説明

包装機用袋箱

【課題】いわゆるリサイクル機構を備えた、例えばロータリー式包装機へ包装袋を供給する際に、吸盤による空の動作に伴う包装袋の位置ずれが発生する。
【解決手段】積層された包装袋10を収納する格納箱の上部に、包装袋10を吸着して持ち上げて包装機に供給する吸盤44を配置し、駆動モータによって回動する駆動軸41から吸盤44に回動力を伝達するクランク機構42を備え、駆動軸41とクランク機構42の間に、駆動軸41の駆動力を伝達、遮断する駆動伝達シリンダー47と、吸盤44が包装袋10側に回転しようとする力を固定するための固定シリンダー49を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納箱内に平面状に複数枚積み重ねられた包装袋を吸盤で吸着し、包装機に対して一定の時間間隔で前記包装袋を供給する包装機用袋箱に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、特許文献1の従来の包装機用袋箱の部分拡大図である。この包装機用袋箱は、格納箱12の昇降板11の上に平面的に多数の包装袋10が積層され、包装袋10が上から一枚ずつ取り出されてその積層量が徐々に減少して行くにつれて、包装袋10上面を常に一定に保つように前記昇降板11が上昇する。
【0003】
前記包装袋10を包装機(図示せず)に供給する供給機構20は、図2のようなレバー構造である。すなわち、メインレバー22の下端は軸受け21に対してパイプ形の主軸23を介して軸支され、該主軸23の中空部に挿入したサブ軸24にサブレバー25の一端を固定する。また前記メインレバー22の上端のピン26を介して設けた三角形の支持体27は、前記サブレバー25ともリンク28を介して連結している。前記支持体27には、2本の並行なガイド棒34が格納箱12の上部を横断して、支持されている。前記2本のガイド棒34にブロック29が固定され、このブロック29の先端に吸盤30が設けられている。
【0004】
サブレバー25の時計回りの回転で、支持体27はピン26を支点に矢印31aの方向に回転し、吸盤30を包装袋10の上面に押しつけ、チューブ32を通して吸盤30に作用する吸引力で包装袋10が吸着する。さらにサブレバー25で支持体27を矢印31bの方向に回転し、最上位の包装袋10のみを持ち上げたあと、メインレバー22を時計方向に回転させると、吸盤30に支持された包装袋10は包装機に向けて供給される。
【0005】
特許文献1の包装機用袋箱は、ロータリー式包装機において、例えば包装袋内に被包装物が充填されなかったようなトラブルが発生した場合は、未充填の包装袋はロータリー式包装機のクランプから開放され、通常、この開放された包装袋は衛生上の問題もあり再利用されることは無かった。
【0006】
前記のような無駄を無くすため、特許文献2のロータリー式包装機では、センサーにより、被包装物の充填が確認されなかった場合には、包装袋を挟持するクランプの開放を中止して包装袋をクランプで挟持したまま再回転して充填位置で再充填を行う、いわいるリサイクルが行われている。
【0007】
前記特許文献2のロータリー式包装機では、リサイクルのクランプが包装袋の供給位置に来たとき、袋箱側では吸盤の真空吸引力を無くして、吸盤の包装袋の吸着を中止し、袋箱からロータリー式包装機への包装袋の供給を中止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−167222号公報
【特許文献2】特開平01−124521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献2の袋箱では、吸盤は吸引を中止しているが、包装袋を供給する機構(図2では供給機構20、メインレバー22、サブレバー25、リンク28等)は駆動しているので、吸盤は包装袋の上面を押さえる空動作は持続しているため、上面の包装袋の位置がずれるおそれがある。この空動作で包装袋の位置がずれると、ロータリー式包装機への包装袋の供給の際に吸盤が吸着する位置がずれることになる。吸盤の吸着がずれると、クランプの挟持ミスや充填ミス、シール位置のずれ等の問題が発生する。
【0010】
本発明は、いわゆるリサイクル機構を備えた、例えばロータリー式包装機へ包装袋を供給する際に、吸盤による空動作に伴う包装袋のずれを防止することを可能とする包装機用袋箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の包装機用袋箱は、積層された包装袋を収納する格納箱の上部に、前記包装袋を吸着して持ち上げて包装機に供給する吸盤を配置した袋箱であって、駆動モータによって回動する駆動軸から前記吸盤に回動力を伝達するクランク機構を備え、前記駆動軸とクランク機構の間に、駆動軸の駆動力を伝達、遮断する駆動伝達機構と、吸盤が包装袋側に回転しようとする力を固定するための固定機構を備えたことを特徴とする。
【0012】
駆動伝達機構は、駆動軸の回動力をクランク機構に伝達したり、遮断したりすることができる。固定機構はクランク機構の動きを止めて吸盤の揺動運動を規制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、前記構成により、いわゆるリサイクル機構を備えた、包装機へ包装袋を供給する際に、吸盤による空動作に伴う吸盤の包装袋への当接による包装袋のずれを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の包装機用袋箱の部分拡大図
【図2】従来の包装機用袋箱の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明の包装機用袋箱について図面を用いて説明する。図1は本発明の包装機用袋箱の部分拡大図である。なお、この図1の包装機用袋箱は、図2の包装袋を積層して格納する格納箱12や包装袋10を上昇させる昇降板11等は省略している。
【0016】
供給機構40は、駆動軸41から駆動力がクランク機構42を介して平行リンク機構43に伝達されて吸盤44を揺動しているが、この駆動軸41は図示していない駆動モータからクランク機構やカム機構を介して駆動力が伝達されて、常時、正逆方向に回動している。45は駆動軸41を支持する支持板である。なお、本実施例において回動とは、正逆方向(時計回り、反時計回り)に回転を繰り返すことを言い、回転とは一方向に回っている状態を言うが、前記回動でも、一方向に回っている瞬間の状態を表す時は回転と言う。
【0017】
前記駆動軸41には揺動アーム46の一端が固定されており、この揺動アーム46は駆動軸41の回動に伴って、駆動軸41を中心に一定の周期で左右に往復運動を繰り返す。さらに、この揺動アーム46の先端に駆動伝達シリンダー47(駆動伝達機構)が連結されている。この駆動伝達シリンダー47は揺動アーム46の往復運動をクランク機構42に伝達するもので、一般的なエアーシリンダーが使用されている。この駆動伝達シリンダー47は、スピードエキゾーストコントローラ48及び電磁弁56を介してエアー源と接続している。スピードエキゾーストコントローラ48によって、駆動伝達シリンダー47の作動スピードをコントロールする。駆動伝達シリンダー47は、通常、駆動軸41の駆動力をクランク機構42に伝達するが、いわゆるリサイクルの際には一時的に伝達しないようにする働きがある。
【0018】
前記駆動伝達シリンダー47の伸縮ロッド47Aの先端はクランク機構42と連結している。このクランク機構42は、ブーメラン形の回動板42Aと、この回動板42Aに連結する連結ロッド42Bと、から構成され、平行リンク機構43に駆動軸41の回動力を伝達する。
【0019】
前記回動板42Aは、基端部が軸42aによりフレーム(図示せず)に軸支されており軸42aを中心にして実線と仮想線で示すように回動可能である。この回動板42Aの短部の先端には前記連結ロッド42Bが軸支している。さらに、回動板42Aの長部の中程に前記駆動伝達シリンダー47の伸縮ロッド47Aが軸支し、先端に固定シリンダー49(固定機構)の固定ロッド49Aが軸支している。
【0020】
固定シリンダー49は、前記駆動伝達シリンダー47と同様にエアーシリンダーを用い、後端は支持板45に軸支して固定されている。この固定シリンダー49はクランク機構42や平行リンク機構43の動きを止めて吸盤44の揺動運動を規制する。この固定シリンダー49もスピードエキゾーストコントローラ55及び電磁弁56を介してエアー源と接続している。なお、電磁弁56は、いわゆるリサイクルの際には一時的に固定ロッド49Aの伸縮動を停止する作用を果たす。
【0021】
連結ロッド42Bは、平行リンク機構43の三角形の第1連結リンク43Aと連結し、平行リンク機構43により吸盤44を上下方向に揺動する。平行リンク機構43は、上部の太い第1リンク43Bと下部の細い第2リンク43Cとが、前記の三角形の第1連結リンク43Aと第2連結リンク43Dとで平行に連結されている。この平行リンク機構43の第1リンク43Bとフレーム(図示せず)との間には、バネ50が掛け渡され、第1リンク43Bは常に時計回りに付勢されている。なお、このバネ50による平行リンク機構43の時計回りの回転力をストッパー51により所定の角度以上に回転しないように阻止している。
【0022】
第1リンク43Bと第2連結リンク43Dとを連結する上部軸43aにはガイド棒52が水平に、格納箱(図示せず)を横切るように架設されており、このガイド棒52に吸盤44を取り付けるための取付部53が一対固定されている。取付部53の先端に、吸引部44Aが下向きとなるように吸盤44が固定され、上部にエアーホース54が接続されている。
【0023】
次に、前記構成の作用について説明する。
先ず、通常に包装機用袋箱の格納箱内に積層された包装袋10を、ロータリー式包装機に供給する場合について説明する。電磁弁56により、伸縮ロッド47Aを固定し、逆に固定シリンダー49の自由な伸縮動を許容する状態とする。
【0024】
平行リンク機構43の仮想線で示した状態では、ロータリー式包装機に包装袋10を供給するために、吸盤44が包装袋10の一端を吸着して上方に持ち上げて待機している。包装袋10は図示しない受け渡し機構を介してロータリー式包装機のクランプアームに供給される。
【0025】
クランプアームへの包装袋10の供給が終わった段階で、吸盤44が次の包装袋10を吸着するために、時計回りに回転して最上部の包装袋10を取りに行く必要がある。このために、駆動軸41によって揺動アーム46を実線で示した時計回りに回転させる。その回転力は駆動伝達シリンダー47を介してクランク機構42の回動板42Aに伝達され、さらに連結ロッド42Bを介して平行リンク機構43の第1連結リンク43Aに伝達される。
【0026】
第1連結リンク43Aは連結ロッド42Bにより、時計回りに回転するので、その回転力は上部軸43bを介して平行リンク機構43に伝達されて、吸盤44が包装袋10を吸着できる位置まで回転する。吸盤44が包装袋10を吸着したタイミングで、駆動軸41が前記とは逆の反時計方向に回転すると、揺動アーム46、駆動伝達シリンダー47、クランク機構42、平行リンク機構43、吸盤44は前記とは逆の動作をして仮想線で示す位置に戻るので、吸盤44に吸着された包装袋10は再び上方に保持されてロータリー式包装機に供給すことができる。
【0027】
通常は上記の動作を繰り返して、包装機用袋箱から包装袋10がロータリー式包装機に供給される。しかし、前記の「発明が解決しようとする課題」で説明したように、ロータリー式包装機の被包装物の充填ミスがあり、包装袋10がリサイクルされて、未充填の包装袋10が包装袋供給位置に戻ってきた場合は、包装機用袋箱からの包装袋10の供給は中止する必要がある。
【0028】
そこで、正常に包装袋10をロータリー式包装機に供給した段階で、電磁弁56により、駆動伝達シリンダー47の自由な伸縮動を許容する状態とする。しかし、駆動伝達シリンダー47の自由な伸縮動を許容すると、バネ50が平行リンク機構43を常時、時計方向に付勢しているので、その付勢力により、吸盤44の吸引部44Aが包装袋10に当接して位置ずれを起こす恐れが出てくる。そこで、電磁弁56により、固定ロッド49Aを縮んだ状態に固定してクランク機構42、平行リンク機構43を仮想線で示した状態にして動かないようにし、リサイクルの未充填の包装袋10が供給位置を通過するのを待つ。
【0029】
ロータリー式包装機の供給位置に、次のクランプが間欠回転して到達する前に、包装機用袋箱側は、包装袋10を正常に供給する体制に入る必要がある。そのために、電磁弁56により、伸縮ロッド47Aを固定し、逆に、固定シリンダー49を自由に伸縮する状態とする。そして、駆動軸41が時計方向に回転すると、仮想線で示す状態から実線で示す状態に回動板42A、平行リンク機構43が回転して包装袋10を吸盤44で取りに行き、吸盤44の吸引部44Aで包装袋10を吸着してロータリー式包装機に供給する。
【0030】
なお、クランク機構42や平行リンク機構43は図1に図示するような形状や配置に限定されるものではない。また、電磁弁56も、駆動伝達シリンダー47用と固定ロッド用49Aとをそれぞれ別々に設けてもよい。
さらに、駆動伝達シリンダー47や固定シリンダー49の代わりに動力を伝達したり遮断したりすることが出来る機構であれば駆動伝達シリンダー47や固定シリンダー49のようなシリンダーには限定されない。例えば、電磁的又は電子的手段により、揺動アーム46とクランク機構42の間を連結したり解除したりするような構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、充填ミスをした包装袋をリサイクルする機構を備えたロータリー式包装機用の袋箱として有用である。
【符号の説明】
【0032】
10 包装袋
41 駆動軸
42 クランク機構
42A 回動板
42B 連結ロッド
43 平行リンク機構
44 吸盤
46 揺動アーム
47 駆動伝達シリンダー(駆動伝達機構)
49 固定シリンダー(固定機構)
50 バネ
56 電磁弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された包装袋を収納する格納箱の上部に、前記包装袋を吸着して持ち上げて包装機に供給する吸盤を配置した包装機用袋箱であって、
駆動モータによって回動する駆動軸から前記吸盤に回動力を伝達するクランク機構を備え、
前記駆動軸とクランク機構の間に、駆動軸の駆動力を伝達、遮断する駆動伝達機構と、吸盤が包装袋側に回転しようとする力を固定するための固定機構を備えていることを特徴とする包装機用袋箱。
【請求項2】
駆動伝達機構及び固定機構がエアーシリンダーであって、これらのエアーシリンダーの伸縮を停止したり、自由な伸縮動を許容する電磁弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装機用袋箱。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71734(P2013−71734A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210026(P2011−210026)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】