説明

動翼組立体を冷却するための装置

【課題】動翼組立体の冷却装置を提供する。
【解決手段】動翼組立体(30)は、プラットフォーム(32)と、翼形部(34)と、シャンク(36)とを含む。翼形部はプラットフォームから半径方向外向きに延在する。シャンクはプラットフォームから半径方向内向きに延在する。シャンクは、正圧側側壁(42)、負圧側側壁(44)、上流側側壁(46)及び下流側側壁(48)を含む。これらの側壁は少なくとも部分的に冷却回路(90)を画成する。冷却回路(90)は、冷却媒体(95)を受け取って、該冷却媒体を翼形部へ供給するように構成される。上流側側壁は少なくとも部分的に内部冷却通路(80)を画成し、また少なくとも部分的に外部吸込み区域(70)を画成する。冷却通路(80)は冷却回路(90)から隣接の動翼組立体の吸込み区域へ冷却媒体の一部分を供給するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、タービン動翼に関し、より具体的には、動翼組立体構成要素のための冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン・システムは電力・動力発生のような分野で広く利用されている。従来のガスタービン・システムは、圧縮機と、燃焼器と、タービンを含む。ガスタービン・システムの運転中、システム内の様々な構成要素は高温の流れに曝され、その高温の流れは構成要素を故障させることがある。流れの温度をより高くすると、一般にガスタービン・システムの性能、効率及び出力が増大するので、高温の流れに曝される構成要素は、ガスタービン・システムをより高い温度で動作させることができるように冷却しなければならない。
【0003】
様々なガスタービン・システム構成要素を冷却するための様々な方策が知られている。例えば、冷却媒体を圧縮機から取り出して様々な構成要素へ供給することができる。該システムのタービン部分では、冷却媒体は様々なタービン構成要素を冷却するために利用することができる。
【0004】
タービン動翼は、冷却しなければならない高温ガス通路構成要素の一例である。不完全に封止された動翼シャンクは高温ガスがその中に入ることを許し、従って、高温ガスが動翼を故障させる虞がある。例えば、シャンクによっては、シャンクに入る高温ガスが1900°F以上であるとき、該高温ガスはシャンク・シール・ピンのクリープ及び変形を生じさせる虞があり、またシール・ピンをシャンクから押し出すことがある。更に、高温ガスはシャンク・ダンパー・ピン及びシャンク自体を損傷し、その結果として動翼の故障を招く虞がある。
【0005】
動翼シャンク構成要素を冷却し且つ高温ガスの吸込み(ingestion) を防止するための様々な方策が当該分野で知られている。例えば、従来技術の1つの方策は、冷却媒体の高圧流を利用して、シャンク空洞を加圧し、もってシャンク上の全ての高温ガス吸込み場所について正の逆流余裕を与えることである。この正の逆流余裕は、高温ガスがシャンクに入ってシャンクを損傷することを防止する。しかしながら、シャンク空洞を加圧するために圧縮機から取り出さなければならない冷却媒体の量がかなり大きくなり、圧縮機を通る流れのこの損失により、ガスタービン・システムの性能、効率及び出力に損失が生じる。更に、シャンク空洞に供給される冷却媒体のかなりの量がシャンク空洞から漏出し且つ高温ガス流路へ放出され、その結果、この冷却媒体が無駄になる。
【0006】
従って、動翼シャンク用の冷却装置が当該分野で要望されていると思われる。例えば、圧縮機から取り出される冷却媒体の量を最少にし、且つ動翼シャンクの冷却中に無駄にされて失われる冷却媒体の量を最少にする冷却装置があれば有利であろう。更に、動翼シャンクを効果的に冷却しながら、ガスタービン・システムの性能、効率及び出力を最大にする冷却装置があれば有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7628588号
【発明の概要】
【0008】
本発明の様々な面及び利点は、一部は以下に説明し、又は以下の説明から明らかになり、又は本発明の実施により習得されよう。
【0009】
一実施形態においては、動翼組立体が提供され、該動翼組立体は、プラットフォームと、翼形部と、シャンクとを含む。翼形部はプラットフォームから半径方向外向きに延在することができる。シャンクはプラットフォームから半径方向内向きに延在することができる。シャンクは、正圧側側壁、負圧側側壁、上流側側壁、及び下流側側壁を含むことができる。これらの側壁は少なくとも部分的に冷却回路を画成することができる。冷却回路は、冷却媒体を受け取って、該冷却媒体を翼形部へ供給するように構成することができる。上流側側壁は少なくとも部分的に内部冷却通路を画成することができ、また少なくとも部分的に外部吸込み区域を画成することができる。冷却通路は冷却回路から隣接の動翼組立体の吸込み区域へ冷却媒体の一部分を供給するように構成することができる。
【0010】
本発明のこれらの及び他の特徴、面及び利点は、以下の説明及び「特許請求の範囲」の記載を参照するとより良く理解されよう。添付の図面は、本明細書に取り入れられて明細書の一部を構成するが、本発明の実施形態を例示していて、以下の説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0011】
以下の説明では、当業者を対象として、最良の実施形態を含む、本発明の完全で実現可能な開示を、添付の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、ガスタービン・システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従ったガスタービン・システムのタービン部分の側断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従った動翼組立体の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従った動翼組立体の側面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従った動翼組立体の反対側の側面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に従ったロータ組立体の一部の断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従ったロータ組立体の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態について詳しく説明するが、実施形態の1つ又は複数の例を図面に示している。各例は本発明の説明のためであって、本発明を制限するものではない。実際に、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明内で様々な修正及び変形を為しうることが当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示し又は記述した特徴を別の実施形態に用いて、更に別の実施形態を作ることが可能である。従って、本発明がこのような修正及び変形並びにそれらの等価なものを特許請求の範囲内に入るものとして包含する。
【0014】
図1はガスタービン・システム10の概略図である。システム10は、圧縮機12と、燃焼器14と、タービン16とを含むことができる。圧縮機12とタービン16とはシャフト18によって結合することができる。シャフト18は単一のシャフトであっても、シャフト18を形成するために一緒に結合された複数のシャフト・セグメントより成るものであってもよい。
【0015】
タービン16は複数のタービン段を含むことができる。例えば、一実施形態では、タービン16は、図2に示されているように、3つの段を持つことができる。例えば、タービン16の第1段は、複数の円周方向に間隔をおいて設けられたノズル21及び動翼22を含むことができる。それらの複数のノズル21は、シャフト18の周りに円周方向に配置して固定することができる。複数の動翼22は、シャフト18の周りに円周方向に配置し且つシャフト18に結合することができる。タービン16の第2段は、複数の円周方向に間隔をおいて設けられたノズル23及び動翼24を含むことができる。複数のノズル23は、シャフト18の周りに円周方向に配置して固定することができる。複数の動翼24は、シャフト18の周りに円周方向に配置し且つシャフト18に結合することができる。タービン16の第3段は、複数の円周方向に間隔をおいて設けられたノズル25及び動翼26を含むことができる。複数のノズル25は、シャフト18の周りに円周方向に配置して固定することができる。複数の動翼26は、シャフト18の周りに円周方向に配置し且つシャフト18に結合することができる。タービン16の様々な段はタービン16の高温ガス流28の通路内に配置することができる。ここで、タービン16では3つの段が示されているが、タービン分野で知られている任意の数の段を持つことができることを理解されたい。
【0016】
複数の動翼22,24,26の各々は、図3に示されるように、動翼組立体30で構成することができる。動翼組立体30は、プラットフォーム32と、翼形部34と、シャンク36とを含むことができる。翼形部34はプラットフォーム32から半径方向外向きに延在することができる。シャンク36はプラットフォーム32から半径方向内向きに延在することができる。
【0017】
動翼組立体30は更にダブテール38を含むことができる。ダブテール38はシャンクから半径方向内向きに延在することができる。一実施形態の模範的な一面では、ダブテール38は、動翼組立体30をシャフト18に結合するように構成することができる。例えば、ダブテール38は、シャフト18に取り付けられたロータ・ディスク(図示せず)に動翼組立体30を固定することができる。従って、複数の動翼組立体30はシャフト18の周りに円周方向に配置され且つシャフト18に結合されて、図6及び図7に部分的に示されているように、ロータ組立体20を形成することができる。
【0018】
必要に応じて、ダブテール38は、動翼組立体30内に画成された冷却回路90へ冷却媒体95を供給するように構成することができる。例えば、冷却回路90の入口92はダブテール38によって定めることができる。冷却媒体95は入口92を通って冷却回路90に入ることができる。冷却媒体95は、例えば、膜冷却孔を通って、或いは任意の他の動翼組立体出口孔、通路又は開口を通って、冷却回路90から出て行くことができる。
【0019】
冷却媒体95は一般に圧縮機12からタービン16へ供給される。しかしながら、冷却媒体95は、圧縮機12から供給される冷却媒体に制限されず、任意のシステム10の構成要素又は外部の構成要素から供給してもよいことを理解されたい。更に、冷却媒体95は一般に冷却空気である。しかしながら、冷却媒体95は空気に制限されず、任意の冷却媒体であってよいことを理解されたい。
【0020】
翼形部34は正圧面52及び負圧面54を含むことができる。正圧面52及び負圧面54は前縁56及び後縁58において接続することができる。翼形部34はその中に少なくとも部分的に冷却回路90を画成することができる。例えば、正圧面52及び負圧面54は少なくとも部分的に冷却回路90を画成することができる。冷却回路90は、冷却媒体95を受け取って、該冷却媒体を翼形部34へ供給するように構成することができる。例えば、冷却媒体95は翼形部34内の冷却回路90を通って、翼形部34を冷却することができる。
【0021】
シャンク36は、正圧側側壁42、負圧側側壁44(図5参照)、上流側側壁46及び下流側側壁48を含むことができる。シャンク36の上流側側壁46は、外面62、内面64、正圧面66及び負圧面68(図5参照)を含むことができる。
【0022】
シャンク36は、その中に少なくとも部分的に冷却回路90を画成することができる。例えば、側壁42、44、46及び48は、少なくとも部分的に冷却回路90を画成することができる。シャンク36は更に、上流側上側エンジェル・ウイング130、上流側下側エンジェル・ウイング134、下流側上側エンジェル・ウイング132及び下流側下側エンジェル・ウイング136を含むことができる。エンジェル・ウイング130及び134は上流側側壁46から外向きに延在することができ、またエンジェル・ウイング132及び136は下流側側壁48から外向きに延在することができる。上流側上側エンジェル・ウイング130及び下流側上側エンジェル・ウイング132は、ロータ組立体20内に画成された緩衝空洞(図示せず)を封止するように構成することができる。上流側下側エンジェル・ウイング134及び下流側下側エンジェル・ウイング136は、動翼組立体30とロータ・ディスク(図示せず)との間にシールを形成するように構成することができる。
【0023】
シャンク36は更に、外部吸込み区域70を画成することができる。外部吸込み区域70は隣り合う動翼組立体30の間の区域であり、該区域で高温ガス流28が動翼組立体30に入る。一実施形態の模範的な一面では、吸込み区域70は、一つの動翼組立体30に関して云えば、少なくとも部分的に上流側側壁46の負圧面68に隣接し且つプラットフォーム32に隣接して画成される。吸込み区域70は更に、一つの動翼組立体30に関して云えば、上流側側壁46の正圧面66に隣接し且つプラットフォーム32に隣接して画成される。例えば、システム10の運転中、高温ガス流28中の圧力勾配により、高温ガス流28の少なくとも一部分が、シャンク36によって画成された堀形空洞(trench cavity) 75の中へ差し向けられる。堀形空洞75は上流側上側エンジェル・ウイング130にほぼ隣接して画成することができる。高温ガス流28は更に、堀形空洞75から吸込み区域70を通って隣り合う動翼組立体30の間に及び動翼組立体30の中に差し向けられる。
【0024】
動翼組立体30は上流側シール・ピン112を含むことができる。上流側シール・ピン112は、図5に示されているように、上流側側壁46に隣接して配置することができる。例えば、上流側シール・ピン112は、上流側側壁46の負圧面68に隣接して配置することができ、また上流側側壁46の負圧面68に画成されたチャンネル113の中に配置することができる。代わりに、チャンネル113は上流側側壁46の正圧面66に画成することができ、そして上流側シール・ピン112をそのチャンネル113の中に配置することができる。代わりに、チャンネル113は負圧面68及び正圧面66の両方に画成することができ、そして上流側シール・ピン112を、上流側側壁46の負圧面68に画成されたチャンネル113の中と、隣接の動翼組立体30の上流側側壁46の正圧面66に画成されたチャンネル113の中にそれぞれ配置することができる。動翼組立体30は更に下流側シール・ピン114を含むことができ、下流側シール・ピン114は、図5に示されているように、下流側側壁48に隣接してチャンネル115の中に配置することができる。チャンネル115は、上流側側壁46内のチャンネル113と同様に、下流側側壁48内に画成することができる。シール・ピン112及び114は、当該動翼組立体30と隣接の動翼組立体30との間にシールを形成するように構成することができる。例えば、タービン16の運転中、回転力により、一つの動翼30のシール・ピン112及び114を隣接の動翼30の上流側側壁46及び下流側側壁48とそれぞれ相互作用させて、これらの動翼組立体30の間にシールを構成することができる。例えば、図6に示されているように、上流側シール・ピン112は上流側側壁46の正圧面66と相互作用して、隣り合う動翼組立体30の間にシールを構成することができる。
【0025】
動翼組立体30は更にダンパー・ピン116を含むことができる。ダンパー・ピン116は、プラットフォーム32及び負圧側側壁44に隣接して、又はプラットフォーム32及び正圧側側壁42に隣接して配置することができる。ダンパー・ピン116は前端部117及び後端部118を含む。前端部117は上流側側壁46に隣接して配置することができる。後端部118は下流側側壁48に隣接して配置することができる。ダンパー・ピン116は、当該動翼組立体30と隣接の動翼組立体30との間の振動を減衰させるように構成することができる。例えば、タービン16の運転中、回転力により、図6に示されているように、一つの動翼30のダンパー・ピン116を隣接の動翼30のプラットフォーム32と相互作用させて、これらの動翼組立体30の間の振動を減衰させることができる。
【0026】
動翼組立体30のシャンク36は更に、内部冷却通路80を画成することができる。冷却通路80は、冷却回路90から冷却媒体95の一部分を隣接の動翼組立体30の吸込み区域70へ供給するように構成することができる。例えば、冷却通路80は冷却回路90からシャンク36の中を延在することができる。一実施形態の模範的な一面では、冷却通路80は冷却回路90から少なくとも部分的にシャンク36の上流側側壁46の中を通って延在することができる。しかしながら、冷却通路80はまた、部分的に又は完全に、正圧側側壁42、又は負圧側側壁44、又は下流側側壁48の中を通って延在することができる。冷却通路80は更に、図4に示されているように、外部冷却通路開口84を含むことができる。冷却通路開口84は、上流側側壁46によって、例えば、上流側側壁46の正圧面66に画成することができる。代わりに、冷却通路開口84は上流側側壁46の負圧面68に画成することができる。冷却媒体95の一部分が冷却回路90から冷却通路80に流れることができ、またその冷却媒体95は冷却通路80から冷却通路開口84を介して排出することができる。
【0027】
冷却媒体95は冷却通路80及び冷却通路開口84を通って隣接した動翼組立体30の吸込み区域70へ供給することができる。例えば、一実施形態の模範的な一面では、図6及び図7に部分的に示されているように、複数の動翼組立体30がシャフト18の周りに円周方向に配置され且つシャフト18に結合されて、ロータ組立体20をすることができる。各々の動翼組立体30及び隣接の動翼組立体30は、図6に示されているように、それらの間に吸込み区域70を画成することができる。
【0028】
一実施形態の模範的な一面では、吸込み区域70に供給された冷却媒体95は、隣接した動翼組立体30のシール・ピン112の少なくとも一部分と相互作用して、上流側シール・ピン112を冷却することができる。例えば、図6に示されているように、上流側シール・ピン112の上側端部119は吸込み区域70に隣接して又は吸込み区域70内に配置することができる。吸込み区域70に供給された冷却媒体95は、シール・ピン112の上側端部119と相互作用して、上側端部119を冷却することができる。
【0029】
一実施形態の模範的な一面では、外部冷却通路開口84は高温ガス流28に関してシール・ピン112の上流側に位置決めすることができる。一実施形態の別の模範的な面では、外部冷却通路開口84は高温ガス流28に関してシール・ピン112と実質的に整列させることができる。しかしながら、外部冷却通路開口84の位置はシール・ピン112の上流側の位置又はシール・ピン112と整列した位置に制限されず、冷却通路開口84を通って隣接した動翼組立体30の吸込み区域70へ冷却媒体95を供給することのできるシャンク36上の任意の場所にすることができることを理解されたい。
【0030】
一実施形態の模範的な一面では、吸込み区域70に供給された冷却媒体95は、隣接した動翼組立体30のダンパー・ピン116の少なくとも一部分と相互作用して、ダンパー・ピン116を冷却することができる。例えば、図6に示されているように、ダンパー・ピン116の前端部117は吸込み区域70に隣接して又は吸込み区域70内に配置することができる。吸込み区域70に供給された冷却媒体95は、ダンパー・ピン116の前端部117と相互作用して、前端部117を冷却することができる。
【0031】
一実施形態の模範的な一面では、冷却媒体95は、冷却通路開口84を通って冷却通路80を出たときに、吸込み区域70内の高温ガス流28と混合して、高温ガス流28を冷却することができる。例えば、一実施形態では、高温ガス流28は約1900°Fよりも高い温度になることがある。冷却媒体95は高温ガス流28と混合して、高温ガス流28を約1900°Fよりも低い温度まで冷却することができる。一実施形態の別の模範的な面では、冷却媒体95は、冷却通路開口84を通って冷却通路80を出たときに、吸込み障壁を構成することができる。この吸込み障壁は、高温ガス流28が吸込み区域70に入るのを防止することができる。例えば、冷却媒体95は、局在化された冷却用噴出流を構成するのに充分な圧力で冷却通路80を流出して、その結果、吸込み障壁が生じる。
【0032】
本願発明はまた、動翼組立体30を冷却するための方法も対象とする。本方法は、例えば、冷却媒体95を動翼組立体30内の冷却回路90へ供給する段階を含むことができる。例えば、冷却媒体95は、前に述べたように、圧縮機12からダブテール38又はシャンク36を介して冷却回路90へ供給することができる。本方法は更に、例えば、冷却媒体95の一部分を、冷却回路90から内部冷却通路80を通って隣接の動翼組立体30の外部吸込み区域70へ供給する段階を含むことができる。動翼組立体30は、前に述べたように、プラットフォーム32と、翼形部34と、シャンク36と、ダブテール38とを含むことができる。
【0033】
動翼組立体30は更に、前に述べたように、シール・ピン112を含むことができる。動翼組立体30とその隣接の動翼組立体30とは更にそれらの間に吸込み区域70を画成することができ、また、吸込み区域70に供給された冷却媒体95が、前に述べたように、隣接の動翼組立体30のシール・ピン112の少なくとも一部分と相互作用して、シール・ピン112を冷却することができる。
【0034】
冷却通路80は、前に述べたように、外部冷却通路開口84を含むことができる。冷却通路開口84は、例えば、前に述べたように、高温ガス流28に関してシール・ピン112の上流側に位置決めすることができ、或いは、高温ガス流28に関してシール・ピン112と実質的に整列させることができる。
【0035】
動翼組立体30は更に、前に述べたように、ダンパー・ピン116を含むことができる。動翼組立体30及びその隣接の動翼組立体30は更に、それらの間に吸込み区域70を画成することができ、また吸込み区域70に供給された冷却媒体95が、前に述べたように、隣接の動翼組立体30のダンパー・ピン116の前端部117の少なくとも一部分と相互作用して、前端部117を冷却することができる。
【0036】
冷却媒体95は、前に述べたように、吸込み区域70において高温ガス流28と混合して、高温ガス流28を冷却することができる。代わりに、冷却媒体95は吸込み障壁を構成することができる。吸込み障壁は、前に述べたように、高温ガス流28が吸込み区域70に入るのを防止することができる。
【0037】
本発明に従って、高温ガス流28の吸込みを防止し、シール・ピン112を冷却し、且つダンパー・ピン116を冷却するために必要とされる冷却媒体95の量は、有利なことに最少量にすることができる。例えば、圧縮機12からタービン16及び様々な動翼組立体30へ供給される冷却媒体95の必要量は、シャンクを加圧する設計のような他の様々な動翼構成要素冷却装置及び設計で必要とされる量よりも実質的に低くすることができる。従って、本発明に従って必要とされる冷却媒体95が最少量であるので、ガスタービン・システム10のタービン16における漏れ及び放出により無駄になる冷却媒体95の量を大幅に低減することができる。更に、本発明に従って必要とされる冷却媒体95が最少量であるので、タービン16及びガスタービン・システム10の性能及び効率を大幅に増大させることができる。
【0038】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し、任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施することができるようにするために、幾つかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0039】
10 ガスタービン・システム
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18 シャフト
20 ロータ組立体
21 第1段のノズル
22 第1段の動翼
23 第2段のノズル
24 第2段の動翼
25 第3段のノズル
26 第3段の動翼
28 高温ガス流
30 動翼組立体
32 プラットフォーム
34 翼形部
36 シャンク
38 ダブテール
42 正圧側側壁
44 負圧側側壁
46 上流側側壁
48 下流側側壁
52 正圧面
54 負圧面
56 前縁
58 後縁
62 外面
64 内面
66 正圧面
68 負圧面
70 吸込み区域
75 堀形空洞
80 冷却通路
84 外部冷却通路開口
90 冷却回路
92 冷却回路入口
95 冷却媒体
112 上流側シール・ピン
113 チャンネル
114 下流側シール・ピン
115 チャンネル
116 ダンパー・ピン
117 前端部
118 後端部
119 上流側シール・ピンの上側端部
130 上流側上側エンジェル・ウイング
132 下流側上側エンジェル・ウイング
134 上流側下側エンジェル・ウイング
136 下流側下側エンジェル・ウイング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォーム(32)と、
前記プラットフォーム(32)から半径方向外向きに延在する翼形部(34)と、
前記プラットフォーム(32)から半径方向内向きに延在するシャンク(36)であって、正圧側側壁(42)、負圧側側壁(44)、上流側側壁(46)及び下流側側壁(48)を含むシャンク(36)とを有し、
前記側壁(42,44,46,48)が少なくとも部分的に冷却回路(90)を画成し、前記冷却回路(90)が、冷却媒体(95)を受け取って、該冷却媒体を前記翼形部(34)へ供給するように構成されており、前記上流側側壁(46)が少なくとも部分的に内部冷却通路(80)を画成し且つ少なくとも部分的に外部吸込み区域(70)を画成しており、また前記冷却通路(80)が、前記冷却回路(90)から隣接の動翼組立体(30)の吸込み区域(70)へ冷却媒体(95)の一部分を供給するように構成されていること、
を特徴とする動翼組立体(30)。
【請求項2】
前記上流側側壁(46)は、外面(62)、内面(64)、正圧面(66)及び負圧面(68)を含み、前記吸込み区域(70)が前記負圧面(68)及び前記プラットフォーム(32)に隣接して画成されている、請求項1記載の動翼組立体(30)。
【請求項3】
更に、前記上流側側壁(46)に隣接して配置され且つ前記動翼組立体(30)と隣接の動翼組立体(30)との間にシールを形成するように構成されたシール・ピン(112)を有している請求項1乃至2のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。
【請求項4】
前記動翼組立体(30)及び隣接の動翼組立体(30)が更にそれらの間に前記吸込み区域(70)を画成し、前記吸込み区域(70)に供給された冷却媒体(95)が前記隣接の動翼組立体(30)の前記シール・ピン(112)の少なくとも一部分と相互作用して、該シール・ピン(112)を冷却する、請求項3記載の動翼組立体(30)。
【請求項5】
前記冷却通路(80)は外部冷却通路開口(84)を含み、該冷却通路開口(84)は高温ガス流(28)に関して前記シール・ピン(112)の上流側に配置されている、請求項3乃至4のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。
【請求項6】
前記冷却通路(80)は外部冷却通路開口(84)を含み、該冷却通路開口(84)は高温ガス流(28)に関して前記シール・ピン(112)と実質的に整列している、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。
【請求項7】
前記動翼組立体(30)は更に、前記プラットフォーム(32)に隣接して配置されたダンパー・ピン(116)を有し、前記ダンパー・ピン(116)は前端部(117)及び後端部(118)を含み、前記前端部(117)は前記上流側側壁(46)に隣接して配置され、前記後端部(118)は前記下流側側壁(48)に隣接して配置され、前記ダンパー・ピン(116)は前記動翼組立体(30)と隣接の動翼組立体(30)との間の振動を減衰させるように構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。
【請求項8】
前記動翼組立体(30)及び隣接の動翼組立体(30)が更に、それらの間に前記吸込み区域(70)を画成し、前記吸込み区域(70)に供給された冷却媒体(95)が前記隣接の動翼組立体(30)の前記ダンパー・ピン(116)の前記前端部(117)の少なくとも一部分と相互作用して、該前端部(117)を冷却する、請求項7記載の動翼組立体(30)。
【請求項9】
前記冷却媒体(95)が前記吸込み区域(70)内で高温ガス流(28)と混合して、該高温ガス流(28)を冷却する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。
【請求項10】
前記冷却媒体(95)は、高温ガス流(28)が前記吸込み区域(70)に入るのを防止する吸込み障壁を構成する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の動翼組立体(30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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