説明

包装材

【課題】 段ボール箱にある手掛け穴の破損防止を単純な形状の段ボールシートを用いて、低コストで実現可能にする包装材を提供する。
【解決手段】 被包装体Pと、該被包装体Pを保護する緩衝材6、7と、該緩衝材6、7を介して被包装体Pを収納する底板部4、側板部2、天板部3を有する箱状の段ボール箱1と、を備え、段ボール箱1の側板部2の一部である側板1aには、手先を挿入する手掛け穴5が設けられ、一方、手掛け穴5と同様に手先を挿入する補助手掛け穴9が形成される板状の段ボールシート8を含み、該段ボールシート8の補助手掛け穴9を、段ボール箱1の手掛け穴5に対して重ねて配設するように、当該段ボールシート8を緩衝材6、7に形成される嵌合部10に嵌めこんで位置固定させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、ファクシミリ、プリンタなどの被包装体を包装するために用いられる包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
A式の段ボール箱で、その箱内にコの字状に折り曲げられる手掛け穴付きの段ボールシートをセットさせ、段ボール箱の底面及び手掛け穴のある側面に関し、コの字の段ボールシートが重なる構造の包装材が知られている。(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−230962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような包装材は、コの字状に折り曲げた段ボールシートを「側面−底面−側面」で2重になるように設置され、コの字状に折り曲げられた段ボールシートの側面には手掛け穴があり、外箱にある手掛け穴と一致させて、コの字状の段ボールシートと外箱の側面シートが重なることで手掛け穴部分が補強されるようになっているため、コの字状に折り曲げられた段ボールシート自体が長いサイズになっており、材料費が多くなってコスト高となる問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、段ボール箱にある手掛け穴の破損防止を単純な形状の段ボールシートを用いて、低コストで実現可能にする包装材を提供する。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の包装材は、被包装体を保護する緩衝材と、該緩衝材を介して前記被包装体を収納すべき、底板部、側板部、天板部を有する箱状の段ボール箱と、を備え、前記段ボール箱の側板部の一部である側板には、手先を挿入する手掛け穴が設けられ、一方、前記手掛け穴と同様に手先を挿入する補助手掛け穴が形成された板状の段ボールシートが前記段ボール箱の側板部の内側に沿うように設けられ、前記段ボールシートの補助手掛け穴を、前記段ボール箱の手掛け穴に対して重ねて配設するように、当該段ボールシートを前記緩衝材に形成される嵌合部に嵌めこんで位置を固定させることを特徴とすることにより、段ボール箱の手掛け穴の位置に手掛け穴補強用の単純な形状の段ボールシートを接着剤、テープ等の副資材を使用することなく、緩衝材の嵌合部に嵌めこむだけで位置固定が可能となるため、低コストとなり、しかも単純な組み立てとなるため、組立性が向上する。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートは、前記段ボール箱の側板部の一部である側板より小さく形成され、この段ボールシートを前記段ボール箱の側板の手掛け穴の周りを囲む所定の周面領域に、重なるようにして位置を固定させることを特徴とすることにより、段ボール箱の手掛け穴の位置付近にのみ手掛け穴補強用の単純な形状の段ボールシートをあてがうことができるため、段ボールシートを必要最小限の大きさで使用することができ、低コストで段ボール箱の手掛け穴を補強することができる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートの上下長さが前記段ボール箱の内寸高さと同一であることを特徴とすることにより、手掛け穴補強用の単純な段ボールシートの上下方向の長さが段ボール箱の内寸法高さと同じになることで段ボール箱の手掛け穴を持って段ボール箱を持ち上げた時、手掛け穴補強用の単純な段ボールシートが段ボール箱の天井部と突き当たり、ストッパの役目を果たすため、手掛け穴にかかる負荷が抑えられ段ボール箱の手掛け穴を補強することができる。また、手掛け穴補強用の単純な段ボールシートの上下方向の長さが段ボール箱の内寸法高さと同じになることで、外箱の上部からかかる負荷に対する支えとなるため、外箱の耐圧強度を高めることができる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記段ボール箱の手掛け穴と前記段ボールシートの補助手掛け穴のいずれか一方、若しくは両方は、貫通穴と、該貫通穴と一部が連続して折り曲げ可能な舌片とからなることを特徴とすることにより、段ボール箱の手掛け穴の舌片を箱内部に折り曲げる際、段ボールシートに設けてある補助手掛け穴と手掛け穴とが重なっていることで、折り曲げに対し抵抗になるものがないため、外箱の手掛け穴を容易に折り曲げることができる。また、段ボールシートの補助手掛け穴にも舌片を形成すれば、舌片が2重に箱内部へ折り重なることになり、よりいっそう段ボール箱の手掛け穴を補強することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記緩衝材の嵌合部は、段ボールシートが嵌り込むように凹状に形成されることを特徴とすることにより、段ボールシートは緩衝材にその段ボールシートを位置固定可能な凹状部分と合致するため、段ボール箱の手掛け穴のある位置に確実に位置固定することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記段ボールシートは複数枚重ねて設けられることを特徴とすることにより、手掛け穴補強用の単純な形状の段ボールシートが複数枚重ねて配置できることで、1枚を配置した場合よりも手掛け穴にかかる負荷を分散して支えることができるため、段ボール箱の手掛け穴にかかる負荷をよりいっそう抑えることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記段ボール箱の側板部の側板は4枚からなり、各々の側板に前記手掛け穴が設けられ、前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートが前記手掛け穴に各々配設されることを特徴とすることにより、段ボールシートが段ボール箱の4側面にある手掛け穴の全てに対し配置できるため、各々の段ボール箱の側面に配設されている手掛け穴を補強することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記段ボール箱の一つの側板には、複数の前記手掛け穴が設けられ、前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートが前記複数の手掛け穴に各々配設されることを特徴とすることにより、段ボール箱の1側面に複数個の手掛け穴が配設されている場合、補強用の単純な形状の段ボールシートを各々の手掛け穴1個づつに対応して配置できるため、1枚の段ボールシートで複数個の手掛け穴を設けた補強用の段ボールシートと比較し部品サイズを小さくでき、部品単体の材料使用量を少なくできるため部品単価を低減させることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートは各々が同一サイズ、同一の手掛け穴位置となっていることを特徴とすることにより、段ボール箱の側面に複数個の手掛け穴が配設されている場合に個々の手掛け穴を補強する際、段ボールシートがそれぞれ同一形状(同じ部品)であるため、同一部品の使用数量が多くなり、当該部品の生産数量が多くなる効果により部品単価を抑えることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の包装材における前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートの下端を前記緩衝材の嵌合部に当接させるとともに、その上端を段ボール箱の天板部の内面に当接させて位置規制させることを特徴とすることにより、段ボールシートの上下長さが段ボール箱の内寸法高さと同一のものと比較し、緩衝材の上に載せて位置固定するため段ボールシートの下部長さを短くすることができ、部品単体での材料使用量を少なくすることができるため部品単価を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る包装材の基本形態を示す分解構成図である。図1において包装材は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの被包装体Pを包装するために用いられる。被包装体Pは最大寸法としての所定の高さ寸法H、長さ寸法L、幅寸法Wを持ち、一般的なA式の段ボール箱1に収納されて包装される。
【0017】
段ボール箱1は垂直上下に直立する4つの側面とその側面の上下にフラップを備えている。換言すれば、連続した4枚の側板1aの一端部と他端部とを連結することにより枠状に形成された側板部2と、該側板部2を形成する4枚の側板1aの一側縁1a1に設けられた上部フラップ1bが折り畳まれ結合されて形成される天板部3と、側板部2を形成する4枚の側板1aの他側縁1a2に設けられた下部フラップ1cが折り畳まれ結合されて形成される底板部4によってA式の段ボール箱1を構成している。
【0018】
段ボール箱1の側板部2における一方側で対向する一組の側板1aには、手掛け穴5が設けられている。この手掛け穴5は、打ち抜き用のミシン目5aと折り曲げ用の折目5bによって、手先が挿入可能な貫通穴5cと、該貫通穴5cと一部が連続して折り曲げ可能な舌片5dが形成される。
【0019】
また、被包装体Pを緩衝材としての下部緩衝材6と上部緩衝材7にて梱包保護している。この緩衝材は、発泡スチロールなどによって成形され、被包装体Pと段ボール箱1の天板部3、底板部4、側板部2の内面との間に介装される。
【0020】
即ち、下部緩衝材6として、段ボール箱1の底板部4の内面と、この内面と連続する三方に位置する側板部2の下方側の内面に当接する接触面6aを備えるように角柱状に下部本体6bが形成されている。この下部本体6bには、当該下部緩衝材6どうしが対向するようにして、段ボール箱1内の下方に配置した状態で、被包装体Pの一側方の下方角部P1側が嵌り込むように載置凹部6cが形成されている。
【0021】
また、上部緩衝材7は、下部緩衝材6と同様に段ボール箱1の天板部3の内面と、この内面と連続する三方に位置する側板部2の上方側の内面に当接する接触面7aを備えるように角柱状に上部本体7bが形成されている。そして、下部緩衝材6によって保持されている被包装体Pの一側方の上方角部P2側が嵌りこむ被冠凹部7cが形成されている。
【0022】
手掛け穴5が形成される側板部2における一部の側板1a内面には、手掛け穴5と同様に手先を挿入する補助手掛け穴9が形成される補強板部材としての板状の段ボールシート8が沿うように配設されている。この配設状態は、段ボールシート8の補助手掛け穴9を、段ボール箱1の手掛け穴5に対して重ねるようにして配設している。また、段ボールシート8は緩衝材に形成される嵌合部10に嵌めこんで位置を固定させている。
【0023】
また、補助手掛け穴9を有する段ボールシート8は、段ボール箱1の側板部2の一部である手掛け穴5を有する側板1aの内面領域より小さく形成され、この段ボールシート8を当該側板1aの手掛け穴5の周りを囲む所定の周面領域Sに、接触させて重なるようにして位置を固定させることができる。
【0024】
また、補助手掛け穴9も手掛け穴5と同様に、打ち抜き用のミシン目9aと折り曲げ用の折目9bによって、手先が挿入可能な貫通穴9cと、該貫通穴9cと一部が連続して折り曲げ可能な舌片9dを形成してもよい。
【0025】
また、段ボールシート8を位置固定させる嵌合部10は、緩衝材としての下部緩衝材6、上部緩衝材7に形成される。即ち、嵌合部10としての下部嵌合部16は、下部緩衝材6が被包装体Pを保持するように段ボール箱1内に配置される状態において、側板部2における手掛け穴5が形成される側板1a内面に接触する接触面6a(下部本体6b)に形成されている。具体的には、板状の段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させて、所定の溝幅WMと溝深さDMを備えさせ、下部本体6bの接触面6aの上下方向にわたって断面コ字状の溝形態となした凹状に形成されている。
【0026】
また、上部緩衝材7にも下部緩衝材6と同様の形態の嵌合部10としての上部嵌合部17が形成される。これら上下に配設される上部緩衝材7の上部嵌合部17と下部緩衝材6の下部嵌合部16の両者によって、板状の段ボールシート8が位置固定されている。この位置固定状態にあっては、図2に示すように、段ボールシート8と嵌合部10(上部嵌合部17、下部嵌合部16)とが所定のスペースでもって嵌合されているため、段ボールシート8の板幅WD方向、板厚TD方向は、図2および図3に示すように、白矢印A方向を規制した状態で固定されるのである。
【0027】
また、図4および図5に示すように、段ボール箱1の手掛け穴5の舌片5dは、段ボールシート8の補助手掛け穴9の上辺と突き当たるよう矢印B方向へ折り曲げ可能となっている。このように舌片5dを折り曲げることにより、図6に示すように、黒矢印C方向へ段ボール箱1を持ち上げる場合、段ボールシート8を介し白矢印Eの部分で負荷を受け止めるため手掛け穴5にかかる負荷が低減され、破れ難くなる。また、黒矢印D方向へ引く場合、段ボールシート8を介し段ボール箱1の内側面(白矢印F)にて負荷を受けとめるため、手掛け穴5に掛かる負担が軽減され破れ難くなる。
【0028】
また、図7に示すように、段ボールシート8の補助手掛け穴9の舌片9dと手掛け穴5の舌片5dを折り曲げることにより、黒矢印G及び黒矢印Hの方向に段ボール箱1を持ち上げたり、引いた場合、白矢印J及び白矢印Kで負荷を受け止めるため手掛け穴5に掛かる負荷は低減され、破れ難くなる。
【0029】
また、図3に示すように、手掛け穴補強用の段ボールシート8は、その上下長さを、段ボール箱1の内寸法高さh1と同一か、若しくは若干短くすることもできる。この構成によって、段ボールシート8の上端8aおよび下端8bが段ボール箱1の底板部4と天板部3の内面で挟まれることによって上下位置が固定される。
【0030】
また、図8に示すように、補助手掛け穴9を有する段ボールシート8を複数枚(本例では2枚)を重ねて配設することも可能である。図8において、嵌合部10(上部嵌合部17、下部嵌合部16)は、段ボールシート8の2枚分の板厚TDに対して所定のスペースを具有させるように所定の溝深さDMで形成されている。
【0031】
また、このように構成される包装材は、図9に示すように、段ボールシート8が1枚で構成されている状態と比較し、黒矢印方向(上方、水平)へ持ち上げたり、引いたりしても手掛け穴5に掛かる負担はよりいっそう軽減される。
【0032】
また、図10に示すように、段ボール箱1の側板部2における4枚の側板1aに、手掛け穴5を各々設けることもできる。そして、手掛け穴5に対応して、補助手掛け穴9を有する段ボールシート8が各々配設される。この段ボールシート8を固定するために、図11、図12に示すように、上部緩衝材7、下部緩衝材6には、第一上部嵌合部17、第一下部嵌合部16に加えて嵌合部10としての第二上部嵌合部17a、第二下部嵌合部16aが設けられている。この第二上部嵌合部17a、第二下部嵌合部16aは、第一上部嵌合部17、第一下部嵌合部16と同様に、段ボールシート8の板幅WD方向、板厚TD方向を規制した状態で固定するように、段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させるように形成されている。
【0033】
即ち、図12に示すように、第二上部嵌合部17aは、上部緩衝材7が被包装体Pを保持するように、上部緩衝材7どうしが対向するようにして段ボール箱1内に配置される状態において、上部緩衝材7の上部本体7bにおける段ボール箱1の側板1aの内面と接触する接触面7dに形成されている。具体的には、板状の段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させるように、所定の切欠深さDDと切欠幅WD、対向間隔X(段ボールシート8の板幅WDに相当)を備えさせるように、上部本体7bの接触面7d角側の上下方向にわたって断面L字状に切欠き形成されている。
【0034】
また、下部緩衝材6にも上部緩衝材7と同様の形態の嵌合部10としての第二下部嵌合部16aが形成される。この第二下部嵌合部16aは、下部緩衝材6が被包装体Pを保持するように、下部緩衝材6どうしが対向するようにして段ボール箱1内に配置される状態において、下部緩衝材6の下部本体6bにおける段ボール箱1の側板1aの内面と接触する接触面6dに形成されている。具体的には、板状の段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させるように、所定の切欠深さDDと切欠幅WD、対向間隔X(段ボールシート8の板幅WDに相当)を備えさせるように、下部本体6bの接触面6dの角側の上下方向にわたって断面L字状に切欠き形成されている。
【0035】
また、図13に示すように、段ボール箱1の一つの側板1aに複数の手掛け穴5(本例では2箇所)を備えており、補助手掛け穴9を有する段ボールシート81が2箇所の手掛け穴5に各々配設されるように設けることもできる(図15参照)。
【0036】
また、このように2枚の段ボールシート81を位置固定させる嵌合部10は、図14、図15に示すように、緩衝材としての下部緩衝材6、上部緩衝材7に形成される。即ち、嵌合部10としての下部嵌合部16は、下部緩衝材6が被包装体Pを保持するように段ボール箱1内に配置される状態において、側板部2における手掛け穴5が形成される側板1a内面に接触する接触面6a(下部本体6b)に2箇所に分かれて形成されている。具体的には、板状の段ボールシート81の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させて、所定の溝幅WMと溝深さDMを備えさせ、下部本体6bの接触面6aの上下方向にわたって断面コ字状の溝形態となした凹状に形成されている。
【0037】
また、上部緩衝材7にも下部緩衝材6と同様の形態の嵌合部10としての上部嵌合部17が形成される。これら上下に配設される上部緩衝材7の上部嵌合部17と下部緩衝材6の下部嵌合部16の両者によって、板状の段ボールシート81が位置固定されている。この位置固定状態にあっては、図16に示すように、段ボールシート81と嵌合部10(上部嵌合部17、下部嵌合部16)とが所定のスペースでもって嵌合されているため、段ボールシート81の板幅WD方向、板厚TD方向の白矢印Aで示す方向を規制した状態で固定されるのである。
【0038】
また、図16に示すように、手掛け穴補強用の段ボールシート81は、その上下長さを、段ボール箱1の内寸法高さh1と同一か、若しくは若干短くすることもできる。この構成によって、段ボールシート81の上端81aおよび下端81bは、段ボール箱1の底板部4と天板部3の内面で挟まれることによって上下位置が固定される。また、補助手掛け穴を有する段ボールシートは各々が同一サイズ、同一の手掛け穴の位置となっている。
【0039】
また、図17、図18に示すように、補助手掛け穴9を有する段ボールシート8の下端8bを緩衝材の嵌合部10に当接させるとともに、その上端8aを段ボール箱1の天板部3の内面に当接させて位置規制させることもできる。本例による上部緩衝材7における嵌合部10は、上部緩衝材7が被包装体Pを保持するように段ボール箱1内に配置される状態において、側板部2における手掛け穴5が形成される側板1a内面に接触する接触面7a(上部本体7b)に形成されている。具体的には、板状の段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させて、所定の溝幅WMと溝深さDMを備えさせ、上部本体7bの接触面7aの上下方向にわたって断面コ字状の溝形態となした凹状に形成されている。
【0040】
また、下部緩衝材6の嵌合部10は、下部緩衝材6が被包装体Pを保持するように段ボール箱1内に配置される状態において、側板部2における手掛け穴5が形成される側板1a内面に接触する接触面6a(下部本体6b)に形成されている。具体的には、板状の段ボールシート8の板幅WDと板厚TDに対して所定のスペースを具有させて、所定の溝幅WMと溝深さDMを備えさせ、下部本体6bの接触面6aの上下方向の途中まで断面コ字状の溝形態となした凹状に形成されている。この凹状の下端を段ボールシート8の下端8bを当接させる箇所となしている。
【0041】
本例において、下部緩衝材6は段ボールシート8が合致して載せられるための凹状を呈しており、段ボールシート8は、図17に示すように、白矢印Aに示す方向(図上の左右方向、上下方向)で位置が規制され配置固定される。また、図18に示すように、黒矢印N方向へ段ボール箱1を持ち上げる場合、段ボールシート8の補助手掛け穴9を介し白矢印Qの部分で負荷を受け止めるため手掛け穴5にかかる負荷が低減され、破れ難くなる。また、黒矢印P方向へ引く場合、段ボールシート8を介し段ボール箱1の内側面(白矢印R)にて負荷を受けとめるため、手掛け穴5に掛かる負担が軽減され、破れ難くなる。
【0042】
上記の構成は例示であり、これに限定されなく、種々の変更が可能であり、各実施形態の各構成要素を組み合わせる形で包装材1を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】包装材の基本形態を示す概要構成図。
【図2】包装材内の各部材の配置状態を示す概略平面図。
【図3】包装材内の各部材の配置状態を示す概略側面図。
【図4】包装材内の各部材の配置状態を示す概略部分側面図。
【図5】舌片を曲げた状態を示す包装材内の概略部分側面図。
【図6】舌片を曲げた状態での使用状態を示す包装材内の概略部分側面図。
【図7】舌片を曲げた状態での使用状態の他の例を示す包装材内の概略部分側面図。
【図8】包装材の他の例を示す概要平面図。
【図9】舌片を曲げた状態での使用状態を示す包装材内の概略部分側面図。
【図10】本発明における包装材の段ボール箱の他の形態を示す概要図。
【図11】包装材内の各部材の配置状態の他の例を示す概略平面図。
【図12】緩衝材の他の形態を示す概要構成図。
【図13】本発明における包装材の段ボール箱の他の形態を示す概要図。
【図14】緩衝材の他の形態を示す概要構成図。
【図15】包装材内の各部材の配置状態の他の例を示す概略平面図。
【図16】包装材内の各部材の配置状態の他の例を示す概略側面図。
【図17】包装材内の各部材の配置状態の他の例を示す概略側面図。
【図18】舌片を曲げた状態での使用状態を示す包装材内の概略部分側面図。
【符号の説明】
【0044】
1 段ボール箱
1a 側板
2 側板部
3 天板部
4 底板部
5 手掛け穴
5c 貫通穴
5d 舌片
8 段ボールシート
9 補助手掛け穴
9c 貫通穴
9d 舌片
10 嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体を保護する緩衝材と、該緩衝材を介して前記被包装体を収納すべき、底板部、側板部、天板部を有する箱状の段ボール箱と、を備え、
前記段ボール箱の側板部の一部である側板には、手先を挿入する手掛け穴が設けられ、
一方、前記手掛け穴と同様に手先を挿入する補助手掛け穴が形成された板状の段ボールシートが前記段ボール箱の側板部の内側に沿うように設けられ、
前記段ボールシートの補助手掛け穴を、前記段ボール箱の手掛け穴に対して重ねて配設するように、当該段ボールシートを前記緩衝材に形成される嵌合部に嵌めこんで位置を固定させることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートは、前記段ボール箱の側板部の一部である側板より小さく形成され、この段ボールシートを前記段ボール箱の側板の手掛け穴の周りを囲む所定の周面領域に、重なるようにして位置を固定させることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートの上下長さが前記段ボール箱の内寸高さと同一であることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項4】
前記段ボール箱の手掛け穴と前記段ボールシートの補助手掛け穴のいずれか一方、若しくは両方は、貫通穴と、該貫通穴と一部が連続して折り曲げ可能な舌片とからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項5】
前記緩衝材の嵌合部は、段ボールシートが嵌り込むように凹状に形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項6】
前記段ボールシートは複数枚重ねて設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項7】
前記段ボール箱の側板部の側板は4枚からなり、各々の側板に前記手掛け穴が設けられ、前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートが前記手掛け穴に各々配設されることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項8】
前記段ボール箱の一つの側板には、複数の前記手掛け穴が設けられ、前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートが前記複数の手掛け穴に各々配設されることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項9】
前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートは各々が同一サイズ、同一の手掛け穴位置となっていることを特徴とする請求項8に記載の包装材。
【請求項10】
前記補助手掛け穴を有する前記段ボールシートの下端を前記緩衝材の嵌合部に当接させるとともに、その上端を段ボール箱の天板部の内面に当接させて位置規制させることを特徴とする請求項1に記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−132340(P2010−132340A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312476(P2008−312476)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】