説明

包装体およびその製造方法

【課題】被包装物品集合体の一の表面に貼付した情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数を削減し生産時のリードタイムを損なうことのない包装体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の被包装物品20が整列されて構成された被包装物品集合体と、前記被包装物品集合体の表面上に取り外し可能に貼付され、外部から視認可能な情報表示部31を有した情報伝達票30と、被包装物品集合体の全面を被覆して被包装物品集合体を構成する全ての被包装物品20を一体的に包装する、少なくとも情報表示部31を被覆する部分において透光性を有した樹脂フィルム140と、を含む包装体101である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被包装物品が整列されて構成された被包装物品集合体の表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に包装した包装体およびその製造方法に関し、より詳しくは情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場などにおいて広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される包装体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から被包装物品を雨水や埃などの汚れから保護する目的や、保管や運搬する際の利便性を向上する目的で、被包装物品を透光性の樹脂フィルムなどを用いて包装した包装体が広く用いられている。これら包装体において、商品陳列時に消費者の購買意欲を促進する目的で広告や懸賞応募などに関する情報表示を付加することがある。
【0003】
上述の被包装物品がトイレットロールやペーパータオルなどのロール状ペーパーである場合には、包装体生産時のリードタイムを削減する目的で、ロール状ペーパーの生産の各工程においてロール状ペーパーの包装体などを搬送路上で高速かつ連続的に移動させて処理するシステムが運用されている。トイレットロールやペーパータオルなどのロール状ペーパーは従来、図25に示すように被包装物品220として複数のロール状ペーパーが透光性樹脂フィルム40によって一体的に包装された包装体501の状態で市販されている。この包装体501の側面に内部を視認可能な保護シート502に収容または被覆した状態の懸賞応募はがきなどの情報伝達票30を、接着剤などを用いて貼付することができる。
【0004】
上述の被包装物品220がトイレットロールやペーパータオルなどのロール状ペーパーである場合には、ロール状ペーパーが直接樹脂フィルムで包装されることが多い。その多くは、ロール状ペーパーを覆う樹脂フィルムには商品名、内容量、宣伝文句など、多くの文字情報に加え、商品イメージや消費者の購買意欲を向上させる目的で絵柄などの印刷表示46が印刷されている。
【0005】
また、上述の包装物品として例えば、カードを添着した包装物として特許文献1に示されるような、箱の外面をフィルムで包んだ包装物の側面に、片面に弱粘着性の接着剤を塗布した弱粘着テープによりカードを添着してなるカードを添着した包装物が開示されている。
【0006】
更に近年、インターネットなどの電気通信回線を通じた双方向回線網に見られる通信環境の社会基盤の向上や、バーコードやQRコードなどの情報の読み取り機能を備えた携帯電話など、消費者との双方向通信可能な情報通信端末の普及が著しい。また更に上述のバーコードやQRコードなどの光学的方法、磁気カードなどの磁気的方法、ICカードなどの電気的方法や非接触ICカードなど、情報伝達手段の多様化によって消費者の購買意欲の促進や、消費動向をいち早く把握することのできる双方向性広告媒体の利用が活発化しており、その利用分野も拡大傾向にある。またこのような情報伝達手段は高速かつ大量に生産され、市場などにおいて広く頒布または浸透してその効果を発揮するものが多い。
【0007】
上述の印刷表示46は商品名や内容量などの表示された内容を伝達するのみならず、長年に渡る販売実績などの信用が確立している場合や、多くの消費者にとって周知となった商品として、他の商品と区別されるための機能をも合わせ持つ場合があり、定期的に変更する性質のものとは異なる場合が多い。このため、樹脂フィルムの印刷表示はキャンペーンや一過性の景品表示などの期間を限定する表示目的には適さない。したがって、印刷表示46と情報伝達票30とを併用し、表示方法を区別する必要があった。
【0008】
【特許文献1】実開平6−59258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示す情報伝達手段としてカードを添着した包装物においては、商品の運搬や陳列時において弱粘着性テープが剥がれやすいといった問題や、包装フィルムの他に弱粘着性テープを使う必要が生じ、カードを添着しない場合の包装物に比較して資材が必要で、作業工程も多くなるといった問題が生じていた。
【0010】
また同様に、図25に示すような従来の包装体501において、タオルペーパーなどのロール状ペーパーが被包装物品220として複数整列され、商品名や装飾などの印刷表示46が印刷された透光性樹脂フィルム40によって一体的に包装された状態で、更にこの包装体501の側面に保護シート502に収容または被覆された懸賞応募はがきなどの情報伝達票30を貼付した場合、透光性樹脂フィルム40とは別に、汚れや破損を防ぐための保護シート502と、保護シート502が充分に固定される分量の接着剤などの資材が必要となり、環境への負荷が増加する。また、保護シートを設けるための工数も増えて包装体生産時のリードタイムを増加させる要因となる。
【0011】
また、消費者の購買意欲を促進する目的や消費動向をいち早く把握することのできる双方向性広告媒体としての利用目的で、懸賞応募用はがきなどの情報伝達票を店舗の精算所や陳列棚などに商品とは別個に設置する場合もある。ところが必ずしも消費者が興味を持って持ち帰るとは限らず、店舗の協力が必要なために、設置することもままならない場合も多く、その目的を果たすことが困難であるといった種々の問題が生じていた。
【0012】
また上述の双方向性広告媒体としての利用目的であっても、包装体内部に貼付される情報伝達手段として、懸賞応募はがきなどの紙片を封入した場合、商品として陳列された状態で視認されやすい位置に添付される必要がある。ところが、運搬時や陳列時に包装体内部で懸賞応募はがきが落下する場合や、位置ずれが生じる場合もある。
【0013】
上述の被包装物品がトイレットロールやペーパータオルなどのロール状ペーパーである場合には従来、ロール状ペーパーを覆う樹脂フィルムに商品名、商標、内容量、宣伝文句など、多くの文字情報に加え、商品イメージや消費者の購買意欲を向上させる目的で絵柄などが印刷されている。このため、包装体内部に貼付される情報伝達票に記載された情報表示部がこれら印刷表示で隠れてしまわないよう位置ずれを防止する必要があるが、高速かつ大量に包装体を製造しながらこの条件を満たすことは困難であった。
【0014】
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、外部から視認可能な情報伝達媒体となる情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場などにおいて広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制し生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される包装体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、以下の構成を採用することにより上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0016】
[1]複数の被包装物品が整列されて構成された被包装物品集合体と、前記被包装物品集合体の表面上に取り外し可能に貼付され、外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、前記被包装物品集合体の全面を被覆して前記被包装物品集合体を構成する全ての被包装物品を一体的に包装する、少なくとも前記情報表示部を被覆する部分において透光性を有した樹脂フィルムと、を含む包装体。
【0017】
[2]前記被包装物品がロール状ペーパーである前記[1]に記載の包装体。
【0018】
[3]前記情報伝達票が、前記ロール状ペーパーの外周面の湾曲形状に合わせて湾曲された状態で前記ロール状ペーパーの外周面上に貼付された前記[2]に記載の包装体。
【0019】
[4]前記情報伝達票が、噴霧された糊によって前記被包装物品集合体の表面上に貼付された前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装体。
【0020】
[5]前記情報伝達票が、弱粘着手段によって前記被包装物品集合体の表面上に貼付された前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装体。
【0021】
[6]樹脂フィルムにより、複数の被包装物品が一体的に包装された包装体の製造方法であって、搬送路上に複数の前記被包装物品を連続して搬送し、前記被包装物品を一定個数まとめて整列させた状態を保持して被包装物品集合体を構成する整列工程と、情報表示部を有した情報伝達票を、前記被包装物品集合体の表面に取り外し可能に貼付する貼付工程と、前記情報伝達票の全面を覆うようにしながら、前記情報伝達票が貼付された前記被包装物品集合体を、少なくとも前記情報表示部を被覆する部分において透光性を有した前記樹脂フィルムで覆って固定し、前記包装体を得るフィルム包装工程と、を含む包装体の製造方法。
【0022】
[7]前記被包装物品がロール状ペーパーである前記[6]に記載の包装体の製造方法。
【0023】
[8]前記貼付工程において、前記情報伝達票を前記ロール状ペーパーの外周面の湾曲形状に合わせて湾曲した後、前記ロール状ペーパーの外周面上に貼付する前記[7]に記載の包装体の製造方法。
【0024】
[9]前記貼付工程において、前記情報伝達票を、噴霧させた糊により前記被包装物品集合体の表面上に貼付する前記[6]〜[8]のいずれかに記載の包装体の製造方法。
【0025】
[10]前記貼付工程において、前記情報伝達票を、弱粘着手段により前記被包装物品集合体の表面上に貼付する前記[6]〜[8]のいずれかに記載の包装体の製造方法。
【0026】
[11]前記フィルム包装工程において、前記樹脂フィルムとしてあらかじめ開口部を有して袋状に形成された袋状樹脂フィルムを用い、前記情報伝達票を前記袋状樹脂フィルムの開口部に向かって前記被包装物品集合体を挿入し、前記開口部を閉じることにより前記包装体を得る前記[6]〜[10]のいずれかに記載の包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の包装体およびその製造方法によれば、複数の被包装物品を整列させて構成した被包装物品集合体の一表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に貼付し、包装した包装体を提供することができる。また、この情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備えながらも、包装資源と作業工数を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0029】
図1、図2、図3、図4は、それぞれ本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。また被包装物品として図5に示すような略円筒体形状のトイレットロールや図7に示す略円筒体形状のペーパータオルなどの円筒形状のロール状ペーパーを用いた場合で以下に説明する。略円筒体形状の図5に示す被包装物品20は長手方向の両端に、平行な一方の端面21および他方の端面22を有している。同様に図7に示すような被包装物品220も長手方向の両端に、平行な一方の端面221および他方の端面222を有している。複数の被包装物品20は、側面となる外周部分を隣接させて整列し、更に一方の端面21および他方の端面22とを隣接させて積層することにより整列し、図6に示されるような被包装物品集合体110を構成する。同様に複数の被包装物品220は、側面となる外周部分を隣接させて整列し、一方の端面221および他方の端面222とを隣接させて積層することにより整列し、図8、図9に示されるような被包装物品集合体210、310を構成する。
【0030】
図5、図7にそれぞれ示すように、一般にトイレットロールなどの被包装物品20と、タオルペーパーなどの被包装物品220はともに略円筒体形状であって、その円筒体形状の外周部の外径はほぼ同じである場合が多い。また、その長手方向の長さは一般的にタオルペーパーなどの被包装物品220が、トイレットロールなどの被包装物品20の概ね2倍の長さで作られていることが多い。このため、これらを被包装物品とした場合の包装体の製造方法の各条件や製造装置については流用することが可能である。本発明において、被包装物品20、220は特にこれらトイレットペーパーやタオルペーパーなどのロール状ペーパーに限定される物ではなく、更にたて、よこ、高さ方向に任意の個数で整列した状態で被包装物品集合体を構成することができる。
【0031】
以下に、被包装物品に貼付する情報伝達手段として懸賞応募はがきなどの紙片を包装体の樹脂フィルムの内側に接着した場合を仮定し、これについて検討する。懸賞応募を包装体の樹脂フィルムの内側に接着剤などを用いて接着した場合、懸賞応募はがきに接着剤が残って付着するため接着剤部分を切り取らなければならない。このように手間がかかる場合、消費者の傾向として懸賞応募はがきの利用率の低下を招いてしまう。この手間を防ぐためには、あらかじめ樹脂フィルムの包装時に内側となる表面に対して容易に剥がせる接着剤を用いて懸賞応募はがきを固定する方法が考え得る。ところがこのような方法は家内工業的に手作業で包装体を製造することは可能であるが、包装体を大量かつ高速に製造する場合には困難である。包装体を大量かつ高速に製造する場合、フィルム包装工程において樹脂フィルムはロール状の樹脂フィルムをローラーなどで伸ばしながら各包装体に使用する長さに切断して用いることが多い。このとき樹脂フィルムは高速にローラーで繰り出されており、懸賞応募はがきなどをあらかじめ樹脂フィルムに固定した場合に懸賞応募はがきが剥がれ落ちるおそれや、懸賞応募はがきの角部や端部で樹脂フィルムに切れ目などを生じて損傷するおそれがある。
【0032】
また一般に樹脂フィルムなどは張力に対しては運搬する際に充分な引張強伸度を有しているが、切れ目などを生じた場合の引裂強度は低いために切れ目が生じる可能性があると不都合である。また、懸賞応募はがきのような比較的に硬めの紙に限らず比較的薄手の情報用紙などを使用した場合であっても剥がれや位置ずれなどが発生するおそれがある。これら樹脂フィルム繰り出し用ローラーの運転条件には微調節が必要であり、剥がれが生じた場合には樹脂フィルム繰り出し用のローラーの保守に時間がかかり、生産性を低下させる要因となる。
【0033】
また、あらかじめ樹脂フィルムの包装時に内側となる表面に対して容易に剥がせる接着剤を用いて懸賞応募はがきを固定する方法は、開口部を有してあらかじめ袋状に形成された袋状樹脂フィルムを使用した場合にあっても以下の問題が生じる。包装体を大量かつ高速に製造するためには複数の被包装物品をまとめて一体的に袋状樹脂フィルムの開口部から挿入することとする。このとき袋状樹脂フィルムの内部空間にきっちり納まる寸法で複数の被包装物品をまとめて高速に挿入すると、袋状樹脂フィルム内部に取り込まれた空気が圧縮されて袋状樹脂フィルムが破裂するおそれがある。これを防ぐために袋状樹脂フィルムの表裏を一度反転させた後で複数の被包装物品を袋状樹脂フィルムの裏面の最奥部に内接させた状態で内部に空気を取り込まないように反転させた袋状樹脂フィルムの表裏を元に戻すようにして挿入する。このため、あらかじめ樹脂フィルムの内側表面に対して容易に剥がせる接着剤を用いて懸賞応募はがきを固定しておくと、複数の被包装物品の挿入時に樹脂フィルムの表裏を反転した場合、樹脂フィルムの内側に固定した応募はがきが剥がれ落ちるおそれや、樹脂フィルムに切れ目を生じさせて破損するおそれがある。
【0034】
上述のように検討した結果、情報伝達票をあらかじめ内部に貼付した袋状樹脂フィルムやシート状樹脂フィルムを用いた場合には、高速かつ大量に複数の被包装物品が一体的に包装された包装体を製造することは困難であると言える。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態の包装体101の示す斜視図である。複数個、例えば2〜16個(図6中においては、たて2個×よこ2個×高さ方向に3段の合計12個)の被包装物品20を隣接させて整列し、図6に示すような天面111および底面112を有した被包装物品集合体110が構成される。また被包装物品集合体110の一表面に設けられた第1添着部13において、懸賞応募はがきなどの図1に示されるような表面33に外部から視認可能な情報伝達表示部31を備えた情報伝達票30が、情報伝達票30の裏面34に設けられた第2添着部32に取り外し可能に貼付されて、情報伝達票30付き被包装物品集合体とされる。この情報伝達票30付き被包装物品集合体110は、図21、図22に示すような袋状樹脂フィルム開口部142を有した袋状樹脂フィルム140を使用した場合と同様にして全面を覆われて、この袋状樹脂フィルム開口部を封止することにより固定される。袋状樹脂フィルム140には商品名、内容量、宣伝文句など、多くの文字情報に加え、商品イメージや消費者の購買意欲を向上させる目的で絵柄などの印刷表示46が印刷されている。この印刷表示46は、情報伝達票30の表面に設けられた情報表示部31が外部から視認可能となるようにあらかじめ決められた位置に印刷されており、情報伝達票もあらかじめ決められた位置に正確に貼付されている。袋状樹脂フィルム140は図1に示すように、包装体101の天面41となる位置に運搬時の利便性を図る目的で把手43を備えることができる。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態の包装体201を示す斜視図である。複数個、例えば2〜4個(図8中においては、たて2個×よこ2個の合計4個)の図7に示されるような被包装物品220を隣接させて整列し、図8に示すような天面211および底面212を有した被包装物品集合体210が構成される。被包装物品220の寸法および個数が異なっている以外は、上述の図1で示される包装体101と同様に構成され、包装体201は袋状樹脂フィルム140に覆われた内部に、被包装物品220の表面に貼付された情報伝達票30を有している。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態の包装体301を示す斜視図である。複数個、例えば2〜4個(図3中においては、よこ方向に合計2個)の図7に示されるような被包装物品220を隣接させて整列し、図9に示すような天面211および底面212を有した被包装物品集合体310が構成される。被包装物品220の寸法および個数と、袋状樹脂フィルム140を用いないシート状の樹脂フィルム340での包装方法と、樹脂フィルム34が把持部を備えていないこと、などが異なっている以外は、上述の図1で示される包装体101と同様に構成され、包装体301は樹脂フィルム340で覆われた内部に情報伝達票30を有している。
【0038】
本発明の一の実施形態における包装体の製造方法について、従来公知の包装体製造の手法に準じて製造することができる。例えば、図1、図2、図4に示す包装体101、201、401の製造方法を被包装物品としてタオルペーパーである被包装物品220を例にして以下に説明する。なお、図1、図2、図4の包装体は被包装物品の形状や個数が異なる以外は、概ね同様にして製造されるものとする。図23に本発明の包装体の製造方法における各工程の概略を示す。図23に示すように、搬送路を有した整列装置61の搬送路上に連続して高速で搬送される複数の被包装物品220を、支持部62により一定個数(図23中においては4個)重ね合わせて整列し、略円筒体形状の複数の被包装物品220を整列して被包装物品集合体210を構成する(整列工程)。次いで貼付装置63において被包装物品集合体を構成する被包装物品220の一表面(図8中の第1添着部13)と、情報表示部31を有した情報伝達票30の添着部(図8中の第2添着部32)とを、取り外し可能に(図23中においては糊噴霧ノズル35を例示しているが、これに限定しない)貼付する(貼付工程)。次に図23に示すように包装装置64において、情報伝達票30の全面を覆うようにしながら情報伝達票が貼付された被包装物品集合体を、少なくとも情報表示部を被覆する部分において透光性を有した樹脂フィルムで覆って固定し、包装体を得る(フィルム包装工程)。
【0039】
本発明の包装体の製造方法においては、搬送路上で搬送される被包装物品20、220および被包装物品集合体101、201、301、401は一定間隔を設けて各工程で搬送されるものである。また、特に整列工程においては、搬送路上に連続して搬送される複数の被包装物品を一定個数正確かつ高速に整列させる必要がある。その際の速度調節や間隔、位置の調節については各被包装物品および被包装物品集合体の天面、底面または両方の端面を検知して治具などを用いてそれらの端面で固定する方法、駆動力を備えた搬送用ベルトや搬送用ローラーの速度調節を行う方法などにより適宜調節するものとする。被包装物品の品目や個数などの構成によって運転条件などを適宜変更することにより幅広く対応可能なものとする。また、本発明のフィルム包装工程においては、後述するように袋状樹脂フィルムやシート状の樹脂フィルムに位置決め表示部を設けて、この位置決め表示部を検知しつつ搬送路上での搬送条件を連動させることにより、高速かつ大量に包装体を製造することが可能となる。
【0040】
本発明の整列工程において、上述したような搬送条件を適宜変更することにより、図6、図8、図9にしめすような被包装物品集合体110、210、310などを構成する。被包装物品がトイレットロールやタオルペーパーなどの略円筒体形状のロール状ペーパーである場合、搬送路の搬送方向と垂直な断面形状を略円筒体形状に合わせておくことにより、位置や搬送速度の精度を高め、安定した搬送を行うことができるため、被包装物品集合体をより高速かつ正確に構成することが可能となる。
【0041】
本発明の整列工程において、被包装物品をたて方向やよこ方向に整列させる方法については、並列した搬送路上に、被包装物品を搬送方向に揃えて搬送し、この並列した搬送路を次第に近づけて隣接させ、合流させることにより整列させることができる。搬送路を並列させる数や立体的な配置を適宜変更することによって被包装物品集合体の構成に合わせることが可能となる。
【0042】
本発明の整列工程において、被包装物品を高さ方向に隣接させて整列する方法は、搬送路上でたて方向やよこ方向に整列した被包装物品の、搬送路の進行方向の端面での治具などによる一時的な固定や、搬送路の速度調整などを用いて前後で搬送される被包装物品と隣接させることにより行うことができる。
【0043】
図4は本発明の一実施形態の包装体401を示す斜視図である。情報伝達票30を貼付する位置以外は上述の図2に示される包装体201と同じ構成である。情報伝達票30は、図13に示すようにあらかじめ略円筒体形状の被包装物品220の湾曲面に合わせて湾曲治具81を用いて湾曲させた状態で被包装物品集合体を構成する一つの被包装物品220の湾曲面に貼付する。このように湾曲面に合わせた形状にあらかじめ情報伝達票30を湾曲させることにより、情報伝達票30を被包装物品集合体に貼付する手段によらず、位置ずれを防止することが容易となる。このとき、情報伝達票30の裏面34に設けられた第2添着部32は貼付時における被包装物品220の長手方向に平行な帯状に設けることが好ましい。被包装物品集合体を構成する被包装物品220の外側の表面に、被包装物品220の長手方向に平行に帯状の第1添着部13を1箇所設けて、第2添着部32を図14に示すように情報伝達票30の中心を通るように帯状に1箇所設けた場合、図4に示すように包装体401の角部付近の袋状樹脂フィルム140で固定されるため、第1添着部13と第2添着部とがそれぞれ1箇所であっても位置ずれしにくい。このようにして包装体401は袋状樹脂フィルム140で覆われた内部に情報伝達票30を有している。
【0044】
本発明の情報伝達票30を湾曲させる方法については図13に示すように略円筒体形状の被包装物品220の湾曲した表面に重なるような形状とするものであれば良く、特に限定するものではない。例えば、図14に示すように略円筒体形状の被包装物品の湾曲形状に合わせた湾曲形状の曲面を有した湾曲治具81を用いることができる。このとき、情報伝達票30は、送り出しローラー80により、湾曲治具81の湾曲面に押さえつけられながら繰り出されることにより、湾曲形状とされる。また、情報伝達票30は、あらかじめ湾曲形状に加工しても良いが、図14に示すように、湾曲形状を付与された直後に第2添着部32に塗布ローラー39を用いて糊付けし、直ちに被包装物品に接着することもできる。このとき、塗布ローラー39による糊付けに限らず、後述するスプレーによる糊噴霧、弱粘着手段による貼付方法、微細刃部を有した接合治具を用いた貼付方法など、種々の貼付手段を用いることができる。
【0045】
本発明の情報伝達票30を湾曲させる方法については上述の湾曲治具81を用いる方法の他、略円筒体形状の被包装物品の外径より大きい外径のドラムに情報伝達票30を部分的に巻きつける方法や、略円筒体形状の被包装物品の外径より小さいローラーに部分的に巻きつけながら繰り出して湾曲させることが好ましい。このようなドラムやローラーを用いることにより、情報伝達票30を連続かつ高速に湾曲させることができる。
【0046】
また図1、図2、図4に示す本発明の一実施形態の包装体101、201、401の袋状樹脂フィルム140および図3に示す本発明の一実施形態の包装体301の樹脂フィルム340には、商品名、内容量、宣伝文句など、多くの文字情報に加え、商品イメージや消費者の購買意欲を向上させる目的で絵柄などが印刷表示46として印刷されている。これら印刷表示46は情報伝達票30の情報表示部31が視認可能となるようにあらかじめ決められた位置に設けられている。また情報表示部31を覆う部分において印刷表示46を半透明として外部から情報表示部31が視認可能とすることもできる。情報伝達票30を貼付する際は印刷表示46があるため、あらかじめ決められた位置に正確に貼付する必要がある。
【0047】
このようにして、情報伝達票30の外部からの視認性が確保されているために、顧客への購買意欲を刺激することが可能な情報伝達薄票30は、懸賞応募はがきやアンケートカードなどの他、磁気カード、ICカード、非接触カードなどの多種多様な情報伝達手段に対応が可能である。また情報伝達表示部30の少なくとも一部に、機械読み取り可能な情報としてのバーコード情報、QRコード情報や、スクラッチ印刷を設けたものや、少なくともその一部が割引券、引換券、回数券、優待券、会員証、入店証、アンケート用紙、広告チラシ、はがき、または懸賞応募用紙とすることで消費者の購買意欲を促進することもできる。
【0048】
本発明の包装体およびフィルム包装工程において、情報伝達票30を貼付する第1添着部13の位置は被包装物品の側面に設けられることが好ましい。また、例えば図6に示すように被包装物品20の長手方向の両端に一方の端面21、他方の端面22を有した略円筒体形状である場合、情報伝達票30を添着する第1添着部13の領域は被包装物品20の長手方向に伸びた帯状に設けることが好ましい。また、例えば図6に示すように、情報伝達票30を添着する第2添着部32の位置は情報伝達票30の裏面34における側端付近に帯状に設けることが好ましい。これにより、袋状樹脂フィルム140で全面を覆うようにして固定されるまでの間は充分な強度で固定される。ただし、上述した図4に示すような包装体401のように、情報伝達票30が略円筒体形状の被包装物品220の湾曲面に合わせた湾曲形状である場合には、情報伝達票30の中心線を通る帯状に第2添着部32を設けることが好ましい。
【0049】
本発明の一実施形態の図1〜図4に示す包装体101、201、301、401において、被包装物品集合体110、210、310または被包装物品220、被包装物品20の表面に設けられた第1添着部13や情報伝達票30の裏面34に設けられた第2添着部32がそれぞれ必要最小限な面積の帯状の領域とすることで、情報伝達票30が、少なくとも袋状樹脂フィルム140で全面を覆うようにして固定されるまでの間は充分な強度で固定されながらも、情報伝達票30の使用時には容易に取り外すことが可能である。また、このような第1添着部13および第2添着部が噴霧された糊付けによる固定された場合、弱粘着手段により固定された場合、その他の固定手段によって固定された場合であっても、帯状の領域の全面に連続的に噴霧された糊付け、弱粘着手段による塗布、その他の固定手段によって固定されていても良く、この帯状の領域の両端の各1点を含む少なくとも2箇所以上の複数の箇所に間隔をおいて部分的に固定されていても良い。
【0050】
また、本発明の一実施形態の包装体101、201、301、401に用いられる情報伝達票30は被包装物品集合体に貼付された後で袋状樹脂フィルム140またはシート状の樹脂フィルム340によって覆われて固定し、保護されるため、噴霧された糊や弱粘着剤で固定された場合はごくわずかな量で済む。また、図25に示す従来の包装体501に要していた保護シート502などの特殊な部材を必要とせず、資材の低減による生産コストの削減やリサイクル性を高める。また、噴霧された糊や弱粘着剤を使用するために、情報伝達票30を取り外す際に接着面が破損するのを防ぐことができる。また、噴霧された糊や弱粘着剤を使用する面積が、情報伝達票30の一部に限定されるので、剥がしやすく、貼付コストも少ない。
【0051】
本発明の一実施形態における包装体において、具体的に情報伝達票30を被包装物品集合体の表面、即ち被包装物品に表面に貼付するいくつかの方法(貼付工程)について、以下に記載する。
【0052】
図10に示すように、本発明の一実施形態において、糊噴霧ノズル35を使用して噴霧された糊で被包装物品集合体に情報伝達票30を貼付する方法を以下に示す。図10に示すように被包装物品220は搬送路上を支持部62により包装体に必要な一定個数にまとめられた状態で搬送される。図10に示すように糊噴霧ノズル35を長手方向に速度を適宜調節しつつ移動させながら液状の糊を噴霧することができる。糊噴霧ノズル35を移動する方法の他、被包装物品220の長手方向に搬送される場合、糊噴霧ノズル35を固定した状態で、支持部62によって被包装物品集合体を搬送路上で速度を適宜調節させながら移動することにより、第1添着部13に帯状に糊を噴霧することもできる。この糊の材質については特に限定するものではないが、例えばセルロース誘導体(PH6.0、粘度400mPa・s/30℃、製造元・日本NSC、品番・TV506)を挙げることができる。
【0053】
図11、図12に示すように、本発明の一実施形態において、塗布ローラー39などの塗布手段を用いて第2添着部32や第1添着部弱13に粘着手段を塗布する方法を以下に説明する。図12に示すように被包装物品集合体210を構成する被包装物品220の表面上に設けられた第1添着部13と、情報伝達票30の裏面34に設けられた第2添着部32とが取り外し可能な弱粘着手段により接着されている。このため、情報伝達票30を容易に剥がすことができ、破損するのを防ぐことができる。
【0054】
本明細書中において、弱粘着手段とは、一度接着した後に、剥がすと再接着力をほとんど持たず、接着剤を塗布した少なくとも一方の表面素材(例えば情報伝達票の裏面30)を破壊することのない接着手段のことをいう。弱粘着手段は、被包装物品集合体が袋状樹脂フィルム140またはシート状の樹脂フィルム340で包装されるとともに情報伝達票30が全面を覆われて固定されるまでの間にのみ単独で情報伝達票30を固定する接着力を備えていれば良く、剥離しても被接着物を破壊しないものを使用する。但し、弱粘着手段の接着力が比較的強い場合であっても弱粘着手段内部の凝集力が充分に弱いものであれば、剥離時に弱粘着手段自身が破壊されて被接着物を破壊することがないため、被包装物品や情報伝達票30に弱粘着手段の痕跡が残っていても目立たない程度の使用量であれば良い。また、弱粘着手段は剥離時に接着面に残った場合であっても目立たないような無色透明のもの、または半透明のものが好ましい。弱粘着手段の具体例としては、固形分濃度35〜45%の酢酸ビニル樹脂接着剤の他、アクリル樹脂系粘着剤、ホットメルト接着剤などを挙げることができる。
【0055】
以下に本発明の包装工程の第1の実施形態について説明する。図1、図2、図4に示されるような袋状の樹脂フィルム140で覆われた包装体101、201、401は図15に示されるようなロール状の袋状樹脂フィルム連続体141を繰り出しつつ位置決め表示部47を検知部48で検知することにより一定の間隔で切断治具78により切断して図16に示されるような袋状樹脂フィルム140とする。袋状樹脂フィルム連続体141は、一定の間隔で切断した際に袋状となるようにあらかじめ一定間隔で間仕切りされた筒状に設けられ、その間仕切りされた部分に運搬用の持ち手として把持部を設けることができる。
【0056】
続いて図16に示すように袋状樹脂フィルム把持部74を用いて、袋状樹脂フィルム140の袋状樹脂フィルム開口部142を広げ、この袋状樹脂フィルム開口部142に一対の開口治具71を挿入する。この袋状樹脂フィルム把持部74は、例えば表面を陰圧にして吸引力を生じる吸盤を備えたものを用いることができる。挿入された一対の開口治具71は図17に示すように図16の袋状樹脂フィルム開口部142を内側から拡張する。このとき袋状樹脂フィルムの袋状樹脂フィルム開口部142は内部空間に被包装物品集合体がきっちり納まる寸法となるように一対の開口治具71で拡張する。開口治具71で袋状樹脂フィルム140が拡張された後は袋状樹脂フィルム140は開口治具71のみで充分に保持され得るため、袋状樹脂フィルム把持部74の吸盤表面の吸引力を停止させるなどして図17に示すように取り外し、次の袋状樹脂フィルムへと向かう。更に、図17に示すような気流噴出口より圧縮空気などの気流77を噴出する。そして図18、図20に示すように気流77により袋状樹脂フィルム140を一対の開口治具71の内側を通して裏返しにする。
【0057】
次に、図18、図20に示すように情報伝達票30を貼付した被包装物品集合体210を、袋状樹脂フィルムの内側に隙間をほとんど生じさせずに挿入する。図19に示すように袋状樹脂フィルム140の内部に挿入することができる。その後、袋状樹脂フィルムの開口部を封止する。包装工程においては、袋状樹脂フィルム連続体141を繰り出す速度や切断する速度、袋状樹脂フィルム把持部74と開口治具71によって袋状樹脂フィルム開口部142を拡張する速度、被包装物品集合体210を挿入する速度などを連動させることにより、連続的かつ高速に包装される。このような構成とすることにより、情報伝達票30は被包装物品集合体210に貼付された状態で袋状樹脂フィルムの内部に円滑かつ安定して挿入されるため、情報伝達票30が剥がれるおそれや袋状樹脂フィルム140を破損するおそれがない。
【0058】
本発明のフィルム包装工程のシート状の樹脂フィルムを用いた第2の実施形態について以下に説明する。図24に示すように樹脂フィルム連続体342を連続して繰り出して裁断する際、各包装体に必要な寸法にあらかじめ一定間隔で設けられた位置決め表示部47を検知部48により検知し、これに連動して切断治具78を作動し、切断する。位置決め表示部47が樹脂フィルム連続体342の繰り出し方向と垂直な長手方向を有した長方形の形状であることが好ましい。また位置決め表示部47は特に限定するものではなく、検知部48の構成に合わせて適宜変更可能なものとし、赤外線、可視光、紫外線などによって光学的に読み取り可能な表示を印刷したものを好適に挙げることができる。
【0059】
本発明のフィルム包装工程の第2の実施形態において、樹脂フィルム連続体342を連続して繰り出す方向と搬送路上で搬送される情報伝達票30が貼付された被包装物品集合体310の搬送方向とを平行にし、樹脂フィルム連続体342を繰り出しつつ被包装物品集合体310を筒状に覆う構成とすることが好ましい。これにより、搬送路上での被包装物品集合体310の移動速度を止めることなく連続的に樹脂フィルム連続体342で覆うことができる。
【0060】
このように樹脂フィルム連続体342で情報伝達票30が貼付された被包装物品集合体301を筒状に覆った後、筒状に胴巻きされて重なり合った部分を熱溶着などで接着し、更に切断治具で切断することが好ましい。樹脂フィルム連続体342が搬送路と平行に繰り出されていくため、樹脂フィルム連続体342に無理な力が加わらないために皺になりにくい。切断された樹脂フィルム340よりも、樹脂フィルム連続体342として連なった状態のほうが扱いやすい。なお、樹脂フィルム連続体342で筒状に覆われた被包装物品集合体310を切断治具で切断する場合には、上述の位置決め表示47を検知部48で検知する方法や被包装物品集合体301の端部を光学的手法により検知する方法、被包装物品集合体の端部に当接させた治具や搬送路に連動させる方法などが挙げられる。
【0061】
また、本発明のフィルム包装工程の第2の実施形態において、図24に示すように貼付工程によって情報伝達票30が貼付された被包装物品集合体310を少なくとも情報表示部を被覆する部分において透光性を有した樹脂フィルム340により胴巻きし、透光性樹脂フィルム340の互いに重畳する縁部を接着して胴接着部を形成し、包装体301本体の天面41および底面42を袋状に覆ってその開口部を封止して固定し、包装体301を得る。本発明のフィルム包装工程の第1の実施形態において、図1、図2、図4に示すような袋状の樹脂フィルム140を用いた包装体101、201、401の場合も図21で示されるような袋状開口部142を図22の包装体201で示されるように袋状樹脂フィルム封止部45で封止する。
【0062】
なお、本明細書中において、被包装物品集合体を樹脂フィルムで覆った開口部を封止する方法は、特に限定するものではないが、本体端面よりも外方に突出させるようにフィルムの余長部分を設け、この余長部分を順に折り畳んで封止する封止形態を挙げることができる。この封止方法は、包装の分野で常用されているものであり、被包装物品が、トイレットペーパーやタオルペーパーなどの略円筒体形状である場合に、有効である。つまり、被包装物品が復元力のない柔らかい物品である場合には、溶着の際に被包装物品にかかる圧力により被包装物品が破損してしまう恐れがあるため、この包装形態は適さないが、被包装物品が所定以上の強度や復元力を有する箱状体や略円筒体形状のものであれば、包装時の破損の懸念が無く、樹脂フィルムによって被包装物品をその形状に沿ってぴったりと覆うことができる。
【0063】
図1、図2、図3、図4に示すように、本発明の一実施形態における包装体101、201、401の底面42と、本発明の一実施形態における包装体301の天面41および底面42は樹脂フィルムの余長部分を折り返し、その折り返し部分の重なり合った部分を熱溶着などの封止手段によって封止されている。具体例としては図24に示すように情報伝達票30が貼付された被包装物品集合体301の天面41および底面42に延出した樹脂フィルム340のうち、被包装物品集合体301を構成する2個の被包装物品220のうち、1個の被包装物品220のみからなる両側面側から延出した部分が、被包装物品集合体301の天面41および底面42に向かってそれぞれ折り込まれる。続いて同様に樹脂フィルム340の、被包装物品集合体301を構成する2個の被包装物品220が並列した両側面から延出した部分が、その上に折り込まれる。このようにして、図3に示すように、被包装物品集合体301の天面41において、被包装物品集合体301を構成する2個の被包装物品220が並列した両側面から延出した部分同士が互いに貼り合わされている。
【0064】
本発明の包装体を構成する袋状樹脂フィルム140やシート状の樹脂フィルム340の材質については情報伝達票30を覆った際に外部から視認可能または文字情報などが判読可能な透光性を有しておれば良い。この透光性樹脂フィルム40の透光性を表す具体的な値としては、透明性の指標としてJISK7105に準拠して測定したヘイズ値が3〜5%の範囲にあることが特に好ましい。透光性樹脂フィルム40の材質についてはこのように情報伝達票30が外部から視認可能または文字情報などが判読可能な透光性を有している他は特に制限はなく、通常、包装袋に使用されるポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂を用いることができる。中でも、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが好ましい。フィルムの厚さは、被包装物品20の種類や重量によっても異なるが、トイレットロールやタオルペーパーなどのロール状ペーパーを被包装物品20とする場合には、フィルムの厚さを20〜40μmとすることが好ましい。
【0065】
尚、本発明の包装体には、包装体を開封して被包装物品の一例であるトイレットペーパーやタオルペーパーなどのロール状ペーパーを取り出すためのカット部及び切り離し用テープを設けてもよい。このようなカット部及び切り離し用テープを設けることにより、比較的簡便に、力を要することなく内容物であるロール状ペーパーおよび情報伝達票30を取り出すことができる。例えば、包装体の長面(被包装物品20の短面24方向に対向する面積の広い長面22のある側面)の片方に2本の縦ミシン目を設け、カット部上端部にツマミを形成することができる。このとき、情報伝達票30が取り出しやすい位置にこの切れ目を設けることで、情報伝達票30が懸賞応募はがきなどの期限付きのものである場合に製品を使用する前に取り出して懸賞応募はがきとして使用することが可能である。
【0066】
また、図1に示すような本発明の包装体101の天面41に運搬時の把手43をあらかじめ形成することもできる。また、本発明の包装体101の製造時における袋状樹脂フィルム140の形成は、例えば袋状の樹脂性フィルムの端部付近に対して開口部や切れ目を設けつつ、熱シール、超音波溶着によって把持部の形状を形成する方法や、別体で形成した把持部を熱シール、超音波溶着や接着剤によって接着する方法などの従来公知の方法を用いることができる。設備が簡便で確実に接着できることから、熱シールにて溶着することが好ましい。熱シールでの溶着条件としては、天面41及び底面42の封止並びに天面41への把手43の形成には、180〜210℃で1秒間、胴接着部の形成には、180〜220℃で3秒程度加熱することが好ましい。
【0067】
本発明の包装体の製造方法においては、トイレットロールやペーパータオルなどのロール状ペーパーを被包装物品とした場合、多品目を同一装置で製造することが実用面で求められる。本発明の包装体の製造方法においては、被包装物品の長手方向の長さや整列時の個数が異なっていても搬送路の数や形状を変更することや、各工程における作動位置や作動間隔を微調整することによりほぼ同一装置で対応することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の包装体およびその製造方法によれば、複数の被包装物品を整列させて構成した被包装物品集合体の一の表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に包装した包装体を提供することができ、この情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場などにおいて広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産されるため、産業上の利用可能性は著しい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の包装体の一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の包装体の一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の包装体の一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図4】本発明の包装体の一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態における被包装物品の一例を示す模式的斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態における被包装物品集合体の一例を説明する模式的説明図である。
【図7】本発明の一実施形態における被包装物品の一例を示す模式的斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における被包装物品集合体の一例を説明する模式的説明図である。
【図9】本発明の一実施形態における被包装物品集合体の一例を説明する模式的説明図である。
【図10】本発明の一実施形態における貼付工程を説明する模式的説明図である。
【図11】本発明の一実施形態における貼付工程を説明する模式的説明図である。
【図12】本発明の一実施形態における貼付工程を説明する模式的説明図である。
【図13】本発明の一実施形態における貼付工程を説明する模式的説明図である。
【図14】本発明の一実施形態における貼付工程を説明する模式的説明図である。
【図15】袋状樹脂フィルム連続体の切断工程を説明する模式的説明図である。
【図16】袋状樹脂フィルムに開口治具を挿入する工程を示す模式的説明図である。
【図17】袋状樹脂フィルムに挿入した開口治具を拡張する工程を示す模式的説明図である。
【図18】袋状樹脂フィルムに被包装物品集合体を挿入する工程を示す模式的説明図である。
【図19】袋状樹脂フィルムに被包装物品集合体を挿入する工程を示す模式的説明図である。
【図20】袋状樹脂フィルムに被包装物品集合体を挿入する工程を示す模式的説明図である。
【図21】被包装物品集合体を挿入した袋状樹脂フィルムの開口部を示す模式的説明図である。
【図22】本発明の包装体の一実施形態における袋状樹脂フィルム封止部を示す模式的斜視図である。
【図23】本発明の包装体の製造方法の一実施形態を説明する模式的説明図である。
【図24】本発明の一実施形態におけるフィルム包装工程を説明する模式的説明図である。
【図25】従来の包装体の一例を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
【0070】
11:被包装物品集合体天面、12:被包装物品集合体底面、13:第1添着部、14:情報伝達票付き被包装物品集合体、20:被包装物品、21:被包装物品天面(一方の端面)、22:被包装物品底面(他方の端面)、30:情報伝達票、31:情報表示部、32:第2添着部、33:情報伝達票表面、34:情報伝達票裏面、35:糊噴霧ノズル、39:塗布ローラー、40:樹脂フィルム、41:包装体天面、42:包装体底面、43:把持部、44:袋状樹脂フィルム開口部、45:袋状樹脂フィルム封止部、46:印刷表示、47:位置決め表示部、48:位置決め表示読み取り装置、61:整列装置、62:支持手段、63:貼付装置、64:フィルム包装装置、71:開口治具、72:開口部、73:開口部、74:袋状樹脂フィルム把持治具、76:気流噴出口、77:気流、78:樹脂フィルム切断治具、79:押し出し治具、80:送り出しローラー、81:湾曲治具、101:包装体、110:被包装物品集合体、111:被包装物品集合体天面、112:被包装物品集合体底面、140:袋状樹脂フィルム、141:袋状樹脂フィルム連続体、142:袋状樹脂フィルム開口部、201:包装体、210:被包装物品集合体、211:被包装物品集合体天面、212:被包装物品集合体底面、220:被包装物品、221:被包装物品天面(一方の端面)、222:被包装物品底面(他方の端面)、240:袋状樹脂フィルム、301:包装体、320:被包装物品、311:被包装物品集合体天面、312:被包装物品集合体底面、340:樹脂フィルム、342:ロール状樹脂フィルム、501:包装体、502:保護シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被包装物品が整列されて構成された被包装物品集合体と、
前記被包装物品集合体の表面上に取り外し可能に貼付され、外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、
前記被包装物品集合体の全面を被覆して前記被包装物品集合体を構成する全ての被包装物品を一体的に包装する、少なくとも前記情報表示部を被覆する部分において透光性を有した樹脂フィルムと、を含む包装体。
【請求項2】
前記被包装物品がロール状ペーパーである請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記情報伝達票が、前記ロール状ペーパーの外周面の湾曲形状に合わせて湾曲された状態で前記ロール状ペーパーの外周面上に貼付された請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記情報伝達票が、噴霧された糊によって前記被包装物品集合体の表面上に貼付された請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
前記情報伝達票が、弱粘着手段によって前記被包装物品集合体の表面上に貼付された請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
樹脂フィルムにより、複数の被包装物品が一体的に包装された包装体の製造方法であって、
搬送路上に複数の前記被包装物品を連続して搬送し、前記被包装物品を一定個数まとめて整列させた状態を保持して被包装物品集合体を構成する整列工程と、
情報表示部を有した情報伝達票を、前記被包装物品集合体の表面に取り外し可能に貼付する貼付工程と、
前記情報伝達票の全面を覆うようにしながら、前記情報伝達票が貼付された前記被包装物品集合体を、少なくとも前記情報表示部を被覆する部分において透光性を有した前記樹脂フィルムで覆って固定し、前記包装体を得るフィルム包装工程と、を含む包装体の製造方法。
【請求項7】
前記被包装物品がロール状ペーパーである請求項6に記載の包装体の製造方法。
【請求項8】
前記貼付工程において、前記情報伝達票を前記ロール状ペーパーの外周面の湾曲形状に合わせて湾曲した後、前記ロール状ペーパーの外周面上に貼付する請求項7に記載の包装体の製造方法。
【請求項9】
前記貼付工程において、前記情報伝達票を、噴霧させた糊により前記被包装物品集合体の表面上に貼付する請求項6〜8のいずれか1項に記載の包装体の製造方法。
【請求項10】
前記貼付工程において、前記情報伝達票を、弱粘着手段により前記被包装物品集合体の表面上に貼付する請求項6〜8のいずれか1項に記載の包装体の製造方法。
【請求項11】
前記フィルム包装工程において、前記樹脂フィルムとしてあらかじめ開口部を有して袋状に形成された袋状樹脂フィルムを用い、前記情報伝達票を前記袋状樹脂フィルムの開口部に向かって前記被包装物品集合体を挿入し、前記開口部を閉じることにより前記包装体を得る請求項6〜10のいずれか1項に記載の包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−18317(P2010−18317A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180857(P2008−180857)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】