説明

包装材のための縦シール装置

【課題】 種々異なる幅のフィルムについて、両側縁での縦シールを可能とすると共に、両側縁でのシール温度を適正に保つことを可能とする包装材のための縦シール装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 縦シールロール対11は開放側ロール対14と折返し側ロール対15の少なくとも一方のロール対がロール軸13上で軸線方向に設定位置を可変に支持され、ヒータ12は開放側ロールのための開放側ヒータ28と折返し側ロールのための折返し側ヒータ29とがそれぞれ対応するロールの軸線方向位置を含む範囲にわたり互いに独立して設けられ、対応する温度センサ22,23の出力信号にもとづき温度制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装材のための縦シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱シール可能な包装材としての帯状フィルムをその長手方向に搬送しながら、このフィルムを幅方向で折り返して重ね合せ、側縁を縦シールして筒状とし、内容物をこの筒状フィルム中へ充填し、これを上記長手方向で所定間隔で横シールすると共に切断して個々の包装体を作る装置は広く知られている。
【0003】
特許文献1では、重ね合されたフィルムをその開放側縁部を縦シールして筒状フィルムとする際に、上記開放側縁部のみならず折返し側縁部をも縦シールしている。したがって、縦シール装置は、上記開放側縁部と折返し側縁部に対応した間隔をもって二位置にヒートシール用ロール対を有している。この二位置におけるロール対は温度検出手段の検出温度にもとづき所定温度制御される。
【特許文献1】特開2002−321714
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装体の種類によって筒状フィルムの幅が変わるため、開放側縁部と折返し側縁部の距離も変わるので、これに対処するには、これら縁部に対応する二位置での縦シールのためのロール対同士の間隔もこれに追従して変える必要がある。ロールが軸に固定的に設けられているときには、異なる間隔でロールが設けられているものへと、軸ごと取り換えることとなる。これは、多種の包装体に対応させるには、きわめて不経済なので、一つの軸上の二つのロールのうち一方を軸線方向に可動として、設定位置、すなわち、二つのロールの間隔を可変とすることも行われている。これによって一つのロール軸であっても、複数種の間隔での縦シールを可能とする。
【0005】
しかしながら、かかるロール軸は、一方のロールが軸と一体的、すなわち一部材として作られ、他方のロールが軸に対してスライド移動により位置を可変としているためにロールと軸とは別部材として作られているので、両ロールは、軸の内部に収められたヒータからの熱伝導性が互に異なる。すなわち、一方のロールに対する熱伝導度に比し、他方のロールに対する熱伝導度はロールと軸との接触面の影響を受けて低いものとなる。さらには、一方のロールの位置が軸線方向で固定されているので熱伝導度は一定であるが、他方のロールは位置が変わるので、その位置により熱伝導度が変わってしまう。
【0006】
その結果、開放側縁部と折返し縁部での縦シールが同一状態でシールされないこととなる。これは、包装体のシールにとって好ましいことではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、軸上での間隔を可変とする二位置にヒートシール用ロール対を有し、上記間隔が変わっても両位置でのシール性を同一に保つことのできる包装材のための縦シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装材のための縦シール装置は、包装材としての帯状フィルムを長手方向に搬送し幅方向中間部で該長手方向に平行な折返し線で該帯状フィルムを折返して重ね合せ、重合せフィルムを開放側縁部と折返し側縁部とで縦シールするために、該開放側縁部と折返し側縁部のそれぞれにて重合せフィルムの両面側から該重合せフィルムを挟圧搬送しながら加熱シールする縦シールロール対と、該縦シールロール対の少なくとも一方のロールのロール軸内方に設けられたヒータと、該ロールの温度を検出するための温度センサと、該温度センサの出力信号にもとづいてロールの温度を所定温度に制御する制御手段とを有している。
【0009】
かかる縦シール装置において、本発明では、縦シールロール対は開放側ロール対と折返し側ロール対の少なくとも一方のロール対がロール軸上で軸線方向に設定位置を可変に支持され、ヒータは開放側ロールのための開放側ヒータと折返し側ロールのための折返し側ヒータとがそれぞれ対応するロールの軸線方向位置を含む範囲にわたり互いに独立して設けられ、対応する温度センサの出力信号にもとづき温度制御されることを特徴としている。
【0010】
このような構成の本発明装置では、フィルム幅が変更されても、開放側ロール対と折返し側ロール対の少なくとも一方をロール軸上で軸線方向に移動して、これらのロール対をフィルムの開放縁部と折返し縁部に適合した位置に設定でき、かつ、両ロール対の間で熱伝導度の差があっても、両者は別途に温度制御され、上記フィルム幅にもとづくロール対の移動があっても、これに係りなく、所定温度に制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように、軸上で二位置に設けられたヒートシール用ロールの少なくとも一方を可動として上記二位置の間隔を可変とすることにより、包装体の種類によってフィルムの幅が変わってもこれに対応できると共に、上記二位置のそれぞれにおけるロール対が独立して別個に温度制御されるので、可動側ロールに軸との間に接触面が存在しても、そしてその軸線方向位置が変わっても、二位置におけるシールは、それぞれに最適な温度で制御された状態でなされるという効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の縦シール装置を有する充填包装装置の要部を示す概要斜視図である。
【0014】
図1において、帯状フィルムFが下方に向け縦方向に搬送されている。該帯状フィルムFは、図示しない原反から引き出され、ピンチロール等により挟圧搬送されている。この帯状フィルムは、図示しない折込み板等により、該帯状フィルムの幅方向中央部で長手方向に沿う折返し線F1で二つ折りにされ、その内面同士が接面した状態の重合せフィルムF2となって下方へ送られる。この互に接面する内面は、熱溶着可能で、いわゆるヒートシール性を有する層をもっているか、もしくは、フィルム自体がヒートシール性を有している。
【0015】
図1において、下方には、重合せフィルムF2の両側縁部、すなわちフィルムの開放側縁部F3(図にて左側縁)と折返し側縁部F4(図にて右側縁)をフィルムの走行中に連続シールする縦シール装置10が設けられている。この縦シール装置10については、後に詳述する。さらに、その下方には、縦シールされて筒状となったフィルムを長手方向で所定間隔毎に横シールF5を行うシール突条21を周囲にもつ、回転せる一対のシールロール22で筒状フィルムを挟圧加熱する横シール装置30も設けられている。
【0016】
上記縦シール装置10により両側縁部が縦シールされて形成された筒状フィルムには、上方から上記横シール装置30の近くまで進入しているノズル(図示せず)により内容物が充填され、上記横シールF5によって内容物が区分され、さらに後にこの横シールF5の幅内でフィルムが切断されて、内容物が充填されている個々の包装体となる。
【0017】
このような帯状フィルムで筒状フィルムを形成し、これに内容物を充填した後に、横シールそして切断を行って包装体を得る装置自体は公知であり、これ以上は詳述しない。
【0018】
縦シール装置10は、回転せる一対のシールロール11から成っており、筒状フィルムF2をフィルムの両面側から挟圧加熱してフィルムを縦シールする。一対のシールロール11は少なくとも一方のシールロールが図2のごとく内部にヒータ12を有している。
【0019】
図2におけるシールロール11は、ロール軸13に一体に形成された開放側ロール14と、上記ロール軸13に対し軸線方向に設定位置を可変とする折返し側ロール15とを有している。上記開放側ロール14そして折返し側ロール15は、いずれも、外周に半径外方に突出して全周に延びる環状突部14A,15Aを有している。この環条突部14A,15Aがフィルムを直接圧接して加熱する部位を形成する。
【0020】
上記ロール軸13は、その両端側で充填包装装置本体(図示せず)に設けられたハウジング16,17に設けられた軸受18,19により回転自在に支持され一端側に設けられた駆動体(図示せず)により回転駆動を受ける。該ハウジング16,17にはシール部材20,21が設けられていて、上記軸受18,19をそれぞれ保護している。
【0021】
ロール軸13には、上記開放側ロール14に対して埋没された温度センサ22と、該ロール軸13が上記折返し側ロール15を支持する該ロール軸13の部分に埋没された温度センサ23とを有している。これらの温度センサ22,23は、例えば熱電対で形成され、それらの検出信号は近傍に設けられたそれぞれの伝達部24,25を介して、所定の制御回路(図示せず)に伝達されるように該制御回路に接続されている。
【0022】
上記開放側ロール14と折返し側ロール15のうち、該開放側ロール14はロール軸13と一体に形成されているので、軸方向で不動の定位置にあるが、折返し側15は軸方向の設定位置が変更可能である。この折返し側ロール15は、ロール軸13への固定ねじ等による固定力を解除した状態で、このロール軸13上でスライド移動でき、所望の軸方向位置で上記固定ねじ等により位置が設定されるようになっている。
【0023】
上記ロール軸13は一端側(図示の例では左端側)が開口した中空孔26が軸線方向に長く形成されている。この中空孔26は、軸線方向にて、上記開放側ロール14の位置から折返し側ロール15の最右端移動位置までの範囲を十分に含む長さとして形成されている。そして、上記範囲に及ぶようにヒータ12がこの中空孔26内に挿入配置されている。
【0024】
上記ヒータ12は、図3に見られるように、伝達チューブ27内に二つの発熱体28,29を有している。一方(図では左方)の発熱体28は、該ヒータ12がロール軸13の所定位置に設置された際に、軸線方向で、開放側ロール14の位置を含む範囲に及んでいる。これに対し、他方(図では右方)の発熱体29は、折返し側ロール15の可動範囲、すなわち、移動する最右端位置から最左端位置まで、例えば、図2で折返し側ロール15が実線で描かれた位置から一点鎖線で描かれた位置までの範囲に及ぶように、その長さが設定されている。上記二つの発熱体28,29は、ケーブル28A,29Aにより上記制御回路に接続されていて、これらの発熱体28,29のそれぞれに対応する温度センサ22,23の検出信号にもとづき、上記制御回路により、互に独立して制御される。
【0025】
このように構成される本実施形態においては、上記縦シールロール11は、図1における重合せフィルムF2の幅寸法に適合させて用いられる。フィルムにより上記重合せフィルムF2の幅が決定されると、上記折返し側ロール15のロール軸13への固定ねじ等の固定を解除して該折返し側ロール15を上記ロール軸13上でスライド移動させて、開放側ロール14と上記折返し側ロール15の距離を上記重合せフィルムF2の幅と一致せしめ、ここで折返し側ロール15を固定ねじ等によりロール軸13へ固定する。
【0026】
重合せフィルムF2の開放側縁部F3と折返し側縁部F4とは、独立して温度制御される開放側ロール14と折返し側ロール15とにより、それぞれ加熱され縦シールされる。
【0027】
開放側ロール14と折返し側ロール15とでは、対応する発熱体28,29からの熱の熱伝導度が異なる。先ず、開放側ロール14がロール軸13と一体なのに対し、折返し側ロール15はロール軸13との間に接触面を有しているので、ロール軸13からの熱伝導度は開放側ロール14よりも低くなる。
【0028】
これに加え、シールロール11は、両軸端側で放熱量が中間部での放熱量よりも大きいこと、さらには、軸線方向で形状が左右非対称であることに加え、折返し側ロール15が軸方向で位置が変更されることに起因して、発熱量と放熱量のバランスが軸方向位置で異なるし左右で対称にならない。したがって、シールロール11は軸方向での温度分布が複雑に変ってくる。
【0029】
このような状況で、折返し側ロール15は開放側ロール14とは一緒に温度制御せずに、それらの温度センサ22,23にもとづいて独立して制御される。その場合、折返し側ロール15は、その所定温度に対する軸線方向位置と検出温度との関係を考慮の上、温度制御される。
【0030】
本実施形態において、折返し側ロール15のための温度センサ23を折返し側ロール15に直接設けることとすれば、上記のごとくの熱放散による影響を考慮しなくともよい。しかし、この場合は、温度センサ23とそのための伝達部25との接続を可撓性のある部材で行って、折返し側ロール15の軸方向移動に追従できるようにしなくてはならない。
【0031】
本実施形態装置は、横シール装置30の形式によって、連続走行するフィルムに対しても、あるいは走行が間欠停止するフィルムに対しても適用可能である。
【0032】
又、重合せフィルムの折返し縁に縦シールすることが不要な場合には、上記折返し側ロール15のための発熱部29への電力供給を遮断すればよい。
【0033】
さらに、本実施形態では、開放側ロールをロール軸と一体として軸線方向に不動とし、折返し側ロールを可動としたが、これを逆の関係としても、あるいは両者を可動としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明装置が使用される充填包装装置の要部を示す概要斜視図である。
【図2】図1装置に用いられる縦シールロールの軸線方向での断面図である。
【図3】図2のロールに用いられるヒータの軸線方向での断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 縦シールロール(対)
12 ヒータ
13 ロール軸
14 開放側ロール(対)14
15 折返し側ロール(対)15
22 温度センサ
23 温度センサ
28 開放側ヒータ(発熱体)
29 折返し側ヒータ(発熱体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材としての帯状フィルムを長手方向に搬送し幅方向中間部で該長手方向に平行な折返し線で該帯状フィルムを折返して重ね合せ、重合せフィルムを開放側縁部と折返し側縁部とで縦シールするために、該開放側縁部と折返し側縁部のそれぞれにて重合せフィルムの両面側から該重合せフィルムを挟圧搬送しながら加熱シールする縦シールロール対と、該縦シールロール対の少なくとも一方のロールのロール軸内方に設けられたヒータと、該ロールの温度を検出するための温度センサと、該温度センサの出力信号にもとづいてロールの温度を所定温度に制御する制御手段とを有する縦シール装置において、縦シールロール対は開放側ロール対と折返し側ロール対の少なくとも一方のロール対がロール軸上で軸線方向に設定位置を可変に支持され、ヒータは開放側ロールのための開放側ヒータと折返し側ロールのための折返し側ヒータとがそれぞれ対応するロールの軸線方向位置を含む範囲にわたり互いに独立して設けられ、対応する温度センサの出力信号にもとづき温度制御されることを特徴とする包装材のための縦シール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−312472(P2006−312472A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135467(P2005−135467)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】