説明

包装物品及び積層フィルム

本願は、フィルムと、フィルムの接合している包装物品とに関する。また、多層フィルムを作製及び適用する方法を提供する。代表的なポリマーフィルムは、1つ以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを有する、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占める第2の層とを含む。他の代表的なフィルムは、1つ以上の非晶質ポリエステル材料を有する、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占め、乳白する量の二酸化チタン充填剤を有する第2の層とを含む。更に他の代表的なフィルムは、脱酸素材料を含み、1以上の非晶質ポリエステル材料を含む、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を有する第2の層とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第61/117,778号(2008年11月25日出願)の利益を請求するものであり、この開示内容全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、積層フィルム、及び前記積層フィルムを組み込んだ包装物品(例えば、金属缶及びふた)に関する。
【背景技術】
【0003】
水溶液が未処理金属を腐食させる恐れがあることは周知である。したがって、水性製品用の金属容器等の金属物品は、水性製品と金属物品との間の相互作用を遅延させるか又は排除するために、耐食性にしなければならない。一般的に、耐食性は、広くは、金属基材を不動態化することによるか、又は腐食抑制コーティングで金属基材をコーティングすることにより、金属物品又は金属基材に付与される。
【0004】
研究者らは、金属物品の腐食を低減又は排除し、且つ前記金属物品に包装される水性製品に悪影響を与えない、改善されたコーティング組成物を探求してきた。例えば、研究者らは、腐食を引き起こすイオン、酸素分子、及び水分子が、金属基材と接触及び相互作用するのを防ぐために、コーティングの不透過性の改善について探求してきた。不透過性は、より厚く、より可撓性が高く、且つより接着性の高いコーティングを提供することにより改善することができるが、1つの有利な特性を改善すると、第2の有利な特性が犠牲になることが多い。
【0005】
更に、実施上の問題点により、金属基材に適用されるコーティングの厚さ、接着特性、及び可撓性が制限される。例えば、厚いコーティングは高価であり、長い硬化時間を必要とし、審美性が低い場合があり、またコーティングされた金属基材を有用な金属物品に鍛造及び成形するプロセスに悪影響を与える場合がある。同様に、金属物品の所望の形状に金属基材を鍛造及び成形している間、コーティングの連続性が壊れないように、コーティングは、十分可撓性でなければならない。
【0006】
また、研究者らは、腐食抑制に加えて耐化学性も有するコーティングを探求してきた。金属容器の内部に有用なコーティングは、金属容器に包装される製品の溶媒和特性に耐えることができなければならない。コーティングが十分な耐化学性を有しない場合、コーティングの成分が包装された製品に抽出され、製品に悪影響を与える恐れがある。抽出されたコーティング成分は少量でさえも、製品に異味を付与することにより、ビール等の感受性の高い製品に悪影響を与える恐れがある。
【0007】
従来、優れた耐化学性を有する硬化コーティングを提供するためには、有機溶媒系コーティング組成物が用いられてきた。かかる溶媒系組成物は、本質的に非水溶性であり、それによって金属容器内に包装された水性製品の溶媒和特性に対して有効な耐性を有する成分を含む。しかし、環境的及び毒物学的問題が認知されているので、次第に厳しくなる政府規制に応じるために、水性であるコーティング組成物が増加している。残念なことに、多くの水性コーティング組成物は、水溶性又は水分散性である成分を含むので、水性コーティング組成物から得られる硬化コーティングは、水の溶媒和特性の影響を受けやすいことが多い。更に、水性組成物は幾つかの有機溶媒を含有することが多いので、有機溶媒関連の認知されている環境的及び毒物学的問題を完全には克服しない。
【0008】
したがって、有機溶媒関連の認知されている環境的及び毒物学的問題を完全に避けるために、研究者らは、金属基材に適用できる固体コーティング組成物を探求してきた。今日まで、研究者らは、フィルムの均一性、フィルムの外観、及びフィルムの性能について、液体コーティング組成物と比べても遜色のない固体コーティング組成物を提供するのに困難を感じている。
【0009】
有用な固体コーティング組成物を見出すための以前の試みでは、研究者らは、粉末コーティング、積層フィルムコーティング、放射線硬化性コーティング、及び押出成形コーティングについて試験した。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン(PE)等のポリマーの自由フィルム積層体を作製する試みがなされてきた。この方法では、厚さ約10〜約25ミクロンの事前成形ポリマーフィルムが金属基材に適用される。フィルム積層方法は、金属基材をコーティングする迅速な方法であるが、前記方法は、一般的に、非常に高価である及び/又はコーティングされた金属基材が必要な特性の全てを有する訳ではない。また、コーティング組成物で金属基材をコーティングするために固体粉末コーティングも用いられてきた。しかし、粉末コーティング方法を用いて、金属基材に対し薄く、均一なコーティングを適用することは困難である。また、固体コーティング組成物は、金属基材上に押し出されてもきた。これらの試みは、重大な技術的又は経済的問題に直面した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、研究者らは、接着性、可撓性、耐化学性、及び腐食抑制性という有利な特性を示し、また経済的であり、且つ容器に包装される感受性の高い食品及び飲料の味又は他の審美性に悪影響を与えない食品及び飲料容器の外部及び内部に使用するための固体コーティング組成物を長い間探求してきた。研究者らは、特に、有機溶媒関連の認知されている環境的及び毒物学的問題を低減するために、有用な固体コーティング組成物を探求してきた。具体的には、研究者らは、次第に厳しくなる環境規制に対応し、既存の有機溶媒系コーティング組成物に比べても遜色のない腐食抑制性を有し、且つ薄く均一なフィルムとして金属基材上に容易に適用される食品及び飲料容器のための固体コーティング組成物を探求してきた。かかるコーティング組成物は、当該技術分野の長年にわたる要求を満たすであろう。
【0011】
便宜上、以下の明細書は、金属包装物品を主に目的とするが、本発明のフィルム及び方法を用いて製作され得る他の物品(例えば、キャップ及びふた)も当業者に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フィルムと、フィルムの接合している物品とを提供する。また、多層フィルム及び物品を作製する方法を提供する。
【0013】
1つの実施形態では、前記物品は、金属シートと、金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含む。ポリマーフィルムは、好ましくは、1つ以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを有する、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占める第2の層とを含む。
【0014】
別の実施形態では、前記物品は、金属シートと、金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含む。ポリマーフィルムは、好ましくは、1つ以上の非晶質ポリエステル材料を有する、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占め、乳白する量の二酸化チタン充填剤を有する第2の層とを含む。
【0015】
更に別の実施形態では、前記物品は、金属シートと、金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含む。ポリマーフィルムは、好ましくは、1つ以上の非晶質ポリエステル材料を有する、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占める第2の層とを含む。ポリマーフィルムは、脱酸素材料を更に含む。
【0016】
前述のフィルムは、好ましくは、フィルム全厚の約5%〜約40%の範囲の厚さの第1の層、フィルム全厚の約20%〜95%の範囲の厚さの第2の層、及び存在する場合、フィルム全厚の約40%以下の厚さの任意の他の層を有する。
【0017】
1つの実施形態では、フィルムは、1つ以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを含む第1の層の組成物を提供し;重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分を占める第2の層の組成物を提供し;前記第1及び第2の層の組成物を押出成形及び流延させてフィルムを形成し;次いで、流延フィルムを2軸延伸して、多層2軸配向フィルムを形成することにより作製される。
【0018】
更に別の実施形態では、本発明は、フィルムを金属シートに付着させる方法を提供する。代表的な方法は、少なくとも第1の層の粘着温度に金属シートを加熱し、加圧下で前記フィルムを前記金属シートに積層させ、フィルムが熱接合された金属シートを第1の層の粘着温度よりも少なくとも30℃低い温度に急冷することを含む。
【0019】
上記の本発明の概要は、本発明の開示した実施形態それぞれ又はすべての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1つの実施形態では、本発明は、金属シートと、前記金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含む物品を提供する。好ましくは、ポリマーフィルムは、1以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを含む、金属シートに隣接する第1の層と、重量により1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエステルテレフタレート(「PET」)の大部分を含む第2の層(特に「コア」層と呼ばれる)とを含む。ポリマーフィルムは、所望により、他の層を含んでもよく、又は他のコーティングで処理されてもよい。1つの実施形態では、フィルムの自由表面は、低摩擦若しくは低表面エネルギーを提供するか、又は低摩擦若しくは低表面エネルギーを提供するように変性される。別の実施形態では、フィルムの自由表面は、後に適用される材料に対する十分な接着性を提供するか、又は十分な接着性を提供するように変性される。第1の層と第2の層との間の層、トップコート等を含む他の任意層を利用してもよい。
【0021】
ポリマーフィルムの自由表面が低摩擦又は低表面エネルギーを必要とする実施形態では、フィルムは、好ましくは、前記フィルムに適用される液体ワックスコーティングを有するか、又は前記フィルムにブレンドされた1つ以上のワックス材料を有するポリマーフィルム(例えば、ポリエステルフィルム)を含む第3の表面層を含む。任意の液体ワックスコーティング及び/又は任意の第3の表面層は、フィルムに隣接して配置される材料に対する低接着性(例えば、食品に対する低接着性)、及び/又は低摩擦の1つ以上を提供し、それによりコーティングされた基材上で実施される鋳造作業が容易になる。
【0022】
あるいは、別の実施形態では、ポリマーフィルムは容器のふたに用いられる。この実施形態では、フィルムの一方の側面は、金属のふたに密接に接触し、反対側は、ガスケット材料に密接に接触する。好ましくは、前記フィルムは、金属のふた基材及びガスケット材料の両方に対して良好な接着性を有し、1つ以上のポリエステル材料及び所望によりその中に配置された複数の金属フレークを含む、金属シートに隣接する第1の層と、PETの大部分を含む第2の層と、1つ以上のポリエステル材料及び所望によりその中に配置された複数の金属フレークを含む第3の層とを含む。
【0023】
本発明において用いるのに好適なフィルムは、フィルムが熱接合された金属シートの優れた成形性、並びに得られる容器のレトルト処理及び耐食性に対する適応性を可能にするのに好適なガラス転移温度及び融点を有する。保護コーティングフィルムとして用いられる好ましいフィルムは、好ましくは、少なくとも55℃のガラス転移温度及び少なくとも220℃の融点を有する。フィルムは、より好ましくは、ポリエステル系材料を用いて形成される。
【0024】
好適な2軸配向フィルムは、例えば、ガラス転移温度よりも高いが結晶化温度よりも低い温度で、長手方向に原長の2.5〜5倍、及び横方向に原幅の2.5〜5倍に流延ポリエステルフィルムを延伸し、次いで、150℃〜250℃の温度で延伸されたフィルムを熱硬化させることにより調製することができる。より具体的には、長手方向に原長の約3.75倍、及び横方向に原幅の約3.75倍延伸され、次いで張力下で220〜240℃の温度で熱硬化させた2軸配向フィルムが、金属シートに積層される能力及び後の成形性の観点で最適である。
【0025】
2軸配向フィルムの「第1の層」は、金属基材と直接接触しているフィルムの層と定義される。あるいは、この層は、「接触層」、「接合層」、「接着性層」、又は「接着層」と呼ばれる場合もある。
【0026】
第1の層は、単一ポリマー、又は好適なポリマーのブレンドから構成され得る。接着層で用いるのに好適なポリエステルとしては、1つ以上の好適なジカルボン酸成分及び1つ以上の好適なジオール成分から形成されるポリエステルが挙げられる。
【0027】
接着層で用いるのに好ましいポリエステルは、少なくとも約0.4、より好ましくは0.5〜1.2、最も好ましくは0.55〜0.82の固有粘度を有する。
【0028】
好適なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
好適なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びデカメチレングルコール等の式HO−(CH−OH(式中、nは約2〜10である)により表されるポリメチレングリコール;ネオペンチルグリコール等の式HO−CH−C(R)−CH−OH(式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)により表される分岐グリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;シクロヘキサンジメタノール(CHDM)等のシクロヘキサン環を有するジオール;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
好ましくは、接着層は、結晶質ポリエステル及び非晶質ポリエステルの混合物を含む。より具体的には、第1の層の組成物は、好ましくは、少なくとも1つの「非晶質」ポリエステル樹脂を含有し、これは、好ましくは、第1の層中の全ての成分の重量に基づいて、25〜100重量パーセント(「wt.%」)の濃度で第1の層内に存在することが好ましい。更により好ましくは、非晶質ポリエステルは、約40〜90重量%、最も好ましくは50〜80重量%の濃度で存在すべきである。この状況では、「非晶質」は、通常の使用条件下では実質的に結晶化不可能であり、また示差走査熱量測定(「DSC」)を用いて試験したとき、有意なT(融点)を示さないポリエステル樹脂を説明することを意味する(ポリエステルの融点(及びかかるポリマーのブレンド)は、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第4,362,775号に記載されているようにDSCを用いることにより測定することができる)。第1の層中の非晶質ポリエステル樹脂の濃度が100%未満であるとき、第1の層の残りは、「コア層」中に含有されるもの等の、他の結晶性ポリエステル樹脂から構成され得る。
【0031】
好適な非晶質ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸のエステルに基づく「PET様」コポリエステルが挙げられる。より具体的には、テレフタル酸はエステル化され、既に記載したようなジオール成分と重合化される。より具体的には、テレフタル酸は、ジオールの少なくとも一部と反応し、最終的なポリマーが結晶化される能力を低下させる。より具体的には、ジオール成分は、エチレングリコールとテレフタル酸系ポリエステルの結晶性を低下させることが知られているジオール等の、2つの異なるジオールのブレンドから構成され得る。かかる代表的なジオールは、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)である。理論に縛られるものではないが、CHDM(又は他の好適なかかるジオール)は、好ましくは、テレフタル酸/エチレングリコール成分の結晶性を崩壊させる機能を有し、それによって最終的なポリマーを実質的に非晶質にする濃度で存在する。かかる物質は、一般的に、「PET−G」又は「PETG」と呼ばれる。好ましい実施形態では、CHDMは、ジオールブレンドの全モル数の5〜75%、より好ましくは10〜60%、最も好ましくはジオールブレンドの全モル数の20〜40%の濃度で存在する。この種の好適な市販のポリマーの例は、Eastman Chemical Companyにより供給されているコポリエステル樹脂であるEASTAR 6763である。この樹脂は、30モル%のCHDM及び70モル%のエチレングリコール(「EG」)を有すると考えられる。
【0032】
接着層中の成分として用いられる他の典型的なポリエステルとしては、PET、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレートのコポリエステル(以後「PET/I」と略す)、PBT、ブチレンテレフタレート/エチレンイソフタレートのコポリエステル(以後「PBT/I」と略す)、エチレンテレフタレート/エチレンアジパートのコポリエステル(以後「PET/A」と略す)、エチレンテレフタレート/エチレンセバケートのコポリエステル(以後「PET/S」と略す)、及びエチレンテレフタレート/ネオペンチルテレフタレートのコポリエステルが挙げられる。これらポリエステルのうち、PET、PBT、PET/I、及びPBT/Iが好ましい。
【0033】
例えば、1つの好ましい実施形態では、接着層は、67重量部のPET−G、30重量部の結晶性PET、3重量部のPET−I、及び2重量部の金属フレーク(以下で論じる)を含む。
【0034】
驚くべきことに、第1の層中の非晶質コポリエステル樹脂の存在は、フィルムの性能にとって非常に重要であることが見出された。非晶質ポリマーは、鋼又はアルミニウム等の基材に積層するとき、相当する結晶性ポリマーよりも高い接着性を提供することが見出されている。この接合強度の上昇により、市販の設備を用いて市販の基材に適切に適用及び接合され得る積層体構造が生じる。
【0035】
第1の層中の非晶質ポリエステル樹脂の濃度が約25%未満であるとき、得られる積層体構造は低い接着強度を示し、典型的には、市販の設備を用いて適切に適用することができないことが見出されている。
【0036】
非晶質ポリエステルの第2の驚くべき効果は、加熱後の結晶化に対する耐性である。食品包装業界で用いられる多くのコーティング物品は、低温殺菌又はレトルト等の後加熱工程を受け、それにより前記物品は、50〜130℃の温度範囲の蒸気又は水に曝露される。この後加熱中、結晶性ポリエステルは、変色、亀裂、ひび割れ、又は接着性低下を導く恐れがある幾つかの程度の結晶化を示す傾向がある。任意のこれらの欠陥は、積層体の全体的な品質を低下させ、消費者に物品を拒絶させる恐れがある。
【0037】
ポリエステルポリマーに加えて、第1の層の組成物は、また、積層体構造の全体的な性能を更に高める機能を有し得る種々の任意添加剤を含有してもよい。例えば、これら添加剤を用いて、積層体構造の接着性、耐食性、又は製品耐性を高めることができる。
【0038】
好適な任意添加剤は、典型的には、層の組成物全体の0〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%、最も好ましくは1.5〜2.5重量%の濃度で含まれる。
【0039】
好適な任意添加剤としては、チタン、アルミニウム、鉄、マンガン、マグネシウム等の金属元素の塩化合物又は錯体等の無機物質が挙げられる。1つの本明細書で好ましい任意添加剤は、金属の分散物(例えば、アルミニウム顔料)である。より好ましくは、第1の層は、アルミニウム金属フレークから構成される添加剤を含有する。最も好ましくは、添加剤は、界面活性剤、ワックス、ポリマー、又は他の好適なキャリア樹脂等の不揮発性キャリア中のアルミニウム金属フレークの分散物である。
【0040】
本明細書で使用するとき、「金属フレーク」は、球形状とは対照的に、概して平坦な形状を有する金属粒子である。好適なフレーク粒子は、約1.5:1〜約100:1の範囲の平均アスペクト比(直径:高さ)を有する。不規則なフレークの場合、「直径」は、不規則な形状の領域を有する円の計算された直径であり、高さは、フレークの平均高さである。平均アスペクト比は、より好ましくは約20:1〜約80:1であり、最も好ましくは約40:1〜60:1である。フレークは、好ましくは、約0.1マイクロメートル〜約20マイクロメートル、より好ましくは約1〜約15マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。フレークは、好ましくは、約3マイクロメートル〜約12マイクロメートル、好ましくは約6〜約12マイクロメートルの範囲の平均高さを有する。
【0041】
代表的な分散した金属フレークは、Silberlineから商業的に入手することができる。Silberlineは、ポリオレフィンキャリアであると考えられる種々の不揮発性キャリア中のアルミニウム顔料フレークを供給する。
【0042】
更に、「リーフィング」及び「ノンリーフィング」アルミニウムフレークの両方を用いることができる。最も興味深いのは、Silberlineから商品名SILVETとして販売されている事前分散アルミニウムの等級である。これらのアルミニウム分散物は、ポリマーキャリア中で提供される。最も好ましいアルミニウム分散物は、リーフィングアルミニウム顔料80重量%と、ポリエチレン樹脂であると考えられる押出成形等級のポリオレフィンポリマー20重量%とから構成されるSilberline SILVET 220−20Eである。
【0043】
理論に縛られるものではないが、アルミニウム顔料の存在は、試薬が通過して表面と相互作用しなければならない蛇行性経路が存在するアルミニウム顔料「リーフ」の保護バリア層を形成することにより、積層体構造の性能を高めると考えられる。これは、試薬の全体的な通過を緩徐にすることにより、積層体構造の攻撃に対する耐性を高めると考えられる。
【0044】
2軸配向フィルムは、また、一般的に、本明細書では時に「コア層」と呼ばれる第2の層を含む。
【0045】
好ましくは、コア層は、1つ以上の結晶質ポリエステルの混合物を含む。幾つかの実施形態では、コア層は、1つ以上の任意非晶質ポリエステルを更に含んでもよい。より好ましくは、第1の層の組成物は、結晶質ポリエステル樹脂の大部分を含有することが好ましく、これは、コア層中の全ての成分の重量に基づいて、50〜100重量%の濃度、最も好ましくは70〜100重量%の濃度でコア層中に存在することがより好ましい。この状況では、「結晶質」又は「結晶性」は、通常の使用条件下で実質的に結晶化可能であり、またDSCを用いて試験したとき、有意なT転移を示すポリエステル樹脂を説明することを意味する。コア層中の結晶質ポリエステル樹脂の濃度が100%未満であるとき、コア層の残りは、他のポリマー(例えば、「第1の層」中に含有されるもの等の非晶質ポリエステル樹脂)又は他の充填剤から構成され得る。
【0046】
フィルムのコア層の調製に用いられる好適なポリマーとしては、例えば、PET、PBT、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、及びポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマーが挙げられる。これらの中でもPETが最も好ましい。コア層はまた、後加熱(例えば、熱ワニスの使用)を必要とする用途のために、幾つかのPETG、IPA(イソフタル酸)変性PET、又は他の低結晶化ポリマーを含有してもよいと予測される。主にエチレンテレフタレート単位から構成されるコポリエステルも好ましい。これらコポリエステル(製品耐性が最優先である内側包装コーティングの場合)は、低比率、好ましくは5モル%以下のイソフタル酸、セバシン酸、及びアジピン酸等のテレフタル酸以外のジカルボン酸成分を含有してもよい。また、コポリエステルは、低比率、好ましくは5モル%以下の、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び1,4−シクロへキサンジメタノール等のエチレングリコール以外のジオール成分を含有してもよい。製品耐性が重要である内側包装用途では、コア層で用いられる結晶質ポリマーの量は、一般的に増加してもよく、非晶質ポリマーの量は最低限に抑えられる。対照的に、コア層で用いられる非晶質ポリマーの量は、製品耐性がそれ程重要ではない外側用途では増加してもよい。
【0047】
必要に応じて、コア層は、再利用材料を含んでもよい。好適な再利用材料としては、PETプラスチック容器から調製される消費済みPET、及び再利用作業のために消費者から回収された他の再利用可能なものが挙げられる。FDAは、現在、特定の食品容器で用いるための消費済みPETを承認している。消費済みPETは、特定の水準の固有粘度(I.V.)、水分レベル、及び汚染物質を有することが知られている。例えば、典型的な消費済みPET(最大2分の1インチ(1.27cm)のフレークサイズを有する)は、平均約0.66dl/gのI.V.、0.25%未満の水分含量、及び以下の濃度の汚染物質:PVC:<100ppm;アルミニウム:<50ppm;オレフィンポリマー(HDPE、LDPE、PP):<500ppm;紙及びラベル:<250ppm;着色PET:<2000ppm;他の汚染物質:<500ppmを有する。
【0048】
好ましいコア層ポリマーは、0.4〜1.2dl/g、より好ましくは0.55〜1.0、最も好ましくは0.55〜0.82のI.V.を有する。
【0049】
ポリマーフィルムの自由表面が低摩擦又は低表面エネルギーを必要とする状況では、フィルムは、好ましくは、前記フィルムに適用される液体ワックスコーティングを有するか、又は前記フィルムにブレンドされた1つ以上のワックス材料を有するポリマーフィルム(好ましくは、ポリエステルフィルム)を含む第3の表面層を含む。任意の液体ワックスコーティング及び/又は任意の第3の表面層は、好ましくは、フィルムに隣接して配置される材料に対する低接着性(例えば、食品に対する低接着性)、及び/又は低摩擦係数の1つ以上を提供し、それによりコーティングされた基材上で実施される鋳造作業が容易になる。
【0050】
フィルムが、前記フィルムに適用される液体ワックスコーティングを有する状況では、ワックスコーティングは、好ましくは、好適なワックスの水分散液を含む。好適なワックス材料としては、水分散液、エマルション、又は「ワックスリッチコーティング」が挙げられる。かかるワックス材料としては、カルナウバ、キャンデリラ、ラノリン、ラノセリン、又はこれらの混合物等の天然ワックスを含有する水性、溶媒媒介性、又は未希釈物質が挙げられる。好ましい第3の層のブレンドは、約10重量%以下のワックス、より好ましくは0.1〜5重量%のワックス、最も好ましくは0.5〜2重量%のワックスを含む。
【0051】
フィルムが、1つ以上のワックス材料がブレンドされているポリエステルフィルムを含む第3の表面層を含む状況では、前記第3の表面層は、好ましくは、適合性ポリマー(単数又は複数)のブレンド(例えば、ポリエステルポリマーは、ポリエステル系コア層上に用いるのに好適である)、及び有効な量のワックス材料を含む。この層で用いるのに好適なポリエステル材料としては、第1及び第2の層で用いられる前述の材料が挙げられ、第3の層は、結晶質及び非晶質ポリエステルのいずれか又は両方を含んでもよい。1つの実施形態では、第3の層は、30重量部のPET−Gと、70重量部の結晶質PETと、1重量部のカルナウバワックスとを含む。
【0052】
あるいは、別の実施形態では、ポリマーフィルムは容器のふたに用いられる。この実施形態では、フィルムの一方の側面は、金属のふたに密接に接触し、反対側は、ガスケット材料に密接に接触する。好ましくは、フィルムは、金属ふた基材及びガスケット材料の両方に対して良好な接着性を有し、上記及び本明細書に記載される第1の層、上記及び本明細書に記載されるコア層、及び選択されたガスケット材料と共に使用するのに適応したポリマーを含む層を含む。かかるポリマーとしては、PET−G、ニトリルゴム、ポリオレフィン、及びアクリロニトリル系アクリルポリマーが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、第3の層は、接着層と同じ種類の材料で作製される。
【0053】
必要に応じて、2軸配向ポリエステルフィルムの1層以上の層は、好適な量の任意添加剤、例えば、酸化防止剤、光沢調節剤、硬度調節剤、熱安定剤、耐摩擦性調節剤、印刷インクを良好に「許容する」ための添加剤、粘度調節剤、可塑剤、接着強化剤、成核剤、超微粒子状無機粒子、及び金属粉末、有機滑沢剤、顔料、及び染料がその中に組み込まれていてもよい。
【0054】
1つの好ましい添加剤は、二酸化チタンである。40重量%以下、好ましくは15〜25重量%の二酸化チタンを組み込むことにより、良好な審美性を有する白色フィルムが得られる。二酸化チタンをコア層若しくは接着層のいずれか、又は両方の層に添加してもよい。より好ましくは、二酸化チタンをコア層に添加する。
【0055】
種々の層は、また、それぞれの層に例えば可塑化効果又は接着強化効果を付与するためにその中に1つ以上のポリマーが組み込まれていてもよい。組み込まれるポリマーの量は、本発明の目的に実質的に影響を与えない限り、好適に決定することができる。
【0056】
コア層は、接着層と直接接触してもよい。あるいは、1つ以上の他の層(例えば、接着強化材料の層、下塗り層、放電処理層、脱酸素材料等)を、間に介在させてもよい。種々の層(即ち、コア層、接着層、又は任意の他の層のうち少なくとも1つ)はまた、それぞれの層に脱酸素特性を付与するために1つ以上の材料をその中に組み込んでもよい。
【0057】
1つの実施形態では、積層フィルムに酸素吸収/脱酸素能を提供するためにフィルムの構造を変更する。フィルムの脱酸素能は、ポリエステルフィルム構造/積層体を食品又は飲料製品を収容する包装容器の内側用のコーティングとして用いるとき特に有益であり得る。包装から酸素を除去すると、包装された製品の新鮮さを長持ちさせ、包装された製品の色を保存し、又は更にはコーティングされた缶の耐食性を強化することができた。好ましくは、構造の少なくとも1層は、少なくとも若干の脱酸素材料を有する。好適な材料は、米国特許第6,933,055号、同第7,244,484号、国際公開第2008/124682 A2号、及び国際出願第PCT/US08/79618号に開示されている。例えば、任意の脱酸素層は、脱酸素組成物と共に好適なポリマー(例えば、ポリエステルポリマー)を含んでもよい。1つの好適な材料は、ValOR Activ100であり、これはValspar Corporationにより販売されている。好適なフィルムは、フィルムのコア層中に有効な量のValOR Activ100を含有してもよい。より具体的には、ValOR Activ100は、フィルム中に0〜50重量%、より具体的には5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%存在する。
【0058】
幾つかの実施形態では、優れたフェザリング特性を有する積層フィルムを提供するためにフィルムの構造を変更する。例えば、食品又は飲料缶用のイージーオープン缶端部等の特定の最終用途では、コーティングのフェザリングが存在しないことが望ましい。かかる缶端部の製造は、典型的には、金属基材に予めスコアを作製することを含み、これは、次いで、缶端部のリベットに取り付けられたプルタブを用いて缶端部を開けて、包装食品又は飲料製品を消費することを可能にする。このスコアリング技術の使用は、基材及び適用されるコーティングの両方が容易に且つきれいに裂ける必要がある。缶の開口部に望ましくない量の残留コーティングが存在するためにきれいに裂けないことを「フェザリング」(あるいは、フリリング、ハーリング、又はハローイング)と呼ぶことが多い。包装食品又は飲料製品の消費者にとって審美的に好ましくない場合があるので、内側コーティングが感知できるほどのフェザリングを示すことは一般的に望ましくない。したがって、イージーオープン食品又は飲料缶端部の内側に用いられるコーティングが感知できるほどのフェザリングを示さないことが望ましい。
【0059】
優れたフェザリング特性(即ち、感知できるほどのフェザリングが存在しない)が望ましい特定の実施形態では、フィルムは、(i)有効な量の1つ以上のポリアミド材料、及び/又は(ii)好ましくは、例えば、PET若しくはPETのコポリマー等のポリエステル材料の分子量を低下させることができる有効な量の1つ以上の金属触媒を有する1層以上の層を含む。したがって、例えば、第1の層、第2の層、及び/又は別の層は、前述の材料(i)及び/又は(ii)を含んでもよい。
【0060】
好適なかかる金属触媒としては、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、アンモニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、オスミウム、イリジウム、プラチナ、銅、マンガン、及び亜鉛等の遷移金属、並びにこれらの金属の酸化物、塩、又は錯体、並びにこれらの混合物を挙げることができる。例えば、酢酸又はテレフタル酸等の短鎖酸、又はネオデカン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、又はオクテニルコハク酸等の長鎖酸のコバルト(II)塩を用いてもよい。また、無機酸の塩を用いてもよい。例えば、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、塩化コバルトを用いてもよい。好ましい金属触媒としては、例えば、酢酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オクタン酸コバルト、及びこれらの混合物等のコバルトと長鎖酸との塩が挙げられる。用いられるとき、1つ又は金属触媒は、好ましくは、少なくとも5ppm(金属の重量による)の量、より好ましくは約10〜1,000ppmの量、更により好ましくは約20〜500ppm、最も好ましくは約50〜250ppmの量で層中に存在する。1つの実施形態では、第2の層は、かかる量の1つ以上の金属触媒を含む。過剰な量の金属触媒が存在すると、層を形成するために用いられる融解物の粘度が不適切に低くなる恐れがあるので、1つ以上の金属触媒の適切な量の決定には注意すべきである。
【0061】
好適なポリアミド材料としては、例えば、m−キシリレンジアミン及びポリカルボン酸(例えば、アジピン酸);ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン6,12;ナイロン11;ナイロン12;及びこれらのコポリマー又は混合物を含む成分の反応生成物であるポリアミドを挙げることができる。MXD6ナイロンとして商業的に知られているポリ(m−キシリレンアジパミド)は、好ましいポリアミド材料の例である。用いられるとき、1つ以上のポリアミド材料は、好ましくは、少なくとも約5重量%、より好ましくは約5〜25重量%、更により好ましくは約15〜20重量%の量で層中に存在することが好ましい。1つの実施形態では、第2の層は、かかる量の1つ以上のポリアミド材料を含む。
【0062】
フェザー特性を改善するために、好適な量(例えば、約1,000ppm未満、より好ましくは約200〜500ppm)の1つ以上のプロトン性溶媒(例えば、水)を、層(単数又は複数)を形成するために用いられる融解物ブレンドに含んでもよいことが更に企図される。
【0063】
フェザリング試験の例を以下に記載する。フェザリングを試験するために、パネルのコーティングされた側を下向きにした状態で、コーティングされた金属パネルの裏側に「タブ」のスコアを作製する。次いで、試験片を85℃で45分間脱イオン水浴に浸漬する。低温殺菌後、プライヤーを用いて、切断された「タブ」を、基材のコーティングされた側から90°の角度まで曲げる。次いで、試験片を、コーティングされた側を下にして平面上に置く。切断された「タブ」をプライヤーを用いて掴握し、完全に取り外されるまで180°の角度で試験パネルから「タブ」を引っ張る。「タブ」を取り外した後、試験片の開口部に延出する任意のコーティングを測定する。最大侵入(フェザリング)距離をインチで報告する。イージーオープン食品又は飲料缶端部のコーティングは、好ましくは、0.2インチ(0.508cm)未満、より好ましくは0.1インチ(0.254cm)、最も好ましくは0.05インチ(0.127cm)、最適には0.02インチ(0.051cm)以下のフェザリングを示す。好適に硬化されたとき、本発明の特定の好ましいフィルムは、上記のように試験したとき、0.02インチ(0.051cm)のフェザリングを示した。
【0064】
コア層の厚さ、接着層の厚さ、及びこれら2つの厚さの比は、意図する最終用途によって変化し得る。通常、2軸配向フィルムの全厚は、約5〜500マイクロメートルの範囲である。容器が引抜き加工により形成される場合、2層の全厚は、成形性の観点で、好ましくは、約10〜100マイクロメートル、特に約15〜50マイクロメートルの範囲である。フィルムを高い耐食性が必要な用途で使用することを目的とする場合、コア層の厚さは約100マイクロメートルを超えてもよいが、大部分の用途では、約10〜100マイクロメートル、好ましくは約15〜50マイクロメートルの範囲である。接着層の厚さは、主に、金属シートの表面粗さによって変化する。しかし、金属シートが比較的平滑な表面を有するとき、接着層の厚さは、所望の接着性のためには少なくとも約2マイクロメートル、レトルト処理に対する所望の適応性のためには少なくとも約3マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約5マイクロメートルであってもよい。したがって、コア層と接着層との厚さの比は、1/0.05〜約1/5、好ましくは1/0.1〜1/3、より好ましくは1/0.4〜1/2.5の範囲であってもよい。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、コア層の厚さは、フィルムの全厚の少なくとも20%、より好ましくは約20〜80%の範囲、最も好ましくは約50〜70%の範囲、最適には約60%である。
【0066】
1つの好ましい実施形態では、接着層の厚さは、フィルムの全厚の40%以下、より好ましくは約5〜30%の範囲、最も好ましくは約10〜25%の範囲、最適には約20%である。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、表面層の厚さは、存在する場合、フィルムの全厚の40%以下、より好ましくは約5〜30%の範囲、最も好ましくは約10〜25%の範囲、最適には約20%である。
【0068】
多層2軸配向フィルムは、好ましくは、2段階プロセスで調製される。典型的な商業的プロセスでは、これらの段階は、タンデムに実施され、また通常連続様式で実施される。明瞭にするために、3層で構成される多層フィルムについてより詳細に論じるが、この原理を用いて2、4、5、又はそれ以上の層を有する多層フィルムを製造することができる。
【0069】
2段階のフィルム形成プロセスは、(1)多層流延フィルムの作製、及び(2)次いで、既に論じたプロセス及び比に従う前記流延フィルムの延伸を含む。これは、通常、多層流延フィルムを適切な温度に加熱し、次いで、フィルムを2軸的に延伸して所望の長さ、幅、及び厚さのフィルムを得ることにより達成される。
【0070】
例えば、3層流延フィルムが3つの異なる材料から構成される場合(それぞれ1層ずつ異なる層)、各異なる材料を供給するために3つの押出成形機、即ち、専用の押出成形機を用いることが典型的である。多層溶融ベールとして異なる材料を受容及び流延することができる多層ダイが用いられる。ベールの種々の層の厚さは、各溶融材料が押出成形機からダイに供給される速度により制御することができる。例えば、中間層の押出成形機の融解物供給速度が他の2つの押出成形機の2倍である場合、層の比率が約25%/50%/25%であるフィルムが調製される。流延フィルムの全厚は、融解ポリマーの総供給速度とともに、フィルムが引っ張られる総ライン速度によっても制御され得る。
【0071】
本発明の好適な流延フィルムは、5.0〜20.0mil(127〜508マイクロメートル)の範囲の厚さを有する。フィルムの厚さを約16分の1にする全体的な延伸プロセスと組み合わせたとき、得られる2軸配向フィルムは、0.3〜1.25mil(7.62〜31.75マイクロメートル)の範囲の最終厚さを有する。
【0072】
押出成形及びフィルム形成のために用いられる大部分の材料は、ペレット又は顆粒形態で供給及び/又は製造される。これらペレットは、典型的には、長さ数ミリメートルである。各材料は、ホッパーを介して押出成形機の後端を通して計量供給される。重力測定ホッパー計量システムを用いて、材料の重量/時間供給速度を制御することができる。典型的な流延フィルム形成では、各押出成形機の各ホッパーには1つの顆粒物のみが供給される。したがって、各層に異なる材料を用いる典型的な3層流延フィルムは、典型的には、合計で3つの異なるペレットから作製される。しかし、本明細書に論じられるように、層がそれ自体1超の材料のブレンドで構成される状況が存在する。かかる状況では、ブレンドを得る少なくとも2つの実用的な手段が存在する。
【0073】
第1の方法は、単に材料の「コールドブレンド」(即ち、混合される材料の単なる物理的ブレンド)を調製し、このコールドブレンドを押出成形機に直接供給することである。このアプローチを用いるとき、コールドブレンドを適切に混合及び均質化し、その混合物をフィルムダイの供給ブロックに均一に供給することは、押出成形機に依存する。この方法は、材料をフィルムに計量供給し、且つコールドブレンドを均一に混合することができる押出成形機を必要とする。このアプローチを用いるとき、多くの商業的フィルム押出成形機はコールドブレンドの混合に特に適している訳ではなく、通常、均質性の非常に低いフィルムが得られるので注意を要する。1つ超の材料のブレンドから構成される層を調製するより好ましい手段は、「事前配合」を用いるものである。このプロセスでは、層中で用いられる材料は、適切な比で再度コールドブレンドされ、材料の混合、ブレンド、又は配合に用いられる押出成形機のホッパーに供給される。これらの機械は、材料の混合及び分散を行えるように設計された種々のスクリュー構造を含んでもよい。好適な混合押出成形機は、単軸又は2軸押出成形機であってもよく、また、Buss混練機等の特殊な単軸押出成形機であってもよい。Buss混練機は、本質的に、特殊な単軸押出成形機であり、これは、分解を生じさせる恐れのある混合物の任意のオーバーワークを最低限に抑えながら成分を有効に混合する。一旦材料のブレンドが配合押出成形機を通過すると、単一の十分混合されたペレットが得られる。フィルム製造押出成形機内で更に混合する必要はないので、次いで、この単一ペレットをフィルム製造で用いることができる。
【0074】
多層フィルムの製造は、本質的に、単一温度で行われる。別々の送達押出成形機内で異なる温度を用いることができるが、材料の温度は、ダイ内で用いられる温度に「正規化」される。ダイの温度は、好ましくは、全ての層が類似の速度で流動する温度に設定される。層のうち1層以上が他の層とは著しく異なる速度で流動する場合、フィルムは、不均一になり、欠陥を含む恐れがある。「粘度の一致」は、事前配合プロセスを用いるとき問題となり得る。より具体的には、事前配合プロセスは、層を作製するために用いられる材料の粘度を低下させる場合がある。この粘度変化により、共押出成形プロセスにおいて層が最適に流動するのが妨げられる恐れがある。したがって、ブレンドされた材料の粘度が確実に所望の範囲内になるように「事前配合」工程中特別に注意を払う必要がある。
【0075】
例として、接着層組成物は、非結晶性、非晶質PETポリマー、結晶性PETポリマー、及びアルミニウム顔料をブレンドすることにより調製された。この例では、Eastman Chemical Coから市販されているEASTAR 6763 PETGを非結晶性PETポリマーとして用いた。配合用にこの材料を調製するために、カールフィッシャーの原理により測定したとき100ppm未満の水分含量になるように80℃で8時間真空乾燥させた。Invista Chemical Coから市販されているKOSA 1101 PETを結晶性ポリマーとして用いた。配合用にこの材料を調製するために、カールフィッシャーの原理により確認したとき100ppm未満の水分含量になるように130℃で6時間真空乾燥させた。Silberline Manufacturing Coから市販されているSILVET 220−20Eアルミニウム顔料を無機顔料として用いた。この材料は、供給されている状態のまま用いた。
【0076】
アルミニウム顔料と共に2つの事前乾燥PET樹脂を用いて、(重量により)65%のEASTAR 6763、33%のKOSA 1101、及び2%のアルミニウム顔料からなるコールドブレンドを調製した。このコールドブレンドを約10分間混転させて、ペレットブレンドの均質化の促進を補助した。次いで、ペレットブレンドを、Buss混練機のスクリュー構造を用いて改造した単軸押出成形機のホッパーに供給した。Buss混練機を用いて、材料の混合を最大化し、また任意の剪断誘導性分解又は融解物の粘度低下を最低限に抑えた。押出成形機のバレルを260℃の公称温度に設定した。一旦押出成形機に供給されると、ペレットブレンドは、約1.5分間押出成形機内で融解混合された。一旦混合されると、2穴撚りダイを通って押出成形機から出たブレンドは、冷水浴で冷却され、刻まれて、後で試験及びフィルム作製するためのペレットに成形された。
【0077】
配合後、ペレットを再度100℃で約6時間真空乾燥させて、水分含量を100ppm未満にした。乾燥したペレットブレンドを、Dynisco LCR700溶融レオメータを用いて溶融I.V.について試験した。材料の粘度を260℃で試験し、元々のEASTAR 6763及び100% KOSA 1101材料と比較した。この試験では、EASTAR 6763は約0.75の溶融I.V.を有し、KOSA 1101は0.81の溶融I.V.を有すると測定された。それに比べて、ペレットの溶融I.V.は0.77であると測定された。この試験の結果は、ペレットのI.V.(溶融粘度)は未変化ではなく、配合プロセスにより著しく低下する訳ではないことを示した。
【0078】
前述のペレットのサンプルを、流延フィルムの成形性について評価した。この試験では、商業的フィルム製造で用いられる押出成形機の種類を正確に模擬する単軸押出成形機のホッパーにペレットを供給した。この押出成形機の温度は、約280℃に維持した。この単軸押出成形機を単層流延フィルムダイと並べ、それも約280℃に維持した。ペレットを10mil(254マイクロメートル)の試験流延フィルムに流延させた。得られるフィルムは、非常に均一且つ均質であった。この均質性は、配合プロセス中樹脂及び添加剤が適切に混合されたことを示す。更に、フィルムは、任意の気泡又は穿孔を含んでおらず、これは材料が適切に乾燥され、分解せず、任意の脱ガスが生じていないことを示す。これらの結果は、材料のブレンドを非常に注意深く事前配合することにより、優れた均質性を有する高品質のフィルムが得られることを示す。
【0079】
本発明で用いるのに好適な金属シートとしては、鉄、アルミニウム(例えば、未処理で「洗浄のみを行った」アルミニウム、クロム酸塩処理アルミニウム、及びBetz 1903等の「非クロム処理アルミニウム)、及び銅等の、容器用材料として用いられるものが挙げられる。好適な鋼シートとしては、例えば、未処理鋼シート(即ち、黒色プレート)、スズプレート、亜鉛めっき鋼シート、電解クロム酸塩化鋼シート、並びにリン酸塩処理鋼シート及びクロム酸塩化鋼シート等の化学処理鋼シートが挙げられる。これらのうち、化学処理鋼シート及び電解クロム酸塩化鋼シートが、容器のコスト及び耐食性の問題から最も好ましい。金属シートの厚さは、通常、0.01〜5mm、より好ましくは0.1〜0.5mmの範囲であってもよい。
【0080】
本発明のポリエステルフィルムが熱接合された金属シートは、以下の方法のうち1つにより調製することができる。
【0081】
第1の方法では、コア層と接着層とから構成される複合材フィルムを調製し、次いで金属シートを前記複合材フィルムに積層する。
【0082】
第2の方法では、コア層と接着層とを、別々にフィルムとして調製する。その後、予め加熱しておいた金属シートに接着層フィルムを積層し、次いでコア層フィルムを積層する。
【0083】
第3の方法では、押出成形積層を用いて金属シート上に接着層を押し出し、次いで、コア層フィルムを接着剤コーティングされたシート上に積層する。
【0084】
上述の3つの方法の中でも、積層の作業性及び収率の観点で第1の方法が最も好ましい。
【0085】
複合材フィルムは、(a)コア層と接着層とを共押出成形し、2軸的に延伸し、次いで共押出成形フィルムを熱硬化させる;(b)接着層を非配向又は1軸的に延伸されたコア層上に、押出成形積層を用いて押し出し、次いで延伸し、次いで得られた複合材フィルムを熱硬化させる;又は(c)押出成形積層を用いて接着層をコア層フィルム上に押し出すことにより調製することができる。
【0086】
ここで、ポリマー−フィルム熱接合金属シートを調製するための方法の典型的な例について、2軸配向ポリマーフィルムが熱接合されている金属シートを参照して例証する。
【0087】
第1の方法では、コア及び接着層から構成される2軸配向複合材フィルムを金属シート上に供給し、それを少なくとも接着層の粘着温度、通常80〜250℃、より好ましくは90〜200℃の温度で維持し、連続的に移動させる。供給される複合材フィルムは、1〜100kg/cm、より好ましくは5〜50kg/cmの圧力下で金属シートに予め接合されていることが好ましい。この工程は、「事前接合工程」と呼ばれる。その後、事前に接合された複合材フィルム−金属シートを、事前接合温度よりも高い温度、通常200〜250℃、好ましくは210〜240℃に再加熱して、接合を完了する。この好適は、「一次接合工程」と呼ばれる。一次接合は、圧力の印加の有り無しにより影響を受け得る。最後に、フィルムが熱接合された金属シートを、接着層の粘着温度よりも少なくとも30℃低い温度に急冷する。
【0088】
第2の方法では、複合材フィルムを単一工程で金属シートに接合させる。つまり、複合材フィルムを圧力下で、第1の方法の一次接合工程で使用した温度と類似の温度に予め加熱されている金属シートに接合させ、次いでフィルムが熱接合された金属シートを急冷する。
【0089】
本発明のフィルムが熱接合された金属シートは、以下のように容器に成形することができる。先ず、フィルムが熱接合された金属シートを、ディスク、楕円、矩形、及び正方形等の所望の形状に打ち抜く。所望の形状の打ち抜き品を引抜きダイ及びパンチを用いて引抜き加工に供して、カップ形状の浅絞り物品を得る。引抜き加工は、1.1〜3.0、好ましくは1.2〜2.8の絞り比で実施してもよい。カップ形状の浅絞り物品は、側面に継ぎ目のない容器として用いてもよい。
【0090】
壁高さ/底部直径の比が大きい深絞り容器は、直径の小さな再絞りダイ及び再絞りパンチを用いることにより、カップ形状の浅絞り物品を引き抜くことにより得ることができる。必要に応じて、引抜きを繰り返してもよい。
【0091】
再引抜き加工工程では、引抜きダイとパンチとの間のクリアランスを調節することにより、浅絞りカップをある程度伸ばす(iron)ことができる。深絞り容器は、アイロニング引抜きダイ及びアイロニングパンチを用いることにより更に伸ばすことができる。
【0092】
容器用の金属ふたは、以下のように本発明のフィルムが熱接合された金属シートから成形することができる。フィルムが熱接合された金属シートを、ディスク又は別の形状に打ち抜く。ディスク形状の打ち抜き品を、例えば、スクリューキャップ、蒸気噴射キャップ、アンカーキャップ、フェニックスキャップ、クラウンキャップ、いたずら防止キャップ、剥離キャップ、及び缶端部等の金属ふたに成形し、これらは、例えば、引抜き加工、プレス加工、ビーズ加工、ロール加工、及びスコア加工等の従来の成形技術により成形することができる。
【0093】
フィルム熱接合接着金属シートから形成される容器の例は、食品缶、飲料缶、油缶、製菓缶、コーヒー缶、紅茶缶、及び他の一般的な缶、並びにこれら缶のふたである。
【0094】
以上、本発明の多くの実施形態について述べた。しかし、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更が行われてもよいと理解されるであろう。したがって、その他の実施形態も、以下の「特許請求の範囲」の範疇にある。
【0095】
全ての特許、特許出願、及び刊行物の完全な開示は、個々に組み込まれたかのように、参照によって本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属シートと、前記金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含み、前記ポリマーフィルムが、1以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを含む、金属シートに隣接する第1の層と、1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分(重量基準)を含む第2の層とを含む物品。
【請求項2】
前記フィルムが、前記フィルムに適用された液体ワックスコーティングを有するか、又は前記フィルムにブレンドされた1つ以上のワックス材料を有するポリエステルを含む第3の表面層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムが、容器のふたに使用され、前記フィルムの一方側面が金属シートに堅く接着され、反対側面がガスケット材料に堅く接着される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記フィルムが、フィルムが熱接合された金属シートの優れた成形性、並びに得られる容器のレトルト処理及び耐食性に対する適応性を可能にするのに好適なガラス転移温度及び融点を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記フィルムが、少なくとも55℃のガラス転移温度及び少なくとも220℃の融点を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第1の層のポリエステル材料が、少なくとも約0.4の固有粘度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第1の層が、少なくとも1つの結晶質ポリエステル樹脂及び少なくとも1つの非晶質ポリエステル樹脂の混合物を含み、前記少なくとも1つの非晶質ポリエステル樹脂が、前記第1の層中の全ての成分の重量に基づいて、前記第1の層中に少なくとも25重量パーセントの濃度で存在する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記非晶質ポリエステルが、テレフタル酸と少なくとも2つの異なるジオールのブレンドとのエステルに基づくコポリエステルを含み、前記ジオールの少なくとも1つが、テレフタル酸に基づくポリエステルの結晶性を低下させることが知られている、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記非晶質ポリマーが、テレフタル酸と1つ以上のジオールとのエステルであり、少なくとも1つのジオールが、シクロヘキサンジメタノールを含み、前記シクロヘキサンジメタノールが、ジオールブレンドの総モル数の5〜75%の濃度で存在する、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
前記金属フレークが、不揮発性キャリア中にアルミニウム金属フレークを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記金属フレークが、リーフィングアルミニウムフレークを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記フィルムが、前記フィルムに適用される液体ワックスコーティングを有し、前記ワックスコーティングが、カルナウバ、キャンデリラ、ラノリン、ラノセリン、又はこれらの混合物を含むワックスの水性分散液を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記フィルムが、前記フィルムにブレンドされた1つ以上のワックス材料を有するポリエステルフィルムを含む第3の表面層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記物品が、ガスケット材料を有する容器のふたの形態であり、前記フィルムが、前記金属シート及び前記ガスケット材料の両方に接着され、選択されたガスケット材料と共に使用するのに適応したポリマーを含む第3の層を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記第1及び第2の層が、互いに直接接触する、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記フィルムに、脱酸素特性を付与するために1つ以上の材料が組み込まれる、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
第1又は第2の層の少なくとも1つが、金属重量を基準に少なくとも6百万分率(ppm)の量の1つ以上の金属触媒を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記第1又は第2の層の少なくとも1つが、1つ以上のポリアミド材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
第1の層の厚さがフィルム全厚の約5%〜約40%の範囲であり、第2の層の厚さがフィルム全厚の約20%〜95%の範囲であり、及び存在する場合、任意の表面層の厚さがフィルム全厚の約40%以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
1つ以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを含む第1の層の組成物を提供する工程と、
1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分(重量基準)を含む第2の層の組成物を提供する工程と、
前記第1及び第2の層の組成物を押出成形及び流延させてフィルムを形成する工程と、次いで、
流延フィルムを2軸延伸して、多層2軸配向フィルムを形成する工程と、を含む方法。
【請求項21】
1つ以上のポリエステル材料及びその中に配置された複数の金属フレークを含む第1の層と、
1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分(重量基準)を含む第2の層と、
任意の表面層と、を含み、
前記第1の層の厚さがフィルム全厚の約5%〜約40%の範囲であり、前記第2の層の厚さがフィルム全厚の約20%〜95%の範囲であり、及び存在する場合、前記任意の表面層の厚さがフィルム全厚の約40%以下である、フィルム。
【請求項22】
少なくとも第1の層の粘着温度に金属シートを加熱する工程と、
加圧下で前記フィルムを前記金属シートに積層させる工程と、
フィルムが熱接合された金属シートを前記第1の層の粘着温度よりも少なくとも30℃低い温度に急冷する工程とを含む、金属シートに請求項1に記載のフィルムを付着させる方法。
【請求項23】
金属シートと、前記金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含み、前記ポリマーフィルムが、1以上の非晶質ポリエステル材料を含む、金属シートに隣接する第1の層と、1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分(重量基準)、及び乳白する量の二酸化チタン充填剤を有する第2の層とを含む物品。
【請求項24】
金属シートと、前記金属シートの少なくとも1つの主表面に熱接合された2軸配向ポリマーフィルムとを含み、前記ポリマーフィルムが、1以上の非晶質ポリエステル材料を含む、金属シートに隣接する第1の層と、1つ以上の結晶性ポリエステル系ポリマーの大部分(重量基準)を含む第2の層とを含み、前記ポリマーフィルムが、脱酸素材料を更に含む物品。

【公表番号】特表2012−509785(P2012−509785A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537594(P2011−537594)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065045
【国際公開番号】WO2010/065316
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(503026211)ヴァルスパー・ソーシング・インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】