説明

包装機

【課題】構造が簡単であり、フィルムの無駄を大幅に低減できる包装機を提供する。
【解決手段】包装機1は、ターンバー30と、フィルム搬送部23と、センタリング調整部31とを備えている。ターンバー30は、包装材料である帯状のフィルムFを連続的に搬送している途中で略90度搬送方向を変える。フィルム搬送部23は、フィルムFの搬送方向におけるターンバー30の下流側に配置される。フィルム搬送部23は、フィルムFを搬送する。センタリング調整部31は、フィルム搬送部23をフィルムFの幅方向に移動させることによりフィルムFのセンタリング調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる縦ピロー包装機は、フィルムロールから引き出された帯状のフィルムをフォーマーで筒状に成形した後に縦方向の継ぎ目を縦シールし、その中に被包装物を充填し、横シールすることによりピロー(枕)状の袋を形成する包装機である(特許文献1参照)。
【0003】
このような包装機では、複数台の包装機をなるべく近づけて並べて配置できるように、フォーマー直前のフィルムの搬送方向と同じ方向に延びるシャフトにフィルムロールを取り付ける、いわば縦ざしにセットする縦ざし機構が採用される(特許文献1の図4および図11参照)。この縦ざし機構を採用する場合、フィルムロールからフォーマーまでフィルムを連続的に搬送している途中で、ターンバーによって直角に搬送方向を変えている。
【0004】
このような縦ピロー包装機では、1台の機械で数種類の袋サイズを形成するのが一般的であるが、袋サイズが違うと、フィルムロール幅も異なる。そこで、フィルムロールの装填位置について、フィルムロールの中心位置とフォーマー中心位置が合う位置に装填する(センタリングする)必要が有る。
【0005】
このセンタリング調整に関しては、従来では、フィルムロールを縦ざしにセットする縦ざし機構の場合、フィルムをシャフトに突き刺し、ストッパー板に当てきって固定し、フィルムロールとターンバーの間のスプライシング機構全体を左右方向に移動することによりセンタリングしている。スプライシング機構は、フィルム交換時などにおいて、フィルムをつなぐための機構である。
【0006】
スプライシング機構全体を動作させる場合としては、(1)袋サイズ変更のためのフィルム交換時、および(2)フィルム搬送中における蛇行矯正時などの場合がある。
【特許文献1】特許2934069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようにターンバーの上流側に配置されたスプライシング機構を左右方向へ移動させてフィルムのセンタリング調整をする場合、以下のような問題がある。
【0008】
(1)まず、包装機全体の構造が複雑になるという問題がある。例えば、仕様袋サイズ幅は125mmから250mm(ロール幅で270mmから520mm)であり、左右方向への移動距離は最低125mm必要である。ここで、スプライシング機構全体を125mm以上のストロークで動作させる場合は、スプライシング機構は片持ち支持されるため、強度を高くするとともに複雑な機構が必要となる。
【0009】
(2)さらに、スプライシング機構のセンタリング調整に対するフィルムの反応速度が遅く、フィルムの無駄が多いという問題がある。すなわち、フィルムセンタリングに関して、フィルムの伸び、巻き状態等、フィルムの状態に応じてセンタリングを微調整する必要がある。ここで、スプライシング機構によってセンタリングした場合、スプライシング機構のスプライシングプレートと横シール部との間のフィルムは応答せず、センタリング後、スプライシング部に有ったフィルムが包装機の最も下流側の横シール部までフィードされて初めて調整される。すなわち、微調整時はスプライシングプレートと横シール間のフィルムが無駄となる。
【0010】
本発明の課題は、構造が簡単であり、フィルムの無駄を大幅に低減できる包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の包装機は、ターンバーと、フィルム搬送部と、センタリング調整部とを備えている。ターンバーは、包装材料である帯状のフィルムを連続的に搬送している途中で略90度搬送方向を変える。フィルム搬送部は、フィルムの搬送方向におけるターンバーの下流側に配置される。フィルム搬送部は、フィルムを搬送する。センタリング調整部は、フィルム搬送部をフィルムの幅方向に移動させることによりフィルムのセンタリング調整を行う。
【0012】
ここでは、ターンバー下流側のフィルム搬送部をフィルムの幅方向に移動させることによりフィルムのセンタリング調整を行うセンタリング調整部を備えているので、構造が簡単であり、かつ、フィルムの無駄を大幅に低減できる。
【0013】
また、センタリング調整部は、フィルム搬送部およびターンバーを固定する可動ステージを有しており、フィルム搬送部およびターンバーがフィルムの幅方向に同時に移動することにより、フィルムのセンタリング調整を行うのが好ましい。
【0014】
ここでは、フィルム搬送部およびターンバーを同時に幅方向へ移動させることによりセンタリング調整を行うので、フィルムのセンタリングの細かい微調整が可能である。
【0015】
また、センタリング調整部は、フィルム搬送部の一端をフィルムの幅方向に対して角度変更することによってフィルムのセンタリング調整を行うことが可能であるのが好ましい。
【0016】
ここでは、フィルム搬送部の角度をフィルムの幅方向に対して変更することによってフィルムのセンタリング調整を行うことにより、フィルムのセンタリングの細かい微調整が可能であり、フィルムの蛇行を効果的に防止できる。
【0017】
さらに、フィルムを筒状に変形させるフォーマーをさらに備え、フィルム搬送部がターンバーとフォーマーとの間に位置するのが好ましい。
【0018】
ここでは、フィルム搬送部がターンバーとフォーマーとの間に位置するので、フィルム搬送部をセンタリング調整部によってフィルムの幅方向に移動させることにより、フォーマーの直前でフィルムのセンタリング調整でき、フィルムの無駄をより低減できる。また、ターンバーとフォーマーとの間のフィルムの蛇行を抑えることができる。
【0019】
さらに、フィルムが搬送している間に、フィルム搬送部をフィルムの幅方向に移動させることにより、フィルムの蛇行を矯正するのが好ましい。
【0020】
ここでは、フィルムが搬送している間にフィルム搬送部をフィルムの幅方向に移動させることにより、フィルムの蛇行を矯正するので、製袋作業の歩留まりを大幅に向上させることが可能である。
【0021】
さらに、フィルム搬送方向におけるターンバーの上流側に配置され、フィルムがロール状に巻かれたフィルムロールを支持するロール支持部をさらに備え、かつ、ロール支持部は、フィルムロールの中心に挿入されたシャフトと、シャフトの根元側に配置され、フィルムロールの上面または底面に当接してフィルムロールの位置決めをするストッパー板を有しており、かつ、ストッパー板がシャフトの延びる方向へ往復移動が可能であるのが好ましい。
【0022】
ここでは、フィルムロールの上面または底面に当接するロール支持部のストッパー板をシャフトの延びる方向へ往復移動することにより、フィルムのセンタリング調整が可能になり、構造が簡単になる。
【0023】
さらに、ターンバーの周面にはガスの吹出口が形成されているのが好ましい。
【0024】
ここでは、ターンバーの周面には空気などのガスの吹出口が形成されているので、フィルムとターンバー表面との摩擦を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の製袋包装機によれば、構造が簡単であり、かつ、フィルムの無駄を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
つぎに本発明の包装機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
〔製袋包装機の概略構成〕
本発明の実施形態に係る縦型の製袋包装機1を図1〜4に示す。この製袋包装機1は、被包装物となるポテトチップス等の食品をフィルムで覆い、筒状となったフィルムFを縦および横にシールして袋を製造する機械である。
【0028】
被包装物は、製袋包装機1の上方に設けられた計量機(図示せず)から、所定量ずつチューブ24a内部へ落下してくる。
【0029】
製袋包装機1は、主として、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装部分5と、この製袋包装部分5に袋となる包装材であるフィルムFを供給するフィルム供給部分6とから構成されている。
【0030】
さらに、具体的には、この製袋包装機1は、基礎底辺部21と、複数の機能部として、エアーシャフト部22と、プルダウン部23と、縦シール部24と、横シール部25と、ギアボックス部26と、加圧部27と、印刷部28と、ターンバー30と、センタリング調整部31と、スプライシング部32とを備えており、これらは組み合わせ可能にユニット化され、各ユニットの駆動部分の動きは、制御装置(図示せず)によって制御される。
【0031】
〔フィルム供給部分〕
フィルム供給部分6では、エアーシャフト部22にフィルムFが巻かれたフィルムロールFrがセットされており、このフィルムロールFrからフィルムFが繰り出される。
【0032】
フィルムロールFrから繰り出されるフィルムFは、フィルムロールFrを回転させる駆動モータ29(図2参照)の作動により送り出され、プルダウン部23の作動により製袋包装部分5側に引っ張られて、搬送がなされる。駆動モータ29やプルダウン部23の動きは、制御装置によって制御される。
【0033】
具体的には、フィルム供給部分6は、フィルムロールFrを真空吸着して回転駆動させるエアーシャフト部22と、フィルムロールFrに巻かれたフィルムFを縦シール部24へ向けて引き出すプルダウン部23と、ターンバー30と、センタリング調整部31と、スプライシング部32とを有している。プルダウン部23は、本発明のフィルム搬送部に相当する。また、エアーシャフト部22は、本発明のロール支持部に相当する。プルダウン部23は、吸着ベルト機構23aと、その吸着ベルト機構23aの吸引力を発生させる真空ポンプ(図示せず)と、吸着ベルトの回転のための動力部23bとを有している。真空ポンプと吸着ベルトの動力部23bは、第1から第5フレーム41〜45内部の空間に配置されている。
【0034】
ターンバー30は、フィルムFを連続的に搬送している途中で略90度搬送方向を変える。すなわち、図4〜7に示されるように、エアーシャフト部22に取り付けられたフィルムロールFrから引き出された直後のフィルムF1は、スプライシング部32のローラ32bに案内されて搬送され、その後、ターンバー30によって、略90度搬送方向を変えられる。ターンバー30によって方向を変えられたフィルムF2は、プルダウン部23によって水平に搬送され、後述するセンタリング調整部31によって、フォーマー24bの中心位置に合う位置に調整(センタリング)されている。
【0035】
また、ターンバー30は、プルダウン部23とともにフィルムFの幅方向Aに同時に移動できるようになっている。具体的には、図4に示されるように、ターンバー30の一端を支持する支持部30aが、可動ステージ31aに連結され、一方、ターンバー30の他端を支持する支持部30cが、スプライシング部32のフレーム等の包装機本体側に固定されたガイドレール30dに往復移動自在に支持されている。
【0036】
また、ターンバー30の周面には、空気などのガスの吹出口30bが形成されているので、フィルムFとターンバー30表面との摩擦を低減することが可能である。
【0037】
センタリング調整部31は、プルダウン部23をフィルムFの幅方向A(図4参照)に移動させることによりフィルムFのセンタリング調整を行う。センタリング調整部31は、第3フレーム43の上面に設置され、プルダウン部23を下から支持している。
【0038】
センタリング調整部31は、図5に示されるように、その上面にプルダウン部23を固定した可動ステージ31aと、可動ステージ31aをフィルムFの幅方向Aに所定の距離だけ移動させる駆動力(例えば、空気圧または油圧)を発生する駆動源31bと、その駆動力により可動ステージ31aをフィルムFの幅方向Aに沿って直線往復移動する直線移動シリンダ31cとを有している。駆動部31bは、制御装置によって駆動制御される。なお、空気圧や油圧により駆動する代わりに、リニアモータを用いて可動ステージ31aを直線駆動するようにしてもよい。
【0039】
なお、本発明では、可動ステージ31aを直線的に往復移動させる機構であれば種々の機構を採用することが可能であり、他の態様として、例えば、モータとボールネジの組合せ等で構成される。
【0040】
スプライシング部32は、フィルムFの交換時に新しいフィルムFの先端を古いフィルムFの後端につなぐ。また、スプライシング部32は、エアーシャフト部22とターンバー30との間のフィルムFの搬送を行う。スプライシング部32は、エアーシャフト部22とターンバー30との間に配置され、第3フレーム43の側面に固定されている。スプライシング部32は、スプライシングプレート32aと、複数のローラ32bとを有している。
【0041】
エアーシャフト部22は、フィルム搬送方向におけるターンバー30の上流側に配置され、フィルムFがロール状に巻かれたフィルムロールFrを支持する。エアーシャフト部22は、エアーシャフト本体22aと、ストッパー板22bとを有している。エアーシャフト本体22aは、フィルムロールFrの中心に挿入され、フィルムロールFrを真空吸着する。ストッパー板22bは、エアーシャフト本体22aの根元側に配置され、フィルムロールFrの上面または底面に当接してフィルムロールFrの位置決めをする。ストッパー板22bは、エアーシャフト本体22aの延びる方向へ往復移動が可能である。ストッパー板22bは、図示しない空気圧又は油圧駆動の直線移動シリンダ、またはモータとボールネジの組合せ等によって往復移動される。
【0042】
このため、スプライシング部32を左右に移動させなくても、スプライシング部32の上流側のエアーシャフト部22のストッパー板22bを移動させることにより、フィルムFのセンタリング調整が可能になり、構造が簡単になる。
【0043】
印刷部28は、フィルムロールFrから引き出されたフィルムFの表面に、製造年月日などを示す文字または記号を印刷する。
【0044】
これら複数の機能部である、エアーシャフト部22、プルダウン部23、縦シール部24、横シール部25、ギアボックス部26、加圧部27、印刷部28、ターンバー30、センタリング調整部31、およびスプライシング部32は、図1〜2に示されるように、基礎底辺部21の上に、第1から第5フレーム41〜45によってユニット毎に構成されている。
【0045】
以上のように構成された製袋包装機1では、センタリング調整部31によってターンバー30の下流側に配置されたプルダウン部23を左右移動させてフィルムFをセンタリング調整するので、従来の包装機ようにスプライシング部32を左右移動させてフィルムFのセンタリング調整をする構造に比べて、構造が大幅に簡単になっている。しかも、ターンバー30の下流側でセンタリング調整を行うので、フィルムFの交換時にはプルダウン部23からフォーマー24bまでのフィルムFだけが無駄になるだけであり、従来よりもフィルムFの無駄を大幅に低減できる。
【0046】
また、製袋包装機1では、センタリング調整部31は、プルダウン部23およびターンバー30を固定する可動ステージ31aを有しており、プルダウン部23およびターンバー30がフィルムFの幅方向Aに同時に移動することにより、フィルムFのセンタリング調整を行っているので、フィルムFのセンタリング調整を精度良く、かつ、細かい微調整を行うことが可能である。
【0047】
プルダウン部23は、ターンバー30とフォーマー24bとの間に位置しているので、プルダウン部23をセンタリング調整部31によってフィルムFの幅方向Aに移動させることにより、フォーマー24bの直前でフィルムFのセンタリング調整できる。
【0048】
また、製袋包装機1では、フィルムFが搬送している間に、センタリング調整部31によって、プルダウン部23をフィルムFの幅方向Aに移動させるように制御装置によって制御されており、製袋作業時のフィルムFの蛇行を矯正する。
【0049】
〔製袋包装部分〕
製袋包装部分5は、図1〜3に示すように、フィルムFを筒状にして縦方向(フィルムFの搬送方向)の合わせ目を縦シールする縦シール部24と、筒状フィルムFmをシールジョー51によって横方向(フィルムFの幅方向)に横シールする横シール部25とを有する。また、ギアボックス部26および加圧部27は、シールジョー51の開閉動作その他の動作のための横シール部25の駆動を行う。
【0050】
<縦シール部24>
縦シール部24は、チューブ24aと、フォーマー24bと、縦シールヒータ24cと、プルダウンローラ24dとから構成されている。チューブ24aは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ24aの上端の開口部には、チューブ24aに設置された計量機(図示せず)で計量された被包装物Cが投入される。フォーマー24bは、チューブ24aを取り囲むように配置されている。このフォーマー24bの形状は、フィルムロールFrから繰り出されてきたシート状のフィルムFがフォーマー24bとチューブ24aとの間を通るときに筒状に成形されるような形状となっている。また、チューブ24aやフォーマー24bは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0051】
縦シールヒータ24cは、チューブ24aに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ24aに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シールヒータ24cは、チューブ24aの前側に位置しており、近づいたりまたは遠ざかる方向へ往復運動が可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、縦シールヒータ24cをチューブ24aに押しつけて縦シールを行っているが、他の方法で縦シールを行ってもよい。例えば、筒状フィルムFmの重なり部分をチューブ24a表面から突出させた状態で、重なり部分の両側から縦シールヒータとブロックで挟み込んで縦シールを行ってもよい。
【0053】
<横シール部25>
横シール部25は、縦シール部24の下方に配置されている。横シール部25は、ヒーターを内蔵する一対のシールジョー51を含む機構である。
【0054】
図3では図示を省略しているが、横シール部25は、一対のシールジョー51それぞれが互いに対称なD字状の軌跡を描くようにシールジョー51を旋回させるジョー旋回用モータを有している。
【0055】
また、シールジョー51の一方の内部には、カッター(図示せず)が内蔵されている。このカッターは、シールジョー51による横シール部分の高さ方向の中心位置において、袋Bと後続の筒状フィルムFmとを切り離す役割を果たす。
【0056】
<特徴>
(1)
実施形態の製袋包装機1は、帯状のフィルムFを連続的に搬送している途中で略90度搬送方向を変えるターンバー30と、フィルムFの搬送方向におけるターンバー30の下流側に配置され、フィルムFを搬送するプルダウン部23と、プルダウン部23をフィルムFの幅方向Aに移動させることによりフィルムFのセンタリング調整を行うセンタリング調整部31とを備えている。
【0057】
これにより、センタリング調整部31によってプルダウン部23を左右移動させてフィルムFをセンタリング調整するので、従来のようなスプライシング部32を左右移動させてフィルムFのセンタリング調整をする構造に比べて、構造が簡単である。しかも、ターンバー30の下流側でセンタリング調整を行うので、フィルムFの交換時にはプルダウン部23からフォーマー24bまでのフィルムFだけが無駄になるだけであり、従来よりもフィルムFの無駄を大幅に低減できる。
【0058】
(2)
また、実施形態の製袋包装機1では、スプライシング部32全体を左右移動するのではなく、スプライシング部32以外の部位、すなわち、センタリング調整部31の可動ステージ31a(およびその可動ステージ31a上のプルダウン部23)とエアシャフト部22のストッパー板22bのみを左右移動させることにより、フィルムロールFrのセンタリングを行なう。これにより、従来のようなスプライシング部32による片持ちで複雑なセンタリング機構に代わって、非常にシンプルなセンタリング機構を実現できる。ストッパー板22bの駆動源は、直動シリンダーその他の直線的な駆動力を発生させるものであればよく、ストッパー板22bを動かすのみのシンプルな機構となる。
【0059】
しかも、フィルムFのセンタリングの微調整時、フィルムFの無駄を低減すべく、フォーマーローラー33からターンバー30までのプルダウン部23全体をセンタリング調整部31によりフィルムFの幅方向Aへ往復移動可能とする。これにより、蛇行調整時、フォーマーローラー33と横シール部25との間のみのフィルムFのみが無駄となり、フィルムFの無駄を最小限に抑えることが可能になる。
【0060】
さらに、図6〜7に示されるように、第3フレーム43の上面のセンタリング調整部31の可動ステージ31aのみの微調整で、左右方向に10mmずつ動作可能であり、従来の自動包装機よりも構造が簡単になる
以上の構成により、実施形態の製袋包装機1は、従来の自動包装機よりも構造が大幅に簡単になり、しかも、フィルムFの無駄を大幅に低減できる。このようなシンプルな構造でかつフィルムFの無駄を低減した製袋包装機1は、故障も少なく、メンテナンスも容易であり、かつ、製品歩留まりも高いので、ユーザーフレンドリーである。
【0061】
(3)
また、実施形態の製袋包装機1では、センタリング調整部31は、プルダウン部23およびターンバー30を固定する可動ステージ31aを有しており、プルダウン部23およびターンバー30がフィルムFの幅方向Aに同時に移動することにより、フィルムFのセンタリング調整を行っているので、フィルムFのセンタリング調整を精度良く、かつ、細かい微調整を行うことが可能である。
【0062】
(4)
また、実施形態の製袋包装機1では、プルダウン部23は、ターンバー30とフォーマー24bとの間に位置しているので、プルダウン部23をセンタリング調整部31によってフィルムFの幅方向Aに移動させることにより、フォーマー24bの直前でフィルムFのセンタリング調整でき、フィルムFの無駄をより低減できる。また、ターンバー30とフォーマー24bとの間のフィルムFの蛇行を抑えることができる。
【0063】
(5)
また、実施形態の製袋包装機1では、フィルムFが搬送している間に、センタリング調整部31によって、プルダウン部23をフィルムFの幅方向Aに移動させることにより、フィルムFの蛇行を矯正するので、製袋作業の歩留まりを大幅に向上させることが可能である。
【0064】
(6)
また、実施形態の製袋包装機1では、エアーシャフト部22は、フィルム搬送方向におけるターンバー30の上流側に配置され、フィルムFがロール状に巻かれたフィルムロールFrを支持する。エアーシャフト部22は、エアーシャフト本体22aと、ストッパー板22bとを有している。エアーシャフト本体22aは、フィルムロールFrの中心に挿入され、フィルムロールFrを真空吸着する。ストッパー板22bは、エアーシャフト本体22aの根元側に配置され、フィルムロールFrの上面または底面に当接してフィルムロールFrの位置決めをする。ストッパー板22bは、エアーシャフト本体22aの延びる方向へ往復移動が可能である。
【0065】
このため、スプライシング部32を左右に移動させなくても、スプライシング部32の上流側に配置され、フィルムロールFrの上面または底面に当接するエアーシャフト部22のストッパー板22bを移動させることにより、フィルムFのセンタリング調整が可能になり、構造が簡単になる。
【0066】
(7)
また、実施形態の製袋包装機1では、ターンバー30の周面には、空気などのガスの吹出口30bが形成されているので、フィルムFとターンバー30表面との摩擦を低減することが可能である。
【0067】
<変形例>
なお、本発明では、センタリング調整部31がプルダウン部23をフィルムFの幅方向へ直線移動させることによりセンタリング調整を行っているが、さらに、プルダウン部23の角度をフィルムの幅方向に対して変更することによってフィルムのセンタリング調整を行うようにしてもよい。例えば、プルダウン部23を可動ステージ31aの表面に沿って回転できるような回転駆動手段を追加すればよい。この場合、フィルムのセンタリングの細かい微調整が可能であり、フィルムの蛇行を効果的に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、連続的に搬送されるフィルムのセンタリングが必要な包装機に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の包装機の実施形態に係わる製袋包装機の全体斜視図。
【図2】図1の製袋包装機の正面図。
【図3】図1の縦シール部および横シール部の概略説明図。
【図4】図1の製袋包装機の平面図。
【図5】図1のセンタリング調整部の部分拡大斜視図。
【図6】図1のターンバーの上流側および下流側でフィルムのセンタリング調整を行うエアシャフト部およびセンタリング調整部を示す側方斜視図。
【図7】図1のターンバーの上流側および下流側でフィルムのセンタリング調整を行うエアシャフト部およびセンタリング調整部を示す後方斜視図。
【符号の説明】
【0070】
1 製袋包装機
5 製袋包装部分
6 フィルム供給部分
21 基礎底辺部
22 エアーシャフト部(ロール支持部)
22a エアーシャフト本体
22b ストッパー板
23 プルダウン部(フィルム搬送部)
24 縦シール部
24a チューブ
24b フォーマー
24c 縦シールヒータ
24d プルダウンローラ
25 横シール部
30 ターンバー
30b 吹出口
31 センタリング調整部
31a 可動ステージ
32 スプライシング部
33 フォーマーローラー
51 シールジョー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料である帯状のフィルムを連続的に搬送している途中で略90度搬送方向を変えるターンバーと、
前記フィルムの搬送方向における前記ターンバーの下流側に配置され、前記フィルムを搬送するフィルム搬送部と、
前記フィルム搬送部を前記フィルムの幅方向に移動させることにより前記フィルムのセンタリング調整を行うセンタリング調整部と
を備えている、
包装機。
【請求項2】
前記センタリング調整部は、前記フィルム搬送部および前記ターンバーを固定する可動ステージを有しており、
前記フィルム搬送部および前記ターンバーが前記フィルムの幅方向に同時に移動することにより、前記フィルムのセンタリング調整を行う、
請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記センタリング調整部は、前記フィルム搬送部の一端を前記フィルムの幅方向に対して角度変更することによって前記フィルムのセンタリング調整を行うことが可能である、
請求項1または2に記載の包装機。
【請求項4】
前記フィルムを筒状に変形させるフォーマーをさらに備え、
前記フィルム搬送部は、前記ターンバーと前記フォーマーとの間に位置する、
請求項1から3のいずれかに記載の包装機。
【請求項5】
前記フィルムが搬送している間に、前記フィルム搬送部を前記フィルムの幅方向に移動させることにより、前記フィルムの蛇行を矯正する、
請求項1から4のいずれかに記載の包装機。
【請求項6】
前記フィルム搬送方向における前記ターンバーの上流側に配置され、前記フィルムがロール状に巻かれたフィルムロールを支持するロール支持部をさらに備え、
前記ロール支持部は、前記フィルムロールの中心に挿入されたシャフトと、前記シャフトの根元側に配置され、前記フィルムロールの上面または底面に当接して前記フィルムロールの位置決めをするストッパー板を有しており、
前記ストッパー板は、前記シャフトの延びる方向へ往復移動が可能である、
請求項1から5のいずれかに記載の包装機。
【請求項7】
前記ターンバーの周面には、ガスの吹出口が形成されている、
請求項1から6のいずれかに記載の包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−280254(P2009−280254A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135383(P2008−135383)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】