説明

動脈圧遮断の直接計測

中心から末梢までの動脈圧遮断、すなわち、高心拍出量または血管拡張状態を監視する方法を説明する。これらの方法は、中心大動脈および末梢動脈位置における流量および圧力測定から決定することができるインピーダンス、コンプライアンス、および圧力等のパラメータの比較を伴う。中心大動脈と末梢動脈位置とにおけるパラメータ間の関係は、中心から末梢までの動脈圧遮断の表示を提供する。これらの方法は、被検者が中心から末梢までの動脈圧遮断を経験していることをユーザに警告することができ、それは臨床医が被検者に治療を適切に提供することを可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1回拍出量(SV)、心拍出量(CO)、拡張末期容量、駆出分画、1回拍出量変動(SVV)、脈圧変動(PPV)、および収縮期圧変動(SPV)等の指標は、とりわけ、被検者における疾患の診断だけでなく、臨床的に有意な変化の「リアルタイム」、すなわち、継続的な監視にも重要である。例えば、医療介護提供者は、人間および動物の被検体の両方において、前負荷依存、流体反応性、または容量反応性の変化、ならびに、例えば、中心から末梢までの遮断に関心がある。したがって、示された変化のうちの1つ以上が被検者において発生しているという警告を提供しようとして、1つ以上の心臓指標を監視するための何らかの形態の機器がない病院は少ない。侵襲性技法、非侵襲性技法、およびそれらの組み合わせを含む、多くの技法が使用されており、さらには文献において提案されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法を説明する。方法は、中心大動脈および末梢動脈位置における流量および圧力の測定から決定することができる血管インピーダンス、動脈コンプライアンス、ならびに中心大動脈および末梢動脈圧等のパラメータの比較を伴う。これらのパラメータの間の関係は、中心から末梢までの動脈圧遮断の表示を提供する。
【0003】
血管インピーダンスを使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法は、被検者における中心大動脈圧、中心大動脈流、および末梢動脈圧を測定するステップを伴う。次いで、中心大動脈圧および中心大動脈流から中心全身血管インピーダンスを、末梢動脈圧および中心大動脈流から末梢全身血管インピーダンスを計算する。中心全身血管インピーダンスは、末梢全身血管インピーダンスと比較され、被検者の末梢全身血管インピーダンスが被検者の中心全身血管インピーダンスよりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。
【0004】
動脈コンプライアンスを使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法は、被検者における中心大動脈圧、中心大動脈流、および末梢動脈圧を測定するステップを伴う。次いで、中心大動脈圧および中心大動脈流から中心全身動脈コンプライアンスを、末梢動脈圧および中心大動脈流から末梢全身動脈コンプライアンスを計算する。中心全身動脈コンプライアンスは、末梢全身動脈コンプライアンスと比較され、被検者の末梢全身動脈コンプライアンスが被検者の中心全身動脈コンプライアンスよりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。
【0005】
中心大動脈圧および末梢動脈圧を使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法は、被検者の中心大動脈圧および被検者の末梢動脈圧を測定するステップを伴う。被検者の中心大動脈圧は、被検者の末梢動脈圧と比較され、被検者の中心大動脈圧が被検者の末梢動脈圧よりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、正常血液動態状態中のブタ動物モデルの上行大動脈(大動脈)、大腿動脈(大腿)、および橈骨動脈(橈骨)における同時記録された圧力波形を示す。
【図2】図2は、大量の流体および昇圧剤で蘇生させられた、内毒素性ショック(敗血症性ショック)中のブタ動物モデルの上行大動脈(大動脈)、大腿動脈(大腿)、および橈骨動脈(橈骨)における同時記録された圧力波形を示す。
【図3】図3は、中心全身血管インピーダンスおよび末梢全身血管インピーダンスを使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視するための論理の実施例を図示する、フローチャートを示す。
【図4】図4は、中心全身動脈コンプライアンスおよび末梢全身動脈コンプライアンスを使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視するための論理の実施例を図示する、フローチャートを示す。
【図5】図5は、動脈系の2要素コンプライアンス・抵抗モデルを示す。
【図6】図6は、中心大動脈圧および末梢動脈圧を使用して、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視するための論理の実施例を図示する、フローチャートを示す。
【図7】図7A−Cは、正常血液動態状態で、次いで、末梢遮断状態での被検者のインピーダンス(7A)、抵抗(7B)、およびコンプライアンス(7C)測定のプロットを示す。
【図8】図8は、本明細書で説明される方法を実装するシステムの主要構成要素を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
中心から末梢までの動脈圧遮断、すなわち、高心拍出量の血液動態状態を監視する方法を説明する。これらの方法は、中心大動脈および末梢動脈位置における流量および圧力測定から決定することができる、インピーダンス、コンプライアンス、および圧力等のパラメータの比較を伴う。中心大動脈および末梢動脈位置におけるパラメータ間の関係は、中心から末梢までの動脈圧遮断の表示を提供する。具体的には、末梢インピーダンスまたは圧力値が、類似中心インピーダンスまたは圧力パラメータ値を下回るレベルに下がると(またはコンプライアンスについては逆も同様)、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。これらの方法は、被検者が中心から末梢までの動脈圧遮断を経験していることをユーザに警告することができ、それは臨床医が被検者に治療を適切に提供することを可能にすることができる。
【0008】
本明細書で使用されるように、高心拍出量および血管拡張という用語は、動脈末梢圧力および流量が中心大動脈圧および流量から遮断される状態を意味し、末梢動脈という用語は、心臓から離れて位置する動脈、例えば、橈骨、大腿、または上腕動脈を意味することを目的としている。遮断された動脈圧とは、動脈末梢圧力と中心大動脈圧との間の正常な関係が有効ではなく、中心動脈圧を決定するために動脈および末梢動脈圧を使用することができないことを意味する。これはまた、末梢動脈圧が比例していないか、または中心大動脈圧の関数ではない状態も含む。正常な血液動態条件下では、心臓からさらに遠く離れた測定が得られると、血圧が増加する。そのような圧力増加が図1に示されており、すなわち、橈骨動脈で測定される圧力波の振幅は、大腿動脈で測定される圧力よりも大きく、それは順に大動脈圧よりも大きい。これらの圧力の差は波反射に関係付けられ、すなわち、圧力は末梢に向かって増幅される。
【0009】
この圧力の正常な血液動態関係、すなわち、心臓から離れた圧力の増加は、しばしば、医学的診断において信頼される。しかしながら、高心拍出量/血管拡張条件下では、この関係は、中心大動脈圧よりも低くなる動脈圧によって逆転され得る。この逆転は、例えば、動脈系での波反射に影響を及ぼすことが示唆されている、末梢血管における動脈の緊張に起因している。そのような高心拍出量状態が図2に示されており、すなわち、橈骨動脈で測定される圧力波の振幅は、大腿動脈で測定される圧力よりも低く、それは順に大動脈圧よりも低い。小末梢動脈を拡張させる薬剤(例えば、硝酸塩、ACE阻害剤、およびカルシウム阻害剤)が、この効果の一因となると考えられている。これらの種類の重度血管拡張状態はまた、橈骨動脈圧が大動脈における圧力を過小評価する心肺バイパス(冠状動脈バイパス)の直後の状況で、しばしば観察される。末梢動脈圧が中心大動脈圧を過小評価する、大幅な中心から末梢までの圧力差は、通常、重度の血管拡張につながる、大量の流体および高用量昇圧剤で治療されている重度敗血症の患者で観察される。非常に同様の状態は、末期肝疾患の患者でも観察される。当業者によって十分理解されるように、正常な血液動態状態の患者に対する、ある治療は、高心拍出量状態の被検者とは異なって着手される。したがって、本開示方法は、該当する場合、中心から末梢までの動脈圧遮断、すなわち、被検者における血管拡張を検出する。
【0010】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視するための第1の方法が、図3でフローチャートとして示されており、被検者の中心大動脈圧(10)、中心大動脈流(20)、および末梢動脈圧(30)を測定することを伴う。次に、中心大動脈圧を中心大動脈流で割ることによって中心全身血管インピーダンスが計算され(40)、末梢動脈圧を中心大動脈流で割ることによって末梢全身血管インピーダンスが計算される(50)。次に、中心全身血管インピーダンスが、末梢全身血管インピーダンスと比較される(60)。被検者の末梢全身血管インピーダンスが被検者の中心全身血管インピーダンスよりも大きい場合、次いで、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、中心全身血管インピーダンスから末梢全身血管インピーダンスを引くことによって決定することができる。被検者が中心から末梢までの動脈圧遮断を経験しているかどうか、および/または中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、中心全身血管インピーダンスおよび末梢全身血管インピーダンスを継続的に監視することによって、継続的に監視することができる。
【0011】
中心全身血管インピーダンスは、以下のように、中心大動脈圧を中心大動脈流で割ることによって計算することができる。
【0012】
【数1】

ここで、Zは全身血管インピーダンス(下付き文字は、測定が大動脈の高さで行われることを示す)であり、Pは大動脈圧のパワースペクトルであり、Qは大動脈流のパワースペクトルであり、jは複素関数を示す虚数単位であり、周波数ωは2πfである。当業者に明白となるように、ここで説明される全ての数学演算は、周波数領域で行われる。圧力信号または流量信号の任意の数の高調波、例えば、圧力および流量信号の最初の10個または最初の20個の高調波を使用することができる。圧力および流量信号のパワースペクトルは、例えば、高速フーリエ変換(FFT)を用いて計算することができる。信号のパワースペクトルを計算する他の方法が当業者に公知である。同様に、末梢動脈インピーダンスは、以下のように、末梢動脈圧を中心大動脈流で割ることによって計算することができる。
【0013】
【数2】

ここで、Zは末梢全身血管インピーダンス(下付き文字は、測定が末梢血管で行われることを示す)であり、Pは末梢動脈圧のパワースペクトルであり、Qは末梢動脈流のパワースペクトルであり、jは複素関数を示す虚数単位であり、周波数ωは2πfである。被検者の末梢全身血管インピーダンスが被検者の中心全身血管インピーダンスよりも大きいかどうか(すなわち、中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるかどうか(PDI))は、以下のように数学的に表すことができる。
【0014】
【数3】

中心から末梢までの動脈圧遮断が示される被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、以下のように数学的に表すことができる。
【0015】
【数4】

この関係では、末梢遮断の程度は、中心全身血管インピーダンスが末梢全身血管インピーダンスよりも低い(すなわち、末梢遮断が示されない)ときに0として示され、末梢遮断の程度は、中心全身血管インピーダンスが末梢全身血管インピーダンスよりも大きい(すなわち、末梢遮断が示される)ときに、中心全身血管インピーダンスと末梢全身血管インピーダンスとの間の差に等しくなる。
【0016】
さらに、中心と末梢全身血管インピーダンスとの間の差は、継続的に測定することができ、それは中心全身血管インピーダンスと末梢全身血管インピーダンスとの間の差の程度を示す。
【0017】
【数5】

この関係を使用するときに、PDがゼロよりも大きい場合、末梢圧力遮断が示され、PDの値が大きくなるほど、末梢遮断が大きくなる。PDがゼロ未満であるときに、正常な状態が示される。PDが25%以上だけゼロより小さい場合、末梢血管収縮が示される。
【0018】
末梢遮断の程度は、以下のように%で求めることができる。
【0019】
【数6】

または継続的に求めることができる。
【0020】
【数7】

本明細書で説明される方法とともに使用されるように、被検者の中心大動脈圧は、直接または間接的に監視することができる。被検者の中心大動脈圧は、大動脈の異なる部分(例えば、上行大動脈、大動脈弓、胸大動脈、腹大動脈)に導入された1つ以上の圧力トランスデューサによって直接監視することができる。直接測定のために、圧力トランスデューサを、例えば、被検者の大動脈弓、上行大動脈、胸大動脈、または腹大動脈の中に設置することができる。他の圧力計およびそれらの配置のための場所が、当業者に公知である。被検者の中心大動脈圧はまた、被検者の中心大動脈圧に比例する、被検者の中心大動脈圧から導出されるか、または被検者の中心大動脈圧の関数である信号から決定することができる。被検者の中心大動脈圧に比例する、被検者の中心大動脈圧から導出される、または被検者の中心大動脈圧の関数である信号は、例えば、中心バイオイピーダンスプレチスモグラフィ、非侵襲眼圧測定法、超音波、またはパルス酸素測定法のうちの1つ以上によって測定することができる。被検者の中心大動脈圧に比例する他の信号または被検者の中心大動脈圧の関数、およびそれらの測定のための方法が、当業者に公知である。
【0021】
本明細書で説明される方法とともに使用されるように、被検者の中心大動脈圧は、直接または間接的に監視することができる。被検者の中心大動脈流は、大動脈の異なる部分(例えば、上行大動脈、大動脈弓、胸大動脈、腹大動脈)に導入された1つ以上の流量計で、直接監視することができる。直接測定のために、流量計を、例えば、被検者の大動脈弓、上行大動脈、胸大動脈、または腹大動脈の中に設置することができる。他の流量計およびそれらの配置のための場所が、当業者に公知である。被検者の中心大動脈流はまた、被検者の中心大動脈流に比例する、被検者の中心大動脈流から導出される、または被検者の中心大動脈流の関数である信号から決定することができる。被検者の中心大動脈流に比例する、被検者の中心大動脈流から導出される、または被検者の中心大動脈流の関数である信号は、例えば、ドップラ、超音波、バイオインピーダンス、TEE、またはスワン・ガンツカテーテルのうちの1つ以上によって測定することができる。被検者の中心大動脈流に比例する他の信号または被検者の中心大動脈流の関数、およびそれらの測定のための方法が、当業者に公知である。
【0022】
さらに、本明細書で説明される方法とともに使用されるように、被検者の末梢動脈圧は、直接または間接的に監視することができる。被検者の末梢動脈圧は、例えば、1つまたは2つの橈骨、上腕、または大腿血管に導入された1つ以上の圧力トランスデューサで、直接監視することができる。直接測定のために、圧力トランスデューサを、例えば、被検者の橈骨、上腕、または大腿血管のうちの1つ以上の中に設置することができる。他の圧力計およびそれらの配置のための場所が、当業者に公知である。被検者の末梢動脈圧はまた、被検者の末梢動脈圧に比例する、被検者の末梢動脈圧から導出される、または被検者の末梢動脈圧の関数である信号から決定することができる。被検者の末梢動脈圧に比例する、被検者の末梢動脈圧から導出される、または被検者の末梢動脈圧の関数である信号は、例えば、中心バイオイピーダンスプレチスモグラフィ、非侵襲眼圧測定法、超音波、カフ血圧、またはパルス酸素測定法のうちの1つ以上によって測定することができる。被検者の末梢動脈圧に比例する他の信号または被検者の末梢動脈圧の関数、およびそれらの測定のための方法が、当業者に公知である。
【0023】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視するためのさらなる方法が、図4でフローチャートとして示されており、また、被検者の中心大動脈圧(10)、中心大動脈流(20)、および末梢動脈圧(30)を測定することも伴う。次に、中心大動脈圧および中心大動脈流を使用して、中心全身動脈コンプライアンスが計算され(40)、末梢動脈圧および中心大動脈流を使用することによって、末梢全身動脈コンプライアンスが計算される(50)。次いで、中心全身動脈コンプライアンスが、末梢全身動脈コンプライアンスと比較される(60)。被検者の末梢全身動脈コンプライアンスが被検者の中心全身動脈インピーダンスよりも大きい場合、次いで、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、中心全身動脈コンプライアンスから末梢全身動脈コンプライアンスを引くことによって決定することができる。被検者が中心から末梢までの動脈圧遮断を経験しているかどうか、および/または中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、中心全身動脈コンプライアンスおよび末梢全身動脈コンプライアンスを継続的に監視することによって、継続的に監視することができる。
【0024】
中心全身動脈コンプライアンスは、以下のように、スペクトルのf=0について末梢抵抗を最初に測定することによって計算することができる。
【0025】
【数8】

ここで、Rは末梢抵抗であり、Zは全身動脈血管インピーダンスであり、Pは大動脈圧のパワースペクトルであり、Qは大動脈流のパワースペクトルである。図5に示されるような動脈系の2要素コンプライアンス・抵抗モデルを仮定した場合、最初の10個の高調波に対するシステムの中心全身血管インピーダンスの無効分は、以下のようになり、
【0026】
【数9】

ここで、周波数ωは2πfである。次いで、最初の10個の高調波に対する中心全身動脈コンプライアンスは、以下であり、
【0027】
【数10】

(当業者であれば、中心全身動脈コンプライアンスを測定するために、任意の数の高調波を使用できることを理解するであろう。)同様に、末梢全身血管圧インピーダンスの無効分は、以下であり、
【0028】
【数11】

最初の10個の高調波に対する末梢全身動脈コンプライアンスは、以下のであり、
【0029】
【数12】

被検者の末梢全身動脈コンプライアンスが被検者の中心全身動脈コンプライアンスよりも大きいかどうか(すなわち、中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるかどうか)は、以下のように数学的に表すことができる。
【0030】
【数13】

中心から末梢までの動脈圧遮断が示される被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、以下のように数学的に表すことができる。
【0031】
【数14】

この関係では、末梢遮断の程度は、末梢全身動脈コンプライアンスが中心全身動脈コンプライアンスよりも低い(すなわち、末梢遮断が示されない)ときに0として示され、末梢遮断の程度は、末梢全身動脈コンプライアンスが中心全身動脈コンプライアンスよりも大きい(すなわち、末梢遮断が示される)ときに、末梢全身動脈コンプライアンスと中心全身動脈コンプライアンスとの間の差に等しくなる。
【0032】
さらに、末梢全身動脈コンプライアンスと中心全身動脈コンプライアンスとの間の差は、継続的に測定することができ、それは末梢全身動脈コンプライアンスと中心全身動脈コンプライアンスとの間の差の程度を示す。
【0033】
【数15】

この関係を使用するときに、PDがゼロよりも大きい場合、末梢圧力遮断が示され、PDの値が大きくなるほど、末梢遮断が大きくなる。PDがゼロ未満であるときに、正常な状態が示される。PDが25%以上でゼロ未満である場合、末梢血管収縮が示される。
【0034】
末梢遮断の程度は、以下のように%で求めることができる。
【0035】
【数16】

または継続的に求めることができる。
【0036】
【数17】

被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する付加的な方法が、図6でフローチャートとして示されており、また、被検者の中心大動脈圧(10)および末梢動脈圧(20)を測定することを含む。次に、中心大動脈圧が、末梢動脈圧と比較される(30)。被検者の末梢動脈圧が被検者の中心大動脈圧よりも小さい場合、次いで、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される。中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、末梢動脈圧から中心大動脈圧を引くことによって決定することができる。被検者が中心から末梢までの動脈圧遮断を経験しているかどうか、および/または中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、中心大動脈圧および末梢動脈圧を継続的に監視することによって、継続的に監視することができる。
【0037】
被検者の中心大動脈圧が被検者の末梢動脈圧よりも大きいかどうか(すなわち、中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるかどうか)は、以下のように数学的に表すことができる。
【0038】
【数18】

中心から末梢までの動脈圧遮断が示される被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断の程度は、以下のように数学的に表すことができる。
【0039】
【数19】

上記で説明される方法のように、末梢遮断の程度は、中心大動脈圧と末梢動脈圧との間の差として継続的に測定することができる。
【0040】
【数20】

この関係を使用する場合、PDがゼロよりも大きいとき、末梢圧力遮断が示され、PDの値が大きくなるほど、末梢遮断が大きくなる。PDがゼロ未満であるときに、正常な状態が示される。PDが25%以上でゼロ未満である場合、末梢血管収縮が示される。
末梢遮断の程度は、以下のように%で示すことができる。
【0041】
【数21】

または継続的に示すことができる。
【0042】
【数22】

被検者の末梢動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力と、被検者の中心大動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力との間の差は、継続的に監視することができる。加えて、いったん遮断が示されると、被検者の末梢動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力と、被検者の中心大動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力との間の差を計算することによって、中心から末梢までの動脈圧遮断の程度を監視することができる。末梢動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力、および中心大動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力のこの差はまた、継続的に監視することができる。さらに、被検者の末梢動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力と、被検者の中心大動脈インピーダンス、コンプライアンス、または圧力との間の差は、グラフィカルユーザインターフェース上で表示することができる。例えば、差は、棒グラフまたは動向グラフとして表示することができる。中心から末梢までの動脈圧遮断が検出されると、例えば、グラフィカルユーザインターフェース上で通知を公表することによって、または音を発することによって、ユーザに警告することができる。
【0043】
末梢および大動脈インピーダンスおよびコンプライアンス(ならびに比較のための抵抗)を監視する実施例が、図7A−Cに示されている。図7Aは、正常な状態を経験し、次いで、中心から末梢までの動脈圧遮断を経験する被検者の大動脈インピーダンス(Z)および末梢インピーダンス(Z)を示す。同様に、図7Cは、正常な状態を経験し、次いで、中心から末梢までの動脈圧遮断を経験する被検者の大動脈コンプライアンス(C)および末梢コンプライアンス(C)を示す。比較目的で、図7Bは、同じ被検者の大動脈および末梢抵抗を示す(抵抗測定は中心から末梢までの動脈圧遮断の明確な表示を提供しない)。
【0044】
図8は、被検者における中心から末梢までの遮断を監視するための本明細書で説明される方法を実装するシステムの主要構成要素を示す。方法は、既存の患者監視デバイス内で実装されてもよく、または専用モニタとして実装されてもよい。上述のように、末梢動脈圧および/または流(あるいは末梢動脈圧および/または流に比例する何らかの他の入力信号)、ならびに中心大動脈圧および/または流(あるいは中心大動脈圧および/または流に比例する何らかの他の入力信号)は、侵襲的および非侵襲的といった2つの方法のうちのいずれか一方、または実際には両方で感知されてもよい。簡単にするために、システムは、中心パラメータおよび末梢パラメータ用の入力を有するものとして説明されている。
【0045】
図8は、ボックス100から入力されている中心パラメータ(例えば、圧力および流量データ)およびボックス200から入力されている末梢パラメータを示す。中心パラメータ100および末梢パラメータ200入力は、通常は信号を処理し、コードを実行するように含まれる、1つ以上のプロセッサと、他の支援ハードウェアおよびシステムソフトウェア(図示せず)とを含む処理システム300に、任意の既知のコネクタを介して渡される。本明細書で説明される方法は、修正された標準パーソナルコンピュータを使用して実装されてもよく、またはより大きい特殊監視システムに組み込まれてもよい。本明細書で説明される方法とともに使用するために、処理システム300はまた、必要に応じて、増幅、フィルタリング、または測距等の通常の信号処理タスクを行う調整回路302を含んでもよく、またはそれに接続される。次いで、調整された感知入力圧力信号P(t)は、クロック回路305からの時間参照を有するか、または得る従来のアナログ・デジタル変換器ADC304によって、デジタル形態に変換される。十分理解されるように、ADC304のサンプリング周波数は、圧力信号のエイリアシングを回避するよう、ナイキスト基準に関して選択されるべきである(この手順はデジタル信号処理の技術分野において非常に良く知られている)。ADC304からの出力は、その値が従来のメモリ回路(図示せず)に記憶されてもよい、離散圧力信号P(k)となる。
【0046】
値P(k)は、本明細書で説明される方法の1つ以上の側面を実装するためのコンピュータ実行可能コードを備える、ソフトウェアモジュール310によって、メモリに渡されるか、またはメモリからアクセスされる。そのようなソフトウェアモジュール310の設計は、コンピュータプログラミングの当業者にとって単純明快である。方法によって使用されるような付加的な比較および/または処理は、320および330等の付加的なモジュールで行うことができる。
【0047】
使用される場合、差の値または他の計算の記録等の信号特有データを必要に応じて他のデータまたはパラメータも記憶してもよいメモリ領域315に記憶することができる。これらの値は、従来の方式で任意の既知の入力デバイス400を使用して入力されてもよい。
【0048】
図8によって図示されるように、結果は最終的に、ユーザへの表示およびユーザによる解釈のために、従来のディスプレイまたは記録デバイス500上で表示されてもよい。入力デバイス400と同様に、ディスプレイ500は、典型的には、他の目的で処理システムによって使用されるものと同じとなる。
【0049】
方法、装置、およびコンピュータプログラム製品のブロック図およびフローチャート説明図を参照して、本発明の例示的実施形態を上記で説明してきた。当業者であれば、ブロック図およびフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート説明図のブロックの組み合わせは、それぞれ、コンピュータプログラム命令を含む種々の手段によって実装することができると理解するであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行する命令が、1つまたは複数のフローチャートブロックで特定される機能を実装するための手段を作成するように、機械を生産するよう、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードされてもよい。
【0050】
本明細書で説明される方法はさらに、コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、図8に図示されたブロックで特定される機能を実装するためのコンピュータ可読命令を含む、製造品を生産するように、コンピュータ、またはプロセッサあるいは処理システム等の他のプログラム可能なデータ処理装置(図8で300として示される)に特定の方式で機能するように指図することができる、コンピュータ可読メモリに記憶されてもよいコンピュータプログラム命令に関する。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行する命令が、ブロックで特定される機能を実装するためのステップを提供するように、一連の動作ステップをコンピュータ、処理システム300、または他のプログラム可能な装置上で行わせて、コンピュータ実装過程を生産するよう、コンピュータ、処理システム300、または他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードされてもよい。また、種々の計算を行い、本明細書で説明される関連方法ステップを行うために、種々のソフトウェアモジュール310、320、および330を使用することができ、また、方法が異なる処理システムにロードされ、それによって実行されることを可能にするために、コンピュータ可読媒体上にコンピュータ実行可能命令として記憶することもできる。
【0051】
したがって、ブロック図およびフローチャート説明図のブロックは、特定された機能を果たすための手段の組み合わせ、特定された機能を果たすためのステップの組み合わせ、および特定された機能を果たすためのプログラム命令手段を支援する。当業者であれば、ブロック図およびフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート説明図のブロックの組み合わせは、特定された機能またはステップを果たす特殊用途ハードウェアベースのコンピュータシステム、または特殊用途ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって実装することができると理解するであろう。
【0052】
本発明は、本発明のいくつかの側面の例示として意図される、本明細書で開示される実施形態によって範囲を限定されず、機能的に同等である任意の実施形態は、本発明の範囲内である。本明細書で示され、説明されるものに加えて、方法の種々の修正が、当業者に明白となり、添付の請求項の範囲内に入ることを目的としている。さらに、本明細書で開示される方法ステップのある代表的な組み合わせのみが、上記の実施形態で具体的に論議されているが、方法ステップの他の組み合わせが、当業者に明白となり、また、添付の請求項の範囲内に入ることを目的としている。したがって、ステップの組み合わせが、本明細書で明示的に記述されてもよい一方で、たとえ明示的に記載されなくても、ステップの他の組み合わせが含まれる。本明細書で使用されるような「備える」という用語およびその変化例は、「含む」という用語およびその変化例と同意語として使用され、制約のない非限定的用語である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法であって、
該被検者における中心大動脈圧を測定することと、
該被検者における中心大動脈流を測定することと、
該被検者における末梢動脈圧を測定することと、
該中心大動脈圧と該中心大動脈流とから中心全身血管インピーダンスを計算することと、
該末梢動脈圧と該中心大動脈流とから末梢全身血管インピーダンスを計算することと、
該中心全身血管インピーダンスを該末梢全身血管インピーダンスと比較することと
を含み、該被検者の末梢全身血管インピーダンスが該被検者の中心全身血管インピーダンスよりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、方法。
【請求項2】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法であって、
該被検者における中心大動脈圧を測定することと、
該被検者における中心大動脈流を測定することと、
該被検者における末梢動脈圧を測定することと、
該中心大動脈圧と該中心大動脈流とから中心全身動脈コンプライアンスを計算することと、
該末梢動脈圧と該中心大動脈流とから末梢全身動脈コンプライアンスを計算することと、
該中心全身動脈コンプライアンスを該末梢全身動脈コンプライアンスと比較することと
を含み、該被検者の末梢全身動脈コンプライアンスが該被検者の中心全身動脈コンプライアンスよりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、方法。
【請求項3】
被検者における中心から末梢までの動脈圧遮断を監視する方法であって、
該被検者における中心大動脈圧を測定することと、
該被検者における末梢動脈圧を測定することと、
該被検者の中心大動脈圧を該被検者の末梢動脈圧と比較することと
を含み、該被検者の中心大動脈圧が該被検者の末梢動脈圧よりも大きい場合に、中心から末梢までの動脈圧遮断が示される、方法。
【請求項4】
前記被検者の中心全身血管インピーダンスは、該被検者における前記中心大動脈圧のパワースペクトルを計算し、該被検者における前記中心大動脈流のパワースペクトルを計算し、次いで、該中心大動脈圧の該パワースペクトルを該中心大動脈流の該パワースペクトルで割ることによって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被検者の末梢全身血管インピーダンスは、該被検者における前記末梢動脈圧のパワースペクトルを計算し、該被検者における前記中心大動脈流のパワースペクトルを計算し、次いで、該末梢動脈圧の該パワースペクトルを該中心大動脈流の該パワースペクトルで割ることによって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、前記被検者の中心全身血管インピーダンスと該被検者の末梢全身血管インピーダンスとの間の差を計算することによって、末梢遮断の程度を監視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被検者の中心全身血管インピーダンスと該被検者の末梢全身血管インピーダンスとの間の前記差は、該被検者の中心全身血管インピーダンスに対する割合として計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被検者の中心から末梢までの動脈圧遮断は、前記中心全身血管インピーダンスおよび末梢全身血管インピーダンスを継続的に監視することによって継続的に監視される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記被検者の中心大動脈圧は、直接測定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記被検者の中心大動脈圧は、該被検者の大動脈弓、上行大動脈、胸大動脈、または腹大動脈のうちの1つ以上の中に位置する圧力トランスデューサによって直接測定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記被検者の中心大動脈圧は、該被検者の中心大動脈圧に比例する信号または該被検者の中心大動脈圧の関数から決定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記被検者の中心大動脈圧は、該被検者の中心大動脈圧に比例する信号または該被検者の中心大動脈圧の関数から決定され、該被検者の中心大動脈圧に比例する該信号または該被検者の中心大動脈圧の関数は、中心バイオイピーダンスプレチスモグラフィ、非侵襲性眼圧測定法、超音波、またはパルス酸素測定法のうちの1つ以上である、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記被検者の中心大動脈流は、直接測定される、請求項1または2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記被検者の中心大動脈流は、該被検者の大動脈弓、上行大動脈、胸大動脈、または腹大動脈のうちの1つ以上の中に位置する流量計によって直接測定される、請求項1または2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記被検者の中心大動脈流は、該被検者の中心大動脈流に比例する信号または該被検者の中心大動脈流の関数から決定される、請求項1または2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記被検者の中心大動脈流は、該被検者の中心大動脈流に比例する信号または該被検者の中心大動脈流の関数から決定され、該被検者の中心大動脈流に比例する該信号または該被検者の中心大動脈圧の関数は、ドップラ、超音波、バイオインピーダンス、TEE、またはスワン・ガンツカテーテルのうちの1つ以上である、請求項1または2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記被検者の末梢動脈圧は、直接測定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記被検者の末梢動脈圧は、橈骨、上腕、または大腿血管のうちの1つ以上の中に位置する圧力トランスデューサによって直接測定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記被検者の末梢動脈圧は、該被検者の末梢動脈圧に比例する信号または該被検者の末梢動脈圧の関数から決定される、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記被検者の末梢動脈圧は、該被検者の末梢動脈圧に比例する信号または該被検者の末梢動脈圧の関数から決定され、該被検者の末梢動脈圧に比例する該信号または該被検者の末梢動脈圧の関数は、非侵襲性の眼圧測定法、超音波、またはパルス酸素測定法、バイオイピーダンスプレチスモグラフィ、またはカフ血圧のうちの1つ以上である、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記被検者の末梢動脈インピーダンスと該被検者の中心大動脈インピーダンスとの間の差は、継続的に監視される、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記被検者の末梢動脈インピーダンスと該被検者の中心大動脈インピーダンスとの間の前記差は、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記被検者の末梢全身血管インピーダンスと該被検者の中心全身血管インピーダンスとの間の差は、棒グラフまたは動向グラフとして表示される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記被検者の中心全身動脈コンプライアンスは、
該被検者における該中心大動脈圧のパワースペクトルを計算することと、
該被検者における該中心大動脈流のパワースペクトルを計算することと、
該中心大動脈圧の該パワースペクトルを該中心大動脈流の該パワースペクトルで割ることによって、中心全身血管インピーダンスを計算することと、
ゼロの周波数における該中心大動脈圧の圧力高調波をゼロの周波数における該中心大動脈流の流量高調波で割ることによって、末梢動脈抵抗を計算することと、
該中心全身血管インピーダンスに該末梢動脈抵抗を掛け、結果を該中心全身血管インピーダンスと該末梢動脈抵抗との間の差で割ることによって、第1の無効分を計算することと、
次いで、該第1の無効分に角周波数を掛け、該結果の逆数を計算することと
によって計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスは、
該被検者における前記末梢動脈圧のパワースペクトルを計算することと、
該被検者における前記中心大動脈流のパワースペクトルを計算することと、
該末梢動脈圧の該パワースペクトルを該中心大動脈流の該パワースペクトルで割ることによって、末梢全身血管インピーダンスを計算することと、
ゼロの周波数における該末梢動脈圧の圧力高調波をゼロの周波数における該中心大動脈流の流量高調波で割ることによって、末梢動脈抵抗を計算することと、
該末梢全身血管インピーダンスに該末梢動脈抵抗を掛け、結果を該末梢全身血管インピーダンスと該末梢動脈抵抗との間の差で割ることによって、第2の無効分を計算することと、
次いで、該第2の無効分に角周波数を掛け、該結果の逆数を計算することと
によって計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスと該被検者の中心全身動脈コンプライアンスとの間の差を計算することによって、末梢遮断の程度を監視することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスと該被検者の中心全身動脈コンプライアンスとの間の前記差は、該被検者の中心全身動脈コンプライアンスに対する割合として計算される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被検者の中心から末梢までの動脈圧遮断は、前記中心全身動脈コンプライアンスおよび末梢全身動脈コンプライアンスを継続的に監視することによって継続的に監視される、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスと該被検者の中心全身動脈コンプライアンスとの間の前記差は、継続的に監視される、請求項6に記載の方法。
【請求項30】
前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスと該被検者の中心全身動脈コンプライアンスとの間の前記差は、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記被検者の末梢全身動脈コンプライアンスと該被検者の中心全身動脈コンプライアンスとの間の前記差は、棒グラフまたは動向グラフとして表示される、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、前記被検者の末梢動脈圧と該被検者の中心大動脈圧との間の差を計算することによって、末梢遮断の程度を監視することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
前記被検者の末梢動脈圧と該被検者の中心大動脈圧との間の前記差は、該被検者の中心大動脈圧に対する割合として計算される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記被検者の中心大動脈圧および末梢動脈圧は、継続的に測定され、該被検者の中心から末梢までの動脈圧遮断を継続的に監視するために比較される、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記被検者の末梢動脈圧と該被検者の中心大動脈圧との間の前記差は、継続的に監視される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記被検者の末梢動脈圧と該被検者の中心大動脈圧との間の前記差は、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される、請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記被検者の末梢動脈圧と該被検者の中心大動脈圧との間の前記差は、棒グラフまたは動向グラフとして表示される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、ユーザに警告することをさらに含む、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
グラフィカルユーザインターフェース上に通知を公表することによって中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、ユーザに警告することをさらに含む、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
音を発することによって中心から末梢までの動脈圧遮断が示されるときに、ユーザに警告することをさらに含む、請求項1、2、または3のうちのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−520741(P2012−520741A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500926(P2012−500926)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027668
【国際公開番号】WO2010/107918
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(500218127)エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション (93)
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
【Fターム(参考)】