説明

包装体、それに用いる積層体及びその製造方法

【課題】開封・再封性に優れ、生産性に優れた包装体を提供する。
【解決手段】シール樹脂層12と、粘着樹脂層14と、ガスバリア樹脂層16をこの順に有し、前記粘着樹脂層14と前記ガスバリア樹脂層16が直接接している積層体10と、少なくとも一部が前記積層体10のシール樹脂層12に接着している被接着部材20を含み、前記被接着部材20を前記積層体10から剥離すると、前記積層体10が破断して、破断部40を形成し、剥離した後、前記破断部40において、再封できる包装体100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体、それに用いる積層体及びその製造方法に関する。特に、食品用、医薬品用又は雑貨用として好適に用いられる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や薬品は熱成形容器や軟質包装袋で包装して保存されるが、保存の際に内容物の酸化劣化を防止するため、ガスバリア性の包装資材が用いられている。また、開封した後は一度に消費し切れない場合があり、容易に再度封止できる包装資材が望まれている。
【0003】
特許文献1にはヒートシール層/粘着樹脂層/ポリオレフィン層の3層からなる積層体を予め製造しておき、この積層フィルムを、ガスバリア材にポリ塩化ビニル(PVC)やアルミ箔と共に張り合わせる包装材料が開示されている。しかし、ガスバリア材としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の使用は開示されていない。
【0004】
特許文献1に開示されている積層体を熱成形用シートとして使用する場合、この積層体に、例えばEVOHからなるガスバリア層を用いようとするならば、通常、ヒートシール層/粘着樹脂層/ポリオレフィン/接着層/EVOH層/接着層/ポリオレフィン層の層構成にし、接着層の数だけ積層すべき層の数が増える。また、この積層体では、再密封性とガスバリア性を付与する層が別であり、別々の工程で製造することになる。従って、この積層体は、装置コストが高価になると共に製造も難しくなり、製造ロスが多くなる欠点があった。
【0005】
また、特許文献1の積層体を、軟包装用にガスバリア性フィルムと張り合わせる場合でも、必ずガスバリア層の両側に接着剤層を設けるため、製造工程が増えて、やはり製造コストが高価になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2にも、ヒートシール(ポリオレフィン)層/粘着層/基材層の3層からなる積層体の包装体が開示されている。しかし、ガスバリア層とシール樹脂層が粘着樹脂層に直接接着した包装体は開示されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2001−10659号公報
【特許文献2】特開2003−175567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、開封・再封性に優れ、生産性に優れた包装体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、前記包装体に用いる積層体を提供することである。
本発明の他の目的は、前記積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、ガスバリア層を直接粘着剤層に積層することが可能であることを見出し、さらに、この積層体が、開封・再封性に優れることを見出し本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の包装体等が提供される。
1.シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、前記粘着樹脂層と前記ガスバリア樹脂層が直接接している積層体と、少なくとも一部が前記積層体のシール樹脂層に接着している被接着部材を含み、前記被接着部材を前記積層体から剥離すると、前記積層体が破断して、破断部を形成し、剥離した後、前記破断部において、再封できる包装体。
2.前記ガスバリア樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる1記載の包装体。
3.前記シール樹脂層が、ポリオレフィンからなり、前記粘着樹脂層が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む1又は2記載の包装体。
4.シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、前記粘着樹脂層と前記ガスバリア樹脂層が直接接しており、前記シール樹脂層に被接着部材を接着させ、前記被接着部材を剥離すると、破断部を形成し、前記破断部に前記ガスバリア樹脂層又は粘着樹脂層が露出する積層体。
5.前記ガスバリア樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる4記載の積層体。
6.前記シール樹脂層が、ポリオレフィンからなり、前記粘着樹脂層が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む4又は5記載の積層体。
7.シール樹脂層、粘着樹脂層及びガスバリア樹脂層を共押し出しする4〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
8.シール樹脂層及び粘着樹脂層を共押し出しし、その後ガスバリア樹脂層に熱ラミネートする4〜6いずれかに記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開封・再封性に優れ、生産性に優れた包装体を提供することができる。
本発明によれば、前記包装体に用いる積層体を提供することができる。
本発明によれば、前記積層体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の包装体は、シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、粘着樹脂層とガスバリア樹脂層が直接接している積層体と、少なくとも一部が積層体のシール樹脂層に接着している接着部材を、少なくとも含む。接着部材を積層体から剥離すると、積層体が破断して、破断部を形成する。剥離した後、接着部材に付着した層をこの破断部に入れることにより、包装体を再封できる。
本発明の包装体は、積層体からなる容器と、蓋となる接着部材から構成されていてもよいし、接着部材からなる容器と、蓋となる積層体から構成されていてもよい。例えば、包装体の開閉部位に積層体と接着部材を対向させてシールすることができる。
【0012】
本発明の積層体は、シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、粘着樹脂層とガスバリア樹脂層が直接接している。シール樹脂層に被接着部材を接着させ、被接着部材を剥離すると、破断部を形成し、破断部にガスバリア樹脂層又は粘着樹脂層が露出する。
【0013】
図1は、本発明の積層体と被接着部材の関係の一例を示す図である。
この積層体10は、シール樹脂層12、粘着樹脂層14及びガスバリア樹脂層16がこの順に積層されており、粘着樹脂層14にガスバリア樹脂層16は接着剤を介さずに直接接している。
被接着部材20は、積層体10のシール樹脂層12に熱溶着されている。即ち、接着部30により、被接着部材20と積層体10が接着している。
【0014】
図1は、被接着部材20を引いて積層体10から剥離した状態を示している。この図に示すように、接着部30のエッジ32近傍のシール樹脂層12及び粘着樹脂層14は、被接着部材20に接着したまま積層体10から破断され、破断部40が形成されている。破断部40において、積層体10にはガスバリア樹脂層16が露出している。この被接着部材20に接着したシール樹脂層12及び粘着樹脂層14を、破断部40に入れることにより、被接着部材20は積層体10を再び封止することができる。
【0015】
尚、破断はガスバリア樹脂層と粘着樹脂層の界面に限られず、シール樹脂層と粘着樹脂層の界面又は粘着樹脂層内等で破断してもよい。
【0016】
この積層体は、ガスバリア樹脂層が粘着樹脂層と直接接着していることから、積層構造が簡素化され製造工程が減り、製造設備が安価になる。特に、図1に示すように、シール樹脂層と粘着樹脂層を直接接するように積層すると、さらに積層構造が簡素化され製造効率がよくなる。本発明の積層体は、設備の改造の少ないまま、再封性とガスバリア性の性能を一度に得ることができる。
【0017】
本発明の積層体10と被接着部材20は、包装体の開閉部に使用できる。その際、ヒートシールエッジ部で開封されて、そこに再接着部が形成されるので、製袋シール機、カップシール機、インパルスシール機等の一般的シール機をそのまま採用できる。
また、本発明の積層体10は、粘着樹脂層14が露出していないので、巻き取られた状態でも積層体10同士が接着しないで取り扱い易い。
【0018】
シール樹脂層は、シール可能な樹脂であればよく、特にヒートシール性のある樹脂が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等である。シール樹脂層に用いる樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
尚、シール樹脂層は、その特性を損なわない範囲において、エチレン−プロピレン共重合体等の改質剤や滑剤等の添加剤を含んでもよい。
【0019】
シール樹脂層の厚みは、シール後の剥離においてシールエッジで破断し易く剥がし易くなることから、通常、20μm以下が好ましい。特に好ましいのは5μm〜15μmである。
また、厚みが20μmを超える場合であっても、シール樹脂層に予め切れ込みを入れ、積層体の端部までシールすることにより、シール樹脂層をはがすことができる。シール樹脂層が20μmを超えると、切れ込み側の耐圧性が強く、包装体の耐破裂強度が向上する。
【0020】
粘着樹脂層は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む。
【0021】
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体水素添加物も含む。例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−ブタジエンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体等が挙げられる。
【0022】
粘着付与樹脂としては、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂等が挙げられる。
【0023】
可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系炭化水素)、合成ワックス等が挙げられる。
【0024】
粘着樹脂層は、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与剤及び可塑剤等を混練溶融して製造できる。好ましくは、可塑剤は一軸押出し機の途中から注入して製造する。
可塑剤を一軸押出し機の途中から注入すると、押出し機のコストが安く、また、可塑剤の注入量を変えるだけで、接着強度の調節が容易になる。
粘着樹脂層は、その特性を損なわない範囲において、この他に、タルク、炭酸カルシウム等の無機質フィラー、発泡剤、酸化チタン等の着色剤等を含むことができる。
【0025】
粘着樹脂層の厚みは、通常、30μm以下が好ましい。厚みが30μmを超える場合、シール樹脂層のみが破断しやすくなり、再密封性は得られるが、再接着強度が、粘着樹脂層の厚みに比例しなくなり、不経済である。
【0026】
ガスバリア樹脂層は、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂やナイロンMXD6からなる。好ましくは、EVOHであり、特に粘着樹脂層との共押出し流動性に適した融点190℃以下のEVOHが好ましい。
ガスバリア樹脂層がEVOHの場合、EVOHの表面硬度が高いので、ヒートシール時にフィルムのヒートシール層と粘着樹脂層がシール歯のエッジにより薄肉化され、開封において前記ヒートシール層と粘着樹脂層が伸びることなく美しく剥離する。また、剥離部分の界面は滑らかで光沢のあるEVOHであるため、剥離が滑らかであり露出面も美しい。
尚、ガスバリア樹脂層としてナイロンMXD6を用いる場合は、非晶質ナイロンを含んでもよい。
【0027】
ガスバリア樹脂層の厚みは、用途により適宜選択できるが、通常、10μm以上が好ましい。厚みが10μm未満である場合、積層体にピンホールが発生し易くなる恐れがある。
【0028】
積層体の製造方法は、好ましくは以下のものが挙げられる。
(1)シール樹脂層、粘着樹脂層及びガスバリア樹脂層を共押出しする。
(2)シール樹脂層及び粘着樹脂層を共押出しして、ガスバリア樹脂層を熱ラミネーションする。
本発明の積層体は、好ましくはフィードブロック法、マルチマニホールド法等のTダイ法及びチューブラー多層インフレーション法等のインフレーション法等の共押出しにより形成される。
積層体は、包装体において、そのまま製袋又は蓋材として使用してもよい。また、シール樹脂層を容器内側にしてプラグアシスト真空成形、プラグアシスト圧空成形、熱板成形等の一般的熱成形を行ってもよい。
【0029】
また、積層体は上記構成に限られず、例えば、以下の各層を積層して構成することができる。
(I) シール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層/粘着樹脂層/基材層
(II) シール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層/基材層
(III) シール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層/接着層/基材層
【0030】
(I)の基材層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
(I)の場合、ヒートシールされた表面層を引き剥がしても、ガスバリア樹脂は耐熱性と硬度がシール樹脂より高いため、ガスバリア樹脂層と基材層の間の粘着樹脂層は一緒に破断することはない。
(II)の基材層を構成する樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性PP、ナイロン6、変性ポリエステルエラストマー(TPEE)が挙げられる。
(III)の基材層を構成する樹脂としては、例えば、PE、PP、PET等が挙げられる。
【0031】
基材層は、上記に挙げたもののほか、ポリスチレン(PS)、Ny(ポリアミド)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)等から構成される。
基材層は、用途に応じて、一層だけから構成されるだけでなく、複数の層を積層して構成してもよい。
【0032】
接着層は、例えば、ドライラミネート用接着剤、アンカーコート剤、溶融接着剤等からなる。
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリイミン系又はポリエステルポリウレタン系の1液又は2液の接着剤が挙げられる。
アンカーコート剤としては、例えば、ウレタン系、ポリウレタン系、ポリイミン系又はポリエステルポリウレタン系の1液又は2液のアンカーコート剤が挙げられる。
溶融接着剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0033】
上記の構成をとる積層体は、シール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層からなる積層体と他の積層体及び層をドライラミネーション、熱ラミネーションその他の積層手段でさらに積層して製造できる。具体的には、以下のものが挙げられる。
(1)共押出しされたシール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層積層体のガスバリア樹脂層に、PP、PS、PET、Ny、PBT等のフィルム・シートを、ドライラミネーション
(2)シール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層/粘着樹脂層/PP層フィルムやシール樹脂層/粘着樹脂層/ガスバリア樹脂層/接着層/PP層フィルムを、Tダイから押出される溶融PPと、熱ラミネーション
【0034】
上記積層体は、他の積層体及びシートとドライラミネーション、熱ラミネーションその他積層手段でさらに積層して用いてもよい。
【0035】
被接着フィルムは、PET/Ny/EVOH/キャスティング法ポリプロピレンフィルム(CPP)、PET/アルミ箔(AL)/CPP、PET/Ny/EVOH/直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、透明蒸着PET/L−LDPE、及びNy/EVOH/L−LDPE等熱接着可能なフィルム全てを含む。
このフィルムは、通常の方法で製造できる。
フィルムの厚みは、通常、40μm〜100μmであるがこれに限定されない。
【0036】
接着の方法は、例えば、製袋シール機、インパルスシール機の方法等によりヒートシールする。
接着の強度は、積層体のシール樹脂層と粘着樹脂層の接着強度より強いか、又は、ガスバリア樹脂層と粘着樹脂層の接着強度より強い。
【0037】
本発明の積層体では、接着の強度、各層間の接着強度の相対的関係により、強度の弱い部分が破断する。
接着強度は、温度、圧力、時間等の接着条件、シール樹脂表面の厚み、樹脂選定等により、シール樹脂層と粘着樹脂層の接着強度は、粘着樹脂層の配合比率等により、粘着樹脂層とガスバリア樹脂層の接着強度は、粘着樹脂層の配合比率、酸素ガスバリア層の樹脂配合等により、調節できる。
特に、本発明では、積層体のシール樹脂層及び粘着樹脂層を共押出し法により薄く作れるため、フィルム剥離の際に、接着端部で容易に破断ができる。
【0038】
以下、図面を参照して包装体の一実施形態を説明する。
図2は、本発明の包装体の一実施形態である容器を示す。
この容器100は、図1に示す積層体10からなる容器本体120と、被接着フィルムからなる蓋材140から構成される。
蓋材140は、容器本体120のフランジ122において熱溶着されている。即ち、接着部30により、蓋材140が、容器本体120を構成する積層体10のシール樹脂層12に接着している。
容器100を開封するときは、蓋材140を引いて、容器本体120から剥離する。図2はこのときの状態を示している。この図に示すように、接着部30のシール樹脂層12及び粘着樹脂層14は、蓋材140に接着したまま、容器本体120のフランジ122から破断される。フランジ122の破断部40にはガスバリア樹脂層16が露出する。
この蓋材140に接着したシール樹脂層12及び粘着樹脂層14を、フランジ122の破断部40に露出するガスバリア樹脂層16に接着させることにより、容器100を再度閉じることができる。
【0039】
尚、破断はガスバリア樹脂層と粘着樹脂層の界面に限られず、シール樹脂層と粘着樹脂層の界面又は粘着樹脂層内等で破断してもよい。
【0040】
尚、開口付近のフランジ部に円周状に切り込みを入れてもよい。例えば、熱刃の温度、圧力、時間を調節して、粘着樹脂層を切断するまで切込みを入れる。切り込みより1mm〜2mm外周から外端部を蓋材フィルムで熱接着する。開封は外端部で開始し、切り込み部で蓋材はシール部のシール樹脂層と粘着樹脂層に付着した状態で離れる。
【実施例】
【0041】
[積層体の製造]
本実施例の積層体には、以下のものを用いた。
(1)シール樹脂層:ランダムポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロF−744NP)(密度0.9g/cm、MFR=9g/10分)
(2)ガスバリア樹脂層:エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂((株)クラレ、エバールC109B)(密度1.17g/cm、MFR=9g/10分、酸素透過量0.6cc.20μm/m.day.atm)
(3)粘着樹脂層:ゴム質共重合体水素添加物((株)クラレ、セプトン2004)(比重0.89、MFR=5g/10分、(230℃、荷重2.16kg))30重量%に、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂(出光興産(株)製、アイマーブP−125)(軟化点125℃、密度1.03g/cm(20℃))40重量%をドライブレンドしてホッパーから投入して溶融混練した。可塑剤(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−90)(密度0.8722g/cm(15℃))に酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガノックス1010)を可塑剤に対し3重量%溶解させたものを、上記溶融混練したものに、粘着材総量に対し30重量%となるように押出し機の途中から注入し、押出した樹脂。
【0042】
実施例1
上記シール樹脂、粘着樹脂、ガスバリア樹脂を、30mmφ、30mmφ、40mmφのシングルスクリュー押出し機及び3種3層のフィードブロックが装備された400mm幅のTダイ装置でキャスト成形し、積層体を製造した。尚、粘着樹脂の押出し機は、スクリューに混練のためのダルメージが付いており、バレルの中間部からオイルを途中注入できる構造のものを使用した。
積層体の厚みは、シール樹脂層10μm/粘着樹脂層20μm/ガスバリア樹脂層を40μmとした。
【0043】
[評価]
得られた積層体のシール樹脂層側に、シール樹脂層を構成する樹脂と同種の樹脂がシーラントとして使用されているラミネートフィルム(PET12/Ny15/PP)を190℃、2Mpaの面圧で、PET面からヒートシール歯を押し当てて面積50mm×50mmのヒートシールを行い接着した。次に15mm幅でスリットしてから90°の角度でプッシュプルスケール((株)イマダ製MX−500N)により引っ張り剥がした時の強度を測定した。
【0044】
剥離強度は10N/15mmであり、粘着樹脂層とEVOH樹脂層との界面で滑らかに開封した。再接着強度は4N/15mmであり、良好と考えられる強度であった。
【0045】
[易開封、再粘着、ガスバリア積層フィルムの製造]
共押出しフィルムを25μm延伸PETフィルムと常法のドライラミネーションで積層するだけで易開封、再粘着、ガスバリア積層フィルムを製造することができた。このフィルムはシール面がポリプロピレン系の熱成形容器の蓋材としても、四方シール袋の片側のフィルムとしても使用できた。
【0046】
実施例2
シール樹脂層を10μm、粘着樹脂層を20μmとなるように、シール樹脂及び粘着樹脂を2台の30mmφの押出し機のみを使用して2種2層の共押出しを行った。予めガスバリア樹脂を用いて製造してある厚み40μmのガスバリア樹脂層を金属ロールに接触させ、共押出しされた2種2層の溶融ウェブの粘着層側をバリア樹脂層に接触させ、反対側のシール樹脂層側からシリコーンゴム製ピンチロールで圧着しながら押出しラミネーション成形を行った。
【0047】
得られた積層体を実施例1と同様の評価方法により評価した。剥離強度は10N/15mmであり、粘着樹脂層とEVOH樹脂層との界面で滑らかに開封した。再接着強度は4N/15mmであり、いずれの評価項目においても実施例1で得られた結果と同じ評価結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の包装体は、食品用、薬品用、雑貨用及び薬品用等の包装として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の積層体と被接着部材の関係の一例を示す図である。
【図2】本発明の包装体の実施形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 積層体
12 シール樹脂層
14 粘着樹脂層
16 ガスバリア樹脂層
20 被接着部材
30 接着部
40 破断部
100 容器(包装体)
120 容器本体(積層体)
140 蓋材(被接着部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、前記粘着樹脂層と前記ガスバリア樹脂層が直接接している積層体と、
少なくとも一部が前記積層体のシール樹脂層に接着している被接着部材を含み、
前記被接着部材を前記積層体から剥離すると、前記積層体が破断して、破断部を形成し、
剥離した後、前記破断部において、再封できる包装体。
【請求項2】
前記ガスバリア樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記シール樹脂層が、ポリオレフィンからなり、
前記粘着樹脂層が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む請求項1又は2記載の包装体。
【請求項4】
シール樹脂層と、粘着樹脂層と、ガスバリア樹脂層をこの順に有し、
前記粘着樹脂層と前記ガスバリア樹脂層が直接接しており、
前記シール樹脂層に被接着部材を接着させ、前記被接着部材を剥離すると、破断部を形成し、前記破断部に前記ガスバリア樹脂層又は粘着樹脂層が露出する積層体。
【請求項5】
前記ガスバリア樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる請求項4記載の積層体。
【請求項6】
前記シール樹脂層が、ポリオレフィンからなり、
前記粘着樹脂層が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む請求項4又は5記載の積層体。
【請求項7】
シール樹脂層、粘着樹脂層及びガスバリア樹脂層を共押し出しする請求項4〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
シール樹脂層及び粘着樹脂層を共押し出しし、その後ガスバリア樹脂層に熱ラミネートする請求項4〜6いずれかに記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−284072(P2007−284072A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110687(P2006−110687)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】