説明

動的エリア監視装置、動的エリア監視システム、動的エリア監視用表示装置、及び方法

【課題】従来に比して、実用上優れた動的エリア監視装置及び動的エリア監視システムを提供すること。
【解決手段】保護対象OB1の位置を検出する位置検出部102と、保護対象OB1の位置と、保護対象OB1のIDに対応する属性(個別属性)と、保護対象OB1の状況属性(例えば速度)とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアAR1を設定する警戒エリア設定部103と、影響対象OB2の、警戒エリアAR1への侵入又は接近を検出する接近検出部106と、を設けたことにより、位置、形状及び大きさが、保護対象OB1の役職、権限、速度等に応じて柔軟に変化する警戒エリアAR1を設定できる。この結果、従来に比して、保護対象OB1の属性や状況に柔軟に対応した監視及び警告を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視システム100を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的エリア監視装置、動的エリア監視システム、動的エリア監視用表示装置、及び方法に関し、保護対象に影響を与える可能性がある影響対象(例えば不審者)から、保護対象を保護する装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護対象(保護すべき人や物であり、保護すべき物とは例えば貴重品や機密情報等である)に接近する不審者を監視し、保護対象を不審者から保護するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、保護対象が持つ距離検知センサによって保護対象に近づいた物体を検知した場合に、警報を発する警報装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、コンピュータに電波受信装置(タグリーダ)を設け、コンピュータの利用権限のない人のタグが検知範囲に入った場合に、コンピュータをロックさせることで、コンピュータの覗き見を防止する認証システムが提案されている。
【特許文献1】特開2001−184570号公報
【特許文献2】特開2007−156607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者らは、特許文献1及び特許文献2で開示された技術においては、以下の点について十分な配慮がされておらず、その結果、保護対象を不審者等の影響対象から保護する点で不十分であると考えた。
【0006】
特許文献1で開示された警報装置においては、以下の課題がある。
【0007】
・接近者の不審度及び権限等が配慮されておらず、保護対象に接近する全ての物体を検知して警告を発するので、煩わしい場合もあり、実用上の配慮が不十分である。
【0008】
・保護対象と接近者との距離のみが基準とされており、接近者の挙動が加味されていないので、実用上不十分である。
【0009】
・保護対象に装着したセンサによって不審者を監視するので、センサにとって障害物(柱及び曲がり角等)が存在するとセンサの死角が生じ、この死角にいる不審者を検知することが困難である。センサの死角にいる不審者は、保護対象にとっても死角にいることになるので、その不審者を検知できないことは、実用上不十分である。
【0010】
特許文献2で開示された認証システムにおいては、以下の課題がある。
【0011】
・例えばコンピュータディスプレイの後ろ等、覗き見が不可能な位置を通過する人も不審者として検知し、コンピュータをロックしてしまうので、実用上不都合である。
【0012】
本発明は、かかる点を考慮してなされたものであり、従来に比して、保護対象の属性や状況、保護対象と影響対象との間の関係等に、柔軟に対応した監視を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視装置、動的エリア監視システム、動的エリア監視用表示装置、及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の動的エリア監視装置の一つの態様は、保護対象の位置を検出する位置検出手段と、前記保護対象の位置と、前記保護対象の個別属性と、前記保護対象の状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアを設定する警戒エリア設定手段と、前記保護対象以外の対象である他の対象の、前記警戒エリアへの侵入又は接近を検出する接近検出手段と、を具備する構成を採る。
【0014】
本発明の動的エリア監視装置の一つの態様は、前記他の対象の位置と、前記他の対象の個別属性又は状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの影響エリアを設定する影響エリア設定手段を、さらに具備し、前記接近検出手段は、前記警戒エリアと前記影響エリアとが重なった重畳領域に基づいて、前記保護対象への前記保護対象以外の対象の接近を検出する、構成を採る。
【0015】
本発明の動的エリア監視装置の一つの態様は、前記保護対象が使用する物品の、位置、属性及び使用状況を検出する物品検出手段を、さらに具備し、前記警戒エリア設定手段が、前記物品の、位置、属性及び使用状況に基づいて、前記警戒エリアを設定する、構成を採る。
【0016】
本発明の動的エリア監視システムの一つの態様は、前記動的エリア監視装置と、前記接近検出手段の検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否判定手段と、前記警報要否判定手段によって警報要の判定がなされた場合に警報を出力する警報手段と、を具備する構成を採る。
【0017】
本発明の動的エリア監視システムの一つの態様は、さらに、前記保護対象を含む領域の撮像画像を取得する撮像手段と、表示手段と、を具備し、前記表示手段は、前記撮像画像に基づく前記保護対象の画像と、前記動的エリア監視装置で設定された警戒エリア及び/又は影響エリアと、前記警報手段から出力された警報と、を表示する、構成を採る。
【0018】
本発明の動的エリア監視用表示装置の一つの態様は、前記撮像画像に基づく前記保護対象の画像と、前記動的エリア監視装置で設定された警戒エリア及び/又は影響エリアと、前記警報手段から出力された警報と、を表示する、構成を採る。
【0019】
本発明の動的エリア監視方法の一つの態様は、保護対象の位置を検出する位置検出ステップと、前記保護対象の位置と、前記保護対象の個別属性と、前記保護対象の状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアを設定する警戒エリア設定ステップと、前記保護対象以外の対象である他の対象の、前記警戒エリアへの侵入又は接近を検出する接近検出ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、保護対象の位置と、保護対象の個別属性と、保護対象の状況属性とに応じて、位置、形状及び大きさが変化する警戒エリアを設定したので、従来に比して、保護対象の属性や状況に柔軟に対応した監視を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視装置、動的エリア監視システム、動的エリア監視用表示装置、及び方法を実現できる。
【0021】
また、保護対象の位置と、保護対象の個別属性と、保護対象の状況属性とに応じて、位置、形状及び大きさが変化する警戒エリアを設定すると共に、他の対象の位置と、他の対象の個別属性又は状況属性とに応じて、位置、形状及び大きさが変化する影響エリアを設定し、前記警戒エリアと前記影響エリアとが重なった重畳領域に基づいて、前記保護対象への前記他の対象の接近を検出したので、保護対象と影響対象との間の関係に柔軟に対応した監視を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視装置、動的エリア監視システム、動的エリア監視用表示装置、及び方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の実施の形態においては、監視により保護を受ける対象を「保護対象」と呼び、不審者等のように保護対象に影響を及ぼす可能性のあるものを「影響対象」と呼ぶことにする。また「保護対象」と「影響対象」との両方を含めて「監視対象」と呼ぶことにする。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
[1]全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る動的エリア監視システム(以下、単に監視システムと呼ぶ)の全体構成を示す。
【0025】
監視システム100は、撮像部101と、位置検出部102と、警戒エリア設定部103と、影響エリア設定部104と、対象属性管理部105と、接近検出部106と、警報要否判定部107と、警報出力部108と、表示部109とを有する。
【0026】
撮像部101は、保護対象OB1を含む監視領域を撮影する。撮像部101は、例えばビデオカメラ又はスティルカメラである。光学構成的には単眼ステレオカメラ、複眼ステレオカメラ、魚眼ステレオカメラ、又は全方位ステレオカメラなど、いずれの構成であってもよい。撮像部101は、ステレオ撮像データS1−1を位置検出部102に送出する。また撮像部101は、撮像データS1−2を表示部109に送出する。なお、表示部109に送出する撮像データS1−2は、ステレオ撮像データS1−1であってもよい。
【0027】
位置検出部102は、保護対象OB1と影響対象OB2の位置を検出する。また位置検出部102は、保護対象OB1を識別することで、保護対象OB1のIDを取得する。なお、影響対象OB2のIDは、取得すれば好ましいが、取得しなくてもよい。
【0028】
本実施の形態の位置検出部102は、タグリーダと画像処理部とを有する。位置検出部102は、タグリーダによって、監視対象OB1、OB2が付帯する無線タグからの無線信号を受信し、この受信信号に基づいて、監視対象OB1、OB2の位置及びIDを取得する。また位置検出部102は、画像処理部によって、撮像部101から入力されたステレオ撮像データS1−1に基づいて、監視対象OB1、OB2の位置及びIDを取得する。実際上、画像処理部は、ステレオ撮像データS1−1から監視対象OB1、OB2を抽出し、その位置を検出する。また画像処理部は、監視対象OB1、OB2が人物である場合には、ステレオ撮像データS1−1から顔画像を抽出し、この顔画像と予めIDと関連付けて登録した複数の顔画像とを照合する顔認識処理を行うことで、監視対象OB1、OB2のIDを取得する。
【0029】
本実施の形態では、位置検出部102によって監視対象OB1、OB2の位置及びIDを取得する方法として、次の場合を想定している。
【0030】
(i)保護対象OB1及び影響対象OB2の両方が無線タグを装着していることを想定した場合。この場合、位置検出部102にタグリーダ部を設けることで、位置検出部102は、無線タグからの無線信号に基づいて、保護対象OB1及び影響対象OB2の位置を取得できると共にIDを取得できる。
【0031】
(ii)保護対象OB1のみが無線タグを装着している(影響対象OB2が無線タグを装着していない)ことを想定した場合。この場合、位置検出部102は、タグリーダ部によって受信した無線タグからの無線信号に基づいて、保護対象OB1の位置及びIDを取得する。また位置検出部102は、撮像部101から入力されたステレオ撮像データS1−1に基づいて、影響対象OB2の位置を取得する。
【0032】
(iii)保護対象OB1及び影響対象OB2の両方が無線タグを装着していないことを想定した場合。この場合、位置検出部102は、撮像部101から入力されたステレオ撮像データS1−1に基づいて、保護対象OB1及び影響対象OB2の位置及びIDを取得する。
【0033】
なお、本実施の形態の位置検出部102は、タグリーダと画像処理部とを相補的に用いて、監視対象OB1、OB2の位置及びIDを取得することが可能な構成となっているが、タグリーダのみ、又は画像処理部のみを用いて、これらを取得するようにしてもよい。さらには、タグリーダ及び画像処理以外の例えばレーダやセンサを用いた方法によって、監視対象OB1、OB2の位置及びIDを取得してもよい。なお、上述したように影響対象OB2のIDは取得できなくてもよい。
【0034】
また撮像部101は、ステレオカメラである必要はなく、レンジファインダや距離センサ等による測位機能を有するカメラであってもよい。
【0035】
位置検出部102によって検出された保護対象OB1の位置及びIDは、保護対象情報S2として警戒エリア設定部103に送出される。また、位置検出部102によって検出された影響対象OB2の位置及びIDは、影響対象情報S3として影響エリア設定部104に送出される。なお、IDが不明の場合は、IDが不明であることを示す情報が送出される。
【0036】
警戒エリア設定部103は、対象属性管理部105から、位置検出部102から出力された保護対象OB1のIDに対応する属性情報を取得する。また警戒エリア設定部103は、位置検出部102から出力された保護対象の位置情報に基づいて、保護対象OB1の速度ベクトルV1を算出する。この場合、警戒エリア設定部103は、過去の位置を記憶しておき、現在の位置と過去の位置との差を算出することで、速度ベクトルV1を算出する。次に、警戒エリア設定部103は、警戒エリア設定基準を参照して、属性情報と速度ベクトルV1とから、警戒エリアAR1の位置・形状情報及び保護対象OB1のIDを含む警戒エリア情報S4を生成し、これを接近検出部106に送出する。
【0037】
影響エリア設定部104は、対象属性管理部105から、位置検出部102から出力された影響対象OB2のIDに対応する属性情報を取得する。また影響エリア設定部104は、位置検出部102から出力された影響対象OB2の位置情報に基づいて、影響対象OB2の速度ベクトルV2を算出する。この場合、影響エリア設定部104は、過去の位置を記憶しておき、現在の位置と過去の位置との差を算出することで、速度ベクトルV2を算出する。次に、影響エリア設定部104は、影響エリア設定基準を参照して、属性情報と速度ベクトルV2とから、影響エリアAR2の位置・形状情報及び影響対象OB2のIDを含む影響エリア情報S5を生成し、これを接近検出部106に送出する。
【0038】
対象属性管理部105は、監視対象OB1、OB2のIDと、監視対象OB1、OB2の属性とを関連付けて記憶したデータベースであり、警戒エリア設定部103、影響エリア設定部104及び警報要否判定部107から監視対象OB1、OB2のIDが入力されると、そのIDに対応する属性情報を出力する。属性情報の例としては、オフィス内であれば企業における役職や、セキュリティゾーン等へのアクセス権限レベル、重要顧客か一般来客かを示す顧客重要度等がある。また屋外において、子供や老人、障害者などを保護対象とする場合には、年令や障害の程度、歩行能力の程度などがあり得る。
【0039】
接近検出部106は、警戒エリア設定部103及び影響エリア設定部104から、警戒エリア情報S4及び影響エリア情報S5が同一時刻又は短い時間内に前後して出力されると、警戒エリアAR1と影響エリアAR2の重畳領域の面積を算出し、この面積に基づいて、保護対象OB1への影響対象OB2の接近度を検出する。ここで、重畳領域の面積は、警戒エリアAR1と影響エリアAR2の位置・形状から、幾何学的計算によって算出することができる。接近検出部106は、重畳領域の面積が所定の条件を満たした場合、重畳した警戒エリアAR1及び影響エリアAR2に対応する監視対象OB1、OB2のID(このIDは各エリア情報S4、S5に含まれている)を、接近検出情報S6として警報要否判定部107に出力する。
【0040】
所定の条件としては、重畳領域の面積が所定値を超えたか否か等を用いることができる。また、所定の条件としては、重畳領域の面積を一定時間保持することで過去情報も用いつつ、面積の時間的な積分値が所定値を超えたか否か、面積の時間的な一次微分値(増加速度)がプラスであるか否か、面積の時間的な二次微分値(増加加速度)が所定値を超えたか否か、等を用いてもよい。接近検出部106は、上述の判定によって接近したと判定した、監視対象OB1、OB2のIDと警戒エリアID及び影響エリアIDとを接近検出情報S6として警報要否判定部107に送出する。
【0041】
警報要否判定部107は、接近検出部106から出力された保護対象OB1及び影響対象OB2のIDに基づき、対象属性管理部105からそれぞれのIDに対応する属性情報を取得する。そして、警報要否判定部107は、取得した、保護対象OB1のIDに対応する属性情報と影響対象OB2のIDに対応する属性情報との組み合わせごとに、警報の種別を定義した警報種別判定テーブルを参照して、警報の種別を決定し、これを保護対象OB1のIDと共に、警報情報S7として警報出力部108に送出する。
【0042】
警報出力部108は、警報要否判定部107から出力された警報の種別に基づき、固定的に設置されたパトライト、スピーカ、ディスプレイ等から、光、音声、テキスト表示等で警報を出力する。また保護対象OB1が無線タグを装着する場合には、警報出力部108は、該当する保護対象OB1の無線タグに警報信号を送信し、無線タグが光、音響、振動、文字情報等によって警報を発するように無線タグを制御してもよい。また、警報出力部108が警報信号を送信するのは無線タグに限らず、例えば携帯電話機等でもよい。
【0043】
表示部109は、撮像部101から出力された監視対象OB1、OB2を含む領域の画像を画面に表示する。また表示部109は、警戒エリア情報S4及び影響エリア情報S5を入力し、設定された警戒エリアAR1及び影響エリアAR2を撮像画像の座標系に変換し、各エリア形状を示す図形を、監視対象OB1、OB2を含む領域の画像に合成して表示する。あるいは、表示部109は、監視対象OB1、OB2が移動する領域の平面図上に、上記各エリア形状を示す図形を表示してもよい。また表示部109は、警報出力部108から出力された警報種別と保護対象のIDとに基づき、警報表示を行う。
【0044】
[2]警戒エリア及び影響エリアの形状
次に、警戒エリア設定部103によって設定される警戒エリアAR1の形状、及び影響エリア設定部104によって設定される影響エリアAR2の形状について、詳細に説明する。
【0045】
先ず、警戒エリアAR1の形状を説明する。図2及び図3に、警戒エリアAR1の例を示す。図2は、警戒エリアAR1を楕円形状とし、かつ保護対象OB1の速度ベクトルV1が変化した場合の、警戒エリアAR1の変化の様子を示すものである。図2Aは保護対象OB1の速度が小さい場合に設定される警戒エリアAR1を示し、図2Bは保護対象OB1の速度が大きい場合に設定される警戒エリアAR1を示す。
【0046】
図3は、楕円形状以外の警戒エリアAR1の形状の例を示すものである。警戒エリアAR1の形状としては、円形状(図3A)、扇形状(図3B)、三角形状(図3C)、矩形形状(図3D)、台形形状(図3E)、等を用いることができる。また、警戒エリアAR1は、単純形状に限定されず、単純形状を複合した形状としてもよい。例えば、警戒エリアAR1は、台形と円とを複合した形状(図3F)、楕円と矩形と楕円とを複合した形状(図3G)等としてもよい。
【0047】
本実施の形態で設定する警戒エリアAR1の特徴は、次の通りである。
【0048】
(i)エリア形状の主軸が保護対象OB1の進行方向(速度ベクトルV1の方向)に一致する(図2、図3)。エリア形状の主軸とは、楕円の場合は長径である。
【0049】
(ii)エリア形状が進行方向の前方よりも後方に大きな広がりをもつ(図2、図3)。
【0050】
(iii)エリア形状の広がりが、保護対象OB1の速度が大きくなるほど、進行方向の後方で減少し、進行方向の前方で拡大する(図2)。
【0051】
(iv)進行方向に垂直な方向の広がりが、影響対象の速度に反比例して減少する(図2)。
【0052】
なお、(i)〜(iv)の特徴は、保護対象OB1が人物である場合には死角である進行方向後方の方が前方よりも危険度が高いことと、速度が速くなるほど進行方向前方の危険度が増加することと、を考慮して設定されたものである。
【0053】
但し、(i)〜(iv)の特徴は、速度に着目した場合の警戒エリアAR1の好ましい形状を示したものであって、本発明の警戒エリアAR1の形状は、(i)〜(iv)の特徴に限定されるものではない。警戒エリアAR1の形状は、速度以外の要素によっても柔軟に変更させてよい。
【0054】
次に、影響エリアAR2の形状を説明する。図4及び図5に、影響エリアAR2の例を示す。図4は、影響エリアAR2を楕円形状とし、かつ影響対象OB2の速度ベクトルV2が変化した場合の、影響エリアAR2の様子を示すものである。図4Aは影響対象OB2の速度が小さい場合に設定される影響エリアAR2を示し、図4Bは影響対象OB2の速度が大きい場合に設定される影響エリアAR2を示す。
【0055】
図5は、楕円形状以外の影響エリアAR2の形状の例を示すものである。影響エリアAR2の形状としては、円形状(図5A)、扇形状(図5B)、三角形状(図5C)、矩形形状(図5D)、台形形状(図5E)、等を用いることができる。また、影響エリアAR2は、単純形状に限定されず、単純形状を複合した形状としてもよい。例えば、影響エリアAR2は、円と台形とを複合した形状(図5F)、三角と楕円とを複合した形状(図5G)等としてもよい。
【0056】
本実施の形態で設定する影響エリアAR2の特徴は、次の通りである。
【0057】
(i)エリア形状の主軸が保護対象の進行方向(速度ベクトルの方向)に一致する(図4、図5)。エリア形状の主軸とは、楕円の場合は長径である。
【0058】
(ii)エリア形状が進行方向の後方よりも前方に大きな広がりをもつ(図4、図5)。
【0059】
(iii)エリア形状の広がりが、影響対象OB2の速度が大きくなるほど、進行方向の後方で減少し、進行方向の前方で拡大する(図4)。
【0060】
(iv)進行方向に垂直な方向の広がりが、影響対象OB2の速度に反比例して減少する(図4)。
【0061】
なお、(i)〜(iv)の特徴は、影響対象OB2の速度が速くなるほど進行方向前方に危険を及ぼし易くなることを考慮して設定されたものである。
【0062】
但し、(i)〜(iv)の特徴は、速度に着目した場合の影響エリアAR2の好ましい形状を示したものであって、本発明の影響エリアAR2の形状は、(i)〜(iv)の特徴に限定されるものではない。影響エリアAR2の形状は、速度以外の要素によっても柔軟に変更させてよい。
【0063】
[3]警戒エリア情報及び影響エリア情報
図6に、警戒エリア設定部103から出力される警戒エリア情報S4の例を示す。図における1つの行は1つの警戒エリア情報に対応する。「エリアID」とは各警戒エリア情報を識別するためのIDであり、「時刻」とは保護対象OB1の位置を取得した、あるいは警戒エリアAR1を設定した時刻である。「対象ID」とは保護対象OB1のIDのことであり、「対象位置」とは保護対象OB1の位置のことである。
【0064】
「形状タイプ」、「基準点」及び「形状パラメータ」は、警戒エリアAR1の位置・形状を規定する位置・形状情報である。図8に示すように、基準点及び形状パラメータは、形状タイプ毎に異なる。例えば、形状タイプが円の場合、基準点は円の中心であり、形状パラメータは円の半径である(図8A)。形状タイプが楕円の場合、基準点は楕円の中心であり、形状パラメータは長径ベクトル及び短径長である(図8B)。形状タイプが扇形の場合、基準点は扇形の頂点であり、形状パラメータは径ベクトル及び中心角である(図8C)。形状タイプが三角形、矩形、台形の場合のそれぞれの基準点及び形状パラメータは、図8D、図8E、図8Fに示した通りである。
【0065】
図7に、影響エリア設定部104から出力される影響エリア情報S5の例を示す。図における1つの行は1つの影響エリア情報に対応する。
【0066】
「エリアID」とは各影響エリア情報を識別するためのIDであり、「時刻」とは影響対象OB2の位置を取得した、あるいは影響エリアAR2を設定した時刻である。「対象ID」とは影響対象OB2のIDのことであり、「対象位置」とは影響対象OB2の位置のことである。形状タイプと、基準点及び形状パラメータとの関係については、警戒エリアAR1と同様であり、図8に示す通りである。
【0067】
[4]対象属性管理テーブル
図9に、対象属性管理部105に設けられた対象属性管理テーブルの例を示す。図において、「対象ID」とは監視対象OB1、OB2のIDであり、対象属性管理部105は、この対象IDを読み出しアドレスとして、それに対応した「属性ID」及び又は「属性」を属性情報として出力する。図の例では、「属性有効期間」が設定されており、「属性有効期間」を過ぎてのアクセスに対しては、「属性有効期間」が過ぎていることを示す信号を出力すればよい。また図のデータは、必要に応じて、オペレータによって追加・変更される。この追加・変更は、後述する他のテーブルも可能とされている。
【0068】
[5]警戒エリア及び影響エリアの設定基準
図10に、警戒エリア設定部103による警戒エリアAR1の設定基準の例を示す。また図12に、影響エリア設定部104による影響エリアAR2の設定基準の例を示す。図10、図12における「属性」は「属性ID」(図9参照)でもよい。
【0069】
警戒エリア設定部103及び影響エリア設定部104は、図10及び図12に示したように、各「属性」に対応して、「形状タイプ」、「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」の情報を保持している。なお、図10及び図12では、説明を簡単にするために、「形状タイプ」を全て楕円にしているが、「属性」に応じて「形状タイプ」及び「基準形状パラメータ」を変えてもよい。
【0070】
警戒エリア設定部103及び影響エリア設定部104は、それぞれ、先ず、対象属性管理部105から取得した「属性」に対応する「形状タイプ」、「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」を選択する。
【0071】
次に、警戒エリア設定部103及び影響エリア設定部104は、それぞれ、選択した「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」と、監視対象OB1、OB2の位置及び速度とを用いて、式(1)により基準点位置を算出すると共に式(2)により形状パラメータを算出する。なお、式(1)、式(2)においては、監視対象OB1、OB2の位置を(x,y)、速度ベクトルV1、V2を(v,v)、速度をV=√(v+v)とする。
【0072】
基準点の位置 = (x,y)−(オフセット/V)×(v,v)………(1)
形状パラメータ = (基準形状パラメータ)×(V/基準速度) ………(2)
【0073】
警戒エリア設定部103及び影響エリア設定部104は、それぞれ、式(1)及び式(2)によって算出した基準点位置及び形状パラメータを、図6及び図7に示したその他の情報と共に、警戒エリア情報S4及び影響エリア情報S5として出力する。
【0074】
ここで、図10に示すように、警戒エリアAR1の設定基準は、「属性」である役職が高いほど、「基準形状パラメータ」の値が大きくされており、このことは、式(2)により、役職が高いほど広い面積の警戒エリアAR1が設定されることを意味している。これによって、役職の異なる保護対象に同じように接近する影響対象があった場合には、役職の高い人物ほど接近の検出を早めに行うことができ、警報をより早く発することで予防的な保護を行うことができる。なお、この設定はオペレータによって更新することが可能であり、本発明を適用する分野やアプリケーションの必要に応じて、最適な設定を行うことが可能である。
【0075】
また、図10の警戒エリア設定基準における「オフセット」は、基準点と対象位置との距離、すなわち検出された保護対象の位置からどれだけずれた位置に基準点を配置すればよいかを示すものである。図11A〜図11Cに、保護対象の速度V=1であった場合の、各「属性」に対する、オフセットと、保護対象位置と、基準点と、の関係を示す。
【0076】
また、図12に示すように、影響エリアAR2の設定基準は、「属性」である役職(権限)が低いほど、「基準形状パラメータ」の値が大きくされており、このことは、式(2)により、役職(権限)が低いほど広い面積の影響エリアAR2が設定されることを意味している。これは、役職の高い人物はアクセス権限も多く有しており、役職の低い人物への接近に関しては、セキュリティ上問題がないと考えられるからである。また、「属性」である役職(権限)が低いほど、「オフセット」の値が大きくされており、このことは、役職(権限)が低いほど進行方向に大きな面積の影響エリアAR2が設定されることを意味している。これは役職の低い人は、アクセス権限も限定的であるため、他の役職の高い人に対する影響については、より早く検出する必要があることを反映している。またID不明者については、不審者である可能性があるために、影響エリアは最大の大きさを設定している。なお、この設定はオペレータによって更新することが可能であり、本発明を適用する分野やアプリケーションの必要に応じて、最適な設定を行うことが可能である。
【0077】
また、図12の影響エリア設定基準における「オフセット」は、基準点と対象位置との距離、すなわち検出された影響対象の位置からどれだけずれた位置に基準点を配置すればよいかを示すものである。図13A〜図13Cに、保護対象の速度V=1であった場合の、各「属性」に対する、オフセットと、影響対象位置と、基準点と、の関係を示す。図13A〜図13Cからも分かるように、オフセットがマイナスであることは、監視対象が基準点から見て、進行方向とは逆方向に位置することを示す。
【0078】
なお、式(1)、式(2)で示した基準点の位置、形状パラメータの算出式は、速度に応じてオフセットや形状パラメータを変更する一例であり、例えば式(1)の代わりに以下の式(3)を、式(2)の代わりに以下の式(4)を用いてもよい。なお、α、βは係数とする。
【0079】
基準点の位置 = (x,y)−α×(オフセット/V)×(v,v)……(3)
形状パラメータ = β×(基準形状パラメータ)×(V/基準速度) ……(4)
ここでα、βとして、適用分野やアプリケーションに応じて最適な値を採用することにより、必要かつ十分な形状と大きさを有する警戒エリア及び影響エリアを設定することが可能となる。さらに、式(4)においては、形状パラメータごとに異なる係数βを設定することにより、基準形状パラメータの拡大率を、進行方向とそれに垂直な方向とで異なる値に設定することも可能である。
【0080】
[6]警報種別判定テーブル
図14に、警報要否判定部107に設けられた警報種別判定テーブルの例を示す。図に示すように、保護対象OB1の属性が役職(権限)が高いことを示すほど、警報レベルを高く設定することが好ましい。また、影響対象OB2の属性が役職(権限)が低いことを示すほど、警報レベルを高く設定することが好ましい。
【0081】
[7]警戒エリア設定部及び影響エリア設定部の動作
図15に警戒エリア設定部103の動作を示し、図16に影響エリア設定部104の動作を示す。
【0082】
先ず、警戒エリア設定部103の動作を説明する。図15に示すように、警戒エリア設定部103は、ステップST10で警戒エリア設定動作を開始すると、ステップST11で、位置検出部102からの保護対象OB1の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST11;Yes)、ステップST12に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。
【0083】
続くステップST13では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。続くステップST14では、保護対象OB1の現在位置と過去位置とから保護対象OB1の速度ベクトルV1を算出する。
【0084】
続くステップST15では、保護対象OB1の属性情報及び速度ベクトルV1と、警戒エリア設定基準とに基づいて、警戒エリア情報S4を生成する。続くステップST16では、警戒エリア情報S4を接近検出部106及び表示部109に送出する。警戒エリア設定部103は、ステップST16の処理が終了すると、ステップST11に戻る。なお、ステップST11とステップST12の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST13以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0085】
次に、影響エリア設定部104の動作を説明する。図16に示すように、影響エリア設定部104は、ステップST20で影響エリア設定動作を開始すると、ステップST21で、位置検出部102からの影響対象OB2の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST21;Yes)、ステップST22に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。なお、IDは受信されなくてもよい。
【0086】
続くステップST23では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。続くステップST24では、影響対象OB2の現在位置と過去位置とから影響対象OB2の速度ベクトルV2を算出する。
【0087】
続くステップST25では、影響対象OB2の属性情報及び速度ベクトルV2と、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S5を生成する。続くステップST26では、影響エリア情報S5を接近検出部106及び表示部109に送出する。影響エリア設定部104は、ステップST26の処理が終了すると、ステップST21に戻る。なお、ステップST21とステップST22の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST23以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0088】
[8]接近検出部の動作
図17を用いて、接近検出部106の動作を説明する。接近検出部106は、ステップST30で接近検出動作を開始すると、ステップST31で、内部のタイマーを起動する。続くステップST32では、警戒エリア情報S4又は影響エリア情報S5を受信したか否かを判断し、受信した場合には(ステップST32;Yes)、ステップST33に移る。
【0089】
ステップST33では、受信した警戒エリア情報S4又は影響エリア情報S5を一時記憶し、ステップST34に進む。ステップST34では、警戒エリア情報S4と影響エリア情報S5の両方が一時記憶されているか否か判断し、両方が一時記憶されている場合には(ステップST34;Yes)、ステップST35に移る。
【0090】
ステップST35では、警戒エリアAR1と影響エリアAR2の重畳領域(例えば重畳面積)を算出する。続くステップST36では、重畳領域(例えば重畳面積)が所定条件を満たすか否か(例えば重畳面積が閾値以上か否か)判断し、所定条件を満たす場合には(ステップST36;Yes)、ステップST37に移る。
【0091】
ステップST37では、接近検出情報(重畳した警戒エリアID及び影響エリアIDと各監視対象ID)S6を警報要否判定部107に送出する。
【0092】
次に接近検出部106は、ステップST38において、タイマーを参照して所定期間が経過した(タイムアウト)か否か判断し、所定期間が経過したと判断した場合には(ステップST38;Yes)、ステップST39に移って、一時記憶している警戒エリア情報S4及び又は影響エリア情報S5をクリアして、ステップST31に戻る。これに対して、ステップST38において、所定期間が経過していないと判断した場合には(ステップST38;No)、ステップST32に戻る。
【0093】
なお、接近検出部106は、ステップST32、ステップST34又はステップST36で否定結果が得られた場合には、ステップST38に移る。
【0094】
[9]警報要否判定部の動作
図18を用いて、警報要否判定部107の動作を説明する。警報要否判定部107は、ステップST40で警報要否判定動作を開始すると、ステップST41で、接近検出部106からの接近検出情報S6の受信を待ち受け、当該接近検出情報S6を受信すると(ステップST41;Yes)、ステップST42に進む。
【0095】
ステップST42では、対象属性管理部105から、重畳した警戒エリアAR1及び影響エリアAR2の各監視対象IDに対応した属性情報を取得する。続くステップST43では、属性情報の組み合わせに基づき、警報種別判定テーブルを参照して、警報の要否及び種別を決定する。
【0096】
続くステップST44では、ステップST43で決定した警報の要否に基づいて、ステップST45に進むか又はステップST44に戻るかを判断する。具体的には、警報が必要と判断した場合には(ステップST44;Yes)、ステップST45に進んで、警報出力部108に警報種別を出力することで警報出力部108に警報出力を指示する。これに対して、警報が必要でないと判断した場合には(ステップST44;No)、ステップST41に戻る。またステップST45を終了すると、ステップST41に戻る。
【0097】
[10]表示部における表示
図19に、表示部109における表示例を示す。図19Aは、設定された警戒エリアAR1及び影響エリアAR2を、監視対象OB1、OB2を含む領域の撮像画像に合成して表示した例を示すものである。図19Bは、監視対象OB1、OB2が移動する領域の平面図上に、設定された警戒エリアAR1及び影響エリアAR2を示す図形を表示した例を示すものである。また、図19A及び図19Bの例では、警報出力部108から出力された警報種別と保護対象OB1のIDとに基づく警報110が表示されている。
【0098】
図19A及び図19Bに示すような表示画像を見れば、保護対象OB1と影響対象OB2との位置関係や、保護対象OB1の危険度等を容易に認識することができる。
【0099】
なお、図19A及び図19Bでは、警戒エリアAR1と影響エリアAR2の両方と、警報110を表示した例を示したが、影響エリアAR2の表示を省略して、警戒エリアAR1と警報110とを表示してもよい。
【0100】
[11]効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、保護対象OB1の位置を検出する位置検出部102と、保護対象OB1の位置と、保護対象OB1のIDに対応する属性(個別属性)と、保護対象OB1の状況属性(例えば速度)とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアAR1を設定する警戒エリア設定部103と、影響対象OB2の、警戒エリアAR1への侵入又は接近を検出する接近検出部106と、を設けたことにより、位置、形状及び大きさが、保護対象OB1の役職、権限、速度等に応じて柔軟に変化する警戒エリアAR1を設定できる。この結果、従来に比して、保護対象OB1の属性や状況に柔軟に対応した監視及び警告を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視システム100を実現できる。
【0101】
加えて、影響対象OB2の位置と、影響対象OB2のIDに対応する属性(個別属性)又は状況属性(例えば速度)とに基づく、位置、形状及び大きさの影響エリアAR2を設定する影響エリア設定部104を設け、警戒エリアAR1と影響エリアAR2とが重なった重畳領域に基づいて、保護対象OB1への影響対象OB2の接近を検出したので、保護対象OB1と影響対象OB2との間の関係に柔軟に対応した監視及び警告を行うことができ、実用上優れた動的エリア監視システム100を実現できる。
【0102】
本実施の形態によれば、例えば保護対象OB1に接近する影響対象OB2の不審度、権限等を設定可能である。また、例えば影響者OB2の接近速度が速い場合等に、早めに警報を出力することが可能である。
【0103】
なお、本実施の形態では、保護対象OB1及び影響対象OB2の状況属性として、保護対象OB1及び影響対象OB2の速度を用いた場合について述べたが、状況属性はこれに限らず、例えば後述するように、保護対象OB1及び影響対象OB2の時間属性や、空間属性を用いてもよい。
【0104】
(実施の形態2)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図20に、本実施の形態の監視システムの構成を示す。監視システム200は、実施の形態1の監視システム100(図1)の構成に加えて、時間属性管理部203と、空間属性管理部204とを有する。また監視システム200は、監視システム100と比較して、警戒エリア設定部201、影響エリア設定部202及び警報要否判定部205での処理内容が異なる。
【0105】
時間属性管理部203は、曜日及び時間帯等に応じて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2の大きさを変えるために、現在時刻がどの時間区分に属するかを示す時間区分情報を、警戒エリア設定部201、影響エリア設定部202及び警報要否判定部205に出力する。
【0106】
空間属性管理部204は、空間のセキュリティレベル等に応じて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2の大きさを変えるために、保護対象OB1及び影響対象OB2の位置を基に、保護対象OB1及び影響対象OB2がどのセキュリティゾーンに属するかを示すセキュリティレベル情報を、警戒エリア設定部201、影響エリア設定部202及び警報要否判定部205に出力する。
【0107】
図21に、時間属性管理部203に設けられる時間属性管理テーブルの例を示す。現在時刻を基に「該当する日付・曜日・時間帯」が決定され、「該当する日付・曜日・時間帯」に対応する「時間属性」が時間区分情報として出力される。
【0108】
図22Aに、空間属性管理部204に設けられる空間属性管理テーブルの例を示す。図22Bは、図22Aにおける「空間属性ID」と「空間属性」と「該当する空間領域」との対応関係を示す平面図である。図22Bにおける番号は、図22Aにおける「空間属性ID」を示すものである。保護対象OB1及び影響対象OB2の位置を基に「該当する空間領域」が決定され、「該当する空間領域」に対応する「空間属性」がセキュリティレベル情報として出力される。
【0109】
警戒エリア設定部201は、警戒エリア設定基準(図10)の基準形状パラメータに、時間属性に応じた拡大率及び空間属性(セキュリティレベル)に応じた拡大率を乗じることで、警戒エリアAR1を設定する。
【0110】
同様に、影響エリア設定部202は、影響エリア設定基準(図12)の基準形状パラメータに、時間属性に応じた拡大率及び空間属性(セキュリティレベル)に応じた拡大率を乗じることで、影響エリアAR2を設定する。
【0111】
図23及び図24に、時間属性及び空間属性に応じてエリア拡大率を変えた様子を示す。
【0112】
図23は、警戒エリア設定部201(影響エリア設定部202)が、時間属性に応じて警戒エリアAR1(影響エリアAR2)の拡大率を変更した様子を示したものである。警戒エリアAR1(影響エリアAR2)の拡大率は、図23Aに示す平日の勤務時間、図23Bに示す平日の勤務時間外、図23Cに示す休日の順に順次大きくされている。警戒エリアAR1及び又は影響エリアAR2を大きくするということは、警報の感度を大きくすることに相当する。つまり、本実施の形態によれば、時間に応じて警報感度を柔軟に変更することができる。
【0113】
図24は、警戒エリア設定部201(影響エリア設定部202)が、空間属性(セキュリティレベル)に応じて警戒エリアAR1(影響エリアAR2)の拡大率を変更した様子を示したものである。警戒エリアAR1(影響エリアAR2)の拡大率は、セキュリティレベルが低いゾーン、セキュリティレベルが中程度のゾーン、セキュリティレベルが高いゾーンの順に順次大きくされている。このようにすることで、本実施の形態によれば、監視対象OB1、OB2が存在する空間属性(セキュリティレベル)に応じて警報感度を柔軟に変更することができる。
【0114】
さらに、本実施の形態の警戒エリア設定部201及び影響エリア設定部202は、空間属性管理部204から監視対象OB1、OB2の位置に該当する空間領域の情報(図22)を取得し、その空間領域情報に基づいて、実際上不要な警戒エリア及び影響エリアを削除する。これにより、例えば保護対象OB1と影響対象OB2とが壁に仕切られた隣の部屋にいるといった、警報が不要な位置関係にある場合に、不必要な警報を出力することを回避できる。
【0115】
図25に、不要な領域が削除された警戒エリアAR1(影響エリアAR2)の様子を示す。警戒エリア設定部201(影響エリア設定部202)は、警戒エリア設定基準(影響エリア設定基準)に基づいて生成したエリアから、監視対象OB1、OB2が直接移動できない領域、すなわち監視対象OB1、OB2の現在位置を含む領域(図22における「該当する空間領域;部屋、廊下等」)以外を削除した領域を、警戒エリアAR1(影響エリアAR2)として設定する。
【0116】
さらに、本実施の形態の警戒エリア設定部201は、図26Aに示すように、保護対象OB1の現在位置の空間属性に基づいて見通し外(死角)の領域を計算し、この死角領域を含めた警戒エリアAR1を設定する。また、図26Bに示すように、保護対象OB1が死角領域に接近した場合には、死角領域にまで延長した警戒エリアAR1を設定する。
【0117】
次に、本実施の形態の警戒エリア設定部201及び影響エリア設定部202の動作について説明する。
【0118】
図27に、警戒エリア設定部201の動作を示す。警戒エリア設定部201は、ステップST50で警戒エリア設定動作を開始すると、ステップST51で、位置検出部102からの保護対象OB1の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST51;Yes)、ステップST52に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。
【0119】
続くステップST53では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。
【0120】
続くステップST54では、時間属性管理部203から現在時刻に対応した時間属性情報を取得し、ステップST55では、空間属性管理部204から保護対象OB1の位置に対応した空間属性情報を取得する。なお、当然、ステップST54とステップST55の手順は逆でもよく、並列して行ってもよい。
【0121】
続くステップST56では、保護対象OB1の現在位置と過去位置とから保護対象OB1の速度ベクトルV1を算出する。
【0122】
続くステップST57では、保護対象OB1の属性情報及び速度ベクトルV1と、警戒エリア設定基準とに基づいて、警戒エリア情報を生成する。
【0123】
続くステップST58では、ステップST57で生成した警戒エリア情報に、ステップST54で取得した時間属性及びステップST55で取得した空間属性(セキュリティレベル)に応じた拡大率を乗じることで、警戒エリア情報を更新する。
【0124】
続くステップST59では、ステップST55で取得した空間属性(空間構造)に基づいて、警戒エリアから保護対象OB1が直接移動できない領域を削除する(図25参照)ことで、警戒エリア情報を更新する。
【0125】
続くステップST60では、ステップST55で取得した空間属性(空間構造)に基づいて、保護対象OB1の移動方向にある死角を求め、死角領域を警戒エリアに加える(図26参照)ことで、警戒エリア情報を更新する。なお、ステップST58、ステップST59、ステップST60の手順は順番を入れ換えてもよい。
【0126】
続くステップST61では、警戒エリア情報S4を接近検出部106及び表示部109に送出する。警戒エリア設定部201は、ステップST61の処理が終了すると、ステップST51に戻る。なお、ステップST51とステップST52の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST53以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0127】
次に、影響エリア設定部202の動作を説明する。図28に示すように、影響エリア設定部202は、ステップST70で影響エリア設定動作を開始すると、ステップST71で、位置検出部102からの影響対象OB2の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST71;Yes)、ステップST72に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。なお、IDは受信されなくてもよい。
【0128】
続くステップST73では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。
【0129】
続くステップST74では、時間属性管理部203から現在時刻に対応した時間属性情報を取得し、ステップST75では、空間属性管理部204から影響対象OB2の位置に対応した空間属性情報を取得する。なお、当然、ステップST74とステップST75の手順は逆でもよく、並列して行ってもよい。
【0130】
続くステップST76では、影響対象OB2の現在位置と過去位置とから影響対象OB2の速度ベクトルV2を算出する。
【0131】
続くステップST77では、影響対象OB2の属性情報及び速度ベクトルV2と、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報を生成する。
【0132】
続くステップST78では、ステップST77で生成した影響エリア情報に、ステップST74で取得した時間属性及びステップST75で取得した空間属性(セキュリティレベル)に応じた拡大率を乗じることで、影響エリア情報を更新する。
【0133】
続くステップST79では、ステップST75で取得した空間属性(空間構造)に基づいて、影響エリアから影響対象OB2が直接移動できない領域を削除する(図25参照)ことで、影響エリア情報を更新する。なお、ステップST78、ステップST79の手順は順番を入れ換えてもよい。
【0134】
続くステップST80では、影響エリア情報S5を接近検出部106及び表示部109に送出する。影響エリア設定部202は、ステップST80の処理が終了すると、ステップST71に戻る。なお、ステップST71とステップST72の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST73以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1の構成に加えて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2の形状又は大きさを、保護対象OB1及び影響対象OB2の時間属性、空間属性に基づいて変更したことにより、実施の形態1の効果に加えて、保護対象OB1及び影響対象OB2の状況に応じた、一段と柔軟な監視及び警告を行うことができ、実用上一段と優れた動的エリア監視システム200を実現できる。
【0136】
例えば、保護対象OB1の周囲環境に合わせた形状の警戒エリアAR1を設定することができるので、後方又は物陰からの不審者(影響対象OB2)を早めに検知できる。つまり、障害物(柱、曲がり角等)によって保護対象OB1の死角が生じる場合でも不審者を検知することができる。また、不必要な領域を警戒エリアAR1及び影響エリアAR2から除外することができるので、実際上不必要な警報が出力されることを回避できる。
【0137】
なお、本実施の形態では、時間属性及び空間属性に基づいて、警戒エリアAR1と影響エリアAR2の両方を変更する場合について述べたが、警戒エリアAR1又は影響エリアAR2のいずれか一方のみを変更してもよい。
【0138】
(実施の形態3)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図29に、本実施の形態の監視システムの構成を示す。監視システム300は、実施の形態1の監視システム100(図1)の構成に加えて、物品検出部303と、物品属性管理部304とを有する。また監視システム300は、監視システム100と比較して、警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302での処理内容が異なる。
【0139】
物品検出部303は、物品310の、IDと、位置と、使用状況とを検出し、検出結果を警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302に送出する。なお、図29では、物品の例としてパソコン310が示されているが、物品はこれに限らない。
【0140】
警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302は、物品310のIDに対応した物品属性(例えば物品の大きさ等)を、物品属性管理部304から取得する。
【0141】
警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302は、物品の位置、物品の属性及び又は物品の使用状況に応じて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2を変更する。
【0142】
ここで、物品検出部303は、物品の位置及び物品のIDを、例えば物品に装着された無線タグから受信した信号に基づいて取得すればよい。
【0143】
また、物品検出部303は、物品の使用状況を、例えば画像認識や音検知によって検出すればよい。ここで物品の使用状況とは、例えば物品が使用されているか否かである。物品検出部303は、例えば人物の動作解析、又は物品の発光状態・出力音状態等の様態の変化を、画像認識や音検知によって検出することで、物品が使用されているか否かを検出することができる。
【0144】
なお、物品検出部303による物品の使用状況の検出方法は、画像認識や音検知よる方法に限らない。例えば、物品が無線通信機能を有する機器であれば、物品の電源がONされて使用中である旨を示す信号を、無線通信機能を用いて物品検出部303に無線で伝えてもよい。この無線通信機能は、例えば双方向通信機能を有する無線タグを用いて実現可能である。
【0145】
また、例えば、物品がネットワーク接続機能を有する電気機器であれば、物品の電源がONされて使用中である旨を示す信号を、ネットワーク経由で物品検出部303に伝えてもよい。
【0146】
本実施の形態の警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302は、物品の位置と、物品の使用状況と、物品属性管理部304から取得した物品の属性とに応じて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2の形状・大きさを変更する。
【0147】
警戒エリアの変更例 : 保護対象OB1がノートパソコンを使用中であれば、保護対象OB1が着座時に停止中(速度ゼロ)であっても、保護対象OB1の背後に警戒エリアAR1を設定する。実施の形態1で示した式(2)に従えば、保護対象OB1の速度がゼロの場合、警戒エリアの形状パラメータはゼロとなってしまうが、パソコンが使用中であることが検出されたら、速度ゼロでも警戒エリアを設定する。
【0148】
影響エリアの変更例 : 影響対象OB2が長い物体(物品)を運搬している場合等は、物体形状(すなわち物品属性)に合わせて影響エリアAR2を大きくする。また、撮影部101から得られた画像に基づいて、位置検出部102の画像処理部が影響対象OB2の顔の向きを判定し、影響対象の顔の向きに影響エリアの主軸ベクトルを合わせると、さらに好ましい。
【0149】
次に、本実施の形態の警戒エリア設定部301及び影響エリア設定部302の動作について説明する。
【0150】
図30に、警戒エリア設定部301の動作を示す。警戒エリア設定部301は、ステップST90で警戒エリア設定動作を開始すると、ステップST91で、位置検出部102からの保護対象OB1の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST91;Yes)、ステップST92に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。
【0151】
続くステップST93では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。続くステップST94では、保護対象OB1の現在位置と過去位置とから保護対象OB1の速度ベクトルV1を算出する。
【0152】
続くステップST95では、物品検出部303から物品のID・位置・使用状況を受信したか否か判断し、物品のID・位置・使用状況を受信したと判断した場合(ステップST95;Yes)にはステップST96に移り、受信していないと判断した場合(ステップST95;No)にはステップST99に移る。
【0153】
ステップST96では、物品属性管理部304から、物品のIDに対応する物品属性情報を取得する。続くステップST97では、保護対象OB1の属性情報及び速度ベクトルV1と、警戒エリア設定基準と、物品の位置・属性・使用状況とに基づいて、警戒エリア情報S4を生成する。続くステップST98では、警戒エリア情報S4を接近検出部106及び表示部109に送出する。
【0154】
一方、ステップST95で否定結果が得られ、ステップST99に移ると、警戒エリア設定部301は、保護対象OB1の属性情報及び速度ベクトルV1と、警戒エリア設定基準とに基づいて、警戒エリア情報S4を生成し、ステップST98に進む。
【0155】
警戒エリア設定部301は、ステップST98の処理が終了すると、ステップST91に戻る。なお、ステップST91とステップST92の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST93以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0156】
図31に、影響エリア設定部302の動作を示す。影響エリア設定部302は、ステップST100で影響エリア設定動作を開始すると、ステップST101で、位置検出部102からの影響対象OB2の位置及びIDの受信を待ち受け、当該位置及びIDを受信すると(ステップST101;Yes)、ステップST102に進み、受信した位置及びIDを一時記憶する。なお、IDは受信されなくてもよい。
【0157】
続くステップST103では、対象属性管理部105から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。続くステップST104では、影響対象OB2の現在位置と過去位置とから影響対象OB2の速度ベクトルV2を算出する。
【0158】
続くステップST105では、物品検出部303から物品のID・位置・使用状況を受信したか否か判断し、物品のID・位置・使用状況を受信したと判断した場合(ステップST105;Yes)にはステップST106に移り、受信していないと判断した場合(ステップST105;No)にはステップST109に移る。
【0159】
ステップST106では、物品属性管理部304から、物品のIDに対応する物品属性情報を取得する。続くステップST107では、影響対象OB2の属性情報及び速度ベクトルV2と、影響エリア設定基準と、物品の位置・属性・使用状況とに基づいて、影響エリア情報S5を生成する。続くステップST108では、影響エリア情報S5を接近検出部106及び表示部109に送出する。
【0160】
一方、ステップST105で否定結果が得られ、ステップST109に移ると、影響エリア設定部302は、影響対象OB2の属性情報及び速度ベクトルV2と、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S5を生成し、ステップST108に進む。
【0161】
影響エリア設定部302は、ステップST108の処理が終了すると、ステップST101に戻る。なお、ステップST101とステップST102の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST103以降の処理は記憶された位置・IDを用いて行ってもよい。
【0162】
また図示していないが、ステップST107において、撮像部101が撮影した影響対象OB2の画像を位置検出部102が処理して得られた影響対象OB2の顔の向き情報を用いて、影響エリア情報S5を設定するようにしてもよい。
【0163】
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1の構成に加えて、保護対象OB1又は影響対象OB2が使用する物品の、位置、属性及び使用状況を検出する物品検出部を設け、物品の、位置、属性及び使用状況に基づいて、警戒エリアAR1及び影響エリアAR2を設定したので、実施の形態1の効果に加えて、物品の使用状況に応じた、一段と柔軟な監視及び警告を行うことができ、実用上一段と優れた動的エリア監視システム300を実現できる。
【0164】
例えばコンピュータディスプレイの後ろ等、覗き見が不可能な位置を警告エリアAR1から除外することができるので、誤警報を抑止できる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の動的監視システムは、保護対象と影響対象との間の関係に柔軟に対応した監視を行うことができ、例えば警報を発する警報システムや、覗き見防止システム等に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の実施の形態1に係る監視システムの構成を示すブロック図
【図2】警戒エリアが速度に応じて変化する様子を示す図であり、図2Aは保護対象の速度が小さい場合の警戒エリアを示す図、図2Bは保護対象の速度が大きい場合の警戒エリアを示す図
【図3】警戒エリアの形状の例を示す図であり、図3Aは円形状、図3Bは扇形状、図3Cは三角形状、図3Dは矩形形状、図3Eは台形形状、図3Fは台形と円とを複合した形状、図3Gは楕円と矩形と楕円とを複合した形状を示す図
【図4】影響エリアが速度に応じて変化する様子を示す図であり、図4Aは影響対象の速度が小さい場合の影響エリアを示す図、図4Bは影響対象の速度が大きい場合の影響エリアを示す図
【図5】影響エリアの形状の例を示す図であり、図5Aは円形状、図5Bは扇形状、図5Cは三角形状、図5Dは矩形形状、図5Eは台形形状、図5Fは台形と円とを複合した形状、図5Gは三角と楕円とを複合した形状を示す図
【図6】警戒エリア設定部から出力される警戒エリア情報の例を示す図
【図7】影響エリア設定部から出力される影響エリア情報の例を示す図
【図8】形状タイプ毎の、基準点及び形状パラメータの説明に供する図であり、図8Aは形状タイプが円の場合、図8Bは形状タイプが楕円の場合、図8Cは形状タイプが扇形の場合、図8Dは形状タイプが三角形の場合、図8Eは形状タイプが矩形の場合、図8Fは形状タイプが台形の場合の基準点及び形状パラメータを示す図
【図9】対象属性管理部に設けられた対象属性管理テーブルの例を示す図
【図10】警戒エリア設定部による警戒エリアの設定基準の例を示す図
【図11】図11A〜図11Cは、各「属性」に対する、オフセットと、保護対象位置と、基準点と、の関係を示す図
【図12】影響エリア設定部による影響エリアの設定基準の例を示す図
【図13】図13A〜図13Cは、各「属性」に対する、オフセットと、影響対象位置と、基準点と、の関係を示す図
【図14】警報要否判定部に設けられた警報種別判定テーブルの例を示す図
【図15】警戒エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図16】影響エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図17】接近検出部の動作の動作を示すフローチャート
【図18】警報要否判定部の動作を示すフローチャート
【図19】表示部における表示例を示す図であり、図19Aは設定された警戒エリア及び影響エリアを、監視対象を含む領域の撮像画像に合成して表示した例を示す図、図19Bは監視対象が移動する領域の平面図上に、設定された警戒エリア及び影響エリアを示す図形を表示した例を示す図
【図20】実施の形態2の監視システムの構成を示すブロック図
【図21】時間属性管理部に設けられる時間属性管理テーブルの例を示す図
【図22】図22Aは空間属性管理部に設けられる空間属性管理テーブルの例を示す図、図22Bは図22Aにおける「空間属性ID」と「空間属性」と「該当する空間領域」との対応関係を示す平面図
【図23】警戒エリア設定部(影響エリア設定部)が、時間属性に応じて警戒エリア(影響エリア)の拡大率を変化させる様子を示す図であり、図23Aは平日の勤務時間の設定エリアを示す図、図23Bは平日の勤務時間外の設定エリアを示す図、図23Cは休日の設定エリアを示す図
【図24】警戒エリア設定部(影響エリア設定部)が、空間属性(セキュリティレベル)に応じて警戒エリア(影響エリア)の拡大率を変化させる様子を示す図
【図25】不要な領域が削除された警戒エリア(影響エリア)の様子を示す図
【図26】図26Aは現在位置の空間属性に基づいて死角を含めた警戒エリアを設定する様子を示し、図26Bは死角領域にまで延長した警戒エリアを設定する様子を示す図
【図27】警戒エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図28】影響エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図29】実施の形態3の監視システムの構成を示すブロック図
【図30】警戒エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図31】影響エリア設定部の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0167】
100、200、300 監視システム
101 撮像部
102 位置検出部
103、201、301 警戒エリア設定部
104、202、302 影響エリア設定部
105 対象属性管理部
106 接近検出部
107、205 警報要否判定部
108 警報出力部
109 表示部
203 時間属性管理部
204 空間属性管理部
303 物品検出部
304 物品属性管理部
310 物品
AR1 警戒エリア
AR2 影響エリア
OB1 保護対象
OB2 影響対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象の位置を検出する位置検出手段と、
前記保護対象の位置と、前記保護対象の個別属性と、前記保護対象の状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアを設定する警戒エリア設定手段と、
前記保護対象以外の対象である他の対象の、前記警戒エリアへの侵入又は接近を検出する接近検出手段と、
を具備する動的エリア監視装置。
【請求項2】
前記他の対象の位置と、前記他の対象の個別属性又は状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの影響エリアを設定する影響エリア設定手段を、さらに具備し、
前記接近検出手段は、前記警戒エリアと前記影響エリアとが重なった重畳領域に基づいて、前記保護対象への前記保護対象以外の対象の接近を検出する、
請求項1に動的エリア監視装置。
【請求項3】
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象の移動速度に応じて、前記警戒エリアの形状又は大きさを変更する、
請求項1又は請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項4】
前記影響エリア設定手段は、前記他の対象の移動速度に応じて、前記影響エリアの形状又は大きさを変更する、
請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項5】
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象の時間属性に基づいて、前記警戒エリアの形状又は大きさを変更する、
請求項1又は請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項6】
前記影響エリア設定手段は、前記他の対象の時間属性に基づいて、前記影響エリアの形状又は大きさを変更する、
請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項7】
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象の空間属性に基づいて、前記警戒エリアの形状又は大きさを変更する、
請求項1又は請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項8】
前記空間属性は、各空間領域のセキュリティレベルを示すものであり、
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象が位置する空間領域のセキュリティレベルが高いほど、前記警戒エリアを大きくする、
請求項7に記載の動的エリア監視装置。
【請求項9】
前記空間属性は、各空間領域の構造を示すものであり、
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象が位置する空間領域の構造に基づいて、移動が制限されるエリアを前記警戒エリアから除外する、
請求項7に記載の動的エリア監視装置。
【請求項10】
前記空間属性は、各空間領域の構造を示すものであり、
前記警戒エリア設定手段は、前記保護対象が位置する空間領域の構造に基づいて、前記保護対象の死角となるエリアを前記警戒エリアに含める、
請求項7に記載の動的エリア監視装置。
【請求項11】
前記保護対象が使用する物品の、位置、属性及び使用状況を検出する物品検出手段を、さらに具備し、
前記警戒エリア設定手段は、前記物品の、位置、属性及び使用状況に基づいて、前記警戒エリアを設定する、
請求項1又は請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項12】
前記他の対象が使用する物品の、位置、属性及び使用状況を検出する物品検出手段を、さらに具備し、
前記影響エリア設定手段は、前記物品の、位置、属性及び使用状況に基づいて、前記影響エリアを設定する、
請求項2に記載の動的エリア監視装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の動的エリア監視装置と、
前記接近検出手段の検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否判定手段と、
前記警報要否判定手段によって警報要の判定がなされた場合に警報を出力する警報手段と、
を具備する動的エリア監視システム。
【請求項14】
前記警報要否判定手段は、保護対象の個別属性と、前記保護対象以外の対象である他の対象の個別属性とに基づいて、前記警報の要否及び/又は警報の種別を判定する、
請求項13に動的エリア監視システム。
【請求項15】
請求項2に記載の動的エリア監視装置と、
前記接近検出手段の検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否判定手段と、
前記警報要否判定手段によって警報要の判定がなされた場合に警報を出力する警報手段と、
前記保護対象を含む領域の撮像画像を取得する撮像手段と、
表示手段と、
を具備し、
前記表示手段は、前記撮像画像に基づく前記保護対象の画像と、前記動的エリア監視装置で設定された警戒エリア及び/又は影響エリアと、前記警報手段から出力された警報と、を表示する、
動的エリア監視システム。
【請求項16】
請求項2に記載の動的エリア監視装置と、
前記接近検出手段の検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否判定手段と、
前記警報要否判定手段によって警報要の判定がなされた場合に警報を出力する警報手段と、
前記保護対象を含む領域の撮像画像を取得する撮像手段と、
を具備する動的エリア監視システムに用いられる動的エリア監視用表示装置であって、
前記撮像画像に基づく前記保護対象の画像と、前記動的エリア監視装置で設定された警戒エリア及び/又は影響エリアと、前記警報手段から出力された警報と、を表示する、
動的エリア監視用表示装置。
【請求項17】
保護対象の位置を検出する位置検出ステップと、
前記保護対象の位置と、前記保護対象の個別属性と、前記保護対象の状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの警戒エリアを設定する警戒エリア設定ステップと、
前記保護対象以外の対象である他の対象の、前記警戒エリアへの侵入又は接近を検出する接近検出ステップと、
を含む動的エリア監視方法。
【請求項18】
前記他の対象の位置と、前記他の対象の個別属性又は状況属性とに基づく、位置、形状及び大きさの影響エリアを設定する影響エリア設定ステップを、さらに含み、
前記接近検出ステップでは、前記警戒エリアと前記影響エリアとが重なった重畳領域に基づいて、前記保護対象への前記保護対象以外の対象の接近を検出する、
請求項17に記載の動的エリア監視方法。
【請求項19】
前記接近検出ステップで得た検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否ステップと、
前記警報要否判定ステップにおいて警報要と判定した場合に警報を出力する警報ステップと、
をさらに含む、請求項17又は請求項18に記載の動的エリア監視方法。
【請求項20】
前記接近検出ステップで得た検出結果に基づいて、警報の要否を判定する警報要否判定ステップと、
前記警報要否判定ステップにおいて警報要の判定した場合に警報を出力する警報ステップと、
前記保護対象を含む領域の撮像画像を取得する撮像ステップと、
表示ステップと、
をさらに含み、
前記表示ステップでは、前記撮像画像に基づく前記保護対象の画像と、前記警戒エリア及び/又は影響エリアと、前記警報ステップで出力された警報と、を表示する、
請求項18に記載の動的エリア監視方法。
【請求項21】
保護対象の、位置と属性とに基づいて設定された警戒エリアと、前記保護対象以外の他の対象の、位置と属性とに基づいて設定された影響エリアと、のうちの両方又は警戒エリアのみと、
前記警戒エリアと前記影響エリアとに基づいて判定された警報と、
前記保護対象を含む領域の撮像画像と、
を同一画面上に表示する、
動的エリア監視用表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−102511(P2010−102511A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273440(P2008−273440)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】