説明

包装材料と該包装材料を用いた包装袋

【課題】外側からは内容物の確認はできるが、ユニークナンバー等の隠蔽情報は確認することができず、包装袋を開封してはじめて隠蔽情報を認識することができる。
【解決手段】基材フィルム(11)とシーラント層(12)の間に印刷層(13)が設けられた包装材料(10)において、印刷層が基材フィルム側より、文字・絵柄層(14)、下地層(15)、隠蔽層(16)、印字下地層(17)、印字層(18)が順次設けられた構成からなる。下地層(15)は全面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料と該包装材料を用いた包装袋に関するものであり、特には、文字・絵柄の隠蔽機能を有する包装材料と該包装材料を用いた、容易、かつ、良好な開封性を付与された包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子、冷凍食品、アイス等の食料品、電池、洗剤等多くの商品で販売促進のためのキャンペーンが行われている。このキャンペーンの媒体の一つとして中身を包装する袋等の包装体が用いられる。
【0003】
そして、あらかじめ包装材料に、あたり、はずれ等に相当する文字、記号や絵柄等の情報を隠蔽層により隠蔽しておき、表側からは視認不可能だが裏側からは視認可能となるようにした包装材料が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】実開昭61−146236号公報。
【0005】
しかしこれらの技術では、印字等の情報を隠蔽するために、印字の上の部分のみに隠蔽層を設けており、また、隠蔽層は印字等の情報が透けないように黒色が使用されている。黒色なのでほかの表面の商品情報等の印刷に比較すると目立つとともに、デザイン的にもマイナスになるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、文字・絵柄の隠蔽機能を有する包装材料と該包装材料を用いた包装袋に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、外側から内容物を確認することができるが、ユニークナンバー等の隠蔽情報は外側からは視認できず、包装袋を開封して初めて隠蔽情報を認識することができるようにした包装材料と該包装材料を用いた包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の発明は、基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、前記印刷層が基材フィルム側より、文字・絵柄層、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられていることを特徴とする包装材料である。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、前記印刷層が基材フィルム側より、文字・絵柄層、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられているので、隠蔽情報が印刷された印字層は、印字下地層、隠蔽層、下地層、文字・絵柄層にそれぞれ重ね刷りされており、基材フィルム側からは視認することができない。
【0009】
また、請求項2の発明は、基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、前記印刷層が基材フィルム側より、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられた構成からなり、基材フィルムの外側に文字・絵柄からなる第2印刷層が設けられていることを特徴とする包装材料である。
【0010】
このように請求項2記載の発明によれば、基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、前記印刷層が基材フィルム側より、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられた構成からなり、基材フィルムの外側に文字・絵柄からなる第2印刷層が設けられているので、隠蔽情報が印刷された印字層は、印字下地層、隠蔽層、下地層に重ね刷りされ、さらに基材フィルムを介して第2印刷層が重ねられており、基材フィルム側からは印字層を認識することができない。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記下地層が基材フィルムの全面に設けられていることを特徴とする包装材料である。
【0012】
このように請求項3の発明によれば下地層が基材フィルムの全面に設けられているので、どのような形状の包装形態にしても表側から印字層が全く認識されることがない。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記下地層は白色であることを特徴とする包装材料である。
【0014】
このように請求項4の発明によれば、下地層が白色であるので、例えば、隠蔽層を黒色とし、印字下地層を白色とし、印字層をユニークナンバー等とすれば、基材フィルム側から見たとき、印字層は白色の印字下地層、黒色の隠蔽層、下地層の白色に重ね刷りされており、印字層を視認することはできない。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の発明において、前記印字下地層は白色であることを特徴とする包装材料である。
【0016】
このように請求項5の発明によれば、印字下地層が白色であるので、基材フィルム側から見たとき印字が見やすくなる。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の包装材料を用いて製袋した包装袋である。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明の文字・絵柄の隠蔽機能を有する包装材料を用いて作製した種々の形態からなる包装袋は、冷凍食品、アイス、その他の食品、あるいは一般雑貨等の包装袋として使用でき、消費者が包装袋の外側から内容物を確認することができるが、ユニークナンバー等の識別文字からなる隠蔽情報を外側から透かして見ることができず、包装袋を開封することにより初めて隠蔽情報を認識することができる。
【0019】
また、隠蔽情報がQRコード等の二次元バーコード、ユニークナンバーとURL等の場合、携帯電話等に読み込めば容易に懸賞に応募することができ、不正して応募することを防止し、「あたり」、「はずれ」の結果を瞬時に知ることができる。
【0020】
隠蔽層を基材フィルムの全域に設けることでどのような袋形態にしても表面側から印字層を認識することはない。さらに、隠蔽層の上に下地層を設けることで、表側から隠蔽層が見えないため美粧性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の包装材料(10)は、例えば、図1に示すように、基材フィルム(11)とシーラント層(12)の間に印刷層(13)が設けられた包装材料に関するもので、前記印刷層(13)が基材フィルム側より、文字・絵柄層(14)、下地層(15)、隠蔽層(1
6)、印字下地層(17)、印字層(18)が順次設けられた構成からなるものである。
【0022】
基材フィルム(11)としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネイト系樹脂、フッ素系樹脂、ビニロン、セロファン等の合成樹脂を主体とする各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
【0023】
また、基材フィルム(11)として、一軸ないし二軸延伸されたポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなどの延伸フィルム上に、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nmの厚さに設けた無機化合物蒸着プラスチックフィルムを使用することもできる。さらにアルミニウム箔を使用することもできる。
【0024】
シーラント層(12)としては、熱により溶融し互いに熱融着し得るものであれば良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することができる。また、厚さとしては15〜70μm程度が好ましい。
【0025】
つぎに印刷層(13)を構成する各層を説明する。
先ず、文字・絵柄層(14)は、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他の表示のために設ける、文字、絵柄、記号、図形等の任意の柄の印刷層で、基材フィルム(11)の裏面に設けるものである。
【0026】
文字・絵柄層(14)を基材フィルム(11)の裏面に設けることにより、文字・絵柄層の上にフィルム層が形成され、印刷層が保護されるので、衛生性に優れ、また、擦れ等によるインキ剥がれがないという利点を有する。また、通常は基材フィルムに部分的に設けることが多いが、基材フィルムの全面に設けることもできる。
【0027】
文字・絵柄層(14)は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他の通常の印刷方法により形成させることができる。
【0028】
下地層(15)は、基材フィルムに設けられた文字・絵柄層(14)の上に、文字・絵柄層(14)を際だたせると共に、後記する隠蔽層(16)の、例えば、黒色を隠す(薄くする)ために設ける層で、従来と同じ範囲(隠蔽層を覆う程度)に設けても良いが、基材フィルム(11)の全面に設けることにより、該包装材料を包装袋に仕上げた時、シール部分から後記する印字層(18)を視認できなくする効果がある。
【0029】
下地層(15)は、文字・絵柄層(14)同様に、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他の通常の印刷方法により形成させることができ、白色が特に有効である。
【0030】
隠蔽層(16)は、後記するユニークナンバー等の印字層(18)に設けられた隠蔽情報を視認することができなければ制限されず、例えば、通常のインキ組成物を使用してグラビア印刷、オフセット印刷、または、フレキソ印刷等の通常の印刷方法等により形成させることができ、黒色が有効である。隠蔽層(16)の絵柄は、格子模様、幾何学模様、全面ベタ等任意である。
【0031】
そして隠蔽性を向上させるために黒色インキを重ね刷りしても良い。
印刷インキに用いる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒等の無機顔料が使用でき、また、バインダーとしては、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等を、これら樹脂の単体または混合物として用いることができる。
【0032】
印字下地層(17)は隠蔽層(16)の上に設けて、後記する印字層(18)を際だたせる層で、印字適性を持たせた層であれば良く、下地層(15)と同様に、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、クレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他の通常の印刷方法により形成させることができ、特に白色が好ましく使用できる。なお、印字下地の周囲に同じインキで文字や枠を設けても良い。
【0033】
印字層(18)は、外側からは視認不可能な隠蔽情報層で、ユニークナンバー、シリアルナンバー等の数字、文字等の隠蔽情報を印字する層で、例えば、インキジェット方式の印字記録方式を用いて形成される。なお、隠蔽情報はQRコード等の二次元バーコードを含むものである。
【0034】
このインキジェット方式は、記録用インキを微細な圧電素子の圧力、あるいは発熱抵抗体素子の加熱によって発生するエアーによってノズルから噴出し、受像層に付着させることにより記録を行う方式である。
【0035】
このようなバインダーとしては、従来、インキジェット用インキとして用いられている公知のものを使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂、天然樹脂、ワックス、ゴム類、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、高級脂肪酸エステルを含む脂肪酸エステル、アミド類、ラクトン類、脂肪族アルコール類等が用いられる。
また、色材としては、従来、インキジェット用インキとして用いられている公知のものを使用することができる。例えば、カーボンブラック等である。
【0036】
こうして作製した文字・絵柄層(14)、下地層(15)、隠蔽層(16)、印字下地層(17)、印字層(18)からなる印刷層(13)を形成させた基材フィルム(11)をシーラント層(12)と貼り合わせ、本発明の文字・絵柄の隠蔽機能を有する包装材料(10)とするには、一般的に公知の貼り合わせ方法を用いて貼り合わせれば良い。
【0037】
例えば、基材フィルム(11)の印刷層面とシーラント層(12)面を対向させ、ラミネート用接着剤を介して基材フィルム(11)とシーラント層(12)を積層するドライラミネート法、あるいは、基材フィルム(11)の印刷層面に、溶融押し出し接着性樹脂によるシーラント層(12)となる溶融押し出し樹脂層を積層する押し出しラミネート法等で貼り合わせることができる。
【0038】
なお、上述の貼りあわせを行う場合、必要であれば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理、その他の前処理を施して貼り合わせを行うことができる。
【0039】
貼りあわせた包装材料(10)は、その内側となるシーラント層(12)面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、さらにその外周の周辺縁部を、例えば、側面シール、二方シール、三方シール、四方シール、封筒貼りシール、合掌貼りシール、平底シール、角底シール、その他のヒートシール形態によりヒートシールして本発明にかかる種々の包装袋を作製することができる。例えば、図示したピロー状三方シール袋のほかに、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、口栓付きパウチ等である(図3参照)。
【0040】
基材フィルム(11)として透明性に劣る基材、例えば、無機化合物蒸着プラスチックフィルムやアルミニウム箔を選択した場合には、図1に示すような、基材フィルム(11)とシーラント層(12)との間に印刷層(13)が設けられた包装材料に関するもので、前記印刷層(13)が基材フィルム側より、文字絵柄層(14)、下地層(15)、隠蔽層(16)、印字下地層(17)、印字層(18)が順次設けられ、基材フィルム(11)の外側には文字・絵柄からなる第2印刷層(19)が設けられた構成からなる包装材料とすることができる。
【0041】
無機化合物蒸着プラスチックフィルムやアルミニウム箔を基材フィルム(11)とした場合には、無機化合物蒸着プラスチックフィルムやアルミニウム箔が下地層(15)と
隠蔽層(16)を兼ねることができ、下地層(15)と隠蔽層(16)を除いた構成とすることもできる(図2参照)。
【0042】
第2印刷層(19)は、文字・絵柄層(14)と同様に、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他の表示のために設ける、文字、絵柄、記号、図形等の任意の柄の印刷層であるが、基材フィルム(11)の表面に設けるものである。性質その他は文字・絵柄層(14)と同様であるので省略する。
【0043】
このようにして作製した本発明の包装材料を用いて作製した種々の形態からなる包装袋は、冷凍食品、アイス、その他の食品、あるいは一般雑貨等の包装袋として使用でき、消費者が包装袋の外側から内容物を確認することができるが、ユニークナンバー等の識別文字からなる隠蔽情報を外側から透かして見ることができず、包装袋を開封することにより初めて隠蔽情報を認識することができる。
また、隠蔽情報がQRコード等の二次元バーコードの場合、携帯電話等に読み込むことにより容易に懸賞に応募することができ、不正して応募することを防止し、「あたり」、「はずれ」の結果を瞬時に知ることができる(図3,図4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の包装材料の一実施例を示す断面説明図である。
【図2】本発明の包装材料の別の実施例を示す断面説明図である。
【図3】本発明の包装材料を用いて製袋した包装袋の一実施例を示す、外側から見た平面説明図である。
【図4】図3の包装袋を開封後、内側面から印刷層を拡大して見た平面説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1‥‥包装袋
10‥‥包装材料
11‥‥基材フィルム
12‥‥シーラント層
13‥‥印刷層
14‥‥文字・絵柄層
15‥‥下地層
16‥‥隠蔽層
17‥‥印字下地層
18‥‥印字層
19‥‥第2印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、
前記印刷層が基材フィルム側より、文字・絵柄層、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられていることを特徴とする包装材料。
【請求項2】
基材フィルムとシーラント層との間に印刷層が設けられた包装材料であって、
前記印刷層が基材フィルム側より、下地層、隠蔽層、印字下地層、印字層が順次設けられた構成からなり、基材フィルムの外側に文字・絵柄からなる第2印刷層が設けられていることを特徴とする包装材料。
【請求項3】
前記下地層が基材フィルムの全面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の包装材料。
【請求項4】
前記下地層は白色であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の包装材料。
【請求項5】
前記印字下地層は白色であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の包装材料。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の包装材料を用いて製袋した包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−107692(P2009−107692A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283352(P2007−283352)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】