供試薬剤におけるpH4.0試験液に対するSMXの溶出試験の結果は図3の如くであった。いずれの供試薬剤も150g中スルファメトキサゾール10g、トリメトプリム2gを含み、飼料1t当たり供試薬剤を5kgの割合で添加して給与した。
【0047】
飼育成績である体重を図6に示し、増体量を図7に示し、累積飼料摂取量を図8に示し、飼料要求率を図9に示した。
【0048】
更に、臨床成績である盲腸病変スコアを図10に示し、病変改善率を図11に示し、発症率を図12に示した。
【0049】
飼育成績である図8の累積飼料摂取量(9〜16日齢)では、前記各供試薬剤とも著しい差はないが、特に非感染対照は他と比較して摂取量が低く、又本発明品1は他と比較して摂取量が有意に高くなっている。又、図9に示す飼料要求率は、本発明品1と前記市販品Aと市販品Cと非感染対照は略同等であり、これに対して感染対照と高溶出処方は高くなっている。
【0050】
一方、図6に示す体重(16日齢)及び図7に示す増体量(9〜16日齢)では、非感染対照と感染対照と高溶出処方は夫々低く、本発明品1と前記市販品Aと市販品Cは高くなっており、特に、本発明品1は前記市販品Aと市販品Cに対しても有意に高くなっている。このことは、本発明品1による薬効が高められて鶏の育成を高めたことを表わしている。
【0051】
次に、臨床成績である図12の発症率では、感染対照は発症率100%であり、高溶出処方は60%、市販品Aは30%、市販品Cは40%の発症率であるのに対し、本発明品1は10%と非常に低い発症率を示している。
【0052】
図10の盲腸病変スコアでは、非感染対照は0であり、感染対照は2.6と高い値を示し、高溶出処方では0.6、市販品Aでは0.3、市販品Cでは0.4の盲腸病変スコアであるのに対し、本発明品1では0.1と非常に低い盲腸病変スコアを示している。
【0053】
更に、図11の病変改善率では、非感染対照は100%であり、感染対照は0%であり、高溶出処方では77%、市販品Aでは88%、市販品Cでは85%の病変改善率であるのに対し、本発明品1では96%と有意に高い病変改善率を示している。
【0054】
前記各供試薬剤のACIは[表2]の如くであった。
[表2]
試験区分 ACI
非感染対照区 200
感染対照区 151
A 204
C 203
高溶出処方 196
本発明品1 208
【0055】
[表2]によれば、本発明品1は他の供試薬剤の何れのものより高い値を示している。
尚、上記では、鶏のコクシジウム病、大腸菌症に対する有効性について説明したが、本発明の動物用経口抗菌剤は、豚の大腸菌による細菌性下痢症、ヘモフィルス感染症などの予防、治療その他の動物に対する細菌性の病気の予防、治療にも適用することができる。
【0056】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0057】
250μmパスの細米糠に、寒天末0.05部、ST合剤1部を加えて本発明品1を得た。この本発明品1を飼料1t当たり5kg添加し、鶏に餌と共に給与した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】SMXの溶出試験結果を示すもので、(A)は市販品A〜FのpH1.2試験液に対する溶出率を示す線図、(B)は市販品A〜FのpH4.0試験液に対する溶出率を示す線図、(C)は市販品A〜FのpH6.8試験液に対する溶出率を示す線図である。
【図2】TMP溶出試験結果を示すもので、(A)は市販品A〜FのpH1.2試験液に対する溶出率を示す線図、(B)は市販品A〜FのpH4.0試験液に対する溶出率を示す線図、(C)は市販品A〜FのpH6.8試験液に対する溶出率を示す線図である。
【図3】種々の材料でのpH4.0試験液に対するSMXの溶出試験結果を示す線図である。
【図4】SMXの原体粉末の粒度を測定した粒度分布図である。
【図5】SMXの原体粉末を更に粉砕した粉砕物の粒度を測定した粒度分布図である。
【図6】供試鶏に対する供試薬剤供与による飼育成績である体重を比較して示したグラフである。
【図7】増体量を比較して示したグラフである。
【図8】累積飼料摂取量を比較して示したグラフである。
【図9】飼料要求率を比較して示したグラフである。
【図10】供試鶏に対する供試薬剤供与による臨床成績である盲腸病変スコアを比較して示したグラフである。
【図11】病変改善率を比較して示したグラフである。
【図12】発症率を比較して示したグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルファメトキサゾールおよびトリメトプリムによるST合剤を動物に供与する際に薬効の有効性を有意に高めることができる動物用経口抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スルファメトキサゾール(SMX)およびトリメトプリム(TMP)を含む製剤(以下、ST合剤という)は、豚の大腸菌による細菌性下痢症に対する経口剤として知られており、種々のST合剤が市販されている。一般のST合剤の市販品は、スルファメトキサゾールとトリメトプリムが規定配合比(通常、スルファメトキサゾール:トリメトプリム=5:1)になるように調整されたST合剤を、増量材としての米糠等に対して所定量を配合して製品としている。市販品に含まれるST合剤の配合割合は市販品に明記されており、使用者は、上記した市販品に記載された所定量を餌に混ぜることによって動物に経口投与している。上記ST合剤を主剤とする市販品は豚以外の他の動物、例えば鶏に対しても薬効が期待されている。
【0003】
一方、上記ST合剤を飲料水に溶解して液剤として用いることが考えられており、例えばこの液剤を鶏に与えると、主成分であるスルファメトキサゾールおよびトリメトプリムは鶏の嗜好に合わないためか、鶏の飲水量が低下する。飲水量の低下は、薬効の低下および体重増加速度の減少につながるため大きな問題となる。
【0004】
このため、ST合剤にグルタミン酸またはその塩を含有して飲水量の低下を防止するようにした家禽用抗菌経口剤が特許文献1に示されており、又、ST合剤にグリコール類およびジオクチルスルホコハク酸塩を含有して安定でかつ水溶解性が向上された動物用抗菌液剤が特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開平06-263637号公報
【特許文献2】特開平06-263642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1、2は、何れもST合剤を水に溶解してなる液剤に関するものであり、液剤での供与により飲水量を増加させて動物に対するST合剤の供与量を高めることによって、動物に対するST合剤の薬効の有効性を高めることを目的としている。
【0006】
一方、ST合剤を使用している酪農家からは、ST合剤の市販品(散剤)を動物に供与した場合に、市販品によってST合剤の供与量(摂取量)に差が生じることが指摘されていると共に、同量のST合剤を動物に供与するようにしても、市販品の種類によって薬効の有効性にばら付きがあることが指摘されており、このことから、動物に対するST合剤の供与量を高めることは有効であるが、単に動物に対するST合剤の供与量を高めても、必ずしも動物に対する薬効の有効性が高められない場合があることが判明した。
【0007】
本発明は、ST合剤を動物に供与することによってST合剤による薬効の有効性が確実に高められるようにした動物用経口抗菌剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有することを特徴とする動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、米糠に、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムの合剤4〜16重量%と、溶出抑制剤0.1〜1重量%とを含有したことを特徴とする請求項1に記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記米糠が250μmパス以下の細米糠であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、寒天であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、キサンタンガムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、アルギン酸Naであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記溶出抑制剤が、マンナンオリゴ糖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤、に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動物用経口抗菌剤は、細米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有したので、細米糠と溶出抑制剤の組み合わせによりST合剤の溶出性が低く抑えられ、動物の腸管内壁等に留まる期間、量が増加することによって動物に供与したST合剤による薬効の有効性が確実に高められ、更に、細米糠と溶出抑制剤の組み合わせにより嗜好性が損なわれることを防止できることから動物に対するST合剤の供与量も高く維持でき、よってST合剤供与による薬効の有効性を更に高めることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
本発明者らは動物に供与するST合剤の薬効の有効性を高く維持するための必要な条件を突き止めるべく種々の調査、研究、試験を実施した。
【0019】
本発明者らは、まず市販されているST合剤の主要な6種類の市販品A〜Fを選定し、各市販品A〜Fを動物に供与した場合における薬効の有効性について聞き取り調査を実施した。
【0020】
その結果は[表1]に示す如く、市販品Aが薬効の最も高い有効性を示し、続いてB、E及びD、Fの順に有効性が低下し、Cは最も有効性が低いことが判明した。
[表1]
市販品 有効性の順位
A 1
B 2
C 6
D 4
E 3
F 5
【0021】
上記した市販品A〜Fの薬効の有効性のばら付きの原因を突き止めるために、市販品A〜Fの夫々の粉体物性(ゆるみ見かけ比重、圧縮度、分散度)を調査したが、粉体物性と前記有効性の順位との間には有意な関連性は認められなかった。
【0022】
続いて、市販品A〜Fの主剤の溶出性を調査するための溶出試験を実施した。このとき、市販品A〜Fにおけるスルファメトキサゾール(SMX)の溶出試験と、トリメトプリム(TMP)の溶出試験とを分けて実施した。更に、上記SMXの溶出試験とTMPの溶出試験は薬局方による溶出試験法第2法(パドル法)に従い、pH1.2試験液、pH4.0試験液、pH6.8試験液の3種類について実施した。
【0023】
SMXの溶出試験におけるpH1.2試験液の場合の結果を図1(A)に示し、pH4.0試験液の場合の結果を図1(B)に示し、pH6.8試験液の場合の結果を図1(C)に示した。又、TMP溶出試験におけるpH1.2試験液の場合の結果を図2(A)に示し、pH4.0試験液の場合の結果を図2(B)に示し、pH6.8試験液の場合の結果を図2(C)に示した。
【0024】
図2に示すように、ST合剤の含有割合が小さいTMPの溶出試験の結果からは、市販品A〜Fの各々の間に溶出率の顕著な差は認められなかった。
【0025】
一方、図1に示すように、ST合剤の含有割合が大きいSMXの溶出試験の結果では、市販品A〜Fの各々の間に溶出率の有意な差が認められた。特に、pH4.0試験液においては、市販品A〜F間に顕著な溶出率の差が認められた。通常、豚及び鶏等の動物胃液のpH値は略3〜4であり、食餌によってpH値は約4前後になると考えられるので、市販品A〜Fは動物胃液において溶出率に大きな差を生じていることが判る。
【0026】
そして、図1について見ると、前記聞き取り調査で薬効の有効性が最も高かった市販品Aが最も溶け難く、続いて市販品B、市販品E及び市販品D、市販品Fの順に溶け易くなっており、薬効の有効性が最も低かった市販品Cは最も溶け易いことが判明した。
【0027】
このことから、ST合剤供与による薬効の有効性は、主剤の溶出率に大きく関係しており、溶出性が低い(溶け難い)ものは薬効の有効性が高く、溶出性が高い(溶け易い)ものは薬効の有効性が低いことが判明した。
【0028】
従って、ST合剤の溶出性を抑制する条件を調査するために、種々の材料に対してST合剤を配合したものにおけるpH4.0試験液に対するSMXの溶出性を調べる試験を実施した。
【0029】
まず、増量剤として一般に用いられている米糠について、粗米糠(500μmパス)と細米糠(250μmパス)の各々に対して前記市販品と同じ配合割合(スルファメトキサゾール:トリメトプリム=5:1)に調整したST合剤の原体粉末を8重量%添加したものを夫々SMXの溶出試験に供した。
【0030】
更に、ST合剤に対する影響がなく、入手が容易で、しかもST合剤の溶出を抑制する効果がある溶出抑制剤を選定した。溶出抑制剤としては、増粘多糖類である寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を選定し、この溶出抑制剤の夫々を細米糠(250μmパス)に対して0.5重量%の割合で添加し、更に、溶出抑制剤を添加した細米糠に、前記市販品と同じ配合割合になるように調整したST合剤の原体粉末を8重量%添加したものを夫々SMXの溶出試験に供した。
【0031】
又、比較例として、前記薬効の有効性が最も高かった市販品Aと、薬効の有効性が最も低かった市販品C(市販品A、Cは、何れも米糠に対し、配合割合5:1のST合剤の原体粉末が8重量%添加されたものである)、及び、粗米糠(500μmパス)に対し、SMX原体粉末を更に粉砕した粉砕物を用いて前記市販品と同じ配合割合になるように調整した粉砕ST合剤を8重量%添加したものをSMXの溶出試験に供した。
【0032】
市販されているSMXは、レーザー回析粒度分布分析装置(セイシン企業社製、LMS-24)により、溶媒として0.1%ソルビタントリオレート(Sorbitan Trioleate)を含むイソオクタンを用いて粒度分布測定を行った。なお、原体粉末の粒度測定を3回実施し、その平均値を図4に示し、又、SMX原体粉末を更に粉砕した粉砕物も粒度測定を3回実施し、その平均値を図5に示した。市販品のSMXの原体粉末は、65μm以上の粒径を60%、40μm以上の粒径を80%、25μm以上の粒径を90%含む粗粒径であった。又、SMXの原体粉未を更に粉砕した粉砕物は、15μm以下の粒径を60%、40μm以下の粒径を90%含む細粒径であった。
【0033】
前記した各試験材料についてのSMXの溶出試験を実施し、その結果を図3に示した。
【0034】
図3に示す如く、前記市販品A、及び細米糠に溶出抑制剤として寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を夫々0.5%添加したものは、夫々約60.00%前後の低い溶出率を示したのに対し、粗米糠(500μmパス)に粉砕ST合剤を混合したものと、市販品Cと、粗米糠(500μmパス)にST合剤を混合したものは約80.00%以上の高い溶出率を示し、細米糠(250μmパス)にST合剤を混合したものは約70.00%前後の中間の溶出率を示した。
【0035】
図3からは、前記ST合剤を動物に供与する際に用いる増量剤としては細米糠が適しており、粗米糠は不適当であるという知見が得られた。
【0036】
又、粉砕ST合剤と、未粉砕の原体粉末のST合剤をそれぞれ粗米糠に混合したものを比べると、粉砕ST合剤の方が高い溶出率を示した。つまり、SMXの原体粉末の粉砕物である15μm以下の粒径を60%含む細粒径のSMXに対して、SMXの原体粉未である65μm以上の粒径を60%含む粗粒径のSMXを使用したほうが溶出率が低く、ST合剤は粒経が大きいものとした方が有効であることが判明した。
【0037】
更に、細米糠(250μmパス)に対して、溶出抑制剤としての、寒天、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、アルギン酸Na、マンナンオリゴ糖を添加すると、溶出率が低く且つ薬効の有効性が最も高かった前記市販品Aと同等或いはそれより低い溶出率に抑えることができた。特に、市販品Aは時間の経過と共に、溶出率が大幅に上昇したが、前記溶出抑制剤を添加したものは時間が経過しても低い溶出率を維持することができた。溶出抑制剤は、その1つを選択して細米糠(250μmパス)に添加しても、或いは複数を同時に細米糠(250μmパス)に添加するようにしてもよい。なお、溶出抑制剤は、上記したものに限定されるものではない。
【0038】
上記したように、細米糠と溶出抑制剤とを組み合わせたことによってST合剤の溶出性が低く抑えられるようになる。更に、ST合剤の溶出性が、豚及び鶏等の動物胃液と同じpH4.0試験液において低く抑えられることにより、ST合剤が動物の腸管内壁等に留まる期間、量が増加し、これによって、ST合剤の薬効の有効性が有意に高められると考えられる。
【0039】
又、米糠は、牛、豚、鶏等の家畜動物の餌として一般的に用いられているものであり嗜好性が良く、従って前記ST合剤を米糠に混合することにより動物に対するST合剤の供与率を高めることができるので、前記した如く溶出性を低く抑えることと相侯って、結果的にST合剤による薬効の有効性を大幅に高めることができる。
【0040】
次に、鶏にコクシジウム攻撃を実施した場合における本発明品の薬効の有効性を確認するための効果確認試験を実施した。
【0041】
供試鶏として、チャンキー種(ブロイラー専用種)の初生雛(雄)を用い、飼料にはブロイラー試験用標準飼料(前期用、日本クレア(株)製)を用い、0〜9日齢まで飼育し、9日目に、コクシジウム攻撃株(Eimeriatenella)により攻撃量:10×104個/羽で攻撃した後、16日齢まで前記飼料により飼育し、16日齢に採材した。供試鶏は、下記供試薬剤の夫々に対して各区10羽を用いた。
効果確認試験としては、次の測定項目について測定した。
【0042】
1.飼育成績(増体量及び飼料摂取量)
体重(16日齢時)
増体量(9〜16日齢)
累積飼料摂取量(9〜16日齢)
飼料要求率
【0043】
2.臨床成績(病変)
盲腸病変スコア
発症率
病変改善率
【0044】
3.ACI(Anticoccidia1 Index)
ACI=(相対増体量+生存率)−(病変値+オーシスト値)
【0045】
供試薬剤としては、実施例1による本発明品1と、比較例としての前記市販品A及びCと、ST合剤の原体粉末を粗米糠(500μmパス)に含有させた高溶出処方と、対照例としての非感染対照と感染対照について測定した。
【0046】
上記本発明品1と、市販品Aと、市販品Cと、高溶出処方の各供試薬剤におけるpH4.0試験液に対するSMXの溶出試験の結果は図3の如くであった。いずれの供試薬剤も150g中スルファメトキサゾール10g、トリメトプリム2gを含み、飼料1t当たり供試薬剤を5kgの割合で添加して給与した。
【0047】
飼育成績である体重を図6に示し、増体量を図7に示し、累積飼料摂取量を図8に示し、飼料要求率を図9に示した。
【0048】
更に、臨床成績である盲腸病変スコアを図10に示し、病変改善率を図11に示し、発症率を図12に示した。
【0049】
飼育成績である図8の累積飼料摂取量(9〜16日齢)では、前記各供試薬剤とも著しい差はないが、特に非感染対照は他と比較して摂取量が低く、又本発明品1は他と比較して摂取量が有意に高くなっている。又、図9に示す飼料要求率は、本発明品1と前記市販品Aと市販品Cと非感染対照は略同等であり、これに対して感染対照と高溶出処方は高くなっている。
【0050】
一方、図6に示す体重(16日齢)及び図7に示す増体量(9〜16日齢)では、非感染対照と感染対照と高溶出処方は夫々低く、本発明品1と前記市販品Aと市販品Cは高くなっており、特に、本発明品1は前記市販品Aと市販品Cに対しても有意に高くなっている。このことは、本発明品1による薬効が高められて鶏の育成を高めたことを表わしている。
【0051】
次に、臨床成績である図12の発症率では、感染対照は発症率100%であり、高溶出処方は60%、市販品Aは30%、市販品Cは40%の発症率であるのに対し、本発明品1は10%と非常に低い発症率を示している。
【0052】
図10の盲腸病変スコアでは、非感染対照は0であり、感染対照は2.6と高い値を示し、高溶出処方では0.6、市販品Aでは0.3、市販品Cでは0.4の盲腸病変スコアであるのに対し、本発明品1では0.1と非常に低い盲腸病変スコアを示している。
【0053】
更に、図11の病変改善率では、非感染対照は100%であり、感染対照は0%であり、高溶出処方では77%、市販品Aでは88%、市販品Cでは85%の病変改善率であるのに対し、本発明品1では96%と有意に高い病変改善率を示している。
【0054】
前記各供試薬剤のACIは[表2]の如くであった。
[表2]
試験区分 ACI
非感染対照区 200
感染対照区 151
A 204
C 203
高溶出処方 196
本発明品1 208
【0055】
[表2]によれば、本発明品1は他の供試薬剤の何れのものより高い値を示している。
尚、上記では、鶏のコクシジウム病、大腸菌症に対する有効性について説明したが、本発明の動物用経口抗菌剤は、豚の大腸菌による細菌性下痢症、ヘモフィルス感染症などの予防、治療その他の動物に対する細菌性の病気の予防、治療にも適用することができる。
【0056】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0057】
250μmパスの細米糠に、寒天末0.05部、ST合剤1部を加えて本発明品1を得た。この本発明品1を飼料1t当たり5kg添加し、鶏に餌と共に給与した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】SMXの溶出試験結果を示すもので、(A)は市販品A〜FのpH1.2試験液に対する溶出率を示す線図、(B)は市販品A〜FのpH4.0試験液に対する溶出率を示す線図、(C)は市販品A〜FのpH6.8試験液に対する溶出率を示す線図である。
【図2】TMP溶出試験結果を示すもので、(A)は市販品A〜FのpH1.2試験液に対する溶出率を示す線図、(B)は市販品A〜FのpH4.0試験液に対する溶出率を示す線図、(C)は市販品A〜FのpH6.8試験液に対する溶出率を示す線図である。
【図3】種々の材料でのpH4.0試験液に対するSMXの溶出試験結果を示す線図である。
【図4】SMXの原体粉末の粒度を測定した粒度分布図である。
【図5】SMXの原体粉末を更に粉砕した粉砕物の粒度を測定した粒度分布図である。
【図6】供試鶏に対する供試薬剤供与による飼育成績である体重を比較して示したグラフである。
【図7】増体量を比較して示したグラフである。
【図8】累積飼料摂取量を比較して示したグラフである。
【図9】飼料要求率を比較して示したグラフである。
【図10】供試鶏に対する供試薬剤供与による臨床成績である盲腸病変スコアを比較して示したグラフである。
【図11】病変改善率を比較して示したグラフである。
【図12】発症率を比較して示したグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有することを特徴とする動物用経口抗菌剤。
【請求項2】
米糠に、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムの合剤4〜16重量%と、溶出抑制剤0.1〜1重量%とを含有したことを特徴とする請求項1に記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項3】
前記米糠が250μmパス以下の細米糠であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項4】
前記溶出抑制剤が、寒天であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項5】
前記溶出抑制剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項6】
前記溶出抑制剤が、キサンタンガムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項7】
前記溶出抑制剤が、アルギン酸Naであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項8】
前記溶出抑制剤が、マンナンオリゴ糖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項1】
米糠と、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムと、溶出抑制剤とを含有することを特徴とする動物用経口抗菌剤。
【請求項2】
米糠に、スルファメトキサゾール及びトリメトプリムの合剤4〜16重量%と、溶出抑制剤0.1〜1重量%とを含有したことを特徴とする請求項1に記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項3】
前記米糠が250μmパス以下の細米糠であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項4】
前記溶出抑制剤が、寒天であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項5】
前記溶出抑制剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項6】
前記溶出抑制剤が、キサンタンガムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項7】
前記溶出抑制剤が、アルギン酸Naであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【請求項8】
前記溶出抑制剤が、マンナンオリゴ糖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用経口抗菌剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−52170(P2006−52170A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235150(P2004−235150)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(591281220)日本全薬工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(591281220)日本全薬工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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