説明

包装方法及び包装システム

【課題】袋詰め製品2をさらに外装袋3に収容し、外装袋3の袋口を袋幅方向に沿ってシールする場合に、袋詰め製品2の非充填部2b(ヘッドスペース部とシール部)の一部が外装袋3のシール部に噛み込まれるのを防止し、外装袋3内に包装された袋詰め製品2の見栄えが損なわれないようにする。
【解決手段】鉛直の軸部5aと水平の屈曲部5bからなる一対の略L字状部材5を、外装袋の開口した袋口から挿入し、袋詰め製品2の非充填部2bの片側に配置し、軸部5aを中心に回動させ、水平面内で旋回する屈曲部2bを前記非充填部2bに当接させ次いで反対側に折り込む。続いて、外装袋3の袋口を偏平状に閉じ、これにより外装袋3の内面で非充填部2bを押さえて折り込んだ状態に保持し、略L字状部材5,5を逆に回動させ、外装袋3の袋口から上方に抜き出した後、外装袋3の袋口をシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物が充填された包装袋(袋詰め製品)をさらに外装袋に収容し、前記外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールする包装方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的硬く不定形なバラ物等の被包装物をタイトに充填した包装袋(袋詰め製品)は、一般的に、被包装物がタイトに充填された充填部と前記充填部の上に連なる非充填部(ヘッドスペース部と袋口シール部)からなる。この種の袋詰め製品は、流通等の過程で被包装物により袋が破損するおそれがあるため、同袋詰め製品を保護する目的で、さらに外装袋で包装する場合がある。
【0003】
袋詰め製品を外装袋で包装する場合、外装袋包装後の最終製品の見栄え(タイト感等)を考慮して、外装袋のサイズは袋詰め製品のサイズより僅かに大きい程度に設定されるのが一般的である。従って、外装袋内に収容されたときの袋詰め製品は、その非充填部の一部が外装袋の袋口シール予定部に達しており、その状態で外装袋の袋口をシールすると、袋詰め製品の非充填部の一部が外装袋のシール部に噛み込まれるなど、外装袋の袋口シールに支障をきたすおそれがある。
【0004】
一方、特許文献1には、粉粒体を袋に充填後、袋内に昇降式の押込棒を挿入し、同押込棒で袋内の粉粒体をスタンプした後、袋口をシールする技術が示されている。
外装袋の袋口シールに際し、袋詰め製品の非充填部の一部が外装袋のシール部に噛み込まれるのを回避するため、特許文献1の技術を適用し、外装袋内に収容された袋詰め製品の非充填部を押込棒等でスタンプして平たく押し潰し、その後、外装袋の袋口をシールすることが一応考えられる。
しかし、外装袋から押込棒を上昇させると、外装袋の袋口をシールする前に、袋詰め製品の非充填部が元の状態に復元し、非充填部の一部が再び外装袋の袋口シール予定部に達してしまう可能性がある。また、仮に袋詰め製品の非充填部が元の状態に復元しなかったとしても、非充填部が押しつぶされた状態で外装袋内に包装されていると、袋詰め製品の見栄えが損なわれ、製品価値が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−38809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、袋詰め製品をさらに外装袋に収容し、前記外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールする場合に、袋詰め製品の非充填部(ヘッドスペース部と袋口シール部)の一部が外装袋のシール部に噛み込まれ、噛み込みシールなどのシール不良が発生するのを防止し、同時に、外装袋内に包装された袋詰め製品の見栄えが損なわれないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装方法において、袋詰め製品は被包装物が充填された充填部と前記充填部の上に連なる非充填部からなり、非充填部はヘッドスペース部とシール部からなり、前記シール部の長手方向が外装袋の袋幅方向にほぼ一致するように前記外装袋内に収容されている。本発明に係る包装方法は、このような形態で袋詰め製品を収容した外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールするものであり、それぞれ略鉛直の軸部と略水平の屈曲部からなる左右一対の略L字状部材を、前記外装袋の開口した袋口から前記外装袋内に挿入して、前記袋詰め製品の非充填部の片側に配置し、前記略L字状部材を前記軸部を中心に回動させ、略水平面内で旋回する前記屈曲部を前記袋詰め製品の非充填部に当接させ次いで前記非充填部を反対側に折り込み、前記外装袋の袋口を偏平状に閉じ、これにより前記外装袋の内面で前記非充填部を押さえて折り込んだ状態に保持し、前記左右一対の略L字状部材を前記軸部を中心に回動させ、前記屈曲部を前記外装袋の袋幅方向に略平行とし、前記左右一対の略L字状部材を上昇させ、前記外装袋の袋口から上方に抜き出した後、前記外装袋の袋口をシールすることを特徴とする。
【0008】
上記包装方法の好ましい1つの形態として、前記左右一対の略L字状部材を前記外装袋の袋口から上方に抜き出した後、前記外装袋の袋口を偏平状に閉じた状態のまま、袋口近傍の両側縁部を左右のグリッパーで挟持し、前記左右のグリッパーの間隔を広げて袋口を緊張させ、緊張した袋口をシールすることが挙げられる。
上記包装方法において、外装袋は例えばリテーナに収容され、又は袋口近傍の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持され吊り下げられて移送される。前者の場合、外装袋の袋口を偏平状に閉じるには袋口閉口手段が別途必要であり、後者の場合、左右のグリッパーの間隔を広げることで、外装袋の袋口を偏平状に閉じることができる。
【0009】
本発明に係る包装システムは、上記包装方法を実施するためのもので、前記袋詰め製品を収容した外装袋を所定の移送経路に沿って間欠的に順次移送する移送装置と、前記移送経路上で前記外装袋内に収容された袋詰め製品の非充填部を折り込む左右一対の略L字状部材を有する折り込み装置と、前記移送経路上で前記外装袋の袋口を偏平状に閉じる袋口閉口装置と、前記移送経路上で前記外装袋の袋口をシールする一対の熱板を有する袋口シール装置からなる。前記折り込み装置の略L字状部材は、略鉛直の軸部と略水平の屈曲部からなり、外装袋に対し相対的に昇降し、上昇したとき外装袋の袋口より上方に位置し、下降したとき外装袋の袋口から前記外装袋内に入って袋詰め製品の非充填部の片側に位置し、さらに略L字状部材は下降した位置で前記軸部を中心に回動し、そのとき前記屈曲部は略水平面内で旋回して袋詰め製品の非充填部に当接し次いで前記非充填部を反対側に折り込み、前記外装袋の袋口が閉じた後回動して前記屈曲部を前記外装袋の袋幅方向に略平行とし、次いで上昇して外装袋から抜け出る。
【0010】
上記包装システムは例えば次の形態を取り得る。
(1)さらに、前記移送経路上で前記外装袋の袋口近傍の両側縁部を挟持する左右のグリッパーを備える。このグリッパーは略L字状部材が上昇して外装袋から抜け出た後に前記外装袋の両側縁部を挟持し、次いで互いの間隔を広げて前記外装袋の袋口を緊張させ、前記熱板が前記外装袋の緊張した袋口をシールする。
(2)外装袋がリテーナに収容され、前記外装袋はリテーナごと前記移送経路に沿って移送される。
【0011】
(3)袋口閉口装置が、外装袋の袋口近傍を両面から挟んで袋口近傍を偏平状に保持する整形部材を備える。この整形部材は外装袋の幅方向両側に一対対向配置されていることが望ましい。
(4)前記移送装置が外装袋の袋口近傍の両側縁部を挟持する左右一対のグリッパーを備え、前記外装袋が前記グリッパーに挟持され吊り下げられた状態で、前記移送経路に沿って移送される。左右のグリッパーの間隔を広げることで、外装袋の袋口を偏平状に閉じることができるから、この場合、左右のグリッパーが前記袋口閉口装置を兼ねることにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、袋詰め製品をさらに外装袋に収容し、前記外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールする場合に、袋詰め製品の非充填部の一部が外装袋のシール部に噛み込まれ、噛み込みシールなどのシール不良が発生するのを防止し、同時に、外装袋内に包装された袋詰め製品の見栄えが損なわれないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る包装装置の全体斜視図である。
【図2】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図3】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図4】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図6】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図7】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図8】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図9】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図10】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【図11】本発明に係る包装方法及び装置の一部を工程順に説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る包装方法及び包装システムについて、図1〜11を参照して具体的に説明する。
図2に示すように、外装袋1に収容される袋詰め製品2は、被包装物がタイトに充填された充填部2aとその上に連なる偏平状の非充填部2bからなる。非充填部2bは充填部2aに続くヘッドスペース部と上端のシール部からなる。袋詰め製品2は、非充填部2b(ヘッドスペース部とシール部)の長手方向(袋幅方向)の向きが外装袋1の袋幅方向にほぼ一致するように、外装袋1内に収容されている。外装袋1はガセット袋である。
【0015】
図1に示す包装システムは、袋詰め製品2を収容した外装袋1をさらにリテーナ3に収容した状態で、前記リテーナごと所定の移送経路に沿って間欠的に順次移送し、その移送経路上で、袋詰め製品2の非充填部2bを一方の側に折り込み、外装袋1の袋口を偏平状に閉じ、さらに外装袋1の袋口を袋幅方向に沿ってシールするものである。
この包装システムは、リテーナ3(外装袋1)を前記移送経路に沿って移送する移送装置4と、前記移送経路上で外装袋1内に収容された袋詰め製品2の非充填部2bを折り込む折り込み装置(左右一対の略L字状部材5,5のみ示す)と、前記移送経路上で外装袋1の袋口を閉じる袋口閉口装置(整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13のみ示す)と、前記移送経路上で外装袋1の袋口をシールする袋口シール装置(熱板15,15、熱板16,16及び冷却板17,17のみ示す)、及び複数組の左右一対のグリッパー18,18からなる。19は、本システムで外装袋1の袋口をシールした後、移送装置4の移送経路から取り出されたリテーナ3(外装袋1)を搬出するコンベアである。
【0016】
移送装置4は、直線的な移送経路を有する供給コンベア21と、リテーナ移送部材22と、円形の移送経路を有するロータリーコンベア23からなる。
供給コンベア21は水平に配置された多数のコンベアローラからなり、外装袋1を収容したリテーナ3を、直線状の移送経路に沿って等間隔で間欠的に順次移送する。供給コンベア21上を移送される全てのリテーナ3は、幅方向(移送経路に対し垂直方向)の中心が、供給コンベア21の移送経路の中心線Co上に位置するようにガイドされる。なお、リテーナ3は、平らな底板24と四角形の枠体25からなる。
【0017】
供給コンベア21の移送経路上に、リテーナ3が停止する複数の停止位置が等間隔に設定され、その1つである給袋位置Aでは、上方から折り目が開いたガセット袋からなる外装袋1が、袋幅方向が前記移送経路に対し垂直に向くように、リテーナ3に挿入される。
外装袋1はガセット袋からなり、折り目が開いた状態でリテーナ3に収容される。リテーナ3の枠体25は、折り目が開いた状態の外装袋1より、平面視で若干大きめに作製されている。
次の停止位置は収容位置Bであり、袋詰め製品2が外装袋1内に収容される。
さらに次の停止位置は折り込み開始位置Cである。この折り込み開始位置Cでは、供給コンベア21の搬送面の中央部に空間21aが形成され、この空間21a内に前記リテーナ移送部材22が待機している。空間21aの前方側(供給コンベア21の移送経路の前方側)には、コンベアローラが設置されていない(図5参照)。また、折り込み開始位置Cの上には前記折り込み装置(一対の略L字状部材5,5)と、前記袋口閉口装置(整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13)が待機している。
【0018】
次に、リテーナ移送部材22について説明する前に、ロータリーコンベア23について説明する。
ロータリーコンベア23は、水平で円形の移動経路に沿って等間隔に配置され、かつ前記移動経路に沿って間欠的に移動する8個のリテーナ支持台26を有する。リテーナ3はリテーナ支持台26上に水平に載置され、リテーナ3内の外装袋1はその袋幅方向を前記移動経路に対し接線方向に向け、リテーナ支持台26の移動に伴い、前記円形の移送経路に沿って間欠的に移送される。
【0019】
ロータリーコンベア23の各リテーナ支持台26に対応して、左右一対のグリッパー18,18が設置されている。各グリッパー18,18はリテーナ支持台26と一緒に円形の移動経路に沿って間欠的に移動し、前記移動経路上で所定のタイミングで開閉し、また互いの間隔を広げ又は狭める。各グリッパー18,18はリテーナ3に収容された外装袋1の袋口近傍の両側縁部を挟持する。以下、グリッパー18,18及びリテーナ支持台26の移動経路を特に区別せず、ロータリーコンベア23の移動経路という場合がある。
【0020】
各リテーナ支持台26は、対応するグリッパー18,18と共に、前記移動経路に沿って1回転する間に8回停止(停止位置D〜K)する。停止位置F,G,Hに前記袋口シール装置(熱板15,15、熱板16,16及び冷却板17,17)が配置されている。
最初の停止位置Dは、ロータリーコンベア23がリテーナ移送部材22から外装袋1を収容したリテーナ3の供給を受ける供給位置(以下、停止位置Dを供給位置Dという)である。この供給位置Dでリテーナ支持台26の上にリテーナ3が載置され、グリッパー18,18が閉じて外装袋1の袋口近傍の両側縁部を挟持する。リテーナ支持台26及びグリッパー18,18が移動し、停止位置Fに達する前に、グリッパー18,18が互いの間隔を広げ、外装袋1の袋口を緊張させる。
【0021】
停止位置Fは第1シール位置(以下、停止位置Fを第1シール位置Fという)であり、同位置近傍に袋口シール用の一対の熱板15,15が配置されている。リテーナ支持台26が第1シール位置Fに停止したとき熱板15,15が閉じ、外装袋1の袋口を挟んでシールする。停止位置Gは第2シール位置であり、一対の熱板16,16が配置され、グリッパー18,18が同位置に停止したとき熱板16,16が閉じ、袋口の2度目のシールが行われる。停止位置Hは冷却位置であり、袋口を冷却する冷却板17,17が配置され、グリッパー18,18が同位置に停止したとき冷却板17,17が閉じ、袋口の冷却が行われる。
リテーナ支持台26が停止位置Jに停止したとき、グリッパー18,18が開いて外装袋1を解放し、続いて図示しない移送手段により外装袋1を収容したリテーナ3がコンベア19上に移送され、次の工程位置に向け搬送される。グリッパー18,18は、リテーナ支持台26と共に供給位置Dに達する前に、互いの間隔を狭める。
【0022】
供給コンベア21の移送経路の中心線Coの延長線上に、リテーナ支持台26及びグリッパー18,18の前記移動経路の軸心Axが位置する。供給位置Dに停止した左右のグリッパー18,18の中心位置(左右のグリッパー18,18の間の中央位置)Goは、前記中心線Coと前記軸心Axを含む鉛直面上に位置する。供給コンベア21によって移送されるリテーナ3に収容された外装袋1の袋幅方向の中心位置が、供給コンベア21の移送経路の中心線Co上に位置していれば、前記外装袋1の袋幅方向の中心位置も前記鉛直面上に位置することになる。
【0023】
移送装置4の一部であるリテーナ移送部材22は(図2参照)、フレーム27と、フレーム27に回転自在に片持ち支持された2個のローラ28,29からなる。ローラ28,29は供給コンベア21の移送方向と平行に設置されている。
リテーナ移送部材22は、供給コンベア21の移送経路の折り込み開始位置Cに停止したリテーナ3を水平に載置し、ロータリーコンベア23の移動経路の供給位置Dまで移送する。リテーナ移送部材22は図示しない駆動機構により移動し、その移動経路(リテーナ3及び外装袋1の移送経路)は、前記折り込み開始位置Cでの鉛直上昇、供給コンベア21の移送経路に平行な水平直線移動、前記供給位置Dでの鉛直下降である。
【0024】
リテーナ移送部材22は、供給コンベア21の移送経路の折り込み開始位置Cにおいて、平面視で供給コンベア21と相補形状を有する。すなわち、リテーナ移送部材22は、前記折り込み開始位置Cにおいて供給コンベア21の搬送面の中央部に形成された空間21aに入り込み、鉛直上昇に際して前記空間21a内からコンベアローラの干渉を受けずに離脱する。また、空間21aは供給コンベア21の前記移送経路の前方側が開放され(図5参照)、後述するように、前記移動経路に沿って後退(復帰移動)してきたリテーナ移送部材22が、コンベアローラの干渉を受けずに進入可能である。
【0025】
また、リテーナ移送部材22は平面視でリテーナ支持台26と相補形状を有し、フレーム27及びローラ28,29に囲まれた空間22aは、その移動経路の前方側が開放されている。従って、後述するように、ロータリーコンベア23の供給位置Dに向け所定の移動経路に沿って水平面内を直線移動してきたリテーナ移送部材22は、リテーナ支持台26と互いに干渉し合うことなく、前記リテーナ支持台26を前記空間22a内に進入させ、さらにその状態で鉛直下降することができる。
【0026】
前記折り込み装置は、図2に明確に示すように、屈曲したロッドの形態を有する左右一対の略L字状部材5,5を備える。略L字状部材5,5は、それぞれ鉛直の軸部5aと水平の屈曲部5bからなり、リテーナ移送部材22に対し所定のタイミングで相対的に昇降し、かつ軸部5aを中心に回動(屈曲部5bは軸部5aを中心に水平面内で旋回)する。この略L字状部材5,5は、外装袋1内に収容された袋詰め製品2の非充填部2bを一方向に折り込む作用を有する。
【0027】
前記袋口閉口装置は、図2に明確に示すように、それぞれ支持軸6a,6aを中心に水平面内で回動する一対の整形部材6,6と、同じく支持軸7a,7aを中心に水平面内で回動するもう一対の整形部材7,7と、それぞれ供給コンベア21の移送経路に対し垂直姿勢で配置されその姿勢のまま互いに接離しかつリテーナ移送部材22に対し昇降する4個の板状の折り込み用内爪8,9,10,11と、同じく前記移送経路に対し垂直姿勢で配置されその姿勢のまま互いに接離する一対の板状の折り込み用外爪12,13を備える。ガセット袋の袋口を整形するこのような部材は、例えば特許第4182421号公報、特開2004−142776号公報、特開昭55−79204号公報、特開昭50−25393号公報に記載されているとおり、それ自体公知である。これらの部材はさらにリテーナ移送部材22の移動経路(リテーナ3及び外装袋1の移送経路)に沿って、リテーナ移送部材22と共に移動する。
【0028】
以下、図2〜11を参照し、略L字状部材5,5、整形部材6,6,7,7折り込み用内爪8,9,10,11、折り込み用外爪12,13及びリテーナ移送部材22の、機能と作動及び移動経路について具体的に説明する。ただし、図2〜11には各部材の作動機構及び移動機構は図示が省略されている。
図2は、供給コンベア21の移送経路の折り込み開始位置Cに、リテーナ3及び外装袋1が停止したときの、略L字状部材5,5、整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11、折り込み用外爪12,13、及びリテーナ移送部材22の配置(初期位置)を示す。
【0029】
リテーナ移送部材22の上面(リテーナ3を載置する面)は、折り込み開始位置Cにおいて供給コンベア21の搬送面のやや下方に位置し、リテーナ移送部材22と、折り込み開始位置Cに移送されるリテーナ3との干渉が防止されている。
左右一対の略L字状部材5,5は、折り込み開始位置Cにおいて、同位置に停止した外装袋1の中央部上方位置に、屈曲部5b,5bの先端を所定間隔を置いて向き合わせ、供給コンベア21の前記移送経路に対し垂直な面内で対向配置されている。
整形部材6,6及び7,7は、折り込み開始位置Cにおいて、供給コンベア21の移送経路を挟んで外装袋1の両側に対向して配置されている。整形部材6,6及び7,7はそれぞれ水平面内で回動して開閉し、閉じたとき外装袋1の袋口近傍を両面から挟持する。図2では、整形部材6,6及び7,7はそれぞれ開いて退避位置にきており、前記折り込み開始位置Cに移送されるリテーナ3及び外装袋1との干渉が防止されている。
【0030】
折り込み用内爪8,9,10,11は互いに接近し集合した状態で、移送開始位置Cに停止した袋2の中央部上方に配置されている。折り込み用内爪8,9,10,11はそれぞれ外向きの切り欠き8a,9a,10a,11aを有する。折り込み用外爪12,13は互いに離れた状態で、供給コンベア21の移送経路を挟んで袋2の両側に対向して配置されている。
折り込み用内爪8,9,10,11は折り込み用外爪12,13より高い位置に配置され、折り込み用外爪12,13は整形部材6,6,7,7よりわずかに高い位置に配置されている。
【0031】
図3は、リテーナ移送部材22がリテーナ3と外装袋1を載置して所定距離鉛直上昇し、一方、折り込み用内爪8,9,10,11が所定距離鉛直下降し、折り込み用内爪8,9,10,11が外装袋1の開口した袋口から袋口内部の所定位置(外装袋1の上端と折り込み用内爪8,9,10,11の上端がほぼ同じ高さになる位置)に挿入された状態を示す。なお、整形部材6,6,7,7及び折り込み用外爪12,13は昇降しない。
【0032】
図4は、続いて折り込み用内爪8,9,10,11が集合状態から同時に略放射方向に水平移動して互いに離れ、所定位置に分散して停止し、略L字状部材5,5が鉛直下降して外装袋1内に挿入され、屈曲部5b,5bが袋詰め製品2の充填部2aの上端近傍に達した状態を示す。なお、折り込み用内爪8,9と折り込み用内爪10,11は、供給コンベア21の移送経路の中心線Coを通る鉛直面に対し対称的に配置され、かつ対称性を保って接離する。四方に分散した折り込み用内爪8,9,10,11は袋口内面の四隅に当接し、開口した袋口は内側から略放射方向に押され四角形状に緊張状態とされる。
【0033】
続いて、リテーナ移送部材22は供給コンベア21の移送経路に平行に、ロータリーコンベア23の供給位置Dに向けて水平移動を開始する。この水平移動の間、略L字状部材5,5、整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11、及び折り込み用外爪12,13は、リテーナ移送部材22に追従して共に水平移動する。
リテーナ移送部材22が前記供給位置Dに向けて水平移動する過程で、略L字状部材5,5がリテーナ移送部材22の移動方向に沿って、袋詰め製品2の中央付近(袋幅方向に垂直方向の中央付近)、すなわち非充填部2b近傍まで水平移動し、次いで図5に示すように、軸部5a,5aを中心として対称的に(供給コンベア21の移送経路の中心線Coを通る鉛直面を対称面として)略90度回動する。これにより、略L字状部材5,5の屈曲部5b,5bが水平面内で旋回し、袋詰め製品2の非充填部2bに当接し、次いで前記非充填部2bを一方向(この例ではリテーナ移送部材22の移動方向前方)に折り込む。袋詰め製品2の非充填部2bは、略L字状部材5,5の屈曲部5b,5bにより充填部2aの上面に平らに押し付けられた形となっている。
【0034】
続いて、図6に示すように、折り込み用外爪12,13が内向きに水平移動して互いに接近し、外装袋1の側部中央の折り込みライン1aに当接して内向きに押し込み、同時に、折り込み用内爪8と9、及び折り込み用内爪10と11が、リテーナ移送部材22の移動方向に対し平行に水平移動して互いに接近し、外装袋1の側部を折り込み偏平状に整形する。
【0035】
リテーナ移送部材22が水平移動する間、外装袋1の側部の折り込みが完了した時点で、図7に示すように、整形部材6,6と整形部材7,7が水平面内で回動して閉じ、外装袋1の袋口近傍の主として両側部の折り込まれた箇所を外側から水平に挟持し、偏平状に整形すると共にその偏平化した形状を保持する。続いて、略L字状部材5,5が軸部5a,5aを中心として対称的に略90度、先の回動とは逆方向に回動し、元の配置(屈曲部5b,5bの先端を所定間隔を置いて向き合わせ、供給コンベア21の移送経路に対し垂直な面内で対向配置された状態)に戻る。この操作により、袋詰め製品2の非充填部2bは、略L字状部材5,5の屈曲部5b,5bによる拘束から外れるが、外装袋1の袋口が偏平状に整形されたことにより前記外装袋1の内面で押さえられ、折り込まれた状態のままに保持される。
【0036】
次に折り込み用外爪12,13が外向きに水平移動して互いに離れる。これはリテーナ移送部材22がロータリーコンベア23の移送経路の供給位置Dに到達したとき、同位置において折り込み用外爪12,13がグリッパー18,18と干渉するのを避けるためである。また、略L字状部材5,5が上昇し、外装袋1の袋口から抜け出す。この間、左右のグリッパー18,18とリテーナ支持台19が前記供給位置Dに接近し、次いで前記供給位置Dに停止する。そのタイミングで、水平移動するリテーナ移送部材22が前記供給位置Dにさらに接近して、リテーナ支持台26がリテーナ移送部材22の前記空間22a内に進入し始める。
続いて、リテーナ移送部材22が前記供給位置Dに停止する。このときの状態を図8に示す。リテーナ支持台26が前記空間22a内に進入している。リテーナ移送部材22が前記供給位置Dに停止すると、直ちにグリッパー18,18が閉じ、外装袋1の偏平状に整形された袋口近傍の両側縁部を挟持する(図9参照)。なお、グリッパー18,18が挟持する位置は、整形部材6,6,7,7が挟んだ位置を外して、その上方位置である。また、袋口の折り込まれた箇所には折り込み用内爪8,9,10,11が入っているが、グリッパー18,18が挟持する箇所には、折り込み用内爪8,9,10,11の切り欠き8a,9a,10a,11aが位置しているため、グリッパー18,18が実際に挟持するのは外装袋1のみである。
【0037】
次いで、リテーナ移送部材22が前記供給位置Dで鉛直下降し、リテーナ3をリテーナ支持台26上に載置し、図9に示すように、さらに所定距離下降する。なお、リテーナ3の下降距離(リテーナ移送部材22が前記供給位置Dに停止した時点でのリテーナ3の底面とリテーナ支持台26の上面の高さの差)は、ごく僅かになるように設定されている。
【0038】
続いて図10に示すように、折り込み用内爪8,9及び折り込み用内爪10,11が内向きに水平移動して互いに接近し、側部の折り込み箇所から外れ、整形部材6,6及び整形部材7,7が開いて外装袋1を解放し、元の退避位置にくる。一方、リテーナ移送部材22は供給コンベア21の移送経路に平行に後退を開始する。
さらに図11に示すように、折り込み用内爪8,9,10,11が鉛直上昇し、外装袋1の袋口から抜け出す。これにより、外装袋1の袋口はより偏平状になっている。
【0039】
これ以降は、リテーナ移送部材22は、水平面内を供給コンベア21の移送経路に平行に後退し、前記移送経路の折り込み開始位置Cにおいて供給コンベア21の空間21a内に進入し、前記初期位置(図2参照)に復帰する。略L字状部材5,5、整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13も、水平面内を供給コンベア21の移送経路に平行に後退し、前記初期位置(図2参照)に復帰する。
【0040】
以上の例以外にも、例えば下記のように、本発明は種々の形態をとることができる。
(1)上記の例では、整形部材6,6,7,7が閉じて外装袋1の袋口を挟み、偏平状に保持した後も、略L字状部材5,5、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13は、リテーナ移送部材22及び整形部材6,6,7,7と共に、ロータリーコンベア23の移送経路の供給位置Dまで又はその近傍位置まで、外装袋1の内部に入ったまま又は外装袋1の袋口の折り込み箇所に挟まったまま移動したが、整形部材6,6,7,7が閉じて外装袋1の袋口を挟んだ後、すぐに外装袋1内から抜け出し又は外装袋1の前記折り込み箇所から外れてもよい。
【0041】
(2)上記の例では、整形及び移送に要する時間を短縮するため、リテーナ移送部材22の移動中に、略L字状部材5,5、整形部材6,6,7,7、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13が前記リテーナ移送部材22の移動に追従しつつ、折り込み及び整形作動を行ったが、例えば、供給コンベア21の移送経路の折り込み開始位置C又はその直上位置のみで、同様の折り込み及び整形作動を行うようにしてもよい。この場合、合わせて上記(1)の形態を採用することができる。
【0042】
(3)上記の例は特に外装袋1がガセット袋の場合に適用される形態であり、外装袋1の側部を折り込む必要があったため、袋口閉口手段は4つの折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13を備えていた。そして、折り込み用内爪8,9,10,11及び折り込み用外爪12,13は開口した外装袋1の袋口を偏平状に整形する作用を有し、整形部材6,6,7,7は、主として、偏平状に整形された前記袋口の形態を保持する作用を有していた。しかし、例えば平袋や自立袋のように、両側縁にサイドシールが形成されていて、側部の折り込みが必要でない袋を外装袋とした場合、袋口閉口手段はこれらの部材を備えている必要がなく、整形部材自体で開口した袋口を挟んで偏平状に整形し、かつその状態を保持することができる。
【0043】
上記の例では、外装袋1を当初からリテーナ3に収容し移送し、ロータリーコンベアにおいてグリッパー18,18により袋口近傍の両側縁部を挟持するようにしたが、リテーナ3を用いず、当初から外装袋の袋口近傍の両側縁部を左右のグリッパーで挟持し、該外装袋を移送することもできる。この場合、左右のグリッパーの間隔を広げることで、外装袋の袋口を偏平状に閉じることができるので、別途袋口閉口手段を設置する必要がない(左右のグリッパーが袋口閉口手段を兼ねる)。
【符号の説明】
【0044】
1 外装袋
2 袋詰め製品
2a 袋詰め製品の充填部
2b 袋詰め製品の非充填部
3 リテーナ
4 移送装置
5 略L字状部材
6,6,7,7 整形部材
8,9,10,11 折り込み用内爪
12,13 折り込み用外爪
18,18 左右のグリッパー
21 供給コンベア
22 リテーナ移送部材
23 ロータリーコンベア
26 リテーナ支持台
A〜K 移送経路の停止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が充填された袋詰め製品を収容した外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールする包装方法において、前記袋詰め製品は被包装物が充填された充填部と前記充填部の上に連なる非充填部からなり、前記非充填部はヘッドスペース部とシール部からなり、前記シール部の長手方向が前記外装袋の袋幅方向にほぼ一致するように前記外装袋内に収容されており、それぞれ略鉛直の軸部と略水平の屈曲部からなる左右一対の略L字状部材を、前記外装袋の開口した袋口から前記外装袋内に挿入して、前記袋詰め製品の非充填部の片側に配置し、前記略L字状部材を前記軸部を中心に回動させ、略水平面内で旋回する前記屈曲部を前記袋詰め製品の非充填部に当接させ次いで前記非充填部を反対側に折り込み、前記外装袋の袋口を偏平状に閉じ、これにより前記外装袋の内面で前記非充填部を押さえて折り込んだ状態に保持し、前記左右一対の略L字状部材を前記軸部を中心に回動させ、前記屈曲部を前記外装袋の袋幅方向に略平行とし、前記左右一対の略L字状部材を上昇させ、前記外装袋の袋口から上方に抜き出した後、前記外装袋の袋口をシールすることを特徴とする包装方法。
【請求項2】
前記左右一対の略L字状部材を前記外装袋の袋口から上方に抜き出した後、前記外装袋の袋口を偏平状に閉じた状態のまま、袋口近傍の両側縁部を左右のグリッパーで挟持し、前記左右のグリッパーの間隔を広げて袋口を緊張させ、緊張した袋口をシールすることを特徴とする請求項1に記載された包装方法。
【請求項3】
被包装物が充填された袋詰め製品を収容した外装袋の袋口を袋幅方向に沿ってシールする包装システムにおいて、前記袋詰め製品は被包装物が充填された充填部と前記充填部の上に連なる非充填部からなり、前記非充填部はヘッドスペース部とシール部からなり、前記シール部が前記外装袋の袋幅方向にほぼ一致するように前記外装袋内に収容されており、前記袋詰め製品を収容した外装袋を所定の移送経路に沿って間欠的に順次移送する移送装置と、前記移送経路上で前記外装袋内に収容された袋詰め製品の非充填部を折り込む左右一対の略L字状部材を有する折り込み装置と、前記移送経路上で前記外装袋の袋口を偏平状に閉じる袋口閉口装置と、前記移送経路上で前記外装袋の袋口をシールする一対の熱板を有する袋口シール装置を備え、前記略L字状部材は略鉛直の軸部と略水平の屈曲部からなり、前記外装袋に対し相対的に昇降し、上昇したとき前記外装袋の袋口より上方に位置し、下降したとき前記外装袋の袋口から前記外装袋内に入って前記袋詰め製品の非充填部の片側に位置し、さらに前記略L字状部材は下降した位置で前記軸部を中心に回動し、そのとき前記屈曲部は略水平面内で旋回して前記袋詰め製品の非充填部に当接し次いで前記非充填部を反対側に折り込み、前記外装袋の袋口が閉じた後回動して前記屈曲部を前記外装袋の袋幅方向に略平行とし、次いで上昇することを特徴とする包装システム。
【請求項4】
さらに前記移送経路上で前記外装袋の袋口近傍の両側縁部を挟持する左右のグリッパーを備え、前記左右のグリッパーは前記略L字状部材が上昇後に前記両側縁部を挟持し、次いで互いの間隔を広げて前記外装袋の袋口を緊張させ、前記袋口シール装置が前記外装袋の緊張した袋口をシールすることを特徴とする請求項3に記載された包装システム。
【請求項5】
前記外装袋がリテーナに収容され、前記移送装置が前記外装袋を収容したリテーナを移送するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載された包装システム。
【請求項6】
前記袋口閉口装置が前記外装袋の袋口近傍を両面から挟んで前記袋口近傍を偏平状に保持する整形部材を備え、前記整形部材は外装袋の幅方向両側に一対対向配置されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載された包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−86850(P2013−86850A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229590(P2011−229590)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】