説明

動的加硫により熱可塑性エラストマーを調製する方法

動的加硫された熱可塑性エラストマーの調製方法を開示する。この方法は、高せん断条件で、A)少なくとも1つの熱可塑性エンジニア樹脂、B)少なくとも1つの加硫可能なゴム、C)1つ又は複数の硬化剤、D)少なくとも0.05mmの効果的な直径を有する固形粒子形状の少なくとも1つの追加的な熱可塑性エンジニア樹脂を溶融混合する工程を含む。前記固形粒子D)はC)の添加の前、間、及び後、あるいはこれらの組合せのいずれかであり、且つB)の加硫が実質的に完了する前に溶融しているA)、B)に添加する。本発明の方法は熱可塑性エンジニアリング樹脂の分解又は好ましくない副反応を避け、ゴムの硬化又は架橋の間の反応熱を制御する手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動的加硫により熱可塑性エラストマーを製造する方法に関する。熱可塑性エラストマーは熱成形できる点において可塑物であり、弾性を有するという点で弾性体である。熱可塑性加硫物は、架橋されたゴムがエンジニア樹脂の熱可塑相内に分散されたエラストマー相の粒子を形成し、エラストマー性質を与える熱可塑性エラストマーの一つのクラスである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性加硫エラストマー、又はTPV組成物は、従来動的加硫により製造されている。動的加硫は、激しい剪断及び混合条件下の、熱可塑性物質の融点以上の温度で、少なくとも1つの非加硫熱可塑性ポリマー組成物のブレンドのゴム成分を架橋し、又は加硫する工程を言う。例としては、米国特許No.4,130,535、4,594,390、及び6,147,260参照のこと。動的加硫される熱可塑性エラストマー(熱可塑性加硫物)は熱可塑性及び弾性の両方の性質を有する。
【0003】
従来のプラスチック処理装置は押出し成形か射出成形又は、他の方法で成形し、TPV組成物を有用な製品に圧縮及び成形することが可能であった。これらの可塑性加硫物は、軽く、耐久性が良いので魅力的であり、製品の使用が終ったあとに、新たな製品に加工し直すことができた。このような理由から、熱可塑性加硫物は工業的に広く使用されている。例えば、ダッシュボード、バンパー、空気ダクト、ウェザーシール、液体シール、及び他のフード製品等の自動車用部品;機械のギア、歯車、タイヤ、及びドライブベルトとして;電子機器のケース及び断熱材として;カーペット、服、及び寝具類に用いる繊維として;、枕及びマットレスの充填剤として;建築物のエキスパンションジョイントに使用されている。これらは、日用品においても幅広く使用されており、加工がしやすく、他のプラスチックのように着色が可能であり、及び、ゴムのような「ソフトタッチ」又は跳ね返り性質を有する、例えば、より硬いプラスチック、又は金属への基盤素材、又はそれらの一部分となりうるエラストマー的性質を有する。
【0004】
熱可塑性加硫物は、バンバリミキサー、ロールミキサー、及び剪断、溶融加工混合のタイプにおける動的加硫により調製される。製造には連続プロセスが有利であることから、そのような物質は、単軸又は多軸押出成形において製造することができ、通常2軸押出成形が用いられる。通常25mm乃至約380mmのスクリューを有する2軸押出成形器を用いる。そのような押出成形器は、剪断及び混合のエネルギー及び架橋反応の発熱のいずれか又は両者を原因とする「ホットスポット」が部分的に生じる。このホットスポットは、熱可塑性樹脂又はゴムのいずれかのポリマーを分解し、反応物質の好ましくない反応を導き、表面にスポットが生じること等により、得られた最終製品の品質を低下させる原因となっている。幾つかの熱可塑性物質は、ゴムの硬化剤、又は架橋剤に対して、望まれない、拒否反応も有する。
【0005】
2軸押出成形器を用いることによる。表面スポット、表面のでこぼこ、又は「フィッシュアイ」の問題は、シート又は表面に動的加硫が行われる時に観られる。EP1207034A1はこの問題について言及し、剪断力による熱生成が低くなるように設計されたスクリューを配置する解決策を提案し、フィッシュアイが減少したことを報告している。同様にEP0769361は、温度上昇により増加する分散と反応速度の間のアンバランスが生じる温度の上昇を原因とする小さい突起(フィッシュアイ)の形成及び外観の劣化について報告している。この問題を解決する方法としてスクリューの形状設計が再度提案されている。
【0006】
米国特許No.6,610,786Blは、押出成形の押出ダイの周りにゴム状の塊の付着する傾向が少ない熱可塑性エラストマーを開示する。ゴムの過酸化硬化工程の間に存在するポリプロピレン(PP)の量を少なくして、後に溶融捏練されたPPをゴムの硬化の後で導入する工程が、前記事実に寄与していると報告されている。
【0007】
発明の概要
本発明は、動的加硫、特に熱可塑性樹脂と硬化剤との間に拒否反応が生じ、又は動的加硫の間に生じる局所的な反応熱を制御すべき場合が、熱可塑性エラストマーの押出成形体上において表面スポットが形成されるような動的加硫によって調製される熱可塑性エラストマーの性質を改善することに関する。このことは、
A)少なくとも1つの熱可塑性エンジニア樹脂と、
B)少なくとも1つの加硫ゴムと、
C)1つ又は複数の硬化剤と、
D)少なくとも0.05mmの有効直径を有する固形粒子形態の少なくとも1つの追加的な熱可塑性エンジニア樹脂とを
高剪断条件下の溶融プロセスで処理することにより達成される。C)を添加する前、間、又は後のいずれでもよいが、B)の加硫が実質的に終了する前に前記固形粒子D)はA)とB)の溶融物に添加する。この工程はB)の加硫が完了する前、完了時、完了後、又はこれらの組み合わせの期間中に少なくとも1つのプロセスオイルを添加する、1つ以上の工程を含む。
【0008】
前記工程は、硬化剤C)が有機過酸化化合物を含み、前記熱可塑性エンジニア樹脂A)がプロピレンベース樹脂又はエチレンベースホモポリマー、あるいはこれらのコポリマーであり、及び前記固形粒子D)が、前記エンジニア樹脂A)と同じか又は異なる、プロピレンブース又はエチレンバースホモポリマー又はこれらのコポリマーを含むときが特に好ましい。
【0009】
特に好適な態様において、本発明は高剪断条件下で、
A)DSCによる融点(Tm)約80℃乃至180℃、及びASTM−D1238(230℃、及び2.16kg)によるメルトフローレイト(MFR)1.2dg/分未満のを有するプロピレンベースホモポリマー又はコポリマーと
B)EPDMゴムと、
C)少なくとも1つの有機過酸化硬化剤と、
D)A)と同じか又は異なる追加のプロピレンベースホモポリマー又はコポリマー固形粒子を、高剪断条件下において、溶融加工する工程を含む動的加硫された熱可塑性エラストマーの調製方法である。前記固形粒子D)はB)の加硫が実質的に完了する前に前記溶融加工の間に添加される。
【0010】
発明の詳細な説明
熱可塑性の動的加硫されたエラストマーは、最低限、1つ以上の熱可塑性エンジニア樹脂及び架橋された又は加硫されたゴム分散相を含む。良く加硫することが可能であるならば、このゴム相は1つより多いゴム成分を含むことができる。架橋されていないエラストマーを含む追加的な未架橋熱可塑性樹脂も、連続熱可塑性相に含むことができ、場合により、架橋されたゴム相に部分的に取り込まれる。従って、界面接着が高まり、連続相と分散相との適合性が高まる。ゴムに用いる任意のエキステンダーオイルに加えてプロセスオイル又は他のポリマー成分は任意で導入して、この工程の各箇所における改善をすることができる。従来使用されている充填剤、強化繊維、添加剤、着色剤等が溶融加工からのTPV組成物の押出成形の前又は後に添加することができる。そのような物質の例としては、米国特許No.3,037,954、米国特許No.4,311,628、米国特許No.4,594,390、米国特許No.4,654,402、米国特許No.5,397,839、米国特許No.5,589,544、米国特許No.5,656,693、米国特許No.5,672,660、米国特許No.5,783,631、米国特許No.5,910,543及び米国特許No.6,207,752に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用し、前記文献に記載の好適な熱可塑性物質、ゴム、硬化剤、添加剤、オイル、充填剤等を援用する。TPV組成物は典型的には、プラスチック処理の分野において通常用いられる方法によりペレット化されている。この調製されたTPVペレットは、従来用いられている他の成分又は添加剤と共に、更なる溶融加工を行い、最終製品に加熱塑性変形し、又は成形される。
【0011】
共連続相形態又は相逆転も、樹脂に対するゴムの量、及び加硫の程度により可能であるが、通常TPVのゴム成分は連続熱可塑性基質中に分散している小さい、すなわち、ミクロサイズの粒子として存在する。このゴムは少なくとも部分的に加硫され、大部分は、好ましくは、完全に加硫(架橋)される。
【0012】
適したゴム硬化剤を可塑性物質及びゴムのブレンドに添加し、熱可塑性エンジニア樹脂の粒子が、ゴムの加硫又は硬化の間に存在しているように前記熱可塑性エンジニア樹脂の固形粒子を1つ以上の位置に導入し、加硫条件下でゴムを好適な程度に加硫することにより一部又は全部の架橋を達成することができる。例えば、前述の従来技術のように、そのような相的加硫条件は良く知られている。これらの開示、これらの関連する動的加硫条件及び方法は、当業者が本発明を実施するのに好適であり、参照により本明細書に援用される。Abdou-Sabet,R.C. Puydak, and C.P. Rader,“Dynamically Vulcanized Thermoplastic Elastomers”, Rubber Chemistry and Technology, V. 69, No. 3, July-August 1996も参照のこと。該文献を参照により本明細書に援用する。他のポリマー成分及び任意の添加剤、充填剤、オイル等も効果的な溶融混合を確実にするために添加されるが、ゴムの架橋反応が実質的に完了する前、またはこれに続いて、又はそのような導入時点の組合せにより添加することができる。硬化剤とそのような添加剤成分との相互作用、又は添加剤と硬化剤との逆相互作用を考慮した処置をすることができる。そのような選択は、当業者の技術範囲内であり、当業者は容易に決定することができる。
【0013】
当業者は加硫剤の好適な量及び種類、所望の加硫を達成するための条件を承知している。エラストマー成分の加硫条件に好適であり、組成物の熱可塑性オレフィンポリマー成分に適している限り、任意の架橋システムを用いることができる。架橋剤(硬化剤)は、硫酸、硫酸供与体、金属酸化物、フェノール樹脂システム、マレイミド、ペルオキシドベースシステム、ヒドロシレーションシステム、高エネルギー照射等を含み、開始剤、促進剤、触媒及び他の共同剤を用いてもよい。米国特許No.4,311,628、6,207,752及び6,291,587に記載の硬化剤システムは、特に好適であり、本明細書に援用する。硬化剤及び他の共同剤も例えば、供給口で一緒に添加することができ、又は例えば、1つの供給口と硬化を開始する1つの更なる下流ポイントにおいて別々に添加することもできる。
【0014】
本発明の実施において、一般に用いられている各種成分の量は当業者により従来より用いられているものである。そのような量は通常、ゴム(又はエラストマー性ポリマー)100重量部当たりの特定の成分の重量部である「phr」の単位で示される。従って、A)熱可塑性樹脂及びD)熱可塑性樹脂の固形粒子からの熱可塑性物質の総量は、約2乃至400phr、通常約5乃至約350、より具体的には約20乃至約300phrの範囲で変動し得る。樹脂A)に対する固形粒子D)の比は、A)とD)との合計に対するD)の割合として表すのが最も良い。それ故、D)粒子は、A)とD)の合計量の5乃至95wt%、好ましくは15乃至90wt%を占めるような量で用いられる。
【0015】
本発明のプロセスは、特に、溶融ブレンド又は架橋反応の間に試薬同士の好ましくない相互作用が生じるおそれのあるような動的加硫に適している。例えば、フリーラジカルを形成する架橋剤は、それにより化学的に分解され、又は架橋剤で架橋され得る1つ以上の熱可塑性樹脂の存在下で使用することができる。例えば、プロピレンホモポリマー又はコポリマー鎖は、過酸化物ベース又はフリーラジカル源、架橋剤、又は硬化剤の存在下においてベータ切断反応を受ける。ポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーはフリーラジカル源の存在下で好ましくない架橋反応を受ける。例えば、反応性を有する溶融状態での球状のプロピレンベース、又はエチレンベース熱可塑性ポリマーの存在下の減少、及び固形状態では反応性に乏しい固形捏可塑性粒子の導入は、ゴム硬化反応において硬化剤を一層利用可能にし、架橋反応の反応動態を高め、その結果熱可塑性樹脂の架橋やベータ切断の降下を少なくする。同様に、ポリエステル熱可塑性樹脂はフェノール樹脂の硬化システムを用いるとハロゲン供与体により分解されるので、前記可塑性物質の少なくとも一部分が、硬化ゾーン又はその近くで固形粒子として添加される本願発明の方法を用いることが有利である。粘着性等を改善する目的で、反応性の官能基を有する幾つかの官能化されたポリマーも前記可塑性樹脂として用いることができるが、硬化剤により阻害される。例としては、過酸化物硬化剤と反応するとゴム全体の架橋が減る、PP−g−Manhのような無水マレイン酸官能化プラスチックがある。官能化されたプラスチックの少なくとも一部分を固形粒子として提供することは、硬化反応時間の有意な部分を通じて、硬化剤との相互作用を減らすことになる。
【0016】
更に、固形粒子がその場で融解して熱を吸収するので、反応器内の局所的な熱制御が可能となる。これに加えて、例えば、溶融加工装置の外部冷却、例えば、押出成形器の溶融被覆又はバレル、及び押出成形器のスクリュー配置の再構築等の、従来の熱制御手段も用いることができる。更に、溶融加工器における混合ブレード、スクリュー内又はこれらの周辺の前記熱可塑性固形粒子の動的運動は溶融熱可塑性樹脂中の、ポリマー鎖及びポリマー鎖の蓄積に影響する剪断力を高め、その結果一層効果的な混合と、分散しているゴム粒子サイズの減少が生じると考えられる。このことは動的加硫工程の効率を高めることになる。これらの反応制御の利点は、全ての好適な熱可塑性物質及び架橋可能なゴムに適用することができ、前述の熱可塑性樹脂と硬化剤との相互作用を避けることが出来る点にある。
【0017】
本発明の最大効果を引き出すために、溶融装置内においてゴムの硬化が始まる前、又は硬化の直後に固形粒子を溶融ポリマー素材に添加することができる。例えば、2軸又はより多くの多軸押出成形器の硬化ゾーンの直前に、又は硬化ゾーンに入った直後に、サイドフィーダー又はクラマーフィーダーを用いて、前記粒子が約1000℃以下の素材温度を有するときに添加することができる。室温より低い温度(20℃)が固形粒子にとって好ましいが、存在している水分又は酸素は吸引又は他の手段により最小化されるべきである。特に、酸素を除去するための窒素パージを使用することが好ましい。前記固形ペレット、例えば、ペレット、又は顆粒等の他の粒子物質等は通常、約1乃至7mm、又はこれ以上の直径の平均粒子サイズを有しているが、約2乃至5mmの粒子サイズが好ましい。
【0018】
他の態様において、前記固形粒子が反応工程に溶融熱可塑性物質として用いる熱可塑性樹脂A)よりも高い融点(Tm)を有しているならば、前記固形粒子は、2軸又は多軸押出成形器のフィードスロートで、又はこの近くで導入することができる。例えば、高融点の熱可塑性物質D)のペレットを低い融点の熱可塑性物質A)と一緒に添加することができる。両者は固形粒子として導入されるので、反応器への導入の前に物理的に混合することができ、固形粒子の分散をよくする。またブレンド及び動的顆粒の硬化工程を通じて温度制御に影響を与える。この方法において、低い融点の熱可塑性物質を硬化ゾーンの前に溶融し、より高い融点の熱可塑性物質はそのサイズは小さくなるが、固形ペレットの状態に維持される。例えば、ポリプロピレン、又はポリエチレンホモポリマー及びコポリマーの熱可塑性物質を高い融点の粒子に用いると約1350℃乃至1800℃(極性エンジニア樹脂では250℃の高さにも達する)のTmを有することになり、融解又は固形で、添加される低い融点のポリマーを用いると、約80℃乃至135℃の温度を有することになる。組み合わせた温度範囲の中間地点において、より低い融点の熱可塑性物質のTmは高い融点の固形粒子のよりも少なくとも約10℃乃至20℃低いことが明らかである。
【0019】
この態様を用いた方法のために、加工装置のブレンド温度は室温以上乃至融点の低い熱可塑性物質の融点のよりも高い温度の間であり、より高い融点の熱可塑性物質の融点以下の温度に調節すべきである。前記温度は、ゴムと低い融点の熱可塑性物質を良く溶融混合するために、前記温度は、より高い溶融温度の熱可塑性物質のTmより低くし、上記の温度以上に維持されるべきである。硬化ゾーンの近く、又は硬化ゾーンにおいて、又は硬化ゾーン内で、温度はより高い融点を有する熱可塑性物質のTmを超え得るように設定される。このようにし、特に、低い融点の熱可塑性物質とを僅かしか用いず高融点粒子が熱可塑性加硫物に含まれる熱可塑性樹脂の大部分を含むより高い提供温度での動的加硫物の製造が可能となる。この態様において、又は異なる融点の熱可塑性物質を2つ又はそれ以上用いる任意の態様において、選択された熱可塑性物質は少なくとも部分的に親和性を有するようにして最終製品の品質を確実にすることが重要である。
【0020】
前記ゴムは部分的に充分硬化又は架橋される。好適な態様において、前記ゴムは、完全又は充分に硬化されている。硬化の程度はシクロへキサン又は沸騰したキシレンを用いて、抽出物として熱可塑性加硫物から抽出されたゴムの量を決定することにより測定することができる。この方法は参照により本明細書に援用される米国特許No.4,311,628に記載されている。1つの態様において、米国特許No.5,100,947及び5,157,081(参照により本明細書に援用する)に記載のように23℃におけるシクロヘキサンにより抽出される前記ゴムは15wt%を超えない、硬化度を有しており、他の態様では、10重量%を超えない、他の態様においては5重量%を超えない他の態様では3重量%を超えない硬化度を有する。
【0021】
本発明に用いられる硬化剤は、熱可塑性加硫物を処理するのに当業者に知られているものでよく、過酸化物、シリコン、水素化物、フェノール樹脂、及びフリーラジカル開始剤を含む。硬化剤は押出成形器の開始フィードホッパー(initial feed hopper)を含む1つ以上の位置において、添加される。通常、加硫されるゴム成分の架橋剤、又は硬化剤を、(又は共同剤と共に)、硬化されるゴム成分100重量部に対して、硬化のレベルにより1.5乃至30重量部添加する。硬化剤の総重量により、約3乃至8重量部において、低い硬化から充分に硬化される高い硬化レベルの範囲内で、硬化を行うことができる。エラストマー性を熱可塑性を有していない加硫ゴムとできるたけ等しくしたいときに、硬化度を高くすることが有利である。
【0022】
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、固形可塑性物質である。好ましくは、前記樹脂は結晶性又は準結晶性ポリマー樹脂である。示差走査熱量計により測定される結晶化度が少なくとも10%である樹脂がより好ましい。例えば、非結晶性ガラス性エンジニアプラスチック等の高いガラス転位温度を有するポリマーも熱可塑性樹脂として用いることができる。一般的に好適な樹脂は、ゴムの分解温度よりも低い融点を有するものである。従って、極性及び非極性の両方のエンジニア樹脂が本発明に用いることができる。上記の特許文献を参照のこと。それらの中に記載されているように、しばしば熱可塑性ポリオレフィンは、利用可能性及びポリオレフィンベースゴムとの適合性、経済性、高性能、及び環境安全性の点から好ましい。本明細書で用いるように、熱可塑性樹脂と言うときには、2つ以上の異なる熱可塑性樹脂の混合物、又は1つ以上の適合剤と2つ以上のエンジニアプラスチックとのブレンドを含む。
【0023】
熱可塑性樹脂の例としては、結晶可能なポリオレフィン(エチレン又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマー、及び環状オレフィンのコポリマー)、ポリアミド、ポリイミド(ナイロン)、ポリエステル、熱可塑性コポリエステル又はコポリアミド、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリカルボネート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、酸化ポリフェニレン、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタクリレート、フッ素含有熱可塑性物質、及びポリウレタンを含む。好適な熱可塑性樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、及びこれらの混合物のアルファオレフィンを重合して形成される結晶可能ポリオレフィンである。例えば、エチレンの化粧を有する既知のエチレンベースのホモ−及びコポリマーが適している。市販製品は高密度ポリエチレン(HDEP)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(VLDPE又はプラストマー)を含む。アイソタクチックポリプロピレン及びプロピレンとエチレン又はC乃至C10αオレフィン、又はアイソタクチックなプロピレン結晶を有するジオレフィンとの結晶可能なコポリマー等のプロピレンベースホモポリマー及びコポリマーも好ましい。エチレンとプロピレンとのコポリマー、あるいはエチレン又はプロピレンと、1−ブテン、コポリマー、又はエチレン又は1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、及びこれらの混合物のアルファオレフィンとのコポリマーも好ましい。これらは、ブロック、ランダム、又はこれらの混合物ポリマー合成物である反応器ポリプロピレンコポリマー、及びインパクトポリプロピレンコポリマーも含む。これらのホモポリマー及びコポリマーは、「フィリップス触媒反応」、従来のチグラ−ナッタタイプの重合方法、及びメタロセン−アルモキサン及びメタロセン−イオン活性剤触媒の使用を含むがこれらに限定されない、有機金属一部位オレフィン重合触媒の使用を含むがこれらに限定されない既知の方法を用いて合成される。
【0024】
好適なポリオレフィン熱可塑性樹脂は重量平均分子量(Mw)が約50,000乃至約600,000及び数平均分子量が約50,000乃至約200,000のものである。より好ましくは、これらの樹脂は約150,000乃至約500,000のMw、及び約65,000乃至150,000のMnを有する。分子量は通常ゲルろ過クロマトグラフィーを(GPC)により測定される熱可塑性物質に公的な標準物質を用いて決定することができる。更に、Mn及びポリマー構造は示差走査インデックス(DRI)検出器を用いて測定することができ、及びMwは低角光散乱(LALLS)を用いて測定することができる。ASTMD6474はポリオレフィンの一般的な説明を提供する。ISO11344及びT.Sun, Macromolecules, Vol. 34, page 6812 (2001)も合成ゴムについて言及している。
【0025】
更に、環状オレフィンコポリマーは高融点熱可塑性ポリオレフィンエンジニア樹脂として用いることができる。米国特許No.5,324,801及び5,621,504参照のこと。好ましい環状オレフィンは、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、3−メチル−ノルボルネン、エチル−ノルボルネン、フェニル−ノルボルネン、ジメチル−ノルボルネン、ジエチル−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン等を含む。低い炭素原子数のアルファオレフィン、例えば、C乃至Cアルファオレフィンも、結晶を壊し、融点を低くするためのコモノマーとして用いることができる。環状オレフィンコポリマーにおいて、エチレンは特に好ましいコモノマーである。
【0026】
熱可塑性結晶又は準結晶樹脂は通常約40乃至350℃、好ましくは約60℃乃至約210℃、より好ましくは約90乃至約180℃、及び更に好ましくは約120乃至170℃の融点(Tm)を有している。これらの樹脂のガラス転位温度(Tg)は、約−25乃至約10℃、好ましくは約―5乃至約5℃である。より一般的には準結晶性及びガラス極性エンジニア樹脂を含む有用な樹脂は、100℃以上のTg、及び、更には150℃以上のTgを有する。このように特徴付けられている温度は、ASTM D −3418の試験方法に従ってDSCにより決定することができる。
【0027】
特に好適な市販の熱可塑性樹脂は、高結晶性アイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンである。このポリプロピレンは通常約0.85乃至約0.91g/ccの密度を有している。より高いアイソタクチシティーを有するポリプロピレンは約0.90乃至約0.91g/ccの密度を有する。分画メルトフローレート(fractional melt flow rate)を有する高分子量及び超高分子量ポリプロピレンが特に好ましい。これらのポリプロピレン樹脂は35dg/分以下の、好ましくは5dg/分以下の、及びより好ましくは1.2dg/分以下の、最も好ましくは0.8dg/分以下のASTMD−1238に従って測定されるメルトフローレートを有することを特徴とする。メルトフローレートは常圧においてポリマーがどれくらい流れるかという指標であり、230℃、2.16kgにおいてASTM−D1238を用いて測定される。
【0028】
本発明の組成物に有用なエラストマーは少なくとも部分的に熱可塑性エンジニア樹脂に適合性を有し、反応性の硬化部位を有するものである。従って、熱可塑性ポリオレフィンエンジニア樹脂は架橋可能な非極性ポリマー樹脂と共に用いる。前記極性エンジニアリング樹脂、又は可塑性樹脂は通常、架橋可能な極性ゴムと組み合わせて、又は極性と比極性ゴムと組み合わせたものと一緒に用いられ、しばしば好適な適合剤も用いる。段落[0010]の特許文献を参照のこと。硬化部分はエラストマー骨格部分か、又は追加的な官能基にとりこまれていてもよい。本発明において、エラストマーの語は2つ以上のエラストマーの混合物を含む。
【0029】
本発明に従い熱可塑性エラストマーを製造するのに有用な不飽和非極性ゴムは、2つ以上のモノオレフィンの非極性ゴム組成物(EPRゴム)、好ましくは少なくとも1つのポリエン、好適にはジエンと共重合されているもの(EPDMゴム)を含むモノオレフィンコポリマーゴムを含む。EPDMはエチレン、プロピレン、及び1つ以上の非共役ジエンのポリマーであり、前記モノマー成分は反応を促進するチグラ−ナッタ、メタロセン、又は有機金属化合物を用いて重合される。有用な非共役ジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB);1,4−ヘキサジエン(HD);5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);1,6−オクタジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;重合シクロペンタジエン(DCPD);5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB);ジビニルベンゼン等、又はこれらの組合せを含む。そのようなエラストマーは、結晶性又は準結晶性ポリマーに寄与している物理的性質を維持しつつ、95パーセントを超える硬化状態を有する熱可塑性加硫物を製造する能力を有する。
【0030】
好適なジエンモノマーは5−エチルジエン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネンである。コポリマーがエチレン、アルファオレフィン、及びジエンモノマーから生成される場合、前記コポリマーはターポリマーとも言われ、複数のオレフィン又はジエンを用いる場合にはテトラポリマーとも言われる。
【0031】
前記エラストマー性コポリマーは約20乃至約90モル%のエチレンモノマー由来のエチレン単位を含む。好ましくは、これらのポリマーは約40乃至約85モル%、及びより好ましくは約50乃至約80モル%のエチレン単位を含む。更に、前記コポリマーがジエン単位を含む場合、前記ジエン単位は約0.1乃至約5モル%の量で存在し、好ましくは約0.1乃至約4モル、より好ましくは約0.15乃至約2.5モル%の量で存在する。コポリマーのバランスは通常、アルファオレフィンモノマー由来の単位で調節する。従って、前記コポリマーは約10乃至約80モルパーセント、好ましくは約15乃至約50モルパーセント、及びより好ましくは約20乃至約40パーセントのアルファオレフィンモノマー由来のアルファオレフィン単位を含む。前述のモルパーセンテージはポリマーの総モル数に基づいている。
【0032】
ブチルゴムも有用な熱可塑性エラストマー組成物である。本明細書及び特許請求の範囲で用いるように、ブチルゴムの語はイソオレフィン及び共役ジオレフィンのコポリマー、イソオレフィンとビニル芳香族モノマーとのコポリマー、イソオレフィンと、共役オレフィンとビニル芳香族モノマーとのターポリマー、及びそのようなコポリマー及びターポリマーのハロゲン化誘導体を含む。ハロゲン化変異体の中でとくに有用なものは臭素化ブチルゴムである。本発明のオレフィンゴムの範囲内における他の好適なコポリマーはC乃至Cイソモノオレフィンとパラ−アルキルスチレンとのコポリマー、及び好ましくは、それらのハロゲン化誘導体である。コポリマー中のハロゲンは主にパラアルキルスチレン中に存在し、その量は0.1乃至10wt%である。好適な例としては、イソブチレンとパラ−メチルスチレンの臭素化コポリマーである。これらのコポリマーは、米国特許No.5,162,445に詳しく説明されている。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0033】
ポリオレフィンエンジニア樹脂に用いるのに有用なエラストマーコポリマーは当該分野で知られている、環状オレフィンコポリマーゴムを含む。米国特許No.6,121,383を参照のこと。高い融点を有する環状オレフィンエンジニア樹脂が特に好ましい。
【0034】
前記エラストマーコポリマーは好ましくは200,000より多い、より好ましくは約300,000乃至約1,000,000の、更に好ましくは約400,000乃至約700,000より大きい重量平均分子量を有することが好ましい。これらのコポリマーは、好ましくは、約70,000より大きい、より好ましくは約10,000乃至約350,000、更に好ましくは約120,000乃至約300,000、更に好ましくは約130,000乃至約250,000の数平均分子量を有する。エラストマー、特に、高い分子量の範囲を有するものは、製造工程でオイルが添加されたものが、本発明の方法に直接用いることができる。
【0035】
有用なエラストマーコポリマーは約20乃至約450、より好ましくは約50乃至約400、更に好ましくは約80乃至約350のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する。前記ムーニー粘度は非オイル添加エラストマー又はオイル添加エラストマーにオイルを添加する前の粘度である。
【0036】
前記加硫されたエラストマーは天然のゴム又は、合成ホモポリマー、又は少なくとも1つの共役ジエンとスチレンのような1つの芳香族モノマー、又は3乃至8の炭素原子を有するアクリロニトリル又はアルキル置換されたアクリロニトリルモノマー等の極性モノマーとのコポリマーでもよい。これらのゴムはEPDMゴム又はブチルゴムよりも不飽和度が高い。これらのゴムは任意で、部分的に水素添加して、熱及び酸化安定性を高めることができる。好適なこれらのゴムは、4乃至8の炭素原子を有する少なくとも1つの共役ジエン由来単位を少なくとも50重量%有する。好適な他のコモノマーは、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸の無水物を有するモノマーからの繰り返し単位を含み、ジビニルベンゼン、アルキルアクリレート、及び3乃至20の炭素原子を有する他のモノマーを含む。
【0037】
前記合成ゴムはコモノマーにより極性であっても、非極性であってもよい。合成ゴムの例としては、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンアクリロニトリルゴム等を含む。アミン官能化、カルボキシ官能化、又はエポキシ官能化合成ゴムも用いることができる。これらの例としては、マレイン酸EPDM、及びエポキシ官能化天然ゴムを含む。これらの物質は、市販されている。非極性ゴムが好ましい。極性ゴムも用いることができるが、当分野において知られているように、極性エンジニア樹脂以下の1つ以上の適合剤の使用が必要になる。
【0038】
硬化剤として用いる有機化酸化物の例としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、アルファ−アルファ−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5ジメチル2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキセン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)バレエート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3、及び一般的に、ジアリルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシジカルボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケターる、及びこれらの組合せを含む。Luazo(商標)AP(ATOケミカルより入手可能)等のAzo開始剤はフリーラジカル開始剤として用いることができる。
【0039】
過酸化物に加えて、他の硬化アジュバント又は共同剤も架橋反応を開始又は促進するために用いることができる。例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォスフェート、硫黄、N−フェニルビス−マレアミド、ジンクジアクリレート、ジンクジメタクリレート、ジビニルベンゼン、1,2−ポリブタジエン、トリメチロールプロパン、トリメタクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、トリ官能化ペンタアクリレート、ポリ官能化アクリレート、ポリ官能化メタクリレート、アクリレート及びメタクリレート金属塩、及び例えば、キノンジオキシマー等のオキシマー(oximer)である。
【0040】
水素化も熱可塑性加硫物の架橋方法として開示されており、本発明に好適である。この方法において、熱可塑性樹脂及び水素化触媒の存在下において、熱可塑性エラストマーの不飽和(即ち、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む)ゴム成分の炭素−炭素多重結合と、分子内に少なくとも2つのSiH基を有する水素化ケイ素が反応する。本発明の方法に有用な水素化シリコンは、メチルヒドロゲンポリシロキサン、メチルハイドロゲンジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチルポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、及びビス(ジメチルシリル)ベンゼンを含む。米国特許No.5,672,660及び6,150,464参照のこと。これらの特許を参照により本明細書に援用する。
【0041】
本発明に有用なプラチナ含有触媒共同剤は例えば、米国特許No.4,578,497、米国特許No3,220,972、及び米国特許No.2,823,218に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。これらの触媒は塩化白金酸(chloroplatinic acid)、ヘキサヒドロ塩化白金酸、塩化白金酸と、sym−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジクロロビス(トリフェニルフォスフェート)プラチニウム(II)、cis−ジクロロ−ビス(アセトニトリル)プラチニウム(II)、ジカルボニルジクロロプラチニウム(II)、プラチニウムクロライド、及びプラチニウムオキシドとの複合体を含む。米国特許No.3,775,452、米国特許No.3,814,730、及び米国特許No.4,288,345に記載されているようなカルステッド(Karsted’s)触媒等の0価のプラチニウム物質の複合体が特に好ましい。前記文献を参照により本明細書に援用する。共同剤はしばしば好ましくない副反応を避けるための安定剤を含む。引用する特許文献を参照のこと。
【0042】
EPDMゴムを十分に硬化する任意のフェノール樹脂硬化剤も本発明の方法に好ましい。熱可塑性エラストマーにおける従来のフェノール樹脂硬化剤のEPDMの架橋への使用は、米国特許No.4,311,628に開示されている。該文献の記載を参照により本明細書に援用する。米国特許No.4,952,425に記載のジベンジルエーテルで修飾されたフェノール樹脂も参照のこと。該文献を参照により本明細書に援用する。フェノール樹脂硬化システムの詳細については、“Vulcanization and Vulcanizing Agents, ”W. Hoffman、Palmerton Publishing Companyを参照のこと。好適なフェノール硬化樹脂及び臭素化フェノール硬化樹脂は、Schenectady Chemicals,IncよりSP−1045、CRJ−352、SP−1055、及びSP−1056の商標で販売されている。同様な機能を有するフェノール硬化樹脂も他社より販売されている。共同剤、ハロゲン供与体及び/又は金属酸化物、は通常、特許文献に記載されているようにフェノール樹脂と一緒に用いられる。
【0043】
しばしば、エンジニアリング樹脂、及び動的加硫された組成物のアロイをこれらの成分に適した適合剤の存在下で結合する。前記適合剤は加硫物とエンジニアリング樹脂の間の界面接着を提供する。従来の方法において、適合剤を用いない場合、エンジニアリング樹脂と加硫物のブレンドは機械的な伸び性質に乏しく、成分間の界面の結合が弱いか、又は結合せず、成分が薄い層に剥離してしまっていた。適合剤は1つの成分に適合する1つのブロックを有する1つのブロックと、少なくとも他の1つの主要成分に適合する1つのブロックを有する他のブロックとを有するブロックコポリマーを含む。他の例は、1つの主要成分に適合する骨格ポリマーと、少なくとも1つの他の主要成分に適合するか、又は反応するグラフト部分を有する官能化されたポリマーを含む。
【0044】
適合剤を形成するための物質も用いることができる。前記適合剤は主要成分に存在する官能基を含むセグメントの直接相互作用、すなわち、エンジニアリング樹脂、及び加硫物、により、あるいは、他の2官能化化合物又は多官能化化合物との相互作用のより形成することができる。特定の例は、水素化スチレンブロックコポリマー、特にSEBS、SEPS、及びSEEPS等のポリオレフィンミッドブロック(mid−bloc)との前記コポリマーを含む。官能化されたポリマーは特に適合剤として好適であり、PP−Manh、EPDM−g−Manh、及びSEBE−g−Manh等のマレイン酸ポリオレフィンポリマーを含む。そのような適合剤は当業者に知られており、例えば、米国特許No.4,455,545、及びJournal of Macro Molecular Science Chemistry, A26(8),1211 (1989)に記載されている。
【0045】
適合剤は通常、例えば、組成物の重量に基づいて3乃至20wt%、好ましくは5乃至15wt%、及びより好ましくは5−10wt%の量で存在する。
【0046】
充填剤は、カルシウム、カルボネート、クレイ、シリカ、タルク、二酸化チタン、又は有機カーボンブラック、ガラス、それらの組合せ、及び同種のものを含むことができる。これらは、繊維、ビーズ、又は、粉末の状態でもよく、又はポリマー性担体とのマスターバッチでもよい。チャンネルブラック(channel blacks)、ファーネスブラック(furnace blacks)、 サーマルブラック(thermal blacks)、アセチレンブラック(acetylene blacks)、ランプブラック(lamp blacks)又はこれらの組合せ等の任意のタイプのカーボンブラックを用いることができる。典型的なそのような充填剤は(ゴム100重量部に対して)約5乃至150phrの量で用いられる。
【0047】
熱可塑性物質及びエラストマー(ゴム)に対する既知の添加剤も本発明の組成物に添加することができる。そのような添加剤は、加工助剤、ステアリン酸、安定剤、抗界面活性剤、難燃剤、濃厚剤、ワックス、不連続繊維(ガラス、セルロース、ポリエステル等)を含む。前記添加剤は加硫物の調製の間、又は組成物の仕上げ工程の間、又はその両方において添加することができる。前記添加剤の量は熱可塑性エラストマー組成物の総重量に基づいて、約15重量%を超えないように添加され、より一般的には、10重量%以下、又は最も一般的には0.5乃至5.0重量%である。
【0048】
エキステンダー及びプロセスオイルは本発明の反応工程において特に有用である。ゴムエキステンダー及びプロセスオイルは石油から分画されたパラフィン、ナフテン、又は芳香族プロセスオイルのクラスのいずれに属するかを示すASTM表示を有している。用いられるプロセスオイルのタイプはゴム成分に関連して慣習的に使用されている。当業者は特定のゴムに対してどのタイプを用いればよいかを理解している。例えば、ナフテン又は芳香族含量が低いパラフィンオイルは通常ポリオレフィンベース熱可塑性物質及びエラストマーに用いる。ゴムプロセスオイルの量は硬化及び未硬化の総ゴム含量に基づいており、熱可塑性加硫物中の総ゴムに対するプロセスオイルの重量比で定義される。この比は、0乃至約3.0/1、好ましくは0.2:1乃至約2.5:1、より好ましくは約0.3:1乃至約1.5:1の範囲で変化することができる。より多い量のプロセスオイルを用いることができるが、この場合組成物の物理的強度が減る。コールタール及びパインタール等石油ベースオイル以外のオイルも用いることができる。更に、石油由来ゴムプロセスオイルに加えて、石油分画、有機エステル、及び既知の合成可塑剤から分離された不飽和モノマー由来の有機及び低分子量のポリマーオイルも用いることができる。これらの組成物に有用な可塑剤は米国特許No.5,290,886、及び米国特許No.5,397,832に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0049】
本発明を以下の実施例を参照することにより詳述する。溶融フィルトレーション(Melt Filtration)、表面スポットカウント(Surface Spot Count)、及び重量増加(Weight Gain)以外の試験方法は標準的な方法に基づいている。これらの方法を以下で説明する:
溶融フィルトレーションカウントは測定する量のサンプル物質をフィルトレーションスクリーンを通じて押出成形し、溶融物質からスクリーニングされた粒子を数える。試験物質のペレット(250g)を24:1のL/D、直径25.4mm(1in.)のスクリュー、3:1の圧縮比の1軸溶融加工押出し成形器に供給し、4.7mm(3/16”)のロッドダイを通して、a)120メッシュ(6.4516cm2/120)、及びb)20メッシュ(6.4516cm/20)の2つの25.4mm(1”)ステンレススチールスクリーンにフィットしているスペーサートランジッションピース(spacer transition piece)内へ押出し成形した。バレルセクションの温度は163℃(325F)(リアゾーン)、177℃(350F)(ミドルゾーン)、191℃(375F)、200℃(390F)(ダイ)の各ポイントにおいて±3℃(5F)以内になるように維持した。スクリューは40RPMで回転させた。押出し成形器は、試験以外のときに、サンプル物質をバレルに5分間通すことによって、洗浄した。その後、75g±5gを前記ダイ及びスクリーンに通して押出し成形した。(スクリーンを有する)フィルトレーションユニットを除去し、残りの物質を外に出した。このスクリーンを水で冷却した。それらをその後、カウントのためのグリッドに置いて、対象を6倍率に設定した顕微鏡下で観察した。フィルトレーションにより除去されたインクルージョンの数を数えた。各サンプルについて3回試験を行い、平均値を採用した。
【0050】
各バレルセクションの温度と、2.45cm(1”)幅、及び0.5mm(0.019”)厚、及び7乃至10mm(0.25乃至0.40”)のランドレングスを有するダイを用いた点以外は、表面スポットカウントはメルトフィルトレションカウントと同じ方法で同じ押出し成形器を用いて行った。バレルセクション温度は、180℃(356F)(リアゾーン)、190℃(374F)(ミドルゾーン)、200℃(392F)、205℃(400F)(ダイ)の各ポイントにおいて±3℃(5F)以内になるように維持した。1kg(2.2lbs.)に計量した試験物質のペレットを押出し成形器のホッパーに供給し、スクリューを回転させ、1分間にダイから出てくる物質を収集し、重量を測定することで決定されるアウトプット速度を1分間あたり50gに維持した。より遅い回転では表面がきれいにしあがり、この試験においては失敗となるので、このフロー速度は重要である。押出し成形器をクリアにするために追加的に試験物質のフラッシュを5分間まで行った。その後、押出し成形され、ダイからはがされた試験サンプルを、床に届くまで自由落下させた。30.5cm(12”)の一片の細長い古いダンボールをダイ出口のアンダーサイドに置き、このダンボールの一片が更に引きおろさないように早く回転させた。ダンボールのストリップの末端を切り取り、ボードの上のストリップを室温で冷却した。これを繰り返して3つのストリップを調製した。このストリップを、100ワットの照明Electric Model7426を用いた、3ジオプトリー(1.75パワー)によりランダムに選択された15cm(6”)を視覚により調べた。0.80mm2(0.001in2)以上の面積の全てのスポットを(TAPPIチャートを用いて)数えた。三回の試験の平均値を採用した。
【0051】
重量増加データは、ASTM D471の方法に基づいて、(射出成形プラークから切り取った25X35X2mmの)熱可塑性加硫物サンプルストリップをIRMオイルに、121℃で24時間浸したときの重量変化を測定することにより得た。
【0052】
実施例1
本発明の方法はWerner&Pfleiderer 共回転2軸スクリュー押出し成形器、モデルZSK−53を用いて行った。この押出し成形器は12個のバレルセクションから構成されている。インナーバレルの直径は53.4mmで、各バレルセクションの長さは182mmである。この押出し成形器は2つの30mm厚の支持体を有する。この押出し成形器の総L/Dは42:1である。この押出し成形器は、第一バレル、及び6番目及び11番目のバレルセクションであるバキュームベントポートにフィードスロートを有している。バレルセクション温度は以下のように設定した。この実施例及び以下の実施例において、他の方法で定義しない限り、量はphrで表す。
【数1】

【0053】
オイルを添加したEPDM、(50(ML(1+4)125℃)、64wt%エチレン及び4.3wt%の2,5−エチレン−ノルボネン含量(Vistalon(商標)エクソンモービルケミカルカンパニー))をラバー造粒器で造粒し、41phrのクレイ(Icecap K(商標)、Burgess Pigment Co.)と共に、Little Ford(商標)ミキサーで粉砕した。造粒されたEPDMの43.8kg/hr及びブレンドされたクレイをメイン2軸押出し成形器のフィードスロートに供給した。32.66%の酸化亜鉛(Kadox(商標)911、Zinc Corp.of America)、50.51%トリアリルシアヌレートカルシウムシリケート(Rhein Chemie AG)、及び16.84%のIcecap K(商標)クレイとの粉末混合物をHenschel(商標)ミキサーで乾燥ブレンドした。その後、0.6kg/hrの前記粉末混合物を2軸押出し成形器のフィードスロートに供給した。ポリプロピレンの一部(重量により69.5%)を前記フィードスロートを通じて供給し、残りのポリプロピレンを、2−4mmの平均直径サイズを有する固形ペレットの形態で、メイン押出し成形器の動的加硫ゾーンに、室温で、サイド(side)供給した。8.2kg/hrのポリプロピレンがフィードスロートに供給され、3.6kg/hrのポリプロピレンがサイドクラマーフィーダーにより硬化ゾーン(バレル#6)に供給された。更に、プロセスオイル(50%濃度)で希釈された1.3kg/hrの2,5−ジメチル−2−5ジ(tert−ブチル)ペルオキシヘキサン(DHBP−50−WO(商標)、Degussa Initiation LLC)が、バレル3及び4の間でメイン2軸押出し成形器に注入されたことになる。20.8kg/hrのプロセスオイル(Paralux(商標)、Chevron Co.)をバレル1及び2の間に注入した。7.6kg/hrの他のプロセスオイルをバレル8及び9の間に注入した。最後に、23.08%のIrganox(商標)を含む、1.3kg/hrの安定剤スラリーをバレル9及び10の間で、スラリーフィードにより供給した。
【0054】
実施例2
実施例2は、原料、押出し成形器、及び押出し成形条件を実施例1と同じにして、以下に示すようにポリプロピレンの供給量を減らすことによりやわらかい組成物を製造した。
【0055】
EPDM及びクレイブレンド:44.9kg/hr
粉末混合物:1.2kg/hr
フィードスロートへのPP:7.3kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:3.1kg/hr
プロセスオイルで希釈した2,5−ジメチル−2−5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン:1.4kg/hr
バレル2及び3の間のプロセスオイル:2.9kg/hr
バレル8及び9の間のプロセスオイル:7.8kg/hr
安定化剤スラリー:1.4kg/hr
実施例3
実施例3は、原料、押出し成形器、及び押出し成形条件を実施例1と同じにして、を以下に示すようにポリプロピレンの供給量を増やすことにより硬質組成物製造した。
【0056】
EPDM及びクレイブレンド:42.4kg/hr
粉末混合物:1.2kg/hr
フィードスロートへのPP:9.6kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:4.1kg/hr
プロセスオイルで希釈した2,5−ジメチル−2−5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン:1.3g/hr
バレル2及び3の間のプロセスオイル:2.7kg/hr
バレル8及び9の間のプロセスオイル:7.4kg/hr
安定化剤スラリー:1.3kg/hr
実施例4
実施例4は、原料、押出し成形器、及び押出し成形条件を実施例1と同じにして、サイドフィードするポリプロピレンを増やし、フィードスロートから供給するポリプロピレンを減らして、ポリプロピレンの総量を同じにして、別の組成物を製造した。
【0057】
フィードスロートへのPP:6.3kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:5.6kg/hr
実施例5
実施例5は、原料、押出し成形器、及び押出し成形条件を実施例1と同じにして、サイドフィードするポリプロピレンを更に増やして、ポリプロピレンの総量を同じにして、別の組成物を製造した。
【0058】
フィードスロートへのPP:4.3kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:7.6kg/hr
実施例6
実施例6は、原料、押出し成形器、及び押出し成形条件を実施例1と同じにして、サイドフィードするポリプロピレンを更に増やして、ポリプロピレンの総量を同じにして、別の組成物を製造した。
【0059】
フィードスロートへのPP:2.1kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:9.8kg/hr
比較例1
実施例1と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、溶融状態のサイドフィードのポリプロピレンをZSK-53のバレル9及び10の間に1軸押出し成形器から、硬化が実質的に完了した後に供給した。
【0060】
比較例2
実施例2と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、溶融状態のサイドフィードするポリプロピレンをZSK-53のバレル9及び10の間に1軸押出し成形器から、硬化が実質的に完了した後に供給した。
【0061】
比較例3
実施例3と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、溶融状態のサイドフィードするポリプロピレンをZSK-53のバレル9及び10の間に1軸押出し成形器から、硬化が実質的に完了した後に供給した。
【0062】
比較例4(サイドフィードなし)
本発明の方法はWaner&Pfleiderer 共回転2軸スクリュー押出し成形器、モデルZSK−83を用いて行った。この押出し成形器は15個のバレルセクションから構成されている。インナーバレルの直径は83.4mmで、各バレルセクションの長さは240.7mmである。この押出し成形器の総L/Dは43.4:1である。この押出し成形器は、第一バレル、及び7番目及び14番目のバレルセクションであるバキュームベントポートにフィードスロートを有している。押出し成形の総アウトプット量は270kg/hrであり、押出し成形は350rpmで行った。バレルセクション温度は以下のように設定した。
【数2】

【0063】
実施例1と同様に、75phrのプロセスオイルを含む(VISTALON(商標)3666)EPDMを造粒し、41phrのクレイで分割した。168.8kg/hrの造粒されたEPDM及びクレイのブレンドをメイン2軸押出し成形器のフィードスロートに供給した。32.66%の酸化亜鉛、50.51%トリアリルシアヌレート、及び16.84%のクレイの粉末混合物をHenschel(商標)ミキサーでブレンドした。46kg/hrの全てのポリプロピレンをメイン押出し成形器のフィードスロートに供給した。更に、プロセスオイル(50%濃度)で希釈された5.1kg/hrの2,5−ジメチル−2−5ジ(tert−ブチル)ペルオキシヘキサンを、バレル3及び4の間でメイン2軸押出し成形器に注入した。10.9kg/hrのプロセスオイルをバレル1及び2の間で注入し、他の29.4kg/hrのプロセスオイルをバレル10及び11の間で注入した。23.08%のIrganox(商標)1010及び76.92%のプロセスオイルを含む5.1kg/hrの安定剤スラリーをバレル11及び12の間に供給した。
【0064】
実施例7
実施例1と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、カーボンブラックマスターバッチ(Ampacet(商標)Black Slip MB 49974(60wt%ホモポリマーポリプロピレン樹脂))をフィードスロートに供給することにより黒色押出し組成物を製造した。
【0065】
EPDM及びクレイブレンド:42.4kg/hr
粉末混合物:1.2kg/hr
カーボンブラックマスターバッチ(PP中40wt%のカーボンブラック):4.8kg/hr
フィードスロートへのPP:5.4kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:3.5kg/hr
プロセスオイルで希釈した2,5−ジメチル−2−5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン:1.3g/hr
バレル2及び3の間のプロセスオイル:2.7kg/hr
バレル8及び9の間のプロセスオイル:7.4kg/hr
安定化剤スラリー:1.3kg/hr
実施例8
実施例1と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、サイドフィードするポリプロピレンをメインにして、ポリプロピレンの総量を同じにして、組成物を製造した。
【0066】
フィードスロートへのPP:2.9kg/hr
硬化ゾーンへのPPペレット:6.0kg/hr
実施例9
実施例7と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、サイドフィードするポリプロピレンをメインにして、ポリプロピレンの総量を同じにして、組成物を製造した。
【0067】
フィードスロートへのPP:0kg/hr
(2.88kg/hrカーボンブラックマスターバッチ(PP中40wt%のカーボンブラック)を添加)硬化ゾーンへのPPペレット:8.9kg/hr
比較例5
実施例7と同じ量の同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、溶融状態のサイドフィードするポリプロピレンをZSK−53のバレル9及び10の間に1軸押出し成形器から、硬化が実質的に完了した後に供給した。
【0068】
比較例6
比較例4と同じ物質、同じ2軸押出し成形器、及び同じ押出し条件を用いて、カーボンブラック押出し組成物をフィードスロートに添加することによって製造した。溶融状態のサイドフィードするポリプロピレンをZSK−83(バレル11)に1軸押出し成形器から、硬化が実質的に完了した後に供給した。
【0069】
EPDM及びクレイブレンド:163.5kg/hr
粉末混合物:4.5kg/hr
カーボンブラックマスターバッチ(PP中40wt%のカーボンブラック):18.5kg/hr
フィードスロートへのPP:20.9kg/hr
硬化後に添加する溶融PP:13.6kg/hr
プロセスオイルで希釈した2,5−ジメチル−2−5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン:4.9kg/hr
バレル2及び3の間のプロセスオイル:10.6kg/hr
バレル8及び9の間のプロセスオイル:28.5kg/hr
安定化剤スラリー:4.9kg/hr
【表1】

【表2】

【0070】
カーボンブラックの実施例を以下の表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高剪断条件下で、
A)少なくとも1つの熱可塑性樹脂と、
B)少なくとも1つの加硫可能なゴムと、
C)1つ又は複数の硬化剤と、
D)0.05mm以上の有効直径を有する固形粒子の形態である少なくとも1つの追加の樹脂とを溶融加工する工程を含み、
C)を添加する前、添加する間、又は添加する後のいずれかであり、且つB)の加硫が実質的に完了する前に、前記固形粒子D)を供給するようにする動的加硫熱可塑性エラストマーの製造方法。
【請求項2】
前記固形粒子D)をA)とD)の合計重量に対して5乃至95wt%の量で供給するようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのプロセスオイルを溶融加工の前、溶融加工の間、又は溶融加工の後、あるいは、これらのいくつかの組合せの間であり、且つB)の加硫が完了する前に添加するようにする、請求項1の方法。
【請求項4】
前記溶融加工を2以上の溶融混練スクリューを有する溶融加工用押出成形において行うようにする、請求項3の方法。
【請求項5】
前記固形粒子が少なくとも、前記熱可塑性樹脂A)と同じか又はこれよりも低いTmを有する1つの熱可塑性樹脂を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固形粒子が、熱可塑性樹脂A)のTmよりも高いTmを有する少なくとも1つの熱可塑性樹脂を含むものである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固形粒子を、2軸又は多軸押出し成形機の供給口(feed throat)から、又はこの近くから導入するようにする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記硬化剤C)が有機過酸化化合物を含み、前記熱可塑性樹脂A)がエチレンベースのホモポリマー又はコポリマー、あるいはプロピレンベースのホモポリマー又はコポリマーであり、前記粒子D)がエンジニアリング樹脂A)と同じか、又は異なる、エチレンベースのホモポリマー又はコポリマー、又はプロピレンベースのホモポリマー又はコポリマーであるようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エンジニアリング樹脂A)及び固形粒子D)が80乃至180℃のDSCにより測定される結晶融点を有するようにする、請求項8の方法。
【請求項10】
前記加硫可能なゴムを不飽和非極性ゴムとするようにする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非極性ゴムをEPM、EPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、又はスチレン−ブタジエンゴムからなる群より選択するようにする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非極性ゴムがEPDMからなる群より選択される請求項10に記載のゴム。
【請求項13】
高剪断条件下で、
A)DSCによる融点が約80℃乃至180℃、及びASTM−D1238による(230℃及び2.16kg)でのメルトフローレート(MFR)が1.2dg/分であるプロピレンベースホモポリマー又はコポリマーと、
B)EPDMゴムと、
C)少なくとも1つの有機金属硬化剤と、
D)A)と同じか又は異なる、少なくとも1つの有機過酸化ホモポリマー又はコポリマーとを、溶融加工する工程を含む動的加硫された熱可塑性エラストマーを調製する方法であって、
前期固形粒子D)をはB)の加硫が実質的に完了する前の溶融加工工程の間に添加するようにする方法。
【請求項14】
前記固形粒子D)をA)及びD)の合計重量に基づいて5乃至95wt%の量で加えるようにする、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2008−544075(P2008−544075A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519274(P2008−519274)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/015231
【国際公開番号】WO2007/001600
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(591162239)アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. (14)
【住所又は居所原語表記】388 South Main Street,Akron,Ohio 44311−1059,United Stetes of America
【Fターム(参考)】